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ジョバンニは、走ってそのなぎさに行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河の水は、水素よりももっとすきとおっていたのです。
それでもたしかに流れていたことは、ふたりの手首の、水にひたったところが、少し水銀いろに浮いたように見え、その手首にぶつかってできた波は、美しい燐光をあげて、ちらちらと燃えるように見えたのでもわかりました。
出典: 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
コメント:
水素よりも透き通った銀河の水。
まさに日本SFを代表するにふさわしい風格を備えた文体です。
しかも読むだけで涼しくなれるという、暑い夏には必携の一文といえるでしょう。
駄弁者:
幸か不幸か、今年の夏はやけに涼しいのですが。
最初にこの作品や「永訣の朝」を読んだとき、ファンタジックな文章のなかのところどころに「水素」とか「気圏」といった言葉が入っているのに面食らった覚えがありますが、繰り返して読めば、それはそれで一つの味に感じられるようになりました。
宮沢賢治は、これと「グスコーブドリの伝記」が好きでしたねえ…。