表題作「無伴奏ソナタ」は雑誌収録短編の方の駄弁に譲るとして<そっちへ>、ここではそれ以外のもののをいくつか取り上げるとしましょう。
「エンダーのゲーム」(短編版)。こちらの方が長編版より好き、という人もいます、私は反対ですが。ラストでビーンがエンダーにした質問「戦争が終わった今、あなたは何をするんです?」に対する答えが長編版、そして「死者の代弁者」につながります。ちなみに紹介の一言はこの短編冒頭のエンダーのセリフ。
「王の食肉」。やりきれないラストで好き嫌いの分かれる作品でしょう。これに嫌悪感以外の感想を持つかどうかでカードを好きになれるかどうか、ある程度はかれるでしょう。こういう話を書くあたり、カードが単なる「優しいお話しおじさん」でないことが分かります。こういう人間のダークサイドも描けるところに彼の真価があります。
「死すべき神々」。逆転の発想がおもしろいですね。
「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」この短編集の中で一番よく分からない作品。しかし、ヘクトルたちの語る<支配者>の物語は印象深いです。「無伴奏ソナタ」の舞台となる世界観の原型だと思います。
「磁器のサラマンダー」。いい話です。うまく翻案すれば子どもの読み聞かせに格好のお話になるでしょう(いえ、これは童話としては最高の褒め言葉なんですよ)。下の絵は「眉村卓 ワンダー・ティールーム」の店長さんからいただいたサラマンダーのイメージ。絵心のない駄弁者としてはイラストのかける人がすごく羨ましいです。
そしてこちらがけるぱさんにいただいた同じく「磁器のサラマンダー」のイメージ画。すごいです、本当に。