SF名文句・迷文句第15集

フォームに戻る

第14集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第16集を見る


「いかなる状況においても、一切の接触を禁ず」

 出典: バリントン・ベイリー「ブレイン・レース」(大森望訳) SFマガジン1990年8月号に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 異星人公式ハンドブック記載の「チド」の項にはこう記述されているにもかかわらず。
 大鎌猫によってぐちゃぐちゃにされた仲間を救うため、ロイガーとブランドは超絶した外科手術の技能を持つ「チド」に救いを求めてしまった。
 こちらの意図を理解してくれそうで、全然理解してくれてない、異星人「チド」この物語を読むと気が狂いそうになります。

駄弁者:
 ぱっと見スタートレックの「一般命令第1条(「艦隊の誓い」とも訳すな)」かと思いましたが、ベイリーでしたか。「禅銃」「時間衝突」などで有名なワイドスクリーン・バロックの代表選手。短編は読んだことないです。
 コメントの内容からして筒井康隆「ワースト・コンタクト」を連想したのですが…?



「これが宇宙で一番上手な火薬の使い方です」

 出典: アンドレア・ロモリ原作 日本アニメーション製作「宇宙船サジタリウス」

紹介 :図書室のねーちゃん 様
HP :

コメント:
 この間掲示板でも話題になったサジタリウスからです。まっさきに思い出すのがこの台詞。
 どっかの王様に「宇宙で一番上手な火薬の使い方を教えてくれ」と言う言葉とともに、大砲の弾の火薬の調合の仕方を教えるように強要されたアン教授が悩んだ挙げ句に教えたのは花火の調合の仕方。怒って問い詰める王様ににっこり笑ってこう答えたアン教授がとても強く印象に残っています。
 「花火の調合の仕方を教えたとしても、そのうちそれから爆弾等の調合ができるようになる人がでてくるんじゃないか」とか突っ込みいれようと思えば突っ込めるんですけど、今でも素直に感心してしまう台詞です。

駄弁者:
 ムーミンふう(あるいは「ほのぼのレイク」ふう)のキャラが印象的だったアニメより。サックスがシブいオープニング曲「スターダストボーイズ」も記憶に残ってます。というか、私がこのアニメについて覚えていたことといったら、この曲の最初の部分だけ…。調べてみたら、放送年は昭和61年〜62年。13、4年前になるんですね。原作はイタリアの物理学者が書いた絵本だとか(サトチさん、レファレンスありがとう)。
 投稿の名文句には、私も素直に拍手です。



「物事を成功させる秘訣を教えよう」
…(中略)…
「途中どんなトラブルが起きようと、その場は何とかごまかして最終的につじつまがあえば、世間ではそれは成功って呼ばれるんだ」

 出典: 笹本祐一「ハイ・フロンティア 星のパイロット3」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 ……その「つじつまをあわせる」所が、異常にやっかいなんだが……

駄弁者:
 …そう、名文句とは逆に、いままで全然トラブルがなくても、最終的につじつまが合わなければ、それは失敗なんです。
 ぐぁーっ!何度計算しても決算の数字が合わない…。と投稿いただいたときに書いていたのは、とりあえず解決したんですが。
 こんどは月末統計の数字が合わないーっ!!(泣)



「あんな幸せそうな顔をしている男をみたことがあるか?」とテッド・ロングが言った。「きっと結婚ていいことがあるんだろうな」
「ああ、あんた、宇宙に長くいすぎたんだよ」とリオスが言った。

 出典: アイザック・アシモフ「火星人の方法」(小尾芙佐訳) 同名短編集に収録

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 自らの政治的支持を得るためだけに、宇宙開発、ひいては火星に移住した人々の生活環境を壊滅させようとする地球人たち。それにたいし、相手が地球環境保護をお題目としているため、八方手詰まりに見える状況の中で一発逆転を狙う起死回生の策「火星人の方法」とはいったい?
 ……という話の本筋も実にいいんだが、その本筋終了後のこの一文が妙にいい。
 一般的に、アシモフの短編の最高傑作は「夜来たる」とされているようだが、私はこの話が一番好きだったりするんだよなぁ、これが………

駄弁者:
 アシモフからは久しぶりです。
 SFのアイディアもさることながら、登場人物の気の利いた言い回しも面白いです。
 そう言えば、アシモフの「バイセンテニアル・マン」、もうすぐ映画公開ですね。



≪たすけたい、そう思うから。それだけでは答えにならないだろうか?≫

 出典: 一条理希「ネットワーク・フォックス・ハンティング」

紹介 :図書室のねーちゃん 様
HP :

コメント:
 大地震で崩れたビルの中に閉じ込められた少年・わたる(病気で声が出せない)を、彼がパソコン通信で書き込んだ情報をもとにどこにいるのかを探す、をメインに様々なドラマが繰り広げられていて、結構好きな作品です。  直下型の大地震直後、なんて状況下ではしかたないのかもしれないけれど悪質ないたずらと思われたこと、「事実だろうがうそだろうが面白いからいい」と思われていたことから自棄になり感情的になって書き込んだ言葉「なぜ自分を助けようとするのか」に対する瀬尾が書き込んだ言葉。
 ちゃんとした答えになっていないのかもしれないけれどレスキュー隊だけにまかせないで自分も同行している人にこう言われたら説得力ありますね。(渋る隊長たちにちゃっかり「パソコン操作」の協力という形で同行認めさせちゃうし)
 地震が起きる前に会っているとか事実だとわかっているとか、そんなことは関係なくこういう時、人の頭にあるのはこういう発想なんだろうなと思います。

駄弁者:
 いや、多分人を助けるのにこれ以上立派な理由はないと思います。
 多分神戸の震災の時も、ここまでドラマチックでなくても同じように行動した人はたくさんいたでしょう。あの震災は悲劇でしたが、人間もそう捨てたものではないな、と思わせてくれることもありました。



「一般的には、科学というのがそもそも魔法だ」

 出典: 佐藤史生「夢みる惑星」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 ナノテクノロジーを説明する文章によくアーサー・C・クラークの同じような言葉が出てきますね。
 佐藤史生がこの言葉を知っていたにせよ全く別個に発想された言葉にせよ、作品中にさりげなくこんなセリフが出てくるあたり、さすがですね。
 SFとしての面白さではなく、物語と異星の風物詩を楽しむタイプのマンガです。
 類似のSFを探していて気が付いたのですが、この作品、ジャック・ヴァンスの「竜を駆る種族」の影響を受けていますね。異星の竜に類似した生物を家畜として飼い慣らす習慣はたぶん「竜を駆る種族」からアイデアを得たのでしょう。

駄弁者:
 たしか、クラークのは「十分に発達した科学は、魔法と区別がつかない」でしたっけ。
 竜を飼うSFというと、私はマキャフリィ「パーンの竜騎士」シリーズを連想しますが…。これもヴァンスの影響をうけているんでしょうか?



「ママーッ!!」

 出典: 星野之宣「セス・アイボリーの21日」 「スターダストメモリーズ」に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 セス・アイボリーの乗船する生命調査船リンクが事故を起こし、シャトルの近くにいたセス・アイボリー1人が惑星「リンデン」に不時着した。救助要請を打電したが、救援が来るのは早くて21日後と推定された。 生物の生育が異常に早いその惑星で、2日後、自分の体に起きた変化で、自分の身に降り掛かった、真の災難を知る事になる。
 2日の間に10年は年老いていたのだ。
 セス・アイボリーのこのセリフは心の奥まで突き刺さってくる様です。
 実際には2ページに渡って泣き叫んでおり、その言葉の一言、一言が自分でも同じ境遇になったら、そう感じるだろうと、心が痛むのですが、全文紹介したらネタばれになってしまうので、一連のセリフの最後の一言です。  ストーリー自体は全然異なりますが、トム・ゴドウィンの「冷たい方程式」と「セス・アイボリーの21日」には「逃れようのない、絶望的な情況に置かれた人間の話」と言う点において共通点がありますね。

駄弁者:
 このあいだ買って読んだのですが、一番印象にこったのがこの作品でした。セス2の運命が切なすぎます。
 …うう、これ以上書くとせっかくNALさんが自粛しているのにネタをばらしてしまいそう。
 「冷たい方程式」について言えば、登場人物がひとりではなく、「絶望的な状況」に陥った罪もない少女を座視しなければならない男がいるという点で、「セス〜」とはニュアンスが違っていると思うのですが、どうでしょうか。



「ガァ」

 出典: ハリイ・ハリスン「テクニカラー・タイムマシン」(浅倉久志訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 映画会社がタイムマシンを使って、ヴァイキングの生活していた時代に行き、ヴァイキング映画を撮影する、コメディSF。
 セリフの場面は、酒で釣ったヴァイキングに英語を教えるため、歴史顧問の大学教授を現地に残し、タイムマシンで現在に一旦戻った他のメンバーが現地時間で2カ月後に戻って来たならば、現地では実際には1年以上が経過しており。おまけに生徒のヴァイキングはタイムマシンが消えると共に教授を殴りつけ、英語を覚える報酬の酒を奪い去り、教授を下働きにこき使っていた。
 ヴァイキングのオッタル君曰く「楽に手に入るのになぜ仕事する必要あるか」
 セリフは下手な慰めの言葉を受けた教授が怒りのあまり吐いた言葉です。
 私には(本はほとんど読まない)弟が一人いるんですが、かつては、自分が読んで面白いと感じて、かつ一般の人でも喜びそうな本はたまに進めて読んでもらっていた事がありました。この本もそのうちの一冊です。
 ある時この本を話題に持ち出した時「お兄ちゃん、オレその本、ガーしか覚えてないよ」(そんなにつまらなかったか、弟よ)
 それ以来、この本は兄弟間では「ガー」と呼称される事になったのでした。

駄弁者:
ヴァイキングの流儀と言葉(?)を学んだ大学教授にとっても、それなりに有意義だったかも。
「楽に手に入るのになぜ仕事する必要あるか」
こっちも名文句ですね。



「私にとって謀略とは芸術だったが、タウンゼントにとってはビジネスだった。私が彼に敗れたのは当然だ。誰を恨みようもない」

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説[6] 飛翔篇」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 パルムグレンを「将軍時代のナポレオン」、フランクールを「皇帝時代のナポレオン」にたとえるならば、タウンゼントは「タレイラン+ルイ18世」、そしてチャオ・ユイルンは(私の好きな)「ジョゼフ・フーシェ」、でしょうか。
BGM:「ピアノ・レッスン」マイケル・ナイマン

駄弁者:
 「銀河英雄伝説」の前史、地球統一政府から植民星連合が独立し、銀河連邦が成立するまでのエピソードより。地球軍の大虐殺を辛うじて生き延びた4人は、植民星連合の指導者となった。パルムグレンの指導力、タウンゼントの経営力、フランクールの用兵、ユイルンの謀略…「適材適所の模範」と賞賛された、チームワーク。彼らの活躍で地球政府の打倒はなった。だが4人の中核だったパルムグレンの死後、残った者は政争を始める。
 ご投稿の名文句はタウンゼントからの逮捕状を前にしたチャオ・ユイルンの言葉。
 「銀英伝」のこの部分を革命フランスになぞらえるのは、初めて見ます。私は田中芳樹の中国癖からして、「フランクール=韓信」「ユイルン=陳平」と思っていました。…すると、「パルムグレン=劉邦」「タウンゼント=蕭何」になる?これはちょっと、当たってませんね。
 BGMが「ピアノ・レッスン」なのは、ユイルンの本職が音楽学校の先生だったから?



「どうやら、それがわれわれのやる一切のことの目的らしいな――パラドックスをオーソドックスに変えるということが」

 出典: J・P・ホーガン「創世記機械」(山高昭訳)

紹介 :りんご 様
HP :

コメント:
 これぞ科学の醍醐味、そして夢ですな。昔の人は空を飛びたいと思っても、その方法が分からなかったから空中浮揚を想像した。そこに足りなかったのは技術、道具。電話もそう。この場合、テレパス。だから今は不思議でも、きっと将来は可能なことだよ、と。そういう会話の締めの文句。いやあ、前向きでいいね。

駄弁者:
 ホーガンの描く科学者像はみな毅然としていて、かつ良い意味で楽観的。
 第14集の「スカイラーク」の名文句にも通じるものがありますね。観察された事実に理論と矛盾するところがあれば、それを包括した新しいオーソドックスを創り出す。科学はそれの繰り返し。



「明日の2時、ガンダム倒してこのコロニーを守ってみせるさ」

 出典: 「ガンダム0080 ポケットの中の戦争」

紹介 :モントリオールのハンマー 様
HP :

コメント:
 ガンダムを、破壊もしくは奪取できなければ、クリスマスに核爆弾が落とされ、コロニーごと破壊される。それを知り、一度は逃げ出したバーニーだが、ガンダムと戦う決心をする。
自分を兄のように感じて、信じ、慕ってくれるアルを、淡い恋心を抱き始めているクリスを、そしてコロニーを守るために。自分の信じる事をやり遂げるために。戦えば、おそらく自分の命はないだろうと知りながらも。
この、「ポケットの中の戦争」の名文句は、ほかの人に聞けばこれ以外のものが出てくるでしょうが、私の一押しは、これ以外にありません。
見るたびに、どこかで泣かされてしまう作品です。

駄弁者:
 ええと0080というと、たしか初めてOVA化されたガンダムでしたね?
 …見てない私にとっては今ひとつ「名」を感じ取れないのですが。しかし、見ていない、あるいは読んでいない人にとってはただの「言葉」でも、ストーリーを通すと感動を呼ぶ。程度の差こそあれ、名文句とはそういうものかも知れません。



「Hasta la vista Baby(地獄で会おうぜベイビー)!」

 出典: ジェームズ・キャメロン制作・監督・脚本 「ターミネーター2」

紹介 :モントリオールのハンマー 様
HP :

コメント:
 気づいてみれば、なぜ誰も入れてないんだろう?という言葉。駄弁者さんがおっしゃる通りに、皆さんメジャーを避けておられるのでしょうか。まあ、スタートレックと比べては、SF色はだいぶ薄いけど。
 未来から送られてきたT800。元々、ロボットである彼は、使命の事もあり、ほとんど人間味を感じさせない。だが、ジョンとの教育(?)も含む交流の成果か、多少の人間性も感じさせるようになる。その中で、必殺を予感しての、ジョンを狙うT1000に言った言葉は、ジョンから教わったこの言葉だった。
 この台詞を、映画の中で初めて聞いた時、すごく上手いな、と感じました。やっぱりキャメロンは、凄かった。また、言わずとも知れていますが、この映画は感動ありの秀作で、出会いは薦められてのレンタルビデオだったのですが、その一週間の間に、十回は見てしまったほど。もちろん今は、家においてあります。

駄弁者:
 「ターミネーター2」は、ラストシーンが印象に残っています…さすがに10回は見てませんが。
 あんまり関係ないですが、ダン・シモンズ「エンディミオン」に出てくるシュライクは、主人公を襲うほうから守るほうになったという点で、なんとなくターミネーターを連想しました。もっともシュライクの方には人間性は皆無でしたが。



署長 「武器を持ってこい!ありったけの武器をかき集めろ!!」
警官 「署長!!武器庫が・・・・・・カラッポです!!」
ボルト「悪いな 俺が全部食った」

 出典: 吉富昭仁「EATMAN VOL.10 ACT-36 HELP」

紹介 :モントリオールのハンマー 様
HP :

コメント:
 イートマンを象徴するかのような台詞。だが、名言と言うものは流用したくなるものではあるのですけど、こいつを自分で言うのは、不可能かな?と思える一言。食事をしている時に、こんな事を言っても、ただアホなだけです。

駄弁者:
 ネジを食らう冒険屋という、何というか独特な主人公。出典のコミックではやけにカッコいい兄ちゃんが描かれていますが、実は日本アパッチ族出身かも知れません。
 とりあえず、流用する前にクギの一つかみも食って見せないといけないのでは?



「それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…」

 出典: ウルトラセブン 第26話 『超兵器R1号』

紹介 :記由 様
HP :

コメント:
 核兵器8000個分の威力を持つという、ウルトラ警備隊の開発した超兵器、R1号。ウルトラセブンの仮の姿、モロボシ・ダンはその実用化に反対します。敵がさらに強力な兵器をもって侵略してきたらどうするのかと。それに返ってきた答えが「その時は我々がさらに強力な兵器を開発して対抗すればいいじゃないか」(確かフルハシ隊員)。投稿の文句はそれを聞いたダンの独白です。
 ウルトラセブンもウルトラマンシリーズであるからには当然、子供を主な視聴者として造ってあるのでしょうが、セブンの話には、このような現代の大人が見てもぎくりとするようなシーンが度々あります。まあ、そういう所が好きなんですが。

駄弁者:
 おお、ウルトラマンシリーズにもこんなシブい名文句が…。8000個分って、ウルトラ警備隊は日本を道連れに怪獣と心中するつもりなんでしょうか。
 核兵器開発競争が念頭にあるのでしょうが、やっぱり「セブン」はひと味違いますね。



『ピーター・アーツ vs ガリレオ・ガリレイ』
この本はそういうお話です。

 出典: 秋山瑞人「猫の地球儀 −焔の章−」

紹介 :記由 様
HP :

コメント:
 あとがきの作品紹介より。
 人類のいなくなったコロニー内で、高度な知能を持つまでに進化した猫たち。これは彼らが主人公のSFです。その内容は、というと…。(以下あとがきより引用)
−−−−−−−−−−
 たとえば「ロケット造って月に行く」と口にしただけで殺されちゃうような社会があるとします。そこに住む人々はみんな「K−1」みたいな競技にうつつを抜かしています。そんな社会に、それこそ何でもできちゃうような超天才がいて、そいつは山奥に隠れてこっそり月ロケットを造っています。ところが、ある日突然、そうした状況に天才はぶちんとキレて、路地裏でピーター・アーツを襲ってボッコボコにしてしまうのです。そして、天才はこう叫ぶのでした。
「ワシはガリレオ・ガリレイじゃあ! 憶えとけえ!!」
さあ、ピーター・アーツの明日はどっちだ。
−−−−−−−−−−
 どの猫がガリレオで、どの猫がピーター・アーツかというのも読めばすぐに分ります(笑)

駄弁者:
 記由さんごひいきの「E・Gコンバット」著者の、最新作から。しかし…どんな話なんだ、一体。
 本当はあとがきの引用全部を名文句としてご投稿いただいたんですが、長すぎるので内容的にメインと思われる一節をのぞいて全部コメントに移動しました。
 しかし、「ワシはガリレオ・ガリレイじゃあ! 憶えとけえ!!」というのもインパクトとして捨てがたいなあ(だからボールド入れてます)。



大いなる光に還れ、と元宇宙飛行士は心の中で言った。
そして闇を生かせ、と。

 出典: 日野啓三「光」

紹介 :りんご 様
HP :

コメント:
 これをSFと呼ぶのはかなり抵抗あるんだけど、一応21世紀が舞台なんでね。この人のテーマよね、光と闇、生と死。
 記憶を失った元宇宙飛行士。月で起こった事故。彼はそこで何を見たのか。この文句は記憶を取り戻した彼が、一時共に過ごした元社長の浮浪者のおじいさんが死ぬ時に、贈った言葉。
 精神的なのが好きな人にはいいかな。作者は元記者で、ベトナム戦争で従軍してるんだって。本物の闇を経験してる人だから、深み感じる。けど。難し〜!人生経験積みまくんないと分からないよ。でもこの人のなんとなく自虐的、自己愛的なとこ嫌いじゃないです。

駄弁者:
 深い…ような気がするんですが、読んでないので分かりません。読んでも分かりにくいようですが。「本物の闇」を理解できる人生経験ですか…。ずぼらで脳天気な私は一生そういうのは積めなさそうな。



 キーロワが手をふり、地上におりようとした。栄誉にふさわしいのは彼女だとわかっていたので、フォンダ=フォックスはあとずさり――バランスを崩して、最後のレシュノにつまずいた。そして三フィートと一億六千万マイルを落下してザラザラの赤い砂におりたち、まったくの偶然で赤い惑星、火星に歩をしるした最初のム−ヴィ−・スター、そしてまぎれもなく最初の人類となった。

 出典: テリ−・ビッスン「赤い惑星への航海」(中村融訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 21世紀。大恐慌の影響で、NASAやアメリカ海軍が民間に売却されてしまい、実行寸前で中止を余儀なくされている火星有人飛行。
 そこへ現れたメフィストフェレス・・・じゃない、スポンサーは、史上空前のスペクタクル映画の製作をめざすハリウッド。夢とロマンと莫大な興業収入をかけて、かれらは片道十八ヵ月の旅に出る。(ハリイ・ハリスンの「テクニカラー・タイムマシン」を思わせる展開ですね)
 「危機一髪のシチュエーション」や「登場人物の暗い過去」を用意しておきながら、肝心な場面でズッコケさせてくれるあたりが、さすが(?)ビッスンというか。しかし、決めるべき所はきっちり決めます。
 なにしろ「民間主導の宇宙開発」は、SF黄金時代からの伝統なのですから。
BGM:「SAILING」ロッド・スチュワート 

駄弁者:
 こっちも未読です。テリー・ビッスンって立て続けに翻訳が出たわりに店頭から消えるのも早かったような…。
 「それは一人にとっては小さな転倒だが、人類にとっては大きな墜落だ」とでも言い残すしかないでしょう。
 「民間主導の宇宙開発」と言えば、ハインラインの「月を売った男」を真っ先に思い出します。ハインラインの作品では、私はあれが一番好きですね。



誰かが助けを求めてる
 正義の味方が呼ばれてる
 誰かがそれに応えなければ
 きっと悲しむ人が出る
 どこかに待ってる人がいるから
 白雪仮面は行かなきゃいけない・・・!

 出典: 井原裕士「雪乃すくらんぶる[1]」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 先祖代々スーパーマンの家系に生まれた、倉久雪乃さんがヒロインのコミックス(全3巻)より。
 ギックリ腰で引退したお父さんに代わって、未成年ながら「白雪仮面」としてデビュー。そんな彼女が「出動」する様子を見送りながらの、主人公・広崎巽くんのモノローグです。倉久さんの「でも私には怪力がありますし・・・正義の味方を名乗る者の義務なんじゃないんですか」という言葉を受けての思いだと、お考え下さい。
 そう、正義の味方はいついかなる時でも「お呼びとあらば即参上!」しなければならないのです。たとえデートの最中でも。
 ・・・それはそうと、中国語版コミックスの「青春女超人」(笑)というタイトルは、内容を実に的確に表現していて素晴らしい(笑)。
 くわしくは、作者のHP「ぱら・さいと」(http://www01.u-page.so-net.ne.jp/wb3/ihara/)を御参照下さい。
BGM:「JUMP」リンドバーグ

駄弁者:
 ご投稿の文句もさることながら「でも私には怪力がありますし・・・正義の味方を名乗る者の義務なんじゃないんですか」という方が私には名(迷)に思えます。
 代々スーパーマンの家系、ということで、ラリィ・ニーヴン「スーパーマンの子孫存続に関する考察」(「無常の月」所収)を連想しました。スーパーマンが常人とセックスをしたら機関銃並の威力を持った射精で相手の頭を吹っ飛ばしてしまうんじゃないかとか、精子もやっぱりスーパーで、受精しなかった後も死なず、数千万の精子がメトロポリスを放浪するんじゃないか、とかなかなかバカな下ネタが満載。
 …というふうに、出典を知らず、あんまりSFっぽくもないなと思ったときは無理矢理ねじまげてコメントしてしまうのでした。



「はい、それこそ、わたしのいう、生きているってことです。そして、わたしにある最高の推測的観測からすれば、わたしはそれが非常にうらやましいんです……」

 出典: フレデリック・ポール「ゲイトウェイ」(矢野徹訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 宇宙人が遺した行先不明・操作方法不明の宇宙船に乗り込み、宇宙人の遺物を持ち帰って一攫千金を狙う…「ゲイトウェイ」、ラストの文句より。
 すでに大当たりを引き当て、巨万の富を得た主人公ロビネット。だが、彼は自分の行動について罪悪感にさいなまれ続けます。「これを生きているっていうのか?」話相手をするカウンセラー・プログラム”ジークフリート”に激しくあたるロビネット。それに対するジークフリートの答えが、これです。
 罪悪感、恐れ、苦痛、ねたみ…それもまた、人間を動機づけ、修正するものです。それを一切持たない存在からすれば、やはり貴重に感じるのかも知れません。



「――わたしは――こわい!」

 出典: ロジャー・ゼラズニィ「フロストとベータ」(浅倉久志訳) 「SFマガジン」2000年2月号に収録 「キャメロット最後の守護者」にも収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 世界の半分を制御するコンピュータ・フロスト。彼の長年の願いは今は滅んでしまった「人間」になることだった。人間が残した書物を読み、彼らが愛でた夕焼けを見、芸術を手がけることまで試みたフロストだったが、人間になることはできなかった。彼に残された最後の手段は、死んだ人間が残した細胞からクローンをつくり、その脳に自分を移しかえることだった。そして初めて人間の肉体を得たフロストの第一声が、これ。
 音、臭い、光、いちどきに押し寄せる感覚の洪水にさらされ、コンピュータが感じたはじめての「恐怖」。もし子宮から追い出されてすぐの新生児がしゃべることができたなら、やはり最初の言葉は「こわい」なのではないでしょうか。



フォームに戻る

第14集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第16集を見る