SF名文句・迷文句第7集

 驚異のハイピッチ! いつまで続くか謎ですが。

フォームに戻る

第6集を見る  感想を書く(文句toめい文句)  第8集を見る


「アレスタ聞こえるか?柴田勝家じゃ。頼むぞ、何としても今川の陣を撹乱してくれぃ」

 出典: 株式会社コンパイル制作「電忍アレスタ(メガCD用シューティングゲーム)」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 天文12年(1543)、種子島に漂着した1隻のポルトガル船によってもたらされた、「蒸気機関テクノロジーによる人型兵器と空を飛ぶ船」は、それまでの日本の戦争スタイルを激変させた・・・・・・そりゃ、そうでしょうね(笑)
 前作「武者アレスタ」がスペースコロニーを管理するコンピュータ「大亜51」が突如暴走、なにをとち狂ったか「和風」の機動兵器を大量生産するというとんでもない話だったのに輪をかけて、本当の日本の「戦国時代」に人型飛行兵器(通称:電忍)が活躍するという何といっていいかわからない話。これも一種のスチーム・パンクなのだろうか?上記のセリフは日本史によくでてくる「桶狭間の合戦」におけるものと思われる(笑)
 数十年後の「江戸時代」を舞台にした続編を作るという企画もあったはずなのだが・・・。さすがに、手持ちのゲーム機は動かなくなってしまっているのだが、CDを再生すればセリフと音楽は聴けるので最近よく聞いている(笑)
 家紋が入っている装甲列車が走っているわ、武田信玄が「美濃の国」で超大型「木造」飛行戦艦を飛ばしているわ、この頃のコンパイルはうむを言わせぬパワーがあったなぁ・・・

駄弁者:
 第7集トリを飾るはゲームソフト出典のご投稿。うーん、スチームパンクってほど大層なものでもないような。いまいち、どういうところが名(迷)なのか分かりかねるところではありますが、どうやらゲームそのものは「迷」のようです。
 しかしゲームというメディアに目をつけたのは、うまい、と思います。
 ちなみに私にとってなつかしのゲーム音楽と言えばファルコムの「Ys」シリーズですが。



彼女は考える必要が無い。まわりの状況が、彼女の考えなんです。彼女の意識は、身体に限定されていないんですよ。周囲の環境の総和が、<緑>の自我なんです。

 出典: 新城十馬「蓬莱学園の魔獣!(下) 第二話 架空の犬 CANIS PHANTASTICUS(承前)」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 東京都の真南2500km、地図にものっていないという絶海の孤島「宇津帆島」に世界中からとてつもなく”濃い”人間たちが集っているという「蓬莱学園」。当然か必然か小説に出てくる人物たちもおかしくないやつがいないくらいなのだが、その中でも、どうゆう存在なのか何回読んでも今一つイメージがまとまりきらず、奇妙に印象的なキャラクター<緑(リュー)>についての記述から。
 ディックか誰かの作品に出てくる金色の体の完璧な予知能力をもっている人間とも微妙に違うようだし・・・・・・
 余談ながらその後の作品を読む限りでは、彼女は国語辞典を何冊も頭から読んでいく程度のごく普通のレベルのおかしな人間に更正したらしい・・・・・・

駄弁者:
 赤ん坊の意識というのは自分の身体とその外部が分明でない、という話をきいたことがありますが、そのままの状態で自我を発達させたら、この<緑>さんのようになるのかも…。いや、自分で言っててそれがどういうものなのか想像つきませんが。



「あたし、あんなところきらい。ころぶと怪我するもの。それに、人がたくさんいすぎるわ」

 出典: アーサー・C・クラーク「2001年宇宙の旅」(伊藤典夫訳)

紹介 :ふいごのマロウ 様
HP :

コメント:
 1999年、TMA1を調査するために月のクラビウス基地へ旅たったヘイウッド・フロイド博士は、基地行政官ハルボーゼンの娘で、宇宙生まれの「最初の世代」、低重力下で速い成長をする4歳の少女ダイアナと遭遇する・・・。「地球に行きたいとは思わない?」フロイド博士の問いにダイアナは驚き、目を丸くして答えた・・・

 現実には、まだHAL9000も開発されてないし、月に恒久的な基地もなく、宇宙ステーション「ミール」は墜落してしまいそう・・・。
 はぁぁ・・・チャレンジャーが爆発しなければ・・・
 ロシアが安定すれば・・・
 NASDAにもっと予算があれば・・・

宇宙生まれの世代が誕生するのはいつになるのかな?

駄弁者:
 「1999年の名文句」第2弾。確かに宇宙生まれにとって1Gは足かせ以外の何者でもないでしょう。
 あと2年で有人宇宙船が木星へ行くのは無理でしょうし、ノイローゼに罹れるほど複雑なコンピュータなど、夢のまた夢…。
 地球の人口もついに60億を突破してしまったようですし、早めに宇宙世代誕生を実現しないとならないかも知れませんね。



「待ちに待った時が来たのだ。多くの英霊が無駄死にで無かった事の・・・証しの為に…(中略)…
再びジオンの理想を掲げる為に… 星の屑成就の為に…」
「ソロモンよ!
 私は帰って来た!!!」

 出典: 今西隆志(監督)「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY 第9話『ソロモンの悪夢』」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 連邦軍から核兵器装備のガンダムを強奪した「ソロモンの悪夢」ことアナベル・ガトーさんが、宇宙要塞コンペイ島(旧名ソロモン)での連邦軍宇宙艦隊の観艦式に殴り込みをかけた時のセリフ。
 このセリフの後、彼がぶっぱなした一発の核弾頭(当然ガンダムごと連邦軍から強奪したものである)によって観艦式に参加していた宇宙艦隊はほぼ壊滅、ジオン公国軍残党「デラーズフリート」の軍事行動「星の屑」作戦は新たなる局面にはいっていくのである。
こんなキャラクターもいるからガンダムファンは止められない。

駄弁者:
 とうとう、ガンダムからもご投稿。
 OVA版のガンダムより。元祖ガンダムの少し後、という設定なのに、これより後になるはずの「Z」や「ZZ」よりどう考えても強力なモビルスーツが出てきてしまうのは、まあ仕方がないか…。
 主人公より敵役が魅力的なのは、ガンダムの伝統でしょう。…最近のは知りませんが。

 追伸・W^2さん、フォントサイズは指定通りになってません。近いようにはしましたが、ごめんなさい。



スライムに剣は通用しない。しかし、何かの魔法の薬なのだろう。彼女が景気よく撒(ま)き散(ち)らす粉に触れた途端、無数とも思えるスライムたちは、あわてて、その身を退(ひ)いていく。
効(き)いてる効いてる。
「すごいわね・・・・・・でもそれ一体、何の薬?」
「塩」

 出典: 神坂一「ロバーズ・キラー」 「スレイヤーズすぺしゃる1 白魔術都市の王子」に収録 

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 私は、この文章を初めて読んだとき、この世界と「スレイヤーズ」の世界の間に存在する次元の壁にひびが入った音を聞いたような気がした(笑)
 「悪人に人権はない」をモットーとし、「盗賊殺し(ロバーズ・キラー)」「不敗の魔王」「大平原の小さな胸」等、数々の異名を取るリナ・インバースが「スレイヤーズ」本編とは関係ない活躍を繰り広げる短編集から。
 「スレイヤーズ」シリーズ自体はどこをどう見てもSFではないが、たまーに、我々の世界の一般常識やら科学知識をファンタジー世界にあてはめて、本筋とは関係ない、このような妙に面白いエピソードを作り出すことがある。しかし、SF名文句・迷文句集を読まれる方々にとっては「塩の脱水作用」を利用した「なめくじに塩」というのは常識なのだろうか?

駄弁者:
 はて、「なめくじに塩」は常識でも、「スライムに塩」は常識だろうか? スライムの外皮が浸透膜でできているのかを生物学・進化学的に考察してくれればSFなんでしょうが……。
 それはともかく。「スレイヤーズ」は全編とって迷文句の連発で、ここからとってしまうとウチの「名文句集」が「インバース語録」になりかねません。以後「スレイヤーズ」からのご投稿はナシ、ということでご了承を。



ジョーンズは、戦慄(せんりつ)を覚えた。
この娘、ひょっとすると天才か、あるいは、日ペンの美子ちゃんかもしれない。

 出典: 火浦功「銀河芸人伝説」 「たたかう天気予報」に収録 

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 スタンフォード大学に芸能学のゼミをもっているジョーンズ博士の思考から人類が星への道を手に入れ、銀河の津々浦々を巡るようになっても、悪筆の日本人は健在らしい。ああ、日ペンの美子ちゃんよ、永遠なれ(笑)

駄弁者:
 ジョーンズ博士がなんでまた過去の日本の通信講座なぞ知ってるんだ、という疑問はさておき。
 「お前の字は読むんじゃなくて解読だ」と言われたことのある駄弁者はこの迷文句を笑えなかったりするのであった。
 そういえば、火浦功も1冊も読んでないな。



「その挑戦を受けて立つことにします。 生者の意志と死者の手の闘いです」

 出典: アイザック・アシモフ「ファウンデーション対帝国 <銀河帝国興亡史2>」(岡部宏之訳)

紹介 :ふいごのマロウ 様
HP :

コメント:
 創元版「銀河帝国興亡史」は、小学生の頃夢中になって読んだ記憶があります。アシモフの未来史シリーズには、テンダーのゲームさんも、かなりの思い入れがあるようにお見受けしますが、少し違う視点から、一点名文句を・・・。
 今、手元に早川版しかないのが残念なんですが・・・挿絵とか、訳文の雰囲気は創元版の方が好きです。個人的には、セルダンやダニールやベイリやハーディンやキャルビンやドースやジスカルドよりも、この「帝国宇宙軍将軍兼枢密院議席保有貴族」の方がとても魅力的だったりします。子供心に、「いけいけ〜ファウンデーションなんかつぶせ〜」なんて思いました。だって、●●するの見え見えなんだもん。
 彼は、常人だし。

駄弁者:
 没落する<帝国>に代わるべく設立されたファウンデーションに、威信をかけて挑む将軍、ベル・リオーズ。「心理歴史学の必然」に勝つことできない、との言葉に応える将軍のセリフからのご投稿。
 ちなみに創元版(厚木淳訳)では「わたしはその挑戦に応じよう。これは生きている意志対死者の手の戦いだ」となります。



「いいや、サイエンス・フィクションを書くという職業は 存在するんだ。サイエンス・フィクション自体が非存在、というだけのことさ。なんだか”不思議の国のアリス”の中の問答みたいになってきたぞ」
「きみが著作でかせいだ金も非存在かね?」

 出典: フィリップ・ホセ・ファーマー「リバーワールド3  飛翔せよ、遥かなる空へ(上)」(岡部宏之訳)

紹介 :ふいごのマロウ 様
HP :

コメント:
「リバーワールド」!
 1巻と3巻しか手に入らないんで、コメントしにくいのですが、かなり、”愉快な”物語なような・・・ファーマーは、「リバーワールド」しか読んでいないのですが、「恋人たち」のようなシリアスな物語も書いているみたいです。とりあえず、「リバーワールド」2巻目を探さねば・・・
 「リバーワールド」自体は、マーク・トゥエインとか、ニーチェとか、アリス・プレザンス・リデル・ハーグリーヴスとか、ゲーリング等の様々な方々が混乱しまくる冒険活劇?です。この会話は、英国の探検家リチャード・F・バートンと、とある”米国のSF作家”との一節。

駄弁者:
 話には聞きますし、古本屋で1巻だけちらっと見たことはあるんですが、どんな話なのかいまだによく知らないシリーズです。
 …で、SFを書く職業が存在して、SF自体が非存在だとすると、SFを読むという行為は一体どうなるのでしょう? 本を買うのに払った金は多分存在していたと思うのですが(サイフの中には非存在…)。



「I LOVE YOU!」
「I KNOW.」

 出典: ジョージ・ルーカス(原作)「STAR WARS:EPISODE V・帝国の逆襲」「同:EPISODE V・Iジェダイの復讐」

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 EPISODE I ファントム・メナスも公開されたということで、スター・ウォーズネタを送りました。
 この台詞はEPISODE:Vでハン・ソロがクラウド・シティーでカーボン・フリーズされる寸前にレイア・オーガナが呼びかけ、ハン・ソロが答えたものとして有名なものです。
 しかしEPISODE VIの中でも使われていることを覚えている人は少ないかもしれません。(日本語訳ではまったく同じ台詞というわけではないので、敢えて英文のものを送りました)
 スター・ウォーズでは結構似たシーンや台詞の使いまわしがあり、EPISODE Iでもアナキンが「I’m not afraid」って言ったりしてましたので、この台詞ももしかしたら、EPISODE IIかIIIで使われるのではないかと思ってみたりしています。

駄弁者:
 やっと来た、と言うべきでしょう。「スター・ウォーズ」からのご投稿。これまで駄弁者の趣味をモロに反映してか、「トレック」からはあっても「ウォーズ」が無かったのでした。こっちも嫌いじゃないですよ。しっかりエピソード4〜6は特別編を観ましたし。
 旧友の裏切りに遭い、<シスの暗黒卿>ダース・ヴェイダーの手におちたハン・ソロ。炭素冷凍にかけられる寸前、これまで始終つの突き合わせてきたレイア姫との間で交わされたのがこの名文句。
「愛しているわ」
「知ってたよ」
かっこよすぎるぞ、船長!
…とはいえ、横で聞いていたヴェイダー卿は内心、「貴様なんぞに大事な娘をやれるかあ!!」などと絶叫していたかも知れません。



「オレや野明が、どんな思いを・・・・・・青春の光と影をもて遊びやがって、あのクソ中年・・・・・・」
「遊馬、かわいそ」
「呪ってやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 出典: ゆうきまさみ(原案)押井守(監督)「機動警察パトレイバー劇場版」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 同じく機動警察パトレイバー劇場版から1999年の迷文句の方も一つ。
 後藤隊長の思惑にはまり、ボロボロになるまで、いいように働かされたうえ、自宅謹慎をするはめになってしまった主人公、篠原遊馬(しのはらあすま)の魂の叫び。

駄弁者:
 もう一つは一転して「迷」ですか。
 「かわいそ」の一言がなんか絶妙に叫びを引き立てているというか。



それにしても、奇妙な街だな、ここは。あいつの過去を追っかけてるうちに、何かこう、時の流れに取り残されたような、そんな気分になっちまって・・・・・・ついこの間まで見慣れていた風景が、あっちで朽ち果て、こっちで廃虚になり、ちょと目を離すときれいさっぱり消えちまってる。それにどんな意味があるのか考えるより早くだ・・・・・・ここじゃ過去なんてものには一文の値打ちもないのかもしれんな・・・・・・

 出典: ゆうきまさみ(原案)押井守(監督)「機動警察パトレイバー劇場版」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 作品の舞台は1999年夏の東京。
 某ホ○ダの人型二足歩行機械が数年早く開発・実用化されていたり、インターネットが発達しなかったりしたらありえたかもしれない「現在」からの文句です。
 押井守監督の作品「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」や「天使の卵」にもあった、いやおうなしに、過ぎ去ってしまう(もしくは過ぎ去ってしまった)ものへの不安・怖れあるいは漠然としていながらの確かに存在する「今、ここに自分がいる事」への違和感を表現している(と私は思っているんですが)セリフ。

駄弁者:
 掲示板「Da・Bench」で募集した「1999年の名文句」、投稿第一弾。しぶいですねえ。
 レイバーがあろうと、インターネットがなかろうと、都会のこういうところは変わらないのでしょう。ただ、インターネットはこれを加速しているかも知れません。



港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。

 出典: ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」(黒丸尚訳)

紹介 :NOP 様
HP :

コメント:
 80年代の傑作、サイバーパンクの先駆けとして知られる作品、ウィリアム・ギブスン作「ニューロマンサー」からです。ギブスンはその独特の文体に味があって、作品に不思議な雰囲気をかもし出しています。インターネットが当たり前になった今日でもその魅力は失われることはありませんし、ギブスンの預言的な作品世界は、けっこう当たっているのかもしれません(例えばこの作品に描かれる電脳都市・千葉シティは幕張新都心が登場する何年も前です)
 今読み返してみると、これがなかなか新鮮です。

駄弁者:
 NOPさん、お久しぶりです。  コメント通り、80年代を代表する長編「ニューロマンサー」、冒頭の一文より。
 書き出しから「コフィン」「スプロール」「ジャック・イン」などの造語が次々と飛び出すギブスンの文章。特に説明も与えられないまま、面食らうのを乗り越えて読んでいくと、しだいにイメージが沸いてくるという仕組みです。



「女にだって征服欲はあるんですわよ」(にんまり)

 出典: 竹宮惠子「私を月まで連れてって!」

紹介 :いかなとくら 様
HP :

コメント:
 この作品は竹宮惠子の名作SFラブコメ。ストーリー、モチーフ、舞台設定、全てがちゃんとSFしているのがツボにはまります。なんといっても主人公宇宙パイロットのダン26歳、エスパーのニナ9歳‥‥‥「夏への扉」並の年の差カップルはすごい。
 この台詞はニナの兄アーチーを好きになった品行方正なお嬢様キャリーの独白。アーチーという少年はマッドサイエンティスト予備軍でして、朴念仁というのはお約束でしょう。
 他にもいろいろと名・迷文句取りそろえた作品ですが、インパクトでこの台詞にしました。

駄弁者:
タイムトラベルがからまなければ、「夏への扉」を越えてるんでは。それにしても、最後の「にんまり」が恐い。
 朴念仁のマッドサイエンティストとは王道ですが、そういうのに女性が惚れるというのも、また王道。実際に現物を目にすることは…まあ、あまりないような。



「隠さないでごめんくださいまして。あなたがたが神様を大事にして、隠したいぜと思う気持ちの心理の胸中、よくよく洞察しますが、この星に神様がいるということ、私たちはとっくに今に分かっているですの」

 出典: 山本弘「ギャラクシートリッパー美葉1」

紹介 :ふいごのマロウ 様
HP :

コメント:
 ”神様”を求めて宇宙をさまよう「スチャラミッシュ人」と女子高生美葉との会話の一節。はるばる地球にやってきたミサイル型エイリアン「スチャラミッシュ人」は強大なエネルギーを持つ”核兵器”を神と崇める・・・
 山本弘さん。最近は”と”学会が忙しそう・・・。あまり”トンデモ本”シリーズは好きではないのですが・・・。だって、他人の書いた”奇書”に突っ込みいれるだけですから。

駄弁者:
 「気持ちの心理の胸中」あたりの言語感覚にも笑えますが、ミサイル型異星人が核を神とあがめるアイディアがざぶとん一枚ものですね。
 わたしは、「トンデモ本の世界」は好きです。ただし、最初の1冊のみ。妥協して2冊目の「トンデモ本の逆襲」まで。以降は粗製濫造の天然色見本ですからねえ…。



「それとあたしが信じられないのは──ほら、いまだかつて一度もループになったことのないシーン、本物の自殺よ。なのに彼、それを記録していなかったの!」

 出典: オースン・スコット・カード「ライフループ」(大森望訳) 「キャピトルの物語(ワーシング年代記2)」に収録

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 ドラマが行き着くところまで行き着いたというか、覗き魔の完璧な願望達成のための娯楽というか、現代人の感覚ではついていけないところもあるライフループですが、その中でも極めつけがこの最後の台詞ではないでしょうか。
 完璧に一人の人格そのものが“商品”扱いでまかり通っているようです。これもソメックの悪影響の一つでしょうか?
 これではアブナー・ドゥーンでなくともキャピトルを潰したくなります。
 皆さん、まずはゲームを壊しませんか?(←誰か分かってくれる人いませんでしょうか。)

駄弁者:
 自分の実生活をレコーディングし、ドラマとして提供するライフループ俳優たち。トップ女優のアーランは俳優ハミルトンから熱烈な告白を受ける。これはすごいループが撮れる、と考える彼女だが、ハミルトンの真意は……。
 ご投稿の名文句は物語の結末を告げる、アーランの同僚女優の言葉。

 なおコメントの語句が意味不明という人は、とりあえず「キャピトル」を読みましょう。「神の熱い眠り(ワーシング年代記1)」から読むとなお良いですが、「キャピトル」単体でも支障なし。



第一条より偉大な原則があるのです。
“ロボットは人類に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって人類に危害を及ぼしてはならない。”
わたしはこれをロボット工学第零法則と考えます。したがって第一条はこうなります。
“ロボットは人間に危害を加えてはならない。また危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない。ただしロボット工学第零法則に反する場合はこの限りではない。”

 出典: アイザック・アシモフ「ロボットと帝国」(小尾芙佐訳)

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 ヴァジリアの“命令”に対するダニール・オリヴォーの第二条を回避する台詞からです。
 司書の駄弁者さんは初期の頃の三原則の方がわかりやすいので好きなようですが、ロボットものと銀河帝国興亡史をつなぐものとしてこの第零法則を忘れるわけにはいきません。
 これがなければ『ロボットと帝国』の展開がままならないばかりか、後々の『ファウンデーションへの序曲』『ファウンデーションの誕生』においてドースの行動は著しく制限されるに違いないし、さらに『ファウンデーションの彼方へ』『ファウンデーションと地球』のガイアにしてもダニールが“人類”の定義化をはかるために作ったものであることを考えると銀河帝国興亡史ではかなり重要な法則だと思うのですが、どうでしょうか。
 まあ、小説内においても意味の曖昧さから来る使いにくさは顕著ですが。

駄弁者:
 第6集の先頭に「三原則」を持ってきたら、今度は第零条がきてしまいました。
 私もストーリー上は必要不可欠なものだと思います。「ファウンデーションへの序曲」は私も好きな作品ですし。
 ただ、アイディア短編の元としては、「三原則」が適していると思っています。
 また、一人の人間を「タピストリーの一本」とする考え、それに一個の存在に「人類」の定義と未来をゆだねてしまうということに、危なっかしさというか、違和感を覚えるということもあります。それが、たとえダニールにであったとしても。



「一人になったアンドロイドの悲しみが人間にわかるか!?側に居るべき人間(ルビ:あいて)はどうあっても離れて行くんだ……それは、生活を共にした兄弟を、死を看取るまで側にいた友人を失くして、一人取り残されたドールの相手を誰がするんだ?………人のために生まれてきた人形(ルビ:アンドロイド)は、人と共にせずには生きて行けない………」

 出典: 高尾滋「人形芝居」

紹介 :たけうま 様
HP :

コメント:
 活字作品以外からは初の投稿、もっといろいろ読んでいかないとなあ……。
 双子の人形師、嵐と静が作り出すアンドロイド「ドール」は一人っ子の兄弟として、独居老人の話し相手として重宝されていた。しかし、ドールには「寿命」が設定されていたのだ……。上の言葉は、依頼人に「ドールは使い捨てじゃない!」と、いわれた嵐が返した言葉。図書館のねーちゃんさんの言われるとおり、本当の家族として扱ってくれる、ということは「救い」でしょう。しかし、その先には必然的に「別離」という運命がが待っているのです(人間同士でもそうだけど)。実はこの運命、某星間帝国の王女様にも待ち受けているのですねぇ。

駄弁者:
 はい、どうも私も活字作品以外を過小評価していたようで…。
 人間と心の交流をもつロボットを描く際、これは究極の課題かもしれません。
 某王女様は、それでも生きていけるかも知れません。人間だから、忘れたり、美化したり、合理化したりできます。ですが、亡くした相手以外に存在意義を持たず、揮発しない記憶をもつロボットは、一体どうなるのでしょう。



「さあ、大作。これでお前が世界を救うんだ。そして教えておくれ、父さんに。そう・・・、幸せは犠牲なしには得(う)ることはできないのか?その答えを・・・いつか私に・・・教えておくれ・・・・・・」

 出典: 横山光輝(原作)今川泰宏(監督)「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日 Episode.5 真実のバシュタール 〜過ぎ去りし、少年のあの日々〜」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 「幸せは犠牲なしに得ることはできないのか?時代は不幸なしに越えることができないのか?」という亡き妻の問いかけにに答えんが為、何を考えたのか世界征服を策謀する秘密結社「BF団」に荷担した草間博士。しかし、「気づいた過ちはあまりにも大きすぎ」(当人談)、瀕死となった博士は実子、草間大作少年に上記のセリフによって超ド級の秘密兵器「ジャイアントロボ」、および、問いかけに対する回答を出す事、を託し絶命するのであった。
 合掌。

 このセリフのシーンの音楽がまた秀逸で・・・
 作曲・指揮の天野正道さんと演奏のワルシャワフィルハーモニーの皆さん、ありがとうといったかんじです。

駄弁者:
 この作品、絶賛する人が多いですね…。
 中国ものも好きな駄弁者としては「水滸伝」の人物名がたくさん出てくるやつ、という認識がありました。実際は、「三国志」から「水滸伝」から、「バビル2世」にいたるまで、横山作品オールスターキャストだとのこと。
 しかし、問いかけに答えるためにわざわざ自分で犠牲と不幸のタネをまかなくてもいいんじゃなかろーか。なんでも実証・実験しないとすまない科学者の性、なのでしょうか。



時空間スケールの全貌を認識し、空無を見渡しつつ、さ迷う星々を羊でも数えるように数えていたわたし、あらゆる存在の中でもっとも覚醒したわたし、あらゆる宇宙期の無数の存在(もの)たちが命を捨ててまで築こうとし、崇拝してきた栄光であるわたしが、今では同じような圧倒的な怖れ、いわば砂漠の旅人が星々を頭上に感じるときのような、戸惑いと名状しがたい崇敬の念を胸に、自らを見まわすようになろうとは、実に不思議な心持ちであった。

 出典: オラフ・ステープルドン「スターメイカー 第十二章 成長をやめた宇宙精神」(浜口稔訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 ふいごのマロウ様が熱く語っている作品を私ごときがとりあげて恐縮なのですが「スターメーカー」から一文。
 私にとってはまるで澄んだ湖の底を眺めているときのような「美しさ」と「神秘」と「畏怖」を感じさせる独特の作品です。
 こんな文章を含む作品を1935年に発表したというのだから、オラフ・ステープルドン、恐るべし。

駄弁者:
 どうか恐縮しないで下さい。読んでもいない作品に、えらそうにコメントをつける駄弁者の立場が…。
 ご投稿の名文句から、いろいろ状況を推測してはみるのですが、どうやら見当はずれのもよう。これは現物を読むしかないか…?



真実は空のコップ

 出典: フランク・ハーバート「砂丘の大聖堂(DUNE第6部) 」(矢野徹訳)

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :

コメント:
 またDUNEから詭弁まがいの言葉をとってきました。
 どのような事柄でも人間の意志によって、いかような意味も取り得る、と言ったところでしょうか。
 まったく持ってベネ・ゲセリットにとって言葉は武器でしかないようです。
 彼女らにかかればあらゆる事柄にいろいろな教訓を込めてしまいます。
 ヘイト(『砂漠の救世主』に登場するダンカン・アイダホ・ゴーラ)がベネ・ゲセリットの“魔女”に比べれば自分はまだ人間だといったのもうなずけます。(『砂漠の異端者』『砂丘の大聖堂』では彼もほとんどベネ・ゲセリットですが)
 もっとも、それだからこそ、この物語は深い味わいがあるのではないでしょうか。

駄弁者:
 この言葉が「詭弁」だったとしても、それは人間の意志が詭弁だと取っているのだから、「真実は空のコップ」という言葉そのものは、依然として真実だ、ということになります。「詭弁であるにもかかわらず真実である」というパラドックス。根を詰めて考えると、混乱が増すばかりです。
 何となく「うそつき」のパラドックスを連想しました。うそつきが「俺はうそつきだ」と言った場合、それは本当なのか、ウソなのか……。



フォームに戻る
第6集を見る  感想を書く(文句toめい文句)  第8集を見る