SF名文句・迷文句第32集

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問30-1
ウルトラやべーってかんじ。

 出典: 秋山瑞人「E.G.コンバット 2nd」

紹介 :新崎みこと 様
HP :
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8597/

コメント:
 お久しぶりです。最近になってよーやっとEGを読みました。相変わらずの秋山節、一見ライトだけど設定はがちがちに深刻で、今はとにかくFinalが読みたい気分で一杯です。
 文句は、あまりにも実戦の悲惨さを理解していない第2種試験における、ペスカトーレの解答。
 問31ではアマルスは「なめんなっ」と答えており、ルノアも全く同感だそーです。
 いや、この巻はペスカトーレがやたらと格好良かった。

駄弁者:
 訓練校のペーパーテスト、出題されたのは現実にはあり得ない状況についての課題や、その状況に陥る前に回避が可能なものばかり。実戦を生き残ったルノア教官に鍛えられた訓練生たちは、キレて不合格覚悟の回答を返す──というところ。
 私は正直、訓練生のキャラクターはあまり好きではないのですが、その中では2ndのペスカトーレはいい方かと思っています。なんでこういうのが軍の学校に入れたのか謎ではありますが、まあそれを言ったら他のメンバーも同じだし。
 「やたらとかっこよかった」のは、尋問の担当官に逆襲するシーンですよね。



「幸せになりなさい」彼女はいった。「運命に負けないくらいに幸せになりなさい。この運命が決まっていたといわれて、いやだと思うなら、絶対に負けないように幸せになるのよ。たとえ、他人から運命だといわれても、これは自分の選んだものだといえるくらいに、絶対に幸せになるという意志を持って生きるのよ。」

 出典: 皆川ゆか「運命のタロット13 <<女教皇>>は未来を示す」

紹介 :逆井未章 様
HP :

コメント:
 この世界で起こる出来事はすべて初めから決まっている、という決定論の世界を舞台に、それを覆そうとする一派とあるがままに保とうとする一派の戦いの物語です。このせりふはその戦いに巻き込まれていく主人公への言葉です。この作品のテーマかも知れません。
 第1部13巻と第2部が7巻まで刊行中。特に第2部では虚数理論や相対性理論まで出てきます。ミステリ・SF・ロマンスなど多くの要素を含み、非常にいろいろと考えさせられる話です。ティーンズハートという文庫のレーベルで読者を逃しているのがもったいない秀作だと思います。

駄弁者:
 これはカバー絵でひいてしまいますね…きっと。それで損するのは「デルフィニア戦記」「十二国記」などで分かっているのですが。かといって、「十二国記」みたいにレーベルが変わったら買うというのもちょっと情けないし。
 ところで「皆川ゆか資料刊行会電子広報室」(オフィシャルサイト?)に行ってみたら、「真・運命のタロット8、執筆難航」と出ていましたが…。



そう、帰るんだ。今のを見て──それを理解した。君が言ったように、これは招待なんだよ。彼らを追って”帰る”んだ。

 出典: ブライアン・デ・パルマ監督「ミッション・トゥ・マーズ」(戸田奈津子・日本語字幕)

紹介 :逆井未章 様
HP :

コメント:
 SFだからという理由で見たのですが、期待を遥かに超えた面白さでした。こういう話だろうという予想を何度も裏切り、素晴らしいラストを見せてくれました。主人公について行きたかったです。

駄弁者:
 この作品と「レッド・プラネット」、火星ネタが同じ2000年に重なってしまったので、印象が薄れてしまった感があるのですが、どうなんでしょう?
 この映画の舞台は西暦2020年。それまでに火星の有人探査は…その気になればできなくはないように思いますが、さて。NASAが2014年に最初の有人探査を計画しているという話は、まだ生きているのでしょうか。



僕の母も実際に兵士だったことがあるけれど、母は人の痛みに動じなかったことなんかないと思う。
敵にたいしても。

 出典: ロイス・マクマスター・ビジョルド「戦士志願」(小木曽絢子訳)

紹介 :マーヤ 様
HP :

コメント:
 はじめまして。
 頑張って第一集からの発言に目を通しましたが、ビジョルドが取り上げられたことはないようですね。何でかな?
 この台詞は、主人公マイルズと幼馴染エレーナが負傷した傭兵エリ・クインの治療現場を見ながら交わす会話です。友達の怪我を見ても平気になれば、敵に対しても何も感じずに済むだろうと述べるエレーナへの、マイルズの答え。
 どこか暖かみのある女性的な視点が、ビジョルドの魅力だと思います。

駄弁者:
 はじめまして。初のご投稿を歓迎します。
 そう言えば、ビジョルドは初めてですね、確かに。私も「戦士志願」以来欠かさずシリーズを買っていて、名文句もそらで思いつくのですが…何でかな?
 ここでセリフに出てくるマイルズの母コーデリアは、シリーズ中で「名誉のかけら」「バラヤー内乱」の主人公。敵の痛みにも動じることのできる人間だったからこそ、敵陣営にいたマイルズの父アラールと結ばれ、マイルズが誕生できたわけですが。
 エレーナ・ボサリやエリ・クインとは、しばらくご無沙汰していますね。邦訳最新刊の「天空のかけら」では二人とも登場しなかったし。



「俺が守りたかったのは…こんなクズ鉄の塊じゃないっ!」

 出典: 荒巻義雄原作・飯島祐輔画「新 旭日の艦隊2」(マンガ版)

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 ハンドルネームをみんめい書房に変えました。意味は…十年ほど前に少年ジャンプに連載されていた、某漫画を読めば分かります。
 「紺碧の艦隊」の姉妹編、「旭日の艦隊」の続編から。1945年、米軍の猛攻を受け、沖縄沖に沈み行く戦艦大和。スクラップと化したその艦上で、主人公の大石少佐が叫んだ台詞。彼はこの時、自分たちの行ってきた行為が、「国を守る」こととは程遠いものだと悟ったのだ…この直後、彼は爆撃を喰らい戦死する。しかし、気がついてみると、昔のの自分に転生しているのだった…
と書くと、真面目なマンガのように誤解されてしまうので(このシーンは本当にシリアスなんだけど)はっきり言います。すごいです、このマンガは。核融合炉積んだ六万トン級戦艦が、レールガンとレーザー砲撃ちまくった挙句、潜水。ナチスドイツが世界の三分の一を支配して、日米と冷戦。90式戦車と、レオパルド1がアフリカで戦闘。七隻の戦艦が(ロボットにこそならないけど)合体して射程250キロの列車砲(!)を発射。おまけに時代設定は、1950年代。
 これって、いわゆるスチームパンクSF?ここまでむちゃくちゃにやってくださると、呆れを通り越して感動物です。(「紺碧」は技術レベルがせいぜい史実より5〜10年上位だったのに…) ずいぶんと辛らつなことを書いてしまいましたが、艦隊シリーズの中では一番とっつきやすい作品ですし(ただし小説版は荒巻さんが暴走(?)してしまったのでかなりつまらないです。)、作画や展開の仕方もなかなか、登場する「超兵器」もユニークなものが多いので機会があれば読んで見てください。(でも、作画が飯島さんだからなぁ…ストーリーやメカよりも、女性キャラのほうに目が言ってしまうかも…ご注意を)

駄弁者:
 「トンデモ本の世界」でも少しだけ言及のあったものですね。悪の秘密結社が白装束で夜中の墓場で会合をするという…。しかし、想像以上に「と」の分量が多いような。「俺が読みたかったのは…」とか叫んだりとかしませんでした?
 スチームパンクとは違うでしょう、少なくとも…。
>民明書房
 そのハンドルネームは、これからは「と」攻勢で来るということでしょうか、塾長?



人々が想像し、欲しいと願ったもので、つくることのできなかったものは何一つありませんでした

 出典: 大原まり子「タイム・リーパー」

紹介 :逆井未章 様
HP :

コメント:
 ドラえもんなんて贅沢は言いません。朝からずっとレポートを打ち続ける私が今切実に欲しいものは、帰宅した時にご飯ができていて、大掃除も終わらせてくれるであろう文化女中器(「夏への扉」に出てくるあれ)です。21世紀なのにどうしてまだ実現しないんでしょう。

駄弁者:
 いや、むしろメシと掃除は自分で何とかするからレポートの方をやってくれ…とか思いません?そっちの方が文化女中器より、まだ可能に近いような気がします、ごくわずかに。
 しかし「文化女中器」…名訳ですが、改めて見るとなんか蒸気機関で動いてそうなイメージです。



いつまでもその貧しい星にしがみついて不満を抱えている人々の気持ちは、私は理解できないわ。嫌ならそこから逃げ出せばいいし、不満なら力を手に入れて変えればいいんだわ。そこにいて何もしないで要求だけする人々は、私には怠け者にしか見えない。

 出典: 明智抄「死神の惑星 2巻」

紹介 :逆井未章 様
HP :

コメント:
 初投稿をさせていただきます。図書館ユーザーで小説は手元にあまりないので、やはり漫画から。最近SFの少女漫画は非常に少ないですが、独特の作品を描かれる明智先生の最新作からです。
 この話は戦争により荒廃してしまった惑星グラーシスにまつわる人々の暮らしを描いたものです。2巻では謎に包まれた存在である少女リンの正体とその過去が語られます。これは後にリンとなる政治家鈴木エリザベートの暴言です。彼女は独特な育ち方をしたので優秀ですが非常にユニークな考え方をします。この他にもすごい発言ばかりです。そんな彼女が引退後に向かったとある惑星で遭遇した出来事がこの話の大きなカギになっています。
 「死神の惑星」は「サンプル・キティ」と「砂漠に吹く風」(花とゆめコミックス・現在は絶版)の2作品とつながる物語の1部ですが、「死神」全3巻のみでも十分楽しめます。
 もっと明智先生が活躍されるとうれしいんですが。

駄弁者:
>最近SFの少女漫画は非常に少ないですが…
 そうなんですか。私は少年マンガよりも少女マンガの方がSFテイストの作品が多いような気がしていました。とはいえ、私が読んだのは佐々木淳子の「ダーク・グリーン」や「ブレーメン5」あたり。かなり古いですね。最近だと名前を聞くのは幸村誠「プラネテス」高橋しん「最終兵器彼女」など確かに男性誌の方が多いか。
 明智抄で読んだことがあるのはSFではなく、なぜか「始末人」ものだったりします。あれも妙な作品でした…。



この物語はフィクションである
……が、
10年後においては定かではない。

 出典: 「機動警察パトレイバー ON TV」

紹介 :TTM 様
HP :

コメント:
 TV版パトレイバーでエンディングの後に出てくるテロップ。
 未来予測もSFの役割の一つですが、実際にこうストレートに書かれる事は少ないと思います。
 なんとも夢あふれる言葉です。
 作品を見ていると、レイバーのみならず、バブル期から見た未来像が色々な形で出ていて面白いです。

駄弁者:
 いや、さすがに10年後はツラいだろ…とはいえ、10年前に今日をどれだけ予測できていたかを考えると、ウカツにものは言えません。
 未来予測としてのSFについて言えば、ヒューゴー・ガーンズバックの時代ならいざ知らず、現代ではその役割は小さいんじゃないかと思います。…ああ、でも近未来小説は未来予測の面が大きいですね。



「食べて寝て、やがて年をとってこの世から消えていく。それ以外は幻想だ。」

 出典: 神林長平「グッドラック・戦闘妖精雪風」

紹介 :みりあ 様
HP :

コメント:
 お久しぶりに投稿します。
 やっと文庫本化した雪風の続編です。神林先生の作品はコミュニケーションを主題とした作品が多いのですが、これも戦闘機やSFガジェット以前に他者との関わりや、機械と関わりを持ちすぎてて機械的になっていく人間の悲哀などに重点を置いた作品となっています。

駄弁者:
 先日文庫版を読み終わりました。前作のような空戦描写が見られなかったのは残念でしたが、別の面でスリリングな展開でした。
 ともすれば零たちが戦っているジャムが現実の存在なのかどうかが論じられるこの物語の流れでいくと、幻想だから意味がないというのではなくて、こっちが現実でそっちは幻想、と区別することに意味がないということになるんじゃないかと思います。



ラル「見事だな!しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだということを、忘れるな!」
アムロ「ま、負け惜しみを!」

 出典: 「機動戦士ガンダム 第19話『ランバ・ラル特攻!』」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 初めてガンダムを観た頃、アムロより年下だった私には、ランバ・ラルの台詞がただの負け惜しみにしか聞こえませんでした。アムロと同じ年になった頃、アムロの台詞が勝ちきれなかったアムロ自身の負け惜しみでもあったことが分かりました。それから十数年を経てちらほらと三十路になると、ランバ・ラルの台詞に”些細な成功に自惚れ、自分を見失い欠けた息子を諫める父親のような気持ち”が込められていたことが分かるようになります。「ガンダム」という作品は20年を超えてなお語り継がれていますが、こちらの年齢に合わせるように別の面を見せてくれるのも支持され続ける大きな理由のひとつでしょう。そしてランバ・ラルをはじめ、オヤジたちに魅力があるということは、この作品がそれだけ見事に”人生のある世界”として構成されている証です。ちなみに私は、今まで観た全てのアニメキャラの中でランバ・ラルが一番好きです。

駄弁者:
「ザクとは違うのだよ、ザクとは…」でもなく「戦いの中で戦いを忘れた…」でもなく、これできましたか。
 確かこのあと、アムロが営倉の中で「僕は、あの人に勝ちたい…」と呟くシーンがあったと思います。これは彼が一歩成長した瞬間を描いたものではなかったでしょうか。



ちがう、ちがう!そんなはずはない、おれたちの愛情だけは本物だったんだ!!
……おれたちの愛情だけは……

 出典: 西岸良平「TOOLS(ツールス)」 「魔術師」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 TOOLSからもう一つ投稿します。
 主人公たちは旧人類の街を見つけた直後に、主人公の恋人となったヒロミは人々を殺し始める、そして自らの意思に反して、対人攻撃回避装置(原文ママ)の通りにヒロミを攻撃してしまった主人公が、ヒロミが自分を助けたのは自分を護衛役として使うためだったのではないかと疑ったときの台詞です。

駄弁者:
 打算0%の愛情だけしか本物の愛情じゃない、と。若いっていいですなあ。
 などと言ってから、自分には0も100もなかったことに気付いてため息ついてみたり。若けりゃいいってもんでもないなあ。



かつて旧人類は彼等をツールス(道具)と読んでいたという
しかし彼等はその意味を理解できず
パーフェクション(完全なるもの)と名づけた…

そしてその二つの名の通り彼等はただ与えられた役割を果たす完全な道具でしかなかったのだ…

 出典: 西岸良平「TOOLS(ツールス)」 「魔術師」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 「三丁目の夕日」や「鎌倉ものがたり」などのノスタルジックな作品で知られる西岸良平の数少ないSF作品です。
 あらすじを紹介すると、遥かな未来に旧人類と入れ替わり地球を支配している新人類パーフェクション、様々な超能力を持つ彼等は二つの陣営に分かれ、300年の永きにわたって戦い続けている、戦いの中で負傷し倒れた主人公は、傷の手当てをした同じ陣営の女性、ヒロミに助けられ、戦争の原因を探る、そしてこの戦争は旧人類がTOOLSを使った戦争を引きついたものであり、また止めることのできるのは旧人類であることを知った二人は旧人類を探す・・・という話なんで、最後は主人公たちがTOOLSであることを知る・・・というラストで流れるモノローグです。
 ストーリーそのものはかなり言いできなんですけれども、絵柄でかなり損をしている作品だと思います。

駄弁者:
 名前は知らなかったんですが、絵は知ってました。この絵柄でシリアスSFをやるとは想像できなかった。てっきりほのぼの系専門かと…。



「みなさんはエビという生き物を知らないでしょうね」セランは身ぶるいしながら、彼らに説明した。
「この生き物は、もしまわりの水がゆっくりと熱せられるなら、しあわせに茹だっていく。ちっとも驚かない。それというのも、どこを境に熱が危険になるかを知らないからです。ここでのぼくはエビとおんなじ。あなたがたといっしょにいると、ずるずるべったりにひきこまれて、眉に唾をつける気も起こらない。小出しにされたら、なんでも信じてしまうおそれがあるし、事実そうなりそうだ。ぼくはあなたがたがここにいて、ちゃんと生きていることを信じます。この目に見え、この手にふれるという、ただそれだけの理由でね。とにかくぼくは、うかうかしているうちに、エビのように茹でられるんだ。」

 出典: R・A・ラファティ「九百人のお祖母さん」(浅倉久志訳) 同名短編集に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ラファティといえばこの作品、という人も多いと思って投稿します。SFに限らずに面白い小説を読むたびにこの台詞を思い出します。

駄弁者:
 面白い小説だとかジャンルにハマッてしまうときも同じようなものでしょう。
 セラン君が落ちた釜は狂気のそれでしたが。合掌。



もちろん、数学的に考えると、とんでもないものだが…ぼくがそこに置いたわけじゃあないんだぜ!

 出典: ジェローム・ビクスビイ「火星をまわる穴・穴・穴」(矢野徹訳) 「ユーモアSF傑作選2」に収録。SFマガジン74年11月号にも収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 収録されている本が古本屋でも、見かけない本なのであらすじを紹介すると…。 火星に降り立った初の有人調査船の乗組員が見た奇妙な穴、それは地上から5フィートほどの高さに伸び、山であろうと植物であろうと突き抜けて一直線に伸びる直径4インチほどの穴。調査を進めるうちにそれが火星全体で起こっている現象である突き止めた調査員が見たものは、地上すれすれをすさまじいスピードで飛び回る火星第三の月だった…。というものなんですが、目の前を月が飛んでいく、というダイナミックなイメージが想像できてとても好きなSFです。  なお、作者のジェローム・ビクスビイという人はミクロの決死圏の原案者だそうです。

駄弁者:
 講談社文庫の黒カバーは、なかなか見つからないですね。調べてみたらSFマガジンの74年11月号に掲載されていたので、そっちを読んでみました(こんなときうちの職場は便利です)。
 直径4インチで、軌道上のすべての障害を貫通する衛星ボトモス(尻餅)のパワー。ひょっとしてマイクロブラックホールなんじゃないか?
 アイディアもさることながら、この作品は全編がダジャレに終始するのが特徴でしょう。ノリ的には田中啓文「銀河帝国の弘法も筆の誤り」に通じるものも。訳者は難儀したでしょうねえ。



関東大砂漠
地球生物史上最も狂暴で最強と言われた人類は
この地獄の砂漠の中あいかわらず元気に一生懸命欲の皮をつっぱらかして生きていました

 出典: うすね正俊「砂ぼうず」

紹介 :野分 様
HP :
http://www.debilotte.net

コメント:
 SFというにはあまりに泥臭い「砂ぼうず」第1話から持ってきました。
 やっぱ、人類って一度亡びそうになったぐらいじゃ変わりませんよねぇ。

駄弁者:
 戦争で砂漠と化した近未来を舞台に、便利屋「砂ぼうず」の活躍を描く。コミックビーム連載中…とのこと。
 破局後の世界の風景というのは、どうも水没と砂漠の両極端がよく出てきますね。どっちの極端に行っても、そこにいる人間のやることはほとんど変わらないようでもありますが。



セブン「レクリエーションは2時間だ。ムダ話をしてるヒマはない。さあ、遊べ」

 出典: スタートレック・ヴォイジャー「苦悩するボーグ・チャイルド」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 えー、スタートレックから3つ目の投稿になります。図らずもスポック、データと続いたので、こうなれば次はスタートレックのレギュラー陣史上最もセクシーでダイナマイツ(死語)なセブンオブナインを持ってくるのが自然の流れ。
 今回の「いや、そういう風に言われても…」な台詞は、ボーグ集合体から解放されて生身の感情と記憶を取り戻そうとしている子供たちの教育係を任されたセブンが、教育スケジュールの中のレクリエーションの時間に際して彼らに”命令”した一言です。
 レクリエーションの本質を全く理解してない様子が滲み出ていますが、セブン自身も元ボーグ集合体のドローンで、この時は人間としての情緒はまだほとんど取り戻せていませんでした。元ボーグのクセで何事も数値で割り切るように過剰に論理的に考えるところが、論理思考キャラのスポック→データの系譜にセブンが続く理由ですが、元々人間だった彼女はボーグに同化されて後天的に感情を失ったという点で先輩たちと異なります。無感情に見える中で、失った大切なものを懸命に取り戻そうとする姿が、セブンオブナインの魅力のひとつでした。

駄弁者:
 オリジナルシリーズや「ネクスト・ゼネレーション」に比べると、「ヴォイジャー」はあまり見てないので、セブン・オブ・ナインにもまだあまり馴染みはないんですが、いいキャラですね。毎週見ている同僚によると「最近、いいエピソードは全部セブンがらみ」とのこと。
 TNGや映画でボーグは絶対的な敵として扱われることが多かった(当名文句集にもこんなのがあります)ので、ちょっとSTも雰囲気変わってきたのかなと思っていたのですが、ボーグからも人気キャラクターを輩出されたことでなんとなくホッとした気分もあったりします。
 もっともセブンはボーグの統合体から離れたからこそキャラクターたり得ているのであって、ボーグそのものが人類その他と相容れないものであることに変わりはないのでしょう。STを象徴する「IDIC」──無限多様無限調和(第1集1番目を参照)と真っ向から対立する存在なのですから。



東京は世界でいちばん豊かな都市である。
なぜなら、都市を守るコンピューターのキップルちゃんは女だからだ。

 出典: 大原まり子「女性型精神構造保持者<メンタル・フィメール>」  『メンタル・フィメール』に収録

紹介 :泊瀬瑞綺 様
HP :

コメント:
 再度投稿は、またもや大原作品からです。
 筋書きから舞台となる「東京」から住人から、「そんな無茶苦茶な」と思いつつも、その無茶苦茶さ故に妙な説得力のあるこの作品の最後を飾る言葉として、これまた異様な説得力があって好きな文章です(笑)。

駄弁者:
 たしかこの「キップルちゃん」、恋煩いのあまり他の都市を潰滅に追い込んだのでは。東京だけ豊かでもなあ…。



とどめおくような価値すらないと、のちの歴史家たちは口を揃えて言うだろう。
かりに、むかしトギシ小惑星帯に住んでいたある少年が、幼なじみの少女に一世紀のあいだ恋をしていたという事実を知っていても。

 出典: 大原まり子「ハイブリッド・チャイルド」

紹介 :泊瀬瑞綺 様
HP :

コメント:
はじめまして。
 SF関連のページを渡り歩いているうちに、こちらに辿り着き、名文句集を読んでいるうちにどうにもうずうずしてきてしまいましたので(笑)投稿させていただきました。
 大原作品で最も好きな『ハイブリッド・チャイルド』から、一番好きな「百年の恋物語」のエピソードです。
 理由も理屈も何もなく、このエピソードを読んだ瞬間「ぞくぞくっ」ときたのを覚えています。

駄弁者:
 はじめまして。初のご投稿を歓迎いたします。
 大原まり子の作品は「一人で歩いていった猫」や「戦争を演じた神々たち」などをかじったことがありますが、ご投稿の作品は未読。私の中ではコードウェイナー・スミスの諸作品あたりとイメージが重なっています。



僕達、ピクミン。あなただけについて行く。
今日も、運ぶ、戦う、増える、そして、食べられる。
いろんな命が生きているこの星で
今日も、運ぶ、戦う、増える、そして、食べられる。

引っこ抜かれて、戦って、食べられて、
でも、私達、愛してくれとは、言わないよ。
引っこ抜かれて、戦って、食べられて、
でも、私達、あなたにしたがい、尽くします。

 出典: ストロベリー・フラワー作詞・作曲「愛のうた」(任天堂 GAME CUBE用ソフト「ピクミン」CM)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 名文句・迷文句もいつのまにか600点を超えているというのにどうも長らくご無沙汰してしまいまして、W^2です。それではさっそく有ったらむしろ邪魔かもしれませんがコメントのほうを。
 宇宙探検家キャプテン・オリマー。ホコタテ星人である彼は、宇宙船が隕石と接触事故を起こした事により、とある惑星に漂着してしまう。
 一命は取り留めたものの有毒な成分「酸素」を含む大気中では宇宙服の生命維持装置も30日しかもたず、彼一人では限られた時間内に惑星上のあちこちに散らばっている修理に必要な宇宙船のパーツを集めるすべもない。 現住生命体ピクミンの「自分を引っこ抜いた相手の後をついてまわり、自身を投げつけられると投げつけられた対象により様々な行動を行う」という習性を発見した彼は、その習性を利用、何とかパーツ収集しようとするが……という話らしいんですが、W^2はゲームキューブは持っていないんで、詳細はわかりません。
 じゃあなんで知らんのに名文句・迷文句に書きこむかというと食物連鎖の下位にいる生命体のさりげない悲しさをここまで秀逸に表現した歌がひどく心の琴線に触れたもので…

駄弁者:
 お久しぶりです。またご投稿をいただけて大変嬉しいです。
 ついこのあいだCDまで発売されたという、話題の名曲(?)ですね。聴いたことはあるはずなんですが、歌詞は覚えていませんでした。
 「今日も、運ぶ、戦う、増える、そして、食べられる。」…何気に悲壮な歌詞だったんですね…。



「私が死んでも、どうということのないのはわかっていますが、怖いのは本当です。地球には、一年にいくつくらい、隕石が落ちますか?」
「知るもんか、そんなこと」
「ここは、危険なほど小惑星帯に近いのです」

 出典: ラリイ・ニーヴン「リングワールド」(小隅黎訳)

紹介 :ごろえもん 様
HP :

コメント:
 臆病者の異星人、パペッティア人の台詞です。暫くぶりに再読していたら、この台詞に出会いました。
 で、先日の大流星雨を思い出しました。
 ずいぶんたくさんの人が外であれを見たわけですが、考えてみると、天から石がものすごい速度で降ってくるのを見に行くというのは、狂気の沙汰かもしれません。
 3億円を目指して宝くじを買う人が、「確率的に隕石があたるわけがない」ということを、どうして信じられるのでしょう(笑)。

駄弁者:
 ニーヴンの「ノウン・スペース」もので、容姿といい性質といい最も印象に残るのが「ピアスンのパペッティア」人ですね。数万年後に銀河が破滅することを知るや、ただちに星を挙げて大脱出してしまうという、ここまでいくとほとんど尊敬できてしまうほどの臆病ぶり。この「リングワールド」で明かされた、その大脱出の方法というのがまたすごかった。
 彼らなら獅子座流星雨の季節にはみんなで火星に避難するぐらいのことはするかも…。
>3億円を目指して宝くじを買う人が〜
 これはこれで、なかなかの名文句。…パペッティア基準ですが。



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