SF名文句・迷文句第10集

しっかし、早いもんです。

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第9集を見る  感想を書く(文句toめい文句)  第11集を見る  


「…いってらっしゃい、ノリコ、カズミ、帰ってきたらオカエリナサイと言ってあげるわ。」

 出典: GAINAX制作  庵野秀明・監督「トップをねらえ!(OVA)」

紹介 :ハヤト 様
HP :

コメント:
 OVA「トップをねらえ!」最終話で主人公のタカヤノリコとアマノカズミが最後の特攻をする際のユングの台詞。一般相対性理論が二度と自分達に同じ時間を与えてくれないのを知っていてもタカヤとアマノは「いってきます」と言い、ユングは「おかえりなさい」を約束する。そして一万二千年後、ユングは、人類は、約束を果たすのである。
「エヴァ」ばかり騒がれがちなGAINAX作品ですが個人的にはこれと「ナディア」の方が好きですね。特に「トップ」はアニメのSFというのもいいなと思わされた作品なので思い入れが深くなっています。

紹介 :いいい 様
HP :http://www.geocities.co.jp/Bookend/6826/

コメント:
 このアニメは小学校低学年の時、始めて見ました。ラスト「果てしなき流れの果てに」は、小松左京の作品の名前を使っても良い位クオリティーが高いと思います。はづかしながら感動してしまいました。ウラシマ効果をあんなにうまく使うとは。
 でも序盤ただのパロディだけど(笑)

駄弁者:
 ついに、と言うよりはもう、200点目のご投稿!
 「トップをねらえ!」は、むかしどこかのパソコン雑誌(たしか「コンプティーク」だったかな?)でマンガが載っていたのを少し見たことがありますが、話はほとんど知りません。なんかでっかいロボットが出ていたので、あんまりSFじゃないかな…と思っていたのですが、そうでもないようですね。
 ユングが12,000年の時を経て「おかえり」を言うには、自分も相対論的速度で移動するか、さもなくばコールドスリープぐらいしか思いつかないのですが。ひょっとして、もっと奇抜な方法があるのでしょうか?

追記(00/04/24)
 いいいさんからもご投稿をいただいたので、コメントをここに付けさせていただきました。そういえば、ご投稿が重なるのは今回が初めて。よほど印象に残る名文句のようですね…。パロディ作品とはいえ、あなどりがたし。



「俺は、一続きのアクシデントの犠牲者だった!ほかのみんなと同じく。」

 出典: カート・ヴォネガットJr「タイタンの妖女」(浅倉久志訳)

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 人類を自滅から救うため、その身を捧げて全滅した「火星軍」の唯一の生き残り「宇宙のさまよい人」の地球生還の感想を求められての言葉。「銀河ヒッチハイク・シリーズ」に出てくるアグラジャク氏の「それを証明してみせろ!!」というお言葉と組み合わせるとコントが出来上がります。

駄弁者:
 「ひとり生き残った英雄」にこんなセリフをはかれたら、さぞみんな困惑することでしょう。テレビのインタビューだったら、まずまちがいなく編集が入るな。
 前にも言ったことがあるような気がしますが、私はヴォネガットはまだ1冊も読んだことがないんです。洋モノのユーモアはいまいちピンとこないことが多いので、少し足踏みしてしまうんですよね。しかし、屋良さんにお勧めも紹介してもらったことですし、ぼちぼちとりかかろうかな?



「もしあたしがそうしたら――そうしたら、あたしをお嫁さんにしてくれる?」

 出典: ロバート・A・ハインライン「夏への扉」(福島正実訳)

紹介 :西遊記 様
HP :

コメント:
 自分と一緒に未来へ来ないかと誘う主人公、それに対しヒロインは何も言わずただ黙っていたが、やがて口を開き、、、
 もはや単に傑作という枠すら超えた感のある「名作」からです。ヒロインのこの決死の告白を読んだとき、涙が止まりませんでした(ついでを言うなら電車の中だったんで違う意味で困った)。この名文句が目に飛び込んできたそのとき、理性も論理も何もかも吹き飛び、何も考えることもできず、ただ、ただ、あふれ出る情感に押し流される感じでした。
 と、まー、まじめな話はこれくらいにしといて、いやホントすっごくおもしろかったちゅーか、生きていてよかったちゅーか、未来を信じられるよーになるっちゅーか、猫が飼いたくなったっちゅーか、いやいやホント自分の表現力のなさが恨めしっす。
 そういえばあと2年したらダニイとリッキィとピートが目覚めるんですよね。2001年5月1日はお祝いをしましょう(^^)ところで護民官ピートは今いくらぐらいするんでしたっけ?

駄弁者:
 「あたし、おじちゃんのお嫁さんになる!」とか「ぼくはおねえちゃんと結婚するんだ!」とかは、子供によくあるセリフなんですが。リッキィはその言葉つらぬきとおしてしまうんですよねえ……。自分が大人になったとき、子供の頃あこがれだった人が歳をとらずにいれば、やっぱりその人を好きになれるんでしょうか?
 リッキィもすごいですが、それ以上なのはダニイ。やっぱり「最強だなこの男」(byりんご様・名文句第6集参照)。



ジーンが存在に呼びこんだのは非在。
そして、ひとたび非在が夢見られると、星々そのものが危険にさらされる。
ジーンはきっと魂の底までぞくぞくしたことだろう、トーキング・マンが魂のある彼女を夢見る夢を見ていたら。
時の終わりでまわれ右するには千の千倍の歳月がかかる。
ジーンが回れ右すると、トーキング・マンは消えていた。

 出典: テリー・ビッスン「世界の果てまで何マイル」(中村融訳)

紹介 :ふいごのマロウ 様
HP :

コメント:
 この作品は「ポップなタッチで描いたSFロード・ノヴェル」だそうですが、そう形容すると、なんか安っぽいかな?
 いい作品なんですが・・・目録落ちですねえ。
 売れなかったんだろうなあ。きっと。

駄弁者:
 テリー・ビッスンは読んだことないなあ、と思っていたら、SFマガジンの500号記念号で短編をひとつ読んでました。「穴のなかの穴」という天才中国人学者が出てくる話でした。結構ノリのいいほら話でしたよ。
 私はあまり自動車に興味がないので、ビッスンの自動車マニアぶりがうかがえるという「世界の果てまで〜」は結局読まずじまいでした。惜しいことをしたのかな?



「ミスを犯すのは人間だ」

 出典: A・C・クラーク原作,S・キューブリック監督「2001年 宇宙の旅(映画版)」

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 ディスカバリー号のHAL−9000と地球の9000型コンピューター(SALちゃんもいたのでしょうか?←気にしないで下さい)の判断が食い違ったことについて、HALは扱った技師の設定条件が正確ではなかったのだろうとなどと言って、この一言。
 2000年問題にしてもそうですが、大抵のマシン・トラブルは突き詰めていけばヒューマン・エラーなんですよね。HALの機能不全にしても(小説版や「2010年〜」に詳しい)ヒューマン・エラーなわけですよね。 でも、逆からいうと、所詮HALは主体性の無い機械という事にもなりかねないわけですが。

駄弁者:
 HALがまだ「機械」だったころのセリフですね。
 とはいえ、HALの「機能不全」というのは要するにノイローゼみたいなもんだと思うんですが、そんな状態になること自体、彼がすでに単なる「機械」でなかった証拠でしょう。
 まあ、真実にしろ、言い逃れにしろ、コンピュータにこう言われると人間としてはちょっとイタいものがありますが。
 ところで、ヒューマン・エラーと言えば、つい先日東海村でとんでもないのがありました。HALに鼻で笑われそうです。 



「ロシア語で考えるんだ、必ずロシア語で。」

 出典: 監督・主演 クリント・イーストウッド「ファイヤーフォックス」

紹介 :やん 様
HP :

コメント:
 ソ連の試作戦闘機(舞台は1982年当時)ファイヤーフォックスを007顔負けのスパイアクションで主人公ガントが、ソ連の基地から奪取し、追尾してきた2号機と北極海上空で激しい空中戦の末これをこれを撃墜してハッピーエンドという映画でした。
 ファイヤーフォックスはマッハ5(たぶん)の超高速を出し、火器管制のみ思考制御(なんだそりゃ)という機体でした。機体のデザインは正にNASAで開発していた超高空、超音速爆撃機XB−71ヴァルキリーの縮小形そのものでした。その当時には確かに現実感がありました。
 その映画のクライマックスのセリフが標記「ロシア語で考えるんだ、必ずロシア語で。」でした。まるでデススターの空中戦を彷彿とさせるような空中戦のすえ2号機に追い詰められたガントが機体後部から発射するミサイルを撃とうとするが撃てません。そのときソ連の基地で奪取をサポートした反体制科学者のこのセリフを思い出すのです。ガントはなーんだそーだったのかと、ロシア語で考えてあっさり2号機を撃墜します。
 でもこのセリフ某映画のあのセリフとタイミングも状況もおんなじなのです。「フォースを使え、フォースを使うんだ。」わたしの好きなファイヤーフォックスはSWのパクリだったのです。SWの悪の帝国軍はファイヤーフォックスではそのまんまソ連になっていて、その思いっきりのよさに冷や汗が流れます。ファイヤーフォックスはレーガン政権下で創られたSWの対ソ連のプロパガンダ映画版とも取れる映画だったのです。
 必ず実現可能であるかのようにいわれたファイヤーフォックスも現実のXB−71が計画中止になったのと同じよう実現することはありませんでした。その代わり世に出てきたのは見えない戦闘機に代表されるステルス技術でした。超音速でも早期警戒システムで敵に存在を知られればどうしようもないということでしょうか。超音速戦闘機その響きは現在では正に実戦的でないSF的といえるのでしょうか・・・・
 ちなみに私は好きですそんな「ファイヤーフォックス」が。

駄弁者:
 火器管制のみ思考制御というと、ガンダムのサイコミュみたいなもんでしょうか?こいつは現代兵器ではまだまだ実現してませんね…。マッハ5も実現していませんが、これは技術的というより、そんな戦闘機を作る意味がないからでしょう。「世界最速」のMig25もとっくの昔に姿を消してますし。

 それと……。そうか、ロシア語をマスターすると念力で戦闘機を宙に浮かせたり、弾丸を剣ではじき返せるようになるのか。第2外国語、こっちにしといた方がよかったかな…。
 あなたがキリル文字とともにあらんことを。



「わたしが死ぬ、あなたがそれをする、でもわたしは死ぬようなことはしてないわ――死ぬようなことはなにも――」

 出典: トム・ゴドウィン「冷たい方程式」(伊藤典夫訳) 同名短編集に収録

紹介 :ハヤト 様
HP :

コメント:
 私は「何事にも緩急は必要」と思い、SFを読むときも「楽しい」作品の後には「悲しい」作品、「幸せ」のあとには「不幸」な作品を読むようにしてある程度変化を付けているのですが(でないとマンネリしてしまうので)。でも、さすがに「ジョナサンと宇宙クジラ」の後にこれを読んでしまうと・・・。なんだか読後は一日やるせなくなってました。

駄弁者:
 一人分ぎりぎりの余裕しかない緊急連絡船に密航者が。即船外退去させるべきだが、その密航者というのが…。
 あらすじを紹介するのも今さらな気がします。短編SF名作中の名作「冷たい方程式」。
 もっと早くに誰かが投稿してくるだろうと思っていたんですが、意外と無くて。
 この話は、ご都合な展開で逃げないところが名作たるゆえんですね。無理にけなせばセリフがやや芝居がかりすぎかな、とも言えるんですが、私の場合、そういう感想が出るまでに3回読み返してしまいました。
 「ジョナサン〜」の次にこれだと、ちょっとしんみりしすぎてしまうかも知れませんね。どちらも「情」系の作品なので。
 私はSFが続けて読むときは「理知」系と「叙情」系が交互になるようにしています。泣ける話のあとはハードSFにするとか。



うおおおぉぉやるぜ――おれはやるぜ―!!
GARPは湧き上がる喜びと新たなる決意を再計算した。

 出典: 原作・イラスト ☆よしみる 著 秋山瑞人「E.G.コンバット」

紹介 :記由 様
HP :

コメント:
 GARPというのは誰かというと、じつは「双脚砲台」なんですね〜。正確には、それに搭載された「流体脊髄」という人工知性体ですが。多脚兵器である彼(?)は、オルドリンでも屈指の「当り」の「流体脊髄」で、やたら人間臭い言動をします。
 名文句は今までまともに操機演習すらしていなかった、GARPの部隊に新しい教官(主人公)が赴任すると聞いたときの彼の喜びの描写です。機械といえど喜びが伝わってくる名(迷)文句でしょう。
 ちなみに「E.G.コンバット 2nd」で部隊を守るために、彼が選択した行動は本当に泣けました。ライトノベルスで泣いたのは久しぶり。

駄弁者:
 吠える熱血コンピュータ?セリフの熱さと対照的な「決意を再計算」というのが面白いです。
 ちなみにこの「E.G.コンバット」は「3rd」まで出版されていて、次の「4th」で完結だそうです。



このオルドリンにはハミングロウルのシュミレータというものが存在しない。…(中略)…訓練生はみな、本物のコンソールにゲロを吐き、本物のシートに小便を漏らし、本物の気密障害で本当に死んだりする。

ところで、今、ペスカトーレが射出座席のレバーを引いた。

 出典: 原作・イラスト ☆よしみる 著 秋山瑞人「E.G.コンバット」

紹介 :記由 様
HP :

コメント:
 出典の「E.G.コンバット」は英雄である主人公が訓練校に左遷され、5人の落ちこぼれ生徒を鍛える、といったどこかで聞いたような話です(女性兵士の養成所ですし)。
 1巻目は物語の導入と、主人公が生徒に信頼されるまでのエピソードで、上の迷文句はその一節です。 生徒の過酷な訓練を描写した後で、思い出したようにさらっとトンでもないことをつけくわえる表現がすばらしい。このシーンの後の主人公のこころの声が笑えました。
 ちなみに舞台の月面にある訓練校の名前が「オルドリン」なのはご愛嬌というやつです(笑)

駄弁者:
 どこかで聞いたような話、というのはゲームの「卒業」あたりでしょうか。育成ゲームは面倒くさくて、あんましやったことないですが…まあ、それはおくとして。
 過酷な訓練、というか備品の浪費。訓練生をシゴくのにいちいち実機を使っていたら、何機あっても足りないような気が…。
 「ところで〜」以下のトボけた調子はちょっと良いです。



「この宇宙はね、羊と、羊じゃないものからできているんだよ」

 出典: 夢枕獏「羊の宇宙  カザフの少年と物理学者との宇宙に関する対話」 「鳥葬の山」に収録

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 遥かな青い空の下、天山(テンシャン)山脈の見える草原で、「重力」とは?、「宇宙」とは?、「物質」とは?「時間」とは?等々の様々な事柄について日が暮れるまで語り合う羊飼いの少年と引退した老物理学者。 上の文句は「宇宙がどういうものでできているか」についての少年の答えかたの一つである。
 読後、高原の空気にも似たすがすがしさを感じた作品。
 もっとも、この本に収録されている他の作品はおどろおどろしてたり、殺伐としてたりで、とてもすがすがしさどころじゃないんだが……

駄弁者:
「羊と羊じゃないもの」、ですか。
 いいですね、シンプルで。くだくだしく名前をつけて理解した気にならないと落ち着かない自分が、小さく思えたりして。



「くそ、フェットめ!こざかしい真似を!」
「奴はほんとに頭がいいぜ。ボスク。」
「だから一番の腕利きなんだ」

 出典: ストーリー:J・ワグナー ペンシラー:K・プランケット「スター・ウォーズ/シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア[帝国の影](漫画版)」

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 この[帝国の影]は小説、漫画、音楽、ゲームのバージョンがありまして、それぞれが微妙に異なっています。中でも漫画版ではあのボバ・フェット様が一番ご活躍なさります。
 この台詞はフェット様が職権乱用(?)のレイア・オーガナ(当時)や賞金の横取りを目論む賞金稼ぎ達を振り切り、無事ハン・ソロ(カーボン・フリーズ済み)を届け、悠々と帰っていくときに賞金を稼ぎ損ねたザッカスとボスクの間で交わされた会話です。
 ところでフェット様はEp2に登場するとか・・・・ しかも実はEp1の○○が将来ボバフェットになるとか・・・・
 ちなみに旧三部作<特別編>では三作全てに登場しています。

駄弁者:
 映画だけ見てると、「誰?ボバ・フェットって」ってなもんですが。「帝国の逆襲」でダース・ヴェイダーに雇われた、フルフェイスヘルメット(というか鉄仮面?)の賞金稼ぎが彼です。ファンにはかなり人気があるとか。
 映画に表れないところに非常に細かい裏設定がされているのは、SWの意外な深さの一つです。
 ところで、なぜに敬語…?



「“人類を守るりっぱな仕事”ってやつですね。」

 出典: 原作:GAINAX 漫画:貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン(漫画版)STAGE.1 使徒、襲来」

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 個人的には漫画版のシンジ君の方が少しひねくれてて好きです。そんなシンジ君の身も蓋もない台詞から。
 漫画版は初めからアクションより精神世界重視な感じですがこの後どうなるのでしょうか。
 ちなみにTV版第壱話「使徒、襲来」での台詞はフイルムブックによると
シンジ「特務機関ネルフ?」
ミサト「そう、国連直属の非公開組織。」
シンジ「父のいるところですね。」
ミサト「まっねー。お父さんの仕事、知ってる?」
シンジ「人類を守る、大切な仕事だと先生から聞いています。」
と、なっています。

駄弁者:
 ノヴェライズや映画化、漫画化とかで楽しみなことのひとつは、物語やキャラクターのニュアンスを翻案者がどうとらえているかを見ることですね。自分の見方と違っていても、それはそれで面白いです。
 もっともニュアンス以前の見当はずれ、というのもわりとありますが…。
 ところで、ご投稿の名文句、皮肉を言える分、マンガ版のシンジ君の方がしっかりしているようです。性格設定からいけばTVの方が「らしい」ようにも思うんですけどね。「〜先生から聞いています」あたりが。



“シーフォート校長‥‥‥”士官候補生の声は疑いと失望でひどく乱れていた。“あなたは嘘をつきましたね!”

 出典: デイヴィッド・ファインタック「決戦!太陽系戦域(下)<銀河の荒鷲シーフォート>」(野田昌宏訳)

紹介 :ピカピカチュー・I 様
HP :

コメント:
 士官学校の校長に就任した我らがニック・シーフォート。慣れない政治絡みのストレスから士官見習生時代の思い出にトリップすることもしばしば。“魚”と戦ってるときが一番生き生きして見えるなんて、やっぱりどこまでも不幸なお方だよねぇ。
 どうやら著者のファインタック氏は、この巻をもってシリーズ完結にするつもりでおられたみたいです(結局ファンの熱い要望にこたえて続きが出たそうだけど)。“魚”との一応の決着もこの巻でついているので、3巻までお読みになって続きどーしよーかなーと迷っていらっしゃる方、とりあえずここまではお読みになってみてはいかがでしょうか?
 ただしラストは・・・茫然自失モノです(^^;)

駄弁者:
 以前、ピカピカチュー・Iさんは「シーフォート」は「ヤマト」に通じるところがあるように仰っていましたが、「ヤマト」の古代進も平和なときにはこんな感じじゃないでしょうか。…というか「ヤマト」や「シーフォート」に限らず、平時の能吏タイプがスペオペの主人公になるはずないか…。



「きみたち、ブラックホールを 食べたこと あるかね?」
…(中略)…
食べられそう になったことはありますが、その逆は経験ありません。ブラックホー ルって、食用になるようなものなのですか?」

 出典: 石原藤夫「ブラックホール惑星」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 『ブラックホールのお茶漬け』。
 SFにおける「ブラックホールの利用方法」、となると私が知っているだけでも、ゴミ捨て場からはじまって重力カタパルト、人工太陽、兵器、エネルギー発生源、宇宙船の推進システム、宇宙ハイウェイ、ペット等々さまざまあるが、これ以上意表をつくようなアイデアは寡聞にして知らない。
 なんでも、マイクロ・ブラックホールを質量にして10g、数にして一万以上摂取するとえもいわれぬうまさとともに日本の古典的SFファンの夢を完璧にみたすような幻覚を体験できる……とのことである。
 この作品は(おそらく)ホーキング博士のマイクロ・ブラックホールについての研究が発表される以前のものだが、さしずめ今なら「はじけるおいしさ!」とでも言うところだろうか?

駄弁者:
 なんか食っても腹の足しにならないばかりか、他に食ったものも全部「事象の地平」の彼方に吸い込まれてしまうような気がするんですが。ダイエット食品としてウケるかも知れません。
 ちなみに石原藤夫の「惑星シリーズ」は邦版ハードSFのオーソドックス、ないし古典。私は「ハイウェイ惑星」しか読んだことがないですが…。



「おお、ミクロマン、ミクロマン! いまどこにいる? おお、そうか、冥王星か。頼みがある。この男の体に入って、アルコールを抜いてくれないか?
 え? ミクロマンは何人いるかって? その数二億」
(注 うろ覚え)

 出典: 吉本新喜劇(池乃めだか)

紹介 :guntech 様
HP :

コメント:
 これってやっぱりナノマシン・・・
 すいません、うろ覚えで投稿してしまいましたが。ぼんやりとテレビをみていただけなので。ちっちゃいおっさんこと、池乃めだか氏の一人芝居ギャグ、ミクロマン篇です。
 全国区では知名度はないでしょうが、関西人ならしらないひとはない、ベテラン新喜劇俳優です。
 とうとうナノマシンはポコポコヘッドやカモーンと同じレベルにまで普及してきました。

駄弁者:
 しかし、吉本からの「迷」をのせるのは…
 素晴らしいじゃないか!
 これはボツにしてはいけないでしょう、関西人としては。
 一応ナノテクSF(???)ということなので。たまにはいいでしょう(たまには、ですが)。
 ただ、この名文句を読んで、あのおっさんの顔をしたナノマシンが続々と口に入っていくシーンを想像してしまいました。
 食欲、なくなりそうです。



「生きてるだけが人生じゃない。」

 出典: アンドルー・チェイキン「人類、月に立つ」(亀井よし子訳) 

紹介 :りんご 様
HP :

コメント:
 アポロ1号の事故(電気系統のチェック中火災発生、船内にいた3人の宇宙飛行士は焼死)の知らせを聞いて、同じく宇宙飛行士である夫に妻はたまらずに言う。「もしかしたら1号に乗っていたのはあなたかもしれない。やめることはできないの。」
 それに答えたせりふがこれ。
 彼らだって死ぬことは覚悟していた。むろん自分も。
 小説やマンがでよく見るせりふだけど、実生活でこんなこと言える人ってそういないと思う。真実言ったかどうかはこの際関係ない。確かにそういう気持ちであったに違いないと思うから。
 あれ、ところでこれってSFじゃない!?むしろ正反対!?
 きゃー、怒んないで〜

駄弁者:
 怒りはしませんよ、ノンフィクション出典は前例が出来てしまってますし。たまにはいいでしょう(たまには、ですが)。投稿の名文句も本当にいい言葉ですし。
 「いい人生」というのは、本人が納得して、いい終わりを迎えてこそ「いい人生」。ただ生存していればいい、というものではないでしょう。
 でも、軽々しく言っていいセリフではないですね。この名文句のシチュエーションは希有な特殊例。



「アーニー・チャップルのために乾杯するかね?」
ベラ・ジョードはほほ笑みながら、「彼も含めて祝杯をあげよう。だが、まず自分達を失業させるために働いている人びとへだ。人類が医者を必要としないほど健康になる日のために働いている医者達へ。訴訟なんてものがなくなる日のために、働いている弁護士たちへ。犯罪なんてものがなくなって、自分達の必要もなくなる日のために働いている警察官、探偵、そして、犯罪学者たちへ」

 出典: フレドリック・ブラウン「1999年」(都筑道夫訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 また、「1999年の名文句」…って、作品名そのまんま(笑)(原題:Crisis1999)
 犯罪学者アーンスト・チャップル博士の失踪から2年、シカゴの暗黒街に異変が起こっている。確実な証拠をつかんでいるにもかかわらず、犯罪者を有罪にできないのだ。
 どんな証拠を突きつけても、ごまかし不可能なはずの嘘発見器を通した彼ら自身の無罪を意味する発言の前では、無意味になってしまう!
 そして、世界最高の探偵ベラ・ジョードが捜査を続けていくうちに導き出したのは意外な「結論」だった…

駄弁者:
 医者と警官はともかく、弁護士は訴訟がなくなるために働いているんでしょうかね?なんとなく、依頼人がいなくなったら自分で訴訟を起こしそうな気がするんですが。



いま彼らといる男は、一島宇宙を支配する種族の興亡を、その目で見てきたのだ──この子供たちは、たしかにその種族の遺伝的部分にちがいないが、その後継者にはどうあがいてもなれないだろう。歴史は彼らの横を素通りしてしまったのだ。

 出典: ジェイムズ・ブリッシュ「時の凱歌 (宇宙都市4)」(浅倉久志訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 スピンディジーと呼ばれる反重力フィールド発生器によって地球上の都市を都市基底部の岩盤ごとそっくり恒星間航行用の宇宙船にしたてあげることで昔のヒットソングそのまま、街が空を飛んで雲を突き抜け、星になっていた『宇宙都市』シリーズから、たぶん、往年にはどこぞでTOKIO(それともOEDOか?)という都市も活躍していたんだろう(笑)が、このセリフが語られたときにはそれはすでに過去の話、銀河系での宇宙都市勢力(ひいては地球人類)はすっかり衰退し、主人公たる宇宙都市ニューヨークの市民達はすっかり大マゼラン星雲の一惑星に帰化してしまっていた。
 そこに、目的のためには手段を問わないという言葉の天然色の見本のような過去の請け負い仕事の「結果」がとんでもない情報を携えて、やってきたのである。惑星まるごとで。
 壮大さとむなしさはかなさが同居している毛色のかわった話である。まあ、それでも、なにかこう、ぐっとくるものはあるんだが……

駄弁者:
 「宇宙都市」とは懐かしい。恒星空間を都市がまるごと飛んで移動する、という圧倒的なイメージに惹かれて読んだのが高校の頃。「宇宙零年」「星屑のかなたへ」「地球人よ、故郷に還れ」そしてご投稿の出典「時の凱歌」の4部作。地球人の宇宙進出から、オーキー(渡り鳥)と呼ばれる宇宙都市の活躍、そして最後は宇宙の終焉までを語るという壮大なシリーズでした。
 主人公たちが次の宇宙の「元」となるという第4部ラストが印象に残ってます。



「それに…よく素人でもカンタンに核爆弾を作れるなんて話があるけど…」
「ああ、あれも大間違い!」
燃料用のプルトニウムをさらに濃縮しなければ爆発なんかしやしない。燃料用のプルトニウムで核爆弾を作ったとしても…起爆用の火薬でプルトニウムが四方八方に飛び散るだけで…」
「全然安全!」
「人畜無害!」

 出典: あさりよしとお「ラジヲマン Vol.6 頼れる仲間…!」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 「原子力がいかに安全か」を高らかに歌い上げていた作品「ラジヲマン」から。
 連載誌の休刊により作品は中断したままだがぜひとも再開を望みたい。

駄弁者:
 核分裂反応が起きなきゃいいってもんでもないような…。
 ところで、中学生が自由研究で核爆弾の設計図を書いてしまった、という「伝説」は本当なんでしょうか?



「兵を発起(はっき)す!天兵および地兵を発起す。陰兵および陽兵を発起す。水兵および火兵を発起す。海陸空の諸兵を発起す。四方四営の兵を発起す。」
   (中略)
「千千の将兵、帥(すい)に随(したが)いて行け!万万の将兵、帥に従(したが)いて起(おこ)れ!千将万兵、来りて列陣せよ。火急に律令のごとくせよ!」

 出典: 田中芳樹「創竜伝9<妖世紀のドラゴン>」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
「創竜伝」がSFか?は、投稿する本人もおおいに疑問があるのだが、宇宙艦隊(?)を発進させるのに必要なキーワードを入力しているシーンで非常にかっこいいので

駄弁者:
 対句を多用するところが、演義小説好きの著者らしい一節。
 宇宙艦隊だったらもう片方の代表作だと思いますが。
 SFかどうかはともかく、「創竜伝」は前は結構好きでした。7巻ぐらいまでは読んだかな?しかしふざけすぎが鼻についてしまって、最近は読んでません。
 これが田中芳樹作品で一番ハイピッチだというのがちょっと情けないような。



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