「ソングマスター」


 私が最初に読んだ作品です。どうしてこれを手にとったのか、今では記憶に残っていません。
 かなり長い作品なのですが、一気に読んだという記憶なら残っています。エステがアンセットの<節制>を破壊するくだりはちょっとわかりにかったのですが、それ以外のところはスムーズでした。とくにアンセットが皇帝リクトルスと<いたち>に向かって「最後の歌」をうたい、発狂させるあたりは迫力があって読む手を止めることができませんでした。ラストは冷静に考えれば感動させようとする「手」がすけて見える点がなきにしもあらずなのですが、ここは素直にのせられて感動しましょう。私などはいやでも感動してしまうのですが。
 「ソングマスター」はいまでもカードの諸作品の中で2、3番手に好きな部類に入ります。ただ、同性愛が肯定的に描かれている点が、私にとってはマイナスポイントです。根性せまいかも知れませんが、やはりついていけない。もっとも、ブ男はついていかない方が公衆衛生のためでしょうが。
 紹介のセリフはアンセットがミカルに初めて謁見したときのワンシーンです。話の展開上はあまり重要でない部分なのですが、アンセットの能力(の少なくとも半分)を端的に表しているので、載せてみました。
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