SF名文句・迷文句第65集

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そして私たちはいつかそれぞれの森へ行く日が来るまで
ハゲニアの木の洞でこうして雨をやりすごしている

 出典: 清原なつの「金色のシルバーバック」  「千の王国百の城」に収録

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 少女の成長をテーマにした数多くの良品を世に出している清原なつのの作品から。
 アフリカで育ちフランスの上流社会になじめない少女と、兵器利用(?)のため人並み以上の知能と言語能力を植え付けられて、森へすなわちゴリラの群れに入れないでいるオスゴリラとの交流を描いた物語。
 この作品が心に残っているのは、これを読んだ頃に社会とか仕事とか家庭などといった、自分自身にとっての森になじめないものを感じていたからでしょうね。
 木の洞を出ても雨は降り続いています。

駄弁者:
 5、6年前に雑誌「本とコンピュータ」に掲載された「お買い物」というアンドロイドものの短編が気に入っていたので、ハヤカワ文庫で短編集「千の王国百の城」を買いました。この出典も収録作のひとつ。雨を避ける洞をもつ人(ゴリラ含む)は幸いです。
 「千の王国〜」収録の霊長類ものは、もう一つ「銀色のクリメーヌ」というのがあるのですが、ハッピーエンドの「金」とは逆に、「銀」はせつなくきびしいラストです。



われわれ人間こそが──やさしく、感情ゆたかな顔をして、思いやり深い目をしたわれわれ人間こそが、あるいは本当の機械なのかもしれない。われわれを取り巻く構造物や自然の事物、特にわれわれがつくった電子機械、発信器、マイクロ波の中継局、さらに人工衛星といったものの背後には、本物の生きた現実が隠れているのかもしれないのだ。これらの事物には究極の精神により深く関係するための手段であるのに、それがわれわれにはわかっていないのかもしれない。もしかすると、われわれは現実をゆがめるベールを通して万物を見ているだけではなく、そのベールを逆方向から見ているのかもしれない。おそらく、次のような言い方がもっとも真実に近いのだろう。「あらゆるものは等しく生命を有しており、等しく自由で、等しく知覚を備えている。なぜならどれも、生きているとか、半分生きているとか、死んでいるとかいう静止した状態にあるのではなく、生き抜いていく存在だからである」

 出典: フィリップ・K・ディック「人間とアンドロイドと機械」(浅倉久志訳) 「解放されたSF −SF連続講演集−」に収録

紹介 :ほのぼの101 様
HP :

コメント:
 機械にしろアンドロイド、ロボットにしろ、これらはそもそも人の想いつまり人間内なる意識の姿にルーツを持つのだから。私は(本当の機械=神の創った傑作なメカニズムマシーンの一つ)と解釈しました。またどことなく東洋的・アニミズム的でいいですね。ディックSF哲学の真髄ですね。

駄弁者:
 「われわれ ──|ベール|──>万物の真実」ではなく、「われわれを含む万物──|ベール|──>真実」ということなのかな。「アンドロ羊」を思い起こすと非常にしっくりくる文章です。



ある晩露台に白っぽいものが落ちていた。口へ入れると、冷たくてカルシュームみたいな味がした
何だろうと考えていると、だしぬけに街上へ突き落とされた とたん 口の中から星のようなものが飛び出して 尾をひいて屋根の向こうへ見えなくなってしまった
自分が敷石の上に起きた時 黄いろい窓が月下にカラカラとあざ笑っていた

 出典: 稲垣足穂「一千一秒物語」

紹介 :KIN_KIN 様
HP :

コメント:
 日本のSF作家の草分け的存在かな?
 まだ投稿が無いみたいなので、一番有名と思われる「星を食べた話」を。
 しかし、これだけ洒落た文章を80年前(!)に書いたとは…

駄弁者:
 拾い食いはいけません、ということではなくて。
 「一千一秒物語」、稲垣足穂の処女作ですね。
 他にも星がポケットに入ったり月に追いかけられたり、天体の話、多いです。



今、私はじっと待っています。白い子供が再び地に満ち、みなを導いてくれるその日を。
 …(中略)…
その時まで、肉厚の葉と鋭いとげを持ち、厳しい環境に耐える常緑樹、柊のように待ちましょう。その思いを込めて三人の緑の服に柊の紋章を縫い取りましょう。
赤い実の模様を縫い付けながら、私はひそやかに願っています。
 …(中略)…
そして、この大地を踏みしめ、胸を張って立ちなさい。もっと立派におなりなさい。世界は大きく愛の手を広げ、あなたが来るのを待っているわ……

 出典: 菅浩江「〈柊の僧兵〉記」

紹介 :TAKA 様
HP :

コメント:
 少年の成長物語。すべては予定調和の中に納まり、ラストも大団円。
 …とまぁ、こう書いてしまえば実も蓋もないのです、が、面白いんだからしょうがない。
 読ませます。泣かせます。読後はスカッと爽快。
 絶品の1作でしょう
 それにしてもルーマかっこよすぎ〜。

駄弁者:
 「永遠の森・博物館惑星」以降、菅浩江作品とはごぶさたです。
 …じつのところ「ごぶさた」というほどのなじみはなくて、これと「雨の檻」しか読んでないのですが。情感のこもった短編は好きな部類です。
 この人の本は結構あちこちの出版社から出ていますね。ハヤカワは当然として、カッパノベルスとか祥伝社とか…。「柊の僧兵」は元がソノラマで、徳間デュアルの復刊。



憎い怪獣ぶっ殺せ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!

 出典: うしおそうじ作詞「ネビュラの星」(「スペクトルマン」エンディング)

紹介 :まだん 様
HP :
http://homepage1.nifty.com/madannoshasyu/index.htm

コメント:
 これは、かなり昔、ウルトラマン系、巨大人間的宇宙人が近所迷惑をかえりみず悪い異星人を殺しまくっていたテレビ番組のエンディング・テーマ(「終わりの歌」って当時の私は言ってましたが)です。
 別に、これだけだと大した問題はないのですが、問題なのは、これを歌っていた集団なのです。
 歌っていたのは「みすず児童合唱団」とか言う、つまりは「おぼっちゃま合唱団」な訳でありまして格式の高い身分の汚れを知らない(あくまでもその当時の年齢の話)可愛らしいお坊ちゃま達が口を揃えて元気良く
「憎〜〜くい怪獣ぶっ殺せ〜〜〜〜!!」
って歌っていたと想像すると、それを歌わせた大人たちを私は許せませんです(汗)
ハイ!

駄弁者:
 スペクトルマンの終わりの歌は宇宙猿人ゴリのテーマだと思ってました。…「宇宙猿人ゴリなのだ」からこれに変わってるんですね。



タミオ「つまりぼくら人類の未来を全て計算しつくしちゃったんだ」

 出典: 地下沢中也「兆−sign−#5『ポスト・ホック、エルゴ・プロプター・ホック』」

紹介 :cam 様
HP :
Be@ma4.seikyou.ne.jp

コメント:
 地震予知ロボットのピッピとその中に存在する少年タミオ。
 いまやピッピは地震予知に限らない全ての情報をインプットされ、あらゆることを計算し、予言するようになる。 そしてピッピは一人の記者の自殺を予言する。「あなたは今日から99日後──自殺します。それがあなたの役目、あなたが生まれてきた理由だから」
 ピッピの制作者であり育ての親である瀬川博士がピッピに問いつめるとピッピは人は絶滅か進化かの選択の間際に立たされていると言う。そして──
 今や年一回発行になってしまった雑誌「COMIC CUE」に連載されているSF漫画「兆−sign−」。
 ちなみに単行本ではタイトルが変わって、「預言者ピッピ」になるんだとか。いま最も次が待ち遠しい漫画と言って過言ではないだろう!だって一年後だもん。
 ありがちな設定かもしれませんが、風呂敷の広げ方がなかなか豪快で楽しめます。単行本がまだ出ていないので読むのが難しいのが難ですが。

駄弁者:
 未来の全てを計算可能というのは、なんかラプラスの悪魔みたいですね。不確定性原理はどこいったんでしょう…未来を知ったということ自体が未来を変わる原因になるのでは?



「本当だ!日本製の電気製品の取扱説明書よりも分かりにくい」

 出典: グラント・ネイラー「宇宙船レッドドワーフ号」

紹介 :まだん 様
HP :
http://homepage1.nifty.com/madannoshasyu/index.htm

コメント:
 N(にほん)H(ほうそう)K(きょうかい)で放送していた、確かイギリス国のドラマ。
 主役宇宙船「レッドドワーフ」号が、宇宙海賊(だったかな?)の警告を受けた時のクルーの一人(ロボットだから一体か?)がぼやいた言葉。

駄弁者:
 それは日本人が英語下手だからというよりも、「電気製品の取説」というもの自体に問題があるのでは。
 あるいはこの中国製DVD(http://www9.plala.or.jp/pandanotasogare/dvd.html)を目にした日本人と同じ感想なのかも。



「あなたはいま、どこにいます?」  …(中略)… 「わたしの婚約者は祖国を守るために戦場に赴いて、現在はこの世のどこにもいません。委員長、あなたはどこにいます?死を賛美なさるあなたはどこにいます?」
 …(中略)… 「わたしは婚約者を犠牲に捧げました。国民に犠牲の必要を説くあなたのご家族はどこにいます?あなたの演説には一点の非もありません。でもご自分がそれを実行なさっているの?」

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説」

紹介 :にわかSFファン 様
HP :

コメント:
 ジェシカ・エドワーズ女史がヨブ・トリューニヒト(当時・国防委員長)の戦争賛美的な演説に対して言ったセリフ、私は米国のネオコン連中をニュースや新聞で見るとこのセリフを聞かしてやりたいと思ってしまいます。
 イラクではイラク人・米兵の双方に死者が出ています、また、ジェシカみたいに愛する人が死んでしまった方々がいると思うと悲しくなります。
 我が国も自衛隊を派遣する気ですが我が国の指導者いえ世界の全ての指導者に言いたいです、「あなたはいま、どこにいます?」と。

駄弁者:
 なんかトリューニヒト関係が連なってしまいました。やはり彼は「立派な政治家」にはほど遠いのか、あるいはこちらの名文句が「立派な政治家」全般に対する痛烈な批判なのか…。
 しかしまあ「私ももちろん一兵卒となって銃をとるにやぶさかではない、若者が血を流すのは断腸の至りです。しかし私は自分がもっともよく貢献できる形で国に尽くすため、心に血を流す思いでここに立っているのです」ぐらいの言い抜けはするでしょうね。



「私は何でも利用します。宗教でも、制度でも、皇帝でも」

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説9 回天編」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 ヨブ・トリューニヒト。自由惑星同盟の政治家。
 いわゆる主戦派の議員として、軍部からの厚い支持を受けるが、アムリッツァの戦いでは国力の疲弊をかんがみて出兵に反対した。会戦の結果は惨敗。その識見が民衆に支持され、最高評議会議長に就任する。
 その後、1世紀以上に渡って敵対していたゴールデンバウム王朝との歴史的な和解を達成するも、バーミリオン会戦では、惑星ハイネセンの住民10億の生命を盾にされ、無条件降伏。
 自由惑星同盟が消滅した後はローエングラム王朝に禄を食み、専制政治の欠点である、皇帝の専横を制限、抑制すべく、憲法と議会による立憲体制を帝国内に確立すべく活動するも、皇帝に反旗を翻したオスカー・フォン・ロイエンタール元帥の凶弾に倒る。
 ……おお、こう書くとなんか立派な政治家みたいだ(笑)。確かに嘘は書いてないけど……

駄弁者:
 「ローエングラム朝史人名辞典」より?
 ヤン・ウェンリー。自由惑星同盟の軍人。
 詐術的な作戦指揮で立身するも、軍指導部に対する不服従的言動から冷遇を受ける。バーミリオン会戦後は退役を余儀なくされるが、後に帝国の高等弁務官を拉致・殺害してハイネセンを離脱、自由惑星同盟滅亡の契機を作った。イゼルローン要塞を占拠し割拠を謀るが、彼に恨みをもつ旧同盟軍人により暗殺された。33歳。
 …結局、歴史ってのは解釈しだいなんですよね。



星たちの眷属──アーヴはときどきそう自称する。お気に入りの雅称らしい。
けれど──とジントは思う──核融合をするしか能のない気体の塊と親戚づきあいしているからって、それが誇るに足ることなのだろうか。

 出典: 森岡浩之「星界の紋章」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 思わず、笑っちゃったので投稿しました。

駄弁者:
 私たちの身体を構成している物質は起源をたどれば星から生まれたものだ、と考えればアーヴに限らず皆が星の眷属ですが……それでか、やたらと核実験をやりたがる奴がいるのは。



あんなに一緒だったのに…

 出典: 石川千亜紀作詞「あんなに一緒だったのに(ガンダムSEEDエンディングテーマ)」

紹介 :小澤 智永 様
HP :

コメント:
 かつての友達同士が友達のために互いに殺しあう。
 SEEDのEDよりグサッときた歌詞です。
 またこの作品には遺伝子調整というテーマも含まれており、非常に面白いです。
 現代でも精子・卵子バンクがあるので、コーディネーターを産もうと考える人が出て来ても不思議ではないと思います。そうなると、作中のようになってしまうのでしょうか

駄弁者:
 仮面の兄さんなんかが出ていて微妙に先祖返りしたガンダムだな、と思っていたんですが。
「コーディネーター」のイメージはZやZZの「強化人間」とかぶっていたのですが、あちこちのサイトを覗いてみると、強化人間みたいなのはまた別に出ているようで。遺伝子操作orドーピングというのはなんとも究極の選択ですが…。



これが勝負の時だよ。たぶん、僕の人生で最初で最後のチャンスだ。
…これから後は、もう何もない。くだらない安心と安定よりは、ずっといい。
打算や陰謀よりは気がきいてる。危険と苦労はあるかもしれないけれど、…だからどうした。僕は舞を好きなんだ……そう言ったら、舞は僕を好きになってくれるかな。

 出典: アルファシステム(原案)「高機動幻想ガンパレード・マーチ 夢散幻想」

紹介 :テレサ 様
HP :

コメント:
 これはゲームからではなく、ドラマCDからのセリフです。
 新井木(キャラです)も言っていましたが、本当にすごーい口説き文句ですね。

駄弁者:
 口説き文句ってことは、これ本人の目の前で言うんですか。…最後までちゃんと聞いてもらったとして、「そう言ったら〜」以降で、大幅減点のような気がするのですが。



どうだい母さん、鋼鉄の身体に生まれ変わった俺の姿…。

 出典: 士郎正宗原作・協力 神山健治監督「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」

紹介 :ぱんたぐりゅえる 様
HP :

コメント:
 久々に投稿します。
 第2話にて、生まれついての重病に身体を蝕まれつつ宗教的理由によって儀体化を両親から許可されないままこの世を去った兵器技師、加護は友人に依頼して死後、自分の脳を自らが開発していた多脚戦車のAIに繋ぎ、実家へと向かいます。
 結局最期は駆けつけた草薙少佐に脳を焼ききられて加護は死亡するのですが、その時草薙がかすかに感じ取った加護の意識の残滓が投稿の文句になります。
 結局加護が両親に復讐したかったのかどうかは分からずじまいなのですが…この台詞が妙に心に引っかかりまして。

駄弁者:
 お久しぶりです。このところご投稿の多い「攻殻機動隊」ですが、これはTV版ですね。
 単に自分の姿を見てもらいたかっただけだった、という感じがしますね。…あるいはその姿を見せること自体が、最も痛烈な復讐だったのかも。



「えりー、すーぷツクル。ぜぼっと、ゲンキニナル…」

 出典: エニックス制作「ドラゴンクエスト7」

紹介 :吉本 様
HP :

コメント:
 おそらくこの作品をSFだと言い張る人は存在しないんじゃないでしょうか。私自身もこの作品自体はSFだとは思っていませんが、SF的なエピソードがあったので投稿しました。
 主人公は石版の力を使って過去と現在を移動しながら魔王の手先を倒していくのですが、ある島で魔王の差し向けたからくり兵に襲われている国があり、そこで城の兵士や人間嫌いのからくり研究者ゼボットとともにからくり兵を倒すのですが、現代に戻った主人公達がその島のゼボットの家があったところに行ってみるとすでに白骨と化したゼボットの遺体にエリーというからくりが献身的に世話をしていました。
 果たしてエリーはただプログラムされた事を実行しているだけなのでしょうか、それとも、世話を続けていればいつか本当にゼボットが元気になると思っているのでしょうか。

駄弁者:
 プログラムされているだけ、というのが合理的な解釈。しかしそれは「ハチ公は条件反射で駅に行っただけ」というようなもので、正しいだけでなんの足しにもならないでしょう。
 しかし、このエピソードをぶち壊しにする最高の方法は、ゼボットが本当に元気になってしまうことだろうな…。



ニッポン?そんな国はもうないね、世界中国なんてなくなったんだ、呼ぶなら東洋人とでも呼びたまえ。

 出典: 手塚治虫「ロック冒険記」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 作中最大の悪役・東南西北が、ディモン星の異常接近による大災厄の後で出会った孤児・大助へ言った台詞。
 彼の台詞の中で、唯一共感できる台詞だったので。

駄弁者:
 東洋人、というのはまず西洋ありきの言葉でいまいち使うのに引っかかりがあるので、いっそ「地球人」と言ってもらいましょうか。
 しかし国がなくなった場合、自分がより広いものに属しているという感覚は持てるものなのでしょうか。アイデンティティを共有する人々が複数の国に分裂していた場合は当てはまるかもしれませんが…。日本の場合、国がなくなっても「日本人」の感覚にあまり変化はないかも知れません。



「愛しいものが変わらない事を望むのは愚かなんだろうか…」

 出典: 高橋しん「最終兵器彼女」

紹介 :吉本 様
HP :

コメント:
 最初で最後のデートの途中、敵を殺す事に慣れてしまったちせに対するシュウジの感想です。
 周りにある様々なものがものすごい勢いで変わりゆく中、愛しいものが変わらないでいて欲しいというのは人として誰もが思う事なんじゃないでしょうか。

駄弁者:
 誰しも思う事ではありますが、シュウジの愛しいものは変わりゆくのがものすごい勢いすぎ…。



「思いを繋げ、命を繋げて、時を越える方法だって人にはある。毎日を精一杯生きることができたなら、百年に満たない人生も思いを育てるには十分すぎる時間。」

 出典: 福井晴敏「ターンAガンダム」

紹介 :TAKA 様
HP :

コメント:
 福井晴敏によるターンAガンダムのノベライズです。前半部分まではTV版とは多少のズレがありつつも、ほぼ同様の展開でストーリーは推移していきます。しかし中盤以降そのズレが伏線となって大きなズレを呼び、TV版が持っていたなんとないほのぼの感というか牧歌的な雰囲気は吹き飛んでしまい、終盤のすさまじいカタストロフィーへとなだれ込んでいきます。この辺の福井晴敏の構成力はさすがの一言です。
 文句はエピローグでのソシエの想いです。
 ある意味このノベライズのほうがTV版よりも「皆殺しの富野」にふさわしいのかもしれませんよ。

駄弁者:
 これはハルキですが、幻冬舎では「月に繭地には果実」のタイトルで出てましたよね。タイトルもですが、カバーも斬新でした。
>ノベライズのほうがTV版よりも〜
 それは相当鬱な展開が想像されますが…。



滅びるはずのないものが滅んだ…相対性理論という名の神──アルバート・アインシュタインという名の神…2000年かかって築き上げられた宇宙科学の体系が──

 出典: 星野之宣「QuoVadis」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 突然太陽系に現れたふらふら動き回る全長7777kmの十字架型の巨大航行物・・・・月の直径の2倍以上の大宇宙船の謎に挑む地球艦隊の人々と、宗教的に利用しようとするローマ教皇一派。そしてついに明きらかになった真実は・・・・  ところで作品中にこんな巨大なものが重力崩壊せずに航行できるはずが無いという意味のセリフが出てきますが、全長1億5000万kmのハリボテ船はどうなるんでしょうね(笑)  では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 アインシュタインごとき、ぽっと出の神サマに負けてたまるか!?
>全長1億5000万kmのハリボテ船
 あれは中ガラなんで、重力崩壊の方は心配ないでしょう。それより動くときに折れたりヘコんだりしないのかが気になります。



「うわあ。とんだことに」 …(中略)… 「ラクサナ・トロイがベータゾイド代表として、宇宙連邦軍航宙艦USS<エンタープライズ>で行なうグラジウナス/ニストラル両家の婚儀に出席される」
 …(中略)…
「艦長、顔色がお悪いようですが、大丈夫ですか?」
「頭痛がする」

 出典: ピーター・デイヴィッド「新宇宙大作戦・エンタープライズ狂騒曲」(斉藤伯好訳)

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 神のごとき「Q」も、悪魔のような「ボーグ」も怖れないエンタープライズDの面々が唯一はだしで逃げ出すのがカウンセラー・トロイのおっかさん、ラクサナ・トロイ!!そしてついに「Q」との最強キャラを賭けての直接対決が!?  ボーグはともかく最強キャラの2人はついに映画に出ませんでしたね。「Q」なんか映画向きのキャラだと思うんですが…ラクサナはてっきりST10に出ると思ったんですが、やはりベータゾイド式結婚式に出たくなかったんですかね?(笑)
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 私は「新宇宙大作戦」のノヴェライズではダントツでこの作品が一番好きです。キャラクターのかけあいが一番「らしい」仕上がりなので。前座の、悩みを打ち明けられた人が順に落ち込んでいってるくだりでは爆笑してました。それにラストのラクサナ大暴れ。
 このめい文句のところにある挿絵の、眉間を押さえるピカードとたじろぐライカーもナイスでした。



「ならば人類に自らその秘密を発見させるさ」と、ホームズが言った。「原子を爆発させるなどというそんなだいそれた武器を持てば、人類はたやすく自分自身や、周囲の世界のすべてを滅ぼしてしまいかねない。かりに将来のいつかに、その秘密を解明するだけの知恵を持ったとしても、そのときは、そういう力を持つことに、おのずから課せられるべき枠というものを、自らの判断で同時に規定するだろう」

 出典: マンリー・W・ウェルマン&ウェイド・ウェルマン「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」(深町眞理子訳)

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 タイトルを見ただけで粗筋の説明は必要なさそうですが、念のため。
 とある骨董商から卵型の水晶玉を手に入れた名探偵シャーロック・ホームズは、その中に不思議な風景を見る。ホームズは科学者である友人、チャレンジャー教授に相談することにした…
 ある男が侵略者から書き写した数式、それは侵略者の熱戦の秘密、原子を爆発させるというものであった。その数式を見て興奮さめやらぬ教授。次の瞬間、ホームズによって数式を書いた書類は炎に包まれた。
………ホームズは、新大陸の人間をずいぶんと過大評価していたようです。

駄弁者:
 だいぶ前に読んだことがあります。ホームズ&チャレンジャーとは、ドイルの作品のなかでは最強コンビかも。 >新大陸の人間をずいぶんと過大評価  新大陸の人間を、というか次の世紀の人間を…というところでしょうか。将来の人間が自分の時代の人間より倫理的に進歩しているだろうと考えるのは、人間観察の天才たるホームズにしては少々甘いのかも知れませんが…



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