SF名文句・迷文句第48集

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第47集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第49集を見る


風を恐れるな少尉、ワープ4で前進だ。

 出典: リック・バーマン&ブランノン・ブラガ製作「STARTREK ENTERPRAISE」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 スタートレック・シリーズの最新作にして、シリーズの原点を描いた作品から投稿します。
 人類初の恒星間航行用の試験艦NX−01、エンタープライズの乗員達の様々な活躍を描いた物語です。
 スタートレック・シリーズを貫くテーマの「艦隊の誓い」以前の物語なので、バルカン人達との対立や、異星人たちとのファーストコンタクトなどが、新鮮な印象を与えています。投稿した台詞は、事件を解決した後で艦長のジェフリー・アーチャー艦長の台詞ですが、個人的にはカーク船長の「右手二番目の〜」に匹敵するぐらいの名文句になって欲しいと思います。

駄弁者:
 今月(2002年12月)にはハヤカワ文庫で小説が出るので楽しみにしています。
 「艦隊の誓い」(Prime Directiveの訳としてはなんだかなあ…)以前となると、「新しい文明、新しい生命」に干渉し放題!?



「つねに一定の面を惑星にむけてるなんて、不自然な……ふざけた衛星を持った惑星のことですよ!」

 出典: 長谷川裕一「マップス ACT.20『銀河をつかむ男』」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 これはもちろん地球と月の事です。あらためて言われると確かにふざけてますね。これに匹敵するのは寝転がって自転する天王星ぐらい…?「ファウンデーションと地球」では土星の輪とともに地球の目印として伝説になってましたし、太陽系ってかなり特殊なんですかね…そりゃあ超人も異常繁殖するはずだ…。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 しかも地球からのみかけの大きさが太陽と同じで、金環食という珍しい現象をみることができる……なんて不自然な!!



こんな…こんな不公平な話があるか…
あと1分…1分でいいッ!
ボクにもチャンスをくれよ!!
30年もボクは待ったんだぞ!!
勝手に歴史の修正を始めるんじゃない!!!

 出典: よしのひろみち「寡黙の刻」

紹介 :クロ 様
HP :
http://home.att.ne.jp/omega/kuro/

コメント:
 今となっては珍しいジャンルかもしれないタイムスリップアドベンチャーの漫画「寡黙の刻」から。
 プロテウス・クライシス(PC)と呼ばれる大隕石の衝突と、それによって始まった偶発核戦争によって壊滅状態の30年後の地球。人々は城塞と呼ばれる町で汚染物質におびえながら暮らしていた。その世界に、突如ジャンボジェットがタイムスリップしてきた。城塞はそのタイムスリップを引き起こしたマイクロブラックホールを利用して30年前に戻り、PCを阻止する計画を立てる。しかし、その計画の推進者でもあるMAM(新生人類)たちはタイムパラドックスによって自身らが消えることを恐れ、城塞を破壊し、自分たちは未来へタイムスリップしようとしていた。その計画を偶然にも阻止した二人のオチこぼれ軍人と一人のMAM。彼ら3人は残されたタイムマシーンを使い、PC阻止をするため30年前の世界にの時間の旅に出るのだった……。
 という物語です。タイムパラドックスとかにいろいろ間違いもがあるようですが、そこは漫画ということで。かなりマイナーな作品だし、今じゃ手に入るかどうかもわかりませんが、かなりの名作に仕上がってます。
この台詞は、同じく過去に戻った敵役のMAMの委員長の最後の台詞。徹底的に悪役ですが、勝手に作られ、利用された生命体MAMの怒りがよく現れています。未読の方はぜひ。

駄弁者:
 タイムスリップもののマンガは珍しいのですか? 映画には時間ものが多くあることだし、マンガでパラドックスをうまく説明するのが難しい、ということもないと思うのですが…。



……ごめんよ
きみは悪くなんかない…………
でも……ごめんよ………

 出典: 岩明均「寄生獣」

紹介 :クロ 様
HP :
http://home.att.ne.jp/omega/kuro/

コメント:
 日本漫画史上に残る名作漫画「寄生獣」より。
 最強のパラサイト「後藤」との戦いに辛くも勝利した新一。バラバラになった後藤を前に、新一はひとつの選択を迫られます。
 すなわち殺すか、殺さないか。
 殺さなければ、これから先も犠牲者がでるかもしれません。しかし、後藤は「悪」ではない、一つの生物として必死に生きているだけです。『殺したくはない、そう思えることこそ人間の宝だ。それに人間とパラサイトの命に何の違いがある?』
 殺さずに立ち去ろうとした新一、しかし……。
 ここまで書けば激しくネタバレですが、それでも紹介したいこの台詞。ちっぽけな人間の重い決断。地球全体の意志を感じ、人間としての義務に悩み、最後、家族を守りたいという小さな小さな、しかしかけがえのないもののために下した決断。だからこそ重く心打ちます。
 この作品を、名作にした素晴らしい台詞でした。

駄弁者:
 ここでの後藤は「自然の猛威」の象徴なんですよね。
 私もこのセリフ、というかこのシーンがあるとないとでは、話全体の重みがまるで違ってきたと思います。
 これがなければ「面白かったけど、環境ネタとしてはちょっと安直かなあ」といったところに落ち着いたでしょう。



五千年…、わしは待つのが楽しかった!!
次の五千年…、その次の五千年………
わしはなにを期待して生きればいいのだ?

 出典: 手塚治虫「火の鳥 未来編」

紹介 :クロ 様
HP :
http://home.att.ne.jp/omega/kuro/

コメント:
 誰もが知ってるSF大作「火の鳥」から一本。あれ、そういえば今までなかったかな?
 人類の死に絶えた地球で、火の鳥から永遠の命と人類再生の使命を与えられ、ただ一人生き続けなければならなくなったマサト。一人きりになったマサトは、孤独に耐え切れず人類の生き残りを探します。そして見つけたコールドスリープ装置には「放射能の消える五千年後まで起こすな」と書いてありました。
 しかし五千三百年待ってもコールドスリープ装置は作動せず、マサトは耐え切れずに装置を空けてしまいます。しかし何の不手際か、中の人物はすでに藻屑と化していました。そこでマサトの言ったのが上の台詞。
 永遠の命が、永遠の孤独と同意であることが良くわかります。

駄弁者:
 作品単体の出来もさることながら、人類の最初期を描いた「黎明編」の次に、終末を描く「未来編」を持ってくるという配置もうまいなあ、と思ったものでした。



貴様が………憎くてゾクゾクする
ふっ…
まるで恋に落ちた娘のようだ

 出典: 日渡早紀「ぼくの地球を守って」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 生まれ変わりSF漫画作品「ぼくの地球を守って」。輪と未来路のエスパー対決に春彦が割り込んだ時、輪が前世の憎しみを春彦にぶつけた科白。
 強い感情は他に例えようもないものか。

駄弁者:
 「何かを憎むことができない人間は、何かを愛することもできない」って言いますし(銀英伝だったような)。
 この作品は最初の方をちょこっとだけ読んだことあるんですが。すいません、宇宙人たちが、自分たちの名前が「偶然にも」地球の植物の名前と同じであること(ただし日本語オンリー)を発見する、というところで爆笑してしまいました。



「宿命というのは、確かにある。
 人は場所・時代・環境を選んで生まれることはできない……
 ゆえに、生まれた瞬間にそれぞれの人間の生きる条件は異なっている。
 これが宿命です。
 そして、世界が残酷なのは当たり前のことです。
 生の始まりは化学反応にすぎず
 人間存在はただの記憶情報の影にすぎず
 魂は存在せず
 精神は神経細胞の火花にすぎず
 神のいない無慈悲な世界で、たった一人で生きねばならぬとしても……
 なお……我は意志の名の元に命じる「生きよ」と!!」

 出典: 木城ゆきと「銃夢」

紹介 :クロ 様
HP :
http://home.att.ne.jp/omega/kuro/

コメント:
 SF漫画の傑作「銃夢」からです。
 最近、作者自らの手で、ラスト部分を完全に書き直して連載しています。テーマは「人間の業の克服」というところでしょうか。
 この作品には2人の主人公がいます。一人は瓦礫の中で拾われた戦士の記憶を持つサイボーグ少女、ガリィ。格闘技の記憶以外をほとんど失って目覚めた彼女は、数多くの戦いと別れを経て、成長していきます。
 もう一人はマッドサイエンティスト、デスティ・ノヴァ教授。ナノテクノロジーの天才である彼は、他人は実験材料としか思わず、全てのものを敵にまわして自らの研究「業の克服」を究めようとします。この台詞はそのノヴァ教授が、自分の後継者として考えていた少年が世界に絶望して死を望んだときに、答えた言葉。全てを悟った上での強固な意志。
 うーん、改めて名作だと思いますね。残酷な描写がバンバン出てきますし、人は蟻よりも簡単に死ぬような漫画ですが、全てに必然があります。未読ならばぜひ。

紹介 :CHUN 様
HP :

コメント:
 初投稿から長くてすみません。よしなにm(_ _)m
 とことんキ○ガイで、とことん非人間的かつ鬼畜な実験を繰り返してきたノヴァ教授が吐く、生命の価値です。そんな研究の結果、価値観がある部分では裏返っているんでしょうかね?
 でも、このセリフは存在することへの渇望を意味しているんじゃないか、とも思います。

駄弁者:
 生の始まりを化学反応といい魂も神もない、と断言する人間が「宿命」については「ある」と言っているところが、ちょっと意外に思いました。「偶然だ」と切ってすてそうなのですが…。



「魔法みたいだ」
「この世にそんなものがあるか。あるのは一つ。ただ努力する人間がいるだけだ。今ある環境を変えようと、奮闘するただの人間がいるだけだ」

 出典: アルファシステム「Return to Gunparade」

紹介 :くられっとせるぼると 様
HP :

コメント:
 ガンパレードマーチオンライン小説。http://www.alfasystem.net/return/10-2.htm
 昔、PS用ソフトとして一斉を風靡したSFシミュレーションゲームの小説版です。
 道路を人型戦車で駆るヒーロー(達)の会話の一部です。

駄弁者:
 昔、なんですか、もう…。私の認識では最近のゲームなんですが。
 一瞬、ファンの二次創作作品かと思ったのですが、オフィシャルサイトに載っているんですね。
 「十分に進歩した努力は魔法と区別がつかない〜」などとまぜっかえしたら、芝村舞にどつかれるかも知れません。



「ねえケルビム。罪の意識を感じる?」
『…………わかりません』
「いや、いいんだ。罪を背負うのは、僕の役目だから」

 出典: 遠藤浩輝「EDEN」

紹介 :クロ 様
HP :
http://home.att.ne.jp/omega/kuro/

コメント:
 初めて投稿いたします。クロと申します。
 ごく最近、こちらのサイトを発見させていただきまして、先ほど全部読了させていただきました。面白いですねえ、こういうの。これからは、私も参加させていただければと思いまして、今キーを叩いています。といっても私のHPを見てもらえれば分かると思いますが、漫画からの出典ばかりになってしまうとは思いますが。末永く応援させてください。
 さて、この作品すでに既出なのでご存知と思いますが、アフタヌーンで連載中のSF漫画です。クローサーウイルスの蔓延で滅びかけた近未来。ウイルスから生き残り、落ち着気を取り戻しつつある人間が繰り返すのは、やはり争いだった……。という暗い示唆を含む物語です。
 名台詞目白押しの本作、1巻の最初の方から一本いきます。
 まだクローサーウイルスが猛威を振るっていた時期に、ある島の研究施設に隔離され育ったエノアとハナは、研究員だったレインと3人だけで暮らしていました。自分たちがもしかしたら自分たちが人類最後の生き残りかもしれないという思いをもって……。ある日、エノアたちの前に国連軍が保護にきます。人類は滅びてはいなかったのです。しかしエノアたちの目の前で事態は急変、保護に来たはずの国連軍は新興組織プロパデール の指揮下に入っており、彼らの目的はレインの殺害でした。理由はレインこそがクローサーウイルスのワクチンを完成させていたにもかかわらず、それを秘匿した人類の裏切り者だったから。  そんな理由こそ知らなかったものの、エノアの取った行動はAI搭載戦闘用ロボット「ケルビム」で襲撃者たちを皆殺しにすることでした。襲撃者の中には自分の父親がいることも知りながら。「ここは僕らの楽園(エデン)だから」そう言って、ハナとレインを守るのです。すべてを終えた後、エノアがケルビムに言った言葉が上のセリフ。
 うーんカッコいい。この作品には他にも名台詞がナンボでもありますので、そのうちまた投稿させてもらいます。これからもよろしくお願いします。

駄弁者:
 はじめまして。ご丁寧にありがとうございます。
 「罪を背負うのは自分」、とわざわざ口にしてしまうところは、彼の弱さではありますが、非常に共感のもてる弱さですね。



彼らには相手の立場でものを考える能力が全く欠けている

 出典: 藤子・F・不二雄「ミノタウロスの皿」

紹介 :グラニット 様
HP :

コメント:
 日本屈指のSFの書き手であった藤子・F・不二雄の代表短編から。
 未来世界。星間宙航士であった主人公は、辺境の惑星に不時着する。そこでは半牛半人の高等種族「ズン類」が、人間型の食用家畜「ウス」を飼いならしていた。自分を助けてくれた少女が食べられる運命にあると知って、必死に「ズン類」を説得してまわる主人公だが…。
「ミノタウロスの皿」は食肉祭の名で、そこでメインディッシュになることこそ「ウス」の名誉とされています。家畜側がそれを自覚しており、ズン類もウスを優遇しているから、残虐だという主人公の主旨は(どちら側からも)いっこうに理解されない。名文句は焦る主人公のモノローグ。これが自分にまるまるはね返ってくる巧みな構造となっています。
 児童作品で知られる作者ですがSF短編は彼の「闇の左手」。『カンビュセスの籤』『ノスタル爺』『老年期の終わり』『間引き』『ポストの中の明日』など、傑作が目白おし。漫画でしかも短いのですぐ読めるところも魅力の一つです。

駄弁者:
 藤子版「ガリバー旅行記・馬の国」といったところでしょうか。
 この場合、主人公が「相手の立場でものを考えて」、ミノアを助けないのが正しいのか、それとも逆なのか、単純には割り切れないものがありますね。
 古いアメリカのスペオペ(たとえば元祖スタートレックあたり)だと、迷わずウス族に反乱をおこさせて、ついでにミノアもゲットしてしまうでしょうが。



権力と暴力は結びつくのよ!!!

 出典: ティム・バートン監督「猿の惑星(PLANET OF THE APE)」

紹介 :かすみ 様
HP :
http://www.din.or.jp/~s-art/pd_index.html

コメント:
全ては、この一言が物語っていて、ここでコメントするに至りませんが・・・(苦笑)

駄弁者:
 ティム・バートン版は見てないのですが…。見てきた人によると旧版とは別物と割り切って見た方がおもしろいとのことでしたが、どうなんでしょう。
 映画の封切りに合わせてオリジナルの小説がハヤカワから出ていましたが、フランスの作品だったとは知りませんでした。
 ご投稿とは関係ありませんが、この方のHPのGalleryは必見。



相変わらず優しいのだな…ラカン。きっとそれが人であることの意義なのだろう。

 出典: スクウェア製作「ゼノギアス」

紹介 :おおた 様
HP :

コメント:
 ゼノギアスからです。前回自分が投稿したのが、デモムービーからで、今回のがエンディングからとかなり極端ですが。
 カレルレンの台詞です。劇中で大悪党にしか思えなかった人物が、最後に見せた人間らしさのせいでしょうか。自分はカレルレンの台詞でこれが一番印象に残りました。
 ゼノギアスってはじめはFF7として企画され、SF色が強すぎるので(というか完全にSF)別タイトルで発売されたという話を聞きましたが…SFと思わせてファンタジー、ファンタジーと思わせて実はSFだったという作品、ここ数年増えてきてるような…

駄弁者:
 まあ、剣と魔法オンリーが食傷気味、というのはかなり前からでしょう。しかし「超古代の先進文明と、その遺産たる人型兵器」というパターンも、それのみではすでに飽きられてしまっているのでは。「ゼノギアス」の設定は、かなり凝ったつくりだと思いますが。



人間の生活を存続させうるものは、永遠不変の耐えがたい不安ですよ、次になにがおこるかということを知らない不安です。

 出典: アーシュラ・K・ル・グィン「闇の左手」(小尾芙佐訳)

紹介 :ダンドリセン・満月ティ 様
HP :

コメント:
 ちょくちょく来させてもらって楽しんでいましたが、投稿は初めてです。
 私はまだSF初心者なので、とりあえず私が初めて読んだ本格的長編SFで今でも一番好きな「闇の左手」から。題名のもとになってる「光は暗闇の左手…」という一節にしようかとも思ったんですが、とりあえずこっちにしました。私は一応女ですが、ゲセン人はみんな、男に思えましたねぇ…「おしゃべりな宿の女あるじ」でさえも。ですから、たぶんこれは私が根本的に男勝りなせいだと思います。
 この作品は、主題とか作品世界とかはもちろん、なにかこう、ぐぉーっとした寂寞と哀しみと愉びがごった煮になったような読後感が好きです。RADIOHEADのPyramid Songが思い浮かぶような。
 グィンは「ゲド戦記」以来、小3からずっとファンです。最近こちらも読み返してああやっぱり素晴らしいなと思いました。

駄弁者:
 初めまして。初のご投稿歓迎いたします。
 「次になにが起こるかという」期待、ではなく不安としたところがこの作品の雰囲気を彷彿とさせます。
 「闇の左手」、読後駄弁にも書いたとおり、私はとりあえず「嶋の主人」は女性イメージをもったのですが、ほかは男性のイメージでした(2回読んだけど変わらず)。やっぱり女性が読んでも男性にみえるのか…。
 今年は「言の葉の樹」が出たし、来年にはゲドの5巻も予定されているらしいので、ル・グィンのファンはしばらく楽しみが尽きませんね。



「神ってのは、人間が人間のためじゃなく、人間が神のために犠牲になることを望んでいるんじゃないのか?人間が自立して神を必要としなくなったら、一番困るのは、神のはずだ。奴が求めているのは、従順な殉教者だけじゃないのか」   

 出典: 安井健太郎「ラグナロクEX DIABOLOS」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
 僕はミッションスクールに通ってる高校生ですが、どうしてもキリスト教…というよりむしろ一神教の絶対神の概念に馴染めないので、こういう台詞に何と無く共感してしまいます。色んな文化や価値観があったほうが、世の中、面白いじゃないですか。仏教とかヒンドゥー教みたいに互いに神様を貸し借りしてみたりとか。

駄弁者:
 高度な技術をもった「前時代文明」が滅びてから、はるか後の世界。傭兵リロイ・シュバルツァーと、彼の相棒・前時代文明の遺産である意志を持つ剣ラグナロクを主人公とするアクション小説。第1作が角川スニーカー大賞を受賞しているシリーズです。SFというにはちょっと…かなりツラいと思うのですが。
>人間が神のために犠牲になることを〜
 私も旧約聖書の、アブラハムが息子を生贄に捧げるくだり(ダン・シモンズ「ハイペリオン」中の一話のモチーフにもなっています)や、ヨブのエピソードは好きではないですね。
 しかし結局は解釈の問題で、多くの場合「神のため」と称する誰かのために犠牲になっているのではないでしょうか。



「どうしたんですか?どこか故障でも……」
「いえ、そのようなことではありません。私……夕食のときからずっと考えていたんですけど」
「何をですか?」
「お願いです!私を食べてください!」

 出典: 鷹見一幸「アウトニア王国奮戦記2・でたまか」

紹介 :似非SF好き 様
HP :

コメント:
 このメイ王女の発言の後、主人公マイド少尉は最大限の自制心を振り絞って「いただきます!」の一言を飲み込むことに。なぜ王女がこんなことを言ったかというと。「現在、二人は救命艇で漂流中」→「このまま漂流が続けば食料が尽きるかもしれない」→「そうなったらなんの技能もない自分よりも帝国仕官でありアウトニア軍軍事顧問であるマイドが生き残るべきだ」→「(いざとなったら)私を食べてください!」というわけでした。

駄弁者:
 「冷たい方程式」のマリリンも、言ってみたらよかったのに。
「冷たい方程式の熱い一夜」ないしは「冷たい方程式の厚いステーキ」。…って、あの場合問題は食糧じゃなくて重量なので、解決にならないという点では同じなのですが。



「北緯三十四度、東経百三十六度の海面にカツオの大群あり」

 出典: 小田基義監督、村田武雄・日高繁明脚本「ゴジラの逆襲」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 (このあとゴジラを発見することになる、漁業会社のセスナ機パイロット、彼による本社への報告より)  ちなみにこの地理座標は、奈良と三重の県境です。
 ……これは多分、物語のフィクション性をさりげなくアピールする為のセリフなのでしょう、きっと(好意的解釈)。
 『ウルトラセブン』最終回の「西の空に明けの明星が輝くころ(中略)さようなら、アンヌ」 のようなものでしょうか。
 (もっとも後者は、企画段階での「西の空に一番星が輝くころ」と「東の空に明けの明星が輝くころ」という二案が、ごちゃまぜになってしまった結果らしいのですが)
BGM:「幻惑されて」レッド・ツェッペリン


駄弁者:
…爆笑しました。
「北緯三十六度、東経百三十四度」なら、一応海なんですけどね。ただし鳥取県沖。「ゴジラ、鳥取砂丘を襲撃!」…いまいち破壊神のインパクトが。



フォーグラー博士「いつも何かあって初めて慌て、騒ぎ、後悔をする…だが、それももう限界だ。もし今度何かあれば、それが取り返しのつかないことならどうする?我々科学者とは一体何者なのだ?進化というベールをかぶった破壊者なのか?…(中略)…儂は願う。科学が常に犠牲を生み出すのなら、その科学でそれを食い止めることはできないだろうか?」

 出典: 横山光輝原作,今川泰宏監督「ジャイアント・ロボ THE ANIMATION 地球が静止する日 Episode.6−罪と罰−」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 木々を擦り合わせて火を起こしていた太古から現在の原子力に至るまで、エネルギーの裏には常に危険が伴っています。この台詞は、その危険を取り除いて人々が安心して暮らせる世界を夢に見、副作用のない完全リサイクルが可能なエネルギーシステム”シズマドライブ”の実用化にその生涯をかけた博士が、自分の息子と娘に語りかけた言葉です。しかしその思いとは裏腹に、この後、彼と彼の仲間達の研究のつまずきが世界の人口の3分の1に死をもたらす”バシュタールの惨劇”を引き起こしてしまい、博士は皮肉にも”世界の破壊者”として人々に記憶されることになります。
 科学の発達とその裏のリスクは現実にも多くの例があります。
リスクなくして発展は無し。それも確かです。
しかし、”現実”はあとどれくらい人間の愚かな失敗を受け入れてくれるものか。
”現実”に余裕のあるうちに、人間が自分でケツを拭けるようになれればいいんですが。

駄弁者:
>”現実”に余裕のあるうちに〜
 自分でケツを拭けるとして、そのための紙はやっぱり科学でしか作れないのではないでしょうか。「科学が常に犠牲を生み出すのなら、その科学でそれを食い止めることはできないだろうか?」という言葉には、非常に共感できますね。



<特別伝達事項>(前半部分略)
 君はローグ・トレーサー(悪漢追跡人)としての活動を口実にして地球へ行き、大統領を救出することになる。この任務に成功すれば君は大金持ちになれるだろうが、もしこの契約を断れば、追跡ビーム機構は今後も君に追跡のための犯罪者記録を流すかどうかは、保証できないといっていたので、覚えておいてほしい。
 どうかこの任務を請け負ってもらえないだろうか。<イエス?/ノー?>

 ありがとう。では詳しい内容を伝えよう

 出典: ルーク・シャ−プ「スター・ストライダー」

紹介 :グラニット 様
HP :

コメント:
 特別に優秀なローグ・トレーサー(要は賞金稼ぎ)である「君」は、「スター・ストライダー(星をまたにかける男)」と呼ばれている。今回の任務は、グロム人に誘拐された銀河大統領を救出すること。霧状のプラスチック網を打ち出す捕獲武器「キャッチマン」と、運・機転・適応力を便りに、任務を遂行せよ!
 はじめまして。本作品は80年代に一世を風靡したゲームブックのSF作品です。ゲームブックはサウンドノベルが本になったようなものと思ってもらえればいいです。主人公の「君」は選択肢を選んで指定された項目を読み進めます。たまには変わった出典もどうか、と思って送ってみました(そういえばアール・デュマレストのゲームブックもあったな)。
 現代教養文庫のゲームブックはイギリスの人気シリーズを翻訳したものです。冒険は各巻で独立しており、ファンタジーが主流ですが、ときどきSFも混ざっていました。27巻目の本作もその内の一つです。
 シリーズ共通のサイコロを使った能力・戦闘システムが特徴で、他の巻のほとんどがこの説明を無機質な文章で流しているなか、<追跡ビーム機構>から送られてきた依頼文という小粋なスタイルをとっていました。脅迫まがいの文章で有無をいわさずゲームに引きずり込みます。当時このくだりで爆笑した記憶があります。  本作での地球は、銀河連邦の中心から離れていることもあり「銀河系の端っこにあるちっぽけで取るに足らない星」とされています。この「僻地」にて、さびれた観光地であるマドリッドやローマを舞台に、悪漢どもやグロム人、アンドロイドと丁々発止!
 ゲームブック・ファンの間ではSFの人気は低いのですが、遊び心に溢れた佳作だと思います。
 残念ながら絶版です。

駄弁者:
 ゲームブックも、昔一時期よくやってました(実はマネして作ってみたことも)。
 しかしSFネタのものはやったことがないですね。一番はまったのは「ソーサリー」4部作でした(これは確か創元から出ていました)。社会思想社はもはや出版社自体なくなってしまったんですよね…。
>さびれた観光地であるマドリッドやローマを舞台に〜
…何気にシブい舞台設定ですね。



もしもそうなったら僕は急いで逃げ出そう、そしてまたほとぼりがさめたら静かに寄りそうよ。

紹介 :ななしのごんべ 様 → 第45集


「…意地を張っている状況かこれが!?」
「はッ!!!今こそ意地の張り時なんだよッ!!!」

 出典: 中平正彦「破壊魔定光」

紹介 :シャルル豪胆公 様
HP :

コメント:
カッコイイってのはこう言うこと!!

駄弁者:
この作品も前に一回載せましたねえ…。
叫ぶ前にとりあえず、どんな状況か教えてほしいのですが。



ボールの穴から離れた僕の指は、
今日の午後、
二人の人間の命を消したのと同じ指なのだ。
僕はその指で、
ハンバーガーも食べるし、
コーラの紙コップも掴む。

 出典: 森博嗣「スカイ・クロラ」

紹介 :みりあ 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。
 今回は、森博嗣さんの戦争寓話『スカイ・クロラ』から。戦争企業が戦争というリアルな刺激を世界に与え続けるために戦いを続ける世界。主人公の「カンナミ・ユーヒチ」はキルドレという遺伝子抑制剤製造の副産物として生まれた永遠に年をとらない少年。その彼は、ただ、空を飛び続けたいという理由で戦闘機パイロットになり、人を殺し続けていく、という物語です。なんとなく、虚無的な文体が気に入って買ってしまいました。

駄弁者:
 このあいだ新書版が出ていましたね。
 森版「雪風」との評も見たことがありますが、立ち読みした限り、あんまりそういう雰囲気じゃなかったような。プロペラ機だし(って、それはあんまり関係ないか)。



<あ、あの、せ、先輩?ええと、あの、そのー駆け引きって言葉知ってます?>
む、と青江は頷いた。だったら、といった優緒に彼は、
「わしゃ常に全額賭けじゃ」

 出典: 川上稔「電詞都市DT(デトロイト)」

紹介 : 第8天使 様
HP :

コメント:
のうみそ筋肉の主人公。単純でうらやましいというかなんと言うか。

駄弁者:
 すべtの物質が「電詞情報」として記録・再構築されている都市DT−デトロイト。そこに逃げ込んだ犯罪者を追って、特殊部隊の青江はDTに潜入する…。
 電撃文庫からでている「都市シリーズ」ですね。初登場。以前このシリーズの「機甲都市伯林」が面白いという話を聞いたのですが、結局読まずに見過ごしています。
>「わしゃ常に全額賭けじゃ」
 非常に漢(こういうときは「男」でなくてこの字でしょう)らしいお言葉ですが、できれば遠くで活躍してほしい御仁のような…。



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