SF名文句・迷文句第136集

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信じていたものと ものの形が違った時 人は絶望する
それは宇宙のどこへ行っても同じだ
このことは 宇宙の開拓が始まって以来
何度も人々が体験している……

 出典: 松本零士「銀河鉄道999 『ヤミヤミの姉妹』」

紹介 :舫(もやい) 様
HP :

コメント:
「ヤミヤミの姉妹」で出てきた言葉です。
 思うに、別に宇宙の開拓が始まらなくてもときどき起こっていることでは?
 日常でもよく体験することのような気がします。  で、絶望しないときには、そのものが見えてなかった場合だけかも?

駄弁者:
 暗闇に包まれ、人が互いの姿さえ見ることができない星『ヤミヤミ』。そこで人工太陽が打ち上げられたとき…という話。
 確かに、日常的にもよくあることですね。小さい頃から夢だった職業に就けたはいいが、思っていたのと全然違うと意気阻喪するとか。
 そう言えば、鉄郎も「機械の体を手に入れる」という自分の目的が、信じていたものと全く違うことに気付かせられるのですが……彼は、強かったですね。



「……オレは――エッカーマン博士のように……機械(マシン)を人間のようにあつかうのはキライだ
 ……機械(メカニズム)がしばしば人間をうらぎることは――
 ……機械(メカニズム)を身体に埋め込まれている
 ――身体の半分以上が機械(メカニズム)の……オレたちが一番よく知ってる!!
…(中略)…
 ……チクショウ オレはこの<未来都市(コンピュートピア)>を見ていると……
 反転したオレたちを見ているような気がするんだ!!」

 出典: 石ノ森章太郎「サイボーグ009 未来都市編」(文庫版20巻)

紹介 :万太郎 様
HP :

コメント:
 すべてをスーパーコンピュータで管理された実験未来都市の中で、起こるはずの無い事故に見舞われた004(ハインリヒ)が、コンピュータが自分に殺意を抱いていると感じ、機械を人間的に扱う事を危険に思いながらも思わず人間的に感情移入してしまう矛盾に葛藤しながら吐いた台詞です。
 「サイボーグ009」にしろ「仮面ライダー」シリーズにしろ、単純な勧善懲悪だけでなく、登場人物がこういった半人半兵器ゆえの苦悩を見せるところが物語に深みを作っていると感じるのですが、これはその象徴的な台詞だと思います。

駄弁者:
 「人間をうらぎる」という言葉がすでに「機械を人間のようにあつかう」ことになっているのですが、その矛盾に004自身が気づいて苛立っているというあたり、深いですね。
 最終的には、エッカーマン博士の亡くなった息子の感情が、スーパーコンピュータの心理回路のベースとなっていたことが判明します。機械そのものより、機械の内部にある人間が、事件の元凶だったというわけで。人間に機械を埋めこむことはしても、機械に人間を中途半端に埋めこむことはしてはいけない、ということになりますか。



いや余計に分からなくなったんだが
その、まるで全くその、逆ということは反物質で作られた私は
女性ということか!?

 出典: 武上純希脚本「ウルトラマンガイア第14話『反宇宙からの挑戦』」

紹介 :いせやん 様
HP :

コメント:
 マイベストウルトラマンのウルトラマンガイアからの名言です。ネクサス程暗すぎず、マックス程ふざけ過ぎず、ネクサス程変えすぎずメビウス程昔の栄光にしがみ付かず、このくらいが丁度良いと思うんですが…… どうも今のウルトラマンは平成三部作で育った世代の自分にはなじめません。
空中基地エリアルベースの空中食堂に本気で憧れたあの頃が懐かしい……
 さて、この回に登場する怪獣のアンチマターは地球を反物質化してから反物質と物質を隔離するシールドを消す事で物質と反物質の接触のエネルギーで今の宇宙を消し、2分の1の確立で反物質の宇宙を創ることを目的で異次元に封印された反物質宇宙からやってきた怪獣です。
 昔はこの不気味な設定が怖かったものですが、そのシールドは何でできてるんだとか物質と反物質の反応の際消費される質量は反物質の方が多いからアンチマターは自爆しても結局無駄死にになるとかそんな事を考えずに素直に怪獣を怖がっていた頃が懐かしい…… SFファンの悲しい運命ですなあ。

駄弁者:
>反物質で作られた私は女性
 じゃあ何ですか、男と女がキスしたり抱き合ったり(以下投稿者未成年のため自主規制)したら対消滅ということに(笑)。第一子はガンマ線ですか。
 そう言えば、反物質の女性が出てきたアニメありましたねえ…もうかなり昔のことですが。最後は巨大戦艦に特攻しましたけど。



ドラちゃんが連れて行って下さるのなら安心だわ、行ってらっしゃい。

 出典: 藤子・F・不二雄「ドラえもんのび太の海底鬼岩城」

紹介 :いせやん 様
HP :

コメント:
 大長編ドラえもん第四作から静香ちゃんのお母さんの名言です。
 さて、小学生すら含む青少年が犯罪に巻き込まれることが多発している今日、静香ちゃんのお母さんと同じように子供を持つ親御さんにお聞きします。この中で最もあなたの子供に経験させたくない事はどれですか?(そういう自分も12歳ですが)
1、新宿や大阪のミナミで夜遊び
2、恐竜時代で恐竜ハンターとの攻防戦
3、宇宙の彼方で惑星の命運をかけて、悪質宇宙開発業者が雇った殺し屋と決闘
4、アフリカのジャングルの奥地でゲリラ戦

駄弁者:
 恐竜ハンターや宇宙開発業者と戦ってきた子供に「危ないところに行っちゃダメだって、いつも言ってるでしょ!」と叱れる親は、まあ偉いというのか何なのか。
 もっとも「ドラえもん」を見て育った現在の親だったら、1以外は子供に経験させるより前に自分が行きたがるんじゃないかと思います。



時間が限られているということは、何よりも強い動機になるのだよ。

 出典: ジェイムズ・P・ホーガン「巨人たちの星」(池央耿訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 定期爆撃一周年記念。
 人間の行動の最大の動力源である「締切」について言及しているセリフです。正に「真理」です。(締切過ぎのペテン師、という人もいるようですが、、、)。
 「いつかやろう」なんて仕事は「なにかに使える」と思って取っておくファックス用紙の芯みたいなもので、結局役に立たないもんなんですよね(って私だけですかね芯ストックしておくの)。

駄弁者:
 期限が近づかないと仕事に手をつけない身としては、なかなか耳が痛い言葉だったりします。
>ファックス用紙の芯
 私の場合はウラを使おうと思ってとってある用済みの文書とか、家だとスーパーのゴミ袋とか…。



チューリップのお花のなかには、小さな子供が住んでいるのね。

 出典: 星 新一「ピーターパンの島」  「悪魔のいる天国」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もう一つ、今度は星新一の作品から投稿します。
 主人公の少女、ウェンディはある施設で暮らしている。そこでは、世間では排除されている妖精や魔法を信じる子供たちが閉じ込められ、特別の教育をうけさせるための施設なのでした。
 教師達は必死で子供たちを「正常」に戻すために努力しますが、そういう可能性を持った子供はごくわずか、そしてクリスマスの日に子供たちがサンタへのクリスマスプレゼントとして希望したものは──。
 星先生は、よくフレドリック・ブラウンと比較されますが、実はブラッドベリの影響を受けて創作を初めた人で、初期の作品、「午後の恐竜」や「月の光」などにその名残を見ることができます。
 投稿した台詞は、ウェンディが施設に入るきっかけとなった台詞なのですが、ラストシーンで非常に衝撃を受けました。こんな未来欲しくない…。

駄弁者:
 想像力を殺した世界で、科学だけが進歩するってことはあり得ないと思うんですけどね(たとえそれが最終兵器の研究だけだったとしても…)。



人間である以上、死ぬときはかならず、後に何かをのこしておくべきだ。 …(中略)… 芝生を刈るだけの男と、庭園をつくりあげた男との相違は、それをつくりあげたかどうかにある。芝刈人夫はいなかったも同然だ。だが、庭師は生涯を通じて、その庭のうちに存在するんだとね

 出典: レイ・ブラッドベリ「華氏四五一度」(宇野利泰訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ブラッドベリの代表作の一つから投稿します。本を持つことすら禁止された世界で焚書官を勤めていたモンターグはある日、不法に本を所有していた老女や隣に住む少女、クラリスの死を通じて自らの仕事に疑問を持ち、本を持ち帰る。失っていった人間性をモンターグが取り戻し始めたとき、ついに本を隠し持っていたことがバレてしまう。
 投稿した台詞はモンターグが逃亡の果てに出会った、本の内容を記憶することで残そうとする人たちにモンターグが妻のことを思い出せないことを出会った人間の一人、グレンジャーに告白したときに、グレンジャーがいった言葉がこれで、確かに非常に共感を呼ぶのですが、いわゆる「庭園」を維持するためには「芝刈人夫」に相当する人も必要なのではないのかとも思うのですよね。うーん。難しい。

駄弁者:
 芝刈人夫だって、その庭園に残しているものはなくても、別のところで他に何かつくりあげているものがあるのかも知れませんし。



使えないものは壊してしまえ。
これぞフェア・プレイの真髄とでも呼ぶべきものだ。
フェアという概念については人それぞれ意見がわかれているようだが、それは自分の知った事ではない。

 出典: 佐藤大輔「レッドサンブラッククロス パナマ侵攻2」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 続けて佐藤大輔作品を。
 別世界の日本が行うフェアプレイはアメリカ人にも納得出来る物でしたが、彼のフェアプレイは実も蓋もありません。
 佐藤世界では、どこでもシェレンベルグが味のある男として登場します。いい年をしてミッキーマウスが好きだからと言って、馬鹿にしてはいけませんね。
 世の中全てのいい年をしたマスコット好きを馬鹿にしてはいけないかと言うと、それは別問題の様な気もしますが。

駄弁者:
 アメリカ国内の場合、フェアプレイとかフェア・ユースの概念について意見が別れる場合は裁判で白黒つけるんでしょうが、アメリカ対外国の場合は…? おおかた経済制裁か戦争か。



地球中流主義民主連邦帝国万歳。
自治星系の差別的並びに革命的中流市民生活者同志諸君万歳。
今日はオリオン腕を、明日は銀河を、か?
莫迦野郎。

 出典: 佐藤大輔「地球連邦の興亡3 流血の境界」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
佐藤節、南郷節大爆発の台詞から。
ちなみに本編ではこのあと爆笑しそうになりますが、周囲の目を考えて堪えています。

駄弁者:
 固有名詞を換えれば「皇国の守護者」の新城さんがそのまま使ってそうなセリフですね…。



もったいないではないか!

 出典: よしながふみ「大奥」

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 「大体ただでさえ貴重な男子をこんな事でいちいち殺してしまってはもったいないではないか!」というのが丸ごとのセリフですが、やっぱり汎用性で言ったらこの部分でしょう、ということで。
 江戸時代初期、男子ばかりがかかり、伝染性と致死率のやたらに高い奇病のために男の人口が激減し、婚姻制度が崩壊し、男女の役割分担も逆転した…… そんな設定の、なかなか骨太のSFです。まだ第1巻しか出ていませんが、この世界の、秘められた日本史がいよいよ語られそうで、すごく先の気になる作品です。泣かせどころもうまいし、いいオトコもたくさん!
 な〜んてことより、このセリフの主である、八代将軍吉宗公(もちろん女)が、実に実にオトコマエで!!!(「オトコマエ」とか、「おとこぎがある」とかに相当する女性版の言葉って浮かばないんですけど) かっこいい将軍ぶりに惚れました。(ご用取次の久通さんもステキ)

駄弁者:
 性別が変わっても、やっぱり吉宗といえば倹約令なんですな(女性になって一層遠慮がなくなっているような)。
>「オトコマエ」とか「おとこぎがある」
 こういう世界では、きっと「イイオンナ」とか「別嬪」とかが、そういう意味を表す言葉になるんじゃないでしょうか。



ドクトルG「一斉射撃で撃て!」
タイホウバッファロー「今砲撃したら、味方もやられてしまいます!」
ドクトルG「構わん! 撃て、撃つのだ! 味方がやられても仮面ラーイダを倒せばいいのだ!」

 出典: 石森プロ・東映製作 伊上勝脚本 山田稔監督『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(劇場映画)

紹介 :鋼将門 様
HP :

コメント:
 劇場版のライダーV3より。デストロンの大幹部ドクトルG〔ゲー〕(演:千波丈太郎)はタイホウバッファロー(声優:八代駿)に再生怪人部隊と入り乱れて戦う1号、2号、V3のトリプルライダーの砲撃を命じる。 その命令に対する意見への応対が上記の文脈のやりとり。
 迫力満点の爆破シーンの陰に、犠牲を強いてでも目的を重視する大幹部の意向がある様子ですが、戦闘員と同格とはいえ巻き添えで消される再生怪人たちはひたすら不憫です。

駄弁者:
 …お待たせしました。
>再生怪人たちはひたすら不憫
 いや、むしろリサイクル品の添え物で爆破される戦闘員の方が不憫な気が…。合理性の面から言っても、怪人を一体再生するより、大勢の戦闘員を雇うなり訓練するなり(洗脳するなり)する方がコストがかかりそうだし。



ロボットはロボットとしての誇りを持て。人間をうらやむようなピノキオ・コンプレックスを持つな。人間なんてロクな生物じゃない。

 出典: 石原藤夫「ブラックホール惑星」  同名短編集に収録

紹介 :営々 様
HP :

コメント:
 この巻から、ヒノとシオダのコンビに新しい仲間、ロボットのアールが加わります。
 生まれた当初はやさぐれていた彼ですが、設計部長のこの一言で立派に立ち直ったのでした。良い恩師に出会えたね、アール。
 「フランケンシュタイン・コンプレックス」がロボット三原則の生まれるきっかけになったことは、アシモフ本人が書いてましたけど、この「ピノキオ・コンプレックス」も、ロボット物作品に与えた影響の大きさでは負けてないと思います。漫画版キカイダーなんか直球のテーマでしたし。
 もうちょっとメジャーな概念になってくれないかなぁ、この言葉。みんなで使って流行らせよう!

駄弁者:
 でも、この話の本筋では、アールはあまり活躍してないんですよね…。
 プライドの高さと朗々たる歌声が身上のアールですが、ヒノシオコンビがご機嫌をとらないとスネてしまうあたり、「銀河ヒッチハイクガイド」の鬱ロボット・マーヴィンと通ずるところがあるような。
>ピノキオ・コンプレックス
 その最たるものは、アシモフ「バイセンテニアル・マン」(あるいは「二百周年を迎えた男」または「アンドリューNDR114」)のアンドリューでしょうねえ。正直、彼がなんでそんなにまでして人間になりたいのか分からないのですが。



「死にましたけど科学的に保存していた脳髄の予備を起動して科学的に準備していた魂の移動をこなして
 科学的に用意していた予備ボディに脳髄移植をして科学的に蘇って──えぇっと?
 地獄のような拒絶反応を科学的に耐えてこうして十三番に会いにきたのですョ?」

 出典: 日日日「狂乱家族日記」

紹介 :首くくり 様
HP :

コメント:
破壊の化身「閻禍」の因子を持つ者を集め家族と成し、相互監視と友愛への目覚めを図る「なごやか家族計画」
構成は、対怪異部隊長を父とし、妻のネコミミ少女、オカマ、話すライオン、生物兵器、謎のクラゲ、被虐待少女と多種多様。
そんな家族の、愛と絆と狂乱の日々を綴る物語。
セリフは、生物兵器である三男「黒の十三番」の暴走で死んだハズの、創造者登場シーンより。

駄弁者:
 「科学的」と連呼するほどに言っていることのうさんくささが増すような気がするのはなぜだろう(笑)。
 ちなみに出典の著者名は「アキラ」と読むらしいです(ああ、「晶」ってことか)。



ありがたいことに、この現象は薄れはじめていて、思い出ばなしになりつつある。

 出典: ウィリアム・ギブスン「ガーンズバック連続体」(黒丸尚訳)  『クローム襲撃』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もうひとつ、ギブスンの作品から投稿します。ギブスンの作品は、どれも書き出しが印象に残るものばかりですが、この作品の書き出しは特に印象に残っています。過去の幻影をもう一つの未来として垣間見る、というのは確かかんべむさしに同じアイディアの作品があったと思いますが。大衆文化のポップな面をさらにポップに描き出すというのはギブスンにしかできないと思います。

駄弁者:
 カメラマンの「ぼく」はイギリスのポップ・アート史家からの依頼で、アメリカに残る1930年代の「未来的」遺物を撮っているうち、ある「一線」を越えてしまう。気がつくと彼の背後ではきらめく巨大都市がそびえ立ち、見上げるとプロペラ12機を備えた超巨大全翼型旅客機が、リベットひとつひとつが見えるほど低空を飛んでいた──。
 舞台が日本だったら、ふと気が付くと小松崎茂の世界に踏み込んでいた…というところでしょうか(あるいは「ドラえもん」の23世紀?)。



「ニューロは神経、銀色の径。夢想家(ロマンサー)。魔道師(ネクロマンサー)。ぼくは死者を呼び起こす。いや違うな、お友達」
と少年はちょっと踊って見せて、褐色の足で砂に跡を印し、
「ぼくこそが死者にして、その地」

 出典: ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」(黒丸尚訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 電脳空間でケイスに会った冬寂〈ウィンターミュート〉の人格「ニューロマンサー」が自らの正体をケイスに明かす台詞の一部から、以前「SF名タイトル迷タイトル集」にも送ったのですがやはりこの台詞こそ、ある意味この作品を象徴している台詞だと思います。
 この作品をはじめて読んだのは高校生のときで、まず最初の一行でガツンときて次に過剰なほどの情報が詰め込まれているにも関わらず、スピーディーな文章をあっという間に読み終えて分かったことは三つ、まず一つは冬寂がカウボーイと呼ばれるハッカーに何かをさせようとしていること。二つ目は自分が何か新しいものを読んでいること。三つ目は、これがとんでもなくカッコよくて美しい話だということです。しばらくの間はこればかりぼろぼろになるまで何度も読み返しました。そして内容を理解し始める毎に自分の持つ常識を覆される眩暈が強くなったものです。それ以来、ギブスンの作品は欠かさず読むようになってしまいました。

駄弁者:
 意味の重層性と語感の格好良さ、両方を満たす名文句。元もいいんでしょうが訳文のセンスに負う部分もも大きいのだろうと思います。
>この作品をはじめて読んだのは高校生のときで
 前にこの出典からのご投稿を掲載したときに、コメントで「邦訳されたばかりの頃に読んだ人はどういう感想を持ったのか〜」と書きましたが、冬寂堂さんのコメントはその答えになってますね。



大きな声では言えないけれど小さな声では聞こえない

 出典: 山下いくと「ダークウイスパー」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 名セリフは「インパクト」と「汎用性」。
 いやーいいこというなぁ、とヒザを打ったセリフですこれ。
 そうですよね。どんな事でも「小さな声」じゃ誰にも聞こえないんですよね。そう、会議中に後ろの方でごにょごにょ言ってるキミ!「だからあの時反対したのに」っていう君の声は、誰も聞いてないんだよ。

駄弁者:
 ああ、なんか本当に痛いほど汎用性が…(笑)。聞こえるように言っとかないと、言い訳にすら使えないないんですよね〜。
 もっとも、「だから言ったのに」は聞こえるように言ってもなかったことにされる例が多いような。



若いころのおれなら、これほど自分本位の計画は実行しなかっただろう。

 出典: ウィリアム・シャトナー「新宇宙大作戦 鏡像世界からの侵略(下)」(斉藤伯好訳)

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 パラレルワールド「鏡像世界」からの侵略でエンタープライズEを奪われ、ピカード艦長らのクルーと恋人のティラニを捕らえられたカーク。彼は愛するティラニを救うためにスポック達の反対を押切り、無謀な作戦を決行しようとする。
 さすがはカーク船長!アカデミーのコバヤシマルテストをパスするためにプログラムを改竄したり、友人を救うために部下をまきこんで初代エンタープライズを盗んだ上に自爆させたのも自分本位では無かったと・・・・さすが地球を何度も救った人は言うことが違う。それともベンディー症候群(笑)。では長寿と繁栄を。

駄弁者:
都合の悪い記憶は、全部ジェネシスに置いてきたに違いありません。
とりあえず作戦が自分本位だと認めているだけ若い頃よりマシ…なのか?



オフィシャルではございませんぞ〜!!

 出典: 長谷川裕一&富野由悠季「機動戦士クロスボーンガンダム・スカルハート『猿の衛星』」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 今は堅気の運送屋に身をやつす海賊クロスボーンの面々にそうと知らない連邦軍から謎の小惑星調査の協力依頼が来る。そこには一年戦争時代にジオンが研究していた生物兵器、モビルスーツを操る猿達がいた。参考人として同行した元ジオン兵の老人が重い口を開きトビア達にこの計画のことを語りだす。そして最後に付加えたのがこのセリフ。
 スターウォーズ、スタートレックなどサーガとまで称される長編シリーズにはオフィシャルと言われる公式設定が存在する。日本でこれに匹敵するのがガンダムシリーズとそのオフィシャル。さすが「皆殺しの富野」と組みながら重要キャラを誰も殺させなかった「死なずの長谷川」(笑)。富野御大と組んでこれだけ遊べる人は他にいません。では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 確かにオフィシャルにはなりにくそうなネタみたいですが…。でもま、面白ければ公式非公式はさておくということにした方が、楽しみは大きいと思います。
>モビルスーツを操る猿達
 何匹かはニュータイプに目覚めて「猿の革新」とか言い出したんだろうな、きっと(ザクなんだかモノリスなんだか)。



「M78星雲の宇宙人からその生命を託されたハヤタ隊員はベーターカプセルで宇宙人に変身した。マッハ5で空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する、不死身の男となったのだ。それゆけ、我らのヒーロー!」

 出典: 円谷プロ制作・関沢新一・金城哲夫脚本・円谷一監督「ウルトラマン第1話『ウルトラ作戦第1号』」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 日本のテレビで初めて巨大なヒーローが巨大な怪獣と対峙した瞬間の感動が甦ります(マグマ大使が巨大怪獣と実際対峙するのはこの3ヵ月後)。ちなみに“まだ命名されていない”ので(^^;)、ウルトラマンとは呼んでいません。芸が細かいなぁ。

駄弁者:
 改めて「M78星雲の宇宙人」と言われるとなんか違和感が…。今となってはM78星雲にいるのは「宇宙人」ではなくて「ウルトラマン」なのですから。



ワシの科学はそん所そこらにあるようなひ弱な科学とは科学が違うんじゃ!

 出典: サンライズ制作・星山博之脚本「太陽の勇者ファイバード第9話『ワシがドクタージャンゴじゃ!』」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 キチ○イ科学者名言集、えーと、その4かな?
 世をすね、名誉欲と妬みに染まった天才科学者ジャンゴはその邪心に引き寄せられた邪悪なエネルギー生命体ドライアスの後ろ盾を得て世界征服に乗り出す。逆に世界平和をひたすら願う天才科学者・天野博士が作ったレスキューメカにとり憑いた宇宙警備隊と死闘を繰り返すのだった。
 勇者シリーズ第2弾、読み切りの面白さと連続モノの組み立てを両立させた快作です。
 台詞は名誉欲を暴走させたジャンゴがストックホルムのノーベル賞の発表会場に載りこみ、全てのノーベル賞を自分によこせと凄む場面の台詞です。何を云っているのかよく判らないが凄い自信であることは理解できますね。
 キチ○イ科学者になろうと思ったら(普通誰も思わないけど)、傲岸不遜を地で行くような強烈な自信をデフォルトで身に着けてる必要がありそうですね。

駄弁者:
>全てのノーベル賞を自分によこせ
 いや、そういう既存の権威でもって自分の研究の価値を示そうというのは、マッドサイエンティストとしてまだまだ傲慢さが足りない!
 全てのノーベル賞と言いますが、そもそもこういう人にとってノーベル平和賞なんかに意味があるんでしょうか。



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