駄弁者の駄弁

別に知りたくもないでしょうが、駄弁者自身のことについて。それだけだとあまりにつまらなさすぎるので雑記帳を付けます。
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司書の駄弁者
生 年:197X年
出 身:大阪府・なまりは多分一生ぬけない
現住所:岐阜県多治見市・職場が遠い
職 業:その名の通り。今年は寄贈資料をひたすらコンピュータ入力。
趣 味:見ての通り。SF以外も読まなあかんなあ。


日々雑感98年7月〜12月


 忘年会。去年の不精者と違い今年の幹事はいろいろ張り切って企画を立てたようで、なかなか面白かった。酒の方も程々で済んだし。
(12/27)

 図書館、今年最後の開館日。いつもより混むが、想像していたほどでもない。年内に借りたものは年内に返そうと、延滞の本を持ってくる人は…あまりいないようだ。
(12/26)

 休みなので年賀状を作成。うちのATOKは「きんがしんねん」を変換すれば当然「謹賀新年」とでるが、「きんが」「しんねん」と2つに分けて変換すると「金が信念」となる。なに、持ち主の指向を反映…?うっさいわい。
(12/24)

 司書の研修会で障害者サービスについての研修を受ける。全盲の状態を体験する、ということでアイマスクをして他人の誘導で図書館内を歩いたり、逆に誘導したりしたのだが、
 ほんまに恐いわ、これは。
 自分が見えない状態も恐いが、それ以上に誘導しているときが恐い。しかしあとで聞いたところでは、誘導者が恐がると誘導される側も不安になる、過度に気遣わずスピードも普通でいい、ということだ。そうは言われても、慣れんことには難しいだろう。
(12/22)

 3日前に届いた待望の新しいコンピュータを接続。小学生のときに買ったMSXから数えて、6代目になる。
 ちょっと張り込んでいいのを買ったのだが、さすが、Internet Explolarの起動が感動的に速い。
 OSは当然ながら98なのだが、使い込まないうちは、いいんだか悪いんだか、保留。しかし、Active Desktopなんか、一体何の役に立つんだ?
(12/19)

 図書館に届いた「本の雑誌」1月号を見る。
 なんと98年度ベストワンはオースン・スコット・カード「消えた少年たち」
 発行は97年の11月なのに98年度か?…などという些細なことは、この際どうでもいい。目黒=北上氏は「消えた少年たち」が出た当初から高く評価していて、彼の一声で決まったようである。
 これでカードを読む人が増えて、出版社が邦訳をたくさん出してくれればいいのだが。
(12/15)

 午後五時すぎ、今日のカウンター勤務も後少しで終わるという頃。
 小学生の3人連れが来て私に尋ねる。
「懐中電灯ありませんか?」
なんだ、本のお尋ねじゃないのか。外で遊んでいて帽子を無くしたとのこと。もうこのごろは日も短い、こう暗くては確かに捜し物はツラいだろう。事務室から懐中電灯をもってきて、私も探すのにつき合うことにした。小学生が言うあたりを照らし、地面に這いつくばって探すのだが見つからない。いくら暗いとはいえ、帽子だぞ?風で遠くに吹き飛ばされたのだろうか?私はもう一度本人に確認してみることにした。
「もう一回聞くけど、どんな帽子やった?」
「小さいの」「カウボーイのかぶるみたいな」
3人で口々に答える。しかし、カウボーイハットとは、本人か親かしらんが変わった趣味だな…。
「この人形の」
そう言って差し出したのはレゴ人形。…馬に乗ったカウボーイ形で、確かに頭の部分がとれている。
 なんというか、急に風が冷たく感じられた。それでもしばらく3人と一緒に、地面をなで回した私はいい奴なのか、アホなのか…。
 結局、レゴの帽子は見つからずじまい。小学生たちにはもう遅いから帰って、明日明るくなってからもう一度探してみるよう提案した。私は次の日は休みだったので、最終的にどうなったか知らないが…きっと見つからんかったやろなあ…。
(11/22)

 今日はカウンター勤務。高校生ぐらいの男子が森鴎外の「舞姫」を持ってきて、こういった。
「これの訳ありませんか?」
……。えっと、英訳はないか、ということだろうか?しばらく考えてみて、わかった。「舞姫」は文語体だ。口語に書き直したのが欲しい、ということだろう。しかし、その高校生が持っているのは集英社文庫版「舞姫」だ。漢字にはカナがふってあるし、分かりにくい語の注釈もふんだんについている。これぐらい頑張って読んでほしいものだ。
 しかし、「そんなものは、ない」とは言いたくない。少なくとも彼は「舞姫」を読もうとしているのである。ここで何か出してこなければ、一生それを読むことなく終わってしまうかも知れないではないか。
 児童書コーナーを探し回ってやっと見つけたのはアニメ版「舞姫」のノヴェライズ。「小学校4年生から」と裏表紙に書いてある。…そりゃ、恋人をポイ捨てして気ぃ狂わせてしまう話だもんなあ、児童向けの翻案はあまりないだろ。
これを提供したら、バカにされたと怒るかもしれない。しかし、他には見つからなかったので恐る恐る出してみた。高校生はさすがに苦笑していたが、とくに怒りもせず集英社文庫版とアニメノヴェライズの両方を持っていった。
(11/14)

 インターネットの蔵書検索ページの調子がおかしい、と言うので確認してみる。まず確かに所蔵している本の書名を入力してヒットするか確かめねば。「女医」と入力してみた。反応がない。もう一度「女医」と入力する。…やはり、だめか。そのとき、後ろに立っていた女性の同僚が声をかけた。
「どうして『女医』ばかり入れるんですか?」
何となく警戒心のこもった態度。意訳すると「えっ、この人ひょっとしてそんなシュミ!?」というのが一番近い。
ちがう!「女医」っていうのはシドニィ・シェルダンの新刊の書名である。何となく思いついただけだ。断じて私にはフェチの気はない。ちょっと慌てて理由を話すと、彼女は納得してくれたようだった。
 …しかし、シェルダンの新刊が「看護婦」とか「女子高生」でなくて、本当によかった。
(11/12)

 今日は「図書館職員実務講習会」で目録法(中級)の講師をやることになっている。正直言って、重荷だ。…それは確かに、私の今の業務は寄贈資料の目録入力だが、NCR(日本目録規則)を厳密に適用しているわけではなく、したがってそれに通じているわけではない。しかも講習会で説明しなければならないのは普段使うコンピュータではなく、古式ゆかしいカード目録である。実は目録カードは学生時代に司書講習で習って以来、一度も書いたことがない。中級の講師をやるどころか、こっちが初級の講習を受けたいぐらいなのだ。…などと文句を言っても誰も聞いちゃくれない。いそいでNCRの復習をしつつ、講習で使う例題を作り始めたのが今月はじめのこと。ちなみに先週ページの更新をしなかったのは追い込みにかかったこれが原因である。
 で、いざ本番。前夜に前フリを考えてアンチョコを書いていたのだが、これが裏目に出た。見ないとしゃべれない。おまけにトチる。これですっかりあわててしまい、解説の前半はヘロヘロだった。聞いていて私が何を言わんとしていたのか、分かった人はすごい。私にもぜひ教えてほしい。
 解説の最後の方から例題実習あたりで何とかペースを取り戻す。このあたりは要点のメモをとった程度で、しゃべる文章を考えていなかったはずなのだが、どうもその方がうまくいくらしい。うん、ひとつ賢くなった。だが、それでも自分の知らないことを質問でつっこまれるんじゃないかと内心ビクビクものである。
 結局、長い解説をやらなくてすむ実習問題に時間の大半をかけることで、どうにかこうにか最後まで乗り切ることができた。…長い2時間半だった。『経験もつんだし、来年からは大丈夫だな!』などとコワいことをおっしゃるのは誰ですか。いえ、来年はぜひ他の方にお譲りいたします。
(10/20)

 台風が東海地方を直撃。午後3時頃、停電のため図書館のコンピュータシステムがダウンする。帰り損ねていたSEさんがいてくれて、本当に助かった。夕方から風雨はおさまったがJRは東海道線も中央線も止まってしまい、私はおうちに帰れない。他の日だったら観念して図書館に泊まるのだが、幸か不幸か、明日は休み。意地でも帰りたいところだ。いつ電車が動き出すか知りたいのだが、電話はずっと話し中、テレビでは北陸の洪水報道ばかりで交通情報を流してくれない。そして頼みの綱のインターネットは知りたい情報までいっこうにたどり着くことができない。ええい、こんなことで「インターネットの時代」など、片腹痛いわ!普段のハマりようをはるか遠くの棚に上げ、自分勝手に苛つく私であった。
 9時少し前、東海道線が動き出したらしいという未確認情報を頼りに、家が同方向の同僚と、ついに閉館時間まで帰りそびれてしまった薄幸のSEさんの3人で岐阜駅へ。…動いてないじゃないか。駅員が殺気だったサラリーマンズに囲まれつるし上げを食らっている。駅員に文句を言っても仕方がないのだが。30分ほど粘ってみたのだが、一向動く気配なし。諦めて普段は使わない名鉄電車に乗り、10時半頃名古屋着。SEさんは桑名まで帰るそうだ。お疲れさま、そしてありがとう。
 だが困ったことに、多治見まで帰ろうにもJR中央線が動いていない。やむなく地下鉄で一番近いところまで行き、そこからタクシーを使う。…多治見まで9000円だぞ、9000円。連れと割り勘にできたのは大不幸中のささやかな幸いである。結局なつかしの我が家にたどり着いたのは、すでに次の日0時半。行程4時間弱の遠き道のりだった。ちなみに同僚は、家までさらに車で半時間ほどかかり、しかも明日(いや、もう今日か)は勤務日。体保つだろうか。
(9/22)

 出張旅行最終日。午前中に福岡市総合図書館を見学。開館して間もない最新の図書館である。開館時間の少し前に到着したのだが、すでに長蛇の列。学生が多いがそれだけでもないようだ。中にはいるとそんな大人数でもまったく窮屈に感じない程の広さ。さすが、政令指定都市の中央館となると違うな。当然、蔵書も豊富である。とくに、国連資料委託図書館を兼ねているせいもあってか洋書が充実している。配列は、まず国別に分類し、その中を主題別に分ける方式のようだ。
 2時間ほど見学した後、すぐ近くに立っている福岡タワーにのぼってみる。え、ケムリとバカは高くに上る…?ほっといてもらおう。しかし天候が悪く、それほど眺めは良くなかった。  時間的にはまだ少々余裕はあったが、結構疲れていたので昼食の後(博多にもまずいラーメンのあることがよく分かった)、帰途につく(今度は<のぞみ>の指定席に乗ることができた)。
(9/19)

 出張3日目。午前中は昨日の講演、事例発表についての質疑応答。基調講演と現実問題についてのギャップは私ならずともみな感じたようで、その点についての質問が多かった。それに対する先生の答えは「分かっているがやってられない、という状況なのはわかる。しかし一歩先を見なければ、いつまでたっても進歩しない」というもの。確かに、その通りではある。
 私は下諏訪の発表者に、相互貸借の物流や配送の手続きについて一つ質問。いくらオンライン目録で情報を見ることができても現物が送れなくては意味がない。それに、やりとりする本の梱包や配送作業は結構ばかにならない手間なのである。下諏訪地区では、総合目録に加わっている各図書館ごとに配送用の箱を設けてあり、そこに本を放り込んでおくだけで運送業者が配送してくれるシステムができているとのこと。これはうらやましい。しかし数市町村間を対象とする下諏訪ならともかく、ウチのように県下全域をカバーしなければならないとなると、予算的にも量的にも同様の方式は無理だろう。貸借の量が多い図書館に限定したり、ブロックに分けて中心館のみの配送にすれば、あるいは…。いや、それでも岐阜と高山、東濃との距離を考えると難しいか。
 質疑応答の後、日本図書館協会の偉いさんから情勢報告があって、やっと日程終了。台風の動向を気にしながらの解散となった。明日が勤務日の係長は別府で少しだけでも温泉に入りたいとのこと。大分駅で分かれた。私は土曜の勤務を交代してもらってもう1日余裕があるので、福岡まで足をのばすことにする。
 例のド派手な特急(<ソニック>という名らしい)でおよそ2時間、3時頃に博多到着。駅前の安ホテルに寝場所をキープした後、九大方面に向かう。大学前の古本屋なら多少品揃えもいいだろう、と思ったのだが……期待に反してショボく、収穫ゼロ。途中、筥崎宮というかなり大きい神社で祭りをやっていたので、出店を冷やかす。そこでやっていた古本の即売会に意外とモノが揃っていた。1冊購入。もう2、3気になる本もあったのだが、持って帰るカバンの重さを考えて諦めた。
 近くには福岡県立図書館もあり、そこも少し見学。大分に比べればかなり手狭である。大学の近くということもあって研究者向けの蔵書構成、配置である。すごいと思ったのは逐次刊行物の目次ページをすべて(少なくとも大半)コピーしてファイルしてあることだ。調査には重宝するだろう。また、図書館関係の資料は別室にまとめられている。他県の図書館がだした案内や広報誌もそこで閲覧可能。当然ながら、岐阜県図書館のもあった。

 博多まで戻り、駅前で夕食。自腹を切るとなると急にメニューが寒くなる。
(9/18)


 起きたら7時前。心づもりより30分ほど寝過ごした。列車5時間というのが多少影響しているのだろうか。9時半、係長と大分県立図書館へ。歩いて10分ほどの所にある…はずなのだがどうも様子が違う。聞いて見ると図書館は3年前に移転したとのこと。大失態である。前日に確認しておかなかったのがまずかった。自分一人なら道を間違ったり迷ったりするのはいつものこと、さほど気にもしないが、今回は他人を巻き込んでしまった。腹立たしさについ舌打ちを3つほども重ねてしまう。結局タクシーを拾って行くことになった。
 広い。大分県立図書館を見た第一印象である。入り口を入ってすぐ左手に雑誌・新聞コーナーがあるのだが、割かれているスペース、資料の種数ともにウチの図書館よりはるかに多い。貸出をしていない分、ウチより管理は楽だろうが、それにしても大した量である。開架の雑誌、新聞については所蔵リストが作成され、閲覧できる。そんなもん当然――と思うかも知れないがウチには利用者が自由に閲覧できる形にはなっていないのである。担当者として恥ずかしい限りだ(私は逐次刊行物係で去年雑誌を担当)。リストにのっていた新聞の保存年限は、同じものを決める際、いい参考になるだろう。
 続いて一般書。開架冊数は24万冊、これもウチよりかなり多い。ウチで書庫にしまいっぱなしの全集や資料でも開架に出しておける。調査、研究には使いやすいだろう。排架の乱れについては、やはり乱れやすいところで乱れているものの、ボランティアやアルバイトを使っていないことを考えればいい状態を保てている方だと思った。
 AVコーナーはかなりこぢんまりしたもので、資料もクラシック及び純邦楽のCD、美術関連のLDが大半のようである。また検索用の端末はタッチパネル式が6台、キーボードが2台用意されていた。タッチパネルの使い勝手はどこの図書館も似たようなものだが、キーボード式のものはやや使いづらい。
 最後に児童室。書架の配置が変わっていて本を探しにくいように感じる。蔵書数は非常に多いというほどでもない。ただ、やはり雑誌類は充実していた。
 総じてウチの図書館より質はいい。優れた図書館を見て「こちらも頑張らねば!」と奮起するべきなのだが今の職場の状態を考えて、さてどれほどのことができるかと考えると消沈してしまう方が大きい。なによりウチとさして変わらぬ利用者数、貸出冊数をウチより少ない職員数でさばいているはずなのに、ウチのようなドタバタした雰囲気が見られないのはなぜだろうか?
 まず開架資料の充実、雑誌・新聞の豊富さとケアの細かさという点で差が大きい。地味だが図書館として基本的な業務の蓄積においてウチの県図書館は劣る。人の目を引く行事や人気映画をはじめとするAV資料など、派手な面では確かに充実している。しかしそれは図書館としてはあくまでオプション、「あった方がいいもの」以上のものではない。
 それともう一つ、これは言うべきでないかも知れないが利用者の差もあるんじゃないだろうか。少なくともこちらには場所もわきまえず大声でしゃべり散らす奥様方や泣き叫ぶお子様たちは見あたらなかった。べつに大分の方が高尚な雰囲気で近寄りにくい、というわけではない。さっきも言ったが利用者数に大差はないのである。「図書館の親しみやすさ」とはどういうことなのか、考えなくてはならないだろう。少なくとも、児童公園のそれとは異なるはずだ。

 さて、気を取り直して午後からは「全国公共図書館整理部門研究集会」に出席。もともと大分出張はこれが目的である。テーマは「総合目録」。県レベルでの総合目録はウチでも検討をはじめたばかりだ。
 基調講演は三重大学の教授。神戸大学史学部卒というから私の大先輩に当たるわけだ(関係ないが)。演題は「書誌コントロール」について。民間のMARCに依存しすぎるな、目録は書く図書館のユニーク性を出せるまで細密に記述するべきだ、とのこと。率直に感想を言うと「御説ごもっとも、けどそれができりゃあ苦労はしない」。総合目録が「金太郎アメ」のようなどこをとっても同じようなものになってはならない、金太郎アメをベースにそれぞれが独自のコーティングをしていくべきだというが、今現在どこを切っても同じ顔というちゃんとした金太郎アメ自体が作れていないのである。――まあ、一歩先を見据えた論だった、とは言える。
 次に事例報告。国立国会図書館パイロット電子図書館の総合目録プロジェクトと山梨県の県内総合目録、長野県下諏訪地区の市町村間の総合目録ネットの3例。それぞれ沿革や現況、図書館活動への諸影響などが報告された。国会の総合目録は「パイロット」の名で、今や県図書館の相互貸借に不可欠なものとなっているし、山梨の県内総合目録もすでに何回か視察の報告書などを見せてもらっている。そういうわけで1団体あたり45分という短い時間ではそう新味のあることは聞けなかった。情報のまとめと確認という程度。下諏訪のは市町村間ということで、背景や規模の上で今ひとつ参考にしにくいし。
(9/17)


今日から大分へ出張。用件の全国図書館大会は明日からだが,休みだしせっかく九州まで行けるのだからと今日朝に出発する。
 しかし名古屋でいきなり足止めを食らう。昨日の台風で新幹線が2時間ほど遅れていた。…どうしてくれるんだ、<のぞみ>の指定席。仕方なしに<ひかり>の自由席に便乗。新大阪まで立ち乗りだった。
 2時前に小倉着。5分後発の特急にギリギリ間にあった。乗ってから気がついたのだが、また何というハデな電車だ。内側の壁はシルバーグリーンで扉が赤。座席とデッキのしきりはガラス張りで、どっかのテーマパークの宣伝オブジェまで飾られている。南国気分、というやつか?いや、これをさして南国というのは九州人に失礼かも知れない。
 3時過ぎ、大分着。ホテルに荷物を置いて市内散策兼、古書店巡り。遠出の時は「全国古本屋マップ」は必須アイテムである。
 ホテルの近くに大分市民図書館があったので軽く見学。市立図書館としてはやや広い方か。建物が新しい割に書架やテーブルなどは年季が入っている。書架は台に乗らなければ一番上の段の本を取れないほど高く、今風ではない。面白かったのはオンライン検索で本のありかを図で示してくれる機能と、階段状にしつらえた閲覧スペース。公園などの階段に腰掛ける感覚で気楽に利用できる。読み聞かせや紙芝居の場所としても使えるようだ。
 何回か地図を読み返し、同じ所を行き来して古本屋へ。4軒紹介されている中の2軒を覗く。小さいものである。古書と郷土関係をお義理程度にながめてから一般書スペースをチェックする。巽孝之編「この不思議な地球で」が1500円。まだ新刊でも手にはいるはずだが名古屋の書店には置いていないので取りあえず買っておく。あとはコニー・ウィリス「リンカーンの夢」パット・マーフィ「落ちゆく女」。どちらも90年代に入ってからの刊行だが品切れのSF。このところあれこれ買い込んでしまっているのでいつ読めるかも分からないが、読みたいと思って即手に入れられるものではない。「いつまでもあると思うな金と本」である。
 その後府内城やら駅前の大友宗麟像やら「本当に行って来たんだぞ」証拠写真を何枚か撮って7時前にホテルに戻る。明日以降同行の係長と合流、有り難くも夕食をご馳走になる。このあたりは海産物が旨い。
(9/16)

 予約本の連絡が滞っているので手伝って電話をかけまくる。そのときの一幕。
「もしもし岐阜県図書館です。お世話になっています。渡辺さん(プライバシー保護のため仮名。どうせ実名も覚えてないが)のお宅でしょうか?」
「はいー?」(バアさんの声だ)
わあたあなあべえさんのお宅ですか?」
「いーえー、こちらは渡辺ですけどもぉ」
………。とんでもねえ、わたしゃ神様だよってか?
(9/5)

 図書整理のための休館日。まる一日かけて書架整理。つくづく思うのが「エントロピーは増大する」…って去年もここに同じことを書いたな。
(9/1)

 森田草平展の片づけのため休日出勤。ついでに鶴舞と岐阜の古本屋を覗く。私の感覚では古本屋の方がメインで仕事はついでなのだが。もっとも今日は収穫ゼロ。なんか行く度に18禁コーナーが増えているように見えるのは気のせいか。
(8/30)

 夏休み最後の土曜日、今日明日あたり来るお客さんは「ガケっぷち」ないし「最後のアガき」といったところか。いまさら「課題図書はないですか?」って言われましても…。あ、「ジャン・クリストフ」ならありますよ、全5巻ですが。
(8/29)

 森田草平展の番。思ったよりは人が来る。たまには小中学生も見に来る(…というよりは迷い込む、と言った方が正しいか)。だが彼らのお言葉は「なあ、モリタクサヘーって誰?」。クサヘーとはまたかぐわしい読み方だな。ソーヘーだソーヘー。郷土に冠たる文学者といっても一般の認識たるやこの程度である。
(8/19)

 友帰る。お互い忙しい身だ。帰りがけに書店でクルート「SF大百科事典」を購入。6,500円はイタいが、ゲーム一つ買ったと思えば安い方か。取りあえずカードの項を確認。まず、文句のない内容だった。「…魔術的なまでのテクニック」との評、さもあらん。
(8/15)

 大阪から友人来訪。中学時代からの親友で、SFに関しては私の伝道の犠牲者第1号。今は福祉施設に勤めている。
 日中は名古屋を放浪し、夜は多治見駅前の飲み屋で再会を祝す。SFやら大河ドラマのキャストやら、話題は愚にもつかないことが主。ま、楽しいからいいが。
 このところSTやSWのグッズに凝っている彼の土産はエンタープライズD号レリーフ入りCDケース、ヴァルカン式挨拶の手形バッジ、そしてスポック副長のどアップ写真がプリントされたネクタイ。ぜひ仕事につけて行けということだが、これでカウンターに出た日には周りが退くこと請け合いだ。けど、カウンターの混雑から逃れられていいかもしれない。
(8/13)

 晩遅くまで、明日から始まる森田草平展の準備。陳列品並べて、パネルをかけて、後は目録の印刷だけ!…しかしボロ輪転機がうまく動かない。直接担当の人につきあって紙と時間を費やす。私は明日から休みをとるからいいが、他の人はご苦労様である。
(8/12)

 今日1日はヒロシマが世界の主役。ふと思いついたのだが、8月6日を「原爆が落ちた日」とか「原爆を落とされた日」とか言うことは多いが、「アメリカが原爆を落とした日」と言うことはほとんどない。まあ、わざわざ平地に波を立てるようなことは言わない方がいいだろうし、戦争当事者の一方だけをあげつらって道義的にどうこういうのも片手落ちである。しかし、たまにはこうでも言ってやった方が、唯一核兵器を実戦投入した国にとっても良いことなんじゃないかと思ったりもする。
(8/6)
 下の話をカウンターの人に話したら、「大学生でも母親に研究用の資料を探させていることがあるよ」とのこと。…あまり決まり切ったことを言いたくはないが、世も末だ。そんな奴は大学生やめてしまえ。
(8/4)
 引き続き夏休みモード…というか、これからが本番である。あと1ヶ月あまりもこの状態かと思うと、カウンター担当係には本当に頭が下がる思いである。
 相変わらず、工作・自由研究の質問が多い。たいていは子供より親の方が必死である。私も小学校時代の工作は親にほとんど任せきりだったので、えらそうなことを言えたものではない。しかしこのごろは、中学生の自由研究でも親が手伝ってくれるんだなあ…。私たち司書とのやりとりを親に任せ、ボーッと突っ立っているだけの中学生を見ると、多少イライラしてしまう。せめて親の差し出口を煩わしく思うような態度ぐらい、とってみせてはくれないものだろうか。こんなとき私は親がした質問でも子供の方を見て答えるようにしている。こちらから確認したいことがあるときは子供に向かってする(それでも親が答えることが多いのだが…)。接客という観点からすれば失礼かも知れない。イヤなおっさんだなあ、と自分でも思う。しかし自分が全面的には間違っていないとも、思うである。
(7/25)

 先週あたりから図書館は夏休みモードに入っている。読書感想文の課題図書はとっくに出払っている。今年の課題はもちろん、毎年よく用いられるヘッセ「車輪の下」や三浦綾子「塩狩峠」なども全集すら貸し出し中。もっとも「ジャン・クリストフ」は売れ残り。これだって読書感想文課題のレギュラーメンバーなのだが、請求されたことがない。長いからなあ、あれ……。
 自由研究のネタ本もすべて貸し出してしまった(自由研究もので人気があるのはアリやカブトムシなど昆虫関係、あとカビやサビの研究といった手のかからないもの)。この事態を予想し前もっていくつかを禁帯出扱いにしておいたので、利用者にはそれをコピーしてもらっている。
 訪れる利用者はふだんのおよそ1.5倍、ガキども…じゃなかったお子様方が主体のため喧噪はふだんの3倍以上。正直言って県立図書館にあるまじきうるささである。図書館では私語を慎めなどという時代錯誤なことを言うつもりはないが、もう少し他人への配慮というものがあってもいいんではないか。子供というのは騒がしいものなのだから多少は我慢するとしても、それを親が黙って見ているだけというのには腹が立つ。
(7/19)

 図書館の展示会で使うため、森田草平(岐阜県出身の作家・夏目漱石の門弟)や各務支考(美濃出身の俳人・松尾芭蕉の高弟)のことを調べる機会があったのだが、ここではじめて高い金を出して買った平凡社のCD−ROM百科事典を有効利用できた。ボタン一発で関連事項を表示できるというのは冊子体の事典にはない便利さである。
(7/15)

 数日前からの下痢と頭痛に悩まされ、とうとう欠勤。部屋で寝ていたのだが、あまりの暑さにかえって気分が悪くなってしまった。もう、凶悪と言っていいほどの暑さである。以前、近所のオバサンが「今日はドカッと暑い」という表現をしていたが、確かにひどい暑さというのは太陽がのしかかってくるような感覚がある。
(7/3)

nabesan@blk.mmtr.or.jp
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