読後駄弁
2002年読後駄弁3月〜4月


・東浩紀「動物化するポストモダン」講談社現代新書,2001.11
 コミック、アニメ、ゲームetc…に代表される「オタク系文化」は、世代的にも規模的にも現代日本の文化を語る上で無視できないものとなっている。だが、それをまともに論じることは、「オタク」を自任する人、そうでない人双方からの反発で、いまだにやりにくい状況にある。そこにあえて踏み込み、オタク系文化を含めた日本文化について分析、批評する場を作り出そう、というのがこの本の意図。
 筆者は、まず「オタク」を3世代に分ける。60年代生まれを中心とし、「ヤマト」「ガンダム」を10代で視た第1世代、それを受け継いだ70年代生まれの第2世代、そして80年代生まれで「エヴァンゲリオン」を10代で視た第3世代、という具合。そして第1、2世代の傾向をとりあげた後、それとの対比で第3世代について詳しい分析を試みる、といった構成をとっている。
 第1、2世代が作品の背後にある大きな物語を指向するのに対し、第3世代がもはや物語を必要とせず、作品の背後にあるのは「萌え要素」のデータベースである、としたところには大きく頷かせられた。この「データベース」のアナロジーで「オタク系文化」全般について多くのことを説明できる。…などとエラそうに言うよりも、自分や友人知人のの趣味嗜好に照らしてみて当たっている部分が多いことに驚いた、と言った方が正直か(ついでに「萌え要素としての触覚」というキャプションに爆笑したことも白状しないと。あらためてマジにやられると…やっぱりヘンな嗜好だと思わされる)。
 ただ、第2世代に対する第3世代、というふうに両者の差を明確なものとして捉えている点には、少し疑問を持った。私の感覚では両者の差はもっと連続的で曖昧なものなのだが。「第2世代」に属する嗜好の持ち主が「データベース消費」の作品に身を浸し続ければ、「第3世代」的な嗜好に変化することも十分あり得るだろう。
 また、「第3世代」のオタクたちが「大きな物語」が求めない一方で、「感情的な満足を効率よく達成してくれる」「小さなドラマ」に耽溺する傾向があることも指摘されている。これについてはおそらく「オタク系」のみならず、テレビドラマ等についても敷衍できるのではないだろうか。そういったものについては「世界観もメッセージもない、ただ効率よく感情が動かされるための方程式」と、あまり積極的な評価がされていない。これにはやや感情的な反発を覚えたが、多分それは私自身がそれらの「小さなドラマ」に溺れている者のひとりであるせいだろう(それでも「ノベルゲーム」という媒体は、もっと可能性をみていいと思うが)。
 細かい部分はさておき、全体的には「オタク系文化」を的確に捉え、表現することに成功していると思う。これが「そういう世界観をもったヘンな奴らもいる」ではなく「現代文化の無視できない一部分である」と認識されるかどうかは、本文末尾にあるとおり、今後の展開を待たなければならないが。

・ヴォンダ・マッキンタイア「夢の蛇」,サンリオSF文庫,1983.10
 毒蛇の毒素から抗体を作って病や怪我を治す遍歴の治療師スネーク。だがある村で治療を行ったとき、彼女は手持ちの蛇で一番貴重な「夢の蛇」を殺されてしまう。失意の中、再び夢の蛇を手に入れるわずかな希望を胸に、スネークは旅を続ける。
 核戦争で現代文明が崩壊したあとの世界というのは、まあ定番。だがスネークが出会う人々──無知や偏見のため虐待を受けるガブリエルやメリッサ──を見ていくと、作者が書きたかったのは未来ではなく、現在の問題であるらしい。多かれ少なかれ小説は現代を描くものなのだろうが、この物語はかなりはっきりとそれが表れているように感じられた。
 その分、物語の背景となる世界観を描くところが少ないように思えたのが、ちょっと不満なところ。スネークが夢の蛇を求めて訪れる「都市」や、「都市」と関係をもっているらしい異星人などについて、もっと書いてほしいところだったのだが…。そういった方面については別に「脱出を待つ者」という長編があるらしい。

・薬袋秀樹「図書館運動は何を残したか」,勁草書房,2001.5
 司書は専門職──とは言うが、どういうところが「専門職」なのか、またその「専門性」についてどのような理論付けをし、どのような主張を行ってきたかをとりあげる。司書職制度の確立に向けて長期の運動を続けてきたにもかかわらず、満足のいく結果を残せていない日本図書館協会への厳しい批判の書でもある。
 …確かに、図書館そのものの設置は進んでも、その職員が図書館専任で勤められるところはまだまだ少ない(市町村立だと特に)。その原因は往々にして「行政の無理解」という方向に求められがちなのだが、本書では図書館側の実践にも問題はなかったか、という問題提起がされている。団体としてだけでなく図書館職員一人一人にとっても、なかなか耳の痛いところだ。


・テリー・ビッスン「赤い惑星への航海」,ハヤカワ文庫,1995.9
 21世紀に起きた大恐慌で米ソの宇宙計画はほとんど全て放棄されていた。だがハリウッドのある映画会社が記録映画を製作するため、有人火星飛行を計画。2人の元宇宙飛行士とモグリの人工冬眠医師、映画スターとカメラマン、さらに密航少女まで加わった面々は、軌道上に放置されていた宇宙船<メアリー・ポピンズ>で赤い惑星をめざすのだった──。
 パロディめいた破天荒な設定だが、実は堂々のハードSF。技術面についてはかなり緻密に描写されている。とくに無動力の着陸船を用いてグライダーのように火星に着陸するシーンは読みどころ。
 また登場人物の気の利いたやりとりでも、楽しませてくれる。「スタートレック」ネタが多いところが個人的には非常に気に入っているのだが、それ以外の部分でも十二分に面白い。

・武田雅哉+林久之「中国科学幻想文学館」(上下),大衆館書店,2001.12
 日本では紹介されることの少ない、中国SFの通史。上巻が清末から中華民国期、下巻が中華人民共和国成立以降のSFを扱う。
 元々が「西遊記」や「封神演義」を生んだお国柄、イマジネーションについて他との遜色はなかったはず。じじつ上巻で紹介されている諸作品は、ウェルズやヴェルヌの模倣、あるいは全く荒唐無稽の域から脱してはいないものの、もしそのまま発展できていたらどんな面白い作品が登場したかと思わせてくれる。中華人民共和国になってからの政治的な制限、そして文化大革命は他の文芸と同様、SFにとっても大きすぎる損害を与えた。
 そういったことの少なかった台湾のSFの方が、今の段階では面白い作品に恵まれているかも知れない。だがこれから先、欧米のSFとも日本SFとも違う中国ならではSFは、日本や欧米の作家たちが経験することのなかった大きな障害を越えてきた中華人民共和国の作家たちの筆から生まれるのではないかとも思える。…そうなったら、ぜひ邦訳を読んでみたいものだ。

・塚本青史「霍去病」(上下),河出文庫,1999.10
 前漢・武帝時代の天才的名将・霍去病を中心にこの時代の群像を余すところなく描く。
 前に読んだ「白起」がそうだったように、この作品もタイトルの人物だけを追うのではなく、同時代に生きた多くの人物を登場させ、時代全体の空気を再現することに成功している。上は武帝・劉徹その人から下は盗賊出身の酷吏・義縦まで、さまざまな立場の人々うまく物語に絡めていく構成力が見事。
 霍去病の早すぎる死の真相を描くラストが、無理矢理に話を終わらせようとするようなバタバタした展開のように思えて、そこだけがちょっと不満に感じた。

・諸橋孝一「図書館で考える道徳 〜書き込み被害をめぐって〜」,鳥影社,2001.10
 図書館をよく利用する人なら、借りてきた本に傍線やコメントが書き込まれているのを見つけたことが一度ならずあるだろう。そういう書き込み被害について詳細な調査・分析を行い、さらに書き込みをする人の心理や行動の背景にまで推測を行ったのもの。ありそうでなかなか無かった類の本である。
 著者は図書館関係者ではなく一利用者だとのことだが、よくぞここまでと感心するほど克明な調査が行われている。NDC分類ごと、発行年ごとの被害数や書き込み内容の分析などはもちろん、書き込みに使われた筆記具の種類まで統計をとっている。貸出数が多く人気のある分野の本に必ずしも被害が集中しておらず、宗教、哲学、言語学といった特定分野に書き込みが多いという分析は、自分の経験(書き込みをやった経験じゃないぞ)に照らし合わせても大いに頷けるところである。
 そして調査結果や調査に赴いた図書館での体験をもとに、書き込みやその他図書館での迷惑行為をする人の行動を批判し、さらに一般的な道徳についてまで敷衍していく。この辺りは書き込みに泣かされた図書館員としてはよくぞ言ってくれたというところなのだが、同時に寂しい思いもある。なぜこの調査や批判を行ったのが、図書館員でなかったのだのだろう、と。
 問題を認識していなかったわけではないし、迷惑行為やそれを行う人に対して憤りを感じていないわけでもない。利用者を真正面から批判することにためらいを感じているのだ。…恐いのだとさえ言えるかも知れない。
 結局、批判が正当なものだと思うほどには、利用者は図書館員を信頼しておらず、正当な批判を受けとめてくれると思うほどには、図書館員は利用者を信用していない、のか? 私のひがみでしかないならいいのだが。

・山岸真編「90年代SF傑作選」(上下),ハヤカワ文庫,2002.3
 ラインナップの豪華さといい作品の面白さといい、「傑作選」の名に恥じない。
 90年代のSF作家といえば私などは真っ先に連想する、スティーヴン・バクスター、グレッグ・イーガン、ロバート・J・ソウヤーの作品は当然収録。バクスター「コロンビヤード」はヴェルヌ「月世界旅行」の続編的作品。「タイム・シップ」の著者だから、ということで選ばれたんだろう。ソウヤー「ホームズ、最後の事件再び」も、言うまでもないあの作品のパロディ。二つながら過去の名作を下敷きにした改変歴史ものだという点も「90年代」らしい。
 イーガン「ルミナス」は数学テーマで作者一流の「論理のアクロバット」を…ということだが、私にはいまいち面白さがわからなかった。書評やレビューでは評価が高いので、ちょっと悔しい。
 改変歴史もの、ということなら上の二つも良かったが、ジェイムズ・アラン・ガードナー「人間の血液に蠢く蛇――その実在に関する三つの聴聞会」がもっと気に入った。…新発明の顕微鏡で、聖書に書かれた「血の中にいる蛇」が見えるかどうか、ささいな違いが歴史を変えていく。ダーウィンやマッカーシーがいかにも彼ららしい、しかし私たちの世界とは微妙に違った役割で登場しているのも楽しい読みどころ。
 ナノテクも90年代SFに頻出したテーマだが、この「傑作選」ではナンシー・クレス「ダンシング・オン・エア」がそれにあたる。ナノテクによる身体改変でトップを目指したダンサーとその親の悲劇を描いた物語。ナノテク技術そのものを中心にすえたというより、それを上手く使った作品と言えるんじゃないかと思う。
 他でとくに印象に残っているがディヴィッド・ブリン「存在の系譜」にイアン・マクドナルド「フローティング・ドッグズ」。前者は大じかけなアイディア見事に当たっている堂々のハードSF、後者は一風変わった動物もの…と見せかけておいて実は意外な真実が――。
 その他、テリー・ビッスンあり、ニール・スティーヴンスンあり、マイク・レズニックあり、と一つ一つ挙げていけばキリがない。これだけあれば収録作が全部ハズレだった、という人はまずいないだろう。

・トム・クランシー「大戦勃発」(1〜4),新潮文庫,2002.3,4
 米中の貿易交渉が難航するなか、赤ん坊を救おうとしたカトリックの枢機卿が中国官憲に射殺されるという大事件が発生、中国は国際的に孤立する。おりしも極東シベリアでは世界最大規模の金鉱と油田が発見されていた。経済危機に陥った中国はそれらを狙ってシベリア侵略を強行。ソ連崩壊後、貧弱な武装と練度の低い兵しか配備されていないロシア極東軍では、中国軍を防ぐことはできない。米大統領ジャック・ライアンはかつての敵国に援軍を派遣することを決意する…!
 先に文句の方を挙げておこう。何よりまず中国の描写が噴飯もの…それも噴いた飯が米国本土に届きそうなほど…である。行きすぎた一人っ子政策のため赤ん坊が強制的に安楽死させられている、というのはかなり真実味のある話だからよしとしよう。しかし閣僚が女性秘書に性的奉仕をさせるのが常態だったり、いまだに人民服の着用が強制されているかのような描写がされているのは、いきすぎではないか。それに話には直接関係しない毛沢東の性的嗜好について(事実関係はまあ、ともかくとして)何度となくあげつらわれているのもいただけない。
 このシリーズではテロリストやイスラム国家や日本(笑)といった「アメリカの敵」からの攻撃で、主人公ライアンやアメリカ合衆国が危機に陥る…というのがパターンなのだが、今回アメリカはほとんど危機に陥らない。危機に陥るのはロシアで、アメリカは落ちぶれたかつての敵国を助けて世界平和を守るという、たいへんご立派な立場である。しかもCIAの工作で敵国中国の内部事情はハナから筒抜け、実戦では無人偵察機その他ハイテク兵器の使い放題で一方的に中国軍を叩きのめす。笑いが止まらない展開とはこのことだろう。一応ラストでは中国発の巨大打ち上げ花火が米国本土を襲うのだが、これも危機一髪というよりは、それまで見せ場のなかったライアン大統領に大見得をきる場を作っただけのようなものだし。
 何でこうまでぶーたれつつ読まなきゃならんのかと思いつつ、結局最後まで読みとおしてしまう。インターネットをフル活用した諜報活動やハイテク兵器そのものの描写は、さすがテクノ・スリラーの大御所だけあって面白いし、ライアン大統領らのキャラクターも「レッド・オクトーバー」以来のシリーズのファンにとっては愛着がある。つまり腹の立たない部分では、なかなか楽しめるわけで…。

・塚本青史「呂后」,講談社文庫,2002.3
 前漢帝国の創始者・劉邦の死から「呉楚七国の乱」の終結までを舞台にした連作集。「霍去病」の前日譚にあたる。
 英雄・豪傑・名軍師がひしめく漢楚争覇時期と衛青・かく去病ら天才的名将が華やかな活躍を見せる武帝時代との間の、物語としてはつい通り過ぎてしまいそうな時代。登場人物も、呂后死後のクーデターで活躍する にしろ、呉楚七国の乱を平定する名将・周亜夫にしろ、読む人を圧倒するような強烈な個性をもってはいない。だが「それにもかかわらず」ではなく、「だからこそ」の面白さがこの物語にはある。

・半村良「産霊山秘録」,ハルキ文庫,1999.10
「伝奇小説」の草分け的存在。そのうち読もうと思いつつ後回しにしていたのだが、著者が亡くなったのをきっかけに手をつけることにする。…あんまり契機としてはいいもんじゃないが。
 歴史の裏側で活躍した超能力者「ヒ」一族の年代記。信長時代から関ヶ原までを舞台にした第1部と、江戸から幕末、現代にいたる第2部で構成。
 戦乱のない世界をもとめて時空を「空わたり」する飛稚の悲劇や、一族が能力をもつために犠牲となり続けたヒの女性たち――超能力者の華やかな活躍を描くのではなく、彼らの人間的な悲劇や矛盾をついている点で共感がもてる。

・野尻抱介「ふわふわの泉」,ファミ通文庫,2001.5
  科学部所属の女子高生・泉が偶然発明した、空気より軽く、ダイヤモンドよりも硬い物質――その名も「ふわふわ」。夢の新物質が拓く、さまざまなビジョンのショーケース。
 飛行船に浮遊都市に軌道カタパルトにと、とにかく「ふわふわ」を使った数々のアイディアを楽しむ、それに尽きる。最初からハードSFを期待していれば、間違いなく楽しい作品である。ただ表紙イメージからキャラ立ちやドタバタコメディを期待すると…あてが外れるかもしれない。
 題名は言うまでもなくクラーク「楽園の泉」のパロディ。作中やや唐突にファーストコンタクトが絡むのも、同作品を意識したのかもしれない。

・栗本薫「グイン・サーガ84・劫火」,ハヤカワ文庫,2002.4
 レムスに続いてイシュトヴァーンも魔物憑きになってしまったのは、あまり気に入らない展開ではある。登場人物の行動がどういったものになるとしても「何者かに操られて」というのがあまりに多いと興ざめだ。まあ栗本薫ともあろう人が、そのままで話を進めたりはしないだろうが…。
 今回ラストは、また「アルド・ナリスのピンチ!」で話を引っぱっているが、「疑惑の月蝕」(第77巻)のときのことがあるだけに、素直に次回を期待できなかったりする。

・佐藤大輔「皇国の守護者」(1〜7),中央公論社C・NOVELS,1998.6〜2001.9
 久しぶりに…というより大流行して以来初めてに手にとったシミュレーション戦記もの。「大協約世界」と称する異世界を舞台にしているという点は、このジャンルとしては一風変わっているのだろう。とはいっても<皇国>にしろ<帝国>にしろ、いささか興ざめなほど現実の国家をなぞったものだし、「飛竜」や「剣虎」「導術」といった存在も、既存兵器の代替以上の役割は果たしていない。
 まあ、その辺について凝った世界観を求めるのは筋違いかと思うし、一旦そういうものだと割り切れば、なかなか面白い設定になっていると思う。倒幕ではなく雄藩連合の形で維新を迎えた明治日本を髣髴とさせる<皇国>。そこに<帝国>――ちょうど西ヨーロッパを制覇したロシア帝国のような――が侵攻する。戦力は圧倒的に<帝国>が優勢で、新兵器たる「飛竜」(第一次大戦初期の飛行機と等価)の運用でも一日の長があるが、一方日本…じゃなかった<皇国>にも進歩した兵站思想と、<帝国>がタブー視している<導術>による索敵/通信能力という二つのアドバンテージがある。ただし領内深く攻め込まれた<皇国>では政情不安に陥り、クーデターの危機が高まる。この状況で主人公の<皇国>軍人・新城直衛はその苛烈な指揮能力をもって<帝国>を退けることができるのか…といったところ。
 その新城直衛については、キャラクターとしても面白い描き方をしていると思う。とくに戦場での彼の行動が勇気や知略ではなく、恐怖や臆病さ、弱さを基調としているところは見逃せない。民間人を犠牲にしての撤退作戦や、敵前逃亡した新任士官の処刑といった軍隊の暗黒面が露わになるシーンでは、そういった新城の描き方が一種の救いになっている。
 その他の登場人物については可もあり不可もあり…より細かく言えば男性キャラは可で女性(あるいはそれに準ずる)キャラは不可。とくに<帝国>における新城の好敵手として登場したユーリア辺境姫の5巻以降の使い方は、非常にもったいないものがあると感じる。まだ先の話は長そうなので、これから先の展開に期待しよう。
 ところで、読みはじめのときに先入観としてあった「こわもてヤン・ウェンリーVS女ラインハルト」という「銀英伝」イメージは、意外と早くに解消できたのだが、それでも随所に同作品を意識したと思われる点が少なくない。軍隊の浪漫主義ではすまない暗部を殊更に強調してみせたり、新城に要塞の防衛司令官(笑)をさせてみたり。
 …いろいろ文句は言ってみたが、続巻が出たらまず間違いなく即買いするな、これは。

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