SF名文句・迷文句第集

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第71集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第73集を見る


「ジャック…CECSを点検してくれないか
 …(中略)…
 妖風が目にしみる。涙がとまらない」

 出典: 神林長平「戦闘妖精・雪風<改>」

紹介 :ふぇんだ〜 様
HP :
http://www002.upp.so-net.ne.jp/replica00/

コメント:
初めて投稿致します。
これをいまさら読んでいます。
「インディアン・サマー」より。
この一文を読んだ時、不覚にも泣きそうになってしまいました。

駄弁者:
 <ジャム>に乗っ取られた空中母艦を調査しに<雪風>で強攻偵察に乗り込んだ零と、電子工学の専門家トマホーク・ジョン。だが、人工心臓をもつジョンは<ジャム>に機械と誤認され襲われ死亡する。ご投稿の文句は本編ラスト、単独で帰投した零がブッカー少佐にもらした言葉。
 あの零が泣くシーンがあったんですねえ。死に臨んだトマホーク・ジョンが「ぼくは人間だよな」と問うあたり、作品のテーマとの密接にリンクした名場面だと思います。



「よし、全艦隊、逃げろ!」
おごそかにヤンは命じた。
 第一三艦隊は逃げ出した。ただし整然と。

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説 黎明篇」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 「性格はジョセフ・ジョースター(二代目JOJO。※1)だが、死にかたはDIOであった」とも評されるヤン・ザ・マジシャン、彼の最大最高の魔術「楊家秘奥義・敵前大逆走」(※2)炸裂の場面より。
※1「いや! ひとつだけ策はあるぜ・・・逃げるんだよォー!!」
※2「知っているのか雷電ーッ!?」
BGM:「逃亡者」ミスター・チルドレン

駄弁者:
 あえて「撤退」ではなく、まして「転進」ではさらになく、「逃げろ」というのがヤンのヤンたるゆえん。
 後に逃げるふりをするのがお家芸になったヤン艦隊ですが、このときは本当に逃げてますね。帝国軍の戦術メモには、整然と撤退するヤン艦隊は追撃しても大丈夫だが、算を乱して逃げるようなら要注意…と記しておくべきでしょう。



じゃあヤン司令官が酔っ払ったグリーンヒル大尉に押し倒されたかーーー!

 出典: 戸山奥「銀河奥さま劇場 愛の十字架」

紹介 :藤間真 様
HP :

コメント:
 今回は間違っていないと思います。
 例のせりふを探して読んでいた『徳間書店の天下無敵あどりぶ銀英伝』(平成6年9月30日発行雑誌コード61578-15)の73ページです。
 まぁ、銀河英雄伝説を読まれた方なら誰でもニヤリとしてしまうパロディだと思います。(読まれていない方は、すぐに図書館で探されることを勧めます)

駄弁者:
 今度のは私も見た覚えがあります。
 元ネタは「銀河英雄伝説外伝2」、たいへんです!と言って走り込んできた部下に対し、不良中年シェーンコップが「何だ、ヤン司令官が酔っぱらってグリーンヒル大尉を押したおしでもしたか」と返すところです。「そんなことではありません」との部下の言葉をうけて、ご投稿のセリフ。
 押し倒すより押し倒される方があり得そうだと思えるあたりが、ヤンの人徳でしょう(違)。もっとも、頭を打って人格が豹変したヤンが押し倒す方にまわるパロディもあったような。



「大抵の問題は、コーヒー1杯飲んでいる間に解決するものだ」

 出典: 高松信司「機動新世紀ガンダムX」

紹介 :たすく 様
HP :

コメント:
 ガンダムシリーズの中でも、最も評価の低い作品のひとつから投稿致しました。
 実際にはコーヒー1杯飲んでいる間程度では問題は解決しませんが、時間が解決する問題も多い、と実感するのは私がそれだけ歳をとった証拠でしょうか。
 ヴェルレーヌとかハイネとか、詩の引用が印象的だったのと、英語詞のEDに次回予告をかぶせる演出が格好良かったのを憶えています。なんでスパロボ以外人気ないんでしょう…。

駄弁者:
 そう願いつつ、コーヒーを飲んでいることはよくあります。…あんまり解決したことはないような気がしますが。



今使わずに、いつ使うのだ。

 出典: 宮崎駿原作「風の谷のナウシカ」(映画版)

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 原作と違って、映画ではトルメキアが完全に悪役と化しています。その権化といえる設定のクシャナ皇女の言葉。
 王蟲の大群の突撃を受けることを知った彼女が、完全復活に至っていない巨神兵を使おうと言い出したとき、作戦参謀クロトワの諌言を突っ返すのに使ったセリフです。
 彼女は他にも、映画の中だけで「この地に王道楽土を建設する」「間違えるな、私は相談しているのではない」「私が膝をついて謝るとでも思ったか」などなど数々の迷言を残していますが、なんだか今の某合衆国の某J.W.B.氏と言う事が似ているような気がします。
 さすが宮崎駿、20年後を予見するとは。
 ちなみに彼女は風の谷に自分の国を建設するという夢を抱く野心家でもありました。同じく野心家のタヌキ男クロトワとの掛け合いで結構楽しんだ覚えがあります。
 原作よりもスケールこそ小さいけれど、映画も面白いですよ。

駄弁者:
 考えようによっては、闇雲に王蟲のまっただなかに特攻していったナウシカより実際的な対応を試みたと言えるんじゃないでしょうか(もっとも映画版での巨神兵は核兵器のアナロジーにも見えるので、そう短絡的に言ってはいけないか…)。



だから…ドリルは取れと言ったのだ…

 出典: サンライズ制作「勇者特急マイトガイン『嵐を呼ぶ最終回』」

紹介 :営々 様
HP :

コメント:
 15才にして旋風寺コンツェルンの総帥、自称「嵐を呼ぶナイスガイ」の旋風寺舞人が勇者ロボ・マイトガインに乗り込み、ヌーベル・トキオ・シティにはびこる悪に立ち向かう勇者シリーズ第4弾。おわかりのように日活無国籍アクションへのオマージュが入っています。
 番組中盤でエグゼブという悪の大物が登場、舞人の好敵手エースのジョーと悪のマッドサイエンティスト、ウォルフガングを抱き込んで勇者特急隊に挑戦してきます。
 で、ウォルフガングに作らせたジョー専用ロボ「轟龍」を見たエグゼブが一言。「頭のドリルは外してもらおう。私の趣味ではない」
 時は流れて最終回、エグゼブの乗った超巨大ロボがマイトガインをひねりつぶそうとします。「まるで手の中のオモチャだな。だが、もうこのオモチャもお払い箱だ!」その時、裏切ったジョーが轟龍ジェット機形態でエグゼブロボのコックピットめがけて特攻、機首のドリルで生身を貫かれるという壮絶な最期を遂げるエグゼブ。そんな彼のいまわの際のセリフがコレ。ドリル好きには大変有名な台詞ですね。
 この後、エグゼブをも操っていた巨悪は、舞人に対し、「自分はお前達二次元人をゲームの駒として弄んでいた三次元人だ」という衝撃の台詞を吐くのでした……って、あんた、この番組の制作者だったのかよ!
 後に発売されたファンブック「アニメージュ文庫 勇者特急マイトガイン =嵐を読んだ男たち=」内の高松信司監督インタビューによると、この作品は玩具メーカーの意向に振り回されるロボットアニメの現状を逆手に取ったメタフィクションなのだそうな。そう言われてみると、何となくSFチックに思えてくるから不思議なものです。

駄弁者:
ロボットアニメのメタなネタが続きました。
>ロボットアニメの現状を逆手に取ったメタフィクション
 そうなると「もうこのオモチャもお払い箱だ!」のセリフにも意図的なものを感じますね。最終回の頃には、次回作の製品がすでに控えていそうなものですし。



「あらゆる分析を試みましたが、なぜにこのような型に変型しなければならないのか一向に…」

 出典: ビックウエスト制作「超時空要塞マクロス」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 西暦1999年。突如地球に落下してきた、全長1200mの巨大な宇宙船。落下してきた宇宙船は地球人の手で修復され、マクロスと名づけられる。
 10年後、2009年。マクロス進宙式の日。突如としてマクロスの自動防衛装置が働き、人間のコントロールを無視して巨大な主砲が発射されてしまう。
 マクロスは、ゼントラーディ軍と敵対する知的生命体が仕掛けていった罠だったのだ……
 マクロスが主砲を発射するために変型したのを見たゼントラーディの台詞です。
 設計の都合上、変型しないと主砲が撃てないわけなのですが、というか、商品展開上の都合だよな…いや、好きなんですけどね、強攻型。当時プラモデル買ったし。思うツボ。

駄弁者:
 それもなんでまた人型に変形しなければらならないのか一向に…。
 腕にあたる部分に強襲揚陸艦を合体させて、敵艦のどてっ腹にパンチをぶちこみ艦載機を侵入させる…などというムチャクチャもやってましたね。強攻型じゃなくて暴行型じゃないのか。
 …そういえば初代マクロスからのご投稿は初めてか。



アテンション・プリーズ。このフィクションは小説です。あらゆる物語はロマンスなので、登場する団体名、会社名、及び個人名と現実のそれらとは一切関係がないなどと誰に断ずる権利があるでしょう。

 出典: 矢作俊彦「あ・じゃ・ぱ!ん」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 北海道はソ連に占領され、米軍の原爆が2回の事故で(1回目は目的地の新潟で落ちなかった事、2回目は帰路の富士山に落ちた事)効果を発揮せず、敗戦後米軍の遅れによりソ連軍が関東一帯まで制圧してしまった世界。日本はほぼ東経139度線で分割され、西の「大日本国」と東の「日本人民民主主義共和国」がお互いを非難しつつ過ごしていました。
 東日本でゲリラ活動をしている田中角栄にインタビューを取るように言われたアフリカ系アメリカ人の「私」は、「ピュリツァー賞」の言葉に日本に乗り込みますが……、という話。
 しかし、東日本では未だに中曽根が元首に収まり、吉本興業がCNNを買収し、西日本の首都・大阪の官庁街の土地は元「日本アパッチ製作所」。一体どうなってるんでしょうか、この世界は。

駄弁者:
 社会主義体制になっている東日本でも、良くも悪くも(悪くも悪くも)日本は日本、となっているあたりに苦笑した作品でした。
>日本アパッチ製作所
 そこは工員が鉄でなにかを造っていたのか、それとも工員が鉄を食っていたのか…?



「ジュードー・チョップ!」

 出典: 「オースティン・パワーズ」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
ねぇよ、そんな技!
しかし作品が作品だけに、わざとやってるのか本気で間違えてるのか判断が難しいところです。

駄弁者:
 宿敵ドクター・イーブルを追って、冷凍睡眠で60年代から現代へタイムスリップしたイギリス諜報部員オースティン・パワーズのドタバタ劇。
 わざとでしょう、きっと…たぶん…だといいな…(そういやスタートレックでもジュードー・チョップでていたような)。



「ハイル・ヒトラー、深宇宙より来訪せる国家社会主義ドイツ労働者党同志!しかし、相談を持ちかけた相手が悪すぎたな!」

 出典: 佐藤大輔「凶鳥<フッケバイン> ヒトラー最終指令」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
最近文庫化された佐藤大輔氏のSFゾンビものより、
ナチ嫌いの主人公、グロスマイスター大尉が異星人(もろにグレイ)を殺した後にした生涯ただ一度のナチ式敬礼。
遺伝子工学などが究極に発達すれば最後にはナチズムみたいになるのかな?
嫌だなあ…

駄弁者:
 遺伝子工学が優生学的な思想のもとに発展したとしたら、たぶんナチスの人種政策に似通ったものができてしまうんじゃないでしょうか。遺伝子工学そのものを否定しなくてもそうならない道は、多くあるだろうと思います。



「女性に武器か、男として恥ずべきことかもしれないが、仕方あるまい」
「性差別主義者ね」
「女性と子供に武器を持たせぬためであれば、差別主義者の汚名を甘受しよう」

 出典: 佐藤大輔「凶鳥<フッケバイン> ヒトラー最終指令」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 1945年4月、敗戦寸前のドイツでソ連軍侵攻食い止めていた陸軍降下猟兵中隊の指揮官フォン・グロスマイスター大尉は突如ベルリンに呼び戻され、ベルリン近郊の田舎町カッツェンボルンの郊外に不時着した未確認飛行物体〈フッケバイン〉の調査・回収を命じられた。
 そして現場にたどり着いた陸軍降下猟兵中隊の生き残りたちは、幾多の地獄をかいくぐってきた彼らですら、怖気を振るうような凄惨な戦闘に遭遇する。
以上が粗筋です。
 主人公、グロスマイスター大尉があまりにカッコいいので投稿しました。

駄弁者:
 この作品は、まえに別の方からご投稿をいただいていたんですが、ご投稿の文句が長すぎてどこをとっていいか分からなかったので保留したことがあります。
「多くの先達からの影響を意識的に肯定することにより」完成した作品とのこと。つまりはオマージュとかトリビュート小説ということかなあ。



ヘル・ミンツ、卿と私とはどちらが幸福なのだろうか。卿らはヤン・ウェンリー元帥が亡くなるまでそのことを知らなかった。吾々は、陛下が亡くなるについて、心の準備をする期間を与えられた。だが、卿らは哀しみがスタート地点から始まったのに、吾々はまずゴールを迎えて、それからまた心の飢えをみたすために出発しなければならない。

 出典: 田中芳樹原作・石黒昇総監督「銀河英雄伝説 第109話『“黄金獅子旗”に光なし』」 原作では「10・落日篇」

紹介 :TAKA 様
HP :

コメント:
シーンとしては最後のハイネセンでのユリアンを前にしたミュラーの発言。
究極の選択ですがどっちも辛いですね。

駄弁者:
 小説で読むと違和感はないですが、実際に口にするとなるとやや説明的なセリフじゃないかな、と感じます。
 一方は尊敬する人の思わぬ急死という衝撃に耐えねばならない代わりに、その人の遺志を継ぐという目標がまだあった。もう一方は主君の死に対する心の準備はできても、そこから先の目標を見いだせないでいる…と。
 …しかし心の飢えを感じていられるほど、ラインハルト死後の銀河帝国が平穏になるとはちょっと思えないのですけどね。
「銀河英雄伝説」の後日譚が読みたいとは私は思わないのですが、もしあったとしたらミュラー元帥には長く辛い守成の日々が待ち受けているものと思います。



僕はコンピュータを使って悪魔を呼び出すことに成功した。そんなに驚くほどのことじゃない。魔術は本来、非常に緻密な論理構造をもった科学なんだ。

 出典: 西谷史「女神転生 デジタル・デビル・ストーリー」

紹介 :TAKA 様
HP :

コメント:
有名RPG「メガテン」の原作です。
さすがに17年前の作品だけにコンピュータ関連の用語が古〜い。
昔使っていたPC98を思い出しました。
コンピュータで悪魔を呼び出すことができるようになった中島君は、この後どんどん不幸になっていきました。

駄弁者:
 …いや驚くでしょ、普通。
 コンピュータプログラムでつくった魔法陣なり呪文なりで召喚した悪魔は、やはりコンピュータの中でしか行動できないのでは…と考えたのですが、どうも設定でもそのはずだった悪魔が暴走した、ということになっているようですね。
 作品については、なんか大昔にちらっとみたことがあるような。現実化した悪魔が生贄に女性を求める結構えげつない場面があったように記憶しています。



艦隊が沈んでいく……リシテアを守らなきゃ!

 出典: 新海誠「ほしのこえ」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
たとえ宇宙空間だろうと、船が喪失するときは「沈む」と言うんでしょうか……はて?

駄弁者:
 恋人(未満)だったノボルから遠くはなれたシリウスでの戦いの最中、ミカコのセリフより。
…いろいろと名文句の多い作品だと思うのですが、そこから持ってきましたか。
「船」というからには海でも空でも「沈む」ということになるんじゃないですか?



こちらはMS短波無線機による実況放送班であります。
ゴジラは只今、この放送を送っておりますTV塔に向かって進んで参りました。
もう待避する言葉もありません、我々の命もどうなるか。
ますます近づいて参りました。いよいよ最後です。
右手を塔に掛けました。物凄い力です。
いよいよ最後。さようなら皆さん、さようなら。

 出典: 本多猪四郎監督「ゴジラ」(1954年版)

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 名セリフと言うより名場面ですね。
 普賢岳の噴火でマスコミのかたがたが亡くなられたときに、この場面を思い出したんですよね。今更ですが、合掌。

駄弁者:
>普賢岳
 カメラを持ったままの姿で発見された記者の方もいらっしゃったんですよね。壮絶です。
 ただ、無茶をする記者たちに巻き込まれて犠牲になったタクシー運転手や消防団員が少なからずいたということも、忘れてはならないでしょう。



お誕生日おめでとう

 出典: 神林長平「七胴落とし」

紹介 :天雲 伍雨 様
HP :

コメント:
 お初に投稿します。さて、神林長平の作品は最初の一文が何らかの仕掛けになっていたりしますが、自分にとって一番威力があったのが、この一言。読み終わってから、ゾクッときました。一番最初の言葉が、最後の主人公の喪失感に追い討ちをかけます。でもまあ、彼は女性に恵まれてるみたいなので、同情の余地なしですが(ひがみ)

駄弁者:
 子供の頃持っていた感応力が20歳になるまでに失われてしまうという世界の話。
 主人公にとって誕生日は恐怖なのですが、感応力の存在すら否定するにいたる大人たちにとっては…。
 感応力のようなはっきりわかる形ではないにしろ、大人になった自分がなにかを失ってしまうのではないかという恐れは、なんとなくあったような気がします。…今となっては、失ったのかどうかさえ分からないのですが。



コンツワ!

 出典: 小松左京「明日泥棒」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 下駄に袴にモーニングの出で立ち、ぶっ違いの日の丸小旗つきの山高帽をかぶって買い物袋を提げ、兵児帯で蝙蝠傘を背中にくくりつける。
 宇宙人ゴエモンの姿です。
 最も奇天烈な格好の地球外生命体であると私が確信するゴエモンと主人公との、これまた奇天烈なファーストコンタクトの言葉です。発言者は勿論ゴエモン。
 このゴエモン、日本についての目茶苦茶な勘違いをしていたり、殆どの方言を網羅した奇怪な日本語を喋ったり、ただの何も知らない外人のおじさんのように見えるのですが、彼1人の行動に政府黒幕からCIAまでが振り回されてしまうんだから詠んでいて面白い事この上ありません。
 私はアメリカについての記述を読んで、あの国は変わっていないという事を改めて実感しました。

駄弁者:
 で、これは一体なに弁なんだろうか…。
 姉妹編に「ゴエモンのニッポン日記」というのもあって、こちらはゴエモンが著者宅に居候しにきたというもの。文明批評という点でも前作を引き継いでいるようです。



アトムは完全ではないぜ。なぜなら悪い心を持たねえからな

 出典: 手塚治虫「鉄腕アトム 電光人間の巻」

紹介 :伴大助 様
HP :

コメント:
 昭和30年の電光人間の巻の一節です。ロボット芸術博覧会に訪れたお茶の水博士が、展示されたロボットを観て「つくづくアトムは最大の芸術品だと思うね」と感慨深くつぶやいた時、背中越しに、作中最大の悪役スカンク草井がおもむろに博士に語りかけるシーン。
 戦中に青春を過ごし、科学の是非を知っていた手塚治虫ならではのセリフと思う。
 日本SFの名セリフは、このセリフから始まったと思っています。

駄弁者:
 悪い心を持たないことを至善ではなく不完全と捉える見方を、悪役からとはいえ提示してみせるあたり、なかなか深いものがあると思います。
 悪い心をもたない=悪を理解できないとすると、アトムの電子頭脳にある「正義」の定義とはどんなものなのか…ちょっと考えます。



「ねー少佐ー、聞いた話では留守番をすると土産を貰う権利が発生するんですよねえ?」

 出典: 士郎正宗原作/協力・神山健治監督「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」

紹介 :∞ 様
HP :

コメント:
 第3話にて、主人公(少佐)の所属する公安9課の多脚戦車タチコマのセリフ。  お土産を貰えたかどうかは不明。

駄弁者:
 攻殻機動隊からもう一つ。こっちはちゃんと種(ルスバン)をまいてから実(ミヤゲ)を要求しています。



何が望みだ?俗悪メディアに洗脳されながら種(ギム)をまかずに実(フクシ)を食べる事か?

 出典: 士郎正宗「攻殻機動隊 #1」

紹介 :らぷ 様
HP :

コメント:
 言葉の背景:福祉施設を隠れ蓑にした洗脳施設への強行捜査時に「結果的」に救助した少年の「ぼくらを外へ解放しに来てくれたんですね?!」への主人公草薙素子の台詞。
 今にして思えば、今日のネット社会(と犯罪)を示唆した様なマンガでした(元ネタは'80代の所謂サイバーパンク)。当時では関心のある者しか予見できなかった(ネットその他SF的なギミックetcも含めて)未来が顕在化しつつある現在、ともすれば自由と権利を履き違え、あまつさえLogOn(ネット/虚構)とLogOff(現実)の区別のつかない若年層の増加には危機を感じます。
 余談、先日キアヌ・リーブスが来日時マトリックス作成者がアニメの「アキラ」や「攻殻」に影響を受けたとのこと。既に映像的には過去作品の実写版と言うことなんでしょう。

駄弁者:
 なかなか耳に痛い言葉です。しかし「メディアに洗脳されながら」のところは措くとしても、種をまいてもまいた分の実を食べさせてもらえるかどうか不安な世の中とあっては、虚構にひたりたくなるのも分からなくはありません。



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