SF名文句・迷文句第54集

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要約する。
UN大学を出たばかりの新米、十九歳の辻本司がキツネザル星人に捕まった理由はつまり、ソビエト人がボストークを飛ばしたせいである。

 出典: 小川一水「導きの星1 目覚めの大地」

紹介 :PALL 様
HP :

コメント:
 文明シミュレーションSF 導きの星の一巻から
 主人公司の職業 COがどうして誕生したか?を説明する最後のシメとして使われた文章。
 思わず笑ってしまった文章です。

駄弁者:
 じゃあ私が今日寝過ごしたのは、グーテンベルクが活版印刷を発明したせいである、ってことで。



May 14 1998
朝起きたら、背中だけでなく足にも腫物ができてやがった。
犬どものオリがやけに静かなんで、足引きずって見に行ったら数が全然たりねえ。
めしを三日抜いたくらいで逃げやがって。
おえら方に見つかったら大変だ。

May 16 1998
昨日、この屋しきから逃げ出そとした研究いんが一人、射さつされた、て はなしだ。
夜、からだ中 あついかゆい。
胸のはれ物 かきむし たら 肉がくさり落ちやがた。
いったいおれ どうな て

May 19 1998
やと ねつ ひいた も とてもかゆい
今日 はらへったの、いぬ のエサ くう

May 21 1998
かゆい かゆい スコット― きた
ひどいかおなんで ころし
うまかっ です。

4
かゆい
うま

 出典: カプコン製作「バイオハザード」

紹介 :荒野のオレンジジュース 様
HP :

コメント:
 今までロムのみでしたが、初投稿させていただきます。
出典はPSの大ヒットゲーム「バイオハザード」から。口コミでミリオンセラーとなり今や「ホラーゲームの金字塔」と呼ばれる本作ですが、実は……タイトル通り「バイオハザード(生物災害)」をテーマにした立派なSFでもあったりします。
 ……この台詞に関しては多少事情をお知りでないと何がなんだかわからないと思いますので、以下、ネタバレになってしまいますが、ストーリーを紹介させていただきます。
 世界的な製薬会社が、裏で行っていたある実験。それは新種のウィルスの研究による生物兵器の開発だった。その最中に起こった事故が、すべてを狂わせる。実験中の事故により、開発中だった新種の「T−ウィルス」が漏れてしまったのだ。ワクチンのないこのウィルスに感染した人間は、一様に発熱、皮膚のかゆみなどを訴える。だがそれは初期症状なのだ。やがてウィルスが脳に達すると……彼らは死ぬ。いや、正確に言えば彼らの脳が、だ。青白い顔、かきむしられてボロボロになった皮膚、口から漏れる意味不明のうめき声。もはや本能のみに生き、新鮮な肉を求めてはかぶりつこうとする彼らは、その外見の相似からブードー教の伝承に(あるいはホラー映画に)ならってこう呼ばれた。「ゾンビ」と。
 ……というわけです。ゲームの主人公は、この会社の本拠地の一つとなっているアメリカの町の特殊部隊員。猟奇殺人事件(実は、研究所から逃げた実験生物が起こしたもの)を調査中だった彼らは、仲間の行方不明をきっかけにして事件にまきこまれ、ゾンビだらけの謎の洋館に閉じ込められてしまいます。限られた弾薬を駆使しての脱出劇と、完全にホラー映画のノリだった演出がナイスでした。
 投稿の台詞は、ある部屋で見つかる「飼育係の日記」から。普通の人間であった彼ですが、事故による感染で脳の言語中枢を冒され、あわれこんなことになってしまったのでした。発売当時、一部で「ホラー版『アルジャーノンに花束を』」と言われてものすごく納得したのを憶えております。

駄弁者:
「かゆ…うま」のフレーズは見たことがあったんですが、前後を今回はじめて知りました。
…なるほど、映画にもなるはずです。
「バイオハザード」、Windows版も出てるんですがこの種の3Dゲームをやると酔うのでパスしています。乗り物にはほとんど酔ったことがないのに「ウルフェンシュタイン3D」では本当にダウンしてしまった…。



現時点でこの船がどれくらいのエネルギーを持っているか、想像がつくか?
こっちが宇宙におよぼす危険のほうが、宇宙がこっちにおよぼす危険よりでかいんだぞ!

 出典: ドナルド・モフィット「第二創世記」(小野田和子訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 いやー盛況ですな。善哉、善哉。
 文句の方は、バサードラムジェット推進の準光速生体宇宙船で3700万光年先の地球を目指す人々、なんつう、有る意味、頭のてっぺんからしっぽの先まで、センス・オブ・ワンダーみっちりのハードSFから。
 順々に、銀河中心にあるブラックホール、謎の超巨大建造物、ペットになる愛くるしい異星生物、Bug-Eyed-Monster等々、いかにもSF!といったガジェットを律儀に押さえていくところが実に心憎い。

駄弁者:
 ありがとうございます。返信や更新が遅れがちになっているのが申し訳ないところですが…。
 ご投稿の出典は、異星人ナーによって再生された人類が、「故郷」の地球を目指す話だったと思うんですが、かなりうろおぼえです。しかし笑い出したくなるぐらい話がでかくなってしまうのは、ハードSFの醍醐味。



「リグリーの歓楽惑星だと?ドクターの……”歓楽”とは何だ?」
 スポックの表情がますます渋くなった。「踊り子たちです。わたしはドクターに、その歳で、そのような振る舞いをするのは見苦しいと忠告しました」
「そしたら……?」
「ドクターはわたしにこう言いました──この歳で、まだ息をしているばかりか、何でも好きなことができるんだぞ。すきなように誕生日を祝ってどこが悪い」

 出典: ウィリアム・シャトナー「新宇宙大作戦・サレックへの挽歌」(斉藤伯好訳)

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 カーク船長ことウィリアム・シャトナー自ら書いたスタトレ小説第2弾から。
 自他とも認めるトレッキー・シャトナーだけに随所にトレッキーをニヤリとさせるセリフが出てきます(上のセリフもTOSを知らない人には全然解らんでしょうね)。それにしてもシャトナーさんTOSはもちろんDS9・VOYに至るまできちんと把握しているところはさすがです。ゴーストライターがいるのではと思ってしまうほどです(笑)。ただ話の持って行き方がカークの作戦と同じで強引さとご都合主義が目に付きますが。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 TOSエピソード「上陸休暇中止!」(放映題名「おかしなおかしな遊園惑星」)が下敷きなんですよね……そりゃファン以外分からんでしょう。惑星上にいる人間の想像(…妄想)が現実にも現れるという「遊園惑星」に、それと知らず踏み込んでしまったエンタープライズの面々を描いたエピソード。マッコイが呼び出したものは、かつて休暇で訪れた歓楽惑星の踊り子さんたちでした。
 シャトナー(ブランド)のST小説は、ファンの喜ばせ方を心得ているという点ではなかなかのものだと思います(最新邦訳のはいまいちでしたが…)。



カーク「負けるのは嫌いだ」

 出典: ニコラス・メイヤー監督「スタートレック2 カーンの逆襲」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 宿敵カーンの奇襲攻撃で乗艦エンタープライズはボロボロ、連邦の最高機密ジェネシスは盗まれ、航宙手段もなしに小惑星の取り残され絶体絶命のピンチにあってなおこの不敵さ……これほど明解に彼の人となりをあらわすセリフは無いでしょう。

駄弁者:
たしかに、カーク艦長の行動というのは、かなりの部分この一言で要約できてしまいます。
勝てなければ、勝てるようにルールを変えることさえ辞さないという…。



「ときに弘子君、君はティラノサウルスの肉を食べたことがあるかね?」
「残念ながら、そういう幸運には恵まれておりません」 
「まあ、なぁ、いまどきの若い人なら……」
「いまどきでも昔の人間でも、ティラノサウルスを食べたことがある人間などおりません!時代が何千万年違っているとおもっているんですか!」

 出典: 林譲治「帝国海軍ガルダ島狩竜隊」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 架空戦記物に見せかけたSF冒険物。超紐理論とか超対称世界とかでてくるし(^^)
 粗筋は太平洋戦争後期、南海の孤島・ガルダ島に取り残された海軍設営隊と陸軍の小部隊が自給自足しながら、とりあえず地下要塞を掘っていたら偶然別の世界への《通路》を発見、トンネルを抜けたらそこはジュラシックパークでした(笑)
 ちなみに、ティラノサウルスの肉は鶏肉みたいで美味だったそうです。

駄弁者:
 なんか昔の特撮映画みたいな話ですね。しかし肉食動物の肉は一般的においしくなかったのでは…?
 恐竜の肉を食用にする(しかも美味)というネタは海外SFにもありまして、アシモフの「父の彫像」(「木星買います」に収録)もその一つ。科学者がタイムマシンの開発を間近にして事故でそれを失ってしまう。残ったのは事故で丸焼けになった恐竜だけで、科学者はタイムマシン発明の父としてでなく恐竜肉の父として有名になってしまう…という泣き笑いの話でした。
 ちなみにこの話では恐竜の肉は「あれを鶏に似ていると言うのなら、木星は小惑星に似ている」というぐらい美味ということになってます(やっぱり比較対象はチキンなんですね)。



「あら、わが社最高の冒険雑誌をよんでらっしゃるのね」

 出典: フレドリック・ブラウン「発狂した宇宙」(稲葉明雄訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 惑星間旅行や恒星間戦争、紫色した月の怪物などが、冷厳な事実として存在する世界では、そうした事柄に関する小説は冒険小説になるそうで。
 うーん、納得。

駄弁者:
 そう言えば、クローンネタの話なんかはすでにSF以外のところで出てきますから…。
 しかしSFの道具立てがSFでなくなったら冒険小説、という図式にはさすがに時代を感じてしまいますねえ。



「来たな、後半でいただきじゃ!!!」

 出典: 富野由悠季「戦闘メカ ザブングル」

紹介 :吉本 様
HP :

コメント:
 カーゴ一家率いるアイアン・ギアーに敵対するブレーカー(運び屋)ビックマンがアイアン・ギアーを倒そうと待ち伏せをしていて番組がCMに入る直前に現れたアイアン・ギアーにビックマンが言った言葉です。(うろ覚えなところもありますが)
 この作品は他にも身も蓋も無い迷言が結構あるのですが私が一番記憶に残ったのはこれです。

駄弁者:
 どうもこのアニメはご投稿の文句のような、メタなセリフが多かったようですね。
 実は私そのへんは全然知らなくて、憶えているのは人型ロボットのザブングルをハンドルとアクセルで操縦していたということだけ…。腕の動きとかどうやって制御していたんでしょう?



ワケのわからんヤツはしばくに限る…。(身勝手ぇ)

 出典: 稲留正義「ヨガのプリンセス プリティー・ヨーガ」

紹介 :Timefire 様
HP :

コメント:
なんだか面白いところに辿り着いたので、取り敢えず書き込んで行きます♪
原作は、アフタヌーンで連載されていた(過去形)ギャグコミックで、人気が無かったのか、気が付けば連載は終わってましたが・・・。個人的には強烈に印象に残った作品でした。
内容ですが、内気でいじめられっこの少女・眼牙熱子(めが ねつこ)の下に突如降って来たヨガ星のプリンセス・プリティーヨーガとの出会いによって巻き起こるドタバタを、とにかくハイテンションに描いたコミックです。彼女はヨガの力で宙に浮いたりするので(爆)SFですよね?(^^;
この台詞は、目牙熱子が喫茶店で絵画泥棒に絡まれたのを助け、泥棒に必殺技を放った後での一言です。なんだかメチャクチャ言ってますが、結構真理を突いていると私は思っています。ワケのわからない物には取り敢えず全力で当たっとけ・・・みたいな。
彼女(ヨーガ)は、ヨガ星というインド寄りの惑星で育ったのですがw、いきなり文化・言語・風俗・風習の全く違う星に放り出されての、恐ろしい程前向きな行動や台詞は、受け取り手によっては力をくれます。

駄弁者:
 いやしかし、この文句どおりにいくとたいていのSF(とくにファーストコンタクトもの)は数ページで終わってしまうか、さもなければすべて「宇宙の戦士」か「終わりなき戦い」になってしまうんですが…。



「なんでも自分の思い通りになると思うな魔女よ。地球人は諦めが悪く、そして狡猾だぞ。」

 出典: 松沢夏樹「無敵戦艦ワルキューレ」

紹介 :吉本 様
HP :

コメント:
 はじめまして、吉本といいます。
 この話ははっきりいってドタバタギャグなのですが、結構印象に残るセリフが多いので投稿しました。
 この話の大まかなあらすじは異星人の侵略にさらされた未来の地球、上級士官学校を卒業したばかりの天然ボケ大尉 白銀 星四郎は突如空から降ってきた戦艦の艦長に選ばれその艦の動力源である天使と悪魔の少女と共に次々にやってくる侵略者と戦うのですが、最後にこの宇宙の創造神であり破壊神である少女(魔女)との戦いでボロボロになった艦の中で、余裕を見せる魔女に対し総司令がいった言葉です。
 この言葉でなぜ人間が今まで発展と争いを続けてきたかわかった気がします。

駄弁者:
 「諦めが悪く、そして狡猾」だから発展と争いを続けてきたのか、それとも発展と争いの連続だったからこそ、執拗かつ狡猾になったのか。きっと両者の正のフィードバックがあったんでしょう。
 地球人の中でも、とくに近代世界システムを支配した西欧文明はこの点で群を抜いてます。



いまどきSFだからといって棒でつついたり石をぶつけたりする人もいないだろうが

 出典: 吾妻ひでお「やけくそ天使」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://homepage1.nifty.com/mimune/

コメント:
 日本のSF史を語る上で欠かすことの出来ない漫画家、吾妻ひでおさんの作品から。
 この作品がSFかどうかは別として、SFへの愛はしっかりあふれてます。たぶん。
 1978年の出典。

駄弁者:
 石はぶつけられませんが、ときどき呆れた視線を投げかけられたりはするかも。
しかしそれさえ乗り越えれば、あの人はああだから…というある種の市民権を獲得できます。
それがいいことなのかどうかは、知りませんが。



「さて、問題です。患者に人工肺を移植しました。果たして、移植を受けた患者は取扱説明書を読むでしょうか?答えは”ノー”です」

 出典: ウイリアム・シャトナー「新宇宙大作戦・暗黒皇帝カーク」(斉藤伯好訳)

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 まーそんなもんだろうなぁ…と思わず納得する反面、呼吸する時にいちいちその使い方を意識しながら肺を使う人などいないのだから「トリセツ読まないと使えないようでは人工臓器失格!」という意見もあるわけで。てゆーかトリセツ読んで使い方を覚えるまでの間、既に移植された人工肺を止めておくわけにもいかんでしょうに…。
 しかし、考えてみればふつーの家電製品なんかについてくる取扱説明書だってほとんど読まれることはないですよね。そのクセ、ほんのちょっとした記述ミスにも大きなクレームがつけられてヘタすれば裁判沙汰。必要とされる正確さとそれを達成するために要する労力に比して極端に少ない読了率。取扱説明書というのも、案外不遇な書物です。

駄弁者:
 だいたい人工臓器の場合、故障したときには取説どころじゃないでしょうが。
「FAQ:心臓が停止したら? −> 右心房の上部についているリセットボタンを押して再起動して下さい。」
 もっとも愛すべきボーンズは、患者用のマニュアルもない人工臓器など、転送装置以上に恐くてつかえるものか!と思っているのかも知れません。



…遠い未来の地球…
セントラル・ドグマとパシフィック・ドグマの生命の覇権をかけた戦いが 繰り広げられるに違いない!
「いわゆる『日本シリーズ』ですね!」

 出典: あさりよしとお「HAL はいぱあ あかでみっく らぼ」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
「セントラル・ドグマ」(分子生物学の中心仮説):「生命」の根源を、DNA情報によるタンパク質合成に求める学説。
「パシフィック・ドグマ」:無機物の複製を、セントラル・ドグマと同じように考える学説。
…そう言えばベンフォードに、「宇宙の日本シリーズ」ともいうべきシリーズがありますね。『夜の大海の中で』に始まり『輝く永遠(とわ)への航海』に終わる六部作。
  『まんがサイエンス』や『なつのロケット』(もしくは『ワッハマン』とか『細腕三畳紀』とか『宇宙家族カールビンソン』とか)の作者による、科学啓蒙漫画「風」コミックより。
BGM:「デーゲーム」ユニコーン

駄弁者:
 SFで日本シリーズといったら、かんべむさしの「決戦!日本シリーズ」をまず連想します(いや、本当にあれがSFかと言われるとちょっと何ですが)阪神と(今はなき)阪急が日本シリーズを戦って、勝った方の列車が相互乗入の今津線を走る権利を得る…って、関西限定ローカルネタだったんですが。



「わからなかったさ!…だから捜したんだよ。メイドのはやりだした1990年代中頃から、コミケだけ見て翌年へ跳んで…コミケだけ見て翌年へ跳んで
コミケだけ見て翌年へ跳んで
コミケだけ見て翌年へ跳んでっ!
2ヶ月近くかかった…

 出典: 長谷川裕一「クロノアイズ グランサー」

紹介 :Liner 様
HP :

コメント:
 初投稿となります。既存のネタを一応読破してから投稿しておりますが、これだけのものになるともはやデータベースのような感もありますね。
 さて、クロノアイズは幸いにしてここにも数多く登場しているようです。最新作かつ第2部という扱いになっている「グランサー」からの一こまを。
 1980年のコミケ(ちゃんと晴海ですよ!)破壊をたくらむ時空犯罪者・謎のメイドさんにとらわれの身になってしまったヒルダ(新米社員)を、見事2002年のコミケ会場東京ビッグサイトと見破って(?)なんとか間に合ったタイキとアナ。「なんでわかったの?」というメイドさんの質問に対する返答ですが…
仕事というのは大変なんですね、ということを改めて思い知らされる一幕。
なお、タイキはこのあと、さらに精神的な追い打ちをかけられます…よりによって「依頼者」に。
長谷川氏自体が同人活動されているからだと思うのですが、描写がうまいですな。

駄弁者:
 夏の陣も冬の陣も行ったことがないのですが、話を聞くだに恐ろしいところだと…。
 2ヶ月近くコミケに参加し続けるというのは、きっと人間の限界超えてますね。



「……勝ったな。今回は小さな友人の手を借りることなく、人類の手で」

 出典: 伊吹秀明「第二次宇宙戦争」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 架空戦記風の「宇宙戦争」の続編です。プロローグで、第一次世界大戦のイギリスが火星人の残していったウォーマシン(三本足の奴)を使ってたり、1921年にワシントン火星兵器軍縮条約なんてのが結ばれたりしてます。…で上の台詞は、まあ見たまんまなんですが、言った人がジョン・トーヴェイで彼の乗艦が「サンダー・チャイルド」(巡洋艦に生まれ変わってる)ってとこがミソです(^^)

駄弁者:
 元祖「宇宙戦争」で勇戦むなしくウォーマシンに沈められた先代さまの仇はとった、と。
 ちなみに先代サンダーチャイルド号は衝角駆逐艦(torpedo ram)で、これは衝角の先に外装水雷をつけて敵艦に突き当てるというものだそうです。相手が火星人じゃなくても充分無茶な気が…。



「いいのかな?わたしが教官なんかしていいのかな?わたしのやり方は、ずるいやり方だもの。勝つためのやり方じゃないもの。生き残るためのやり方だもの。」

 出典: 秋山瑞人「E.G.コンバット」

紹介 :新崎みこと 様
HP :

コメント:
 購買のおばさんと、ルノアの会話。
 一見コミカルテイストだけど、重いんですよね、この作品。

駄弁者:
 対プラネリアム戦争の英雄として月に帰還したルノア・キササゲ大尉を待っていたのは、落ちこぼれ訓練生の教官として怒鳴り散らししごきまくる日々。しかし鬼教官を演じる彼女の一挙一投足は、じつは不安に満ちたものだった。…ご投稿は、自分が訓練生だった頃から基地にいる購買のおぼさんに、ルノアがもらした弱音から。
 ルノアの述懐を聞いている購買のおばさんも、ほとんどこのシーンだけのちょい役なのに、いいキャラでした。…メインの訓練生よりワキの方がよっぽど役者がそろっていると思います(あのけたたましさ、いまいち好きになれない)。
 いろいろ損をしている部分の多い作品だと、私は思うのですが。



「…ン。ハサ、好きだぜ?」
「ありがとう」
「…いつまでも、友達だと思っている。わすれないぜ?」
「僕もだ、大佐」

 出典: 富野由悠季「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」

紹介 :新崎みこと 様
HP :
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/8597/

コメント:
 ちょっとご無沙汰しておりました。今回は、少し変わったところから。
 ガンダム系の小説の中でも、かなりマイナーな部類になるのではないかと思われる「閃光のハサウェイ」のラストシーン、ケネスとハサウェイの会話です。
 「逆襲のシャア」から12年、地球圏の様々な矛盾を見たハサウェイは、反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」の中心人物として、クスイーガンダムを駆っていた。他のガンダム作品には見られないテーマ・展開の重さと、主人公が処刑されるという衝撃的な結末から、シリーズ中では異色の作品となっています。名台詞は、最後まで宿敵かつ親友だったケネスが、自らが処刑することになるハサウェイと交わした最後の会話。
 初代ガンダムから続く流れは、この「閃光のハサウェイ」が事実上のピリオドなのではないかと。
 異色とは言え名作だと思います。

駄弁者:
 ホワイト・ベース元艦長ブライトの長男、ハサウェイ・ノアは「逆襲のシャア」で初恋の人(だったんだろうな、きっと)クェス・パラヤを喪う。その後、彼はクェスの影を背負いつつ、反地球連邦組織の指導者として活動を続けていたのだった…。確かに重い話でした。
 格好つけてみても結局クェス・パラヤの死を乗り越えられていないハサウェイが、ちょっと哀れだったような苛立たしかったような。このあたり、アムロやシャアと相似形ですね。
 「事実上のピリオド」がこういう重たい終わり方というのも、考えてみれば富野作品らしいのかもしれません。



「この金めっきおならめ」

 出典: オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」(野口幸夫訳)

紹介 :グラニット 様
HP :

コメント:
「バトルスクールで飛び交う悪口の中でも、最高に独創的なものの一つではないだろうか。ちゃう?」

駄弁者:
 お、久しぶりの「エンダー」だ…と、これは喜んでていいんでしょうか。
 隊長として初勝利をあげたエンダーに先輩のディンクがかけた言葉ですから、状況的には悪口は悪口でも親愛を込めたほうなのかなあ。金のタマゴならぬ金の屁というのは。
 原書では「gold-plated fart」…まんまですな。初めて読んだときは、悪態とかスラングは訳すのが難しいんだろうと思っていたのですが、どうもそれ以上に原文に忠実であろうとする訳者の方針のせいらしいです(ちなみに「ちゃう?」は「neh?」)。
 …こだわり過ぎだと思うんですが。



「ストーカーだぁ?サイボーグのストーカーってオマエいったい何を敵にまわしてる?」
「これを製造しているバイオーグ社でしょ…そこの株を牛耳っているヤクザでしょ…ロシア極東軍でしょ…日本の公安でしょ…科学技術庁でしょ…エトセトラ」

 出典: 荻原玲二「天使だけが翼を持っている」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 舞台は一応2050年代ですが、サイボーグはまだまだ一般には普及していません。

駄弁者:
 一般人より能力的に優れたサイボーグというのは、技術的なことよりも社会的・倫理的な面で、ロボットより普及しにくいんじゃないでしょうか。



ひょっとしたらこの惑星に神様はちゃんといるのかもしれない。
それはもう完全無欠に立派で公平な人格者で、強い者にも弱い者にも、お金持ちにも貧乏人にも、ただ平等に見守るだけで決してどちらか一方をえこひいきして手を差し伸べることなんてことはしないのだ。
なんてありがたい神様なんだろう。
死んじゃえ。

 出典: 壁井ユカコ「キーリ 死者たちは荒野に眠る」

紹介 :猫さん 様
HP :

コメント:
 第9回電撃小説大賞、大賞受賞作「キーリ 死者たちは荒野に眠る」より新人作家のデビュー作なのですが、おもしろくて一気に読みました。
 霊感が強く、霊が見える14歳の少女、キーリ。彼女が出会った、不死人のハーヴェィその同行者の小型ラジオの憑依霊・兵長、三人で旅するうちにキーリは自分の居場所をようやく見つけた気がした。
 キノの旅に似た短編連作構成で綴られる物語ですが、キノの旅がブラックユーモアたっぷりの作品であるのに対して、ひたすら救いようがないくらいお話です。最後は一応ハッピーエンド。
 引用した名文句はキーリがある事情でハーヴェィと兵長と別れた後の言葉です。
自分が子供の頃、同じように思っていた私には、とても小説の中の言葉とは思えませんでした。
 でもこんな子供だった自分は相当ひねくれていたのかも?

駄弁者:
 そういう神様なら、実質的にいないのと変わらないような気もします。どうせいてくれるなら、公平であると同時に慈愛に満ちた存在であってほしいもの。
 ぶっちゃけて言えば、ご利益あってこその神さんじゃねーか、ということになってしまいますが。



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