読後駄弁
2005年読後駄弁3月〜4月


・ロバート・J・ソウヤー「ホミニッド」,ハヤカワ文庫,2005.2
 ネアンデルタール人とのファーストコンタクトの話だが、進化論や人類学ものより、ユートピアものの色が濃い様子。…しかしネアンデルタール人社会がセキュリティ社会として描かれるとは思わなかった。  ネアンデルタール人科学者ポンターの視点から人間社会を批判的に見る一方、ポンター失踪の冤罪事件によりネアンデルタール人社会の暗部・欠点も描きだすというバランスの良さにも好感を持った。  総じてとがったところはなく、気楽に楽しめる(バリバリの新しいアイディアを期待すると外れるかも)。ネタは違うが雰囲気的には「フレームシフト」を連想。

・フィリップ・K・ディック「ペイチェック」,ハヤカワ文庫,2004.1


・酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明」,文芸春秋,2004.11
 宇宙スケール(自称)の奇人変人(他称)ぶりで恐れられる孔明が三顧の礼をうけて出廬するまでを描く、三国志パロディ小説。…「蒼天航路」といい安能務「三国演義」といい、最近の三国志は孔明をいじるのがトレンドか?(「三国演義」は最近というには古いけど)。
 傑物・聖人・佳話を茶化しのめした話でかなり笑える。個人的には孔明や劉備陣営のムチャクチャぶりに振り回される常識人・徐庶が面白かった。ただし地の文で登場人物にツッコミを入れる文体は、読んでいてちょっと寒い。
 この調子で書いた赤壁話や荊州攻防戦は、ちょっとは読んでみたいと思うが…飽きがくるのも早そうだ。

・神林長平「あなたの魂に安らぎあれ」,ハヤカワ文庫,1986.3


・佐藤大輔「皇国の守護者8・楽園の凶器」「同9・皇旗はためくもとで」,中公Cノベルス,2005.3


・三輪眞木子「情報検索のスキル」,中公新書,2003.9


・宮本一夫「中国の歴史01・神話から歴史へ」,講談社,2005.3


・谷口克広「信長軍の司令官」,中公新書,2005.1


・フィリップ・K・ディック「ユービック」,ハヤカワ文庫,1978.10


・神林長平「帝王の殻」,ハヤカワ文庫,1995.9


・リチャード・モーガン「オルタード・カーボン」(上下),アスペクト,2005.4


・栗本薫「グイン・サーガ100・豹頭王の試練」,ハヤカワ文庫,2005.4


・山田正紀「神狩り2・リッパー」,徳間書店,2005.3


・エルンスト・コンゼンツィウス編「ヨーハン・ディーツ親方自伝〜大遷帝侯軍医にして王室理髪師〜」,白水社,2001.4


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