SF名文句・迷文句第159集

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「どうやらスーパーマンは、スタート・ラインに着くまえから時代遅れになったらしいよ」

 出典: シオドア・コグスウェル「スーパーマンはつらい」(浅倉久志訳) 『グラックの卵』に収録

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 ユーモアの達人・浅倉久志さんが厳選したユーモアSFアンソロジー『グラックの卵』に収録されている作品からの投稿です。
 超能力者集団が協力して、ついに宇宙船を動かすまでの念動力を開発します。宇宙へと旅立った彼ら。しかしそこで出会った男から、あまりに皮肉な真実を聞くことになるのです。超能力者も所詮は人間、その先には限界がある。だが機械には無限の可能性がある。ということは……。
 「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」をうまくひねった、スパイスの効いた小品です。パーマンもつらいのですが、スーパーマンもつらいんです。

駄弁者:
 収録作品の中では、一番ストレートに笑える作品じゃなかったかと思います。
 しかしこの話の流れは、科学技術への信頼がまだ厚かった時代ならではのものでしょうねえ。今だったら別の結末になったかも知れません。超能力の方が、CO2排出量とか少なそうですし(安全性は…考えようによっては原発よりヤバいかも知れませんが)。



七十五歳の誕生日。わたしは妻の墓参りをして、それから軍隊にはいった。

 出典: ジョン・スコルジー「老人と宇宙」(内田昌之訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 下に続いて「老人と宇宙」の冒頭より。なかなか目を引く書き出しじゃないかと思います。
 わざわざ軍に志願する理由というのも、単純ながら登場人物が「老人」だという要素を生かしたものでした。
 しかし、入隊後の彼らは心身ともに(身の方はとくに)老人くささがなくなってしまうんですよねえ…。



単純だが、単純だからといって簡単というわけではない。

 出典: ジョン・スコルジー「老人と宇宙」(内田昌之訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 名セリフは「インパクト」と「汎用性」。
「その問題は部長に了承もらえばOKだ。単純だろ?」
「でも簡単じゃないです。」
てな会話が思い出されるセリフです。
そんな事はさておき。
 21世紀版「宇宙の戦士」と銘を打たれたら、そりゃ読まずにはいられません。実際あっという間に読んでしまいました。私があっという間に読む位ですから、もしかして「ライトノベル?」と思いましたが、そんな事を言うとキャンベルさんに叱られそうなのでやめました。
 さらに「Old Man's War」を邦題「老人と宇宙(そら)」にした訳者に拍手。ていうか「宇宙」を「うみ」って読んじゃう私は紛れも無く「松本零士世代」です。(「ヤマト」以前、宇宙は「そら」だったそうで。)
 だもんで、最後に鮫に食われてシッポだけになるんじゃないかとハラハラしてたのは私だけでしょうか?

駄弁者:
 兵役の最初の2年間は、「いわれたところへ行って、ライフルをかまえ、敵を殺し、自分は殺されないようにするしかない」とのこと。…単純に表現すれば物事が簡単になるわけではありません(笑)。
>邦題「老人と宇宙(そら)」
 私も上手いと思いましたが、この題のせいで文学的なのを期待してハズしてしまった、という方もいるようです。



それまでずっと当たり前にあった場所、当たり前にあった時間。僕等は当たり前に冷たい。だから、当たり前は悲しみに耐えられなくて逃げていく。無くなって初めて気づく当たり前。これからも、たくさんの当たり前をなくしていくのかなぁ…

 出典: 吉崎観音原作・サンライズ制作「ケロロ軍曹 第5話『おもちゃを愛する男達の歌 であります』」

紹介 :当たりくん 様
HP :

コメント:
 この話のラスト部分での623(むつみ)のポエムです。
 いつもいる生徒、いつも行っている行きつけの店、いつもいる仕事のパートーナー。それらが突然いなくなった時、何か大きな喪失感を覚えるのは間違いないでしょう。
 私もこの時期にこのような経験を何度も体験しています。いつもの時間、日々を大切にしなければならないと考えるようになりました。

駄弁者:
 地球侵略を図るカエル型異星人の先兵たち(ただし地球人宅に居候)の話…らしいです。
>悲しみに耐えられなくて逃げていく
 黙って逃げていくので、自分が当たり前と思っていたものが、いつの間にかそうじゃなくなっている、ということもよくあります。



「あんたらはみんなどっかに繋がってるんだ。それって安心なのかもしれないけど──やっぱり不自由だ。背中に糸がくっついてちゃ動き難いし面倒臭いだろ」

 出典: 京極夏彦「ルー=ガルー 忌避すべき狼」

紹介 :垂直応力 様
HP :

コメント:
 「近未来少女武侠小説」より(2001年初版)
 近未来小説のお約束として色々便利な携帯端末を国民全員が持ってますが、戸籍がなく端末を持たない未登録児童の台詞。
 私、携帯電話が大嫌いなんですけど、いまどきこういう感覚って理解されないもんでしょうかね。

駄弁者:
 GPS携帯を持たされている小学生なんかのことを考えると、ほとんど未来の話じゃなくなってますが。
>携帯電話が大嫌いなんですけど
 私の場合、図書館利用者が持っている(使っている)携帯電話は大嫌いです。注意すると逆ギレされますし。



おれだって迷子だぜ。おれは迷子をやめる気なんかさらさらねえな。

 出典: ウィリアム・ギブスン「フューチャーマチック」(浅倉久志訳)

紹介 :マッキー 様
HP :

コメント:
 こんばんは。二回目の投稿をさせて頂きます。
 作品中の悪ガキが心中つぶやく言葉です。捻くれもここまでくればもはや禅。作品も楽しんだのですが、この一言が頭に残ってしまいました。
 しかし迷子以上にタフネスを必要としていそうな彼、ブームジラのこの境地に居続けられる精神…というか人は何処かしら気付かずに開き直ってる面があるものか。
 迷いに徹する生。
とか言ってごまかす場合なのかと自答する迷惑な大人迷子…。

駄弁者:
 「ヴァーチャル・ライト」「あいどる」と3部作をなす有名な作品ですが…私は未読。
>迷いに徹する生。
 迷子の状態になることは誰しもあることですが、自覚して迷子をやっているというのは、タフなんだか哲学者なんだか。



君たちが信じられないような沢山のものを、僕は見てきた。
過去のデザイン、未来のデザイン、
湾曲したケーブル。
中古の音楽、未来の音楽、
統合された対話。
不可解なソフトウェア。
やあジョン! ルールを破ろうぜ!
…(中略)…
ポリエステルな風景、
ナイロンの酸素、
灰からコンクリートへ、
エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ…。
ああ、ところで、
今日の夜明けは美しかった。
何て夜明けだ!
すごい夜明けだ。
素晴らしい夜明けだったよ、みんな。

 出典: Vangelis「Intergalactic Radio Station」

紹介 :歌鳥 様
HP :
http://members.jcom.home.ne.jp/songbird-x/

コメント:
 ヴァンゲリス。ほとんどの方はご存知ないと思いますが、ほとんどの方が一度は耳にしたことのあるアーティストだと思います。  ギリシャ出身のシンセサイザー奏者です。「ブレードランナー」「炎のランナー」など、映画のサウンドトラックを多数手がけています。また2002年のFIFAW杯では公式アンセムを提供。その他、ありとあらゆるテレビ番組でBGMとして使われまくっています。  ほとんどはインストルメンタルですが、まれに歌詞のついた曲もありまして。で、今回はアルバム「ダイレクト」の最後を飾る「銀河ラジオステーション」から投稿しました。  歌というより、台詞です。声は若い男性。説明がないので勝手な想像ですが、衛星軌道上にあるラジオ局のDJによる、地上のリスナーへ向けたメッセージではないかと。  原文はこちら。タイトルにふさわしい雄大な曲です。

駄弁者:
 「ブレードランナー」に縁のある人で、しかもこの文句だと…語っているのは果たして人間なのかと考えてしまいます(第115集参照)。
>ほとんどの方が一度は耳にしたことのある…
 映画『南極物語』の音楽もこのアーティストなんですね。



地上管制塔よりトム少佐
君の回線が切れた、何かがおかしい
聞こえるか、トム少佐
聞こえるか、トム少佐
聞こえるか、トム少佐
聞こ
”…ここで私はブリキ缶の周囲を漂っている
 月の遥か彼方
 惑星 地球は青い
 私にできることは 何もない”

 出典: David Bowie「Space Oddity」(ご投稿者訳)

紹介 :歌鳥 様
HP :
http://members.jcom.home.ne.jp/songbird-x/

コメント:
 自身の存在自体が限りなくSFな男、デヴィッド・ボウイが1969年に発表したアルバム”スペイス・オディティ”。冒頭のタイトル曲です。原文はこちらで読めます。
 歌詞は宇宙飛行士トム少佐(何故かファーストネームで呼ばれています)と地上管制塔との交信によって構成されています。トム少佐は(おそらく人類初の)宇宙遊泳に成功。彼は地上で英雄となります。が、トム少佐は何らかの理由で、自らの意思によって宇宙船を離れ、虚空を彷徨いはじめました。
「2001年…」にインスパイアされて作られたそうです。またイギリスのTV局では、アポロ11号の月面着陸を中継した際、BGMとしてこの曲を流したという逸話もあります。そんなわけで、歌鳥が“SFな歌”と聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの曲です。
 およそ10年後に発表された曲“Ashes To Ashes”の歌詞で、トム少佐についての真実が語られ、世界中のファンが肩すかしを喰らったのでした。
 移動手段も命綱もなしで宇宙船を離れたら、そりゃ何もできません。"Can you here…"と"Here I am…"が繋がるあたりが絶妙ですが、訳したらかなり強引になってしまいました。どなたか巧いこと訳していただけないもんでしょうか…。

駄弁者:
 どっかで聞いたフレーズだと思ったら、イアン・マクドナルドの短編に、この歌から題をとった「帝国の夢 −地上管制室よりトム少佐へ−」があったのを思い出しました(『80年代SF傑作選』に収録)。
>トム少佐についての真実
 虚空に漂っていったのは身体のほうじゃなかったんですね。
 そういえば「帝国の夢」のほうも、一見スペオペ風ながら実は…という作品でした。



正義を守るにも力がいるんだなあ。
力がほしいなあ…。

 出典: 藤子・F・不二雄「ドラえもん 『10分おくれのエスパー』」

紹介 :春夏秋冬 様
HP :

コメント:
 またまたドラえもんで投稿させて頂きます。
 ジャイアンの理不尽な暴力をただ見る事しか出来ず、しかも強要されたとはいえ「ジャイアンが正しい」と言ってしまった後ののび太の独り言です。
 「ペンは剣より強し」という言葉が通用しない子供社会の出来事ですが、(時代が違いますが)憲法改正のメタファーとも捉えられそうで恐いです。
 一概に「正義」と言っても、「個人の正義」であるならば、藤本先生が散々作中で述べていた様に、ただの自己満足になる可能性が充分にありますからね。「どこまでいっても個人の正義」である以上、「カイケツ小池さん」や「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」の様な悲劇が起こりかねません。
 ドラえもんの作中には、この様に短いながらも深く考えさせられる台詞が多いから、自分は今になってもドラえもんをもっと好きになれたのでしょうか。

駄弁者:
 ここで「力」を単純に腕力と捉えてしまっちゃあ、天国のF先生が泣くというものです。



わたし は イヅナ

 出典: TEA-CROWN製作「自律機動戦車イヅナ」

紹介 :H-Aya 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させて頂きます。
 先日ここを知って、漸く全部読み終えました。
 最初は紙媒体からにしようかと思ったのですが、先日プレイしたゲームに少し考える部分があり、こちらを投稿させて頂きました。
 現在とさほど変わらない舞台・日本において、自律するとはどういう事かを追求し、機動ボディと共に自己成長するAIとして作られた実験機「自律機動戦車イヅナ」。その、最初で最後のイヅナ自身の言葉です。
 SFで描かれるAIなどはある程度完成されたAIとして描かれることが多いのですが、ゼロから構築し、この言葉を自分自身で発するようになるまでにどれだけの成長と経験があったのかと考えると「在る」ということの広大さに眩暈すら覚えます。

駄弁者:
 この頃ちらほら見かけるようになった女性向けADV…?いや、一応男女両方をターゲットにしているみたいですね。オフィシャルサイトのサンプルに出ている、積み木をしているイヅナはなかなか愛嬌があって面白いです(「何か必死に無害さをアピールしているようにも見えるな」セリフも)。
>SFで描かれるAI
 小説でゼロからAIが構築される話というと、イーガン「ディアスポラ」の序盤はその極北と言っていいと思いますが…。あまりに内容がハードすぎてついていくのに苦労します。



私は名も要りません。また地位や名誉も望みません。ただ一つ私が望むものは、強敵メタルダーを葬ることだけでございます。私は帝王により死神として造られた戦闘ロボットです。死神にとって敵を抹殺する以上の喜びはございません。私のこの体内に強力な爆弾を埋め込んでいただきたい。この身に代えても、必ずやメタルダーを葬ってご覧に入れます。

 出典: 伊藤寿浩監督・高久進脚本「超人機メタルダー 第18話『舞の秘密情報・プールサイドの罠』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 帝王ゴッドネロスの正体を調べるため、アメリカから返還された旧日本軍の極秘資料を追うメタルダーの前に、死神と呼ばれる戦闘ロボット軍団・烈闘士ザーゲンが立ちはだかります。
 メタルダーもろとも自爆するために、自分の体内に爆弾を埋め込むように帝王に進言するザーゲン。彼が語る死神ロボットとしての人生観が投稿の台詞です。
 出撃前に戦闘ロボット軍団長・凱聖バルスキーに「別れの言葉はないのか?」と声をかけられたザーゲンは、こう答えます。
「死神には最初から別れの言葉などありません。死を前にして私の胸は、むしろ喜びに打ち震えております」
 ザーゲンの体に必殺拳を打ち込めば、爆弾が作動してしまうことを知り、手を出せずに危機に陥るメタルダー。しかし、ザーゲンの鎌でわざと切断させた右腕を起爆装置に投げつけるという荒技で勝利するのでした。

駄弁者:
 西郷隆盛が言うところの最も始末に困る者の典型。こういう人でないと大業を成せない…と続くのですが、実際は鉄砲玉に使われることの方が多かったりして。



おお、炸裂よエクスプロード!塵と灰に! 炸裂よ!炸裂よ!塵と灰に!

 出典: 冲方丁「マルドゥック・ヴェロシティ」

紹介 :神凪御子 様
HP :

コメント:
 名台詞は「インパクト」と「汎用性」と言うことで投稿いたします。
 虚無へと堕ちる前のボイルドに付きまとう言葉であり、また、彼の心をさいなみ続ける言葉でもあります。
 何かに熱中しているときに用いると効果的かもしれません。

駄弁者:
 戦闘薬の影響で味方を「誤爆」してしまったボイルドの、苦痛と快楽に彩られた破壊衝動を象徴する言葉。
 覚醒剤中毒のフラッシュバックみたいなもん(というか、そのもの)なんで、汎用性があるのはマズいなあ。(笑)



どういう事だ。兄弟でなくても、あれだけの息のあった動きができるということは、人間は、それだけ奥が深い、という事なのか?

 出典: 冨田義治監督・山崎晴哉脚本「超人機メタルダー 第7話『ゴールを決めろ!タグ兄弟との炎の決闘』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 少年サッカーチームのコーチを頼まれたメタルダー・剣流星は、そのチームに所属する兄弟の息のあったプレイに感嘆し、兄弟というものの不思議さを知ります。そして、ロボットであるがゆえに肉親を持たない自分と比べて孤独感をつのらせます。
 メタルダーが兄弟に心惹かれていることを突き止めた帝王ゴッドネロスは、次なる刺客として、ネロス帝国の反逆者を次々に粛清することで、烈闘士から豪将にまで出世したヨロイ軍団のタグ兄弟を選びます。
 兄のタグスキーは柳生新陰流の開祖・柳生石舟斎の技を仕込まれた剣の達人。弟のタグスロンは源平の戦いで源氏に味方した三井寺の浄妙明秀の型を習得した薙刀の名手です。
 タグ兄弟の絶妙の連携攻撃に苦戦しながらも、なんとか勝利したメタルダーは、互いにかばいあう二人を見て「兄弟の命、大切にするがいい」と言って立ち去ろうとします。
 その時、タグ兄弟がメタルダーに叫びます。
タグスロン「甘いな。俺たちは兄弟ではない。血の繋がりは無くても兄弟以上に結びついているのだ」
タグスキー「それは偽りではない。俺たちだけの秘密だ」
 彼らが本当の兄弟ではないと知り、驚愕するメタルダー。また一つ、人間の奥深さを知ったのでした。

駄弁者:
 実の兄弟だからこそ最もいがみ合うということもあり得ると知ったら、もっと驚くんじゃないでしょうか。



キミはわたしの「道具」になるのだよ

 出典: 聖悠紀「超人ロック 聖者の涙」

紹介 :きょん 様
HP :

コメント:
 アフラからロックへ。
 麻薬が蔓延する銀河連邦で超人ロックはパパ・ラスという名で麻薬王に扮し、新種の麻薬と偽って法律で禁止されている麻薬治療薬を広めようとしていた。軍情報部のイセキ少尉の出現によって麻薬工場の星の存在を知り、ロックはそこで全人類を麻薬漬けにしようとしているアフラと出会う。工場を破壊しようとするロックはアフラの部下のエスパーエルナによって倒され、アフラの作った究極の麻薬ソーマを投与されてしまう。
 ソーマが中枢神経に定着すると人はソーマなしには生きられなくなる。それまでの間は極めて不安定な状態が続く。たとえば暗示に非常にもろくなる。アフラはその性質を利用して、ロックに暗示をかける。
 超人ロックでは人が道具として使われるというシチュエーションが、非常に多く出てきます。知らぬ間に道具とされてしまったり、自ら進んで道具となったり。ロックはそんな人々に、繰り返し「人」として生きることを説いていきます。
 道具になることは、ややもすると楽なことに思えます。難しい決断を他人任せにして、言われるままに動いていればいいのですから。でも果たしてそれで生きていると言えるのでしょうか。楽な道を選んだつもりで、人として一番大切なものを永遠に失ってしまう。そうなってはいけないと、作者は訴え続けているのです。

駄弁者:
 とはいえ、誰からも使われたり操られたりすることなく生きるのは、これまたあり得ないわけで(それが望ましいとも限りませんし)。
 意志に反して一方的に道具にしたりされたりするのではなく、互いに利用しあっていくのが理想的なんですが。
「ようこそ、人類へ。誰も、自分自身の人生をコントロールすることはできないのよ、エンダー。あなたのなしうる最善のことは、よき人々、あなたを愛する人々によってコントロールされるのを選ぶことね。」(カード『エンダーのゲーム』より)



「無駄だ!このゴルソドランはお前よりも22%強く作ったのだ!」
「例えお前たち(の性能)が22%アップされていようとも、バッタもんである以上、オリジナルの新製品には敵わないのだぁ〜!!」

 出典: サンライズ製作「黄金勇者ゴルドラン 第37話『さらば黄金勇者 −レジェンドラよ、永遠に−』」

紹介 :取手呉兵衛 様
HP :
http://blog.livedoor.jp/tottekurehee/

コメント:
 ついに黄金郷レジェンドラに到達したかに見えた黄金勇者一行。だがそれは、本当は惑星「ソドラ」であり、頭に「レジェ」を付け「レジェソドラ」として勇者一行を騙していたのだ!ソドラ王の目的はレジェンドラへの到達。阻止せんとする勇者たちだったが、その前にニセゴルドラン・「ゴルソドラン」が立ちはだかる!
 得てしてロボットアニメにおけるヒーローのニセ者というのはオリジナルに敵いませんが、こいつは違う!毎週テレビを見て(…)研究の結果、22%(当社比)強く作られていたのです!
 で、そんなやたらと強いニセ勇者に対し、助っ人として駆けつけた宇宙海賊・イーザック船長が言い放ったのが下段の台詞。要は「新キャラ(メカ)は、新製品としてメーカーがプッシュするものだからテレビでは強く描かれる」という勇者シリーズのお約束なわけで、「言ってはならない禁断の台詞」なわけで…。
 で、その台詞通り、イーザック麾下の新製品・キャプテンシャークはニセ勇者を一掃します…。
 この回の演出は、後に「はれときどきぶた」などのスラップスティック・コメディアニメを多く手がけるナベシンことワタナベシンイチ氏。ルーツを見るのって面白いですね。

紹介 :s 様
HP :

コメント:
 サブタイがこんなのだけど最終回じゃない第37話より、大掃除の結果出てきたビデオで大爆笑したシーンのやりとり。
以下ネタばれ注意
 伝説の都「レジェンドラ」を目指すタクヤたちは、ついにレジェンドらに辿り着く…が、それは偽者でソドラと言う惑星だった。
そうとも知らずに「此処は確かにレジェンドラだ!」と喜ぶ勇者たち(出身:レジェンドラ)と分かれてしまったタクヤたち、その隙に今回の敵が偽者のアドベンジャー号(タクヤ一行の移動手段)でレジェンドラに出発しようとする。しかし間一髪でゴルドランによって阻止された。
 しかし相手も黙っちゃ居ない、なんと埴輪みたいなゴルドランの偽物を持ち出してきた。その名も「ゴルソドラン」!なぜそんなもんがあるのかというと「毎週テレビで研究した」そうな。そこー、魔球打つんじゃないんだぞ!
 で、なぜ今回の迷文句かと言うと、その偽物が本物より22%強いのである。
 このシーン見て大爆笑してしまった…微妙だろ22って…22って…(笑)

駄弁者:
 海賊版がオリジナルに勝るとは、クリエイターとしてはたとえ作中であっても許せないわけで…。



「い、いや!私は知らん!潔白だ!
 そ、そんな目で見るなぁ!事故なのだぁ!戦いに疲れていて、それで、いや、あ、その…。
 …(中略、赤ん坊の産声が響く)…
 産まれた…。私は子持ちの勇者になってしまったぁ!」

 出典: サンライズ製作「黄金勇者ゴルドラン 第33話『誕生 子連れ勇者』」

紹介 :取手呉兵衛 様
HP :
http://blog.livedoor.jp/tottekurehee/

コメント:
 この世の何処かにあるという伝説の黄金都市レジェンドラ。神秘の宝石パワーストーンに眠る8人の「レジェンドラの勇者」を復活させれば、そこまでの道が開かれるという。偶然、勇者の一人「ドラン」の主(あるじ)となったタクヤ、カズキ、ダイの悪ガキ3人組は、レジェンドラ探索の冒険を始める。冒険の果てにレジェンドラは宇宙の彼方にあることが分かり、彼らは様々な星を巡って行く…。
 そんな旅の中、ロボットたちが住む惑星ロボラルドにて、ドランは女性型ロボット(といっても、メカ沢新一みたいなデザインですが)マリアと出会い、ひょんなことから口づけをかわしてしまいます。これにより彼女の体内に仕込まれた種族保存装置が起動。この星の女性ロボットたちは体内にメカ工場があって、子供を作る能力があったんですね。
 で、自分が孕ませてしまったことを知ったドラン必死の台詞が上記なわけでございまして…。鬼の形相で説明を迫る仲間の勇者たちに、必死で弁解しようとするドラン…。そのまんまキャラクターを人間に置き換えても成立してしまうのが何とも。
 結局、めでたく(?)四つ子が誕生。図らずもパパになってしまったドランの苦闘がBパートから始まるのでした。 あ、ラストは結構感動ものでしたよ。この回。

紹介 :匿名希望 様
HP :

コメント:
 住民が全てロボットの星・ロボラルドに到着する直前、一行はアルカリ星人に襲撃される。それにより一行は墜落、応戦していたドランも別の場所に落ちてしまう。
 ロボラルドの住人マリアに助けられたドランは、マリアの牧場を狙うならず者から彼女を守るが、蓄積していた戦いによるダメージが大きすぎて倒れてしまう。
 その時、倒れた拍子にドランの口がマリアの口に触れてしまう(ようするにキス)。
 ロボラルドのロボットにとって、キスとは体内の小型工場で子供を作る装置「種族保存装置」を作動させる行為。そのためマリアの装置が起動、ドランの子供を身篭ってしまう…。
 迷台詞はドランが仲間に対して言った言い訳。
 確かに間違ってはいないけど…。
 もうちょっと他の表現無かったのか?

駄弁者:
 この場合ドランはスイッチを押してしまっただけだと思うんですが、それでもやっぱり自分の子供として認知しないといけないんでしょうか?
 まあ、本人が責任取る気になってるみたいだから、ほっとけばいいのか…。



もし、攻撃、あるいはそれに類した反応が、あの“雲”から発生したとなると、事は重大だな……

 出典: 小松左京「首都消失」

紹介 :いせやん 様
HP :

コメント:
 突如として東京とその周辺一帯を覆ってしまった、正体不明の「雲」を調査する為に飛行していた米海軍の電子偵察機は、「雲」から発せられた高エネルギーの粒子ビームによって中破、手近の基地になんとか着陸します。乗組員の一人は自分達は攻撃を受けたと主張しますが、一方では、ビームそのものは兵器と呼べるほどに精度が高くなかったと主張する搭乗員も引きません。その後、第70集に掲載されたやり取りを経た後に、二人をなだめた上官の口からこぼれた言葉です。
 アニメ、マンガ世代の自分達は「宇宙人」などとなると安直に「敵」と考え勝ちですが、正体不明の何かから攻撃を受けるということが、実際はいかに切迫したものであるかをさりげなく示した辺りは小松先生のお家芸ですね。

駄弁者:
 敵と断定できるどころか、ついに最後まで「雲」の正体はなんだったのかはっきりしない。「なぜ消失したか」より「消失するとどうなるか」を描くということで、今ならこれはこれでアリかとも思えるのですが、読んだ当時はずいぶん消化不良な感じがしたものです。
 それでも原作だと推測ぐらいは出ていたのですが、映画だとさらにワケが分からなかったような…。



「君、記憶力は確かなのよね?」
「一応」
「なら……覚えていてほしいの。ロケットに乗って空を飛んだことを」

 出典: 竹本泉原作・金月龍之介「小説 てきぱきワーキンラブ」

紹介 :さるたに 様
HP :

コメント:
 時は23世紀。未来でSFな世の中で、管轄不明なよろず仕事を一手に引き受ける「その他省」ではたらく少女(少年や中年、老人含む)の物語を描いたゲーム…のノベライズ版から。
 銀河系随一の(そして最後の)ロケット乗りであるキャプテン・ライラックからの依頼は、彼女と共にロケットに乗ること。そして乗員の条件は記憶力が優れていること。
 乗員に選ばれたエダルトはライラックと共に”最後のロケット・シップ”シルバー・バレット号に乗り込むこととなります。安全性と経済性で現行の宇宙飛行船に劣る為、サーカスのショーでの曲乗りくらいでしか旧世代のロケットには居場所が無い世の中ですが、未知なる宇宙への憧れと挑戦心に魅せられた人々の情熱を今でも感じている人たちがいます。例えばキャプテン・ライラックのように。
 しかしこの依頼から二週間後、「銀河系最後の現役ロケットシップ、ついにスクラップ処分される」という記事が新聞の片隅に掲載されます。サーカスでも居場所が無くなり、引き取り手も無いまま廃棄処分されるロケットについて、新聞記事は宇宙時代の新たなステップと評します。
 基本的に「お気楽極楽」なノリの原作とは違い、ノベライズ版は結構シビアなエピソードが目立ちますが、個人的には結構好きです。
 ゲーム業界では旧作のリメイク・移植が流行っている状況がここ何年か続いてますが、せっかくだから本作のようなレゲー絡みの書籍について、読む機会が増えるといいな、とか思ったり。

駄弁者:
 久しぶりにこの作品名を見たような気がします(前回は…第31集でした)。
この名文句集にご投稿があってから、原作のほうはひととおり読んだのですが、ゲームやノヴェライズがあったとは初めて知りました。
 こういう最後の瞬間に立ち会えるのは、ある意味幸せなことであると同時に、寂しいことでもあると思います。
追記・「原作のほう」…と書いたんですが、『てきぱきワーキンラブ』はゲームが本来の企画で、小説やマンガがメディアミックスから生まれたものだとのこと(さるたにさん、ご指摘ありがとうございます)。



護れるものも護れずに生き残っても死んだと同じ。
……それはきっと志の死、魂の死を指しているんでしょう。
機械(からくり)の私にはわかるはずもないと思っていましたが、少しだけ分かった気がします。
私も護りたいものができました。
何度、電源を切ろうと…… ブレーカーが落ちようと、この身が滅ぼうと忘れない。
……だから、みんなも…… わたし…のこと、
忘…れない…で。 そうすれば…… 私… 私の魂は……
ずっと、みんなの中で…… 生き続けるから。
お…父さん… 私…… 友達が…… できたよ。
機械じゃない、本当の友達……

 出典: 空知英秋「銀魂」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 病弱だった一人娘、芙蓉を失った林流山博士は人間の人格をコピー化して機械に移し変える技術を考案して娘を甦らせようとし、自身も「機械(からくり)になりたい」と思うようになりました。
 実験を繰り返して自らの人格データを機械人形「伍丸弐号」に移し変えた流山博士は友達がおらず孤独だった芙蓉が甦った際に寂しくならないようクーデターを起こし機械が人間を支配する世界を作り出そうとしましたが、本当は一人娘を失い、同調したと思われた伍丸弐号に拒絶され人格が崩壊した流山博士自身の歪んだ寂しさから来るものでした。
 そんな彼も最期には江戸中のエネルギーが集まるターミナルの中枢にある光の束に呑み込まれていくのですが、そのさなか芙蓉の人格データが入っている機械人形「似−参丸伍号」から「さようなら、お父さん」と告げられると自分を取り戻し贖罪と安堵が混じったかのような表情で消滅。 そして娘である似−参丸伍号もターミナルのエネルギーの暴発を防ぐ為爆炎の中へと消えていきました。
 銀時たちとの出会いにより人間としての“心”と“友達”を得た彼女はこの時、確かに笑っていたのでした。

駄弁者:
 状況としては、わりと他の作品でもあるかな…という感じですが、いつも「迷」の方のご投稿が多い出典であることを思えば、これはこれで味があります。



幸福は、さまざまな方法で不幸とからみ合っているのです、みなさん。

 出典: スタニスワフ・レム「泰平ヨンの現場検証」(深見弾訳)

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 この本は二つの意味でなかなか読めない。
 一つ目は、非常に貴重で高額なお金を出さないと手に入らない。
 二つ目は、ドタバタでありながら風刺あり、哲学談義ありで内容を一言一句理解しようとすると頭がおかしくなりそうでなかなか読めないのである。

駄弁者:
 こっちは前集の「リバーワールド」以上に見たことがない…実際の話、私は一度も現物にお目にかかったことがありません。
 「宇宙創世記ロボットの旅」あたりなら、わりと楽しめたのですが(それでも結構哲学的だったと思う)、それ以上となると…。



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