SF名文句・迷文句第20集

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「確かにそれはバカな夢だって…だけど夢を忘れたら…宇宙開発はできねェよ」

 出典: 石渡治「パスポート・ブルー」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
”まっすぐ”少年の夢は火星に自作のロボットを連れていって、火星で奇跡的に見つけた泉のなかでクリオネ(巻き貝の一種らしい)を見つける事だそうです。ちょっと前までは宇宙に行く事が夢だったはずなんですが。

駄弁者:
 400点目は「パスポート・ブルー」出典の第2弾。
 なんかすごく注文の限定された夢なんですね…。クリオネだったら宇宙にいても似合ってそうな気はしますが。



「夏は毎年毎年 どんどん すばらしく なってゆくのさ」

 出典: 中山星香 (原作トム・リーミイ)「沈黙の声」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 カンサス州ホーリィにサーカスがやってきた夏が終わろうとするとき、フィニーとジャックの二人の少年にとって、スリリングで楽しい夏休みだったようです。
 物語の終わりのセリフなんですが、このセリフで随分と読後感が素晴らしいものになっているようです。

駄弁者:
 トム・リーミィの長編ですか。マンガ版があるとは知りませんでした。今年に入って、ようやく短編集「サンディエゴ・ライト・フット・スー」を読むことができたんですが、こっちはまだ未読…というか、この先読むことがあるかどうか。
「サンディエゴ〜」はSFというより幻想・ホラーの色が濃い作品集でしたね。



かれは、日本人にありがちな、自覚をもたぬ仏教徒であり、神道のひかえめな賛同者であった。悪魔に魂を売ったおぼえはあったかもしれないが、みずからの魂が欲する自由を制約する神を必要としていなかった。

 出典: 佐藤大輔「遙かなる星[3]我等の星、彼等の空」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 1962年10月、キューバ危機に端を発する第三次世界大戦により、アメリカは壊滅、日本とソ連が宇宙開発競争を繰り広げている世界。
 この世界における、最大の航空宇宙組織である宇宙開発事業団、その実質的支配者である男が、香川県の「金刀比羅宮」(ことひらぐう)に参拝する場面より。「自覚を持たぬ仏教徒であり、神道のひかえめな賛同者」というフレーズが気に入っています。
 ・・・さて、ここで問題。
 日本のロケット開発を牛耳る男が、古来より船乗りたちの信仰を集めてきた金刀比羅宮に、年に何度か訪れる理由はなんでしょうか?(ヒント:宇宙の海は、俺の海)
BGM:「地上の星」中島みゆき

駄弁者:
 「自覚を持たぬ仏教徒であり、神道のひかえめな賛同者」…確かに、うまい表現です。言われてみたら、前半部分については私もそんなものかも。
>宇宙の海は、俺の海
 丸メガネでちんちくりんの親友がそこに眠っているとか?
 関係ないですけど「命を捨てて俺は生きる」って、むちゃくちゃ矛盾した歌詞だと初めて聴いたとき思いました。



子供というものは死が自分のところへもやってくるものだということを、なかなかつかめないものなんだ。成人とは、人間が必ず死ななければいけないということを知り……そしてその宣告をうろたえることなく受け入れられる年齢だと定義してもいいぐらいなんだよ

 出典: ロバート・A・ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」(矢野徹訳)

紹介 :大ちゃんの妻 様
HP :

コメント:
 流刑者たちの末裔が独自の社会を作っている月世界の地球から独立を描いたハインラインのヒューゴー賞受賞作。革命組織への参加年齢に関しての発言です。
 突然ですが、私のハンドルネームは4年前に亡くなった連れ合いの愛称に拠ります。
 人が死んでも、職場でも、家庭の中でさえ、日々の暮らしは何事もなかったように続いていきます。「一別音容両つながら渺茫」と昔の人は詠じましたが、そのことについ感傷的になって名乗った名前です。
 第2人称の死というものを経験したおかげで、人生観が変わったような気がします。この文句ズンときました。成人の定義かどうかはともかくとして。
 ちょっとヘビーでしたか。すいません。

駄弁者:
 …どうも軽々しくコメントはできないです。私はまだ、そういう重い意味をもった死というものに直面したことがないからでしょうか。
 「人が必ず死ななければならないという…宣告をうろたえることなく受け入れられる年齢」に私がなるものかどうかも、正直言って心許ない。ただ単に年をとったらそうなる、というものでもないと思います。年をくった私は、しんどいことから逃げる要領ばかり上手くなっているだけかも…。



「『ノボ』より本局へ!!
 敵に対抗する手段は、すべてなくなりました。
 しょちなし、しょちなし!! ゲームセット。」

 出典: 小澤さとる「青の6号」(原作漫画1967年版)

紹介 :H.MITA改め緑雷鳥 様
HP :

コメント:
 久しぶりに投稿します。
 『青の6号』といえば最近ではOAV版のほうが広く知られているようですが、これは1967年発表の原作漫画から。(他にも原作者の小澤氏による、1997年発表のリメイク新作漫画版があります)
 上にあげた台詞は主人公側の国際海洋保安組織『青』の海底基地『青の本局』が、敵の秘密結社『マックス』の潜水艦隊の襲撃を受けた際に、応戦していた管制ロボット(といっても海底に固定されたロボット水中灯台というべきもの)の『ノボ』が手持ちの弾薬を使い果たし、応戦不可能になった際にのたまったもの。
 しかし、ピンチの際にこういう台詞を吐けるロボットというのもすごい。きっとプログラマーが遊び心のある奴だったにちがいない・・・って、待てよ?60年代末の漫画だから、あるいは人工知能だということなのだろうか?

駄弁者:
 …むしろ「電子頭脳」という響きの方が、ちょっとレトロっぽくていいと思いません?



「僕は、命は関わりだと思います。命とは、その人が生きてゆく人生の中で、関わり合ったものの全てです。その人の命は、その人の親との関わりであり、その人の子供との関わりであり、そして恋人との関わりでもあります。…(中略)…人を殺すということは、その関わりを断ち切ることです」

 出典: 鷹野良仁「砂漠の花嫁」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
 フィールド・オブ・スターライトシリーズの第二巻より。
 宇宙軍士官学校を卒業後それぞれの道を進む登場人物たち。第一巻で練習艦『まくらざき』の副長だったバン・フォーイ・キングが主人公。
 文句は戦争で人を殺さなくてはならなかった彼の言葉。
「他人がいくら口で云ってみたところで、人は人を殺してみなければ、その本当の重さを理解することはできない。僕はそう思います・・・・・。でも気づいたところで、全ては手遅れです」
と続きますが、重く、悲しい台詞です。

駄弁者:
 ふつうに生きている人が口にすれば、ただの模範解答ですが、実際に戦場に出た人の言葉だと思えば、重みが違ってきますね。



「人はね、悲しんでいるより、怒っている方がいい。それはまだ前向きなのだから。
 人は、怒っているより、楽しい方がいい。それは嫌なことを忘れていられるから。
 人は、楽しいより、嬉しい方がいい。それは努力の果てに生まれたものだからね。
 でも、人は、嬉しいより、悲しい方がいい
   …(中略)…
 それは、本当のことだからさ。」

 出典: 鷹野良仁「新任艦長はいつも大変」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
フィールド・オブ・スターライトシリーズの第一巻より。
 宇宙軍士官学校受験にむけてアキタ県立琴丘高校軍属科クラスでがんばる主人公たちの物語です。今回は級長であり、練習艦『まくらざき』の艦長となった藤宮千夏が主人公。
 文句は戦死した千夏の亡父から母へのプロポーズの台詞。芝居がかっていますが何となく印象に残ったので。
なお、
「それのどこがプロポーズなの?」 
母は笑って、
「解らない? そうね。私もそうだと気づくのに、半年かかったもの」

駄弁者:
 これでプロポーズだと思えという方が無理なのでは…。しかし非常にいい言葉ではあります。
 プロポーズだと気付いてもらえるまでの半年間、この方はどんな顔で過ごしていたのでしょう?



「たった3百年生きたくらいで、人生の重さ苦しさに耐えきれない?しかも他人の生命を奪わなくては生きていけない?何とまあ、つまらないやつだ」

 出典: 田中芳樹「創竜伝12」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
 SF???ですが、以前にも本シリーズよりの投稿があったようなので。
 東海竜王と西海竜王の会話より。中国(道教)と西洋の精神文化の違いについて語っている部分です。
 西洋の吸血鬼は人生の苦しさを強調するキリスト教的価値観を裏返した存在だとする一方、中国の仙人(道教)は時間とともに変化する歴史や文化、自然を楽しみながら生きている。
 キリスト教的な倫理観の重苦しさを、道教は軽々と超越してしまっている、と一刀両断にしています。なるほど、そういう視点もあったのかと感心しました。
 現代日本人はどちらかというとキリスト教の価値観に犯されているような気がしますが、日本固有の精神文化はどうなのでしょう?

駄弁者:
 「西洋にくらべて中国は…」というのも西欧コンプレックスの裏返しのように思えて、あまり好きではないんですけどね。
人里離れた山に隠遁して一般人と交わらなくなって久しい仙人たちに、人生の重さ苦しさがわかってたまるか、という気もしますし。
 うーん、田中芳樹の作品はは昔から好んで読んでいたのに、最近文句ばかりつけたくなっています。



広くてすてきな宇宙の中で、一番大事な舞子のためにわしも浜松で考えた。舞子とその子供たちのために考えた。

 出典: 鶴田謙二「広くてすてきな宇宙じゃないか」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
 鶴田謙二短編漫画集『Spirit of Wonder』より。鶴田謙二の漫画はノスタルジックで優しいSFが多い。その中から一編。
 異常気象のため海面が上昇した世界。日本人ではじめてノーベル賞を二回受賞した天才科学者は愛する孫娘のため、十五年も前から異常気象を予測し、解決法を記していた。
 文句はその論文の出だしの一節となっている。論文はおちゃめな博士により全編があぶり出しで書かれたうえに、海中に沈んだ家の中に納められていた。
 子供の頃の舞子と博士の回想シーンがいいですね。

駄弁者:
 鶴田謙二は本の挿絵(最近だと「おもいでエマノン」)とかイラスト集などでよく見かけるんですが、マンガの方は読んだことがありません。
 セリフだけでも、優しい雰囲気はよく伝わってきますが。



「計画がスタートしたのは二十二年前だよ」
…(中略)…
「到着はいつになりますか?」
「十二年後だよ。光でさえ四時間かかる距離だからね。…」

 出典: 野尻抱介「天使は結果オーライ」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
 ロケットガールシリーズの第二巻です。
 冥王星の無人探査機オルフェウスにトラブルが発生。地球衛星軌道上から発進ができなくなった。ゆかりと茜のロケットガールズが救援に向かう。
 台詞はトラブル解決後、オルフェウス計画の主任とのインカムでのやりとり。宇宙に憧れる人々や太陽系の広さに圧倒される会話です。

駄弁者:
 太陽系内を旅するだけで、「年」ですからね…。
 それでもやはり、人間は星をめざすのでしょうか。



「私、サバイバル訓練って、テントの張り方とか食料の確保の仕方を習うのかと思ってたんですけど」
「テントで敵が殺せるか!!」

 出典: 野尻抱介「ロケットガール」

紹介 :夢の世界の魔術師 様
HP :

コメント:
 なりゆきから宇宙飛行士になることになってしまった女子高生、森田ゆかり。
 しかも教官たちは変人ばかり。特におもしろかったサバイバル教官との一節より。
 このあと障害物コースに連れてゆかれ、二人は日が暮れるまで銃撃戦をした。
「宇宙飛行士の訓練って、えらくハードじゃないか・・・・」弾幕の下を匍匐前進しながら、ゆかりは思った。
 などと結構笑えるところが多いこのシリーズですが、内容は非常にまじめです。気軽に惑星上から宇宙空間に出ていける設定が多い最近のSFのなかで、地球の重力を十分に感じさせる作品です。著者の作品にはどれも宇宙に対する憧れが強く出ていますが、本シリーズもご多分に漏れずつい引き込まれます。科学的な設定も非常にリアルで、ジュブナイルとあなどれません。

駄弁者:
 訓練内容だけ見ると、ロケットガールは火星人との戦闘を想定しているようにしか思えないです。…そもそも地上でのサバイバル訓練が必要なんだろーか。
 未読なので作品の雰囲気だけでもつかもうと書店をさがしたんですが…もうどこにも置いていませんね、この本。



地球は自分で軌道を変えられないのかっ
勝手に動いているものの上に人間は乗っているだけなのか

 出典: 円谷プロ制作・若槻文三脚本・満田かずほ監督「ウルトラセブン 第6話『ダークゾーン』」

紹介 :れい 様
HP :

コメント:
 うろ覚えですが、ペガッサ星人の台詞です。
 こんな事言われても困る、と言うか普通はそうじゃ無いのかと聞き返したくなります。
 よく考えると確かに操縦できないものに乗ってるというのはこわいかも。
 もっとも、地球の軌道を変えられるとなると、古くは「地球最後の日」から「アルマゲドン」「ディープインパクト」なんて作品は生まれなかったでしょうが。

紹介 :鋼将門 様
HP :

コメント:
 掲載済みの、ウルトラセブン第6話からのペガッサ星人の台詞です。
 ペガッサ星人は、爆発した故郷の星の代わりとして建設した宇宙空間都市ペガッサシティで宇宙を放浪していましたが、動力系統の故障で地球と衝突の危機に陥り、地球に軌道変更を要請します。
 しかし地球には軌道を変更する機能はないと知った時の台詞ですが、そのあとにこう続きます。
 「それでは野蛮な宇宙のほとんどの星々と同じじゃないか!」
 そう言われても、惑星の軌道とは自然なものだろう、と言いたいところです。
 …しかしセブンたちウルトラマンの故郷であるウルトラの星は、ウルトラキーとウルトラタワーの働きで軌道を制御していて、その設定は『ウルトラマンレオ』で判明します。
 ところで、前者の『レオ』の話も含め、巨大天体が地球に異常接近して滅亡の危機に、という話では若槻文三氏脚本の回が多いです。

駄弁者:
 いやあ、私は人間が操縦している惑星にのっかっている方が、よっぽど恐いと思いますけどね。
 事故って火星にでもぶつかったらどうするんですか…。



「かかったかかった なっ、タイムパトロールつかまえるのなんてかんたんだろ?」

 出典: 横山えいじ「MONTHLY PLANET」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 タイムパトロールはこうやってつかまえるそうです。
@タイムマシンの通りそうな所をみつける
Aその空間に向かってモップなどをいきなりつき出す。
(これを何度もくりかえす。)
B前方不注意のタイムマシンはこれにつまずいてころぶ…
Cつかまえたタイムパトロールは採集カードに記録しておこう。
 過去の住民をキズつけたりすると歴史が変わってしまう事があるため。タイムパトロールは歯ぎしりしながら何もせず去ってゆくのでした。

駄弁者:
 採集セットに入っている赤い液を注射するというのは、アリですか?
 しかし、まじめに働いている公務員(タイムパトロールってやっぱし公立だと思いますし)をからかっちゃあ、いけません。



「でもジェイスン、あなたはここにいる。ここにいて、癒す力を持っているのに癒さないなら、それは悪だと思う」

 出典: オースン・スコット・カード「神の熱い眠り」(大森望訳)

紹介 :りんご 様
HP :

コメント:
「塔の上から人類を見下ろしているだけならそれでいいさ」というレアドのせりふのつづき。
力があると悲しいことも多いだろうけど、それでもないよりはあったがいいよな。って、ない者の論理かな。まあ背負える強さのある人でないと力は出てこないだろうけど。持てる力を出せるか出せないかというのは、覚悟の差だと思う。あ、この場合超能力だから関係ないか。
 蛇足。この後のジェイスンのジャスティスへ言う「けっきょくきみも人間だったな」というのも、意味的にいい台詞なんだけども。なんだけども、いかんせん言いまわし悪いので却下。誉めてるはずなのになんか責めてるみたいじゃん。

駄弁者:
 事故で片腕を切断されたレアドの父親。超常の力をもつ女性ジャスティスなら、父親の腕を元に戻すことができる。だが、ジャスティスがただ一人心を許しているレアドの妹が懇願しても、ジャスティスはその力を使おうとしない。…そうするのは公正(ジャスティス)でないから。ジェイスンに語るレアドの言葉は、たぶんそばにいるジャスティスに向けてのものなのでしょう。
 超能力の場合、ふつうの人が「力」を出すのとは別の覚悟がいりますよね。いったん力を使って癒しを見せてしまえば、その後ずっと癒し続けなければならない。やめてしまえば…鋳かけ屋ジョンのような運命が待っているかも知れません。もっとも、ジャスティスが力を使わないのは、そのせいではないのですが。
>けっきょくきみも人間だったな
「けっきょく」の部分でもっとうまい言い回しがあれば…。



「時間は夢を裏切らない…時間は決して僕の夢を裏切らない…って…そう信じていたんだ。だから僕の夢も時間を裏切ってはならない義務がある!!」

 出典: 松本零士「銀河鉄道999」

紹介 :第8天使 様
HP :

コメント:
 なぜか今まで、名文句に登場していない銀河鉄道999からの出典です。
 たくさんの経験をつんで、絶望的な状況にありながらも希望を捨てない鉄郎の本当の強さはここにあるのかもしれません。
 たくさんの出会いや別れを経験した鉄郎君だからこそ言える文句でしょう。

駄弁者:
 時間が経ったからといって夢が勝手に消えてしまうなどということはない、だから時間を理由にして夢を諦めることは決してしない、というところでしょうか。
 言われてみるとこれが初めてですね、999からは。
 私の999は小学生の頃に見ていたアニメと映画が主で、原作のマンガの方は飛び飛びにしか読んでいません。最近になって続編が登場しましたが…。



「私は白雪仮面の力の源に…薬理学的に有効な未知成分が介在していないか…体質の調査をしてみたいと言っているのだ」「別に解剖や改造をしようって訳じゃない!」

 出典: 井原裕士「雪乃すくらんぶる[1]」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 先祖代々スーパーマンの家系に生まれたヒロインが主人公の、全3巻のコミックスより。
「有効な新薬でヒットをとばす良識派開発者」で、主人公の倉久雪乃さん(=白雪仮面)いわく「とっても優しい紳士」の鷹群(たかむれ)氏の言葉。
「人体から新物質が見つかれば これほど安全な薬はあるまい?」というのは正論ですが、なんだかマッドサイエンティスト的な情熱と言うか・・・(笑)。
BGM:「GIRL U WANT」ロバート・パーマー

駄弁者:
 マッドサイエンティスト「的」というより、それそのものという気がするんですが。
 スーパーマンの脳内物質が人体に応用できるのなら、これぞ本当の「脳内革命」ですな。



アメリカの人間からはどれだけの握手がある?
 あら、握手なんてぜんぜんないわ。

 出典: グレッグ・ベア「ブラッド・ミュージック」(小川隆訳)

紹介 :亜蘭 様
HP :

コメント:
 イギリスで一人暮らすスージーにスージーの分身が逢いにくるシーンからです。ラストシーンです。
 なんというか、物語を救った名文句だと思うのです。既に失われた者達との再会の約束、なんてよくある話だと思うのですが、妙に印象に残っています。

駄弁者:
 「火星転移」も「ダーウィンの使者」もあったけど、グレッグ・ベアと言えばやはり「ブラッド・ミュージック」の人。そういう先入観が私はいまだに抜けていません。…そのわりには、当の作品自体はうろ覚えなのですが。人類のあの変容(どんな変容なのかは、現物をあたって下さい)ばかり頭に残っていて、登場人物については記憶に残っていないです。



「父さん……私 子供の頃 父さんのことを恨んでたの知ってる?だってまるで三文小説みたいなんだもの!そうでしょ?大科学者のひとり娘なんて…」

 出典: 星野之宣「2001夜物語 第9夜・天の光は全て星」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 星野之宣の未来史2001夜物語の中の一編、天の光はすべて星より。
 超空間航行技術が実用化される過程を、その理論をうちたてた科学者とテストパイロットの娘を通して描いた作品。
 彼女が父親を恨んでいたのは、そんな理由ではないのでしょうが、こんな言い方をしたのは、やはり、父親を愛しているからでしょう。

駄弁者:
 テストパイロットには幼いころ亡くした兄がいて、母親とこの兄が事故に遭って助けを求めていたにもかかわらず、父の科学者は研究に没頭していて気付いてやれなかった、という過去の傷があるのです。うわ、かいつまんで書くとすごく寒々とした話のような…。元の話はもっと情感のあるいい小話です。
 私には「ひとり娘」の「ひとり」のところにかなり皮肉がこめられているようにも思うんですが。それでも、兄と母の死に直接触れないのは、彼女の愛情ゆえのことなのでしょう。



「できれば…その少年に伝えたいもんだな…オレたちは…キミのようなやつを待っているよと…!!だからかならず…宇宙へ来いよと――!!」

 出典: 石渡治「パスポート・ブルー」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 制御をうしなった中国の通信衛星が宇宙ステーションに衝突直前それを食い止めたのは、少年真上直進の作成したシミュレーションデータだった。
 そんな彼に対し宇宙ステーションの搭乗員はこう述懐した。
 宇宙への夢を実現しようとその名の通りまっすぐに行動する真上少年の姿は読んでいてすがすがしいです。

駄弁者:
 最近の話には珍しく、ストレートな文句。話を知らなくても爽快さが伝わります。
 …もっとも私自身の性格はひねくれているので、あんまり物語の主人公の性格がまっすぐだと、感情移入できないことが多いのですが。岩本隆雄「星虫」でもそうでしたし。



「もっとも…(中略)…あなたの新陳代謝が不馴れな非アルコール系飲料のショックに耐えられるようでしたら、濃いコーヒーなら、その、大歓迎ですが。」

 出典: ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」(池央耿訳)

紹介 :メックデウス 様
HP :

コメント:
 一歩も引かぬ論客同士のデタントの瞬間。一杯やろうか、の誘いに、まず断りの一言があって、の決め台詞。
 おそらくは大緊張しながら、必死で下手なジョークを飛ばすダンチェッカー教授の姿は、それまでの嫌われ役ぶりを一気に吹き飛ばしました。
 コミュニケーションがとれる、と言うのは嬉しいものです。返すハント博士の「何でも一度は試してみる主義でね」という台詞も、喜びがにじみ出ていて、好いんですよ。

駄弁者:
 月で5万年前の死体が発見されたことをはじめとする様々な謎をめぐって、ことあるごとに意見を対立させてきたヴィクター・ハントとクリスチャン・ダンチェッカーの両博士。だがガニメデへと向かう初めての宇宙旅行の途上、盛んに活動する月基地を眺めながら、はじめて二人は和解する。シリーズ中最高の名コンビ誕生の瞬間。
 自由な発想が売りのハント博士に較べるとどうしても保守的に見えるダンチェッカー博士。ですが直面した難題が既存の理論で説明ができるものである限りは、決して安易に考えを飛躍させず、しかし既存の理論で説明しきれなくなったときにはそれに固執せず、柔軟に自分の考えを変える、その態度は科学者の鏡ではないでしょうか。
 私はご投稿の文句の少し前にある「しかし、人類は大きな夢を描きます…人類が今日描いた夢は、明日きっと実現するのです」というのも名文句だと思います。いかにもこのシリーズらしい楽観的な未来観が。



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