SF名文句・迷文句第4集

SF周辺からの投稿も増えてきました。

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(Dr.ベシアがガラックに「狼と少年」の話をして)
ガラック「その話にはもう一つ教訓があります。」
Dr.ベシア「なんだ?」
ガラック「”同じ嘘を二度もつくな”という教訓です。」

 出典: 「スタートレック・ディーブ・スペース・ナイン」

紹介 :図書室のねーちゃん 様
HP :

コメント:
はじめまして、こんにちは。踊るライブラリアン様のHPから飛んできました。
何だか面白かったので、投稿しちゃいました。

この台詞、思わず「座布団一枚!」といいたくなりました。(笑)TVで見たものなので、台詞は 少し違うかもしれません。でも、妙に印象に残る名(迷)台詞でした。

駄弁者:
 お褒めいただいて光栄です。
 DS9の異星人と言えば、フェレンギ人クァークとシェイプシフター・オドーの漫才コンビですが、このカーデシア人の仕立屋ガラックも一筋縄ではいかない、なかなかいいキャラのようです。カーデシアはDS9の面々とは敵対しているのですが、敵異星人にも魅力的なキャラクターを配するのはSTのいいところ。



「この野郎、トリヴァー。どうして思いきりおまえを憎ませてくれないんだ?」

 出典:デイヴィッド・ファインタック 「激闘ホープ・ネーション!(下) 銀河の荒鷲シーフォート」(野田昌宏訳)

紹介 :ピカピカチュー・I 様
HP :

コメント:
不服従その他の理由で降格させた、士官候補生時代の憎っくき先輩、エドガー・トリヴァーとの和解の場面のセリフ。・・・あれだけ世話になっといて、命まで救ってもらって、和解できなきゃ主人公失格だよなぁ、と思いつつもホロリとしてしまった。
面白くて「ヤ○ト」ばりにアナクロで主人公がたぶん銀河一不幸。それが「シーフォート」だと今のところ私は思っている。

駄弁者:
 うんうん、青春だねえ。
 で、パターンだとそういうカッコいい脇役には、必ず見せ場のある死に場所が用意されているもんです。このトリヴァーさんもきっと……。いや、ハズレだったらすみませんが。
 現代アメリカのスペースオペラ3作と言えば、ビジョルドの「ヴォルコシガン・サーガ」についこの間でたウェーバー「紅の勇者オナー・ハリントン」そしてこのファインタック「銀河の荒鷲シーフォート」。ビジョルド以外は未読ですがいずれも楽しめるシリーズ、らしいです。実を言うと私は「シーフォート」のカバー絵が苦手なんですが、カバーだけで判断して傑作を逃してしまうこともよくあるので、こだわらない方が正解なのかも知れません。



「ぼくが食えなくなったら、それはいくらか人間が利口になったってことさ」

 出典:ジェイムズ・P・ホーガン「造物主の選択」(小隅黎訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 土星の衛星タイタンで栄える機械生命の文明と人類との出会いを描くハードSFの、第2作目より。
 ホーガンの作品は設定の魅力にくらべるとキャラが弱い、というようなことを聞いたことがあります。しかしそれが正しいとしても、このカール・ザンベンドルフだけは例外でしょう。「奇跡をおこす心霊術師」を標榜する天才的ペテン師の彼ですが、実は人一倍神秘主義を嫌う合理主義精神の持ち主で、自分の手口に軽々と騙される大衆を軽蔑してやみません。
 上のセリフをうそぶくように言う彼は、きっと心のどこかで自分が「食えなくなる」ことを望んでいるのでしょう。その証拠に、合理主義精神を持って文明を築こうとするタロイドたちに対するザンベンドルフの姿勢は、同胞人類に対するそれとは正反対に誠実そのものです。



「頭が鈍いのはこの子のせいじゃないんだ!自分ではどうにもならないんだ!だが、それでもやっぱり……人間は人間なんだぞ!」

 出典:ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」(稲葉明雄訳)「心の鏡」に収録(ちなみに同名長編は小尾芙佐訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 手術により知能障害から一躍天才に駆け上がったチャーリー。とある食堂で彼は嘲笑されている知能障害の少年…かつての自分のような…に出会う。自分が周りの人間と同様に彼を嘲笑していたことに気づいたチャーリーが、怒りにかられて叫んだ言葉がこれです。単なる良識的なセリフのようですが、チャーリーから発せられると重みが違いますね。
 キイスは「24人のビリー・ミリガン」以来、SF作家というイメージは薄いですが、少なくとも出発点はSFです。この「アルジャーノンに花束を」もヒューゴー賞を受賞していますし。これを収録している「心の鏡」も結構SF色が濃い作品集です。
 普通話題にのぼる「アルジャーノン〜」は長編版の方なのですが、わざわざ古い中編版(ちなみにヒューゴー賞を受賞したのはこっち)からとってくるあたり、私がひねくれ者と言われるゆえんかも知れません。しかし、私は中編版の方が話が引き締まっていて好きなんです。ただ、訳は長編版の方がいいかも知れませんね。



「お母さまが城館(ガリューシュ)に入るまで、あたくしの権限が有効ということね」
ペネージュは考えた。
「では、大公爵(ニーフ)の権限でお母さまの船が宇宙港(ビドート)へ入港するのを禁じるわ」

 出典:森岡浩之「君臨 《星界の紋章》外伝U」 SFマガジン1997年2月号に収録

紹介 :ピカピカチュー・I 様
HP :

コメント:
 先任参謀泣かせのあのスポール准提督にも苦手な人がいた!これは彼女の十六歳(「星界」のラフィールと同じ歳)の誕生日の物語。
 母親の乗った巡察艦を閉め出そうとする娘と(またその理由というのが・・・)、娘を懲らしめるためなら自分の城館をも電磁投射砲で攻撃しかねない母。この二人の日常的な駆け引きは、ひょっとするとこの日起こった事件よりもスリリングだったかも・・・。(なるほど敵機雷群に突っ込みながらあくびするスポール准提督は、こうやって鍛えられたのね ^^;)
 ちなみにこのセリフは、物語本筋とはあまり関係がありません!

駄弁者:
 わたしに「星界の紋章」を薦めてくださったI先輩、満を持してのご投稿。…星界ネタ一番乗りは果たせませんでしたが。
 脇役に濃いのが多い「星界の紋章」中でもトップクラスに印象的な、「狂乱の淑女」あるいは「天翔る迷惑」ことスポール准提督のお言葉より。しかし本編ではなく外伝から持ってくるあたり、さすが通ですねぇ。
 今年からめでたく「星界の紋章」はアニメ化、しかし私はWOWOW入っていないのでみていません。聞くところによると、原作のディティールはかなり割愛されているとのこと。活字と映像の違いだから仕方がない、とは思いますが、やはり少し残念。アニメから入った人はぜひ原作も読みましょう。



「遺伝子をかき混ぜるだけならどんな阿呆にもできるし、たいていの者はそうしている。」

 出典:アーサー・C・クラーク「楽園の泉」(山高 昭訳)

紹介 :ふみ台昇降 様
HP :
http://member.nifty.ne.jp/~fumidai/

コメント:
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 世界屈指の工学者、ヴァーニヴァー・モーガン氏が結婚について思っていることです。
 彼のような偉い人の言葉なのでよいのですが、もし、わたくしめがこんなことを言ったらただのひがみにしかならないでしょうね。

駄弁者:
 まあ、私が言っても純然たるひがみですが…別に偉い人でも隣が空席である限り、ひがみなような気はします。「どんな阿呆にでもできる」ことをやっていない人間の立場は?
 ……北風が厳しくなりそうな話題は避けることにして。「楽園の泉」は軌道エレベーターをテーマにした長編。クラークの作品はまず「品切れ重版未定」にはならないので安心して紹介できますね。
 去年出たキム・スタンリー・ロビンスンの話題作「レッド・マーズ」にも軌道エレベーターが登場しますが、エレベーターの終点にあたる小惑星が”クラーク”と名付けられていたのは、この「楽園の泉」にあやかったんじゃないでしょうか。



    R    「痛いじゃないですか。」
とさかセンパイ「だいじょーぶ、むぁーかせて。痛いような気がするだけで、本とは痛くない。」
    R    「なるほど、そうゆうものですか。」

 出典:ゆうきまさみ「究極超人あーる」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 迷台詞ですが、深読みすれば哲学的な意味がいくらでもデッチ上げられそうな、「間抜けな会話」です。果たしてアンドロイドの「R28号田中一郎」君は本とは痛くなかったのだろうか。それとも「痛いような気がする」のと「痛い」のは同じことだというのは真実なのか。

駄弁者:
 「痛い」というのは体の損傷に対して感じる反応のことで、損傷がない場合は「気がする」ということじゃないかとも思うんですが、神経疾患のことを考えるとそれではカバーできないような。それにアンドロイドの「痛覚」は人間のそれと同じなのか違うのか……ええい、わからん。



「あなたの船の安全のほうが……いうなれば”プライド”より重要なのです」

 出典:R・A・ハインライン「スターマン・ジョーンズ」(矢野徹訳)

紹介 :良兼 様
HP :
http://www.isc.meiji.ac.jp/~ee69014/index.html

コメント:
 自分自身が、自分に与えられている権限によって支配されるということを思わせる文句です。
 このことが文章中に書かれてなければ、はっきりとは気がつきにくいですが。

駄弁者:
 うーん、個人のメンツより課せられた責任をとる、というのもプロとしてのプライドのひとつだと思うんですが。権限に支配されている、とはあまり考えたくないですね。



「みんなー、死ぬってことをもっと大切にしようよ。死は大事なことなんだ、決して生きることからの逃避であってはいけないんだ。」

 出典:BBC「フラグルロック」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 昔、NHKで放映されたイギリスの子供向け人形劇「フラグルロック」より、さすがはイギリス人。ユーモアにもスパイスが効いています。もっとも日本にも「子供のおもちゃ」等負けちゃいない作品はありますけどね。

駄弁者:
 深い…深すぎるぞ、これは。児童書とか児童番組をあなどってはならないとは承知していましたが…。
 「死を大切にする」ってことはそのまま「生を大切にする」ということなんでしょう(おや、また説教か?)。ストレートに表現するより沁みますね。



「これは知性じゃない・・・文明でもない!」
「・・・だが彼らはおれたちと同じことをしようとしているんだ! 同じことをしようとしているんだ・・・!」

 出典:星野之宣「2001夜物語」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 人類未踏のベテルギウスから飛んできた光子帆船。ファーストコンタクトを求めて発進地の第二惑星に赴いた探検隊は遭難し、たった二人の生き残りがレーザーの発振地点に見出したものは「惑星の生態系全体が作り上げた天然の恒星間播種システム」だった!
 「生き続ける」ことだけが生命の存在理由だと言うことを改めて噛み締めたシーンでした。

駄弁者:
 確かに生命活動の究極的な目的は「自らの存続」。知性も文明もそのための一手段、と言って言えないことはないでしょう。とすれば、自分たちの存続を脅かしかねない私たちの知性・文明というのは一体どう位置づけられるんでしょうかね(あまり説教めいたことは言いたくありませんが)。種にとって知性を持つというのは、ハイリスク・ハイリターンな大バクチと言えるかも知れません。
 ところで、この「天然の恒星間播種システム」どんな仕組みになっているかが知りたいところ。そこのところをハードSFばりに作ってあるなら、この作品も読んでみたいんですが。



「ロシアに生きる人類!! パプア・ニューギニアに生きる人類! ミクロネシアに生きる人類!…(中略)…そして・・・アメリカに生きる人類に伝えたい。人類の名においてのみ”われわれ”という言葉は存在します!私は海江田四郎です。」
アメリカ大統領「たった30分、最後に自分個人の名前を入れるだけで 自分と世界を描ききってみせた!」

 出典:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 緊急国連総会でこんな演説をして許されるのはエイリアンか海江田四郎だけ。多分、元ネタはクラーク「地球帝国」において主人公が没にした演説原稿でしょう。
 この作品がSFかどうか疑問の向きもありましょうが、少なくともこのような演説はSFでなくては読めない。と思います。

駄弁者:
 「沈黙の艦隊」、私も途中までは読んでたんですが、原潜「やまと」がニューヨークに入港する前で飽きてしまいました。どう考えても話引きすぎですよ、あれは。
 疑問の向き、というより明らかにSF圏外の作品ですが、SF的な視点はある、というところでしょうか。「地球帝国」は、そう言えば読んでいないです。クラークの長編は好きなんですが。
 確か、海江田は最後の方で暗殺されるんでしたよね。まあ、あれだけやりたいことやって言いたいこと言えば、殺されても本望じゃないかと思います。

 なお、投稿の原文には演説に対する各民族が反応するセリフも入ってたんですが、文章にするとどうしても分かりにくいので、思い切って省きました。屋良さん、悪しからずご了承ください。



「連邦と呼ばれる虚偽の中に生きてきた者たちは、徐々に徐々に、<コア>に依存しきった惑星の廃墟から興隆し、われわれの真の探求に加わるだろう.....すなわち、われわれひとりひとりの裡にある、より広大な宇宙の探求に」
−”宇宙の蛮族”アウスター司令官フリーマン・ジェンガ

 出典:ダン・シモンズ 「ハイペリオンの没落」(酒井昭伸訳)

紹介 :NOP 様
HP :

コメント:
 ダン・シモンズの長編SF「ハイペリオン」及び「ハイペリオンの没落」にはこれ以外にもアツい名台詞や名文がやたら多いです。
 シモンズが文芸志向だからでしょうか。この台詞は宇宙連邦と敵対するもうひとつの人類種群である『アウスター』司令官の言葉です。
 アウスターは最初は敵として登場しますが、物語の最後にはその深遠な理想が明らかになるのです。
 この他にも「記憶屋ジョニイ」のパロディがあったりして楽しい小説です。
 早く続編の「エンディミオン」を読みたいですね。

駄弁者:
 戦火の中、惑星ハイペリオンの「時間の墓標」を訪れる7人の巡礼者。彼らはどのような運命を経てここにたどり着いたのか、そしてまた彼らにどのような運命が待ち受けているのか…。90年代有数の傑作とその名も高い「ハイペリオン」もの、その第2作よりのご投稿。
 投稿のコメントについては、あまりしゃべりすぎると話のネタが割れそうですね。
 登場人物がそれぞれ語るの体験談がSFのショーケースを思わせる「ハイペリオン」、前作で拡がった物語を見事に収束させる「ハイペリオンの没落」、2つながら一読…いや三読の価値あり。私としては「ハイペリオン」中の「司祭の物語−神の名を叫んだ男」と「学者の物語−忘却の川の水は苦く」が好きです。「〜没落」については好き嫌いより、よくぞこんな話をまとめきったという感心のほうが先に立ちました。
 続編については、私はちょっと複雑ですね。「〜没落」完結時点で結構満足しているので、下手な続編なら読まない方がまし。でも邦訳が出たら、読むでしょうけどね。



「新しい植民地は、いつも新しい希望なんだよ」

 出典:R・A・ハインライン「ガ二メデの少年」(矢野徹訳)

紹介 :良兼 様
HP :
http://www.isc.meiji.ac.jp/~ee69014/index.html

コメント:
 はじめまして。
 投稿させていただきます。
 ハインラインの作品はスケールが大きく、設定の深さがあるので、自分ではなかなか感じ取れない部分がよくありますが、そのためにそれほど違和感無く読めてしまいます。

駄弁者:
 ハインラインは本当に人気がありますね。
 「ガニメデの少年」、駄弁者は未読…なぜかハインラインは最近までほとんど読んでませんでしたので…ですが、胸のすくようなまさに名文句。雰囲気は少し前にふみ台昇降さんから投稿のあった「動力と〜」に通じるものがありますね。
 最近こんな真っ直ぐな言葉もあまり見かけなくなりました。そういうのばかりというのも陰影に欠けますが、全くないと鬱屈してしまうものです。



「電気動物にも生命はある。たとえ、わずかな生命でも」

 出典:フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(浅倉久志訳)

紹介 :NOP 様
HP :

コメント:
 有名なリドリースコット監督の映画「ブレードランナー」の原作ですね。
 この小説中で、もっとも心に残った台詞でした。
 P・K・ディックはアンドロイドと人間の関係を通して人間性とは何か?と問いかけていると思います。

駄弁者:
 とくにディックが好きというわけではない駄弁者も、これは読んでます。
 私の記憶に残っているのは、主人公がアンドロイドを追ううちに自分の人間性に疑問を持ってしまい、アンドロイドか人間かを判別するテストを自分に対して試してみるシーンです。
 動物が絶滅寸前のこの作品世界では動物を飼うことがステータスシンボルになっていて、本物が飼えない人は精巧な機械動物で体裁を繕っています。主人公が絶滅したはずのヒキガエルを見つけて大喜びで帰ってみると、ヒキガエルの腹に制御パネルがついていた、という泣き笑いのシーンもありましたっけ。



「Go to Hell Quickly!」

 出典:星野之宣「国辱漫画2G.H.Q.」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 いきなり暴言で、すみません。この迷せりふは星野之宣の漫画「国辱漫画2G.H.Q.」(スコラ社の「エル・アラメインの神殿」に書き下ろし)に出てくる日本占領軍最高司令官「ダグラス・バーサーカー元帥」のボディーガードロボットを作動させるキーワードです。何しろバ司令は四文字言語しか口にしない。という困った人なもので、「Kiss my ass!」だの「Up yours!」などという文字が紙面に飛び交っています。が、作品自体はまっとうなギャグです。単行本書き下ろしなのは多分雑誌に載せるのが無理だったからでしょう。

駄弁者:
 内容を知らないとどういうところが、「名」なのか「迷」なのか、分かりませんね。…まあ、それを言えば名文句・迷文句全部がそうなのですが。なんかただの悪態のようにも見えますし。
 悪態の翻訳というのも、難しいものなのでしょう。映画や小説などにでてくる英語の悪態は、侮辱と言うより単に下品なだけに聞こえてしまいます。映画「フルメタル・ジャケット」なんかいい例じゃないでしょうか。カード「エンダーのゲーム」でも、バトル・スクールは少年たちのたまり場らしく悪態が飛び交っていましたが、忠実に訳された悪態は、どうも違和感を拭えませんでした。
 バーサーカー元帥の元ネタのマ元帥は、相当なカッコつけだったらしいですから、少なくとも人前では決してこんな悪態はつかなかったんじゃないでしょうか。海軍のハルゼー提督なら分かりませんが。この人、部下の機動部隊に「Kill Japs,kill Japs,kill more Japs!」とゲキを飛ばしていたそうです。



「私の名前はマモー。君に永遠の命を授けよう。」

 出典:原作:モンキー・パンチ 監督:吉川惣司『ルパンvs複製人間』

紹介 :伝道の犠牲者第1号 様
HP :

コメント:
 ご存知?ルパン三世初の劇場作品です。
 題名にもある通り、クローン人間が出てくるので立派な?SF作品です。
 で、この文句を何で送ったんだというと、あまり深い意味はありません。ただ、中学生の時分、このセリフが身内でやたら流行っていたというだけです。
そうですよね。駄弁者さん。

駄弁者:
 身内も身内、投稿者と駄弁者含めて3人しかいないじゃないか。ということで、ここではそれに触れません。みなさま、失礼しました。
 ルパン3世をSFに入れるかどうかは疑問…じゃなくて、疑問の余地なくSFでないのですが。中にはSFテイストのものも多く含まれるということで、これは何もルパンに限ったことではないですね。「SFっぽい」のはうけるのに「SF」となると、何でひく人がいるんでしょう?
 しかしクローンが「永遠の命」になるとは思えませんね。一卵性双生児の弟が生きていたって、自分が死んだらそれはやっぱり「死」ですよ。そいつが自分と同じ記憶を持っていても同じこと。
 ヴァーリィの「八世界」ものでは、完全な死刑の1ランク下として死刑執行後クローンを再教育する、というのがありましたが。



「動力と燃料があるかぎり、人類はどこででも生きられる。」

 出典:R・A・ハインライン「宇宙の呼び声」(森下弓子訳)

紹介 :ふみ台昇降 様
HP :
http://member.nifty.ne.jp/~fumidai/

コメント:
さっそく投稿させていただきます。
ハインラインのなかでは比較的マイナーなこの小説ですが、わたくしめの一番のお気に入りです。

駄弁者:
 早速のご投稿、ありがとうございます。それもリクエスト通り、ゼラズニィとハインラインから一点ずつ。
 「宇宙の呼び声」は未読です。…マイナーなんですか?けど人気作が自分にとってもベストとは限りませんから。むしろそうでないことの方が多いかも知れません。
 投稿の名文句はいかにも宇宙SFらしい響きです。颯爽とした雰囲気はSFの原点のひとつですね。



「そんな愛は虚数だ」

 出典:ロジャー・ゼラズニィ「愛は虚数」(浅倉久志訳) 「伝道の書に捧げる薔薇」に収録

紹介 :ふみ台昇降 様
HP :
http://member.nifty.ne.jp/~fumidai/

コメント:
 i も虚数ですけどね。

駄弁者:
 なるほど、著者自身が気付かなかったところで、洒落になってしまってるわけですね。文句そのものより気付いた人にざぶとん一枚だな、これは。
 「伝道の書に捧げる薔薇」は現時点で、唯一新刊で手に入るゼラズニィ短編集。表題作や「その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯」「このあらしの瞬間」など佳品の多い一冊。投稿の「愛は虚数」はプロメテウス神話をもとにした小品です。



「エドです、宇宙は広いです。エドは宇宙の真理を探して旅をしています。裸足で歩くとビリビリします。ネットの海は広ーくて、色んなお魚もいてクリクリします。頭に物を載せるとワクワクします。真理は在ると思って探すと無いですが、無いと思って探すとやっぱり無いです。欲しいものは手に入りませんが、要るものが手に入りました。」
「教ー訓、きょーくん。知らない人に会ったら、ついて行きましょー。」
「エドは、今まで苦労をしたことがありません。ひょっとしたら本とはあるかもしれませんが、全然覚えていません。どうしてかと言うと、面白そーな事しかしないし、面白くなさそーな事の中にもチビッとは面白そーな事を発見して、ビリビリするからです。でも、それでもやっぱりつまんなそーな時には、寝ます。寝たら夢の中でコロコロ、面白いです。」

 出典:サンライズ「カウボーイビバップ」

紹介 :屋良 一 様
HP :

コメント:
 スペオペアニメ「カウボーイビパップ」の暫定的最終回・第13話「よせあつめブルース」中に出てきた、主要登場人物の一人・ハッカー少女の「エド」の自己紹介と独白より。
 若干11(?)歳にして凄まじい自己認識である。
 この番組はテレビ東京で一度打ち切られており、その際にスタッフが作った総集編兼用最終回にまったく新しくつけられたセリフです。現在「WOWWOW」で放映されているが、この総集編が再び放映されることもビデオに収録されることも無いはずなので、たまたまこの回だけ見て「エド」ファンになった私は、必死になって友人から「ビパップ」のビデオを借り受けました。
 本編のエドは上記のセリフに恥じない、すごいキャラでした。自分の名前を自分で付けた天蓋孤独な少女ですが、そんなことを微塵も感じさせない、一言でいえば「無邪気な、アンファンテリブル」です。

駄弁者:
 な、長い…(いいんですけどね)。
 「カウボーイビバップ」、残念ながら駄弁者は見てません。ここんとこずっとアニメにもご無沙汰ですからねえ、自分では、アニメは好きな方だと思っているんですが。
 投稿の名文句では「面白そーな事しかしないし、面白くなさそーな事の中にもチビッとは面白そーな事を発見して、ビリビリするからです。」というのが、私は気に入りました。やっぱり楽しいのが、一番です。



「男は争いあうのが生きがいでしょうけど、私たちは戦場の一部なのよ」

 出典:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「男達の知らない女」(伊藤典夫訳) 「愛はさだめ、さだめは死」に収録

紹介 :奥山古倶 様
HP :

コメント:
 そうだったのか、と目から鱗が落ちたというか。
 今までぴんとこなかった類の小説が、どうしておもしろく読めなかったのか、だいぶこれで理由がかたずくのですよ。身も蓋もないせりふではありますけど。
 無邪気に怖がるためのエイリアン物とは一線を画する問題作。エイリアンはいつもそこにいる。

駄弁者:
 「男の作った世界というマシン」の中で、異質さに耐え生きてきた女性。極限状況の中で異星人に出会ったとき、彼女のとった行動とは…?という短編「男達の知らない女」。
 投稿の文句もショッキングですが私としては、同行の男性がエイリアンだと騒いだとき、その女性が「(エイリアンなど)慣れているわ」と呟くシーンにうそ寒いものを感じたものです。この話が示唆する内容は、いささか極端に過ぎると男の私としては思うのですが・・・。



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