SF名文句・迷文句第14集

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「そんな速度で走れるはずはないよ、マート。E=MCの二乗だよ」
「アインシュタインの理論はしょせん理論にすぎんのだよ、ディック。この距離は観察された事実じゃないか」

 出典: E・E・スミス「宇宙のスカイラーク」(川口正吉訳) 「世界SF全集」7巻に収録

紹介 :田中 様
HP :

コメント:
 相対性理論だろうが何だろうが、理論はただの理論。目の前に起こった事実こそが重要だという言葉に非常に感銘を受けました。他のせりふはすべて忘れてしまったのにこれだけは頭に残っています。
 今から20年近く前に読んだ本です。レンズマン、スカイラークどっちも大好きでした。また、あのころのようにわくわくする話を読んでみたくなりました。なにか探してみたいと思います。

駄弁者:
 掲載が大変遅れてしまいました、すいません。
 理論はただの理論というより、事実によって絶えず検証・修正されるべきものが理論である、というお手本のような感じですね。



月になってしまいたい!
あなたの月になっていつまでもそばをぐるぐる まわっていたい!

 出典: 星野之宣「残像」 同名短編集に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 月面で小型の隕石の落下に巻き込まれて死亡した日下鏡子の遺品の中から、どう分析しても合成写真じゃ ない本物の、推定2億年前の地球の写真がみつかった。
 セリフは、事件の調査に向かった、彼女の元結婚相手だった主人公の回想シーンの中での日下鏡子のセリフです。
 ちなみに写真は本物です。そしてタイムマシンや超能力を使って写したものではありません。
 残像は集英社のヤングジャンプコミックスの「残像」に収録されています。残念ながら絶版です。

駄弁者:
 ホーガン「星を継ぐもの」を連想しますね。月で見つかった、あるはずのない遺物…。
 月になってそばをぐるぐる回っていたんじゃ、いつまでたっても触れられないじゃないか、とは無粋なツッコミ。



「世界樹が生きてる・・・すごいじゃないの すごい すごい!」

 出典: 星野之宣「世界樹」 「残像」に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 マンガと小説とそれぞれ長所がありますが。マンガの長所に作者の思い描いたイメージがそのまま伝わってくることがあげられると思います。この作品の描く作者のイメージは圧巻です。
 火星のヴァイキング基地は、発熱潜氷艦ルンディングを用いて数十億年前から凍結している火星の永久氷冠の中から巨大な樹木を発見した。セリフは主人公のナツコが、樹木の細胞組織を顕微鏡でみせてもらった時のものです。
 すごい、すごいと言っていますが、クライマックスでは、さらにすごいイメージが描写されます。
 世界樹は集英社のヤングジャンプコミックスの「残像」に収録されています。
 残念ながら絶版です。

駄弁者:
  パスファインダーが到着した後でも、やっぱり火星はSFの好舞台ですね。「レッド・マーズ」といい「クリスタルサイレンス」といい。
 「発熱潜氷艦」というアイディアもなかなか面白そうです。しかし、絶版ですか…。品切れだったら重刷の可能性はあります、わずかながら。



「先生、映画館のロビーには、まだポップコーン自動販売機が置いてありますか?」

 出典: ロバート・A・ハインライン「夏への扉」(福島正実訳)

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 三十年間を冷凍睡眠で過ごし、“未来”で目覚めた主人公が発した最初の質問です。
 人間というものは技術的革新よりも、やはり身近な物事の変化の方が時代の変化を感じやすいのでしょうか? ところでこの“未来”ってもう今年なんですよね。時代は進んだものです。
 もっとも文化女中器はいまだ家庭にはありませんし、冷凍睡眠者の解凍方法も不確かなままですが。

駄弁者:
 しばらく見ないな、と思っていたら立て続けに来ました、ハインライン作品からの名文句。
 まだ自販機があることにホッとしたのも束の間、消費税分値上がりしていることにショックを受けたりして。



「子供のお守りをしながら得体の知れない奴らと戦うなんて考えてみりゃモノスゴイ仕事だな」
「…言わないで 頭痛くなるから」

 出典: 原作:GAINAX 漫画:貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン(漫画版)STAGE.31 ネルフ、停電」

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 私自身の投稿も久しぶりですが、この漫画の出版はそれに輪をかけ久しぶりです。
 加持リョウジと葛城ミサトの会話なのですが、ネルフ勤務、葛城ミサトのお仕事の実態……。いわれてみればそのとおりかも。特に漫画版のシンジ君はひねくれてますからね。
 ところで漫画版はどんなエンディングを迎えるのでしょうか?

駄弁者:
 ふたつの仕事のうち、どちらがモノスゴイかは、微妙なところ。
 TV版のシンジは、手はかからないかも知れませんが、いっしょにいるとストレスが溜まりそうです。
 しかし漫画版は、ちゃんとエンディングまで続けられるんでしょうか?



われらは祈る いまいちど立たせてくれ
われらを生んだあの星に。
そしてこの目に見せてくれ あの
やわらかな空、涼やかな地球の緑の丘を。

 出典: ロバート・A・ハインライン「地球の緑の丘」(宮脇孝雄訳)「スターシップ 宇宙SFコレクションA」に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
ブラッドベリ『火星年代記』で言及される「月は今でも明かるいが」や、山田正紀『エイダ』に引用される「泣け、バビロンの流れのほとりに」も好きですが、オリジナルの詩ならやはりこれ。
(ただし、ティプトリー『星ぼしの荒野から』巻末の、伊藤典夫氏の文章によると・・・)
 めい文句第3集の、鈴さんにささげたい。
BGM:「地球の緑の丘」難波弘之
P.S. ハヤカワ文庫版の矢野徹訳も、また違った味わいがあって好きです。

駄弁者:
 元は宇宙船機関士だった盲目詩人リースリング(私が持っているハヤカワ文庫版はライスリング)、彼の歌と最後の飛行を描く物語。ハインライン「宇宙史」の中でも人気の高い短編です。やっと来ましたね。
 ちなみに矢野徹訳だとこうなります。
「わが生をうけし地球に/いまひとたび立たせたまえ/わが目をして、青空に浮く雲に/涼しき地球の緑の丘に、安らわせたまえ」
歌詞としては、ご投稿の訳の方が良さそうかな?



彼には一瞬その結晶がのどをふりしぼって苦しげな声をあげたように思えた。

 出典: 水見稜「野生の夢」 「マインド・イーター」に収録。「SFマガジン・セレクション1982」にも収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 これは正確にはセリフではないかもしれません、聞こえたような気がしただけですから。主人公のギュンターが、死んだと思っていた核酸の結晶と化した父親と出会った場面です。
 本当は私にとっての名セリフはSFマガジン・セレクション1982の野生の夢についての解説かもしれません。
「宇宙の根元的なあり様、メカニズム等を直接小説の枠組みの中に取り込んでしまうことは、SF以外のどんなジャンルにも不可能だろう。しかも、それを観念的な議論ではなく、ストーリイを持った真の意味での小説として書きあげることは。この作品は、まさしくそれをやってのけた、SFにとって誇るに足る力作である。」
 自分にとっての日本SFの最高峰である作品について、こんな誉め言葉を目にした時の喜びは、言葉につくせぬものがありました。
 なお「野生の夢」は早川文庫JAの連作短編集「マインド・イーター」それとSFマガジン・セレクション1982に収録されています。

駄弁者:
 美しさと異様さを、ともに感じさせてくれる一節。
 水見稜の本も、もう目録落ちしてますね…がんばれJA。



ジェインウェイ 「これでまた連続体に睨まれるわね?」
 Q 「好かれるよりましさ」

 出典: スタートレック ヴォイジャー

紹介 :guntech 様
HP :

コメント:
 中部地区の放送が終わるまで投稿は遠慮しようと思っていたら、エピソードタイトルを失念してしまいました。「哲学者の……」なんとかだったとは思うんですが。もう放送済ですよね?  おそらくTNG,DS9,VGRを貫いて出演する唯一のキャラクターQ。この傍若無人なキャラクターがぼくは大好きで、出演するたびに笑わせてもらってます。
 名言は、そんな爆笑悪ふざけキャラQのちょっとかっこいいひとこと。力を奪われたりと、なんだかんだあってようやく連続体に復帰できたQは、やけにおりこうになって、命じられるまま、Q連続体の危険分子“哲学者”を追ってきます。哲学者は自殺したくて、ヴォイジャーに逃げてくるのです。連続体で自殺者がでると、全体によくない影響が及ぶのでQは自殺を思い止まらせようとします。あれ? 権威を笑い飛ばすリベラルのQがどうしたことだ?
 まあ結局は、Qは自らの反逆児だった過去を思い起こして、哲学者の自殺を暗に認めてしまうわけです。
 そこでこの名台詞。トリックスターのQ、面目躍如といったところでした。
 あッ! テレビ雑誌を繰っていると、次の「ヴォイジャー」のタイトルは「レディQ」と書いてある! ドキドキ。

駄弁者:
 神のごとき能力、ただし性格最悪の謎の存在・Q。初登場はスタートレックTNGの第1話でした。最初に見たときは、正直言って何でこんなの出すんだと思ったんですが、定着しましたね…。
 なお、Q連続体というのは…と、なじみのない人のために説明できたらいいんですが、Qの属している組織というか、Qの存在様式というか、いまいち正体が分かっていません。作っている側も分かっているんだかいないんだか。



愛は約8ヵ月の半減期をもつ不安定な感情である

 出典: ジョー・ホールドマン「終わりなき戦い」(風見潤訳)

紹介 :guntech 様
HP :

コメント:
 続編ではないということですが、「終わりなき平和」を読む前に読み返しておこうかなと、それこそ10年強ぶりに手に取ってみたわけですが。
 ウラシマ効果によって戦場から帰ってくるたびに世紀単位で時間が過ぎている……ために社会の変化に戸惑う主人公。まあ変わっていく社会は一様に管理社会で、主人公の母親が不要人口として医療サービスを受けられないなどの聞き古したディストピア表現がありますが、それはそれ。エキセントリックな設定よりも、その社会をどうやって説得力をもって描くかが重要なわけで。
 さて名言ですが、これは同性愛が常識になった社会で悩む主人公に、同性愛者のカウンセラーが言う言葉で、現代の価値観をもつ主人公は愛は永遠ではないかと言い返します。すると、ロマンティックに過ぎると笑いとばされるわけですね。
 ウッチャンナンチャンの往年のコント「社交儀礼は許さない」にならって、「ロマンティックは許さない」とでもいいましょうか。リストラや少年犯罪などでこれほどに“現実”を認識しろと姦しいのに、愛の問題になると、ちっとも現実的になれない我々。それどころかロマンティックな幻想こそが現実だと自分に信じ込ませるその欺瞞。
 最後はちょっと意地悪になりましたが、決してぼくがリストラされたということではないですよ。

駄弁者:
 「現実」というのも幻想とか思いこみで保っている部分は大きいと思うんですけどね。シャレにならない犯罪がよく起きるのは、みんなで共有できる大きな幻想がなくなったから、という理由もあるでしょう。「ロマンティックな愛」というのは、今でも多くの人が共有できる数少ない幻想なのかも知れません。
 それはともかく、「終わりなき戦い」の主人公たちがもっていた愛は珍しく長い半減期をもった同位体だったようです。あのラストにはホッとしました。



「フランケンシュタインがそうしたように、バベッジ博士にも、手ごろな脳を一つ、あつらえてさしあげてはいかがです?あんな“階差機械(ディファレンス・エンジン)”を設計なさったバベッジさんですもの。きっとフランケンシュタインのような愚かな失敗はなさりませんことよ」

 出典: 山田正紀「エイダ」

紹介 :鈴木隆平 様
HP :

コメント:
 はじめまして。
 詩人バイロン卿の娘エイダ。彼女は人類初のプログラマーとも言われるのですが、考えてみると不思議な人ですね。案外このような台詞が似合う人だったのかも。実在の人物が出てくる話って好きなんですよ。フィクションから実際のその人をイメージする楽しみがあって。
 山田さんのSFは抽象的な言葉が多くて読解力の乏しい私にはつらいときもあるんですが、この話はフランケンシュタインとか量子コンピューターとか宇宙論とかのいろいろな要素をうまく組み合わせていて面白かったです。ラストはもう少しなんとかならなかったかと思いますが。

駄弁者:
 「エイダ」は物語論と多元宇宙論をからめた展開が非常に面白かったですね。おっしゃるとおり、エイダ・バイロンやバベッジ、ディケンズ、そしてフランケンシュタインにホームズと実在、架空をとりまぜた豪華キャストも目を引きます。間宮林蔵と杉田玄白はちょっと付け足しっぽく感じましたが…。  「宇宙船イマジナリー号」でスタートレックのパロディも少し出ていました。きっと私が気付かなかった部分でもほかの作品のパロディやオマージュがたくさんあったのだろうと思います。
 こう見ると、一昨年から去年(1998−9年)にかけては多元宇宙SFの花ざかりだな…。



戦士プリーシア・ディキアン・ミズホの魂は光の国へ旅立った。

 出典: 高見広春「BATTLE ROYALE」

紹介 :モントリオールのハンマー 様
HP :

コメント:
 自分を宇宙の戦士の生まれ変わりだと信じている瑞穂は、内なる神からの声を聞き、殺人鬼と化した男を討とうとする。が、思い込んだだけの戦士は、後ろから襲ったにもかかわらず、天才の手により片手間に撃ち殺されてしまう。
 なんと、シュールな。

駄弁者:
 たぶん、こう思うのは私だけじゃないと思うのですが、前世のある人ってのはみんな戦士とか騎士とか神官で、農夫とか商人の類がいないのはなんででしょう?
 ご投稿の文句だけ見ると、非常に皮肉なイントネーションを感じます。



「いいよ」
また目を閉じて、弘樹が言った。笑んでいた。とても幸せそうに。
「どうせ、もうすぐ、死ぬとこだった。」

 出典: 高見広春「BATTLE ROYALE」

紹介 :モントリオールのハンマー 様
HP :

コメント:
 一人だけが生き残れる、1/42のデス・ゲーム。愛しい人に望みを与えるために、瀕死の傷を負いながらも探し当てた男は、こいつも自分を狙っていると思い込んだ女性に撃たれてしまう。真実を知り、後悔する女性に言った一言。
 この作品は、好きです。「みんな生き残ってハッピーエンド」より、誰かが死んでこその、リアリティーと、凄さが生まれるんではないでしょうか。

駄弁者:
 掲示板にも書きましたが、気になりつつもまだ読んでいません。そうとう巧く描いてくれなければ、嫌悪感を持ってしまいそうな話です。職場でも、絶賛している人がいましたが。



「フラットランダーが!
連邦にもコロニー生まれはおろうに、重力に縛られおって!」

 出典: 飯田馬之介(監督)「機動戦士ガンダム/第08MS小隊 第10話『震える山』(前編)」

紹介 :室戸ひょうえ 様
HP :

コメント:
 まさかガンダムで既知宇宙語彙を聞こうとは、ブラウン管の前で仰天しました。
 初見から一年以上たってからその謎は解けました。某アニメージュ別冊「GAZO」誌のマトリックス特集号にて監督のインタヴューが掲載されたのです。こうありました。
「冒頭で三次元的な思考が出来ない連邦軍の戦闘機に向かってノリスが「フラットランダーめ」 って言わせているんです。ラリィ・ニーヴンの小説の「ノウンスペースシリーズ」に出てくる、スペースノイドに対する平地人という侮蔑語なんですけど、おれ、「フラットランダー」って標準語だと思っていたのに、誰も知らないんだもの。ニーヴンとJ・P・ホーガンくらい読んでおいてよ(笑)」
 実に勇気ある素晴らしい発言と言えましょう。問題はこれを読んだ読者の殆どが「何を言っとるんだこのオヤジは?」としか受け取らないであろうことです。
 実はこの監督さんは前に「おいら宇宙の炭鉱夫」と云うSFマインドにあふれたOVAを製作しているのですが、これが売れずに2巻で中断。私の友人が普段から「映像作品はSFとして良く出来ているほど売れない」と云う実に嫌な法則を主張しているのですが、この法則、厭なことによく当たります。
 最後に、この「震える山」(前編)はガンダム史上稀に見る傑作です(いきなりこれだけ観ても可)。

駄弁者:
 そりゃあ、知らない人は多いでしょう。知っていても、ビデオを見ている最中にいきなり出たのでは気がつかない可能性大。
「ガンダムファンにもSF読みはおろうに、モビルスーツばかりに見とれおって!」
とか言われるかも知れません。
 ニーヴンやJ・Pホーガンぐらい、ということはホーガンのパロディもあるんでしょうか。



タイム・トラベラー諸君!
私たちの惑星を舞台に展開される生命の進化の奇観と劇的な光景を、
くつろいで楽しんでいただきたい!

 出典: ドゥーガル・ディクソン「アフターマン」(今泉吉典訳)

紹介 :室戸ひょうえ 様
HP :

コメント:
 この書物(と呼びたくなる)は小説ではありません。図鑑です、それも生物の。ただ普通の生物図鑑ではありません。タイトルを直訳すれば「人類以後」になります。コンセプトは「人類滅亡後の地球を支配する動物たち」、そう、未来の動物図鑑なのです。
 中身は
「ナイト・ストーカー(マナンブルス・ぺロリズス)の前肢は祖先のコウモリの翼から発達した。むかしも、後肢はつかんだりひっかけたりする役を果たしていたが、いまは肩越しに突き出して、手そのものの動きをする」とか「背を丸めては伸ばすチリットの歩き方は、尺取虫によく似ている」 そのような文章であふれています。ちなみに進化したコウモリである。
「背丈が1.5メートルほどであり、夜になると甲高い金切り声を上げながら森の中を歩き回り、哺乳類であろうと爬虫類であろうとみさかいなく恐ろしい歯と鉤爪で襲い、餌食にする」 そうです。
 ほかにも、今の猿のように長い腕を巧みに使って樹木のあいだを飛び回る「進化した猫」や、体型は白亜紀のティラノザウルス・レックスに、生態は今のライオンに良く似た「進化した猿」などなかなかに飽きさせません。
 動物には皆、学名までもがついており、この辺がSFだと思います(誰が名づけた?)。5000万年後の未来を描いたこの図鑑はその筋(どの筋だ)ではつとに有名です。10年ほど前には英国BBC放送にて映像化され本邦でも地上波で放映されました。似たような傾向の本は他に「鼻行類」「秘密の動物史」「平行植物」などがあります。普通の図鑑と並べて置くのが楽しいのです。

駄弁者:
 私も持ってます。買ったのは10年近く前ですが、第2作「新恐竜」(こっちは絶滅せず進化を続けた恐竜がテーマ)と合わせて、いまでもときどき眺めます。
 現在いる動物が絶滅した後、他の動物が進化してその生態的地位を穴埋めする、というパターンが発想の基本。巨大化してクジラの生態的地位を占めたペンギンの子孫、というのはすごかった。
 しかし第3作「マンアフターマン」(さまざまな種に分化した人類を描く)は、気色悪いだけでした。



「女の子ばかりなんじゃなくて、このドドーは男女比が1対792なんだよ」
「ななひゃくきゅうじゅうにい!?」
「男なんざ女の共同所有物さ、宇宙じゃそう珍しくないけどねえ」
「すっ・・・・・・するってえっと」
「2年と2か月!?」

 出典: 長谷川裕一「マップス 3巻 六人の幽霊船編 ACT.11 銀河障壁」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 同じくマップスから山のようにある迷文句の内を一つ。
 SFにときどきでてくる男女比率が極端に違う星の状況をここまでストレートに「時間」で表現した作品が他にあっただろうか?
 寡聞にして私は知らない(笑)
 ちなみにタイトルの「銀河障壁」が「2年と2か月」というわけではありません、念のため(笑)
 しかし、この作品のヒロイン(?)、スタイルがいいうえ、やけに露出が高いし、シリーズ後半はしょっちゅう、裸になって戦っているのに、全然色気を感じさせないのは、何故なんだろうか?

駄弁者:
 ひとりあたり1日。いったいなにを考えたんでしょうか。
 繁殖だけのことを考えると合理的でなくもない比率(極端だけど)。これをハーレムとみるか、生き地獄とみるか…前者と見られる人は、ある意味偉いと思いますが、あんまり近くにいてほしくありません



今、俺達が生きているっ!
それ以上に大切な歴史などありはしないー!

 出典: 長谷川裕一「マップス 17巻 決戦編 ACT.89 終幕」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 (おそらく、)2000年の名文句。
 銀河系、ひいては、この宇宙のすべての生命体を抹殺しようとしていた自称銀河の所有者「伝承族」。そのあまりにも壮大にして無意味有害な企ては銀河を救う勇者を「演じていた」彼の言葉とともに水泡と帰した。最低でも12兆4500億8000万270個以上の「宇宙の歴史」の消滅と引き換えに・・・。

駄弁者:
 膨大な数の「宇宙」の消滅ということで、「イーガンの「宇宙消失」を連想しました。こっちの場合、消滅の元凶となっているのは人間なんですけど。
 「マップス」は知らないな、と思って本屋で確認したら、見覚えありました…チャレンジ精神(はたまたあるいはサービス精神)に満ちた衣装にだけ。



「現代科学の到達点は見る者にあまねく夢と希望を与えてますかーッ!?」
「僕は今、科学に内包された危険性を目の当たりにしているのかもしれない…」

 出典: ソニー・コンピュータエンタテインメント制作・著作「WILD ARMS 2nd IGNITION」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 先史文明のテクノロジーをもとに台頭する武装テロリスト、迫りくる異世界の(異世界《からの》ではない!)侵略、に立ち向かう「英雄」にあらざる人間たちを描く……と見せかけて(いや、しっかり、描いてはいますが(;^_^A))、実は、SFはもとよりアニメ、特撮、CMからクトゥルー神話にいたるまで、どっかで見たネタ、聞いたネタを全編にてんこもりに詰め込んでいるRPG。
 製作者側が完全に開き直って真っ正面からとりくんでいるため、どのネタもとってつけたような所がなく、実にすがすがしい(笑)
 攻略本によると《諸般の事情》により、予定されたエピソードをバッサバッサと切り捨てざるを得なかったらしいが、この文句はそのなかでも「絶対けずらない!!]と決めていたというエピソード中のものである。 やはり、これもなにか、元ネタがあるんだろうか?

駄弁者:
 私はコンシューマー機を持ってないんでやったことがないんです。話だけ聞くとクトゥルーネタっぽいと思っていたんですが、どうもそれだけではないようで。
 じつに直球の名文句。「夢と希望」と「危険性」。昔から科学にはつきもので、照らす光の方向が違うだけなのですが。



 科学者やSF作家が思い描いていた未来からは、民衆の思想や商人根性がぬけ落ちていた。
 コンピュータ・ネットワークによる在宅学校? ――実現するわけないのである。おかあさんは、子供が半日くらい出かけていてくれないと困るのだ。メイド・ロボットなんかがいたら、家具は傷つくしカーペットは痛むし、だいいち家が狭くてかなわないのだ。メーカーだって、ロボットが落とした皿の弁償や、子供が蹴とばして壊したロボットのメンテナンスのために奔走したくはないのである。

 出典: 小野不由美「ゲームマシンはデイジーデイジーの歌をうたうか」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 そう言えばSFの主人公には「エリート」が多いような気がするな。・・・<十二国記>や「屍鬼」で知られる作家の、ゲームエッセイ集より。
 「二〇〇一年には宇宙ステーションができていたはずではなかったろーか。ロボットが活躍したり、原子力飛行機やら電気カーやらが飛んだり走ったりして、子供は家でコンピュータ学習するのではなかったろーか」などと語っておいてこの発言。なんだかアンビヴァレントな心情を感じます。
 ちなみにタイトルの「デイジーデイジー」とは、映画「2001年宇宙の旅」で、いまわの際のHALが口ずさむあの歌です。
BGM:「スーダラ節」植木等

駄弁者:
 言われてみれば、そのとーり。 子供時代の夢は大人時代の悪夢、でしょうか。
 確かに、「われはロボット」のロビィなんかは重そうだからカーペットをいためるだろうし(タタミでは使えなさそうだし)、メンテも大変そうです。もっとも、蹴ったぐらいでは壊れないでしょうが。あの話ってすでに一昨年前に起こったはずなんですが…。



(「Row,Row,Row Your Boat」の歌の後で)
「ジム」
「なんだ、スポック」
 ドラマチックなほどの間があって、スポックはこの上なくまじめな口調で言った。
「人生は夢ではありません」

 出典: J・M・ディラード「スタートレック5・新たなる未知へ」(斎藤伯好訳)

紹介 :むっしー 様
HP :

コメント:
 この名(迷)文句は映画の「スタートレック5」のノヴェライズから引用しました。休暇でカーク、マッコイとキャンプに来たスポックが、カークたちに教わった歌に対してごく論理的なコメントをしてます。これ原文では"Life is but a dream"(人生とはただの夢にすぎない)に対して"Life is not a dream."と言ったようになってます。歌詞の意味を理解しなかったために、歌詞の言葉遣いまで自分が「正しい」と思う文章に訂正しちゃってるところが笑えませんか?
 スター・トレックは「名文句」の宝庫だと思いますが、いろんな文学作品などからの引用がさりげなく入っているようで、英米文学の知識のない私にはどうも識別できないので「迷文句」を選んでみました。
 でも、スポックにせよカークにせよ、何度も生死を行き来してますよね?スター・トレックの、特に映画版の多くで「死」というモチーフは特別な位置を占めている気がします。登場人物がある時ふと気づくと、さっきまでの「生」の世界と「死」の世界の区別が付かなくなってるような。死んだ後戻ってくるまでのスポックなんて、まさにどっちにいるのか分からない状態。だからこの歌詞にある"Life is but a dream."もっと深い意味合いが込められているのかも・・・。それに対するスポックの反論も、彼なりの経験と考えからあえて出た言葉なのかも。・・・なんてわざと深読みしてるけど、スポックのファンだからお茶目な彼をただお薦めしたかっただけだったりして。

駄弁者:
 久しぶりのスタートレック出典。しかも元祖から。嬉しいですねぇ。
 このときのスポックのセリフでは、何で歌わないんだと聞かれて「歌の意味を考えています」と答えたところで爆笑しました。
 …人生は夢ではないかもしれませんが、この映画でスポックの腹違いのお兄さんが登場してしまったことについては、みんな夢だということにして忘れてしまっているようです。



背後から男の首をつかみ、しおれた花を花瓶から抜くように、頭を引き抜いた。胴体が痙攣し、ごぼごぼと音をたて、脱糞した。黒いものはその胴体をそっと地面に横たえ、股のあいだに頭をおいた。
<いい手ぎわだ>
ありがとよ。

 出典: ジョー・ホールドマン「終わりなき平和」(中原尚哉訳)

紹介 :室戸ひょうえ 様
HP :

コメント:
 開幕6行目で猿(黄色人種の比喩ではなく本物の)を撃ち殺し、2ページ目でこれです。ホールドマン、相変わらずです。ほんとはラスト一行を紹介したいのですが自粛します。
 で、これ。「終わりなき戦い」の続編ではありません。あれはあれで攻撃兵器と防御兵器が究極的に進化した結果、戦場では再び槍と棍棒のどつきあいになるというSF屈指の名作でしたが(感動のラストは「トップをねらえ!」の元ネタになった)。この新作もなかなかです(読後感が極めて爽やかなのは一緒)。
 いわゆる戦争SFの範疇に入る本作品ですが一筋縄では行きません。ベトナム従軍体験を持つ原作者の文章は上の欄に書いたように時として容赦なく迫ります。しかも後半では急転直下で仕掛けが動き出し、最後にはきっちりSFとして終わるのですからたまりません。個人的には下半期一番。ちなみに創元SF文庫です。
 あと、見どころは主人公たちが使う主兵装である「ソルジャーボーイ」です(昔、同タイトルの少女漫画がありましたね)。これは電脳化された兵士が2m級の人型兵器を遠隔操作(つまり戦場ではだれも死なない、只よく発狂する)するもので、特筆すべきは十人一組の一部隊は精神を接続しているので十体の人型兵器がまるで一つの有機生命体のように行動するところです。

駄弁者:
 う、グロ…。食事中の方(…食べながらこれ見てる人はいないか)には失礼しました。
 最新刊から。ジョー・ホールドマンのヒューゴー/ネビュラ/キャンベル賞トリプルクラウン作。私も買ったんですが、まだ未読(2000年元日現在)。ラストからでなくてよかったです。
 「終わりなき戦い」の冒頭も印象強いですが、今回もキてますね…。



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