「アメリカ」


 カードにしては珍しく、少年の性をテーマにとりいれた作品。むろんそれだけ扱ってるわけでもないのだが、他ではあまり見られないので目に付く。もっとも倫理的な…言ってしまえばおカタい…スタンスに変わりはない。潔癖でいられるのは少年の特権。しかし私が彼の年代だった頃(げ、もうひと昔近く前なのか)はあんなに潔癖だったろうか。…だった、とは思えない。
 この作品の語り手は「辺境」で登場した車椅子の教師カーペンターである。この話を知ったカーペンターが、ケツァルコアトルが白人の血を引いていることをネタに彼を脅迫し、デザレット州の利権を増やす…という展開は、カードだからないだろうな。「ケツァルコアトル」はアステカの「白き神」だから、彼が白人であることはほのめかされているのだが。
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