SF名文句・迷文句第38集

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第37集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第39集を見る


「しかし できるなら
このキズは クローンではなく実際の私の体に
きざみこみたかった…!!」

 出典: 島本和彦「ワンダービット第1話『勲章』」 コミックス1巻に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
ある科学者の館を,十年ぶりに訪れた国際スター。
彼は十年前,命がけの挑戦をくり返して死ぬような目にあってもいいように,自分の魂をクローンに移しかえていた。
 (グレッグ・イーガンなら,クローンと本人,双方の意識の流れをたどった短篇でも書くところでしょうが,本作のクローンには「魂」=「生きる意志」が(脳だか体中の細胞だかに)インプットされていないため,自分では動かないのです)
  そして十年後の現在,もとの体に戻るはずだった彼はしかし,体中のキズのひとつひとつを「生きた証」=「勲章」だと宣言し,これからもクローンの体で生きてゆくことを決意するのだった。
そして,彼が科学者の館を立ち去る時に残したセリフが,今回の名文句です。
 「燃えるマンガ家」島本和彦の,オムニバス短篇集全4巻+長篇1巻のコミックスより。
BGM:「Point of No Return」ケミストリー

駄弁者:
 島本和彦のマンガはちゃんと読んだことはないのですが、友人宅で名言集「炎の言霊」を見せてもらったことがあります。いやー、熱い熱い熱い。
 けどこの文句については、ちょっとつっこんでもいいでしょうか。そういうことを言うなら、なんでクローンに魂を移しかえるようなことをしたのか…と。
 もし事故って死ぬか重傷を負うかしたとき、このスターはクローンの体を捨てて本来の体に戻るつもりだったのではないでしょうか? 結果としてそうならずに済んだからといって、スペアの体に負ったキズを「勲章」として誇るのは、少々ムシがよいようにも感じます。
 あくまで、未読のうえでの感想ですが。

追記 : 上記についての好古さんのコメントによると、件のスターの引け目のようなニュアンスも、今回の名文句には含まれていると思うとのこと。 私もコメントを書くのが性急にすぎたでしょうか。



「……だがすべては夢だったのだ!」
「……その恐ろしい怪物どもは、地球という惑星からやってきたのだ!」
「……その瞬間、太陽は新星と化した!」

 出典: ジョージ・シザーズ「マイクル・マッコーラム『アンタレス突破』解説」(小隅黎訳)

紹介 :NAL 様
HP :
http://www3.justnet.ne.jp/~343-45/

コメント:
アジモフズSF誌の編集者だったジョージ・シザーズが選んだ二度とお目にかかりたくない結末だそうです。
アンタレス突破がこんな終わりからをするんじゃなくて、太陽が新星となる所からはじまるそうで。

駄弁者:
 そりゃ、いくらでもスカな話ができそうですもんね…。
 むしろそういうオチで読者をうならせる作品というのは、すごい名作なのかも。



「天国とは、マルガレーテのいるところなり」

 出典: ロバート・A・ハインライン「ヨブ」

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 このサイトのメイン(?)、ハインライン作品から投稿させていただきます。悪戯好きな神によっていくつものパラレル・ワールドを転々とさせられ、しまいには恋人マルガレーテを奪い取られた牧師、アレックス。しかし彼は心優しい悪魔の助けを借りて、神と対決し、ついに恋人を取りもどす。この台詞は全てが落着し、ある世界で幸福な生活を営む彼がつぶやいたもの。彼女がいないと知ったとたん、天国を捨て地獄に飛び込んでしまった彼らしい台詞です。健気と誉めるべきか恋は盲目というべきか…
 しかし、私にゃこの作品を「あの」ハインラインが書いたとは、いまいち信じられないんですが…(初めて手にとったのが「宇宙の戦士」だったのが偏見の始まりかな?)なぜならこの作品、これでもかこれでもかと彼自身も信じているはずの、キリスト教の「神」をおちょくっているから。やはり作風が変わったのはベトナム戦争の影響なんでしょうか?
 それはそうと、この本が出版された後、ハインラインは教会へ行けたんでしょうか…

駄弁者:
 いや「(?)」じゃなくて、メインはカードなんですけど…(泣)。だれかカードの名文句を!
 「宇宙の戦士」でハインラインのイメージを固定してしまうと、この作品もですが、それ以上にヒッピーの聖典とも呼ばれた「異星の客」はいったい何なんだ、ということになりますよね。「個人の自由」という観点からみれば、あながち矛盾ばかりとも言えないのですが。



「あんた、これだけおちょくられて良く我慢できるな!!悔しくねーのか!?俺は殺したい!!」
「私も出来ることならそうしたい!!しかし王子のご両親であせられるドクラ王、王妃は本当に言い方なのだ!!あのお二人からなぜこのような悪魔が生まれてこなければならなかったのか?!それを思うと、それはもう残念でならないっ」
「泣くほど悔しいなら護衛隊なんかやめちまえーーっ」

 出典: 冨樫義博「レベルE」

紹介 :TOMO 様
HP :

コメント:
 かなり長くなってしまいました。 申し訳ありません。
 王子の策略にはまった地球人と護衛隊員の掛け合いですが、こういった周りもキャラクターのおかげで王子も憎めない奴に見えて、この作品は、本当に面白いと思います

駄弁者:
 絶大な権力と天才的な頭脳を併せ持ち、それをもって悪戯に全力を尽くすバカ=キ=エル・ドグラ王子の話。
 しかし宮仕えの不条理は異星も地球も同じか…。



あいつの場合に限って常に最悪のケースを想定しろ。奴は必ずその少し斜め上をいく。

 出典: 冨樫義博「レベルE」

紹介 :TOMO 様
HP :

コメント:
 頭はずば抜けて良く、性格が最悪なドグラ星の王子を捜索するにあったってその護衛隊長が部下に言った台詞です。この作品を象徴しているようでとても気に入っています。

駄弁者:
 冨樫義博と言えば「幽遊白書」に「HUNTER×HUNTER」(私は前者しか見たことないです)ですが、この作品の評価のもなかなか高いようです。
 ななめ上ってのが…(笑)。



ぼくは振り向かずにいった。「やあ、ヒルダ」
ぼくは岩のようにその場に根を生やした。
それから、振りかえると、わがろくでなしの、有益無害の宇宙旅ガラス商売のすべてで最大の試練を乗りこえることに成功した。
妻にむかって微笑みかけたのである。

 出典: アイザック・アシモフ「ヒルダぬきでマーズポートに」 「アシモフのミステリ世界」に収録 「停滞空間」にも収録

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 銀河連邦警察勤務のマックスは、休暇のときには常に妻ヒルダとマーズポートで落ち合う。だが今回は違った。マックスはヒルダ抜きでマーズポートにいるのだ。
 早速女に渡りを付け、さあこれからだというときに、突如として仕事が舞い込んできた。休暇は取り消し、女にも袖にされ…
 …無事に仕事(ミステリですので当然ここには書けません)を解決し、1万クレジットの小切手を(半ば強引に)手に入れたマックス。それで女の機嫌をとり、さあこれからだというときに、彼を呼ぶのは妻の声。
…哀しい、かな?

駄弁者:
 マーズポートに上陸した3人の有力者のうち、ひとりが宇宙酔い特効薬を改造した麻薬を所持している。マックスは強制的な手段をとることなしに、誰が薬を持っているのかを突き止めなければならない…それも限られた時間で。自分の職をと、めったにない「大人の楽しみ」を守るため、マックスは奮闘する!
 「停滞空間」に載っていたのを読んでみました。アシモフ作品の中で艶笑ネタというのは、ちょっと珍しいんじゃないでしょうか?



宇宙にね、お兄さんの名前の付いた星を持ちたいのさ

 出典: 実相寺昭雄「ウルトラセブン第44話『円盤が来た』」

紹介 :弾超七 様
HP :

コメント:
 初投稿です。ウルトラシリーズでもよさそうなので。。。
 監督、実相寺昭雄が脚本も書いた(川崎高名義)異色作。
 毎日、天体望遠鏡で夜空を眺める青年、フクシンが河原で声を掛けてきた少年に語った言葉。日々の仕事に疲れたフクシン君はこうも言う。
「近頃じゃネオンとかいろんな明るいものが多いだろ、夜遅くならないと星を見ることが出来ないんだよ…。だから、お兄さん、会社じゃ眠くてヘマばかり…」
「星は汚れてなくてきれいだろ、地球なんか人間もウジャウジャいるし、うるさくて…。君も一度、星を見てごらん…」
 河原の少年は実はベロリンガ星人。既に何人もフクシン君のような地球人を「星へ連れていってあげて」いる。 その誘惑もウルトラ警備隊&ウルトラセブンに打ち砕かれ、今日もフクシン君は廃材、廃管、鉄屑だらけのゴミの中を無表情で自転車を走らせ、工場へ向かうのです…。

駄弁者:
 「フクシン彗星」という名前は、たとえ数多い彗星のひとつとしても、どうかと思うんですが…。
 このフクシンがベロリンガ星人の宇宙船を発見したのに、誰もマジメに取り合わないという、「狼がきたぞ」式のエピソード。



カーク「船長だ、記録」
コンピュータ「はい、船長」
カーク「恒星日誌補足、技術主任チャーリーの報告によれば、破損したエンジンは修理によって操作可能になるそうだ」
コンピュータ「みんな、記録しちゃった、あなた」
カーク「…よけいなことをしゃべらないで、記録しろ」
コンピュータ「してるわよ、あなた」

 出典: ジーン・ロッデンベリー制作 D・C・フォンタナ脚本「宇宙大作戦/STARTREK 宇宙暦元年7.21」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もう一つ宇宙大作戦から投稿させてもらいます。別にカーク船長が女好きでこんな声に設定しているわけではありません。(^-^)
 故障したコンピュータの修理を担当した惑星シグネット14は女性が支配する星で、コンピュータにも個性をもつべきだと考えて、こんな声にしたのですが、このコンピュータなかなかに冷酷でして、過去の人間を連れてきて処置に悩むカークに「邪魔者は消したほうがいいわよあなた」なんて言ってます。

駄弁者:
 エピソードそのものは、20世紀にタイムスリップしたエンタープライズご一行様が、攻撃してきた当時のパイロット・クリストファーを捕らえるのだが、未来の事物を知った彼を戻すかどうするか…といった感じの話だったと思います。名文句には関係ありませんが。
 ジェイムズ・ブリッシュのノヴェライズ「明日はきのう」(「謎の精神寄生体」に収録)には、このコンピュータがらみの話は再現されてなかったなあ…。ちょっと残念。
 もっともこの女性コンピュータネタは受けが良かったのか、M・S・マードック作のオリジナル小説「ロムランの罠」でも登場してました。カークが艦を危機から救うために、まずコンピュータを口説いてその気にさせないとならないという…。



宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である。
そこには、人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない。
これは、人類最初の試みとして、5年間の調査飛行に飛び立った宇宙船USSエンタープライズ号の驚異に満ちた物語である。

 出典: ジーン・ロッデンベリー制作「宇宙大作戦/STARTREK」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 SFTVドラマの大看板、宇宙大作戦ことのオープニングの台詞を投稿させてもらいます。
文句もかっこいいんですが、なんと言ってもナレーター・若山弦蔵氏の声がかっこいい!!
 是非とも聴いて欲しい名台詞です。

駄弁者:
 STファンとしては「待ってました!」というところ。第1集の一番最初で「譲ります」と書いたのに、一向にご投稿がなかったんですよ…。
 私も中学生時分にこの訳で憶えました。原文の「Space, the final frontier …(中略)… No man has gone before.」もいいんですが。



「電池(バッテリー)をあげるわバード」

 出典: 柴田昌弘「紅い牙 ブルー・ソネット」

紹介 :綾小路綾 様
HP :

コメント:
 はじめまして。
 リンクで辿りつきまして、楽しませて頂いてます!
 色んなSF物があるので、もしかしてこれもあるかなー…?と拝見してたんですがないようなんで、思わず投稿してしまいました。昔の少女マンガで、多分SFだと思うのですが(汗)大丈夫かやや不安です。少女マンガ畑で育った私にとっては、これでも十分濃いSFと映ったものです。
 「紅い牙」という狼に育てられた超能力少女ランが主人公のシリーズ物の一つで、一番の長編だと思います。OVAにもなったかな?ランは自分を生み出した世界を裏で操る(?)組織と闘うわけですが、「ブルー・ソネット」では彼女に対してその組織の一員であるソネットという少女が登場します。彼女も超能力を持っていて、そのうえサイボーグです。で、今回上げさせて頂いたのは彼女の最後(と思う)の台詞の一つです。組織の手でサイボーグ(試作品)となったランの恋人である(だから、組織とは敵対している)バードという人にソネットは恋愛感情を抱いていくのですが、バードは試作品で組織とも敵対しているのでエネルギー供給も断切られ、身体に寿命がきてるんです。それで、ソネットは自分達のエネルギーの源である部分を取り出して…… という場面です。ベタなんですが(汗)とてもダイレクトな愛情表現で、何度も読み返してはジーンときたり…してます(苦笑)
 フキだしの一つだったんで、前後のことを書いておいたほうがいいかな?と思ったんですが、こんな説明でいいのか(かなりなネタバレですし(汗))すみません。よかったら、よろしくお願いします。

駄弁者:
 はじめまして。丁寧な解説をありがとうございます。
 初出が1975年というから、結構懐かしの部類に入る作品でしょうか。
 狼少女にESP、サイボーグ、超古代までテーマに含めたかなり大部なシリーズのようです。



さあ今 銀河の向こうに 飛んでいけ

 出典: 上條恒彦+六文銭(作詞:及川恒平、作曲:小室等)「出発(たびだち)の歌 ──失われた時を求めて──」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
初めまして。
 1971年にヒットした曲です。月の石で盛り上がった大阪万博の翌年。この頃、宇宙は今よりもずっとずっと身近な存在でした。
 もちろん、この歌はSFです。

駄弁者:
 はじめまして。歌詞から名文句が出るのは初めてです。
 当時と現在で、月に人間が足を踏み入れた回数が同じだとは、当時の人たちは思っても見なかったんじゃないでしょうか。
>月の石
 万博には行ってませんが、月の石は何かのイベントで触った記憶があるような…?



「何があったの、地震!?」
「だとしたら、世紀の大発見だな」

 出典: 庄司卓「ゲットレディ!(それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ1巻)」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
 出典が手元にないので、うろ覚えですが……
 宇宙船の中ですからねぇ(^^;(^^;

駄弁者:
 …まあ、「宙震」とか「時空の歪み」とか言ってみても、意味をなしてないことでは大して変わりはないことですし。
 それにしても、このシリーズも意外と息が長い。本編・外伝それぞれ10冊ずつもあるとは。



予知能力などいらない
未来を変える勇気があれば充分だ

 出典: コナミ制作「メタルギアソリッド」

紹介 :おおた 様
HP :

コメント:
 初投稿です。こういうのに投稿すること自体初めてなので、なにか失礼があったらご容赦下さい。
 この台詞ですが、PSゲームのメタルギアソリッドからで、超能力を使うサイコ・マンティスが主人公のスネークに敗れ、「俺に予知能力はなかった」との台詞に返した言葉です。

駄弁者:
 初のご投稿、歓迎です。
 ソリッド・スネークはこう言っていますが、未来を変える勇気があるなら、予知というのは非常に役に立つ能力なんじゃないでしょうか(屁理屈です。私は「勇気だけあれば」式の言葉にはどうも反発してしまうたちで)。
 ところで、このゲームの原型が昔MSXパソコンで出ていた「メタルギア」だったことを憶えている人は、いまやどれだけいるんだろう。敵基地に侵入するというシリアスなゲームなのに、ダンボール箱に隠れて敵の目を欺けるという遊び心がナイスでした。



俺の知る限り時を無理なく往来できるのは仏質だけだ
全ての魂にゃ冬もあれば春も来る!
夢を食いながら進むが良かろう!!

 出典: 士朗正宗「仙術超攻殻ORION」

紹介 :野分 様
HP :
http://.debilotte.net

コメント:
 言葉遊びが面白かったORIONから,私の好きな言葉を引用しました.
 夢をドンキーエンジンに供給して,少しでも前に進んでいきたいですね.
 #わが春はいずこ……?

駄弁者:
 未読ですが、「漢字のイマジネーションを発揮した作品」との評もありますし、「仏質」というのはちょっと面白いかな、と思います。
 けど、後半意味不明なんですが…。
追伸。ええと、「はじめまして、でしょうか」などと返信に書いてしまいましたが、以前「砂ぼうず」でご投稿をいただいてましたね。失礼しました。



スポンサーから一言。
紹介 :Kei 様 → 第37集


「ロボットはロボットらしく、ロボットの誇りをもって生きるんだ!」

 出典: 石ノ森章太郎「ロボット刑事」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 (昔、愛蔵版で読んだきりなもので、細部は違っているかもしれません。文庫版が見つからなくて…)
ロボットの刑事、Kは、人間のようになりたいと思っていました。Kは詩を書きます。美しい女性を見ると胸がときめきます。自分の推理がはずれたときにはくじけもします。しかし周りの人間はそんな彼を忌み嫌います。
 コンビを組む芝刑事はもとより、普段彼に好意的に接しているその娘たちも、ただその一線が普通の人よりほんの少し後ろに下がっているだけなのです。Kの好意が姉に向けられていることに気づいた妹は、Kに辛辣な言葉を浴びせるのでした。人間には、すぐれている部分もあるが、弱い部分もまた多いことに彼は気づきます。
 そしてKは人間に近づくことをやめました。彼はそれまで着ていた衣服を脱ぎ去り、体の各部からミサイルを射出して戦います。それはそれまでとは(それまでは例の流線型の銃のみ)比べものにならない圧倒的な力でした。
 同じ作者のあるロボットは、人間の持つ悪い心を手に入れ、完全な人間の心を持ちました。将来にわたって善悪の葛藤に苦しむという代償を伴って。Kの選んだ道にはどのような苦難が待ち受けているのでしょうか、そのとば口すら描かれることなく、連載はいきなり終了してしまいましたが。
 ところで、「例の流線型の銃」といって、若い方はシルエットが思い浮かぶでしょうか?

駄弁者:
 この作品にしても「仮面ライダー」にしても、石ノ森作品の原作マンガには、TV版にはない重みのある悲哀がつきまといますね。いまだったら原作に忠実な映像化をしてもうけるかも。



「汁気・木隠・ハッセケ・カスセケ
くめウトウトウト湿原が発言。これは味噌汁。姑息遅く囲炉裏切る。カレーライスはわからない。ハッセケ・ハムテル・ヒリノセ・ゲーゲー。ケベセ。クメモケベセ。上場。」
…(中略)…
「な、何のことかさっぱりわからん…」
彼は、何となくカレーライスが食べたくなっている自分に気づいた。

 出典: 田中啓文「銀河を駆ける呪詛 あるいは味噌汁とカレーライスについて」 「銀河帝国の弘法も筆の誤り」に収録

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 またもや、「銀河を駆ける呪詛」から。<人食い>の襲来に対し、<人類圏>最高会議は迎撃指令を出した。が、各惑星をリレーしていくうちに、内容はだんだん捻じ曲がり…被害にあったヘタレマキ星に到達したときには上のようになっており…それを読んだその土地の代官はこう叫びましたとさ。それにしても、国会中継などを見ていると、似たようなことが現実にも起こりそうで、なんだか怖いです…
ちなみに、原文はこちら。
「<人類圏>最高会議より各星系国家主席へ
<人食い>のホウマツト星系への出現が確認された。これは人類未曾有の危機である。光速を超えて移動できる彼らはいつそちらに襲来するかわからない。各星系は持てる限りの戦力を投入し、迎撃体制を取れ。殲滅せよ。<人食い>どもを殲滅せよ。以上。」

駄弁者:
 で、そのすごいアイディアを実際に運用した結果がコレなわけですね。原文と照らし合わせてみるとちゃんと(ちゃんと?)対応しているあたりが良。
>国会中継などを見ていると
 あれは原文のところですでに意味不明瞭です。



「相手先が見つかりませんっ」

 出典: 田中啓文「銀河を駆ける呪詛 あるいは味噌汁とカレーライスについて」 「銀河帝国の弘法も筆の誤り」に収録

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 3139年、<人類圏>に人間を食う凶悪(と地球人は思っていた)宇宙人<人食い>が来襲した。迎え撃つ<人類圏>宇宙軍は圧倒的な力を持つ敵に対抗すべく、究極の呪詛を行った。しかし、呪いをかける相手(<人食い>)の本名を知らなかったために呪詛は失敗し…上の台詞とともに、そっくりそのまま宇宙軍に帰ってきたのでした。悲惨…
追記、この短編、落ちがとんでもない洒落になっています。あまりにもしょーも無いため、あえて言いませんが…

駄弁者:
 あのしょーもないダジャレを出すために、ここまで話を作ったのか…と、ある意味恐ろしさを感じてしまった作品でした。しかし、呪いを通信手段にするというアイディアはすごかった。



「文句があるなら霞ヶ関までいらっしゃいッ!」

 出典: 小川一水「こちら郵政省特配課」

紹介 :チャティ 様
HP :

コメント:
 民間の配送会社に押され気味の郵政省が苦肉の策として始めた、郵政省特配課。運ぶものが何であれ、ありとあらゆるもの手段(権力含む)を使って迅速且つ低コストにて配達する、そこで働く個性的な人々の物語。SFか?と問われれば返答に困る作品なのですが、中にはプルトニウムも出てくる話もあるのでそのへんは大目に見ていただきたいです。セリフはヒロインが異議を申し立てた民間業者を一掃したもの(確か)。誤解を招きそうなセリフですが決して官憲横暴な物語ではないんでぜひ一度ご照覧あれ。

駄弁者:
 地方のしがない図書館員だと、とてもこんなことは言えません。やっぱ国家公務員は言うことが違う(コラ)。
>大目に
 うーん。核廃棄物を宇宙に打ち上げるぐらいでは、今日びSFというにはちとツラいのでは?
 最近ちょっと敷居を高くしたほうがいいのかも…と考えてたんですが、とりあえずチャティさんのご投稿は前に掲示板の方にいただいたのを載せなかったことがありますので、いつもどおりの「まあいいか」。



「そうじゃない。彼らは…彼らは自分自身を推進剤に転換したんだ」
「え…?」
「百五十億トンの質量だ。それを片っ端から核融合の炎にくべたんだ」
「そんな」
「船殻を、隔壁を、食料を。そして…」

 出典: 野尻抱介「太陽の簒奪者2 蒼白の黒体輻射」 SFマガジン2000年2月号に収録

紹介 :のほほん大佐 様
HP :

コメント:
 「太陽の簒奪者」発刊記念です(投稿時まだ未発売)。
 ストーリーその他は4/23発売のハヤカワJコレクションの同タイトルを参照の事、ファーストコンタクト物の佳作です、特に接近する異星人の宇宙船に対する地球側の不安、疑念、希望等が上手く話を引張っていてグーです、投稿文句はそうした地球側の迷いを最も端的に表していると思います。

駄弁者:
 結局、掲載は単行本の刊行後になってしまいました。
 地球側の通信に一切応えることなく太陽系に進入してきた異星船。減速のための推進剤が足りず、太陽系を通過するかと思われたその船がとった、思いがけない行動とは…。
 地球側の迷いを表しているというよりは、異星船の謎が深まるシーンというところかと思います。



地球か、何もかもみな懐かしい。

 出典: 松本零士原作・西崎義展企画/総指揮「宇宙戦艦ヤマト」

紹介 :Kenji 様
HP :

コメント:
 ガンダムがあって、スタートレックがあって、スターウォーズもあるのになぜヤマトが無い!と思って投稿しました。たしかに矛盾だらけの設定だし、製作者の都合で死んだはずの人すら蘇るご都合主義が雨あられのストーリーですが、それでも日本のSFの金字塔である(と信じたい)
 気を取り直して、セリフはこのHPを見ている人なら説明不要でしょう。苦難に満ちた任務をやり遂げ、だれにも看取られずに(一応ここでは)死んでいく。うーんまさに漢だね。
これと次の「さらば宇宙戦艦ヤマト」で素直に終っておけばよかったのに。なにが「誤診だった」だバカモノ。

駄弁者:
 言われてみれば、これが初登場の「宇宙戦艦ヤマト」。私も好きでした。ちゃんとシリーズ全話みたアニメってこれぐらいじゃなかろうか。初登場を記念して久々使用のサイズ7フォント。
 敵の必殺の一撃を「そんなこともあろうかと」の一言ではねかえそうとも、用途不明の第三艦橋が何度破壊されても次の週にはしっかり直っていようとも、SFアニメの金字塔でしょう、たぶん。
 映画「完結編」ではこのセリフを遺して亡くなったはずの沖田艦長を、「誤診だった」と再登場させるという力技(?)をやってのけました。私もべつに古代艦長でよかったのに思うんですけどねえ。
 ヤマト艦医の佐渡先生は「頭を丸めてお詫びせんと」なんて言ってましたが、それだけで済むと思ってるのか、この人は。



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