SF名文句・迷文句第16集

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「私の人格が、何なんです。そんなもん一つ差し出すだけで、多くの人の命が助かるなら」
「そして「ローエンティア独立友の会」は団体としての機能を喪失し、「ローエンティア」独立の日は遠くなり、あんたはリーダーとしての責任を、まったく、ぜえんぶ、放棄するってことになるわけだ」

 出典: 新井素子「星から来た船」

紹介 :Pajaro 様
HP :

コメント:
 大好きな作家、新井素子さんの作品から。
 自己犠牲は良く尊いものだと言われますが、それをこれだけの台詞でぶった切る太一郎さんって……。
 確かに、事実は事実なんですけど。

駄弁者:
 16集トリは新井素子から。これが「名文句集」初登場だったのが意外。
 自己犠牲ってのは美しいんですが、美しさに酔って思考停止になりがち。この人のセリフは、正しいんだと思いますよ。
 …ただ、言う人は嫌われるかも知れませんが。



「忘れてしまったなあ」
やがて、自分自身にいうように、奇妙にまのびした声でつぶやく。
「人が死んだときのお祈り言葉ってどんなのだったかなあ。ほんとうに忘れてしまったなあ」

 出典: 山田正紀「宝石泥棒」

紹介 :ハヤト 様
HP :

コメント:
 この本はSFを読み出して4・5冊目ぐらいに読んだ作品でした。まだSF初心者だった私は、最初にはヒロイック・ファンタジーであったストーリーが、しだいに変貌し壮大なSFとなっていくギミックに衝撃を受け、その大きな余韻を残すラストにはため息を吐きました。本当に新鮮な感動でした。
 後に「宝石泥棒U」という続編が出ていると聞いて書店で探したのですが絶版らしく、それでもとダメもとで図書館にリクエストしたら書庫から引っ張り出してきてくれました。近年はハルキ文庫で復刊されて手に入り易くなったみたいです。ただし、この続編はTのイメージを持って読んでしまうとしっぺ返しをくらいますね。たしかにSF的なガジェットは数段面白くなっているんですが・・・。

駄弁者:
 「宝石泥棒」、まだ読んでないんですよ、実は。ぱっと見ヒロイックファンタジーなのが、性に合わないように思えたので。でも、ハヤトさんのコメントで「やっぱそのうち読むべきかな?」と、買ってしまいましたハルキ文庫。だいたい買った時点で安心してしまい、ほったらかしになるんですが…。紹介読んだ限りでは、ちょっとオールディス「地球の長い午後」入っていますか?



少年は犬を愛するものさ。

 出典: ハーラン・エリスン「少年と犬」(伊藤典夫訳) 「世界の中心で愛を叫んだけもの」に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 かっこいいセリフと衝撃的なラストシーン。でも、このラスト、読む前から知ってしまっていたんです。
 ネタバレ解説した、オールディスとウィングローヴのバカヤロー。

駄弁者:
 第三次世界大戦後の地球。瓦礫と化した地上は、改造されて知性をもった犬と少年ギャングたちが闊歩する危険な世界となっていた。ギャング団に与しないひと組の少年と犬、ヴィクとブラッドは、あるとき地下世界から訪れた少女を襲う。「愛って何か知ってる?」少女の問いに対する答えとは。
 読んでみました。確かにこれはネタバレされると威力が半減しますね。
 ちなみに、私も犬は大好きですよ…と、この作品を読んだ後に発言するのはちょっと…。



「人びとは過ちを犯しました。たいへんな過ちをです。だけど、みなさんはその過ちじゃないんです。」

 出典: グレッグ・ベア「姉妹たち」(山岸真訳) 「タンジェント」に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
「半世紀後の人間も現在と同じ姿をしていると思うのは間違いだ」と語るグレッグ・ベアの考えが良くあらわされている、セリフです。
「ブラッド・ミュージック」、「鏖戦」などで人類の変貌を表現しつづけてきたグレッグ・ベアはこれからも、この主題の作品を書き続けていくような気がします。(未読ですが、題名からするとダーウィンの使者もたぶんそう)その意味でこの「姉妹たち」もグレッグ・ベアを読んでいく上で欠かせない作品になっています。

駄弁者:
 再び、グレッグ・ベアより、今度は短編からのご投稿。この人は短編の方が上手い、と言う人も多いです。
 「半世紀後の〜」これも名文句ですね。コメントで挙げられている2作「ブラッド・ミュージック」「鏖戦」とも、人類(というか、その末裔)の変貌には圧倒されます。
 え、出典の方はどうした…? うう、未読なのでご勘弁を。



「生まれおちて人が初めに望む事・・・、死の際まで望み続けること・・・それは「知る」ということです」

 出典: 水樹和佳「イティハーサ」15巻

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
一瞬納得してしまいますが、このセリフはまだ続きがあります。
「不二の里の人々がこの欲求を捨てて暮らしているなら・・・、もし世界がそうなってしまうなら・・・、 わたしはこれからは人を殺める事に快樂を感じるようになるでしょう、影に住み世界を見つめ己を問う者、私はそうした者なのです。」
だからといって、殺さなくても、と思ってしまうのです。

駄弁者:
 コミック文庫化がはじまった「イティハーサ」より。SFマガジンでも小特集が組まれていましたね。
 もし、「世界がそうなってしまったら」…私は人を殺めるより自分を殺めたくなる方が先にくると思います。



「あとどれだけなの?」

 出典: グレッグ・ベア「ブラッド・ミュージック」(小川隆訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 愚か者とはいえ一応主人公格、ヴァージルに感情移入していたのでしょう。ヴァージルの母親のこのセリフが出てきた時にはギクリとしました。隠し事を母親に見つかった時の様な気持ちでした(というか、そのまま の状況ですが)。ヴァージルのお母さん脇役とはいえ魅力的なキャラクターでした。
 未読の方は、このセリフだけではどんな状況か、わからないかと思いますが、気になる方はぜひ読んでいただきたいです、グレッグ・ベアの初期の名作です。

駄弁者:
 ヴァージル君の「隠し事」、ギクリぐらいで済むもんじゃなかったのですが…。
 読み直してこの前後の状況の解説…はしない方がいいですね。興味をそいでしまうことになるので。
 読んだのがだいぶ前なので、大筋しか覚えてないですが、「ここまでいくか!?」という衝撃は強く印象に残っています。 



「憎む、たって、誰を憎めばいいんだ。教えてくれよ」
「誰を愛してる……」

 出典: ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」(黒丸尚訳)

紹介 :こじましゅういち 様
HP :
http://www.na.rim.or.jp/~majio/home.html

コメント:
 今更何を言うまでもないウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』より、ラスト、テスィエ=アシュプールの氷の中核に切り込まんとするときに、ケイスの問いにフィンの姿をした冬寂が答えたときの台詞。小説中で読むと、なんかこの部分だけ周りから浮いてるような気がしないでもないんですが、あまりに小粋なやりとりなので、この部分だけお気に入りです。

駄弁者:
 「ニューロマンサー」からは以前冒頭からご投稿がありましたが(第7集)、今度は終盤からです。
  私も一度読んだはずなのに話をほとんど覚えていない…。情けなや。しかしまあ、カッコはいいと思いますし、この作品はそれが身上でしょう。



「ほんとーは世界で最初に宇宙を飛んだのはガガーリン中尉ではないのだ」
「だ‥‥‥誰ですか」
「クドリャフカ」
「クドリャフカ? そんな名前の宇宙飛行士がいましたっけ?」
「‥‥‥ロシアのライカ犬さ」

 出典: 川原泉「ブレーメンU 1巻」

紹介 :いかなとくら 様
HP :

コメント:
 宇宙開発で人手不足の人類の代わりに知能を持った動物たちが労働を担う24世紀。一隻の宇宙船が処女航海に出た。総員86名。船長キラ・ナルセ以外すべて動物が乗り組む「ブレーメンII」である。
 とまぁ、スペースオペラ風に語るとそう言う話です。その中でもこのやりとりは船長キラとマウンテンゴリラの副長ダンテが交わしたもの。実験記録に動物の視点が加わることで、その偉大な一歩と悲しい最期があらわになる一文かなと思います。
 コードウェイナー・スミスの「人類補完機構」のようでいて、飄々とした作風は川原泉独特のものです。‥‥‥しかし、途中から出没するエイリアン”自称・火星人、リトル・グレイ”は出会いたくない代物だ(宇宙人のくせに南京玉すだれできるし、『デューン』読んでるし)。

駄弁者:
 ロシアのライカ犬…自ら語ることのない英雄ですね。名前が「クドリャフカ」だというのは初めて知りました。
 出典作品について、知能をもった動物たちというところは、「人類補完機構」より先にブリンの知性化シリーズを連想しました。やっぱり最近話題に上ったせいかな…。



だが悲しいかな、私はひとりで祝わなければならない。だから貴方のために小説を書いたよ、ジョン。貴方の助けを借りずにね、これはひどいハンディキャップだが、とにかく力をつくした。

 出典: アイザック・アシモフ「黄金」(小尾芙佐訳) SFマガジン’93年1月号に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 短篇「夜来たる」発表五十周年記念作として、「アナログ」誌(旧「アスタウンディング」誌)に掲載された作品の、「故ジョン・ウッド・キャンベル・ジュニアへの手紙」と題された前文より。
 伝説の編集長、ジョン・キャンベルの強烈な個性については、’95年に復刊された彼の短篇集「影が行く」(ハヤカワSFシリーズ)の解説などが参考になります。
 なお、本短篇は「ゴールド」の題で、同名短篇集(早川書房)にも収められていますが、何故かこの前文は収録されていません。
BGM:「夜の父」ボブ・ディラン

駄弁者:
 「愛弟子」アシモフの発言だと思うと、重みが違いますね…。いまいちピンとこない方には、アシモフの名を高らかしめた「夜来たる」も「ロボット三原則」も、キャンベルが「アスタウンディング」の編集長だった時代に、彼のアドバイスによって書かれたものだったと言えば、分かっていただけるんじゃないかと。
 それにしても、今回のBGM、「夜来たる」の生みの親にちなんで「夜の父」とは、うまい選曲です。



オカエリナサイ!
紹介 :いいい 様 → 第10集


「何ィ!? 社長が月宇宙船に!?」
「強引に月面作業員の席に割り込んだらしい 大量の資材持ち込んで・・・・・・」
「ったく また社長の道楽かよッ」

 出典: 御米椎「Canvas」 短篇集『TEXTURE HEROINE』に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 ふくやまけいこ・水原賢治・がぁさん・宮尾岳・・・・・・佳作秀作の多い大都社のコミックスから、今回は御米椎(みよね・しい)を御紹介。
 「月と社長」と言えば、ハインラインの「月を売った男」「鎮魂曲」ですが、本作の社長は、うら若き女性なのがポイント。彼女の「道楽」にはどことなく、『トップをねらえ!』の「オカエリナサイ」(→めい文句第10集)を思わせるところがあります。
 ・・・ちょっと『星の林に月の舟』(実相寺昭雄・著/ちくま文庫・品切)的な、全五話の表題作(映画『エド・ウッド』を連想される方も居られるかも)や、その他の収録作もおすすめ。
 それにしても、竹書房の『宇宙課々付エヴァ・レディ』全2巻(A5判)が品切なのは残念無念(2巻が見つからないのさ)。
BGM:「The Other End of the Telescope」エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ

駄弁者:
 ハインラインの2短編は私も好きな作品です。出典の方は残念ながら知らないんですが。女性社長の道楽とははたして何なのか…。



「しかし、何だって私の金時計を叩き壊したりしたのかね?」
「ああ、あれ? あれはただの劇的効果」

 出典: R・A・ラファティ「七日間の恐怖」(浅倉久志訳) 「九百人のお祖母さん」に収録

紹介 :Pajaro 様
HP :

コメント:
 どうも初めまして。加藤隆史さんのページから来ました。
 私も好きな文句を投稿させて頂きます。
 これはラファティの短編「七日間の恐怖」の最後の台詞です(ちょっとうろ覚えですが)。ほっといても元に戻る現象を、劇的に見せる為だけに借り物の金時計をハンマーで叩き壊した女の子……。実に馬鹿馬鹿しくて気に入っております。
 こういう子、見てる分には面白いので大好きです。友達にはちょっと欲しくないですけど。

駄弁者:
 いらっしゃいませ。
 ホラ話とブラックユーモアが身上のラファティより。「九百人のお祖母さん」はだいぶ前に読んだはずなんですが、この話は覚えてなかったです。彼の邦訳は3冊ともまだ落ちてないので、とりあえず安心ですが。
 確かに、遠くの方で元気でいてほしいクチですね、こういう娘は…。



「図書館員!」彼女はどなった。
「この人間のことばのなかにはいくつか意味のわからぬものがある。やつらの野蛮なことばで、”ニャーニャー”とはいったいどういう意味じゃ!」

 出典: デイヴィッド・ブリン「スタータイド・ライジング」(酒井昭伸訳)

紹介 :たけうま 様
HP :

コメント:
 ほぼ4ヶ月ぶりの投稿です。
 ブリンの「新知性化三部作」が、年内刊行と言うことで、その記念に。
「スタータイド・ライジング」からです。見事な機略で列強諸族の重囲をかいくぐった<ストリーカー>が、列強に対し、強烈な侮辱を送りつける、大変爽快なシーン。さらに、ソロ族艦隊司令官、クラットのずれた反応が笑いを誘います。
 しかし、クラットの旗艦の図書館員たちは災難です。凶報を持ってきたと言っては殺され、上司のことばをさえぎったと言っては殺され、仕事が遅いと言って食いかけの果物を投げつけられる。しかも始終怒鳴られ通し。駄弁者様、同業者として感想はいかがでしょう。

駄弁者:
 列強種族が、自ら知性化させた類族を支配する宇宙。その中で、他の異星人から知性化された歴史を持たず、あまつさえ独自の技術でイルカとチンパンジーの知性化に成功した新興勢力・地球人類は、列強から目の敵にされている。その地球人とイルカの混成クルーが乗り込む探検船<ストリーカー>が銀河系最大の謎<始祖>についての手がかりを発見。これを手に入れんとする列強は艦隊を派遣して<ストリーカー>をとある惑星に追いつめた。脱出をはかる<ストリーカー>の運命は…。
 というのが出典の大筋。そういえば、たけうまさんの最初のご投稿もここからでした。シリーズの年内刊行、私としても嬉しい限りです。
 同業者の感想は…それでも、図書館員は求められた質問には、資料の及ぶ範囲で答えなければならないのです!
 …というのはうそです。イヤですよ、命懸けのレファレンスなんて。でも、あの<ライブラリー>には、いっぺん勤めてみたい。



こんな僕でもね……こっそり…やってみたいコトがあるんだよ…一人っきりでさ…他に誰もいない部屋でね…僕は ちょっと…胸をはってみたいんだよ。

 出典: 藤田和日郎「空に羽が・・・」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 突然、町を焼き尽くす「天の火」により恐怖政治を行う女王に支配されている国。
 その片田舎で、「虫目」と呼ばれる若者が人々に蔑まれ忌み嫌われながら、一人丘の上に妙な機械を作っていた。
 その町を英雄キリーロフが訪れ、「天の火は防げる、女王を倒そう」と呼びかける。町の人々は勇み立った。虫目は一人「キリーロフ様、火をはじくのではなく、火を発する元を攻めねば!!」と叫ぶが、町の人々には相手にされなかった。  反乱の日、虫目は一人丘の上の機械に攀じ登った。ただ一人虫目を気遣う少女「ゾナハ」が心配して早く避難するように呼びかけると、虫目は自分が、かって「天の火」の秘密に気づいた為に特殊警察に体を切り刻まれた学者だった事を語る。そして、もう一度戦いたいのさ、と。天の火は一度はキリーロフの作った結晶壁によって防がれたと見えた。が、それには虫目の作った機械の力も加わっていた。そして、それに気付いた瀕死の女王が、最後の力で機械のある丘を焼き尽くそうとしたとき。ボロボロの体を引きずって再び機械を操作しようとする虫目に、ゾナハは「あなたを嫌ってひどいことするヒトたちのために何で命かけるの」と止める。その時、虫目が語った言葉。誰にも知られることの無い真の英雄の心の内です。

駄弁者:
 藤田和日郎というと、「うしおととら」の人でしたか。
 すごく惹かれるせりふです。世のため人のためではなく、他人に知られたいためでもなく、ただ己に誇りを持ちたいため、というのが。
 そこらにある勇気や決意の表明より、よっぽど感動しますね。



テケリ・リ!テケリ・リ!

 出典: エドガー・アラン・ポオ「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」,ジュール・ヴェルヌ「氷のスフィンクス」,H・P・ラヴクラフト「狂気の山脈にて」 など

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 今回の投稿のトリは作品・作家の壁を超えた名文句(?)を。
 真白き南極に響きわたるこの文句(?)の異様なフィーリングは、ほかにも数多くの作家を魅了したらしく、未確認ながら、ルディ・ラッカーや菊地秀行、さらには「蓬莱学園」関係でも使っていたような気が………
 しかし、これって何か、もとネタ(もしくはこんな鳴き声の生き物)が存在するんでしょうかねぇ?

駄弁者:
 なんか最大フォントにするとやたらと迫力出てしまうな…。
 出典の中で私が読んだことがあるのはラヴクラフトの「狂気の山脈にて」です。クトゥルーものにはあまりハマらなかったのですが、これは印象に残っています。
 元ネタについては、なにか知っている方いらっしゃいますか? 



マダム、六十マイルで走っているときに歩行者を安全にひく方法はひとつだけ、そいつに強くぶつけることなんです。

 出典: D・H・ケラー「歩行者族の反乱」(矢野徹訳) 「クラシックSF 華麗なる幻想」に収録

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 続きましては、名・迷いずれの範疇にも含みにくいが、読んでいてインパクトを感じた文句。
 最近は流行らないが、昔のSFには、中世の宮廷で道化師が果たしたように、現状に対する警鐘の役割を果たす(あるいは果たそうとした)ものがあった。この作品もそのひとつで車社会が究極まですすめばどうなるか?をディストピア&カタストロフィーがしっかりそろった状況で表現している。
 この文句を語っている運転手にとっては、足が退化してしまった「自動車族」のみが「人間」であり、二本の足で歩くという「歩行者族」は、現在の犬・猫以下の認識しかないのである。まぁ、W^2としては、男性が女性の「脚線美」に対する憧れをなくさないかぎり(笑)は、こんな世界は太陽が巨星化してもありえないと思うのだが………
 最後に、一つ。まさかとは思いますが、上記の文句は決して実践なさらないでください。W^2はいっさい責任をもちません。
 実行なさったご本人が、物質・情報・精神的損害を現世・サイバーワールド・冥府・その他もろもろのそれぞれでしっかり贖(あがな)ってください。

駄弁者:
 まあ、男性は女性の素脚が好きなことは多いですが…。でも、女性は男性の脚よりは車に惹かれることが多いようですし、案外とそんな世界は近いのかも…(ちなみに私はペーパードライバー)。



SFを書くのはたのしい遊びであって、仕事ではない。
もし仕事だったら、こんな文章は書かないし、書いたとしても、それは教科書の一章になったことだろう。そんな教科書を書く気はない。
もし、この科目が人に教えられるものなら、ライバルをふやすだけだし、もし教えられないものなら、時間のむだだからだ。

 出典: ハル・クレメント「メスクリン創世記」(浅倉久志訳)「重力の使命」に収録

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
SF名文句・迷文句集のォ、300点突破を祝しましてェ、万歳三唱ッ!!

\(^○^)/ \(^○^)/ \(^○^)/

 …失礼しました。
 まぁ、そんなわけで今回は、毛色のかわった文句をいくつか。
 一つ目は作者自身がいかにしてその作品世界を構築したか、を語っている解説から。
 読んだ本の文句にコメントをつける「だけ」に四苦八苦しているW^2としましては、ハル・クレメント氏がうらやましいことこのうえないのですが……
 しっかし、こういう言葉をのたまえるって心底、SFを「楽しんで」たんだろうなぁ……

駄弁者:
 どうも、盛大なエールをありがとうございます(笑)。
 重力600Gの惑星メスクリンにすむムカデ型異星人とのコンタクトを描く50年代SFの代表作、その解説からのご投稿。
 こう言い切ってしまえる人は、すごいです。苦しんで推敲して書いた文章というのは、楽しんで書いた文章より、やっぱり落ちることが多いと思うんですよ。



生まれもった自由を売り払った値段で、人生の価値は決まるんだ。

 出典: 森岡浩之「星界の紋章V」

紹介 :ハヤト 様
HP :

コメント:
 そうして不自由になっていく事ではじめて、価値ある自由を得られるんじゃないでしょうか。いまいち影の薄いジント君ですが、意外と良いこと言ってますね。

駄弁者:
 「はじめまして」の方のご投稿の次は「お久しぶり」のハヤトさんのご投稿。
 出典の方も、お久しぶりの「星界」。まあ「星界の戦旗」もアニメ化されることだし、記念ということで。さて次は小説の完結、といきたいところですが?
 「人生の価値」がそれで決まってしまうからこそ、その自由の売却先や方法を選択する自由、というのが重要なんでしょう、多分。



「よっつ、いつつだ!」

 出典: バリー・B・ロングイヤー「わが友なる敵」(安田均訳)

紹介 :cocoyas 様
HP :

コメント:
 はじめまして。お邪魔します。
 以前はニーブンをはじめとしたハードSFばかりを好んで読んでいたのですが、この作品を読んで「こういうSFもあるんだ」と、いたく感動し、今では好きな作家にル・グィンやカードをあげるようになってしまいました。
 上記のセリフは記憶を失っていたザミス(ドラコ人)が、再会したデイヴィッヂ(地球人)の手を見て、記憶を取り戻す場面のもの。
 ドラコ人の手の指は3本というのがミソです。

駄弁者:
 はじめまして。
 出典の方もはじめましてのロングイヤー。あまり聞かない名前だと思ったら、講談社文庫や「SF宝石」で出ていた作家のようです。講談社のSFはのきなみ品切れ・絶版なのが残念です。
 しかもニーヴンですら、目録落ちという寂しい状況…。



思考実験小説がSFなのは分るが、幻想文学(ファンタジー)がSFとは意外、という方が多いかも知れない。しかし、日常性離脱の道具立てとして、航時機(タイムマシーン)による過去への遡行とか異次元のパラレルワールドとか、一見科学風の説明をするのがSFなら、それを省いて端的に別世界を描くこともできるわけで、この種の幻想作品がSF周辺の文学視されるのは当然なのである。

 出典: 倉田卓次「裁判官の書斎」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 東京高裁の元判事によるエッセイ集より。作者は上のように述べたあと、「そういう場合、作品独自のミクロコスモスがどこまで描けたかが評価の基準」であるとして、SFでは『デューン 砂の惑星』、ファンタジーでは『指輪物語』を、「その達成が種族と文明との現実感を備えた創造にまで及んだ傑作」としています。  この「SFないない尽くし」の章をはじめとして、本書と、その三冊の続編の目次には、SFやミステリ関連の項目が目に付きます。
 (これも本書の「誤訳談義」では、ル・グインの『天のろくろ』が取り上げられていたりしますし)
 「約束事の専門家」が好むのは、「約束事の文学」である、と、結論づけるのは早計でしょうか。
BGM:「宇宙のファンタジー」アース、ウインド&ファイアー
P.S. めい文句の300点到達に乾杯。

駄弁者:
 ファンタジーがSFの範疇という判決には、控訴したくなる人もいるかも知れません。逆と考えている人もいるでしょうし。しかし「ハイ・ファンタジー」とか「異世界ファンタジー」というジャンルがSFの影響を受けてできたものだということは、まず間違いないでしょうね。
 「約束事の文学」については、SFは一般常識として知られている「約束事」をいったん否定するか保留するかして、その後さらに普遍的な「約束事」を見いだそうとする性格があるように思います。



「災難は一点に集中するんじゃなかったんですかー」
「宇宙規模の一点じゃった様じゃの」

 出典: 夢野れい「極地交錯点」 「GRAND BANK」に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
地球大の遊星が地球にぶつかってきても、宇宙規模では・・・
たまたま客船「タイタニックU」に乗船していた人々は、宇宙船に変形した「タイタニックU」によって宇宙に旅立てるのですが・・・不吉じゃ。
(マンガです)

駄弁者:
 確かに宇宙規模なら地球どころか、太陽系丸ごとでも「点」ですが…落ち着いている場合かっての。
 ところで、船に「タイタニック」という名前を付ける勇気のある人(あるいは酔狂な人)は、実際にいるのかな…。



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