駄弁者の駄弁

別に知りたくもないでしょうが、駄弁者自身のことについて。それだけだとあまりにつまらなさすぎるので雑記帳を付けます。
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司書の駄弁者
生 年:197X年
出 身:大阪府・なまりは多分一生ぬけない
現住所:岐阜県多治見市・職場の遠さが堪えるようになりつつある。
職 業:その名の通り。そろそろコンピュータの面倒見からは離れたい…。
趣 味:見ての通り。最近ますます読む分野が偏ってきたような気がする。

日々雑感2002年

 中学以来の友人「伝道の犠牲者第1号」氏と夏恒例のやじきた道中、今年はは下呂温泉へ。去年USJ練り歩いてた奴が、何とも枯れてしまったものである。
 温泉入って酒飲んで…の前に、到着したのがまだ昼過ぎだったので「下呂温泉合掌村」を見物に行く。旅館に入るまでの時間つぶしぐらいにはなるだろうという二人の予測を、この「村」はある意味大きく上まわっていた。
 一応メインとなっているのは合掌の本場白川郷から移築された「旧大戸家住宅」。江戸の末期に建てられた国内最大級の合掌民家で、国の重要文化財にも指定されている。…確かにそう思ってみると、豪壮な気がしないでもない。ぺんぺん草の生えた屋根にさえ、何か風格が漂っているではないか。
 そして内部は当時の風俗を今に伝える…ロウ人形たちの世界である。なんというかこいつら、伝えているのは当時の風俗ではなくて、生活苦なんじゃないか?。

 しかし重要文化財とはいえ、これではいささか地味すぎるんじゃないかと、ここの企画を担当した方は思ったのだろう。少し山を登ったところに「ふるさとの杜」と題するいくつかのパビリオンが設けられていた。実はそれが、この「合掌村」の真のメインだったりするのある。
 まず一番最初に入ることになるのが、「かえる神社」。ひとかかえほどあるカエルのご本尊を中心に、世界各国の珍しいカエル…の置物類が展示されている。とくにインドネシアのカエル像のオリジナリティには、おそらく誰しもが感嘆するに違いない

かえる1   かえる2   かえる3
「なあ」
「ん?」
「まさかとは思うんやけど、下呂でゲロやからカエルってことか?」
「何、今ごろ気ぃついてんねん」
…それだけか!? それだけでこんなん作ったんか!?

花笠  つづいては「花笠館」。これまた国の重要文化財に指定されている田の神祭(花笠祭)の紹介しているブースである。降り出した雨を避けて飛び込んでみると、センサーが働いて笛太鼓の音が…。そして回る回る人形たち!
 二人で指さして笑かせてもらいました。

 竜神館。竜伝説というのは全国各地にあるようで、下呂もご多分にもれず。入るとまたもやセンサーで、録音の雷がビシャーゴロゴロ。奥の方では稲光(を模したフラッシュ)に照らされて、竜神様のお姿が浮かび上がる。
竜神さま 「…竜やな」
「竜やね」
「上んところのあれは、レールで動くようになってんかな?」
「ぶら下げてあるだけちゃう?」
「かえる神社」「花笠館」である意味衝撃に慣れてしまった私たちは、妙に冷静に竜神様をお迎えしてしまったのだった。
 で、出て次に行こうとすると、元からかなり大降りだった雨があきれる程の豪雨と化している。…どうやらかなり竜神様を怒らせてしまったらしい。悔い改めてもとのところに戻る。
ビシャーゴロゴロ。
「一昨年行った江ノ島の洞窟にもあったよな、竜」
「ああ、あれもええ勝負してた。チャチさで」
雨はしばらくやむことはなかった。

木こり?  最後に「森の未来館」。林業の歴史や新技術を紹介した実用度の高いパビリオンだが、やはりちょっとなあ。昔の木こりの服装を着た人形、どうみても顔がバタ臭いんですが。駅前のスーパーかどっかから再就職してきたんじゃないか?

 温泉で肩の力をぬくより前に、全身しっかりと脱力してしまった二人なのだった。

(8/17)


 1月3日、4日と続いた大雪で、一時はどうなることかと思ったオフ会だが、なんとか交通機関も遅れを取り戻し、予定通りの開催となった。ただひとつ予定と大きく異なったのは、踊るらいぶらりあん女史が風邪でダウンしてしまったこと。富山からいらっしゃる大ちゃんの妻さんとお引き合わせできなかったことが、とくに心残りである。しかしまあ、健康には代えられない。天気もあまりよろしくないし、無理して参加したらこじらせること必定の気候だった。
 集合時間の11:15にあわせ、15分ほど前に名古屋駅着。目印の「死者の代弁者」を出すとほどなく、モントリオールのハンマーさんと合流。手に持つは「辺境の人々」である。この2冊が目立ったのか、初対面の好古真之さんが声をかけてくれた。北海道からの空路がどうなるか心配だったのだが、ちゃんと昨日のうちに到着できていたようで何より。
 その後すぐにNALさんSUGさん、ついで加藤隆史さんが合流。「向こうに『エンダーの子どもたち』をもった人がいた」ということなので行ってみると、案の定いらっしゃったのが大ちゃんの妻さん。そして最後は…ああ、来た来た、こじましゅういちさん。いつぞやのようにすれ違いのまま一時間、ということもなく、定刻通りに全員集合。

 昼の部会場はつちやホテル「和食の宗春」、生意気にも個室での宴である。名古屋コーチンを味噌で鍋焼きにした「陣中焼き」をメインに、一口味噌カツ、椀のきしめんなど、ご当地料理が並ぶ。乾杯と改めての自己紹介の後、舌鼓を打ちつつ雑談モードへ。
 つかみはDASACON5のときの「エンダー」シリーズ改題案だったような気がする。その他、神林長平「戦闘妖精・雪風」OVAのキャラクターデザインが気に入らないとか、職場でのコンピュータ事情とか。
 大流行のコンピュータウィルスの話も出た。流行の原因が対策をとらないでOutlookExpressやIEを使い続けているユーザーが多いせいだというのはその通りだが、インターネット接続をはじめたばかりの人に自力で対策をしろというのはあまりにも酷だよな、という話。私も最近になってからやっとメールソフトを変えたクチなので、まったく同感である。ブラウザの方は相変わらずIEだが、加藤さんやこじまさんの話によると、Mozillaというブラウザがいいらしい。…けどやっぱしめんどい。
 食べ終わった後、SUGさんのダブリ本、モントリオールのハンマーさんが持ってきた本をざっと座敷に広げて、新春カルタ取り大会ならぬ、古本取り大会に移る。SUGさんはあまり期待しないで、とおっしゃっていたが、なかなかの品揃えである。懐かしのハミルトン「キャプテンフューチャー」にブラッドリー「ダーコーヴァ年代記」、ジュディス・メリル編「年刊SF傑作選」などなど。ハンマーさんの方は惜しくもシリーズ途中で休止している「ワイルド・カード」の邦訳既刊揃いにカード「帰郷を待つ星」2冊。
 いやーこんないいのタダでもらっちゃ悪いなーけどせっかく持ってきてもらったのにそのまま返しちゃもっと申し訳ないしなーと、心がごくわずかな葛藤(言い訳ともいう)を演じている間にも手はしっかり「年刊SF傑作選」をかき集めていたり。大ちゃんの妻さんは遠慮がちにアシモフの「宇宙気流」だったか「宇宙の小石」だったかをキープ。こじまさんはチャールズ・シェフィールド「プロテウスの啓示」を見つけて大喜び。「ダーコーヴァ年代記」はNALさんが家にあるのとダブルかもと迷いつつ確保していた。…はて、好古真之さんや加藤さんらが何をとっていらっしゃったのか全然記憶にない(「ワイルド・カード」を加藤さんが譲り受けたのは夜の部に入ってからのことだし…)。自分の目を付けていた本しか眼中に入ってなかったものとみえる。
 結局前述の「年刊SF傑作選」2冊に「キャプテン・フューチャー」2冊、さらにシルヴァーバーグ「ガラスの塔」と、私が一番遠慮なしにぶんどっていたのだった。ああ、早くも本性が…。

 昼の部と夜の部の間の時間をどう過ごすかは相談の結果、まずJRで鶴舞までいって古本屋街を覗きつつ好古真之さんが掲示板で書いていた大須のアメ横へと向かうことになった。さらに大ちゃんの妻さんが名古屋の大書店を見てみたいとおっしゃったのをいいことに栄まで歩いて丸善とマナメッセ、人呼んでイゼルローン&ガイエスブルグ書店を攻略する計画である。時間があるなら松坂屋のダ・ヴィンチ展を回るのもいいか…などと考えていたのだ、このときは。
 新年早々で店が開いているかどうかがちょっと心配だったが、幸いどの店も営業を始めていた。さて、通りに出ているワゴンを眺めつつ先に進むのかと思いきや、皆さん一軒一軒丹念に本棚をチェックをし始めた。…さすがだ。幹事の責務を遠くの棚に放り上げ、私も速やかに参戦。
 書店の均一棚でSUGさんが手にとった文庫本の中身がが全ページまったくの白紙だったり(「これもご冗談なのですかファインマンさん」)、SUGさんのすすめで大ちゃんの妻さんが買った本のカバーと中が違う本だったりと、なかなかに楽しい(?)古本屋めぐりである。それまで見送っていた本も周りが薦めてくれたりしてくれると雰囲気に押されて買ってしまうものである。私の収穫はそうして買ったビッスン「赤い惑星への航海」、大ちゃんの妻さんのイチ押し作品であるマッキンタイア「夢の蛇」、お買い得価格のゼラズニイ「影のジャック」の3冊。最後のについてはなんだか好古真之さんの嘆き声が…いーや聞こえませんでしたとも、ええ。他の方々もそれぞれ3〜5冊ばかり(あるいはそれ以上の方も…)買っていたようである。
 この間、先を急ごうと口にする人は誰一人おらず…というか目の色変わっているご一行様を前にしては言おうにも言えなかったのかも知れないし、真っ先にそれを言うべき幹事が率先して時間を忘れているという有様で、大須までたどり着いたのは夕方近く。万松寺(織田信長が親父の位牌に香を投げつけたところである)で記念写真を撮ったあと、漸く疲れの見え始めた一行を、グッドウィル新店地下の「EMS3」へ案内する。電気屋に飲み食いする店が併設されたというのが珍しくて記憶にあったのだが…お茶系の店じゃなくて、飲み系の店だったのは誤算だった。まあいいか、当面とりあえず座れる場所があるというのが重要事である。

 セルフサービスのソフトドリンクを手に、どう見ても酒のツマミとしか思えない盛り合わせを囲んで第2次雑談モードに突入。「Da Bench」の、最近書き込みのない常連さんはどうしているかなあ、という話が出た。テンダーのゲームさん、記由さん、図書室のねーちゃんさん、室戸ひょうえさん、ふいごのマロウさん、ダニールセルダンさん…。懐かしいと言うにはあまりにも日が浅いけど、皆さん本当にどうしているのやら。
 去年刊行の目玉「20世紀SF」でどれが良かったかという話題も。私が気に入っている巻は「80年代・冬のマーケット」と「40年代・星ねずみ」で、他の方もだいたい同じあたり。私が非常に残念ながらイマイチ、としたカード「肥育園」も、こじまさんはそう悪くないと言ってくれていた。「70年代・接続された女」は好き嫌い両方の意見が出ていたようである。そういえば「50年代」「60年代」の話題が出なかったような?あと表紙絵は「40年代」のノリがずっと続かなくてホッとした、とも。
 去年の目玉の本と言えば一般的には「ハリー・ポッター」のはずなのだが、今回参加の面々はどうもあまり読んでいないようす。これがヒューゴー賞をとってしまったことについても「一般的に名の売れない作品に賞をあげてこそ意味があるのに、もともとビッグネームの作品にそれよりも知名度の低い賞がくっついても、賞の宣伝みたいでちょっと…」と批判的。そこで加藤隆史さんのポッターアレンジ案。

「ハリー・ポッターが1999年と思っていた世界は魔法が見せていた幻影で、実は時代は21XX年。真実を知ったハリーは敵の魔法使いと一騎打ちして、撃ち出されるファイヤーボールをエビぞりでかわす」
「第2作ではヴォルデモート(敵の親玉)がハリーの父親だという衝撃の事実が明らかになり、さらに仲間の女の子ハーマイオニーが実は妹、もう一人の仲間ロンと彼女が恋仲になる」

一同、大爆笑。クライマックスでボグワーツ魔法学院が大爆発すれば完璧である。さらに好古真之さん(加藤さんがと思ったのは勘違い)は別ネタとして「ダーティハリー・ポッター」を披露。マグナム持って「泣けるぜ」とかぼやく魔法学園のはみだし生徒(ダーティ)ハリー・ポッターの勇姿が皆の心に深く焼き付いたのでありました。

 この時点ですでに時間は5時を過ぎ、丸善&マナメッセ行きはお流れになる。「名古屋の大書店」攻略は名駅ツインタワーの三省堂に目標変更。そこで夜の部予約時間までの時間つぶしをすることになった。この間に私は夜の部会場の「菜くら」への行き方確認のため現場を一往復。ここに及んで何をわざわざ…と思われるだろうが、己の方向音痴にかけては数多い実績に裏打ちされた自信がある。現にこれだけ念を入れたにも関わらず、実際行くときに確認したのと違う地下街出口を使ってしまったがため方向を見失いかけていた…(泣)。
 それでもなんとか到着した「菜くら」は、本日欠席した踊るらいぶらりあん女史ご推薦の店である。ぜひとも女史の分まで飲もう…としたらおそらく全員つぶれるだろうから、そこは感謝の気持ちだけにすることにして。料理の方は、一人前の分量がやや少な目なのが難点だが、味はなかなかのものだった。
 ここで第3回雑談モード、話題は八方に乱れ飛ぶ。乱れ飛んでいたのは話題じゃなくて私の記憶の方かもしれないが。私が去年の暮れに出た「ローマ人の物語」10巻を読んだ話をはじめると、いつしか話題はポエニ戦争のハンニバルつながりでトマス・ハリス「ハンニバル」へ。そしてこのハンニバル・レクター博士が多指症だという設定から、多指症の登場人物が出てくるファンタジーの話へ向かうという具合である。
 最近有望な新人にはどんなのがあるのかということで、ニール・ゲイマンチャイナ・ミーヴィル(「キング・ラット」)などの名前が挙がっていた。イーガン・ソウヤー・バクスターはもうすでに「新人」というのとは違うしなあ…。他には「十二国記」の話があったり、こじまさん。加藤さん十八番の「クトゥルー」ネタがあったり、そうかと思えば「宣伝相の悩み(東方千年帝国協会)」「跳べ!アッガイ」「Xマスにライトセイバーをプレゼントした家庭の惨劇」などの話が振られたり。
 しかしそんな中で一番まとまっていたのは、ガンダム関係の話題だったような気がする。Gガンダム最終回の見事な壊れっぷりとか、ターンAガンダムは4話目か5話目ぐらいにあのヒゲバケツがまっぷたつに割れて中からちゃんとしたガンダムが出てくるものだとばかり思っていたとか。
 ターンAガンダムと言えば幻冬舎から出た福井晴敏「天には繭、地には果実」は、ガンダムファンにはターンAのノヴェライズには見えなくて手にとってもらえず、「亡国のイージス」の福井晴敏を期待した人が手にとると、なんと中身はガンダムだった…というふうに「人間を幸福にしない小説化というシステム」になってしまっている、などという話もあった(確か加藤さんの言)。

 そんなこんなで時は移り、8時過ぎには富山に帰る大ちゃんの妻さんが一足先に抜け、もう1時間足らずしてモントリオールのハンマーさんが「こんなに早く抜けなくてはならないとは…」と嘆きつつ帰途につく。お二人とも、遠路はるばるありがとうございました。
 残った6人は、場所を変えるには中途半端な時間だったこともあり、そのままラストオーダーまで居続けた。店を出たあとは一泊する好古真之さん(本当に遠いところを恐縮です)をホテルまで送ってから、解散。時間は午後11時過ぎ。気がつけば足かけ12時間の耐久オフとなっていたのだった。

 最後に、参加してくれた大ちゃんの妻さん、好古真之さん、モントリオールのハンマーさん、SUGさん、NALさん、加藤隆史さん、こじましゅういちさん、本当にありがとうございました。至らぬ幹事ぶりでしたでしょうが、私自身は非常に楽しい一日でした。以上!

・追記:他の方のオフレポリンクはこちらから。
  NALさん
  加藤隆史さん

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