ブラックな笑いを思わず浮かべてしまう作品。”実体験”に基づく作品ということだが、カード先生、ダイエットに何かイヤな思い出でもあるんだろうか…。
かつての自分を目にしたバースの心境を描写するあたりに巧さを感じるが、私の気に入っている他のカード作品に比べると、どうも小粒な感が否めない。オチの老人の正体についても何となく予想がついてしまったし…。しかし、もっとも憎悪するのが醜い自分の姿だというのには大納得。
ここでバースが経験する「ダイエット」の方法はヴァーリィの「八世界」シリーズで見られる”レコーディング”と同様。これをメインとして使わずあくまで状況を作り出すための道具としているところが、カード作品とヴァーリィ作品との性格の違いだろう。だが、冒頭でのバースがこれを自分の「若返り」と見ていることには、どうも納得できない。自分の姿と記憶を持っていても、やはりあれは他者として認識されるのが普通だと思うのだが。