SF名文句・迷文句第25集

フォームに戻る

第24集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第26集を見る


君の正義はうず高く積み上げられた屍の上で生まれたんだよ。
正確には、その蛮行の痕跡を忘却してゆくプロセスこそが正義なのだ。

 出典: 橘水樹・櫻林子「JANEF」

紹介 :ぺね〜じゅさまの下僕 様
HP :

コメント:
 まだこの作品、25集までには出ていなかったと思います。
 足の長い美男美女ばかり出てきて、背景にお花も舞うという我々男性には辛いところもある(買いに行くのも辛い)女性マンガですがなかなかどうして、読ませてくれるハードSFです。
 このセリフは既刊9巻(ちなみに連載は10年以上)のうち、実に2巻〜7巻を占める長大なエピソードの結末で語られます。
 国民国家論や近年の教科書論争を引き合いに出すまででもなく忘却というプロセスが近代の社会形成で大きな役割を持ってきたことは明らかなことではあるのですが、そのような社会学者たちが論じるようなことを、さらっとマンガ(しかも女性マンガ)で読めてしまう。
 ああ、日本人に生まれてホントによかった、と思う次第です。

駄弁者:
 区切りの500点目は初投稿の方からでした。
 日本のマンガというのは読者層が厚いから内容もそれに見合ったものになるし、それによってさらに読者層を厚くできるというフィードバックが効いているのですね。



ネットは広大だわ……

 出典: 士郎正宗「攻殻機動隊」

紹介 :野島達也 様
HP :

コメント:
 はじめてきましたが、25集全部読んで疲れました、ほんと広大です。

駄弁者:
 はじめまして。初投稿歓迎いたします。
 「攻殻機動隊」のこのセリフ、有名ですね。本編を読んでいない私でもこれだけは知っていました。
>25集全部読んで疲れました、ほんと広大です
 ご苦労様でした。ネットも広大ですが、SFの世界もなかなか広大でしょう?



ご武運を。あなた方の行く先に、いつも温かな空気がありますように。あなた方は素晴らしいチームでした。一緒に過ごせて楽しかった。

 出典: 秋山瑞人「EGコンバット 2nd」

紹介 :ぱんたぐりゅえる 様
HP :

コメント:
 再び、EGコンバットからです。双脚砲台GARP、最期にあたって主人公達に送った一言です。
作品中一番の常識人(?)が覚悟を決めたせりふ、なかなかジンとしました。

駄弁者:
 もう一度GARPからですね。
 月を貫く「自由落下坑」に落ちた主人公たち。反対側の出口から脱出するには最後の推力が足りない。そこでGARPがとった方法とは…。
 このセリフだけだと分かりませんが、本編を最初から読んでいると、主人公ルノアが新人時代のときの双脚砲台OEDIPAのセリフとオーバーラップして感動が倍加しますね。あのときのOEDIPAのモノローグもよかったなあ。



何故に闇を恐れる?生きていること自体が既に”お先真っ暗”だというのに。

 出典: 上遠野浩平「ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPART1」

紹介 :玖堂 様
HP :

コメント:
 初めまして。以前から楽しく読ませていただいております。
 この作品、SFかな?と思わんでもないんですが、以前にも投稿している方が居られるようで。
 この言葉は、正直言ってかなりきついですよね。
 ”人は死ぬために生きている”し、”どんな事にも意味などない”んですから。それでも生きようとすることに意味があるんだ、と思いたいんですが。

駄弁者:
 はじめまして。ご愛読いただきありがとうございます。
 ご投稿のセリフは、もっともな意見だけど、なんか身も蓋もない、という感じですね。お先真っ暗なら自分が光源になればいい、というのは今時はやらないんでしょうけど。



電線に、電気を流すと、そこには意識が生じるんです。

 出典: 秋山瑞人「EGコンバット 2nd」

紹介 :ぱんたぐりゅえる 様
HP :

コメント:
 はじめまして。ここには初めて足跡を残します。
 さてこの台詞、個人的にはストーリーの核になる台詞だと思います。
 この後、僕が冷蔵庫や自販機に話しかけ始めて周囲に嫌がられたのは言うまでもありません。

駄弁者:
 初のご投稿を歓迎いたします。
 「E・Gコンバット」、キャラクターがうるさすぎで、(しかもかなり強引な理由付けで女の子ばっかというのが)狙いすぎではありますが…。「猫の地球儀」の著者らしい泣かせどころもあって結構楽しめます。
 良かったのは、やはりこのセリフの対象となっている双脚砲台GARPでしたね。結局こいつが作品中一番まともなキャラクターのような。
 それにしても、意識があるんだったらもうちょっとしっかり働いてくれ、突然フリーズする職場のパソコンたちよ…。

紹介 :Conan Rock 様
HP :

コメント:
どうもどうも、オーストラリア在住、ロックと申す、日本語のできる外国人です。
秋山先生の作品は、やっぱりオレが読んだ作品の中で、一番のお気の入りでした。
日本語が少しずつ上達して、再び読んだら、また一味違うおもしろさを発見できます。
うおおぉぉぉぉぉ!この台詞を英語に上手く訳できない自分が憎い!!

駄弁者:
 すでに出ている「E.G.コンバット」3冊の中で、一番面白いのがこの2ndだと思います。中でも私はやはりこの言葉を発するGARPは、いいですね。
>この台詞を英語に上手く訳できない自分が憎い!!
 頑張って英訳してみますか? 物語の途中に出てくる試験の回答などは、翻訳不可能なのではないかと思いますが。
 イリヤの3巻も出たことですし、次はそろそろ…?



「振動でドカンといく古いヤツだ。コードは6本、うち1本が――」
「考えたって判らんだろ。右切れ、右。考えたら6分の1が0になる。」
「間違ってても一瞬さ。」

 出典: 士郎正宗「アップルシード 4巻」

紹介 :犬っパナ 様
HP :

コメント:
 爆弾処理の場面。どれを切ろうか迷うのに対して仲間がアドバイス。
 迷った時はこの場面をいっつも思い出しちゃうのです。

駄弁者:
 初のご投稿を歓迎します。
 まあ、爆弾処理だったら、失敗したら真っ先に自分が吹っ飛ぶわけですし、後の責任とろうたってとれませんからね。
 けどたいていの場合は、失敗しても自分は吹っ飛べず、事後処理も自分にふりかかってくるわけで。



「お気に入りの牢屋ベストテンにノミネートでもするのかね。われわれもずいぶんあちらこちらの牢屋にほうりこまれたから、もうその道の通と言ってもいいだろうからな。」

 出典: A・C・クリスピン「時の壁を越えて」(斎藤伯好訳)

紹介 :テンダーのゲーム 様
HP :
http://www.asahi-net.or.jp/~bd8s-kai/guild/

コメント:
 スポックが牢屋に囚人に対する配慮がなされていると評した後のマッコイの科白です。
 私がTOSを見たのはかなり幼い頃だったので、とにかく牢屋に入れられているシーンばかりが印象に残っているのですが、その印象を強力に肯定してくれてます。

駄弁者:
 お久しぶりです!またご投稿いただけて嬉しいです。
 しかもスタートレックからだと二重に嬉しかったり。
 この「時の壁を越えて」、私も好きな作品です。小説オリジナルのそのまた続編なんで、あまり一般受けはしなさそうですが、ご投稿のセリフのような楽屋落ちや、他エピソードをふまえた冗談などが多くて、ファンには爆笑ものです。私も自前を迷文句に載せてしまってます(第8集参照)。
 なお、興味のある方は、まず元祖スタートレックのTVエピソード「タイムマシンの危機」をみるかそのノヴェライズ「ああ、過ぎさりし日よ」(「暗闇の悪魔」に収録)を読み、その後オリジナル小説のA・C・クリスピン「過去から来た息子」を読んでください。「時の壁〜」はその後のお楽しみ。ちなみに「過去から〜」もスポック・ファン必読の良作。



それでいい。それでいいではないか。

 出典: 眉村卓「引き潮のとき」

紹介 :闇雲 様
HP :

コメント:
 職務のためと理由をつけ、いまの自分を形作ってくれたものと決別した後にでた思い。
 こう言いきってしまえるからこそ司政官といえるのかも知れないですね。

駄弁者:
 司政官としては異例に、故郷の惑星タトラデンに赴任したキタ・カノ・ビア。だが彼に課せられた任務は単純に植民星の発展を助けるものではなく、同時にその独立の気運を抑えよというものであった。植民星の下層階級出身であるキタは故郷に対する葛藤をを抱きつつも、司政官としての任務を遂行する。だが、その終わりはあっけなく訪れた…。
 眉村卓「司政官」シリーズの集大成たる大長編からのご投稿。セリフは物語のラスト、司政官を解任されたキタが、自分は何のためにタトラデンに来たのかを自問するシーンですね。結局自分は故郷と訣別しにきたのだ、そう思ったところで彼はタトラデンの知人、友人たちの姿を幻視する。彼らも自分に別れを告げにきたのだろうか…と、ここでご投稿のセリフ(間違ってたらごめんなさい。何しろ読んだのだいぶ前でして)。
 この作品のキタといい、同シリーズ長編「消滅の光輪」のマセといい、司政官はいつも唐突に任を解かれているような気がします。本人が納得しているからいいようなものの…。なんか公務員の人事異動を彷彿とさせて、ちょっと同情してしまいます。



ひとびとは、それぞれ、ひとつの言葉を頭の中に持っていた。絶対に忘れてはいけない、また他人にしゃべってはいけない言葉を。

 出典: 星新一「愛の鍵」 「ようこそ地球さん」に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
夢見るペシミストの、面目躍如といった所でしょうか。
BGM:「Spirit Of Love」シング・ライク・トーキング 

駄弁者:
 自分の好きな言葉をドアやカバンの鍵にすることのできる世界の話。ある日恋人とケンカした女性は後悔しつつドアの鍵をある言葉に変える。そこに当の恋人がやってきて…。いやあ、いい話です。
 …なんですけども、セキュリティの面からはあまりオススメできませんな。



「もうすぐ役にはたたなくなっちまうけど…これでよければ…おまえに…やるよ。この体…おまえに…」
「うれしい……」

 出典: 樹なつみ「OZ」

紹介 :真崎琳 様
HP :

コメント:
 1〜25集まで一気読みさせていただきましたが、見落としてなければまだ出ていないので少女漫画においてのSF名作『OZ』よりです。
 舞台は核戦争後のアメリカ。ブラコンの天才科学者少女フィリシアが兄である行方不明の超天才科学者リオンから『OZ』への招待状をもらい、護衛としてムトーという傭兵を雇い、一緒にそこを目指すという話です。旅の途中で『OZ』からの迎えアンドロイド2体とムトーの傭兵仲間ネイトが加わってきます。
 オズというと思い出すのは『オズと魔法使い』。荒廃しきった未来において『OZ』は科学技術に守られた理想の都市として語られています。飢えや戦争からは無縁な。お決まりのごとく、そんな甘っちょろい都ではありませんでしたが(笑)
 アンドロイドの自我の目覚め。人間のエゴ。科学の暴走。そんなものが余すところなく語られています。
 紹介するのはラストシーンのちょっと前です。『OZ』からのお迎えとして送られてきたアンドロイドその1『1019(テン・ナインティーン)』。彼(彼女?)の自我はムトーへの執着から生まれてきました。瀕死状態のムトーにそう言われて、「うれしい……」と応えるその表情。
たった2つのセリフですが、実は4Pもかけて丁寧に描かれているんです。むしろ押したいのはセリフよりもその表情と間のとりかたです

駄弁者:
 はじめまして。確かに「OZ」出典は初めてですね。  「オズの魔法使い」を元にしたSFはたくさんあるようで、SF・ファンタジーの原形のひとつですね。シリーズでたくさんあるようですが、私は最初のをおぼろげにしか知らないです。不勉強。
 ところで、この2文に4ページですか…。名文句というより、名シーンと言うべきかもしれません。


 


「おーい、でてこーい」

 出典: 星新一「おーい でてこーい」  「ボッコちゃん」に収録 「おーい でてこーい ショートショート傑作選」にも収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 読み返してみると、冒頭の「小さな社(やしろ)」というのが気になります。
 社を建立した先人たちは、そこにあるものの正体について、なにかを知っていたのでしょうか?
BGM:「TIME」フェンス・オブ・ディフェンス

 P.S. BGMは、↑収録のアルバム『TIME〜FENCE OF DEFENCE X』の七曲目にしようかとも思ったのですが、ネタバレになってしまうのでは、とおもいまして・・・  

駄弁者:
 数ある星ショートショートの中でも、かなり人気のある作品なんじゃないでしょうか。
 小説も読みましたが、「世にも奇妙な物語」でドラマ化されていたのも印象に残っています。



「最大の危機における個人の正しい行動とは、個人の存続ではなくて、誇りに基づいていなければならない。だからこそ、船長はかれの船とともに沈んでいき、”番兵は死ぬが降服はしない”んだ。死すべき何物をも持たない人間は、生きるべき何物をも持っていないんだ。」

 出典: ロバート・A・ハインライン「落日の彼方に向けて」(矢野徹訳)

紹介 :@MJ 様
HP :
http://www.juno.dti.ne.jp/~akira-s/

コメント:
 初めて投稿させていただきます。ハインラインの中でも私が一番好きなセリフです。
 この「落日の彼方に向けて」では他にも表題になったテニソンの詩「Ulysses」も好きです。でも一番感動したのはこの本の巻末(下巻の)にある訳者矢野さんの後書きでした。
 私にとってハインラインというと、”アメリカそのもの”のような感じがします。強烈な自由主義、死生観、そして元気な女性たち。
 この名言集でもハインラインが一番多いというのは、ファンにとってはうれしい限りです。

駄弁者:
 はじめまして。初のご投稿を歓迎いたします。
 ご投稿の文句、見た瞬間「宇宙の戦士」の軍曹のセリフかな?と思ってしまいましたが、ハズれでした。
 「落日の彼方へ向けて」は、ハインライン最後の長編作品でラザルス・ロングものプラス「未来史」の集大成。
 この手のセリフは多分好き嫌いが分かれるものだと思いますが、「アメリカそのもの」というのは当たっていますね。もっと言えば「理想のアメリカそのもの」ということになるんじゃないでしょうか。



人間の精神は…作り出すモノに宿る…レオナルド・ダ・ヴィンチの人工翼が…西欧ルネッサンスの精神を象徴するごとくだ…あなた方は確かに日本人……だが私と同じ日本人ではない。
この艦はわが帝国の作ったものではない 別種の精神から作り出されたものだ!
あなた方は どこから来た日本人だ!?

 出典: かわぐちかいじ「ジパング」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 週刊モーニング連載中の漫画より。
 海上自衛隊の最新鋭護衛艦「みらい」は海外派兵の途中、異常気象に襲われ、濃霧から抜け出すとそこは六十年前ミッドウェー海戦の真っ只中だった。そこで救助された帝国海軍将校「草加少佐」はみらいを一瞥するなり異世界から来たものと見抜く。それも直感ではなく、冷静な観察と理性によって!ここら辺SFの醍醐味ですねえ。
 「沈黙の艦隊」の作者が歴史改変テーマに挑む最新作。今後も楽しみです。

駄弁者:
 かわぐちかいじがタイムスリップものをはじめた、と聞いたときには大丈夫なのか?と思ったものでしたが、結構人気が出てきましたね。ねがわくば「沈黙の艦隊」のときみたいに失速しないことを。
 「みらい」は、みた感じ「こんごう」クラスのイージス艦ですから、むしろ設計思想としてはアメリカ軍艦に近い(というか、そのもの)になるのでは。



「(前略)僕は神の怒りならば、それが人類を滅ぼしても許すことができる。しかし、神にその平和を許すことはできない」

 出典: G・K・チェスタトン「木曜の男」(吉田健一訳)

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 六人の哲学的おまわりを無政府主義組織への潜入捜査官に任命し、同時に無政府主義組織の「議長」であった存在は自らを「日曜の日」すなわち、神の平和だと名乗る。
 それに対してフランスとイギリスを引っ張りまわされた捜査官すなわち「曜日」たちは口々に苦情を申し立てた、そのうちの一人「月曜」である「書記」は叫ぶ、その概念自体が許せないのだと。
 1908年に書かれた「最も奇妙なミステリー」そして作者のローマカトリックに対する信仰告白の書と言われる一大奇書「木曜の男」、創元文庫から出ていましたが私が持っているのは70年版、絶版でなければよいのですが。もし見かけられたらぜひご一読。

駄弁者:
 チェスタトンと言えば「ブラウン神父」もので有名ですが、他にも政治論や文明批評でも活躍した…んだそうです(解説の受け売り)。
 ご投稿の文句はラスト寸前のシーンからですね。ラストはミステリーというより幻想小説に近いものがありますが…。



右へ。環境管理機構D  誰のために
左へ。第二十九綜合変電所  いつやむともない
上へ。第七居住区  そのくりかえし
下へ。建設予備区

 出典: 光瀬龍「たそがれに還る」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 惑星間経営機構副主席チャダ・ソウレ閣下、たかが道路標識に突っ込みキツすぎです。

駄弁者:
 ええと。
 すいません、前に投稿していただいて気にはしていたんですが、まだ読んでないです。突っ込みかえせない…。



おおっここがっ ここが 人間の学校かっっ!
人間に成るためのありとあらゆる秘儀秘術が幼人に伝授されるという……

 出典: 永野のりこ「ひっち&GO!!」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 月刊コミックフラッパーで連載中の漫画より、幼少時に妖精界の王妃としてさらわれ、人間界へ脱走してきた「ひっち」こと「妃瑠出牙流呶(ヒルデガルド)」が高校を見て一言、典型的な間違った真実というヤツですな。

駄弁者:
 異星人や異世界人がそう思ってくれるぐらい、立派な学校なら言うことないんですが。
 私の行ってた高校の場合、せいぜい「大学生になるための秘技秘術が〜」でしたけどね。



全部オレのもんだ 孤独も 苦痛も 不安も 後悔も もったいなくてタナベなんかにやれるかってんだよ

 出典: 幸村誠「プラネテス」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 熾烈を極める木星開発用宇宙船「フォン・ブラウン号」乗組員選抜。その中で生き残ろうと必死なハチマキは、後輩タナベの求愛に答える余裕すら失っていく。
 実際かなりヤバイところまでいくのですが、キス一発で穴開けた風船のように緊張が弛緩していくクライマックスシーンまで引張る作者の力量はほんとにこれがデビュー作か?と思わせます。
 今から第2巻が待ち遠しいです。

駄弁者:
 「プラネテス」からは前にも一度投稿していただいたこうとがありますね。
 コメントのネタさがしのつもりで、講談社の「e-manga」に無料掲載されている第1話を読んだんですが…すごいわ、これ。設定はしっかり組んであるし、ドラマも泣けます。
 内容もよかったですが。Shockwaveを使った演出もなかなか効いていました。
 でも、ご投稿のセリフはまだだいぶ先の話みたいですね…。



地球人とコンタクトした時の私は発狂していたのです。

 出典: 野尻抱介「ふわふわの泉」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 異星知性体「霧子(自称)」が地球文明にコンタクトして来たことの言い訳。
 そりゃそーだ、普通数億年も宇宙を気ままに旅してきて、わざわざ惑星表面にこびり付いている地衣類と五十歩百歩の生き物相手に話し掛けたりはしないよな。
 ファミ通文庫から出版されたジュブナイルハードSFより、作者は世界的ハードSF作家への王道を順調に歩んでいるようです。少なくとも1時間で読み終えることが出来て勉強にもなります。
 新指導要領に不安を覚えている向きには、中学生への推薦本としてお勧めです。

駄弁者:
 高校の理科実験室でフラーレンの実験中、突然の落雷!そこで偶然できたのが「ダイヤモンドよりも硬く、空気よりも軽い」新物質、通称「ふわふわ」だった。
 題名はクラーク「楽園の泉」のパロディなんですね。軌道エレベーターでも造るのか…と聞いてみたら、エレベーターならぬ軌道カタパルトは登場するそうで。
>新指導要領に不安を覚えている向きには〜
 確かに、円周率を3で教える教科書よりよっぽど役に立つかも…。



なりたくない係 ワースト1
エイリアン対策係

 出典: 富沢ひとし「エイリアン9(ナイン)」[1]

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 次から次へと宇宙船が降ってくる、小学校の校庭。それらの宇宙船から現れる、種々雑多なエイリアンを、「ボウグ」と呼ばれる共生型エイリアンと協力して退治するのが、「エイリアン対策係」のしごと。(「そんなもん小学生にやらすなよ・・・」と、駄弁者さんならコメントされるかもしれませんが)
 ヤングチャンピオンに連載された、全3巻のコミックより。
 「別種の生命体との共生による、肉体と精神の変容」というテーマは、同じく侵略もの(?)の、岩明均『寄生獣』全10巻(講談社・アフタヌーンKC)と相通ずる所がありますが、こちらの方が「サイバーパンク的徹底さ」で上回るやも・・・と思わせる所があります。
 良くも悪しくも「ゲーム的」というか。
BGM:「PTA〜光のネットワーク〜」ユニコーン 

駄弁者:
 なんで小学生がエイリアン対策を…って好古さん、ツッコミをとったらいけません(笑)。
 ハル・クレメント「20億の針」で共生型エイリアン「捕り手」に協力するのも少年(といってもこっちは中学生ぐらい)だったことを考えれば、意外と子供と共生型エイリアンというのは伝統的なコンビなのかも。
 しかし、出典を知らずに「ボウグ」とだけ聞くと、トレッキーとしては「抵抗は無意味だ」のあれを連想してしまいます。



「見ないものは存在しない」
「見ないと思ったものは存在しない」

 出典: 村田基「山の家」 「SFマガジンセレクション1986」に収録

紹介 :ごろえもん 様
HP :

コメント:
 避暑地で勉強する受験生、と思ったら実は荒れ果てた近未来世界。主人公の現実逃避のためのキーワードです。
 当たり前のせりふに聞こえるのに、シチュエーションによって恐怖を与える。作者の技量が感じられました。

駄弁者:
 初のご投稿を歓迎いたします。出典作品、短かかったので図書館で手に入れて読んでみました。
 「静かな方が勉強しやすいだろう」とやってきた山の家、「ぼく」は何かに対する不安と焦りを押し殺しつつ、机に向かっている。ママは食料を手に入れるため、朝から町に出かけている。ひとりきりのこの家に突然、銃をもった男女が乱入してきて…。
 「荒れ果てた近未来世界」とコメントで言ってしまうのはネタバレかな、と思っていたんですが、実はさらなる恐怖がその先に…。
 冒頭で出たご投稿のセリフが、ラストでもう一度発せられるあたりの演出が上手いと思いました。



フォームに戻る

第24集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第26集を見る