SF名文句・迷文句第103集

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「すいませえん
 下着洗わせてください
 くださあい」

 出典: 山田章博「多麻能美須麻流」

紹介 :猫狗 様
HP :
http://www16.ocn.ne.jp/~kaisyuu7/

コメント:
 こんにちは。
 古めのマンガから投稿させて下さい。
 魔法使いの住む家の壁に突如、手足を生やして、「ここから出してくれ」と言うプレアデスから来た、と名乗る宇宙人。
「助けてくだされば下着でも何でも洗ってご恩返しをいたしませう」
と、宇宙人、懇願。
拒む魔法使い。
「芸者でもやって稼ぎな。いい旦那でも見つかれば人並みの幸せがつかめるというもんだ」
いきなり宇宙人に芸者になれ、と言うのもなんですが、「下着洗わせて〜」と言われて魔法使いが拒む気分も分からないじゃない。
いつまでも付きまとっていられたら自分の下着の中身まで洗われそうな気がしたんじゃなかろうか、と。
マンガは、今はイラストレーションを主に活躍しておられる山田章博氏
初期の絵は美麗、の一言に尽きます。相反してシュールなマンガの内容は80年代の流行り、だったからかもしれません。

駄弁者:
 プレアデスならではのすごい洗い方でやってくれるなら、洗わせてやらないでもないけど。



「宗教はどれも人間が創ったもの
    そして、どれも正しいもの」

 出典: 手塚治虫「火の鳥 太陽編」

紹介 :一志 様
HP :

コメント:
これは僕が小学生の時に教室にあったのを読んで、
これを読んだ瞬間、何故宗教戦争が起こるのかを理解しました。
(ちょうどこの話では仏教が入ってきて、地元の神様と戦争になります。火の鳥は主人公に未来の宗教戦争を見せ、「こんなにひどい戦なのに何故止めない」と、聞いた時にこう言います)

駄弁者:
 どれも正しいものなのに、自分が信じているもの以外は正しくない、としてしまうから戦争になるのでしょう。
 かといって、あっちもこっちも正しいとしていては、そもそも宗教が成り立たないのかも知れませんが…。



そうかい、一年戦争で何もかもなくしたと思っていたが…そうかい、こうも身ぐるみ剥ぐかねぇ…情けないねぇ…。

 出典: 大熊朝秀脚本「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY CDシネマ2『宇宙の蜉蝣』」

紹介 :龍牙 様
HP :

コメント:
 同じお話からもう一つ。
 乱戦の中、シーマ・ガラハウは四年間共に生きてきた部下達と乗艦「リリー・マルレーン」をも失います。かつて故郷を失い(彼女たちの故郷、スペースコロニー「マハル」は貧民層が多いコロニーで、軍によってコロニーごとレーザー砲に改造されてしまいました)、所属していた軍からは拒絶され、行き場を失った彼女にとってみればそれは最後に残されたたった一つの拠り所でした。それまで無くした彼女はそう泣き笑いのように呟き、最後にこう叫びます。「今こそ私は戦うんだ、何者にも縛られず!それで満足だろうっ!」そして宇宙の塵になる訳ですが…この物語を聴いた後、大義を振りかざすアナベル・ガトー少佐ら「格好いい」キャラ達が妙に空疎に見えたのは、影響されすぎなんでしょうか?

駄弁者:
 下でマハルの住民を強制疎開させたときのギレンのセリフを掲載したところです。彼女らはそもそもの最初から「大義」の犠牲にされ続けてきたわけですね。



汚らわしいっ!!

 出典: 大熊朝秀脚本「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY CDシネマ2『宇宙の蜉蝣』」

紹介 :龍牙 様
HP :

コメント:
 戦争中、二級市民の荒くれ部隊を率い、毒ガス作戦だの何だのと腐れ仕事ばかり押しつけられ、それでも命令に従い戦い続けた女指揮官。敗戦後、逃亡する上官からは汚名だけを押しつけられて捨てられ、帰るべき故郷も奪われ、半ば海賊にまで身を落として四年の長きを生き抜き、そして訪れた復讐の機会…日の当たる道ばかり歩いてきて大義名分と美辞麗句に酔い、「大義のため」とやらに作戦を起こした男達を土壇場で裏切り横面を張り飛ばす…しかし拳銃を突きつけた相手は、腹心の部下に自分を撃てと叫びます。「大義のため、我が屍を乗り越えてゆけ」と。最後まで自己の大義に殉じ、命までなげうとうとするその姿は、彼女…シーマ・ガラハウ海兵中佐にとってはひどく汚らわしいものに映ったことでしょう。彼らの陰で汚れ仕事に手を染め、蔑まれ裏切られ、故郷さえ奪われ、僅かな部下達とただ生き抜く為に四年間彷徨した彼女にとっては。

駄弁者:
 表面だけを見ればシーマの生き方のほうが「汚らわしい」とされるところが、裏か見ると逆になる。なかなか味な設定だと思いました。
 彼女の立場からみればデラーズの「ジーク・ジオン」もガトーの「ソロモンよ!」もそらぞらしいものにしかならないでしょう。



ブラックデビルさん、地球を救ってください。

 出典: フジテレビ制作「オレたちひょうきん族・TAKECHANMAN」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 地球侵略を企み、集結した地球防衛軍(月光仮面や科特隊のアラシ隊員など)をも蹴散らした凶悪なガチンコ星人、地球最後の砦となったTAKECHANMANは、地球を砕かんと衝突してくるガチンコ星を辛うじて受け止めた、だがガチンコ星人の走狗となったブラックデビルが迫る。
 その時物語とは全く関係なく登場した女の子が上記の台詞を口にする。
 胸を打たれたブラックデビルは手のひらを返したようにガチンコ星人を射殺、地球は救われる(以上、基本的にギャグ抜きで語ってみました)。
 70年代のストーリーテラーはみな頑固で、余程のドラマツルギー的背景を持つ者以外は、敵を寝返らせて味方と共に戦わせることはしなかった。ハカイダーもドロンボー一味も市川治美形悪役も、どんなに視聴者が期待してもヒーローと共闘するほどには堕落しなかったのだ、だが80年代以降は違う。そして今や、子供向けに限らず、映像世界の美形悪役が寝返ることは既定の事実である。
 でも結局そこにはドラマの深化もキャラクターの開花もなかった。
 ベジータでもウルトラマンアグルでも、寝返り型ヒーローの本質はこの、ブラックデビルと大差ないわけで、その点ではお笑い系ヒーローの先進性(というか、正直さ、かな?)には脱帽するしかありません。

駄弁者:
 いや懐かしい。「8時だよ全員集合!」に飽きてきたぐらいの頃に始まったこの番組は、ちょっとした衝撃でした。
 今では世界に冠たるビートたけしが、あんなカッコをしていたのかと思うと…
 敵が常に絶対的な悪の権化でなく、彼らの信念や状況によっては共闘もできるというのは、ドラマを深くできる要素になりうるはずなのですが…コメントはなかなか手厳しいですね。
 共闘そのものが「堕落」なのではなく、あくまでイレギュラーな事態であるべき敵役との共闘が、「お約束」になってしまったことがそうなのではないかと思います。



「鳥め!」

 出典: 手塚治虫「火の鳥・宇宙編」

紹介 :u16 様
HP :

コメント:
 二本足直立歩行の鳥進化系宇宙人フレミル人・ラダに対して、遥か遠く彼等の住む星を調査しに来た主人公の牧村が放ったのが上のセリフ。変節を経て、相思相愛になった二人。異種族の垣根を越え、結婚までしながら、牧村は自ら作り出した地球での過去、その歪んだ愛の幻影に容易く誑かされ、人ならぬ非道に手を染めてしまう。
 101まで読了するのに随分掛かりました。非常に良きサイトですね。
 セリフは、読み進める中でちょっと思った事について手前味噌気味に。
 兵器に人の姿と自意識を持たせるのは悪趣味である、との事。確かにその通りであります。
 対面戦闘の場合、殺意を容易く行動へと誘い、後押しさせる要素の最たるものは、対象を、人と認識、意識しないよう思想的洗脳を施す事である。私はそう考えます。実際に人の姿をしていない(視覚的)、人の皮を被った悪魔・異教徒(狂信的)エトセトラエトセトラ。
 平松伸二作品よろしく、裸に兎のマスクを被らせて、ハンティングを楽しむように。相手が戦車に乗ってようと丘の向こうに見えまいと、殺す事には変わりないんですが、人としての形を認識しづらいというだけでも、良心の呵責は儚く薄らぎ、果てには安易に取り払われてしまう。時に、人の形を取っていてさえ、瞳に映る姿さえ否定してしまえば…。
 上記作品では、牧村は、遠く母星から離れ孤独に荒れていた自分を癒してくれた人々を、愛した相手を虐殺し、その死肉さえを口にする。彼の良心のタガを外した何か。この一言こそが凝縮していると思います。
 自ら傷ついて血を流し、痛みを知り、生物の死に触れた事のある人間ならば、(昨今の子供達は、自ら痛みを知る機会が極端に奪われてる気がしますなぁ)やはり肉眼で認識する人の姿をした何かを、能動的に殺そうと試みるのは常態では難しい。(ゲームのそれは所詮、子供がするような残虐人形劇かなーとか。昆虫殺戮しかり)
 兵器を人型に似せて自意識を持たせるのは、機能的には悪趣味ですが、敵味方問わず、殺意を多少なりとも抑制させ、いざ行為に移った瞬間、或る境界線を踏み越える事を自覚させる事ができましょう。
 異状にあって、人の心の有り方を保っていく上では或る種意義有る行為なのかな、とも。
 人を連想させる何かにさえ平気で銃口を向ける。人を人として認識しない。すなわち狂気かな、と。
 とはいえ、遠い未来に無人戦争やら画面戦争になったらあまり意味無いか。ん? 無人なら人死が出てないしいいのか。画面だと、今現在そうありつつあるなぁ。
 いっそサッカーか将棋で決めちゃいなさいよ、というわけにもいかず。
 人も所詮本能の性から逃れられず、滅亡する寸前に至るまで、お互いを殺し合う生物の端くれなのでしょう。
 同一種として、特定個体を自集団から攻性排除を行うか否かの進化の境界線。どこにあるのでしょうねぇ。

駄弁者:
 長文のコメントありがとうございました。また、当サイトもおほめにあずかり、恐縮です。
 結局、人が誰かを(異邦人であるか異星人であるかを問わず)同胞と感じるか否かには客観的な根拠などはなく、心のありよう次第ということでしょうか。カード「死者の代弁者」でも同じようなことがテーマになっていました。コメントを読んで「異人性の4等級」を連想したもので…。
>兵器を人型に似せて自意識を持たせるのは…
 戦う相手を躊躇させるための人型というのはあり得るかも知れませんが…。しかしそれが目的であれば、自我を持っているかのように見えればいいのであって、本当にそれを持たせる必要はありませんよね。



ワタシに不可能なことはない。そんなに沢山は。

 出典: 青山智樹「レイカ地球防衛ファイル『怒る大誘拐』」

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 「地球史上、最もくだらないワースト・コンタクト」(と帯に書いてある)を描いた小説、「お茶くみスパイ」レイカを主人公とするどたばたシリーズ第2巻です。(ところでシリーズ名は何なんでしょうね。1巻(【お茶くみスパイ】レイカの事件簿)と2巻で違ってるし。)
 このセリフは、シリーズレギュラーの「どこに出しても恥ずかしい」マッドサイエンテンティスト青木の決めゼリフ(?)です。ほんとは第1巻にも出てきますが、とってもドベな国立大学付属高校(附属ではありません。為念)の授業風景がしみじみ身につまされる2巻の方がお気に入りなので、こちらから引用させていただきました(笑)
 青木先生と作者がとっても似ているような気がするのは、あくまでも「気のせい」だそうです。

駄弁者:
 こういうのは正直というべきなのか、図々しいというべきなのか…。  出典の著者は架空戦記で名前を覚えていたのですが(読んだことはないのですが)、こういうのも書いてたんですね。



「目がぁ、目があぁぁぁぁ!」

 出典: 宮崎駿監督「天空の城ラピュタ」

紹介 :龍樹 様
HP :

コメント:
 連続投稿失礼します。アレがきたらコレがこないわけにもいかないので。
 コレこそ、本当に説明の必要はないでしょう。とりあえず、目にゴミが入ったときにコレを言わない日本人は嘘です。
 映像作品なので台詞の(というか絶叫の)表記には様々な方法があるかと思います。

駄弁者:
 そりゃ言うかも知れませんが、別にムスカとは関係なく口にするんじゃないでしょうか…。



「見ろ、人がゴミのようだ!」

 出典: 宮崎駿監督「天空の城ラピュタ」

紹介 :龍樹 様
HP :

コメント:
 かつてこれほどまでにネタにされた台詞があったでしょうか。政府の密命を帯びてラピュタ探索の指揮を執りったムスカ大佐。しかし実は本名をロムスカ・パロ・ウル・ラピュタといい、ラピュタの王家に連なるものだったのです。
 非情な論理的思考回路を持ちながらも、シータに酒瓶で殴り倒されたりとシュールな活躍を見せてくれる、おそらく宮崎アニメ屈指の悪役にして最も人気の高い男です。
 台詞は、もはや説明の必要もない、軍人たちを罠に嵌めて海へと落下させているのを見ているシーンです。実に楽しそうに言ってくれる鬼畜です。

駄弁者:
 高いところに登るたびに、このセリフを口にするのが常だった友人がいます。
 こういう人に限って、高所恐怖症だったりしますが。
 ムスカについては、悪役は間違いのないところですが鬼畜というより、野心があまりにもうまく叶ってしまったばかりに狂気に陥ったインテリ小悪党というイメージをもっています。



秋祭りに本当の神など必要なかったのだ。
なぜなら、ここでも人間こそが神だから。

 出典: 菅浩江「秋祭り」  「五人姉妹」に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 後継者難の農場に見学にやってきた絵衣子は、そこで行われていた秋祭りのご神体は無いのかと尋ねる。人間がDNAレベルで作物を選別するこの時代でも、他ならぬ「ひとつ」を望んで慈しむ神を信じたくて…。だが、その思いは叶うことはなかった。
 彼女が願っているのは農作物についてだけではなく、他ならぬ自分が選ばれて生まれた意味を見出すことなのですが…。
 クローンイネの豊作を見て無邪気に感動するもう一人の見学者・ムサシと絵衣子の鬱屈との対照も面白い作品でした。



せっかく減った人口です。

 出典: 富野喜幸監督「機動戦士ガンダム」

紹介 :汗(はん) 様
HP :

コメント:
 地球連邦とジオン公国の間で勃発した戦争は、想像を絶する人的被害をもたらした。
 この迷文句はジオン公国の実権をほぼ掌握しているジオン家の長男ギレンが、父デギンに言った台詞ですが、いつごろの会話だったか、思い出せません。戦争で多くの人々が命を落としたことを、もっけのさいわいであるごとく言う非道い台詞であり、決して「名」ではなく迷文句です。
 ところが、人類が地球に大きな負担をかける存在であり、人口爆発が憂慮される現在、戦争や災害でたくさんの人々が死んでいくことを悲しみながら、心のどこかにギレンのこの台詞が浮かんできて、我ながら嫌な気分になるのです。
 人口抑制の言いわけに利用してはならない、忌むべき文句です。

駄弁者:
 たしか話の終わりの方に出てくるんじゃなかったでしょうか。…調べてみたところアニメの第40話、ソーラ・レイ使用のためスペースコロニーに住む150万人を強制疎開させる措置の事後承諾を得にきたギレンのセリフでした。「これ以上増やさずに優良な人種だけを残します。…」と続きます。これを聞いたデギンの「貴公はヒトラーの尻尾だな」という評も有名ですね。
 戦争で減るような人口減少は、減少する人間の年齢構成や性別がいびつで、長期的には結局プラスにならない…のではないかと思いたいです。



これが、俺の最高のサウンドだ!!

……馬鹿野郎……

 出典: 林宏樹企画・原案「課長王子#5 『輝ける日々』」

紹介 :CrossBone 様
HP :

コメント:
 宇宙のどこかで繰り広げられる正義軍と敵軍との戦争。戦争は長引き、劣勢に立たされる正義軍艦隊。
そんな中、地球から流れてきたハードロック・ギターのメロディが、共和国の保有していた未知の兵器を作動させた!
その音の源はしがないサラリーマンで課長補佐、田中王子のギター。王子は昔、伝説のカリスマバンド、「BLACK HEAVEN」のギタリストだったのだ。
 というのがこの作品の大まかなあらすじです。「バルキリーの出ないマクロス」と言ってもいいかもしれません。
正義軍少佐のレイラは王子にギターを弾いてくれるように頼み、王子も灰色の人生から抜け出せると意気込みます。
 そんなある日、新曲を書き上げた王子は意気揚々とステージでその曲を爪弾きますが、音で起動するはずの兵器はまったく反応を見せず、ついには演奏を中断されてしまいます。
ここで王子はレイラの口から自分が兵器の起動の鍵でしかないこと、今までライブハウスだと思っていたステージが、実は宇宙戦争の最前線であったことを知らされ愕然とします。
 それでもなお「いつもの曲を弾け」と怒鳴られた王子はステージの床に愛用のフライングVを叩きつけてへし折り、この台詞をはき捨てます。  平凡な人生を抜け出した瞬間に裏切られる虚しさを表した台詞といえるかもしれません。

駄弁者:
 バルキリーが登場しないことと、ミンメイのポジションをおっさんが務めていることと、どっちが気になるところか微妙です。



「五飛(ウーフェイ)、教えてくれ。俺は、あと何人殺せばいい…?
 …俺は…あと何回、あの子とあの子犬を殺せばいいんだ…」
「ゼロは俺に何も言ってはくれない…教えてくれ、五飛!!」

 出典: 矢立肇原作・青木康直監督「新機動戦記ガンダムW劇場版 ENDLESS WALTZ」

紹介 :戸成秋来 様
HP :

コメント:
 ガンダム史上(もしかしたらアニメ史上かも)、これほど衝撃的な作品はないと思われる「新機動戦記ガンダムW」劇場版より。
 この名文句を吐いたのは、サントラCD『OPERATION1』のキャラクター紹介において「今後も何をしでかすか判らない男」と製作者にまで公言されていた主人公、ヒイロ・ユイ。
 かつて任務に忠実な「完璧な兵士」であろうとし続けた彼は、平和な時代を迎えても戦場を忘れられない戦友の五飛に向かって問いかける。
 昔、任務に巻き込んで死なせてしまった民間人の女の子と、その飼い犬の事を思い出しながら。
 きっと、現実世界で今この時も戦い続けている兵士の心にも、こういう疑問があるのではないでしょうか。
 では、長寿と繁栄を。

駄弁者:
>今この時も戦い続けている兵士の心にも、こういう疑問が…
 いや、どうでしょう? そういう心を持ち続けているほうが人としては正しいのでしょうが、当人にはどうしようもなく不幸なことですし…。
 「命令だった」「正義のため」という理由づけが鎮痛剤なり脱出路なりを提供するんですが。これも昔ほど効き目はなさそうですね…。



しんぱい ごむよう! みねうちで ござる!

 出典: ADK製作「ニンジャコマンドー」

紹介 :春休船 様
HP :

コメント:
 毎度、楽しく拝見して居ります。(^^)
 投稿したい名文句を推敲するのに日々悩んで居りますが、今回は迷文句で行きましょう。
 今回のお題はゲームより。歴史をねじ曲げた悪の組織を叩き潰す為、3人のニンジャ(あえて片仮名書きします)が活躍するという、シューティングゲームです。知る人ぞ知る、怪しさ炸裂しまくりの世界ですので。迷文句のみで世界を構築してると言っても過言じゃ無い気が。(笑)
 詳しくはこちらで紹介されて居りますが、かなり秀逸な紹介ですので一見の価値有り。但し、他のADK作品を知らないと判らない部分もあります。
 で、この迷文句はニンジャの一人、リュー・イーグルが信長(?!)を爆死させた挙げ句に言い放つ一言。もぅ、ツッコミまずには居られない程強烈な台詞です。第一、峰打ちやないやん!
 この台詞を実生活で使う場合、(深刻では無い)失敗を糊塗する際などに使えるでしょう。尤も、言った直後にドツかれても私は関知しませんが。(笑)
 まぁ、SF(ファンタジー等と言い換えても可)には、「ありえねー!」という状況に「あります!」と説得力を持たせる効力がある訳で。その「ありえねー!」状況が展開する様を楽しむのも醍醐味の一つと思いますけどね。(^^)
 例えば。辺境の惑星にほぼ裸一貫で集団難破した挙げ句、宇宙船造って脱出してしまうって話とか。「ありえねー!」けど、SFだから許そうって気はします。(笑)
…しかし、このニンジャ共の行動はSFがどうとか言う以前に「ありえねー!」のですが。(^−^;
(蛇足:上記の例はキャプテンフューチャー・シリーズの「宇宙囚人船の反乱」より)

駄弁者:
 リンク先の作品紹介は面白かったです。戦国日本−>原始時代−>エジプト−>中国という進行は、タイムスリップと言うにはあまりにシュール。「ありえねー!」状況に対する説得力は…その場の勢いを除けば皆無なんじゃないかと思いますが。



「きみの名前、なんてんだっけ」
「!?」
「名前」

 出典: 新城十馬「蓬莱学園の初恋」

紹介 :贋 様
HP :

コメント:
 はじめて投稿いたします。
 作品は富士見ファンタジア文庫の古典『蓬莱学園』シリーズの最初の作品からです。
 これは実在のネットゲーム(葉書でやるやつ)を元ネタに、オリジナルストーリーで小説にしたものです。「蓬莱学園! /東京から2500キロ、南洋に浮かぶ宇津帆島。島ひとつがまるごと学校になっていると思ってくれればいい。海と山、港に飛行場、原発に謎の怪獣・・・・・・そして10万人の生徒たち!一筋縄じゃいかない連中ばかり、一触即発の青春無法地帯。/春4月、新入生の朝比奈は純一は、学園遊覧の飛行船から覗いた双眼鏡に映った少女に一目惚れ。/「あの娘を見つけるんだ!」/不屈の情熱(だけ)を武器に、初恋の君を追う純一が巻き起こす、前代未聞のノンストップ・スラプスティックアクション!」(解説文より)という破天荒な設定の代物。
 学園は生徒会が取り仕切っており、教師よりも権限が強いという、昨今ではありがちになった設定のさきがけ的なものですね。で、物語が進むにつれ、彼女は2級生徒と呼ばれる、有力生徒やクラブの裏仕事をさせられている、学園生徒会からは存在を公式に認められていない種類の生徒であるということが明らかになります。物語のラストで学園裁判がおこなわれ、仕事に失敗した彼女は、かつて学校に脅威を与えた組織の一員とされ、被告席に座らされます(失敗すれば、おそらくは死が待っています)。そこで朝比奈純一が決死の救出を敢行し、2級生徒の存在を公表する大演説をおこなうと、「実は私も2級生徒だった」という生徒たちが出てきて、会場は大混乱に陥ります。
その混乱のなかで、ようやく朝比奈は彼女に会うことができ、つきあってほしい、ということを切り出します。ただ、2級生徒として汚い仕事をしてきた彼女は、見ず知らずの自分を追いかけてきた純一を前に多少脅えています。そんなときに純一はひとつの質問をしたいと言い出します。やはり自分の過去の仕事のことを質問されるのだろうかと思いながらも、勇気を持って答えようとする彼女に言ったのが、うえの台詞。
彼女の過去のことなんか、純一はぜんっぜんっ気にしてなかった、と云うわけで、初めてこの本を読んだとき(10年くらい前で私は13歳前後でした)思わず「やったあ」と呟いたことを覚えています。
この後のラスト6行が、これまた素晴らしいです。

駄弁者:
 丁寧な解説、ありがとうございます。今だったらMMORPGになっているところでしょうか。
 このように惚れた女性をストレートに追いかける主人公というのは、今のライトノベルではだいぶ少なくなっているんじゃないでしょうか(…少なくとも、これが刊行されていた頃よりは)。なぜか惚れられるという方が、今は多いかも。



「つまんない、せっかくもっともらしいりゆうでうちまくれるとおもったのに。」

 出典: あずま勇輝「SDガンダムフルカラー劇場」

紹介 :吉本 様
HP :

コメント:
 この作品はパロディに近い作品なので反則かなと思いましたが投稿いたします。
 この作品は身長50センチメートルくらいのSDモビルスーツ達(たまに人間)が暮らす不思議な世界。
 その世界で起きる色んな事を描くドタバタ四コマギャグなのですが色んなところが変なのです。具体的に言うと「じおん」と「れんぽー」(あくまでひらがな表記)の仲がなぜか妙に良かったり
モビルスーツの血縁になぜか人間がいたり
コロニーの中になぜか台風が発生したり
他にもあげれば枚挙に暇ありません。
 投稿はそんな世界のガンタンクのセリフです。彼?は背中のキヤノン砲を撃ちまくるのが大好きなのですがそんな機会がなかなかありません。
 その時たまたまやってきたシャア(シャア専用モビルスーツの総称。その時々によって変わる)を挑発して仲間達を巻き込んで戦闘を始めようとするのですが、冷静になったシャアをはじめ敵も味方もやる気をなくし結局いつものグダグタモードになってしまいます。それに怒った彼?はその場の全員を吹っ飛ばしこんな空恐ろしい本音を吐きます。
 なお、彼?はこの世界における最強のモビルスーツで、サザビー状態のシャアやジOも彼?の前に一撃で破れ去っています。

駄弁者:
 いや、わたしもどうしようかとは思ったんですが、パロディは銀英伝やウルトラマンも出ていますし、ぢ体大なんかもありましたし。今回限りということで。
 モビルスーツとしても戦車としても半端もののガンタンクが一番強いというのも、これぐらいなのでは?



「いやぁ…そりゃ、今のわたしは喉から手が出るほどお金が欲しい。でも、遠慮させてもらいます。
 わたしには今は、何も残っておりません。残っているのは一時代の成功者としての華々しいお話だけです。
 でもね、こんな姿で奉行所に行けば、あれが噂の紀伊国屋か、あれが落ちぶれた紀伊国屋かと、わらわれます。
 そうなりゃ、語り継がれている話もキズがつきます。
 わたしはすべてを失った。でも、話くらいは残しておきたい」

 出典: 横山光輝「時の行者 『吉宗の倹約政治の巻』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 徳川時代、五代将軍綱吉の治世に現れた時の行者は、紀伊国屋文左衛門と出会い、お金を撒き散らしたり、金の盃を川に流したりする豪勢な遊びに驚きます。しかし、地震と火事に焼け出された人々を救おうともせず、材木の値段を吊り上げようとする文左衛門に怒りを覚え、そのまま立ち去ります。
 その後、幕府の貨幣改鋳事業に手を貸したために没落した文左衛門は、八代将軍吉宗の治世に、再び時の行者と巡り合います。
 今は乞食同然の身の上となった文左衛門は、時の行者とコンビを組んで、盗賊団を捕まえます。
 その時、時の行者から、「こいつらを奉行所に連れて行けば、きっとご褒美がもらえますよ」と言われて、答えたのがこのセリフです。
 虚勢と言えば虚勢かもしれませんが、文左衛門のサバサバした顔を見ていると、ふと、羨ましいような気分にもなります。  以前はお金以上に大切なものはないと言い切っていた文左衛門が、それより大切なものを見つけたということなのかもしれません。
 2話に亘って登場した歴史上の人物はこの人だけなので、横山先生にも思い入れがあったのかもしれません。

駄弁者:
 金より大切なものを見つけて変わったというよりは、栄華の中にいたときも没落したときも、変わらず持ち続けている男の矜持という感じがします。作品のほうは全然知らなくて、ご投稿のセリフをみた印象だけなのですが。



「もしあの行者が他国へ行き、賤ヶ嶽の戦いは秀吉が勝つと言ったらどうなる。
 俺の敵となる人間は賤ヶ嶽で戦うだろうか」

 出典: 横山光輝「時の行者 第1話『謎の少年』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 時の行者と名乗る少年が突然、織田信長の前に現れ、武田信玄の死と本能寺の変を予言し、レーザーで樹を炎上させるなど、数々の不思議な行いを見せた。
 それから10年。光秀を打ち破った秀吉は、再び時の行者と巡り合い、歓待する。その席で、これから自分が賤ヶ嶽で織田家の重臣と戦い、勝利することを告げられ、大喜びする。
 しかし、後で1人になると、投稿のセリフをつぶやき、“確実な未来の予言”を世に広めることの恐ろしさに震えるのであった。
 というわけで、日本で最初にタイムパラドックスの原理を見抜いたのは豊臣秀吉だったようです(笑)  秀吉はそれまで人の良いオヤジみたいなキャラだったのが、突然権力欲に取り付かれたドス黒い人間に豹変する様が、なかなか興味深かったです。
 時の行者と名乗る少年は、はるか未来の世界からやってきたタイムトラベラーだったわけですが、その後、数十年ごと(少年からすれば数十日ごと)に歴史の中に現れ、様々な歴史上の人物と遭遇していくことになります。

駄弁者:
 そこで敗れると知りつつ、どうしようもない歴史の流れで賤ヶ嶽に追い込まれていく柴田勝家…というのも、これはこれでドラマになりそうです。
 そして人間の力では変えられないものがあると知った秀吉の虚しさが、天下を取った彼の晩年の狂態へと繋がっていく…って、勝手に話を作ってますが。



あれがわれわれを培養しているのだろうか?

 出典: アイザック・アシモフ「人間培養中」(美濃透訳)  「夜来たる」に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 宇宙が高次の存在にとっての実験で、自分たちはそれに培養され、今は滅菌されようとしているのではないかという強迫観念にとらわれた科学者。彼を診察した精神科医は、培養した細菌も人間にとって危険な存在になり得る──と説得し、科学者は携わっていたプロジェクトを成功に導く。だがその直後、彼は自殺するのだった。
 投稿したのは物語のラスト、精神科医が星を見上げてつぶやいたモノローグ。今読んですごく面白い作品とまでは言えないのですが、この言葉だけが頭に残っていたものです。
 ちなみに「夜来たる」の巻末解説によると、アシモフ自身のお気に入り短編では「夜来たる」が10番目で、この「人間培養中」が7番目だとのこと。



アリスは自虐的な笑いを漏らした。あーあ、こんなゲームに戻るんじゃなかった。前に思っていた通り、サイエンス・フィクションでも書いていればよかったわ。女だからといって色眼鏡で見られない様に、男名前のペンネームまで考えていたのにな。

 出典: 佐藤大輔「征途2 アイアン・フィスト作戦」

紹介 :青 様
HP :

コメント:
 初めまして。検索したら登録されてなかったので、投稿します。
 ヴェトナム戦争まっただ中、CIAの写真分析官に復帰したミズ・アリス・シェルドンは、後にテト攻勢と呼ばれる大規模反攻作戦の兆候をつかむが、この情報は和平が順調だと主張する現政権に握りつぶされることが濃厚なのを察知してこうぼやく。
 念のために補足しておきますと、アリス・シェルドン女史が考えていたという男名前のペンネームとは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアといいます。
……ということは、この世界のSFファンはコーティーに出会うことはできないのかも。

駄弁者:
 ハインライン提督閣下も出てくることだし、この分だと中国を補完する軍事顧問にラインバーガー先生がいそうな…。この世界のSFはちょっと寂しくなりそうですね。



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