SF名文句・迷文句第102集

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例え未来は変えられなくたって、自分たちの明日くらい変えようぜ

 出典: 八手三郎原作「未来戦隊タイムレンジャー」

紹介 :ウェイジマン 様
HP :

コメント:
 2000年の仮面ライダー復活(クウガ)に興味を持ちついでに見たはずなのに、ずっぽりはまってしまった戦隊物から。
 内容はというと「20世紀へ逃亡した犯罪者を追って30世紀からやってきた若者4人と、偉大な父親の後継ぎという運命から逃れようとする主人公との、零細企業細腕繁盛記」というところでしょうか。他の戦隊に見られる「敵を倒すことが至上」という雰囲気が薄く、各キャラクターが等身大で感情移入し易かったのが特徴でした。
 またタイムパラドクスという題材を扱いつつ奇麗に纏めたラストは、疑問が残る最終回が多い昨今、大変安心しました。
 台詞は第2話で主人公が未来人4人を説得するためのものですが、作品全体のテーマとも言えます。
 いろんな雑事を「明日」送りにしている私にはまぶしすぎる……。

駄弁者:
 数ある戦隊ものの中でも、ストーリーが奥深い大人向け作品として評価が高いとのこと。



きみはマリオネット。わたしが操る。

 出典: 神林長平「言葉使い師」  同名短編集に収録

紹介 :サイコ・コム 様
HP :

コメント:
 皆、誰かに操られているのだろう、他人や、自分に。
 親は選べない。操者も選べない。人生もまた然り。
 人生の糸は紡げても、事象の糸は選べない。
 だからこそ面白い所も生まれるというものだ。
 若輩者の戯言。
 せめてこのような意見は人生を一回終えてから言ってほしい。
 どうも失礼しました。非礼をおわびします。S・C

駄弁者:
 テレパシーが発達し、言語は秩序を乱すものと厳禁されている世界の話。星雲賞受賞作です。
 皆誰かに操られている…ということは、つまり自分も誰かに影響を与えて(操って)しまうのを避けられないということですが。
>せめてこのような意見は人生を一回終えてから  いや、終える前に言っとかないと、言う機会ありませんし。それに、そういうことを堂々と言える歳になった人間は、かえって言葉にしないものなのかも。



「…(中略)…入植者たちは過去をふりかえってそこにパラダイスを見たつもりでいたが、それはまちがいだった。ブコ・ペポンは未来に目をむけてそれを見たつもりでいたが、それもまちがいだった」

 出典: マイク・レズニック「パラダイス 〜楽園と呼ばれた星〜」(内田昌之訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 スワヒリ語で「楽園」を意味する名を冠された星、ペポニは豊かな自然で入植者を惹きつけた。その後、先住民出身の大統領ブコ・ペポンは地球人の手法もとりいれて、矛盾をはらんだままペポニの発展を目指すが…彼の死後、計画は頓挫し矛盾だけが残ることになる。投稿のセリフはペポニの歴史を追うジャーナリストに、長くブコ・ペポンの護衛を勤めた男が語った言葉。
 レズニックのアフリカものは連作短編「キリンヤガ」が有名ですが、この「パラダイス」もいいです。現実のケニア史を元にして書かれた(ブコ・ペポン=ケニア初代大統領ジョモ・ケニヤッタ)ものですが…その暗い結末まで、現実をなぞったものでなければいいのですが。



 神さまの特別なおぼしめし!
 この言葉をきくと、わたしは吐き気がする。――人間がいかにも重要な存在で、神が軽薄な存在だと言っているかのように聞こえるからだ。わたしの考えでは、この無数の天体は、神の動脈をただよう血球にしかすぎず、われわれ人間も、その血球に巣食い、それを冒し、それを汚染している極微生物にしかすぎないのだ。だから、神はわれわれがそんな所にいることさえ知りはしない。知っていたとしても、気にかけてはいないのだ。

 出典: マーク・トウェイン「ちょっと面白い話」(大久保博編訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 編訳者の解説にいわく「この本は、表題が「ちょっと面白い話」となっていますが、じつはマーク・トウェインの、ちょっと面白い話や、たいへん面白い話や、ぜんぜん面白くない話や、むしろ非常に厳しい話などを、彼の著作や彼について書かれたいくつかの書物のなかから、拾い集めたものです」。してみると、これは『細菌ハックの冒険』あたりからの引用でしょうか?
 こういった文章を読むにつけ「彼の直系が、カート・ヴォネガットだったりするのかも」などと考えてみたり。
BGM:「神の国」U2

駄弁者:
 たしかにシニカルな表現は一脈通じるものあると思います(…と偉そうに言えるほど両方をよく読んでませんが)。
 ご投稿の一節はボコノン教にあっても違和感ないかも。



「果てしなき名誉の戦いに、新たなる戦士が参戦した。カプラ!」

 出典: ウィリアム・シャトナー「栄光のカーク艦長(上)」(斉藤伯好訳)

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 カークとテイラニの子をとりあげたクリンゴン人医師クロンの、クリンゴン流の誕生祝の一言から。ちなみに、「カプラ」はクリンゴン語で「成功を祈る」等の意味で使われる単語です。
 とまあ、言葉自体はめでたいのですが、実はその子は産まれ落ちた瞬間から、父親ともども恐ろしいほど残酷な宿命を負うことになります。24世紀に復活したカークは、腕は失くすわ妻はさらわれるわ、取り戻せば毒を盛られるわ、苦難を乗り越えてようやく産まれた子供は××だわ、あたかも23世紀の幸運の代価を一気に支払わされているかのような不幸っぷり。一連の復活カークシリーズの作者は、よっぽどカークを幸せにしたくないようです。

駄弁者:
 そう言えばこれ買ってないんでした。ちょっと前まではST小説は即買だったのですが、これについては、スーパーマン・カークに飽いてしまって…。
 カークを幸せにしたくないというか、カークにとっての幸せはそういうのじゃない、という信念なんじゃないでしょうか。



これはどこにでも着ていける便利な服だ。
確かに便利だから着てるんだけど。

 出典: 佐藤竜雄原作・シリーズ構成「学園戦記ムリョウ」

紹介 :猫狗(みょうく) 様
HP :
http://www16.ocn.ne.jp/~kaisyuu7/

コメント:
 こんにちは。
 TVアニメ「学園戦記ムリョウ」の主人公無量君のセリフからです。
 時は2070年、謎の宇宙人襲来。そしてそれを撃退した謎の(?)正義の味方。そして「宇宙人は、実は、います」と公式発言する日本政府。
 そんな翌日に学ランを着て転校して来た「謎の転校生」(NHKの定番でしょうか)無量君。周りの生徒はみな私服。学ランを見て“軍服”?“コスプレ”?などとコメントする中、自分の着ている学ランについての無量君のセリフです。確かに冠婚葬祭どこにでも着ていけて便利な服なのですが。
 実は「学ラン」といえば古くはバビル二世、東丈、新しいとこでは司狼神威などなど、日本の伝統的「ちょ〜の〜りょくしょ〜ねん♪」の戦闘服なのでした。
 確かにどこに行くでも日本産超能力少年は学ラン着て出動してます。
 あれを着ると気合が入るんでしょうか?

駄弁者:
 あー、言われてみると確かに制服の人多いです。それもたいていブレザーでなく詰襟で。首の絞まり具合が超能力の育成に向いているのでしょうか。
 あるいは彼らの生徒手帳には「サイコキネシスは学生らしい服装で節度をもって行使すること」「テレパシーは健全なグループ交信を心がけること」という心得でも書かれているのとか。…バビル2世はともかく他の二人は校則守らなさそうですが。



ありえない状況に対する適切な反応は、あたかもそれが日常茶飯事のごとく振舞うことである──

 出典: トマス・M・ディッシュ「降りる」(浅倉久志訳)  「アジアの岸辺」に収録 ジュディス。メリル編「年間SF傑作選5」にも収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 最近小説からのご投稿がめっきり少なくなってしまったので、今読んでいるものから引っ張ってきました。名曲の歌詞にSFを見出すのも面白いですが、やはりメインは小説であってほしい。
 とはいえ出典の作品も、いかにもSFといった道具立てではないんですが…。本を読みながらデパートのエスカレーターを降りていてふと気がつくと、あるはずの階よりもはるかに下の階まで降り続けていることに気付いた男。上記の文句を自分に言い聞かせて、今度は上の階に上ってみるのだが……ご想像通り、元の世界には帰れません。



「20世紀の終わりに恋をするなら
 惑星の力と師の魔術が必要
 恋の断面図を透かして見てごらん
 そこは廃墟か はたまた暗闇
 声をあげて 頭を使って
 声をあげて 頭を使って 求めるのは
 はははははは なに」

 出典: ヒカシュー「20世紀の終わりに」  「ヒカシュー」に収録

紹介 :コルホーズの玉ネギ畑 様
HP :

コメント:
前略 やはり一番すべて必要ですね。必要な予備知識は、VOCAL の巻上公一が「ターンAターン」のホーメイ声ぐらい。
 SF懸かった現代詩として詠んでくだされば、あるいはSFバカ本の一節として認識してくれれば、充分。
                         早々

駄弁者:
 SF懸かったというより錬金術懸かったという方があっているような。
 錬金術ネタのSFで面白いのもありますが。テッド・チャン「七十二文字」とか、J・グレゴリイ・キイズ「錬金術師の魔砲」(続きはどうした?)とか。
 …って、全然関係ないコメントになってしまいました。すみません。



見てきた物や聞いた事 いままで覚えた全部
でたらめだったら面白い そんな気持ち分かるでしょう

 出典: 甲本ヒロト作詞・作曲・THE BLUE HEARTS歌「情熱の薔薇」

紹介 :北斗 様
HP :

コメント:
 アルバム『BUST WASTE HIP』より。この曲のどこがとお思いの方もいるかも知れませんが、MATRIXや攻殻機動隊、古くはCOBRAなんかもこういったシチュエーションを描いている訳で。そう考えると、なかなか深い歌詞なんじゃないかなぁ、と思えてしまうのでありました。

駄弁者:
 MATRIXや攻殻機動隊は、現実がでたらめであることを当事者が望むと望まざるに関わらず思い知らされるシチュエーションだったと思いますが…ブルーハーツの方は、教えられたことや覚えさせられたこと全部、でたらめであって欲しいと言っているような気がして。



探していたよ 君との夜を
Since 1974

 出典: 西門加里作詞・小室哲哉作曲・TM NETWORK歌「1974(16光年の訪問者)」

紹介 :北斗 様
HP :

コメント:
 今回はメジャーどこの歌より。
 まずはTM NETWORKの1stアルバム『RAINBOW RAINBOW』よりこの曲を。20年の時を経て尚色褪せない名曲だと自分は思ってます。
 タイトルの"1974"とは、プエルトリコのアレシボ電波望遠鏡からM13星団へ向けてメッセージが送られた年で。尤も、M13までは2万4千光年。16光年はアルタイルまでの距離でしたかね。

駄弁者:
 アレシボ・メッセージは1679単位の2進信号でできていて、それを23×73の平面にマッピングすると、絵が表れる仕組みになっているそうです。
 宇宙人へのメッセージで有名なパイオニア10号の打ち上げもほぼ同時代の1972年。いい時代だったのかなあ…。



これは経験してみて分かった事だが……若いと言う事は想像以上に素晴らしい
素晴らしすぎるんだ!! 世界中の富を持ってきても釣り合わないだろう…(中略)…
…わずか数日の入れ替えだったが、わしには何年にもあたる充実した毎日だったよ…

 出典: 藤子・F・不二雄「未来ドロボウ」  「SF全短編」に収録

紹介 :J.J 様
HP :

コメント:
 貧しさに喘ぎ、エリートコースに乗ることで人生の成功者になるべく。趣味の野球も可愛がっていた犬も捨て、受験勉強に邁進いていた少年。だが父の勤める工場の倒産により進学の道が絶たれ。絶望するなか、近くの豪邸に住む死期を迎えた老人の持ちかけた取り引き、それは互いの記憶を交換し、老人は少年の未来を、少年は老人の地位と財産と名誉を手に入れるという物だった。冗談半分に合意し、老人の姿になった事に絶望する少年。一方少年になった老人は野球を楽しみ、食事の楽しさに感激し、ガールフレンドとの語らいに「幸せすぎる…」と涙をこぼします。そして少年の父が就職し、進学のめどが立った時老人は屋敷に戻り。少年の未来を返す事を決意し、執事にこの台詞を言います。
 この物語は人生の成功者になるために全てを捨ててきた老人が見た最後の夢であり。そして老人と同じ道を歩もうとした少年が見失いかけていた大切な物を再発見する物語のように思えます

駄弁者:
 たぶん若さをとうに一度失った者だけが感じることのできる素晴らしさなのではないでしょうか。
 よく返す気になったよな…「若さというものは若者にはもったいない!」とかいうことになりそうなのに。



「でもあのロボットは前の文明を滅ぼすのに一役買ったとか何とか …(中略)… 大儲けした後、今度こそ人類が滅んじゃうような事になったらどうするんですか?」
「その程度で滅ぶのならさっさと滅んだ方が苦しみが少なくてよかろう」

 出典: うすね正俊「砂ぼうず」

紹介 :J.J 様
HP :

コメント:
 久しぶりの投稿です、今回は砂ぼうずから。
 この作品、ガンアクションやギャグシーンも見物ですが何と言っても登場する人間達におよそ善人という人種がいない所が一番のミソです。名文句は旧文明の遺跡を守るロボットを手に入れ一儲けしようと企んだ宝捜し人のじいさんと主人公の弟子の会話から。こういう人間の欲望や意地汚さを扱ぅた作品は重く青臭い話になりがちですがこの作品はそういう話を(ギャグ付きで)教えてくれる傑作です。

駄弁者:
 あ、アニメ化されてたんだ…。
 一見現実をみていないようでありながら、しくじったときは自分も他人もまとめて滅ぶのだから、その場合の可能性は考える必要がない、と実にしたたかで現実的な考え方だと思います。



ダイス 「頼むっ、見のがしてくれっ。」
コナン 「船長、男だろ?」
ダイス 「お前だって今に判る。」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様 → 第34集


光が静止するほどの極めてかすかな一瞬毎に
宇宙は消滅し再び創られる…
次々と上書きされて行くわずかづつ異なる宇宙の連続が
紡ぎ出す壮大なアニメーション・フィルム…
時間と空間の正体!!

 出典: 岡昌平「APOCALYPSE NOW 3&FINAL」

紹介 :野分 様
HP :

コメント:
 おひさしぶりです。今回はコミケで購入してきた同人誌から持ってきました。
 引用元のマンガは、かつて少年キャプテンでマンガ化していた「機神兵団」の続きです。少年キャプテンでの連載は全3巻で打ち切りとなりましたが、その後も作者が自費出版(同人)で続きを創り、発表を行っていました。
 ある意味それがよかったのかも知れませんが……原作の縛りから解き放たれたAPOCALYPSE NOWの世界は、実に熱く、そして大きなものとなっています。簡素にそして複雑に絡み合う人々の思惑、宇宙を揺るがすスーパーロボットバトル、神話にも繋がろうとするストーリー展開……あまり語るのもヤボなので止めておきますが……
 引用した文句は、主人公白蘭花が仇敵に追い込まれた死の淵で覗きこんだ、宇宙の摂理を説明したナレーションです。こんな世界の捉え方があったのか……消滅と生成の間を、刹那の周期で振動し続ける宇宙……そのとてつもないイメージに、久し振りにクラクラ来ました。

駄弁者:
 「機神兵団」、もとは山田正紀の星雲賞受賞作なんですが…こっちは全10巻で完結したのかな?
 ご投稿の文句に出ている宇宙観は、イスラム教の世界観がモチーフなのかなあ、と。イスラム教では、神は一瞬一瞬ごとに世界を創造しているということになっているそうです。一回創造してその後は因果律による、というのは神の全能性にもとるというわけで。



トーモロコシガホーサクダヨ〜

 出典: 諸星大二郎「ど次元世界物語」  「アダムの肋骨」「天崩れ落ちる日」「諸星大二郎自選短編集『彼方より』」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 え〜、ちょっと重い作品ばかり投稿したのでちょっと軽めのものを投稿します。
 うっかりものの人、ものわすれのひどい人、どじな人がよく迷い込むと言われるど次元の世界に入り込んだ林元太と怒々山博士の物語、というかですね、ストーリーらしいストーリーってないんですよね、この話。「なにげなくふと存在する世界」と怒々山博士も言っていますが本当にその言葉の通りに物語が進行します。ちなみにど次元から三次元に戻るためには、「まとも行動をすればまさつがおこってもとの世界に戻れるにちがいない」と言いつつ、踊りながらこの台詞を言うのですが…。先生、「西遊妖猿伝」なんて暗くて、ハードな話を描いている端でこんな話を描いていたんですね…(遠い眼)
 ちなみにこの怒々山博士、よほどお気に入りらしくシリーズ化されているので、今まで堅い話しか知らなかった方はご一読をお勧めします。諸星ワールドの別の面が垣間見れる作品です。

駄弁者:
 今回いただいた4点の中で、既読がこれだけというのが(笑)。前に名文句のご投稿をいただいた「生命の木」が読みたくて、「自選短編集」を買ったんですが。落差が…。
 「なにげなくふと存在する」というわりには出てくる生物(怒々山博士の顔を含む)にインパクトがありすぎ。



何故俺は世の中にしかへししてやらないのだ。
猿よりあさましい人間共をこっぴどくやっつけてやらないのだ
俺の決心はにぶったのか?
いいや、俺にはできない、やはり俺が人間だからだ

 出典: 小松左京「大地底海」  「幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 SF界の大御所、小松左京の初期作品から投稿します。といっても漫画ですが。
 話のあらすじとしては…。戦争が終わり、孤児となった一組の兄弟がありました。彼らは、世のあらゆる辛酸を嘗め尽くし、貧困にあえいでいた兄弟でしたが、冷たい世間を憎む兄は弟から離れ、世界への復讐を誓うのでした。それから50年、永久機関を発明し、原子変換すら自在に操るまでの天才科学者となった兄の下に訪れた謎の人物とは?そして兄と同じく科学者となった弟に不敵な挑戦を仕掛けた怪人は?
 詳細な科学知識、人々の葛藤、そして何よりもグローバルな視点。現在の小松左京の土台がこの時点でできているのがよくわかります。

駄弁者:
 下の文句とは対をなしていますね。同じような醜さを感じていても、結論が違うのは、自分がその一員であると感じるか否かによるということで。



ナントイウミニクイ姿ダ
コレガ人間カ……
ドウシテボクハコノ動物ヲ守ロウトシタ

 出典: 横山光輝「マーズ」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 横山光輝最後の長編SFであり、「六神合体ゴッドマーズ」の原作になった作品から投稿します。太平洋上に出現した秋の島新島、そこに突如現れた少年「マーズ」、一方そのころビルに集まり、マーズの覚醒を相談している6人の男たち、彼らは一体何者か?実は彼らは、太古地球に飛来してきた宇宙人によって地球を監視してきた人造人間であり、一定の期間を経てマーズが目覚めたときまでに地球の存続を決定する役割をになっていたのでした。そのマーズが予定より100年早く目覚めてしまったため、異常をきたし人間の味方となり、監視者たちと敵対するマーズ。しかし、マーズを殺すか、六人の監視者たちが操る「六神体」を破壊されれば、やはり地球は「ガイアー」に内蔵されている爆弾によって破壊されてしまう。
 投稿した台詞は、六神体の一つによって街を破壊された暴徒たちによって受けた暴行によって「正常」に戻ったマーズがその暴徒からマーズを守るため発砲した(!)兵士たちと暴徒を見たマーズがいった言葉ですが、「コノ動物」という言い方が非常にストレートで心に残っています。その後、横山先生は、その後SFものを散発的に短編を発表するのみで、主流を中国歴史物に移します。まぁ、この時に、地球の未来がなくなってしまったため、もうあとは地球の過去を書くしかなかったのかもしれませんが。

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 アニメ版である「六神合体ゴッドマーズ」とはあまりにも乖離しすぎている原作。
 詳しいストーリーは忘れてしまいましたが、最終話に主人公であるマーズは人間を見限り、自爆して地球もろとも消滅させてしまいました。 要するにバッドエンドです。
 全巻読み終わったあと「これならアニメ版だけでいいや」という感想しか出てこなかったので、やはり勧善懲悪にしてハッピーエンドがエンターテイメントの基本ということですね。

駄弁者:
 「ゴッドマーズ」、元ネタは横山漫画でしたか。知りませんでした。
 自分を襲ったものも守ったものも、ひとしなみに「ミニクイ姿」の「動物」…。人間以外の視点から見れば、両者とも同列だったということでしょうか。



こんな力はな昔なら霊媒者とか霊感者として尊敬を集めたろうが文明の世の中ではかえってめいわくがられるとか悪用されるだけなんだよ

 出典: 横山光輝「その名は101」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 「バビル二世」の外伝的作品から投稿します。医療目的と使われるとして自らの血液を提供したバビル二世ことコードネーム「101」、かれは自らの血液によって某国の諜報機関が超能力者たちを創り出し特殊工作員として使っていることを知り逃亡、自らの血液によって作り出された超能力者たちと戦っていくというもので、ストーリー的には「忍術」と「超能力」に置き換えただけのところもありますが、その代わりに主人公の苦悩が書き込まれていて、前作の「バビル二世」とのよりも人間的な部分に光をあてているのが特徴です。
 投稿した台詞は、創り出された超能力者の情報を得るために再び研究所に乗り込んだ「101」が諜報機関によって新たにスカウトされた超能力者スペンサーを倒した後に言った台詞で、実際にその能力を悪用されている「101」の苦悩が表されていると思います。
 ちなみに、この台詞で作品の舞台が未来の出来事だということがわかります、だって私たち未だに「こんな力」を信じていますものね(笑)

駄弁者:
 外伝というより後日譚? バビル2世が研究施設で実験に悪用されるなんて、あんまり想像したくなかった「その後」ですが…。
>だって私たち未だに「こんな力」を
 とりあえず、超能力が悪用されるレベルを目指しましょう(笑)



「俺たちゃ反逆の天使」

 出典: 頭脳警察「間違いだらけの歌」  「仮面劇のヒーローを告訴しろ」に収録

紹介 :コルホーズの玉ネギ畑 様
HP :

コメント:
前略 天使とはなにかと、まず問うた。それは神の遣い。
 では神は? もちろんキリスト教の神。ということは定義上、
神父や牧師やシスターは云うに及ばず、信仰を告白して勧誘したとき、
信者は天使に転生するわけ。
 神はキリスト教では正しい者。しかし世の中には正当化のためなら何でもやる、
国家という神が存在することを忘れてはならず。
 そう、かれら頭脳警察は反逆者。一般にそのような者は堕天使といい、
実際にフォークグループ、ジャックスには「堕天使ロック」という名曲あり。
 それをリーダーでVOCAL のパンタは、それは権威・権力の側からの価値観だと。
 そんな傲慢な彼らを相対化させるために手に入れたのが、 今回のめい文句というわけで。70年代安保闘争の真っ只中にいたこのバンドでは特に、
こうした理論武装が必要なことは、想像に難くなし。
 翻ってSFはつねに新しい立ち位置を要求されるけど、
その姿勢そのものが、彼らが掴んだこの言葉に同じ。
 とはいえ日本の元気のなさという現状は、そんな傲慢な神を信じすぎたからでしょうけど。
                                  早々
PS.当初は出だしの「聴かせて あたらしい歌を」と思ったのですが、
インパクトを考えて差し替えた事情は、蛇足かな。

駄弁者:
 立ち位置の共通点だけでSFの名文句、というにはちょっと辛いと思うのですが、それはおいといて。
 この「天使」たちが一番輝いて見えるのは、反逆の対象たる「神」が圧倒的な権威・権力を保っているときなんじゃないでしょうか。その神が本当に相対化されてしまったとき(…私はすでにある程度そうなってしまっているんじゃないかと思えるのですが)、反逆した天使たちは自分の立ち位置をどう定めるのでしょうか。



「そうです!! 宇宙戦艦ナデシコ!!
 よろしくお願いしまぁっす!!」

 出典: 麻宮騎亜「遊撃宇宙戦艦ナデシコ」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 アテネ五輪・女子サッカー「なでしこジャパン」に見られるように、やはり「なでしこ」というネーミングには、日本人の心の琴線に触れる何かがあるのでしょうか?
 (まぁ、「言ったモン勝ち的な命名が、いつの間にやら既成事実化」なんて、民間企業製作・所属の艦艇だからこそ、許されるのかも知れませんが)
 アニメ『機動戦艦ナデシコ』のキャラクター原案を担当した、麻宮騎亜氏によるコミック版より。
BGM:「ヤマトナデシコ七変化」小泉今日子

駄弁者:
 意外とこれが初登場の「ナデシコ」。
>人の心の琴線に触れる何かが
 ほかは長嶋ジャパン、山本ジャパン、柳本ジャパンだったのに、ここだけ上田ジャパンじゃなかったのは、それが理由だったのでしょうか。…違うと思うけどなあ。



このように他の生物を体内に取り込み
その肉を熱量に変換しつつ優れた形質は己れの物とし…
より完全な戦闘生物をめざして進化を続ける…
これが今の私だ!!

 出典: 高屋良樹「強殖装甲ガイバー」

紹介 :ARC 様
HP :

コメント:
 はじめまして。以前から拝見してましたが今回より投稿させていただきます。
 皆さんご存知でしょうがガイバーより戦闘生物アプトムの宣言です。
 この後次々にゾアノイドを吸収し遂にはガイバーと同等の戦闘力を持ちガイバーTの協力者となっていく…ライバルの王道ですね。
 作品中でも中でも一、二を争う位好きなシーンなので初投稿に使ってみました。

駄弁者:
 すいません、未見です。22巻も出ているんですね…。
 肉体的には無理ですが、頭脳的なことなら生身の人間でもこのようなことはできるよな…と、ふと思いました。



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