SF名文句・迷文句第23集

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「この生徒について我々が知っているのは、彼がロッテルダムの路上で生き抜いてきたということだけです。聞くところでは、ロッテルダムはこの世の地獄のような場所だそうです。子供達は皆極悪非道で、彼らにかかっては残虐きわまるベルゼブブでさえ、のんきなポリアンナに見えるほどだとか」
「君はいつ『ポリアンナ』を読んだのかね?」
「ポリアンナというのは本だったのですか?」

 出典: オースン・スコット・カード「エンダーズ・シャドウ」(田中一江訳)

紹介 :Pajaro 様
HP :

コメント:
 最新作(やっと図書館から借りて来ました)より、吹き出した台詞を。今度は続きも出るそうで、これで安心して「ゼノサイド」にとりかかれます。
 この人、『ポリアンナ』のことを何だと思ってたんでしょうか?
 うちの弟が高校の時の先生が、生徒に「『ロミオとジュリエット』を読んだことはありますか?」と訊かれて「『ロミオ』は読んだことあるけど『ジュリエット』は読んだことがない」と返事して馬鹿にされたそうですが、それに近いものがあるように思います。
 ところでこの台詞の中で、子供達が残酷なことを例えるのにベルゼブブを使ってますが、これはゴールディングの小説『蝿の王』とひっかけてあるんじゃないかなと思ってるんですが、考えすぎでしょうか?

駄弁者:
 おおかた、名作アニメ劇場だと思っていたんじゃないですか?
 しかし、ブルゼブブがポリアンナに見えるって…。悪魔の「良かった探し」なんぞ、見たくないぞ。
>「ロミオ」と「ジュリエット」
 爆笑。中途半端に見栄を張らなきゃいいのに…。



ああ人民よ永遠なれ。たたえよ社会主義カレー

 出典: 秋山瑞人「鉄コミュニケイション はるかとイーヴァ」

紹介 :Kz78 様
HP :

コメント:
 はじめまして。このページ良いですね。
 さて、手元に本が無いのでうろ覚えですが、これはこちらでも何度か紹介されていた「E・G・コンバット」とおなじ作者の作品から。ロボットと一緒に暮らす人類最後の生き残りの少女のお話です。
 この社会主義カレーは、要するに具をみじん切りにしただけのカレーですが、「均等に具が分配され、肉をめぐる骨肉の争いが過去のものになった」そうです。しかし、一緒に暮らすのはみんなロボットなので結局は一人で2日かかって平らげなくてはならないという…。
 ほんの数行でさらっとながされている描写ですが、ロボットの中に人間が一人という事を思い知らされる場面だと思いました。

駄弁者:
 はじめまして。ありがとうございます。
 秋山瑞人は、とりあえず「猫の地球儀」には泣かされましたが、他は未読。「E.G.」はともかく「鉄コミニュケイション」は、もう新刊で売っているのを見かけませんが…。
>社会主義カレー
 野菜は均等に分配されても、肉はノーメンクラツーラが独占しているような…。そのうち、調理の段階からすべての食材を公開するグラスノスチカレーなども登場するかも知れません。



「ミナミサカエ サンチョーメッテ ドコデスカ?」

 出典: 竹本泉「あおいちゃんパニック!」

紹介 :図書室のねーちゃん 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。その割に「Da・Bench」よりこっちに先に顔出してたり(笑)
 本屋で文庫版の「あおいちゃんパニック!」を見かけてつい……。
 この作品で真っ先に思い出す台詞です。いきなりUFOからこう問いかけられて、比較的落ち着いて答える森村くんって一体……。作品全体のみょーなのんきさが好きでした。

駄弁者:
 はい、お久しぶりです。ご投稿が先でも、掲載は「Da Bench」よりかなり遅れてしまうんで。
 なんというか、地域密着型の宇宙人。しかしまあ、「君たちの星の指導者に会いたい」などとグローバルなことも言われても困るわけですが…。



なあデイバイン 言葉は飾るものじゃなくて かみしめるものだな

 出典: 筒井百々子「たんぽぽクレーター」

紹介 :NAL 様
HP :
http://www3.justnet.ne.jp/~343-45/

コメント:
 月面医療都市・たんぽぽクレーターの院長のセリフ。
 なんか、いい言葉だなとおもいますが、物事がうまくいっている時はこんなこと考えもしないもの、彼は放射線障害によって死の淵にいる、ジョイス君を前に、ある子供の両親の言葉をかみ締めています。
「死なせたくない 1日でも長く生きていてくれ」
個人の力で何もかも解決するのは不可能です、院長さん、あなたはベストを尽くしましたよ。

駄弁者:
 かみしめなきゃならない言葉ほど、苦い味だというのが辛いところです。



真空の月に住むとわかるんです 地球の空がどれだけにぎやかで楽しいか
偏西風 貿易風 ジェット気流 流星 夜光雲 オゾン層 バン・アレン帯 プラズマ帯

地球は 何枚もの薄衣をまとった少女 宇宙線や太陽風にすそをなびかせながら 広がるひだは 磁力線 ひらめくオーロラは 髪飾り 引き裂かれた 空のドレス ブリザードは彼女の悲鳴

 出典: 筒井百々子「たんぽぽクレーター」

紹介 :NAL 様
HP :
http://www3.justnet.ne.jp/~343-45/

コメント:
他のセリフを投稿するつもりで、ついでに再読していたら、詩的なセリフが出てきたので投稿です。
優しげな表現とは裏腹に、地表ではブリザードによって数百万人の凍死者が発生してます。
癒し系のマンガだと思ってたんですが、再読してみると、この部分に限らずけっこう容赦ないなあ。

駄弁者:
 ブリザードで死ぬ人にとってみたら、にぎやかで楽しいどころの話じゃないでしょうが。
 「引き裂かれた 空のドレス ブリザードは彼女の悲鳴」のくだりでイメージ的には少女というよりもっと妖しいものを感じてしまいます。



「準備完了」と彼はきびきびした口調で言うと、シローに向かい、語尾をあげた破裂音ばかりの言葉をあびせかけた。
「はい、さようで」とシローは答えた。「だんなさまの日本語は、ほかの言葉なんかご存じないほど、おみごとなものでございます。(後略)」

 出典: E・E・スミス「スカイラーク3号」(中村能三訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
「破裂音ばかりの言葉」が、おみごとな日本語? 本当かなぁ(笑)。
 作者の日本に対するイメージは、どこから来ているんですかね。
BGM:「思い出のスマハマ」ビーチ・ボーイズ

駄弁者:
 教訓。「使用人のお愛想を真に受けてはならない」
アメリカ人には日本語はこのように聞こえるそうです。
−−−−−
…ぼくがもし、通りすがりの日本人に向かって「ミイ・チイ・ニイ マア・ヨオオオッテ シイ・マア・イイ・マア・シタア」と、なんとか言えたとしよう。その日本人は、きっと「ネイ・ゴウ・ワア・ミー・ヨオ・ナア・マア・ツォイ・ヤア・スカ・ウォウ・マア」と答えるだろう。これは"I see"という意味の日本語だ。
(デイヴ・バリー「デイヴ・バリーの日本を笑う」集英社,1994(東江一紀訳)より。ボールドも訳文通り)
−−−−−
破裂音ないやん。



もう2度と俺を食うんじゃねエ

 出典: 吉冨昭仁「EATMAN VOL.12 ACT_46 BYE BYE BOLT」

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 人外の食生活を誇る主人公ボルト・クランクとは、一心同体寄生体の相棒、自称「テロメア様」のお言葉から。
 EATMAN 第一部レオン編の終了とともにその生涯を全うなされたいい持ち味のキャラクターでした。
 ちなみに本当に美味かったかどうかはボルト氏のコメントがない為、不明です。

駄弁者:
 2回目ですね。ボルトや弾丸だけでなくて、寄生体まで食うんですか、あの兄さん。
 中身は結局読んでいないのですが、なんとなく「男前の日本アパッチ族」と最初に思ってしまったイメージが、自分の中で定着してしまっています。



「おれは帰らない。帰らないぞ」とタウザーはいった。
「おれもだ」ファウラーが答えた。
「帰ったら、おれはまた犬にされてしまう」タウザーが続けた。
「そしておれは、人間にされてしまう」とファウラーはいった。

 出典: クリフォード・D・シマック「都市」(福島正実訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 続いては、温故知新という意味で古典的なSFより。
 上の会話は人間がいなくなる原因のひとつとなった木星探検のエピソードから。

駄弁者:
 人類が宇宙や、そのほかのどこかに去ったあとの地球で、かつて人間に知性化された犬族が、いまはなき「人間」について語る物語…シマックの連作短編「都市」からのご投稿。
 出典は第四話「逃亡者」のラストですね。木星を探査するため、木星観測隊のファウラーたちは体質転移装置で隊員の意識を木星の原住生物ローパーに転移するという方法をとった。だが転移は成功しているにもかかわらず、誰一人として基地に戻ってくる者はいなかった。ついにファウラー自身が、愛犬のタウザーをともなってローパーへの転移を敢行したのだが…。
 あんまり話は憶えてなかったのですが、自分の犬としゃべることができるというのは、魅力でしたね。



第二法則 ──「あることが可能か否かの限界を知る唯一の方法は、その限界を超えて不可能性の領域へ突き進むことである」

 出典: アーサー・C・クラーク「失われた宇宙の旅2001」(伊藤典夫訳)

紹介 :W^2 様
HP :

コメント:
 新世紀あけましておめでとうございます。
 今世紀もよろしくお願いいたします。
 まぁ、多分、来世紀もよろしくお願いするのは無理でしょうから(;^_^A)
 2001年になったから何かそれらしい文句を投稿しよーかなぁと正月2日、妹と映画「2001年宇宙の旅」を見てみたんですが……やっぱ、あれはしんどいですわ(笑)それでお茶をにごす形でこちらから。
 クラークの第一法則と第三法則は、以前から知っていたんですが、第二はここが初見でした。

駄弁者:
 …要するに「やってみなきゃあ、分からない」ってことでしょうか。
 ちなみに残りの2法則は、
第一法則 「著名な、だが年老いた専門家が、何かが出来るというとき、それはおそらく正しい。しかし、何かは不可能だというとき、それは絶対に間違っている」(初出:『未来のプロフィル』)
第三法則 「十分に進歩した科学技術は魔法と区別が付かない」(初出:『未来のプロフィル』)
です(RIKIさんの「晴航雨読」より引用)。第三はとくに有名ですね。



「あたしが行けば、もっとたくさん死ぬよ。ただ……あたしの知ってる………あたしの好きな………人たちや…たまたま同じ国で生まれた…あたしの国の、なんだか愛しい人たちの…その代わりに…この星のあたしの殺すべき人が、代わりに死ぬ。それだけでしょや?――あたしにとってどこが違うんかなぁ? おんなじだべや?」

 出典: 高橋しん「最終兵器彼女」3巻

紹介 :oo 様
HP :

コメント:
 もう誰かが投稿してたかもしれません。
 最終兵器になった女子高生ちせが、恋人の待つ展望台へと向かう。出撃を休んで。自衛隊の人々は、強制的に彼女を連れて行こうとします。その時の、ちせのセリフ。出撃のたびに、何を思ってたくさんの敵を殺してきたのか。チビでドジで純真な少女には重過ぎます。
 ハッピーエンドになればいいな、と思いますけど。

駄弁者:
 2001年最初のご投稿(しかも元旦)は、「最終兵器彼女」より。また、イタい言葉ですが…。
 どうせ誰かが死ぬなら、「愛しい人たち」より知らない誰かの方がまし…とも思いますが、それは自分で手を下さずにすむからこそ言えることなのかも知れません。
 やっぱこのマンガ、私には読むのが辛そうだなあ…。



こんな有様だったからといって、ぼくのこの世紀2000年を、1970年のころにひき較べ、情けながっていたと考えてもらっては困る。ぼくは2000年が決していやではなかったし、蘇生して二週間目に巡ってきた2001年も同様に気に入った。

 出典: ロバート・A・ハインライン「夏への扉」(福島正実訳)

紹介 :鈴木 様
HP :

コメント:
 初めまして。いつも楽しく読ませて戴いております。
 たまたま、本棚から取って読み返したところ、将にいま現在の世界が舞台だったことに気がつきました。こんな風に言える新世紀であればいいなあ、と思いました。

駄弁者:
 初のご投稿を歓迎します。
 年も世紀もあらたまろうとしている今が旬のご投稿。おなじみハインライン「夏への扉」から、「最強の男」ダニイのセリフより。
 さて、ダニイがこっちの世界の2001年も気に入ってくれるかどうか。気に入ってくれるような年になると、いいですね。



「必要ないわ。このあとはずっといっしょにいられるんだし。信じなくたってかまわないのよ。わたしがふたりぶん信じるもの」

 出典: リチャード・マシスン「終わりの日」(安野玲訳) 「20世紀SF2・初めの終わり」に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 天変地異で地球が滅亡する最後の日のこと。無神論者のリチャードは信心深い母親と最後の時間をともにするのに気が進まない。最後に神の慈悲を祈ったりしたくはないし、そのことで母と言い争うのは気が滅入るのだ。
 …だがふたりっきりになったにもかかわらず、母は一向に神の話をもちだそうとしない。たまりかねたリチャードが、なぜ宗教の話をしないのかと尋ねたとき、返ってきたのがこの言葉。
 なんて言うか、母親だなあ。押しつけがましくうっとうしいのに、どうしようもなく温かい。



「市街征服!!」

 出典: 六道神士「エクセル・サーガ<1>」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 このマンガ(少年画報社・YKコミックス)の(多分)ヒロイン、エクセルが所属する秘密組織は、「世界征服」のための「日本征服」、を実現させるための第一歩として、「市街征服」を目指しているのです。
 それにしても、総統イルパラッツォ以下の構成員が、ひとりボケツッコミお騒がせ娘のエクセルと、臨死体験日常茶飯事の病弱娘ハイアット(ハッちゃん)、元野良犬メンチの二人と一匹だけというのは、いくらなんでも少なすぎやしないか「理想推進機関アクロス」?
BGM:「世界征服」10cc

駄弁者:
 …まあ、堅実と言うべきかセコいと言うべきなのか。しかし、上のようなメンバーが計画するとなると、十二分に遠大か。
 ところで、これってどういうSFなんでしょう?ファンページとか覗いてみたんですが、いまいち話が読めない…。



「人知を超えたところに第五の次元がある。宇宙のように広大で、無限に時間を超越した次元。光と影の――科学と迷信の中間地点。そしてまた、人間の恐怖の奈落と知識の頂点とのあいだにあるもの。これはイマジネーションの次元である。私たちはこの領域をこう呼ぶ…トワイライトゾーンと」

 出典: ロッド・サーリング「キング・ナイン号帰還せず」(羽地和世訳) 「ミステリマガジン」’00年8月号に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 ’60年代アメリカの異色のTVシリーズ『トワイライトゾーン』(日本では『未知の世界』『ミステリーゾーン』とも)の特集から、シリーズの生みの親にしてナレーターの、ロッド・サーリングによる脚本より。
 ヒューゴー賞を三年連続受賞したこのシリーズが、日米のSF界に与えた影響は、想像以上のものがあるようです。
 このナレーションは、ジャンルとしてのSFの魅力を、端的に示しているのではないかと。
BGM:「BREAK ON THROUGH(To The Other Side)」ドアーズ

駄弁者:
 結びの「…トワイライトゾーンと」の部分を「…SFと」に読み替えても、じゅうぶん話がつながるなあ…。お見事。
 ロッド・サーリングの他にレイ・ブラッドベリやリチャード・マシスンが脚本を書いた回もあるそうです。



…こんなにうれしいことはない。わかってくれるよね…ララァにはいつでも会いに行けるから…

 出典: 富野由悠季「密会」

紹介 :第8天使 様
HP :

コメント:
 ファーストガンダムからの投稿になります。作品名は、最近発売された小説からとなります。
 このセリフは、両手を広げて帰還を迎えてくれる仲間たち…そのシーンと共に印象に残っています。

駄弁者:
 出典は、角川ミニ文庫で出ているララァとアムロの邂逅を中心に描いた作品。
 ご投稿のセリフ、私は「まだ、僕には帰れるところがあるんだ…」とひと組で覚えていました。
 出典を立ち読みしたんですが、ラストでアムロが脱出するとき、TVではカツ・レツ・キッカの子供3人組の誘導だったところが、ホワイトベースの仲間たちの誘導になっているんですね。こっちの方が物語的にはいいかも。



「触手で歩くのはおもしろいとでもいうのかね? 自分でやってみればいい!」

 出典: エドモンド・ハミルトン「ベムがいっぱい」(南山宏訳) 「20世紀SF1・星ねずみ」に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 もうひとついきます。次は笑える「迷」の方で。
 火星探検隊を迎えたのはパルプSFそのままの、種々雑多な姿をした火星人たちだった。大目玉をもった火星人に、触手の火星人、でかいのもいれば、小さいのもいる。その他青いの黒いの黄色いの……。
 地球人がやってきたと知った火星人たちは探検隊の男たちに詰め寄って、「俺たちがこんな姿になったのはお前らのせいだ」と激怒のようす。さて、火星人がベム型になってしまった理由とは?…って、だいたい予想できる人もいるでしょうが。
 投稿のセリフは当然、8本の触手をもたされたタコ型火星人の怒りのお言葉。たしかにあれは歩きにくそうだ…。



大気圏に突入すれば、おれは燃える隕石になる。
「ひょっとして、誰か見てくれるかもな」

 出典: レイ・ブラッドベリ「万華鏡」(安野玲訳) 「20世紀SF1・星ねずみ」に収録 「刺青の男」にも収録(小笠原豊樹訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 久々に自前投稿です。
 事故で宇宙空間に投げ出された宇宙船の乗員たち。宇宙服を着ているのですぐには死ななかったものの、救助の見込みもない。地球の引力にとらわれて燃え尽きようとするホリスは自分の人生を振り返り、それがいかに空虚だったかを悟る。
 最後に自分が何か意味のあることができるだろうかと、つぶやいてみたセリフがこれ。
 彼の思いは、ほんの少しだけ報われたことになるのかな…。



「まあ、五人から四人を作り、四人を合わせて三人にしてゆけば、四十人からいるんだ。最後の一人になる頃には帰れるだろう」

 出典: 光瀬龍「たそがれに還る」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 宇宙で遭難し、救助されるまで何百年もかかる。と考えた宇宙船船長の解決策。これがさらっと出てきて、しかもなんら良心に恥じる所が無い。と言うのが、光瀬龍の光瀬龍たる所以ですね。
 私としては是非、中学生に読んで欲しいです。

駄弁者:
 「スタートレック・ヴォイジャー」でこれをやったら一回で話が終わってしまうな…。
と書いたら、屋良一さんに「スタートレックの人肌の宇宙と光瀬龍の絶対零度の宇宙を比べるのが間違いですよ」と返されました。
 光瀬龍の方は「百億千億」しか読んだことがないのでなんとも言えないのですが、STを「人肌の宇宙」とは、うまい表現ですね。



「なぜなら、他の者たちはどうせ前進するだろうからだ」と彼はやがて言った。
「自分が置き去りにされたとわかったら、もうあまり満足は感じないだろう。そのとき初めて、自分がどうやって今の場所に到達したのかを思い出すのさ」

 出典: ジェイムズ・P・ホーガン「未来の二つの顔」(山高昭訳)

紹介 :こじましゅういち 様
HP :
http://www.na.rim.or.jp/~majio/home.html

コメント:
現在の技術レベルで十分幸せなのだから、これ以上無理して進まずに、今のままに安住してもいいではないか、なぜ今のままではいけないのか、と問い掛けるローラに対して、主人公のダイアーが答えた台詞。人間、いつでも精進が大切です(笑)。

駄弁者:
 宇宙ステーションを舞台に人工知能コンピュータと人間とのコミニュケーションを描いた「未来の二つの顔」、私はホーガンの作品で2番目に好きです(1番はまあ言うまでもなし)。
 科学に対するスタンスは先にご投稿のあったニーヴン&パーネルと同じものがありますな。…欠点の方も似通っていますが。
 ご投稿の文句は、自分が現在の地点にとどまっていて、他の人が前進したとしたら、それは相対的にみれば後退ということになる、という考え方ですね。よい方に向けば「精進」と「発展」ですが、悪い方に向けば「疑心暗鬼」と「軍拡」になりそうな…。



「煤色です、黒より暗い色です。」

 出典: ジーン・ウルフ「拷問者の影」(岡部宏之訳)

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 若き拷問者セヴェリアンのはにかみながらの自己紹介の締めくくり、服の色について。妙に頭にこびりつくフレーズだ。
 続編の「短い太陽の書」「長き太陽の書」も出てくれないだろうか。

駄弁者:
 惑星ウールスの都市ネッソスで拷問者組合に属する若き徒弟セヴェリアンは、被拷問者である女性の自殺を助けた罪で追放され、辺境へと旅だった…。はじめのストーリーだけ見るとファンタジーそのものですが、SFとしても非常に評価の高い「新しい太陽の書」、その第1巻からのご投稿。「調停者の鉤爪」「警士の剣」「独裁者の城塞」と続くんですが、例によって4冊そろって品切れ重版未定ですね…。
 「新しき太陽の書」は高校の時ぐらいに読んだことがあるはずなんですが、あまりストーリーを覚えていません。しかし、表現とか事物の名前のかっこよさは強く印象に残っています。ご投稿の文句もそうですが、あとセヴェリアンの持つアイテム「調停者の鉤爪」や名剣「テルミヌス・エスト」なども。



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