SF名文句・迷文句第158集

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“あらゆる人間は月であって、だれにも決して見せない暗い側面がある”

 出典: フィリップ・ホセ・ファーマー「魔法の迷宮」(岡部宏之訳)

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 サム・クレメンズ(マーク・トウェン)はかつてこう書いた。と続いている。
 この「リバーワールド」シリーズは最後にすべての謎が解き明かされて終わるのだが、どうせなら謎は謎のまま残したほうが面白かったのかもしれない。

駄弁者:
 「果てしなき河よ我を誘え」「我が夢のリバーボート」「飛翔せよ、遥かなる空へ」から続く、「リバーワールド」の第4部より。
 「リバーワールド」の第3部、第4部は、新刊はもちろん古本屋に並んでいるのもほとんど見たことがありません。…読んだ人の感想を聞くと、どうも第1部、第2部の方が評価が高かったりするのですが。
 月と同じように、あまり核心まで近寄って見ない方が美しい?



「なんで、そんなにSFにこだわるの」
「SFが好きだからですよ」

 出典: 梶尾真治「奔馬性熱暴走」 『宇宙船<仰天>号の冒険』に収録

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 マッド・サイエンティストの作ったブレイク・ダンス菌のせいで日本中が大暴走したり、マグロ人間が出てきたり、350年も樹海を彷徨う剣士がトホホだったり、『巨人の星』『日本沈没』のパロディが出てきたりという、とにかく全編ギャグのオンパレードである本作。笑える迷文句も多いのですが、今回はストレートながら感動した台詞を投稿します。中年男と30代SF作家の会話です。
 「泣き」も「笑い」も「グロ」も「パロディ」も自在に操り、SF史上に残る傑作を数多く手掛ける男。しかも短編も長編も思いのままという凄まじさ。僕の大好きな作家のひとりですが、なぜ彼はそれほどまでに素晴らしいのか?  その答えが、この台詞にあると思います。これからも頑張れ、カジシン先生!

駄弁者:
 どこまでふざけながらもオールドSFの枠を踏み越えていないと言える(強弁できる)ものが書けるのかを実験した、とマジメっぽく言ってしまうと醍醐味を失ってしまいそうですが、まあ、そういう小品だと思います。
 「日本沈没」のパロディが出てくるあたりが、一番笑えました。不渡老人って…。



「ところで質問!! ぜー金て何だ?」
「カツアゲみたいなもんぢゃな」

 出典: 木城ゆきと「銃夢 LastOrder」

紹介 :万太郎 様
HP :

コメント:
<FONT SIZE="7"> 異議無し </FONT>

駄弁者:
 せめて、みかじめ料とぐらい言って…いやいや。
 そのぜー金使って、教育機関運営したり、図書館の本買ったりしているわけなんですが…。
 その辺の話題については、親方の事情で最近強いこと言えないです、はい。



まいったね、こりゃ……
アメリカ人ってのはいつも一方的にフレンドリーを押しつけやがる…
いい迷惑だぜ。

 出典: 太田垣康男「MOONLIGHT MILE」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
アニメ化記念。
 それでいいのか悟郎!と突っ込んでしまったセリフですこれ。
 米中の宇宙空間での戦闘で遭難した戦闘艦をレスキューした悟郎。救助した宇宙軍の連中に感謝され、このセリフを口にします。
 かつてのザイルパートナー、ロストマンとの因縁がこれでチャラになるかと思うと(ならないかも)、今まで引っ張ったのはなんだったのかと。
 物語の焦点が米中の戦闘に移るようですが、この「ハードボイルドなマンガ」がどこに行くのか、興味深い所です。

駄弁者:
 アメリカの方は(って、別に知り合いがたくさんいたわけじゃないですが)、たいてい陽気で寛容でフレンドリーだと思います。…相手が「アメリカン・ウェイ」に準じている限り。



人間を長くやっていると、それこそが人間をやっている面白さなんだ、と思うようになった。疑惑の掛け合い、駆け引き、腹のさぐり合い、出し抜き、裏切り、傷ついたり、傷つけられたり、といったことだ。きみの言うとおりだ。人間はそれを糧にして生きているんだ。

 出典: 神林長平「膚の下」

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 「膚の下」からもうひとつ。互いに疑り合う人間を軽蔑する人造人間・慧慈に対して、人間の刑事・正井の言葉より。それなくしては、友情も愛情も手に入れられず、生きている実感が得られないから長生きもできない、とのこと。
 私はその手の軋轢は面倒くさがるのが常だから…長生きできないかなあ。



われらは、おまえたちを創った。では、おまえたちは、なにを創るのだ?

 出典: 神林長平「膚の下」

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 このほど文庫化された神林長平「火星3部作」の第3作より。荒廃した地球を癒すため、人間は火星に移って数百年の冷凍睡眠に入り、地球の復興を機械人に委ねることにした。しかし人間は、かつて戦争したこともある機械人を全面的に信用することもできず、彼らの監視のためアートルーパーと呼ばれる人造人間を作り出したのだった。アートルーパーのリーダーとなるべく創られた慧慈は、さまざまな人間、機械人、同胞たちとの愛憎や戦闘を経るうち、人間とは別の生命としての道を模索するようになる…。
 投稿の文句はアートルーパーの教育係だった人間・間明(まぎら)少佐が、自分の下を離れる慧慈に投げかけた言葉より。人間が使役するために作ったアートルーパーを、すでに独立した別種の存在と認め、その存在意義を問いかけているという、考えてみれば非常に大胆な言葉です。



数万単位の妹と連携【リンク】していた妹艦隊の“兄”たちが、一瞬にして<I・O>に血縁をつなぎ直され、次の瞬間には存在とエネルギーのすべてを食い尽くされ、消滅した。

 出典: 古橋秀之「超妹大戦シスマゲドン2」

紹介 :唯野 様
HP :

コメント:
 「この人もうちょっと売れるといいね」との評価を欲しいままにする古橋秀之さんの奇作が完結しましたので投稿させていただきます。
 スカートの中は宇宙的恐怖の深遠「邪神妹」、天コウ地サツ(駄弁者注・すいません、字が出ません)百八星「水滸伝妹」、目覚めたその日が人類の終焉「超古代妹」などが次々と登場してはバトルを繰り広げる本作品、終盤においておそるべきスケールのインフレを起こし、いつの間にか戦いは宇宙規模に! 雄性の知的生物を「オニィチャーン!」の咆哮と共に億単位で捕食するイモートロニック生命体。投稿したのは、いくつもの銀河団を壊滅させてきたこの超時空生命体に、天の川銀河の妹艦隊が蹴散らされる場面です。妹艦隊て(笑)。古橋さんはホント、売れるもの以外はなんでも書けるなあ。ちなみにこの作品、妹萌えはほぼ皆無となっておりますので、それを求めて買ってはいけません。

駄弁者:
 なんでまた、この作品からのご投稿がかぶりますか(笑)。
>イモートロニック生命体に妹艦隊
 やっぱりこれ、「妹」っていう文字の意味が崩壊しているとしか思えない…。



入るのは二人、出るのは一人

 出典: ジョージ・ミラー監督「マッドマックス サンダードーム」

紹介 :歌鳥 様
HP :
http://members.jcom.home.ne.jp/songbird-x/

コメント:
 シリーズ3作めより。これまたもう一つのマックスに似た台詞がありますが、たぶん偶然です。
(先の投稿では省いてしまいました。ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、「マッドマックス」は映画です)  2作めでは石油戦争後の荒廃した世界が描かれていました。3作めではその更に数年後、生き残った人々がそれなりの文明を築きつつある時代です。”バータータウン”は物々交換を基礎とした商業都市。石油に頼らず、豚の糞から採取したメタンガスを動力源としています。
 そのバータータウンの掟が”サンダードーム”。籠をひっくりかえした姿で、ドーム内のあちこちに武器が設置されています。
 街の中で争いはご法度、少しでも揉め事が起こった場合、当事者の二人はドーム型の闘技場に押し込められ、どちらか一方が死ぬまで戦います。争いごとはドームの中で始まり、ドームの中で終わるのです。籠にびっしりと取りついた市民が、このフレーズを連呼します。
 女王アウンティ(演じるのはティナ・ターナー)からの依頼を受け、風来坊マックスは街を牛耳る二人組マスター・ブラスターの一人、仮面の巨人ブラスターと戦う羽目になる…というのが前半のストーリー。シリーズの特色である”車による壮絶バトル”は後半のお楽しみになります。
 荒廃した世界では、この”サンダードームの掟”はかなり効率的だったようですが…現実に応用したい時もあります。当事者だけでやっていただきたい。暴力団同士の抗争とか、ブッシュとフセインとか。

駄弁者:
 偏見かも知れませんが、アメリカのSFって、こういう文明が崩壊して荒々しい「フロンティア」が再出現してるシチュエーションが好きですよね。
 追記・『「マッドマックス」はオーストラリア映画です』…とさっそくツッコミを入れられてしまいました。ああ恥ずかしや。



今から数年後の未来…

 出典: ジョージ・ミラー監督「マッドマックス」

紹介 :歌鳥 様
HP :
http://members.jcom.home.ne.jp/songbird-x/

コメント:
 先日来ず〜っと投稿してきたマックス、とはまた別のマックスより。もうひとつのマックスにも似た文句がありましたが、たぶん偶然です。
 検索してみましたが、これもまだ投稿がないんですね。時代なんでしょうか。かつては近未来SFといえば「マッドマックス風」か「ブレードランナー風」で説明できたもんです(「ブラジル風」もかな?)。とはいえ、この第一作では未来色は薄く、石油戦争の勃発前。まだ文明も崩壊してません。
 暴走族がより凶暴化し、対する警察もチンピラと大差なくなった近未来。仲間の一人”ナイトライダー”を警官に殺された暴走族は警察に対し復讐を誓います。彼らの標的となった警察官マックスは、相棒の死をきっかけに辞職を決意。家族との平和な日々を過ごすのですが…。
 車を移動手段ではなく、純粋に”武器”として使用したのは、このシリーズとスピルバーグの「激突!」くらいでしょう(「デスレース2000年」は基本レースですので除外)。後に「北斗の拳」「メタルマックス」などの派生作品を多数誕生させた傑作シリーズです。が…いままで投稿ないっていうのは、やっぱり時代ですかねえ。

駄弁者:
 「マッドマックス」というと、なんか埃っぽい砂漠でバイオレンスやってる「2」のイメージしかなくて、最初が文明崩壊前の話だったことは、ほとんど認識してなかったりします。
>近未来SFといえば「マッドマックス風」か「ブレードランナー風」
 日本で言えば「北斗の拳風」か「攻殻機動隊風」かというところでしょうか。
「北斗の拳」の、モヒカン男がバギー乗り回しているイメージはもろに影響受けているんでしょうが、「派生作品」とまではいかないのでは。



おまえは妹のカタログスペックにしか興味が無い!
妹を真に愛してはおらん!
ぶっちゃけこの会場で、妹を嫁にする覚悟が無いのはおまえだけだッ!!

 出典: 古橋秀之「超妹大戦シスマゲドン」

紹介 :黒瓜月児 様
HP :

コメント:
 使用者の妹を無敵の超人に変えるイモートコントローラー。
 偶然それを拾ってしまった烏山兄妹は二つの組織「COMP」「プリオン」との戦いに巻き込まれてしまう。
 二メートル以上のむくつけき野獣へと姿を変える三歳の妹、梁山泊108人の妹、戦闘機へ変形する妹や果ては人類誕生以前から眠る超古代の妹も交え、烏山ソラは勝てるのか!?
 このセリフは兄の烏山サトルが、世界最強の妹を決める「S−1ワールドグランプリ」決勝戦で勝った妹をねぎらいもしない、妹の気持ちを欠片も考えない最低兄、対戦相手のウィリアム・クレイトンに言い放ったものです。

駄弁者:
>野獣へと姿を変える三歳の妹、梁山泊108人の妹、戦闘機へ変形する妹や果ては人類誕生以前から眠る超古代の妹
 なんか「妹」という文字がゲシュタルト崩壊起こしてきそうなんですが…。



「女狐め……いや、失敬。きみがそこまで言うからには、大きな戦果を上げる自信があるということだろう。わが軍団はFAFの主力だ。特殊戦はわが軍団に所属すればこそ、大きな働きができるのだ。わたしが、きみを他の軍団や上層部の誹謗中傷から護ってきた。きみの能力を高く評価すればこそだ。現在進行中の作戦も中断の必要はない。続けろ。装備その他に不満足なものがあるならば言ってくれ。わたしがなんとかする。だが全体的に厳しい状況だ。全てが通ると期待されては困るが、これまでも特殊戦のわがままはせいいっぱい実現させてきた。私の才覚でだ。それを忘れるな、クーリィ准将。以上だ。解散。」

 出典: 神林長平「グッドラック 戦闘妖精雪風」

紹介 :AKS 様
HP :

コメント:
 雪風第三部、SFマガジンで連載してますか。雑誌は読んでないので知りませんでした。単行本になるのが今から楽しみです……なりますよね?
 今回の台詞は、その雪風から特殊戦の形式上のボスにしてセクハラ中将、ギブリール・ライトゥームがクーリィ准将に言った台詞を。このオヤジ、保身を考えて、俗人で、ついでにスケベで、挙句物語中ではあまり目立たない、かっこ悪い役回りの人物ですが、個人的には相当に有能で、見習うべきところの多い人物なのではないかと思います。上の台詞、形式上は自分の部下であるクーリィ准将からほとんど罵倒に等しい言葉を投げつけられて、かなり立腹しながら、その上で出てきた台詞なんですよね。ブッカー少佐が思ったように、他の出席者がいて、自分の立場を守る為に必要であれば激怒して「見せた」でしょう。それが有効でなければ、いかに気分を損ねても怒りを表面には出さず、相手の判断や行動に理があると見ればそれを認めて、必要に応じてきちんとサポートもする。さらに、その直後のクーリィ准将の言葉に(勘違いとは言え)自分には無い覚悟を見て畏敬の念を抱ける。必要とは言え、こういう大人の対応と言うのはなかなか出来ないものですね。特に上に立ったことで自分の面子に拘るような輩には。きっちりと恩を売ってみせてもいる辺り、曲者そろいの特殊戦の、その中でもトビキリの曲者であるクーリィ准将を、曲がりなりにも御して来たライトゥーム中将の強かさを感じさせてくれます。

駄弁者:
 うーん、どういうキャラクターだったか、あんまり印象に残ってません…。メインの登場人物もクセが強いの揃ってますし。
 ただこの作品に限らず神林長平の作品に出てくる登場人物は、それなり以上に有能なんじゃないかという気がします。今ちょうど読み終わった「火星3部作」でも、「敵は海賊」でも(まあ問題は多いにしろ)そうですし。



長い冬が終わったんだ

 出典: 聖悠紀「超人ロック 冬の惑星」

紹介 :きょん 様
HP :

コメント:
 父親から息子へ。
 この『冬の惑星』は前作『ロンウォールの嵐』の続きになっています。
 地球の植民星であるロンウォールで暮らしていたロックは独立運動に巻き込まれ、地球の艦隊を追い払って戦いを勝利に導く(『ロンウォールの嵐』)。
 独立を勝ち取ったが、実情は何も変わらない。ロックは地球からきたカトー中佐に地球に連れていってくれるよう頼む。その途中で見つけたのは迷子の惑星探査船。そこには即時移住可能な惑星のデータがあった。だがそこへヘルダイバーのストロハイムが現れる。彼はロンウォールの戦いで敗れ、ロックを殺すために病院を抜け出してはるばるやって来たのだった。だがロックの命を奪うところまで追いつめながら、あまりにも体に負担をかけすぎたためにストロハイムは息絶えてしまう。ロックは無事惑星のデータを持ち帰ってそれをカトーへ託し、またいずこともなく去っていく。新しい星はロンウォールと地球、他の植民星の未来をも救った(『冬の惑星』)。
 これは新しい星トアに移り住んだ親子が、ようやく芽吹いたとうもろこしの芽を前にしてのセリフです。
 セリフとしてはこれをあげましたが、実は私が一番好きな場面は別にあります。この親子の場面の前に文字しかないコマがあります。そこに書かれているのは
『宇宙歴0163年ロンウォール独立 同0164年トア発見 同0166年セレン独立 トア人口500万を突破 ロンウォール銀河連邦を提案』
 超人ロック世界で使われている宇宙歴。この物語は宇宙暦の中で新しい時代の幕開けを告げる大変重要なエピソードです。このひとコマは超人ロックという作品が、銀河の歴史を描いた大河ドラマであることを表現しているのです。
 今まで超人ロックを読んだことの無い方にも『ロンウォールの嵐』と『冬の惑星』、この2作品だけでも手に取ってみることをお薦めします。

駄弁者:
 個人とか一家の小さい物語を歴史とつなげるというのは、歴史小説・大河小説でよくあると思うのですが、そこで長い歴史を体現しようとすると、主人公的な役割をする登場人物が何代にも渡ってしまって、読み手を惹きつけるのが難しくなってしまうんじゃないかと思います。
 不老不死の人物からの視点をもつこの作品は、この点では有利?



戦意も枯れたはずの儂が、また未来ある若者を倒してしまった。この右腕で!
儂はもう、お前のような者を作りたくない。しかし無理なのか?
この右腕がある限り、挑んでくる者はいる。

 出典: 小西通雄監督・扇澤延男脚本「超人機メタルダー 第11話『勇者の追撃!天空にそそりたつ巨人!!』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 伝説の巨人と称された歴戦の勇士でありながら、戦いに虚しさを感じて現役を退き、修理ロボットとして暮らしていた戦闘ロボット軍団・元豪将ビックウエイン。ネロス帝国にはもはや自分の居場所はないと感じた彼は、新たな生き方を求めて脱走します。ビックウエインを師とあおぐ爆闘士ゴチャックは、彼の逃亡を助けますが、そのことが発覚して捕らえられてしまいます。
 投稿したのは指導を請うために戦いを挑んできた軽闘士ブルキッドを反射的に右腕から放つ矢で倒してしまったビックウエインの独白です。今際のきわのブルキッドから、ゴチャックが逃亡幇助の罪で銃殺にされることを聞いたビックウエインは、戦闘ロボット軍団長・凱聖バルスキーの前に自ら出頭し、ゴチャックの助命を条件に打倒メタルダーに挑みます。  死闘の末に敗れ去ったビックウエイン。しかし、彼の強さはメタルダーに「初めてだ。こんなに恐ろしい敵は」と言わしめます。
 戒めを破って戦場に駆けつけたゴチャックが見たものは、残骸となった師の姿でした。
「現役を引こうが、階級をなくそうが、あなたこそ真の闘士だった。俺はあなたを忘れない」
 そして、それを見守るバルスキー。
「ビックウエイン、逃亡者としてではなく戦闘ロボットとして散ったな。見事だ。この始末については一切自分が責任を取る。たとえ命を賭けても!」
 ううっ、おまえらカッチョいいよ。
 この回は素顔の俳優が一人も登場しない完全な仮面劇で、主役のメタルダーがストーリーにほとんど絡まない異色作でした。

駄弁者:
 時代劇とか任侠物でありそうなシチュエーションですね。しかし、これって「正義」側は完全な引き立て役?この種の番組としてはかなり意欲的(…というか冒険的?)な趣向だったんじゃないでしょうか。



メタルダー「僕は、僕の夢を守り、その美しさと平和を未来につなぐ!」
ヘドグロス「俺も、俺の夢を掴む。ヘドグロスシャワー!」

 出典: 伊藤寿浩監督・藤井邦夫脚本「超人機メタルダー 第9話『夢見るモンスター!十字砲火の恋人たち』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 メタルダーが人間が見る夢に憧れを抱いていることを知った帝王ゴッドネロスは、次なる刺客としてモンスター軍団・軽闘士ヘドグロスを指名します。
 大した技も力もなく、同じ軍団員からも馬鹿にされていたヘドグロスにも、いつか手柄を立てて出世して、軍団員たちに祝福されて恋人のウイズダムと結婚し、子供を作って幸せに暮らすというささやかな夢がありました。その夢をかなえるために、彼はメタルダーに挑みます。
 ヘドグロスの必殺技ヘドグロスシャワーを浴びて内部のメカを狂わされ、悪夢に苦しむメタルダー。 「これが、憧れた夢の結果か…」
 その時、メタルダーの記憶回路が作動し、古賀博士がメタルダーの人間体・剣流星のモデルにした一人息子の古賀竜夫の記憶が蘇ります。
「夢…これが僕の本当の夢だ。お前の自由にはさせん!」  互いの夢を賭けて戦うロボットとモンスター。
「俺の夢…ウイズダム!」
 敗れたヘドグロスは、愛する者の名を呼びながら壮絶に散るのでした。

駄弁者:
 親子で見ていたら、共感する相手が別れてしまいそうですね…。悪役というにはあまりにもいじらしすぎる。



ずっと子供でいれば”将来”は在り続けるの
夢だって
ただ 実現しないだけ
“今”とつながっていないだけよ

 出典: タカハシマコ「(ニコ) Access Number>>SEVEN」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://sfr.air-nifty.com/

コメント:
 同作品から。隔離された社会不適合意者の扱い、「船」という場所についての言葉です。
 人を殺して「ボク未成年だから許されるんだ!」と屈託なく笑う”元少年”が隔離されてました。彼の将来の夢は「お医者さんになること」だそうです。
 ずっと子供でいるのは、やはり幸せではないんですね。将来があっても、夢が見れても。
 ちなみにこの世界では、望めばいつでも「船」に乗れるみたいですよ。

駄弁者:
 いつか叶ったり叶わなかったりするから夢は幸せなんであって、ずっと終わりがこない夢は、どんなに美しくてもやっぱり悪夢でしょう。



あなたの“生き方”を尊重します。

 出典: タカハシマコ「(ニコ) Access Number>>SIX」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://sfr.air-nifty.com/

コメント:
 言葉の主は、社会不適合者を見つけ隔離するためのロボットです。
 言葉の相手は、リストカットの常習者です。
 自傷して、ケータイで写真を撮り、ファンシーな自殺系サイトに載せる。
 ネットの反応だけを生きるささえに、彼女はリスカを続け、サイトを更新します。
 ロボットはそれでも、彼女の生き方を尊重しました。

駄弁者:
 作品の雰囲気はだいぶ違いそうですが、「思いやり」の仕方は、下の「ミノタウロスの皿」とは好対照をなしているように思います。



助けてといってくれえ!!

 出典: 出典: 藤子・F・不二雄「ミノタウロスの皿」  「藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版1」に収録

紹介 :春夏秋冬 様
HP :

コメント:
もう散々取り上げられてきたであろう「ミノタウロスの皿」からの投稿です。
色々な方が仰ってくれたのであらすじは省略しますが、作品中自分が最も感銘を受けた台詞です。
「ミノアは助けたい、でもミノアの意思は尊重したい」ということなのでしょうか。
単純な台詞だけれど、彼の思いやり、悲愴な面持ちを見事に表現していると思います。

駄弁者:
 ある意味自分勝手で一方的な「思いやり」ではあります。しかし、だからと言って相手の生き方を尊重するというのも…(上参照)。



かまってほしくてさあ!!
天気とか成績とか、どんなにくだらなくてもいい…現実の話がしたくてさあ!!
それが悪い事かよ!!そう思う事が犯罪かよ!!
だったら、だったら人間全員犯罪者じゃねーかッ!!

 出典: :松井優征「魔人探偵脳噛ネウロ 第80話 痒[かゆい]」

紹介 :春夏秋冬 様
HP :

コメント:
 さしてSFに関係無いので恐縮なのですが、現在「週刊少年ジャンプ」で連載中の「魔人探偵脳噛ネウロ」からの投稿です。
 特例刑事、匪口(どうでもいい事ですが本来は匪に竹冠が付いたのが正しい字です)が電子ドラッグに(正確には50%)嵌り、己の犯罪願望と共に、辛い過去話を語り始めます。
 彼は重度のネトゲ中毒者の両親を持ち、会話もネットの中でしか無い状態でした。そんな世界にほとほと嫌気がさしてきて、彼は11歳ながらウイルスを作り、ネトゲの10年分のデータを全て破壊しました。彼はこれでゲームのパーティーでも何でも無い、本当の家族になれると、信じて帰宅しました。しかし、そこに待ってた光景は、本人にとっての現実を失った両親が、首を吊って死んでいる姿でした。
 その過去を語り終えた後の、彼の心中告白です。結果的には両親の死の原因となってしまった罪悪感、そしてそれを忘れたいがための犯罪願望の告白は、哀しくもあり、そして妙に納得出来るものがあります。

駄弁者:
 この両親、破壊されて死んでしまうような「現実」を持っていたのに、なんでまたそれとは別の世界で子供なんか作ってしまったんでしょうか。
 出典については、確かにあんまりSF関係なさそうですが、ご投稿のくだりについてはそれっぽいにおいはしますので。しかし「電子ドラッグ」って、Wikipediaによると視覚的な刺激でドラッグと同様の脳内物質を出させるもの、ということなんですが、それならば画像自体がポイントなのであって「電子」は関係ないんじゃ…?
 



きっ…… 来たァァ ポチィィ! 食べるならジイにせい! 余は脂ばっかりで体に悪いぞ!!
何言ってんだァァ ジイは食べたら骨、刺さるぞコレ絶対! 皇子にしとけ!

 出典: 空知英秋「銀魂」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 胸部に子犬の顔に酷似した擬態を持つ猛獣「ポチ」の飼い主のはずなのにエサにされてしまっている央国星のハタ皇子とその従者であるジイが哀れさを通り越して笑ってしまいます。
 お互いを見捨て合っているのに何だかんだいって共に行動しているのはやはり腐れ縁だからか。

駄弁者:
 名(迷)セリフというには至極よくあるパターンのような…。
 一応宇宙人(ただし容姿は魔神ブウ)のセリフですが、こういう場合宇宙人とか関係ないですよね。



で…… でけた!!

 出典: 鳥山明「Dr.スランプ」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 お手伝いロボット「アキコさん」を完成させ、シリアスバージョンの顔になった則巻千兵衛博士の一言。
 「できた」ではなく「でけた」と言うところが彼らしくて面白いです。
 ちなみにアキコさんを制作している過程で様々な加工音がする中に「ヒヒーン」や「メェー」といった明らかに動物に鳴き声と思われる音があったのですが、どのような作業をしたらそんな音が出るのでしょうか?

駄弁者:
 これもメイドロボと言えばメイドロボ…?



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