SF名文句・迷文句第41集

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かわった所はずいぶんかわった。…(中略)…――しかし、かわらない所はかわらなかった。

 出典: 小松左京「果しなき流れの果に」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 中略の間に造られたものが、第二大阪空港、コンバータープレーン、モノレール、エアカー専用ハイウェイ、大水耕農場、原子力発電所。そしてこの中略の間に、若い娘がお婆さんになります。
 さりげない文章なのですが、時の流れの本質を端的に言い表していると思います。
 小松左京、一九六五年の作。それから四十年近く経ちました。変わった所は随分変わりましたが、変わらない所は変わりません。

駄弁者:
 この作品で、変わると思われていたのが実際には変わらなかったり、変わらないだろうとされていたものが変わってしまったりもしてますよね。
 それでもこの作品が名作だということは、変わってないようです。数年前に読んだ私も圧倒されました。



「それでもかわいい!!買う!!」

 出典: 椎名高志「電化製品(アンドロイド)に乾杯!」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 アンドロイドが電化製品として(高価ではあるが)日米貿易摩擦を招くほど一般的な商品となった近未来(たぶん)。  物心ついて以来のおこづかいとバイトはもちろん昼メシ代までうかせて血の小便が出るような思いで貯めた軍資金を持って女の子の代用品(としてのアンドロイド)を買い求めに日本一の電器屋街に来たモテない貧乏学生は、小さな工場が試験的に作った本当の安物で性能なんか全然良くなくていつもヘマばかりのために”安物売れ残り無能不良品”と罵られる一台の少女型アンドロイド「ミソッカス」に出会います。彼女の唯一のセールスポイントは、小さな工場の技術者たちの真心で出来た”一生懸命”のプログラムだけでした。けれど、その一生懸命ないじらしさが貧乏学生の心を捉えたのです。自分を売り込みたい他のアンドロイドが、ミソッカスの顔面パーツを剥ぎ取って金属パーツやらコードやら眼球やらが蠢く顔の中身を貧乏学生に見せて翻心を誘いますが、彼の心は動きません。そのグロテスクで無慈悲な現実を目の当たりにしてなお、貧乏学生は上の台詞を叫んでミソッカスを選んだのでした。
 その後、保証期限切れと同時にミソッカスは動かなくなるのですが、別れの最後の瞬間まで貧乏学生は「幸せだった!」と言い、彼女を送ったのです。
 …ところで、”ドジだけど健気で一生懸命なアンドロイド”ときいて「なんだ、(某ギャルゲーの)マ○チのパチもんやね」と思った人、逆です、逆!こっちの方が(圧倒的に)先です!

駄弁者:
 まあ、今だったら「ちょびっツ」のパチもん、と思われるかもしれませんが。
 しかし、探せば同工異曲は他にもみつかりそうですし、どっちが先というのはあまり意味がないかもしれませんね。
 それらの中でこの作品が意味をもってくるとすれば、たぶん「ミソッカス」が最後に動かなくなるところまで描いているところが、ポイントになるんじゃないかと思います。
>顔面パーツを剥ぎ取って金属パーツやらコードやら眼球やらが蠢く顔の中身を〜
 うわ、エグ…。「一生懸命」プログラムより、ある意味「人格」というものをリアルに再現しているかも知れませんが…。



「なにが、まったくだ、だよ。生き物をいじめてる機械のラジェンドラと、かよわい生き物のおれと、どっちの味方だ」
「おれは弱い者の味方だ。おれがいちばんかよわい」

 出典: 神林長平「敵は海賊・海賊達の憂鬱」

紹介 :新崎みこと 様
HP :
http://www02.u-page.so-net.ne.jp/xa2/mubou/

コメント:
海賊課のアプロとラテル、いつも通りの会話。
ラテルがかよわいかどうかもやや疑問ですが…。

駄弁者:
 他人の精神まで食らう猫型異星人や、情報戦巡洋艦と比べたら、たしかに地球人の刑事程度はかよわいのかも…。



この銀河の全恒星がもしすべて同時に超新星になってしまったとしたら。
そうしたら、ふたりで心配を始めようじゃないか。

 出典: アイザック・アシモフ「死刑宣告」(冬川亘訳)  「母なる地球」に収録

紹介 :新崎みこと 様
HP :
http://www02.u-page.so-net.ne.jp/xa2/mubou/

コメント:
 巨匠から。アシモフは、続きものもいいですが、SFならではのアイディアや設定で読ませる短編集にお気に入りが多いです。
 台詞は、相手の取り越し苦労(に思える)言葉に対する、強烈な皮肉。

駄弁者:
 仕事でも「明日できることは、今日するな」といいますしね(んなこと言ってるから今週も仕事が溜まってる)。
 ご投稿は初期短篇集からですね。短篇で地歩を築いた人だけあって、半世紀以上たってる今でも面白い作品が多く見つけられます。
 このセリフとは正反対に、数万年後のカタストロフィを恐れて、文字通り星を挙げて大脱出を図る異星人ってのもいましたねえ…。アシモフじゃなくてニーヴンでしたけど。



察するに、ぼくは骨の髄まで殺し屋であるらしい。
でも、ぼくは、死ぬよりは、どっちかといえば、生きてる方がいいよ。

 出典: オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」(野口幸夫訳)

紹介 :新崎みこと 様
HP :
http://www02.u-page.so-net.ne.jp/xa2/mubou/

コメント:
 最近になってようやくエンダーを読みました。
 何というか、今までの経験から考えると、まだこれから何冊も未読のカード作品があるというのは、後から見ると非常に幸運なことなんじゃないかと思います。
 取り敢えずは「死者の代弁者」か「エンダーズシャドウ」を探すつもりです。

駄弁者:
 すべてが終わった「最終試験」の後。自失していたエンダーは、近づいてきた気配に本能的に攻撃をしかけようとし、危ういところでそれが親友だったことを知る。  ご投稿のセリフは少しの自嘲と大きな安堵がこめられた言葉だったと思います。
>まだこれから何冊も未読のカード作品があるというのは…
 まったくです、うらやましいかぎり。全部読んでしまった後は、今年は新作出そうにないしなあ…。



しかし、まだいたいけな年齢で、子供室から一人でさまよい出て……しまいにまったくそこに戻らなくなる子供がいることに、時々、司書が気づく。そのような子供はしまいに、どこか低くて薄暗い書棚に『黄金の書』を見つける。おまえはこの本を決して見たことはないし、これから見ることも決してないだろう。それに出逢う年齢を過ぎているから。

 出典: ジーン・ウルフ「拷問者の影(「新しい太陽の書」第1巻)」(岡部宏行訳)

紹介 :abaia 様
HP :
http://ultan.net/

コメント:
 図書館ネタということで、ウルフの「新しい太陽の書」シリーズ冒頭、主人公のセヴェリアンが図書館司書のウルタン師を訪れる部分を引用します(たぶんこの部分は未投稿だと思います)。  この<図書館>は、物語の時代からはるか昔の<最初の帝国>の時代のあらゆる知識を保存するために造られたものです。この『黄金の書』の部分は、ウルフ自身の『黄金の書』であるヴァンスの "The Dying Earth" へのオマージュであると同時に、このシリーズを書いた動機でもあるようです。
 他にも引用ネタ満載のシリーズなのですが、なにぶん絶版状態なので、未読の方に勧めても入手困難なようで残念です。

駄弁者:
 もう読んだのはかなり昔です。かなり話も忘れてしまっていたのですが、貴HPを見せていただいて、ああそうだったそうだった、と思い返すことしきりです。
>黄金の書
 子供の頃にしか出会えない本、というのは確かにありますね。そういったものをたとえ大人になってから読んでも、絶対子供の頃と同じ感じ方はできないという…。



「意義があって存在しているものばかりとは、限りませんよ。石ころとか、道ばたの草とか、わたしとか、それに、あなたとか……」

 出典: 星新一「出現したやつ」  「ご依頼の件」に収録

紹介 :ナツト 様
HP :

コメント:
 なんと言うか、、、苦笑するしかないですね。
 でも、まぁ『自分の存在意義』について考え悩み苦しむよりも、最初から「そんなものは無い!」と言い切れる人間の方が幸せかも。
「存在意義が無いなら死ね」とか言われたら「死ぬ意義も無い!」って返そう(笑)

駄弁者:
 突如出現した、ピエロ姿の男。化けて出た幽霊か、それとも異星人か…? 問いただした答えはすべてノー。じゃあ一体なんでお前はここにいるんだ、というのに答えた言葉が、このセリフ。
 問題なのは男がなぜ存在しているのかじゃなくて、どうやって何の前触れもなくここに現れたのかなのではないか、と思うのですが、いつのまにかその辺がうまくすりかえられています。それに違和感を感じないのも「すべての存在には意義がある」という思い込みのゆえなのかも知れないですが。



これをあわれというのは、いう奴の方がおかしいのだ。物質的にだけ充足し、せいたくするのだけを目的にしている連中には、この真の価値は永久に判るまい。人間の幸福というものが、そんなものできまるわけがないのだ。(…中略…)そして、彼は今それ(=幸福)をつかんでいた。その絶頂にあった。
 彼はレーザーガンを床に置くと、もう一度きつくユカリを抱きしめて、接吻をした。
 最後の接吻だった。それで彼は、本望であった。

 出典: 眉村卓「わがセクソイド」

紹介 :大邦 将猛 様
HP :

コメント:
 ネタばれでもなんでも、筋を解説しないとこのかれの独白とその後の文章の響きが伝わらないと思うので、書かせて下さい。どこかが復刊してくれれば…。
 筋書きと上の情景のシチュエーションは以下の通り。
 未来の社会でソープランドならぬセクソイドセンターというアンドロイドが相手をする風俗が存在した。そんなところに絶対行きそうもない堅物の主人公は友人たちにそそのかされて、引っ込みつかなくなって一度いってみると1体のアンドロイド(=ユカリ)にはまってしまう。
 ずっと通い続けているうちにアンドロイドの性格改造処理がユカリに施されてしまうことを知った主人公は絶えられずユカリをセクソイドセンターから奪いだす犯罪を決行。しばらく幸せに家庭をもってくらすが、居場所がばれて止む得ず人を殺してしまう。
 上のシーンはいよいよ追いつめられて、死を覚悟する直前の独白。
――書いててあらすじはむちゃくちゃだなと思うのだけど。忘れられないアンドロイドものです。このすぐ後のラストシーンもすごいとおもいました(誰かが書いていたエドマンドクーパーのアンドロイドも好きでした。)。
 この「セクソイド」もそうですが、機械が意志をもつのはSFの真骨頂。愛であれ、叛乱であれ、SFにしか許されていない人のこころを動かすドラマだと思います。そういう意味ではPlease make me a real boy.もいいです。(映画の題名わすれました。原作はバラードの「スーパートイズ」)

駄弁者:
 これは未読です。眉村卓の作品は「司政官」シリーズや「不定期エスパー」などを好んで読みました。これらの主人公、どうも自分の言動に対して一人ツッコミを繰り返すのが趣味らしく、なかなか派手な活躍してなかったのですが…。この作品のような破滅型の主人公も書いていたんですねえ。



まだすっかり眠りには落ちていないらしく、ふしぎな、喜悦に満ちた思念が、心の底から湧きあがってきた。なんとすばらしいことだろう。やっとさがしあてたスランが、こんなに目のさめるような美人だなんて。
 そしてこんなに男らしい青年だなんて。
いまの思考は自分のだろうか、彼女のだろうか?――ぼんやりとかれはいぶかった。
 わたしのよ。ジョミー。

 出典: A・E・ヴァン・ヴォクト「スラン」(浅倉久志訳)

紹介 :大邦 将猛 様
HP :

コメント:
 人間に迫害されるミュータント=スランの少年、ジョミー・クロスのお話。
 この小説いきなり迫害の手が伸びる逃亡シーンからはじまり、すごく引き込まれました。逃亡を重ねて人間達と戦う準備を整えつつある少年ジョミーはついに純スランの少女をみつけ、彼女が美しいという思念を持ちます。
 精神感応で分かり合える2人は即座に思念で会話してしまう。すごくSFらしいラブシーンだなと記憶にのこっています。

駄弁者:
 えーい、言葉で話そうと精神感応だろうと、やってることはただのバカップルだろーがー。
 ま、しかし、恋愛が精神感応でできてしまったら、実際にはラブシーンの醍醐味がかなり薄れてしまうようにも思えます。誤解もすれ違いもあり得ないとなると…。
 この主人公のジョミー、絶対下の「地球へ…」のジョミー・マーキス・シンの元ネタですよね…。超能力者が迫害されているという設定も、同じところから?



彼に着いてきて良かったのだ。――満足だ

 出典: 竹宮恵子「地球(テラ)へ…」

紹介 :大邦 将猛 様
HP :

コメント:
 地球のSD体制のメンバーズエリートのキースアニアンの部下、ミュウのマツカが冷徹なキース・アニアンの心の内に友人の死を悼むこころを読みとって漏らす感慨。マツカはこの後すぐ死ぬ。
 この漫画はガンダムより前だったと思うんですが、ガンダムみたいに敵にも魅力ある話で、とても引き込まれました。

駄弁者:
 完全な人工出産で管理されたSD(スペリオル・ドミネーション)体制下で、なぜか発生する超能力をもった種族<ミュウ>。SD体制はミュウの全滅をはかるが、地下に潜んで力をつけた彼らは、やがて長となった少年・ジョミーの下、地球への旅路に就く。対ミュウの先鋒となるエリート・キースは脱走したミュウ・ジョナ・マツカと出会う。敵を研究するためマツカを保護したキースだが、いつしか無意識のうちに彼に心を読ませるまでに、気を許していたのだった。
 漫画版でもアニメでもキースは好きなキャラクターでした。
 ジョナ・マツカは、漫画版ではキースに化け物呼ばわりされたり実験台に使われたりと、かなり厳しい関係ですが、それだけにご投稿のセリフには重みがあると思います。



十三重の関係代名詞が入り組んだ…

 出典: 山田正紀「神狩り」

紹介 :大邦 将猛 様
HP :

コメント:
 宝石泥棒は何度も出ていたのですが、神狩りが無かったので買いてしまいました。
 山田正紀さんのSF小説は最初の頃はどれもこれもとても慎重に格調高く書かれていたと思います。時代が下ってエイダなんかはちょっとはちゃめちゃになってしまっているような…。
 あんなのも面白いですけど、神狩りを最初にあんな風に書いた人だからこそ根強いファンがいるんだと思います。謀殺のチェスゲームとか弥勒戦争などもよかったです。
 ミステリオペラ…読まなぁ、いかんなぁ。

駄弁者:
 2、3重でも苦戦させられた関係代名詞を13も重ねるとは、悪魔の所業に違いない!
 …過去の悪夢はさておいて、作品の方は。
 「人間のものではありえない」古代言語の研究に携わっていた情報工学者島津圭助は、遺跡の落盤事故を起こした責任を問われ大学を追われる。失意の彼に接触してきたのは「古代言語」の解読を図る謎の組織。研究を進めるうち、島津は古代言語は人間をはるかに越えた存在――<神>のものだと知る。古代言語をちらつかせ人類をもてあそび、嘲る<神>、その存在を暴こうとする闘いに彼は巻き込まれていく。
 …ちょっとサボって「読後駄弁」のをまるごとコピペ。私は最初に読んだのが「エイダ」でその後「宝石泥棒」、そして「神狩り」と出版順とは逆に読みました。この「神狩り」はどうやっても敵いそうもない相手 を「狩る」という必死さが良かったですね。
 確か今年になって「神狩り2・リッパー」が発表されたんでしたね。もうお読みになりましたか?



なぜか知らないが妻の研究が完成すると 天気予報に関係なく雷雲がたちこめるのだ

 出典: あろひろし「若奥さまのア・ブ・ナ・イ趣味」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 若奥さまの名前は美依加。そして旦那さまの名前は正義。ごく普通の二人はごく普通の恋をしごく普通の結婚をしました。でもただ一つ違っていたのは、若奥さまは趣味でマッドサイエンティストをやっていたのです(中村正風に)。
 まあ、それはともかく。
 研究の完成は稲光の中で。最近はどうか知りませんが確かにありがちといえばありがちな光景かも。でも、これって元祖は誰なんでしょう。やっぱりフランケンシュタイン博士辺りなのでしょうか。映画とか見たこと無いんですけどイメージ的に。
 本当は違う文句を投稿するつもりでしたが、19集にすでにありましたので、こちらの文句を投稿いたしました。まさか本当にあろ先生があっちの世界にいってしまわれようとは、あのときには夢にも…

駄弁者:
 元祖はフランケンシュタインなんでしょう、やっぱり。
 けどフランケンの場合はモンスターに命を与えるのに雷のエネルギーが必要だった、という設定があった(…んじゃなかったかな?うろ覚えですが)。
>ごく普通の二人はごく普通の恋を〜
 すいません、そのネタ第19集のコメントでもう使ってます。



マッコイ「私は医者だ!石屋ではない!」

 出典: 「宇宙大作戦『地底怪獣ホルタ』」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 惑星ジェイナスの原住生物ホルタは珪素生命体でした。カークから、傷ついたホルタを治療しろと命じられたマッコイが、その身体を診察した直後に叫んだ台詞です。まだ惑星連邦自身が駆け出しの時代で異星人に関する医療知識の蓄積も少なかった頃ですから、ドクターもさぞかし困ったことでしょう。
 ちなみに、これはTVの吹替版での訳です。原語では”石屋”にあたる部分は”bricklayer”で、ハヤカワの小説版「暗闇の悪魔」(斎藤伯好訳)ではこれに忠実に”レンガ職人”と訳されてます。吹替版の方がちょっとシャレてますが、マッコイのとった治療法が”熱コンクリートをコテで傷口に塗る”というまんまレンガ積みの手法でしたから、ジョークとしては原語のままの方がオチてますね。
 ところで、「私は医者だ!○○ではない!」はマッコイの口癖でしたが、その後のスタートレックのシリーズの中でもベシアやEMHといったレギュラードクターがこれを真似るシーンが時々あります。なんだか”ドクターの定番台詞”化した感じですね。

駄弁者:
 鉱山惑星ジェイナスで技師の殺害が連続しているとの報告を受けて、やってきたカークらご一行。事件を引き起こしていたホルタを最初は排除しようとしたカークだったが、ホルタの行動が自分の子供を守るための自衛だったことを知り、負傷した「彼女」を治療することにしたのだった。…初期の人気エピソードのひとつですね。なんだかんだ言いつつ何とか「治療」やりとげるマッコイは偉い!
 オリジナル小説のなかには、ホルタたちがこの後宇宙連邦に加盟したという設定にしているものもあるようで、エンタープライズにホルタ人士官が搭乗していたりする話もありました。このへんいかにも「スタトレ」らしくて好感がもてるのですが、しかし大丈夫なんだろうか、一瞬で岩盤を溶解させる分泌液を出すような生物を宇宙船にのっけても…。



ここはシナイ半島よりも開拓しやすい――少なくとも、ここには少し水があるから!

 出典: ロバート・L・フォワード「火星の虹」(山高昭訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 あるイスラエル人の火星植民者の言葉。
 そんなわけないだろうけど、その意気やよしです。

駄弁者:
 だったらパレスチナよりも火星にイスラエルを建国したほうが、後の悶着も少なかっただろうに…
…などと言ってるとモサドに狙われるかもしれません。
 フォワードは「竜の卵」(傑作!)や「ロシュワールド」を読みましたが、これは未読です。



「ひょっとしたら、生きている人間同士の最後の交渉だったかもしれないのよ。それが相互扶助(たすけあい)でもなく、談合(はなしあい)でもなく、よりによって相互殺戮(ころしあい)だったなんて……」
「それにプラス罵倒合戦(ののしりあい)さ。」

 出典: 田中芳樹「長い夜の見張り」  「戦場の夜想曲(ノクターン)」に収録 「炎の記憶(田中芳樹初期短編集)」にも収録

紹介 :赤い風 様
HP :

コメント:
 田中芳樹氏の短編集からです。地球に軍事援助を求めた来たサカキと、そこで出会ったヒルダとの会話です。サカキとしてはそれ以外の選択はできなかったのですが、何ともいえないやりきれなさが伝わってきます。

駄弁者:
 田中芳樹キャラのセリフは、基本的にシニカルなものが多いですよね。
「戦場の夜想曲」、私もだいぶ前に読んだはずなんですが、収録作品をほとんど覚えていませんでした。 図書館にある「愛蔵版・初期短編集」で確認しようと思ったんですが、「炎の記憶」は貸出中。…新刊をめったに出さないのに既刊の人気がなかなか衰えないのは、すごいというか、ちょっと憎たらしいというか。
 その「愛蔵版・初期短編集」が出たときには、もう追悼フェアをやっているのか、などと思ってしまったものです。もうSFは書かないような気がしますし…。



愚かにも僕は質問した。
「へーえ、『ガンダム』ってつまんなくて、やりたくないんですか?」
富野監督は激怒した。
「私の言うことをいちいち額面どおりとらないで欲しい。私にだって、どんなに小さくてもプライドもあります。方法論も持っているつもりです。でもね、私、卑下しているんです。しなくちゃいけないんです!」

 出典: 岡田斗司夫・文「『機動戦士ガンダム 2』解説」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 岡田氏がガンダム劇場版のメカニック設定を手伝った時に、富野氏との間で初めて交わした会話の一部。
 ガンダムノベライズ版末尾の解説文からです。変化球ですみません。
 傑作アニメのクリエーターが普段どんなことを考えているのか、と思っていたらこんな文章に出合いました。富野氏は強烈な劣等感と誇り・自負心・責任感が同居する大変な人物でした。
 こんな人がガンダムを造ったのか、と思うと妙に納得。

駄弁者:
 こういう人だからアムロとかカミーユみたいなナイーブな性格した子が主人公にすえられたんですかねえ…。
 それにしても初めて交わした会話で「つまんなくて、やりたくないんですか?」と聞く岡田氏も、さすがだ。



「死ぬわけにはいきませんよ
 俺はまだ…人類が未来をつかむ姿を見ていない」

 出典: 石ノ森章太郎/村枝賢一「『仮面ライダーSPIRITS』流星《ほし》の神話」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 ついに人類は月面基地の開発に着手した。そしてそのクルーの中にその存在を極秘とされている男がいた。沖一也、惑星開発用改造人間”サイボーグS−1”。
 その月面基地が突然現れた謎の男によって壊滅する。辛くも難を逃れた一也達はシャトルで月から脱出することに成功する。
 しかし次の瞬間、シャトルは地球の衛星軌道上に転移させられてしまう。通常ではありえない角度と速度で大気圏に突入するシャトル。一也はシャトルを支えるために灼熱の船外へと飛び出していった!
 月から太陽系、そして外宇宙へ。現時点では遙か遠くにあるはずのとほうもない夢を瞳を輝かせて語る男。自ら望んだ機械の体を、共に作業する同僚たちにさえ奇異の目で見られてもなお、「俺は人の夢の為に生まれた」と言える男。
 …ちょっとわが身を振りかえってしまいました。見なかったことにしておきましょう、精神の健康のために。

駄弁者:
>俺は人の夢の為に生まれた
 同僚たちが奇異の目で見るのは、機会の体じゃなくて、そういう発言の故なのでは…。
まあ、そういう奇特な人でなければ、改造人間にはなれないんでしょう。
元祖ライダーみたいにムリヤリやられたんならいざ知らず。



「ところで あなたに子供が生めて?」
「時がくれば生みます」

 出典: 永野護「ファイブスターストーリー」

紹介 :へかあて 様
HP :

コメント:
 美しく従順な『生きているロボット』人工生命体ファティマ。でも感情を制御され、生殖能力もありません。
 エルメラ王妃の夫、コーラス3世はファティマ=ウリクルと恋に落ちたまま、戦死します。彼女が『ファティマ達の希望』ファティマ=ラキシスに言った言葉とラキシスの答え。
 初めてこのセリフを読んだ時この恐さは男の人にはわからないだろうなーと思ってしまいました。
 『ファイブスター』はけっこう恐いセリフ多いんですよ。『(ファティマに対して)ほっそい足見せつけやがって』とか…。

駄弁者:
 皆がコーラス王の死を悲しむ中、一人だけ笑みを浮かべていた王妃とラキシスが会話する、2話目のラストシーンでしたね。この後エルメラはコーラスの子供を宿したお腹を示し、コーラスは死んでいない、私のところに戻ってきた、とそこで初めて涙をみせるのでした。
 私としては、もう少し後のところで出てくる「女のお腹のなかではなんにもできないくせにね」(セリフは正確じゃないかも)の方が、こわかったです。思わず「へへーっ」とひれ伏してしまいそうになりました。



「軍曹?俺はただの傭兵だ。渡り鳥になにを言う。階級など知ったことか。そういう台詞は自分の飼い犬に言うことだな」

 出典: 賀東招二「フルメタル・パニック!『終わるデイ・バイ・デイ(下)』」

紹介 :おおた 様
HP :

コメント:
 コミック・アニメと展開し、人気のフルメタル・パニックからです。
 あらすじ―主人公『相良宗介』は、特殊組織『ミスリル』の特殊部隊SRTの最年少隊員。そんな彼に下された命令は、日本の女子高生『千鳥かなめ』の秘密裏の護衛。同い年ということで、彼女と同じ学校に転入することに。彼女は生まれた時から、精神の奥深くにオーバーテクノロジーを有している、『ウィスパード』と呼ばれる能力者だという。ASと呼ばれるロボット兵器等、現代ではありえない技術をもたらす『ウィスパード』を狙う様々な組織との戦い等を描いた、シリアスな長編。
 戦場で生まれ育ち平和な日本の常識が無く、そのために巻き起こる数々の珍事を描いた、ギャグコメディ風の短編の2種類があります。(日本が本当の意味で平和かというと、自分は?ですが)
 今回の台詞は、長編の5巻より。終盤の台詞です。とりあえず、事件も解決。そして上層部のある命令に不服だった宗介は、上層部に命令の取り消しを迫ります。
 普段は「命令は絶対」という宗介だからこそ、印象に残った場面です。

駄弁者:
 コミックサイズのと大判のとで、全然絵が違うな〜、と思ってたのですがシリアスとギャグの描き分けだったんですか?
 私も「…主事?オレはただの図書館員だ」って言え…るわけないわな、ことにボーナス前は。



さあ、愛に血を流させてやろう……地獄の海のように紅く、深く……!

 出典: スクウェア制作「ゼノギアス」

紹介 :おおた 様
HP :

コメント:
製品版には使われなかったデモムービーの台詞。すごく印象に残ったもので…。

駄弁者:
 システムに異常をきたした恒星間移民船が惑星に不時着して、一万年後…。  辺境の村ラハンに、記憶をなくした若者フェイは平和に暮らしていた。だが、親友の結婚式の当日、突如空から一機の戦闘機械「ギア」が不時着する。さらにそれを追って軍のギア部隊が襲来。引き込まれるように追われる側のギアに搭乗したフェイ。その彼にギアが語りかけたのがこの名文句。
 ギア内で意識を失ったフェイが気がつくと、そこにあったのは破壊された村の姿。フェイは追われるようにラハン村を去ることになった…。
 というようなプロローグらしいです、公式HPによると。太古の機械文明の遺産、というのはさして珍しい設定でもないと思いますが、それでも細かく背景設定されているのはさすが日本型RPGの重鎮。
 確か今年に入って「ゼノサーガ」ってのが出てたと思うのですが、これは続編?「サーガ」の方の公式HPには『公式見解では「続編ではない」ということになっています。しかし高橋監督によれば「一度解体して、再構築したもの」ということですので、関係がないというわけでもありません』と、なんか微妙な表現になってます。…発売元がナムコになってますしねえ。



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