SF名文句・迷文句第3集

意外と早かった第3集。ペースがあがってきました。

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「ソル3、アメリカ、マサチューセッツ州、スミスポート、ルーラル・ルート四番地在住、ミス・アビゲイル・ハスケルのミルク代請求書の金額二十三ドル十七セントをゼロに。そして同じ請求書にあった文字゛お願いします"を゛支払い済み"に」

 出典:ロバート・F・ヤング「ピネロピへの贈り物」(伊藤典夫訳)「ジョナサンと宇宙クジラ」収録

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
この話を読んで最初に思ったのが岡崎二郎氏のアフターっていう漫画に似てるなってことで、「ああどこの国の人でもこういう話が好きなんだ」と感じたものです。やっぱりやさしさとか思いやりってのは万国共通なんですね。(あたりまえ)
三つ続けてヤングの作品から持ってきました。「ピーナッツバター作戦」は市の図書館で借りて読んでます。でもあんまり面白いんで期限が切れたのにまだ返していません。…うーん、司書の方にこんな事を言ったらきっと怒られてしまうので明日返しにいくことにしましたm(_ _)m
書店で入手不可な本でも借りられる図書館って偉大ですね。

駄弁者:
 作文大会で入賞した異星人の少年。賞品として「時間改変」を与えられた彼が希望したものは、地球で出会った一匹の猫のミルク代を支払ってあげることでした…。微笑ましい小品です。

 …上のように言ってもらえると、司書としては冥利に尽きるというものです。でも、延滞は止めましょうね。



「もうだいじょうぶ、わたしが来たんだから」

 出典:ロバート・F・ヤング「ジャングル・ドクター」(伊藤典夫訳)「ジョナサンと宇宙クジラ」収録

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
誰に対して救いを求めていいのかすらわからない時、「だいじょうぶ・・・」と誰かにいってもらえるだけでとても気が楽になれて、その一言をいってくれる人に出会えたら幸せなんでしょうね。

駄弁者:
 「ジャングル・ドクター」は、手違いでとある原始惑星にたどり着いた異星人の若き医師が、その星でシュバイツァーたることを決意する物語。異星人医師の葛藤が印象的な短編です。
 作品を読んでちょっと思い出したんですが、シュバイツァーはその人格と業績が讃えられる一方で、ついに患者だったアフリカ人を対等の存在として見ることがなかった、という批判も受けてるんですね…。万人を納得させることは、できないものです。



「技術尼にもちゃんとした名前はあるのです」

 出典:ロバート・F・ヤング「神の御子」(大宮守夫訳)「ピーナッツバター作戦」収録

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
男女が互いの名前を教え合うっていうのは、好意を伝え合うもっとも雄弁な手段の一つのような気がします。
…そういえば「星界の紋章」でもにたようなのがあったナ・・・

駄弁者:
 はい、ありました。下のもそうですね。
 名前を呼び合うことで親密さを示すというのは、古今東西を問わないようです。もっとも欧米では、これについては気軽に実践する分、意味も軽くなっているんじゃないかと思いますが。



「ならば・・・」
ラフィールは胸を反らせた。黝[あおぐろ]い髪がはらりと波うち、接続纓[キセーグ]の先端の機能水晶[コス・キセーガル]が風変わりな耳飾りのようにゆれる。
「ラフィールと呼ぶがよい!」

 出典:森岡浩之「星界の紋章V」

紹介 :遠藤サトチ(千里) 様
HP :
http://www2u.biglobe.ne.jp/~endo-c/

コメント:
はじめまして。私も司書のはしくれで、遠藤と申します。
これってもう誰かが出してるだろう・・と思ったんですが、1〜3集まで見ても、誰も出してなかったんで・・・。
244p、ディアーホに向かってつぶやくジントのモノローグも、ものすごく好きなんで、どちらにしようか迷ったのですが、やっぱりインパクトではこちらだろうと(笑)。
ほかにも、「空飛ぶ迷惑は天翔ける迷惑に・・」とかトライフ提督、スポール大公爵のセリフまわしなんかも、ナイスなものがあります。
ところで、アーヴ語ルビの乱舞は、私は全然気にならないほうです。(むしろ、異世界な雰囲気がでていて良いです。)

駄弁者:
 いつかはくるだろうと思ってた「星界の紋章」より。キャラの掛け合いが軽妙で、「名」も「迷」も傑作ぞろいの作品です。もし投稿がなかったら来年にアニメ化記念として自分の気に入りを載せるつもりだったんですが。
 この作品の特徴は、メカや軍隊の階級など固有名詞の大部分に作品世界であるアーヴの言語をあてていること。ただ、その名詞が登場するたびにカタカナのルビがついてくるのが、人によっては煩く感じられるようです。実は、私もそのひとりで、漢字+ルビは初出の一回だけにして、あとはどちらか一方にすればいいのに、と読みながら思っていました。しかしこのアーヴ語、ただ語感で適当に決めているのではなく、かなり系統立てた設定があるようです。「アーヴ語の成立と変遷」という題でハード言語学SFなど、面白いかもしれません。
 最後に失礼して、ちょっと私信を。Iさん、先越されてしまいましたよ。残念でした。



「わたくし、思います。廃棄処分にされるのも、なかなかの快感であるに違いありませんわ」

 出典:森 奈津子「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」(「SFバカ本 たわし篇プラス」所収)

紹介 :踊るらいぶらりあん 様
HP :
http://www02.u-page.so-net.ne.jp/pb3/muji-san/

コメント:
 アホあほ揃いの「SFバカ本 たわし篇プラス」でも、もっともアホあほパワーが強く、従って気に入ってしまった作品がこれです。
 人間嫌いの主人公が相続した、兄の財産であるところのメイド型アンドロイドが、実はバイでマゾなセクサロイドであった、という設定にまず爆笑してしまいました。テンポもオチも秀逸で、このアンソロジー中イチオシのバカ話です。なにより「純真なセクサロイドに変態を刷り込ませるとどうなるか」という教訓が…ないか。
 全編を通じて会話の面白さは絶妙なのですが、取りあげた台詞は、作中で唯一しんみりするやりとりです。作中のどの会話を持ってきても「迷台詞」になる自信はあったのですけれども、あんまり他人のサイトの品格を落としちゃよろしくないかな、と思って。

駄弁者:
 久々のご投稿、ありがとうございます。
 まあ、別に格調高いページを目指しているわけじゃないから、いいんですけどね。確かにしつこい下ネタは好きじゃありませんが。しかしご投稿のセリフだけ見ると何だかメロウな雰囲気です。
 女性型アンドロイドものと言えば、エイミー・トムスン「ヴァーチャル・ガール」が野郎ども中心に人気がありますね、もっとも私はまだ読んでませんが。女性型のアンドロイドとかメイドロボは純真なものと相場が決まっているのは、男のエゴ、ないしは妄想ってやつなんでしょうか。投稿の作品はそんな傾向に対するひとつのアンチテーゼ?
 …そこまでしかめつらしく考えることもないか。「バカボン」なんだし。



「テラ的とは、公平、廉直という意味のスラングなんです…(中略)…われわれのゲームを楽しみ、テラの名を使っているのです。どこの海でも母魚が子に話を聞かせているというのに、どうしてテラが死ぬでしょうか」

 出典:J・ティプトリー・ジュニア「われらなりに、テラよ、奉じるはきみだけ」(伊藤典夫訳) 「故郷から10000光年」に収録

紹介 :鈴 様
HP :

コメント:
 再びお邪魔します。
 ・・・みなしご種族あまたある中で、彼の種族が生きる糧にしたものは。…子供たちが二度とそこから再びめざめ、死ぬことがないようにとの悲願をこめた、輝かしい、破天荒な夢なのだ。
今になって、50年代風スラップスティックとセンスオブワンダーのスタイルを踏襲した馬鹿話で、これほど感動できるとはね。評判のよかった「故郷から10000光年」の中の傑作です。この破天荒なレースワールドが発想といい、ドタバタといい、盛り上げかたといいすごい。ティプトリーは、「ヒューストン…」などでぶっとんだ口ですが、この人も名手でしたよね。

駄弁者:
 ちょっと解説。銀河系中で人気のエンターテイメント、「レース・ワールド」。あらゆる星から来た種々雑多な異種族がひとつのレースを戦い、あらゆる星からのギャンブラーがそれに賭ける。ゆえにルールを厳密に取り決め、厳格に遵守させることが不可欠だった。それを発案しゲームを取り仕切るのは、今は母星を失った地球人たち。かれらは故郷の名、故郷の理想を銀河すべてに知らしめ、記憶にとどめるため、日々ゲームの公平な運営に努めるのだった…。
 ティプトリーの作品は私にとっては当たり外れが大きいのですが、この「われわれなりに〜」は当たりに入ります。私も読んでいてこのセリフにたどり着いたとき、しばし手をとめ、ひたってしまったものです。基本はスラップスティックながら、要所で泣かせるあたりが「短編の名手」と呼ばれるゆえん。



「アメリカ人は世界中いたるところで、気違いだと思われている。彼らはたいてい、この非難の論拠をみとめるが、この伝染病の中心はカリフォルニアであると指摘するであろう。カリフォルニアの人ヽは・・・ロサンジェルスの・・・ハリウッドの人間は・・・ローレル・キャニオン・・・」

 出典:R・A・ハインライン「歪んだ家」(吉田誠一訳)「世界SF全集 」32巻に収録,講談社文庫にも収録?,「第四次元の小説」にも収録(三浦朱門訳)

紹介 :鈴 様
HP :

コメント:
 日本語入力フォントインストール記念だ!ということで、乱入させていただきます。この4次元空間に家を建てちゃうという短篇は、もっとも多くのSF名作アンソロジーに収録された、ハインラインの作品じゃないでしょうか。私は、過去三回見ましたが、もっとありそう。22年前に、数学小説アンソロジーと銘打った本で初めて読みました。最近復刊されたと聞きました(書誌情報はちょっと手元になし)。でも他にもあるでしょう。私はいつも、ハインラインは、短篇が傑作だと思うんですが、だれか新潮社文庫版の「地球の緑の丘」のリースリングの歌の最後の句を入れてくれないでしょうかねえ。好きなSFのセリフたくさんあるんですが、本をみんな処分しちゃったので。

駄弁者:
 岐阜県図書館の蔵書検索で検索したところ、この「歪んだ家」が収録されているアンソロジー「第四次元の小説」は1959年に荒地出版から出ています。多分これが初出じゃないでしょうか?ちなみに復刊は1994年、小学館から。
 投稿の名文句、アメリカ以外でも当てはまりますよね。例えば「大阪弁はガラが悪い」と言われたら多分「ガラが悪いのは大阪弁全部じゃなくて河内とか和泉のほうだ」という答えがかえってきますよ。で、河内・和泉に行ったら「実は奈良弁の方が悪い」なんて……。
 ところで、名文句リクエストの「地球の緑の丘」、ハヤカワ文庫なら持っているんですが、残念ながら残念ながら新潮のはなし。それに私自身は「地球の緑の丘」にあまり思い入れないんです、すいません。ということで、皆さんのご投稿、お待ちしております。



「あたし・・・あたしがグレース・ホートンなんです!」

 出典:デイヴィッド・ブリン「ポストマン」(大西憲訳)

紹介 :guntech 様
HP :

コメント:
わかりにくいですよね、これだけじゃ。「ポストマン」第一部、終盤のグレース・ホートンさんのせりふです。彼女は全く重要な役ではなくてこのせりふを言うためだけの登場人物ですけれど。
 崩壊した世界、不信と疑念のうずまく生きにくい世界。主人公は偶然見つけた郵便鞄を持ち歩いたために配達員と間違われて・・・というおはなしの「ポストマン」。主人公はとまどいながらも本当に郵便配達員として生きることにして、最初に訪れた街。もちろんこの崩壊した世界で郵便配達員というのは戯言に過ぎず、当然のこと主人公は疑われ敵意を露にされます。そこで主人公、手紙を取りだして彼女の名を呼ぶわけです。街にホートンという名のものはいないのですが、それは彼女の旧姓だったわけで、この台詞を叫ぶわけです。
そして街は大騒ぎ。回復する信頼と団結心。
コスナーの映画は全く見る気がしなかったので見なかったんですが、どうだったんでしょう?

駄弁者:
 このあいだケヴィン・コスナー監督・主演で映画化された「ポストマン」、その原作より。映画は私も見てません。気が向いたら行こうと思っているうちに終わっていました。聞いた話では映画化されたのは話の前半をアレンジしたものだと言うことですが…
 原作を読んだのは最近なんですが、なりゆきで英雄にまつりあげられてしまった主人公ゴードンのとまどいと苦悩が印象的。投稿の名文句はその「なりゆき」、新しきアメリカ建国伝説の始まりを告げるひとこえでした。しかし、郵便配達員が英雄扱いされるなんて、西部開拓の歴史を持つアメリカならではのことですね。



「番号なんかで呼ぶな!私は自由な人間だ!」

 出典:BBC「プリズナーNo.6」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 言わずとしれた、イギリスのTVドラマ「プリズナーNo.6」のオープニングで毎回繰り返えされたセリフ。
 ご存じ無い方の為に解説しますと、主人公はイギリスの諜報員だったのだが仕事に嫌気がさして上司に辞表を提出、その足で南の縞にバカンスに行こうとしたところ何者かに誘拐され、気が付くと地球上の何処とも知れぬ「村」だった。
 彼はここでは「No.6」とのみ呼ばれる、ここには個人名は勿論、一切の固有名詞が無いのだ。そして村人のだれもここが何処で自分が何者かを知らない、或るいは語らない。村から出ようとすると謎の球体に捕まる。そして繰り返される洗脳と欺瞞。ここは収容所だ!だが看守は誰なのか?「No.6」は脱出を試み続ける、自由を求めて。しかし「自由」とは何なのか?
 昔、小学生のころ深夜番組で聞いたこのセリフにショックを受けて以来、ちゃんと見る機会を探していたのですが、一昨年ケーブルーTVで通しで見る事が出来ました。いやー良かった。特に最終回はもう爆笑。よく視聴者が許したよなあ。また「村」が実在の村だと云うのも驚きでした。この番組について詳しいホームページのアドレスを付けます。(反則かも知れません、扱いについては管理人様にお任せします。)
http://www.bekkoame.or.jp/~taka_no6/prison/prison.html
http://www-hit.dj.kit.ac.jp/~murata/prisoner/prisoner.html

駄弁者:
 「プリズナーNo.6」、題名だけは知ってたんですが、それ以外は全然。ご投稿が来てからクルートの大百科事典で記事を確認しました。本国イギリスでの放映は1967年とのこと。「スタートレック」と同世代ですね。
 ご紹介のページ、上の方はどっかでみたことあると思ったら、以前ここに投稿していただいたこともある”ゆうき”さんの「電脳独房」でした。興味のある方は行ってみて下さい。それにしても、なんかシュールなドラマだったようですね…。



HAL「私は何処に行くのです?」
ディブ「僕の居る処さ」
HAL「そこには何があるのですか?」
ディブ「サムシング・ワンダフル」
HAL「怖い」

 出典:アーサー・C・クラーク原作,ピーター・ハイアムズ監督・脚本「2010年」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 映画「2010年宇宙の旅」で、太陽化する木星に一人取り残されたHAL9000に、今や天使的存在となったディブがコンタクトして、HALを彼岸へと誘うシーン。
 未知の世界を恐れるHALには「魂」があると言って差し支え無いでしょう。
 たぶん、これでHALファンになった人も多いのでは無いかな。私もそうですし。

駄弁者:
 ハインライン、アシモフときたら、あとはこの人、クラークが出ないと嘘でしょう。知らぬ人とてない「2001年宇宙の旅」の、知る人ぞ知る続編「2010年」から。
 ただ、クラークの原作をざっと読み返してみたんですが、残念ながらこのセリフは見あたりませんでした。HALのキャラクターには合ってると思うんですけどね。デイヴ・ボーマンの「サムシング・ワンダフル」もカッコいいです。
 映画は見てませんが、小説の方の「2010年宇宙の旅」で私が一番好きなのは、木星やその衛星エウロパに住む生命群の描写。クラークの小説は絵にすると素晴らしいシーンが多いと思います。映像向きですね。
 ちなみにこのシリーズはさらなる続編「2061年宇宙の旅」と「3001年終局への旅」がでています。「3001年」はまだ読んでないんですが、読んだ方、どうでしたか?



[ねえ・・・・・・、連れてって・・・・・・ワタナベの生まれた星へ・・・・・・」
「妙子殿はここに残るでござるよ・・・・・・この故郷(ほし)で成長し、明日(みらい)を築くでござる。 その中でときめきに気付くはず・・・・・・ドキドキやワクワクは・・・・・・きっとそばにあるから」

 出典:窪之内英策「ワタナベ」

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
 SFのすごいところって、宇宙人や未来人の口を借りて相当にクサイ台詞をサラッと言っちゃえるとこでもありますよね。

 なんか漫画からの出典が少ないんで二本連続で投稿しちゃいました(^^)
 小説も読むんですけど漫画もねっ、ってことです。

駄弁者:
 同感です。地球人もセリフのクサさでは負けてないと思いますけど。クサさというのは、言った人・状況と言われた言葉とののギャップから出てくるもんですが、SFというのはセリフに負けないほどの舞台とキャラを用意するには格好のジャンルなんですね。
 ここんとこ文章作品の投稿が続いているのでそれ以外のが欲しいなあ、と思っていたところ。EFFさん、まさにタイムリーでした。
 けど「ワタナベ」もよんだことないなあ…たしかどっかの青年誌で連載されてましたよね?記憶が正しければテレビドラマ化もしてたような。



「さっきも言ったろう宇宙には信じられないような偶然が存在するんだ」

 出典:とり・みき「砂浜のメリークリスマス」(「山の音」収録)

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
 老人が仲のよい少年とその少年のガールフレンドに昔話をしてやる時に言うセリフなんですが、この中の「宇宙」って単語を見るたびに「うーん、やっぱり宇宙だよなー、SFっていいなー」とか勝手に興奮しています(^^)

駄弁者:
 「SF大将」でおなじみ、とり・みきの漫画から。「宇宙」って言葉は私も好きですね。英語の「space」とか「cosmos」よりずっと広く、深い概念なんだと私は思っています。
 ところで「SF大将」の単行本、買いました?私はとりあえず立ち読みで済ませてしまいましたが。元ネタ知っていてもときどき深すぎて意味不明なのがあるからなあ…。けど最終回の話は好きです。題材はたしかカード「ソングマスター」ですが、それとは関係なしに。



「きみに話すことが山ほどある」
「そのほとんどは、ある国を救うまでは好ましからざる異邦人だった一人の小さな女の物語だ。やがて一種の国際的な市民委員会が結成されて、彼女に生まれてはじめての身分証明書と夫を世話してやることになった。すばらしい物語だよ。とても芸術的で・・・・・・」

 出典:シオドア・スタージョン「夢見る宝石」(永井淳訳)

紹介 :EFF 様
HP :

コメント:
 ヒロインが最後の最後まで自分の気持ちを主人公に言えずにいて(その理由がまた感動的なのだが)、主人公のほうもどこかお姉さん的なヒロインに対して自分の気持ちをはっきりと出せずにいた・・・。
 一度死んでしまって、再び生き返ったヒロインに対して主人公が言うのが上のセリフなんですけど、これってかなり文学的だけれどプロポーズのセリフになっていて(作品中の言葉づかいとかを読んでいればわかるはず)この作品の最後をとっても感動的なものにしてくれてると思うんですが?
 皆さんはどう思いました?

駄弁者:
 「人間以上」と並ぶスタージョンの代表的長編、「夢見る宝石」から。駄弁者は残念ながら未読です。まだ品切れになってませんから読める機会はありますね。
 プロポーズというのは名文句で決めてみたいもの。しかし長々とした名文句を最後まで聞いてくれる人なら、単に「結婚して下さい」と言うだけでOKもらえるような気もしますが。

 ついでながら、スタージョンも亡くなって久しい作家ですね。



「ただ彼の小説が好きだ――、それだけのことだからだ」

 出典:ロジャー・ゼラズニイ「コード・ウェイナー・スミスのこと」(伊藤典夫訳) コードウェイナースミス「シェイヨルという名の星」に収録

紹介 : 大熊健朗 様
HP :
http://www7.cds.ne.jp/~nactor/

コメント:
  自分にとってのスミスは『シェイヨルという名の星』の巻頭に載っていたゼラズニイの名文からはじまった。
この一連の文章がなかったら、私は(当時はまるで知らなかった)スミスの著作を読むことはなかったかもしれない。ということで、小説中の名文句ではないのですが、ゼラズニイがスミスに向ける感傷的な文がとてもとても好きで、ここではその最たる箇所を引用してみることにしました(ほかにも訳者伊藤典夫お気に入りの「あるときスミスは三千年をなくしてしまったことがある」という文句もあります。これもかっちょいい!)。
なお、上記の「ただ彼の小説が云々」の後には以下のような文が続く――
「そしてもうこの先読めないと思うと、悲しく、たいへん残念な気がする」
そして私達は、この残念に思っている人の著作物さえこの先読めないという世界に生きていることに気付くのだ。

駄弁者:
 今度は小説ではなく、紹介文の方から。
 コードウェイナー・スミスがもしもっと長生きしていたら、どんな作品が書かれていたでしょうか。今となっては想像するしかなく、それだけに一層、惜しさも増すというものです。
 「三千年をなくしてしまった」というのは、スミスが旅行中に西暦6000年から9000年までの未来史と小説アイディアを書き留めたノートを紛失してしまったというエピソードを指します。ゼラズニィはこのノートが手にはいるならどんな礼をしてもいいと言っていますが――これも、今となってはかなわぬ望みでしょうね、それも二重の意味で。ノートが見つかったとしても、ゼラズニィ自身が、すでに故人です。
 それはそうと今日本では、コードウェイナー・スミスは邦訳の既刊4冊がいまでも新刊で手に入りますが、ゼラズニィの方は1冊のみ(それもいつまで保つことやら…)。英語がダメな私にとっては、スミスより活動期間の長かったにもかかわらずゼラズニィの著作の方が、読む機会は少なかったりします。



「委員会ってものは、胴は百もあるが、頭は一つもないっていう、唯一の生命形態なんだ。」

 出典:ロバート・A・ハインライン「メトセラの子ら」

紹介 : SF初心者歴12年 様
HP :

コメント:
 ラザルスです。あぁ〜「愛に時間を」が読みたいです〜(哀切)。

駄弁者:
 もひとつハインラインの同作品。私、これまだ未読なんですよね。品切れになりそうにないから、いつでも読めると思ってそのまんま。
 名文句に関しては全く同感。つけ足せば、この生命形態には胴の数だけ足もあって、それぞれが思い思いの方向に進もうとするものだから結局どこにも行けないかったりするんです。
 続編「愛に時間を」(全3巻)はまだ書店で手にはいると思うんですが。「メトセラ」の後で私も読んでみようかな。ただ、文庫3冊分のハインラインはくどすぎて、ちょっと鼻についてしまうかも。



「どうやらあなたも大人になってきたようですね。」

 出典:ロバート・A・ハインライン「メトセラの子ら」

紹介 : SF初心者歴12年 様
HP :

コメント:
 リビィがラザルスに言った台詞です。何となく微笑みを誘われました。あいにく訳者は覚えておりませんが、これはハヤカワ文庫です。それから、ひょっとしたらもうお調べになったかもしれませんが、前に送った銀英伝からの迷文句は、外伝4巻でのキャゼルヌ氏の留守番電話です。

駄弁者:
 もう、名文句人気ナンバーワンと言っていいでしょう、ハインラインの有名長編から。
 不死人のラザルスを子供扱いできるリビィって一体……。あ、不死だから成長しないのか。
 前の名文句、キャゼルヌでしたか。外伝4は1回か2回ぐらいしか読んでないので記憶が曖昧でして。



「これは不幸の留守番電話です。これを聴いた人はただちに五〇軒の家に電話してください。実行した人は、さらに不幸になれます。では失礼……。」

 出典:田中芳樹「銀河英雄伝説」

紹介 : SF初心者歴12年 様
HP :

コメント:
見た感じ「迷文」が少ないようでしたので。

駄弁者:
 「銀河英雄伝説」で目を引くセリフというのはだいたい記憶していたつもりですが、これはノーチェックでしたね。何巻あたりの、誰のセリフなんでしょうか?ひょっとして道原かつみのマンガか、OVAの方でしょうか?
 アッテンボロー氏あたりだったら冗談で済みそうですが、オーベルシュタイン元帥の留守電にこれが入っていたらコワいでしょうね、本当に不幸になりそうな気がして。



「もっとも見こみのない愚か者は、自分が賢いことを知らない者だ。」

 出典:アイザック・アシモフ「第二ファウンデーション」(岡部 宏之訳)

紹介 : まりちゃ 様
HP :

コメント:
「愚か者ほど自分を賢いと思っている」「頭がいいと思っている者ほど愚かだ」という定説を持ち出された時の反論にとっておいているのですが、なかなか使うチャンスがない (^^ゞ
でも物事に対処する際、こう考えている方が勇気づけられる。

駄弁者:
 岡部宏之ってことはハヤカワ文庫版ですね。やっぱり創元SF文庫版よりこっちで読む人の方が多いのでしょうか?
 このセリフ、私は本当の愚か者に対してよりも、むしろ本当は自分のことを賢いと思っているくせに他人に対しては「自分は愚かだ」と謙譲ぶっている人間に対して言っているのだと思います。「俺なんてバカだから」と逃げをうてば、自分の行為についてあまり責任を感じずに済ませられますからね。ずるいやり口です。
 だからといって、自分が賢いことを自覚してそれを絶えず公言する人間というのも、それはそれで「ヤな奴」だとは思います。…そう言えば、著者のアシモフ自身が短編集の前書きや自伝を読んだ限りでは、ちょうどそんな人間のようですね。ま、彼ほど実際に賢い人間がああも無邪気に自慢していると、かえって嫌みがなくていいのですが。このあたりの加減が難しいところです。



「おまえがいちばん美しいからだよ、ジョシュア」

 出典:ジョージ・R・R・マーティン「フィーバー・ドリーム」(増田まもる訳) 訳) 

紹介 : まお 様
HP :

コメント:
= 血の支配者(ブラッドマスター)ダモン・ジュリアンの迷台詞。吸血鬼ものとしては「夜明けのヴァンパイア」を超えてます。ある特殊なジャンルの好きな女性には、特におすすめかも。ただし、この話、ギャグに陥るのはぎりぎりの線で食いとめられています。名脇役アブナー・マーシュ船長の存在あったればこそ。「船は“それ”じゃなくて“彼女”なんだ」という彼がいて、この作品は傑作として存在するのでしょう。・・・でも、やっぱり吸血鬼に胃がふたつある、とか、手首から血を吸うために全部脱がしてしまうダモンって・・・変だと思います、うん。

駄弁者:
 ええっ、吸血鬼って胃が二つあるんですか!?血って消化に悪いからかな…ってそういう問題じゃないか。手首から血を吸うために服を脱がすのは、変というより、ただの助平でしょう。ひょっとして上のセリフは、何でそうするか尋かれたときの答えなんでしょうか。



「 We still Live(われわれはまだ生きている)」

 出典:エドガー・ライス・バローズ「火星シリーズ」(小西宏/厚木淳 訳) 

紹介 : H.Nagata 様
HP :
http://www.nsknet.or.jp/~hideman/

コメント:
 名文句、というか決まり文句。主人公たちが苦境におちいったとき、
「希望を捨てることはありませんよ。偉大なる大元帥の言葉にもあるじゃありませんか。“われわれはまだ生きている”」といった具合に使われます。もともとはジョン・カーターの言葉なので、「私はまだ生きている」だったのですが、励まし合う場面で使われることが増えて、こうなりました。
 これをいっていると、いきなり味方が登場したり、飛行船が現れたり、とにかく助かるんです。
 御都合主義万歳。

駄弁者:
 第3集の第1着はERBより。
 古き良きスペース・オペラ、といった感じのセリフですね。元祖は西部劇の騎兵隊でしょうか。バロウズの作品は、ターザンもそうですが、アメリカ人の英雄観がもっとも端的にあらわれていると思います。

おまけ(あるいは書くことの思いつかないくるしまぎれ)
「希望を捨てることはありませんよ。偉大なる北斗神拳伝承者の言葉にもあるじゃありませんか。”おまえはもう……」
多分、彼らには味方も飛行船も登場することはないでしょう。



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