SF名文句・迷文句第225集

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また高貴な、古い戦士の魂が、息をふきかえす。

 出典: 小松左京「明日泥棒」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、続けて、同じ作品から。「軍事ロマンチシズム」に頭をやられている男の言葉です。ったく、この人は「戦争」を何だと思っているのだろう。「戦争」が「高貴」であったことなんて、あったんでしょうか?あー、コメントを冷静に書けなーーーーーい!
 でも、最後に次の文章を引用させて下さい。
「ここでも戦争が意味するものは、まずは泥、それから血、そして死であった。」(グイド・クノップ著、高木玲訳「ヒトラーの戦士たち 6人の将帥」より。ロンメル元帥の「砂漠の戦い」の行から。)
 別に「ここ」(「砂漠の戦い」)以外でも、そうだと、思います。今までも。これからも。

駄弁者:
 逆に考えれば、そういうロマンチシズムに酔ってでもないと戦争なんてやってられない、ということかも知れません。戦争の現実をアタマで知ってさえいれば、それだけで戦争が止められるというわけでもなし。
 けど、ご投稿のセリフのようなことが言える人は、たいてい自分が泥や血にまみれない立場にいるのが常。



かのベトコンは、竹の武器をもって、精巧なる近代装備の政府軍、アメリカ軍を、あれほどまでに悩ませたではないか!

 出典: 小松左京「明日泥棒」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「くたばれ軍事ロマンチシズム」。
 投稿の文句は、1965年に出版された小松左京氏の小説から。「竹槍」で戦争に勝とうとする老人の言葉です。ったく、どうして「戦争」を「正義」だの「大義」だの「奇跡」だの「天佑神助」だの「神風」だの「ロマン」だのといった「色眼鏡」を通して見たがる奴らが絶えないんでしょうね。別に良いじゃないですか、戦争にそんなもの無くたって。いいえ、実際の戦争に「そんなもの」はありません。あるのは……。

駄弁者:
 「やかまスー」の一言で世界中の「音」を消してしまえる宇宙人ゴエモンが出現。政界の黒幕・田村大三はゴエモンを利用してとある計画を実行にうつす…。作品としては、コメントで非難されているような「正義」だの「大義」だのをからかう側の話なので、その点お間違えなきよう(小松左京の作品を読んだことのある方には無用の注釈なのですが)。
 先の戦争で竹ヤリが役に立たなかったから、もっと強力な兵器を…!ではなく、竹ヤリが役に立つ状況の方を作ろう!というのは、その発想だけとってみればなかなか笑えるものではあるんですけどね。



「おい、ローザス、すまんが軍医を呼んでくれ。このまま傷口をふさがずにいると、おれの腹黒いことが皆にわかってしまう」

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮」

紹介 :ハンニバル 様
HP :

コメント:
 ブルース・アッシュビーという名将が、腹部に致命傷を負った時の台詞です。
 格好良すぎ。死ぬときまでジョーク混じりなこの人、大好きです。お腹痛くなったら言おうかな(笑)

駄弁者:
 まだ少佐だったヤン・ウェンリーを主人公に描く外伝より。40年ほど前に戦死した自由惑星同盟の名将の謀殺疑惑を追う、どちからというと気楽なエピソードです。ご投稿のセリフは、件の名将、ブルース・アッシュビーの死を描いたシーンより。
>おれの腹黒いことが皆に…
 中を見なくても腹黒いのは敵も味方も先刻承知だから、という返しはさすがに出てこなかったようです。



生き延びた先には、何があるのか……

 出典: 高松信司監督・川崎ヒロユキ脚本「機動新世紀ガンダムX」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 新番組予告から。
 たとえ生き延びる事ができてもそれで人生は終わらない。
 かつて「ガンダム」に憧れた監督からの回答だと思ってます。

駄弁者:
 宇宙戦争後の荒廃した地球が舞台という設定からの惹句というのが表の意味でしょうが、ファーストからの熱心なファンはにやりとしたでしょう。
 戦いから生き延びた先もまた戦いというのが、よくあることながら悲しいところです。



君は、生き延びる事ができるか……

 出典: 富野由悠季監督・サンライズ制作「機動戦士ガンダム」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 次回予告で毎回言っていた台詞を。
 しかしアムロがピンチになったのって物語前半だけのような

駄弁者:
 アムロは生き延びられるとして、あれだけ猛攻撃を受けていたホワイトベースの戦死者って、どれぐらいだったんでしょう。
オールドタイプの私たちが乗り組んでいたら、それこそ「生き延びる事ができるか……」っていうものです。



私はそのような彼女を愛する。
それこそ人間的な行為だと思うからだ。

 出典: カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」(伊藤典夫訳)

紹介 :mmkt 様
HP :

コメント:
 聖書の中の物語
 ロトとその家族は、ソドムとゴモラの町が滅ぶことを神から知らされ、逃げる際には町を振り返るなと命ぜられる。
 しかし、ロトの妻は振り返ってしまい、塩の柱となってしまった。
 そんな彼女に対するヴォネガットの言葉。

駄弁者:
 この奥さんの娘さん2人が後々やってしまうことに比べると、確かに共感がもてる行動だったと思います。



神よ願わくばわたしに変えることのできない物事を受けいれる落ち着きと、
変えることのできる物事を変える勇気と、
その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ

 出典: カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」(伊藤典夫訳)

紹介 :mmkt 様
HP :

コメント:
 スローターハウス5の中で引用されている『ニーバーの祈り』です。
 人生の困難に遭遇する者(つまり誰しも)共感を覚えるであろう『ニーバーの祈り』は、いろいろなところで引用/翻訳されていますが、わたしは伊藤典夫氏によるのものが一番好きです。

駄弁者:
 それができれば、人生全て乗り切っていけるんですが…。
 けど、面白みはなくなってしまうかも知れませんね。トラファマドール人的に見れば、変えることのできる物事自体がないので、すべてを「そういうものだ」と受け入れないとならなくなってしまいます。



切れ味を失くさないかと心配する人は、とっくに刃物自体をなくしていることが多いのですよ

 出典: マイケル・シェイボン「ユダヤ警官同盟」(黒原敏行訳)

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 後二カ月でユダヤ教徒の自治権が取り上げられ、廃止される、アメリカ合衆国アラスカ州シトカ特別区で警察の殺人課に勤めるランツマン警部は、命じられた残務整理もそこそこに面倒な殺人事件に深入りして、怪しい施設に監禁され、必死で脱出した後、治療にあたったインド系の医師に抗鬱剤を進められて、頭が鈍ると断ったところ名文句で切り返されました。
 耳に痛いセリフです。
 2008年度ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の三冠とエドガー賞最優秀長編候補に輝いた歴史改変小説です。
 第二次世界大戦前から改変されているのですが、細かい説明はされていませんので、細かい描写の端々から世界情勢を読みとらねばなりません。
 一番気になるのは有人宇宙飛行でニュースになっている満州共和国です。
 ひょっとして、カフカス山脈の東に追いやられたスターリン率いるソビエト連邦政府が満州になだれ込んで満州社会主義人民共和国にでもなったのでしょうか?

駄弁者:
 ベストSF2009でも5位につける話題作、新潮文庫から出ています。私も興味はあるんですが、ユダヤ問題に詳しくないと読みにくいのではないか、と手を出しかねている作品です。
>切れ味を失くさないかと心配する人は〜
 そっか、じゃあ今晩も米でつくった抗鬱剤を一杯(確かにとっくにナマクラになってるなあ)。



「人間の頭脳を、一方から原料を入れれば他方から最終生産物が出てくる機械か何かのように考えるわけにはいかないんだ。唯一のやり方は…」
 そして議論は、いつまでも…いつまでも…いつまでも続いた。

 出典: J・P・ホーガン「創世記機械」(山高昭訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 事業仕分けを見ていて、「金の卵を産むニワトリのエサ代が乏しくなったので、効率良く卵を産まないニワトリは絞める」ような気がして、なんやら暗い気分になったのは私だけでしょうか?
 しかもその「金の卵」は産むまでに時間が掛かって、なおかつ無事孵るまでそれが金だったか銀だったか、そもそもそのニワトリが卵を産むかも定かでないとしたら、エサ代を持つ人はやきもきするだろうなぁ、と思うワケであります。
 と、いう事で、あの公開会議を見ていて、上記の(官僚と科学者の)会議をふと思い出した次第であります。

駄弁者:
 なかには生んでもそれが金なのか銀なのか、すぐには分からないのもありますし。
「最終生産物」を急かさない懐の深さが欲しいところですが、フトコロというのはいくら深くても中身が寂しいと…。



仕方あるめえ、こいつは戦争だ。だいたいみんな勘違いが過ぎるんだ。自衛隊、軍隊ってのは、良い子になるために来るとこじゃねえぞ

 出典: 富永浩史「超空自衛隊」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 2010年8月から第一次ソロモン海戦直前にタイムスリップしてしまった海上自衛隊大型輸送艦「おおすみ」と乗組員、それに500名の施設科(工兵)陸上自衛隊員たち。彼らは、やむなく日本軍に味方し、ガダルカナル島の米軍と戦うことになります。そして、新人の陸上自衛隊の兵士が、初めて米兵を射殺した際にショックを受けるのですが、それを慰める上司の下士官の科白です。
 確かに自衛隊、軍隊を単純に善悪に分けることは私にはできかねます。そして、自衛隊、軍隊なんて良いものじゃない、と自分が所属する組織をある意味突き放して見えるのは、すごいなと思います。

駄弁者:
 そう言えば少し前、教育のためには徴兵制があってもいいとおっしゃった知事がいましたが(『宇宙の戦士』を寄贈したら喜ばれるんじゃなかろうか)、そのへんを意識してのセリフだったんでしょうか。
 確かに、躾のなっていない子どもさんに鉄砲をもたせるのはいくらなんでも…。



1 めいれいにしたがわないものはころす。
2 敵にまけたものは、ころす。
3 しっぱいしたものは、ころす。
4 平和をあいするものは、ころす。
5 友情をだいじにするものは、ころす。
6 なまけもの・おくびょうものは、ころす。
7 ちこくしたものは、ころす。
8 病人けが人は、ころす。
9 おや子、兄弟も組織のためには、ころす。

 出典: カルビー・仮面ライダースナックカード記載「ゲル・ショッカーのおきて」

紹介 :取手呉兵衛 様
HP :
http://blog.livedoor.jp/tottekurehee/

コメント:
 架空の組織のモットーってのは色々ありますが、一番破滅的なのがこれだと思います…。
 こんなおきての下に組織運営していたら、毎日死体の山が出来て組織運営に最低限必要な人数も維持出来ないと思うんですが。 あ、だからショッカーよりも早く壊滅したのか・・・?

駄弁者:
 遅刻が命令違反や失敗と同列の罪というのは、恐ろしいはずなのにどうにも笑えてしょうがありません。



「あれは!?」
「ウルトラマン!!」
「80(エイティ)!」
「俺たちの!」
「ウルトラマンだ!!!」

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマンメビウス 第41話『思い出の先生』」

紹介 :取手呉兵衛 様
HP :
http://blog.livedoor.jp/tottekurehee/

コメント:
 作品が長期間に渡って製作されると、ファンも世代が分かれることがあります。最初からのファン、第2部からのファン、テレビ化・映画化されてからのファン等々。
 そうなってくるとありがちなのが、最初からそのシリーズのファンだった世代が新しい世代の作品を「旧作に比べて〜」と批判したり、ファンその物を「にわか」云々と非難したりすること。ウルトラシリーズもその例に漏れず、80年代の頃は第2期ウルトラシリーズを「旧作にあった深いドラマが無い」だの、「子ども向けに堕した」だの散々にいう輩がいました。でも、リアルタイムでそれらの作品に親しんだ者としてはそれが凄く嫌だったんです。
 そこで、出展の台詞…そう!たとえ何と言われようと、その世代にとっては愛して止まない「俺たち」(の世代)のヒーローはいる!ウルトラマン80はマニア的評価もさほど高くないけれど、放映当時の子どもたちのヒーローだったんです!
 この台詞は、聞き分けのない老害とも言えるファンに向けた痛烈なメッセージだったのかもしれません。
…って、私も40近い歳だし、最近の作品について行けなくて、見当違いに批判しているときがあるのかもしれません…。気をつけなくては。

駄弁者:
 世代的には私も同じぐらいなんで、「ウルトラマン」と言われて連想するシリーズは80までです。ただ、再放送を見なかったせいか話の内容はほとんど覚えていないのですが…。
>最近の作品について行けなくて、見当違いに批判
 これはウルトラシリーズに関係なくあり得ることで、私も気を付けないといけませんね。



人々の安寧な暮らしとは尊いものです。間違った方法によってもたらされた物であろうと、いずれは終わりを迎える物であろうと、その価値は決して揺らぐ物ではないのです
たとえ五十年が一年であり、一日であったとしても 私達の家族が、子供が、愛する人々が健やかに過ごすその一日には意味があるのです

 出典: 三枝零一「ウィザーズブレインVI」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 大を生かすために死ぬ小、今まで一般人には秘匿されてきたその世界の仕組みが公表され、今新たな生贄が必要だというその時、自分が余命幾許も無い事と生贄になるのが自分である事を公表した政治家の言葉です。

駄弁者:
 物語ならば勇気と決意に素直に感動できるんですが…。政治家が自分も犠牲になることをエクスキューズとして生贄を容認するというのは、実際そういう場面に出会ったら感動ともに一抹の不安と恐怖をぬぐえないところです。



話し合いとは、詰まるところ、銃弾の飛ばない戦争です

 出典: 三枝零一「ウィザーズブレインVI」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 情報制御理論なる科学技術が発達した未来のお話。
 誰かの犠牲無しには立ち行かない、犠牲を肯定して生き延びるか、否定して滅びるかというような切羽詰った世界の政治家の言葉です。以下、本文より抜粋。
 戦争が野蛮で対話が高等だなどという思考は、本当に極限の対話を知らない人間の幻想に過ぎない。銃を持っても互いの妥協は探れるし、言葉の一撃でも一国は滅ぼせる。故に、政治家たる者がひとたび会議の場に立ったなら、そこにはいっさいのミスも妥協もあってはならない。自分が放った些細な一言が自分を信じる全ての者を殺すかもしれないと、その覚悟を持って戦いに望まなければならない
 今の日本にはこんな考えの政治家はいないだろうなぁ

駄弁者:
 著者本人は「SFじゃないんですってば」とおっしゃっているらしいですが(Wikipediaによると)、まあ用語はそれっぽいですね。
>詰まるところ、銃弾の飛ばない戦争です
 軽い言葉をを批判する相手の言葉も、また軽いものですから…なかなか言葉の重みを感じられなくなっているんじゃないでしょうか。



「それにしても、黒鬼会もバカンスの時くらいはお休みしてほしいでーす!」
「うふふっ、そうですね。夏休みくらい、ゆっくりと休みたいですよね」

 出典: セガ製作「サクラ大戦2」

紹介 :フォリッポ 様
HP :

コメント:
 サクラ大戦2『第五話・嬉し恥ずかし夏休み』の中のソレッタ・織姫(上)と真宮寺さくら(下)の会話です。
 帝国華撃団は夏休みを利用して三泊四日の熱海旅行に行きましたが、3日目に黒鬼会が襲撃したために台無しになってしまいました。
 ヒーロー、ヒロインの「休みの日くらいは休ませてくれ」という心情が体現された台詞といっても過言ではないでしょう。

駄弁者:
 このゲームがはやっていたころは「スチームパンクや歴史改変ものの一種だ」と言われて投稿されたら、どう対処したものかと割と本気で心配していたものです(今となっては、まあたまにはいいか、というものですが)。
>「休みの日くらいは休ませてくれ」
 職業でヒーロー・ヒロインやっていると、余計そう思ってしまうのかも知れません。



「よし。オキシガムを噛もう」

 出典: 辻真先・豊田有恒脚本・富野喜幸演出「海底少年マリン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 昔懐かしい海洋冒険アニメより。主人公マリンが海に潜る直前、水中でも呼吸出来る特殊なガムを噛むのだが、これはその時に必ず言う決まり文句。どうやら水中の酸素を体内に吸収させるのではなく、ガム自体に酸素が含まれているという設定らしい。私はこのアニメを小学校一年生の頃に夕方の再放送で見ていたのだが、とても絵が綺麗で、メカのデザインも洗練されていてカッコイイ感じだった様に思う。個々のエピソードまでは明確に記憶していないが、上記の台詞だけは強烈に印象に残った。
 このアニメを見て、夏休みに友達とプールへ泳ぎに行く時、わざわざチューインガムを持って行って「マリンごっこ」をして遊んだ子供は少なくなかったろう。そんな子供の何人かに一人は、監視員のお兄さんから「泳ぐ時にはガムを捨てなさい」と注意された筈だ(経験者は語る)。

駄弁者:
 今は店で「高濃度酸素水」なんかが売っているので、その気になれば「酸素ガム」だって……ムリか。
>辻真先・豊田有恒脚本・富野喜幸演出
 今から見ると、ずいぶんとスタッフが豪華ですね。



「大災害たあ、なんじゃい?」

 出典: ルネ・バルジャベル「荒廃」(竹田宏訳)  『世界SF全集25』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ちょっと珍しいフランスのSFから投稿します。
 時に2052年、世界は未曾有の繁栄を遂げる共和制ヨーロッパと、皇帝をいただくいくつかのブロックに分かれておりました。しかし、南米の皇帝が攻撃を仕掛け、パリでは電気はおろか、すべての金属が劣化。残された人々は恐慌を起こします。その中で主人公のフランソワ・デュシャンは仲間たちとともにパリを離れ、故郷へと戻り、新たな秩序を築きます。
 投稿したセリフは、デュシャンが故郷に戻ったとき初めてあった老人に自分たちが大災害があったことを告げた時の返答から。
 いや、この台詞を読んだ時にはガクッとしましたね。何せここに来るまで人死にが出るくらいの困難があったのですから。
 しかしのこの全集は文明が滅ぶ話が結構多いように思うのですが、やっぱり時代を反映しているのでしょうね

駄弁者:
 著者のルネ・バルジャベル、全然知らなかったんですが、全集ではほとんどフランス唯一のSF作家として扱われてますね。だいぶ前にサンリオSFでミシェル・ジュリというフランス人作家のSFを読んだことがありますが…。年代的にはもう少し後の人になるのか。
>この全集は文明が滅ぶ話が結構多いように…
 というか、ヨーロッパが舞台になる戦前のSFに、ヨーロッパ滅亡話が目立つような。前にご投稿をいただいた「トラストD・E」などもそうでしたが。



腕一本もーらった

 出典: 岩代俊明「PSYREN(サイレン)」

紹介 :WC-Co 様
HP :

コメント:
 週刊少年ジャンプにて連載中の時間SF「PSYREN」より。
 本作品は超能力秘密結社W.I.S.Eが巨大隕石ウロボロスを落下させて現代文明を崩壊させた後の世界と、ウロボロス落下前の世界を強制的に行き来させられる主人公達の戦いを描く物語です。
 で、投稿した台詞はヒロインである雨宮桜子が「味方と戦っている最中の敵幹部」に飛びついて腕を折った時の台詞です。流石「スーパークール&アナーキー(主人公談)」な「アンタッチャブルガール(主人公談)」、容赦ありません。
 因みに、2008年に連載の始まった本作によると、ウロボロス落下は2010年の予定です。

駄弁者:
 世界を行き来するには「赤いテレホンカード」を公衆電話に挿すんだそうですが…テレフォンカードも公衆電話も、最近使わなくりましたね。もう数年後だったら、この小道具は使えなかったかも。



自動車は新しい型のに限る。いや、自動車ばかりではない。女の子も同じことだ。
古い型のはなんでも、つぎつぎと払い下げ、新しい型のを手に入れる。
これがおれの主義なんだ

 出典: 星新一「追い越し」  『ボッコちゃん』(新潮文庫版)などに収録

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、今度は日本人作家星新一の作品から。そーかよそーかよ、ったく、女を消費財扱いしやがって。とはいえ、「盗人の種は尽きまじ」の言葉の如く、こういう男も「世に尽きまじ」ですよね。(「畳」が「自動車」になっているだけ)そして、「俺も、こういうふうに女と遊びまくって、飽きたらとっとと捨てる、ということをしてみたい」と思っている男どもも。
 なーんてことを言うと、「それは偏見です。全ての男が、こういういい加減な男ばかりじゃありません。こういう、だらしない男に憧れる男も、一部の少数派です。」と主張する方がいらっしゃることでしょう。ですが、さあて、どうでしょうかねえ。 これを御覧になってらっしゃる男性の方々、どうですか?本音を言って下さいね、本音を。

駄弁者:
>女と遊びまくって、飽きたらとっとと捨てる、ということをしてみたい
 いや、もう女遊び自体飽き飽きしましたから。…とは言ってみたいですね(笑)。
 作品としては、そういう男が報いを受けている話なので、少しは溜飲が下がったのではないでしょうか。SFではないし、正直それほど強い印象を与える作品でもありませんでしたが…。
 自分の欲に都合のいいところだけを求める、という点では男も女もお互いさま。「亭主元気で留守がいい」なんて流行語もありましたし。



結婚して十年の歳月がたっているというのに、
いまなお妻を愛しているというこの言語に絶する愚かしさ

 出典: アイザック・アシモフ「われはロボット」(小尾芙佐訳)

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「SF・男と女」。というより、「SF 男の本音集」と題すべきなような……。
 で、まずはアメリカ人作家アシモフの代表作品、その第一章「ロビイ」から。旧式の汎用型子守ロボット、ロビイの「勤め先」のウェストン家には、娘のグローリアと、その両親がいました。グローリアとお父さんはロビイがとても好きでしたが、お母さんはロビイが嫌いでした。で、投稿の文句はグローリアの両親が「ロビイを追い出すかどうか」の口論をする前の場面の文章からなのですが、しかしっ!
 えー、皆さん、私は今、一所懸命気を落ち着けようとしています。「畳と女房は新しい方が良い」という言葉は日本のものです。「愛は冷めることもある」(M・ミッチェル「風と共に去りぬ」)という「現実」も理解できる年齢になりました。しかし、しかし、男の、妻に対する愛情というものは十年以上はもたんのかーーーー!そして「結婚後十年経っても妻を愛する男」というのは、そんなにも「愚か」なのかーーーー!だったら、日本の今上天皇陛下は変態か?あの方は、今でもご自身の奥様に(つまり皇后様に)ベタ惚れだと思うぞ。
 ま、「人生いろいろ 男もいろいろ」(「人生いろいろ」)ですから、ここで止めとくことにしますが、皆さん、アシモフのこの文句について、一人で、あるいは友達や親、または「親しい人」とよおおーーーく話し合ってみてはいかがでしょうか。特に女性の方、泣きを見る前に。

駄弁者:
 えっ、女の、夫に対する愛情というものは普通に十年ももつものなのか!というのは冗談にしても。
 たまの休みにくつろいでいたら、文句を言う気満々の奥さんが入ってきた…というところなので、言い訳混じりのボヤキぐらいは許されてしかるべきでは。一言半句をとらえてやいのやいのと言われるのが常では、十年の愛も冷めようというものです。
 ついでながら、妻を長年愛する男を愚かだと思うことと、それを変態だと思うことにはとんでもない飛躍があると思うのですが。いたずらに煽る例えはいただけません(って、私も一言半句をとらえて文句言ってるなあ…)。



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