SF名文句・迷文句第35集

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君の抑鬱の苦しみが、いまはじめてわかったような気がする。これまでのおれはこう思ってた――きみの抑鬱は好きでそうしているんであって、そこから脱出したければ、いつでもそうできるんだ、と。たとえ、独力ではむりでも、情調オルガンを使えばそうできる、と。だが、抑鬱にはまりこんだ本人には、そんなことどうでもよくなるんだってことが、やっとわかったよ。自分の存在価値を見失ったことからくる感情麻痺だ。一時的に気分がよくなっても、それは変わらない。というのは、もし自分に価値がなければ――

 出典: フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(浅倉久志訳)

紹介 :たまうら 様
HP :
http://page.freett.com/tamaura/

コメント:
 人間と見分けがつかない精巧なアンドロイドが逃げ出し、刑事のリックは指令を受けて彼らを捉え処分するために追跡するというもの。
 豊かな感情をもつアンドロイド、非常で冷徹な人間に出会い、不安に刈られ自らテストを受け、心身ともにボロボロになりながら、アンドロイドを捜し、追跡していき、自分の仕事の意義を見失い、迷い、気が滅入ったリックが妻に言うセリフです。
 暗く沈んだ状況にあるとき、なかなか浮上できないものです。誰になんと言われようと。でも自分でも持て余してしまうような感情を持ち合わせているのが人間なのだと、思いました。落ち込んだり、暗い気分になったりしたとき、このセリフを思い出すのです。

駄弁者:
 なんか私にも見に覚えがありますね(…抑鬱ってほど大層なもんじゃなかったですが)。私にとっては本かゲームが情調オルガンの代わりのようなものですが、ドツボに入っているときは面白い本を読んでいても、どこか虚ろです。
 「アンドロ羊」は名作ですが、この文句にあるような状態のときに読むには、あまり(いや、かなり)向いてないような…。



なんどひとに騙されようとも…
紹介 :たまうら 様 → 第28集


おまえにはまだ未払いの給料が山ほどあるんだ、おれが一山あててそいつを全部払うまではどこにも行っちゃいかん!

 出典: 聖悠紀「超人ロック 不死者たち」  「コズミック・ゲーム」に収録

紹介 :たまうら 様
HP :
http://page.freett.com/tamaura/

コメント:
 超能力者を嫌う探偵の助手をしていたロックが、超能力者ということを知られてしまい、彼のもとを去ろうとしていた時に探偵に言われた台詞。
 初めまして、こんにちは。『エンダーのゲーム』が好きなので、ココには時々お邪魔していました。
 超人ロックが大好きなんです。沢山の人と関わり、その中で一人行き続けるというのはどういう心境なんだろうと思います。

駄弁者:
 はい、はじめまして。
 出典の方はまたしても読んでいないんですが、この探偵さんのセリフはなかなか男前ですな。
 ただ「給料」のところを「借金」、「おれ」を「おまえ」に入れ換えると一転して迷文句に…(すいません、発想が枯渇しているもので)。



「本物のガールフレンドがいるなんてなんか不自然なんだよ。」
「どうして?」
「まるで"スタートレック"の艦長が恋に落ちるけど、相手の女性は不慮の事故で死ぬとわかっているときみたいなんだ。」

 出典: スコット・アダムス「ディルバートの未来予測」(山崎理仁訳)

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 この直後、二人の真後ろに隕石が落ちます。(笑)
 「ディルバート」は、世界1900以上の新聞に配信されている人気漫画で、日本でも幾つかのパソコン雑誌に掲載されています。
 この台詞は、「予言7未来はスタートレックのようにはならないだろう」という項目から。「スタートレック」世界のテクノロジー(フェーザー銃や、ホロデッキ、転送機等)は、未来のわれわれの大多数(つまりはマヌケ)によって、ロクな使われかたをされないであろう、だから未来はスタートレックのようにはならない、と。
 未来の人間は、フェーザー銃を誰彼かまわず撃つだろうし(「彼は宇宙人に乗り移られていた」と言い張って)、転送機を使えば(操作した人間のミスにより転送先の物と融合してしまい)体のあちこちから変な突起が生えてしまうだろう、というわけです。
 アダムス氏のスタンスの基本は、「人間のほとんど(とくにあなたの上司)はマヌケである」というものです。この本の中の65の予言もその前提から論旨(と直感)を進めていったものです。

駄弁者:
>相手の女性は不慮の事故で死ぬ(笑)
 だからこそカーク船長は毎回毎回とっかえひっかえしていても平気だったのか…?
>ロクな使われかたをされないであろう
 …とくにホロデッキなんかは、ほんとにロクでもない使い道ばかりできそうな気がします。けどそのロクでもない使い道が、広く普及するための力になるんじゃないでしょうか。ビデオやネットの広がりぐあいを考えると…。



「オレのしようとした事はバカな事か。お前は21世紀も22世紀も地球がいまと同じようにあって、人間が幸せに暮らしていると思うか。」
「オレは地球物理学、人類学、生物学、自然科学、そして公害の事も宇宙の事も学んだ。そして出した結論は、このままで行ったら地球は人間によって破壊され、人間は近い将来、滅亡するということだ。自分たちの利益のために自然を破壊し、他人の事などお構いなしになってしまった人間…」
「この人間の誤った流れを変えるには、過去の歴史を変えてしまうことしかないと考えた。だから!オレはオジャママン達を使って、歴史を変えようとしたんだ!」

 出典: タツノコプロ「タイムボカンシリーズ・タイムパトロール隊オタスケマン」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 説明しよう。
 これはタイムボカンシリーズ第4弾、歴史に名を残すため、歴史を変えようともくろむ悪のオジャママンと、それを阻止する正義のオタスケマンとの物語である(ナレーション風に)。
 それはさておき、
 オジャママンは、歴史の改変をたくらむ謎の男、トンマノマントの指令によって動いています。上の台詞は、最終回にて明かされる、トンマノマントが歴史を変えようとする理由です。
 「ベンジャミン・フランクリンは、凧を揚げてカミナリの実験をしたのではなく、タコさんウィンナーを”揚げて”生計を立てていた」という指令の裏に、まさかこんな理由が隠されていようとは(笑)。
 今となっては斬新なものでもないし、むしろ当時ですら(その言葉の直截さ故に)陳腐な物言いであったかもしれません。そしておそらくは最終回のために急遽デッチ上げた理由でもありましょう(番組が番組だけに)。しかし、再放送から数えても十数年、心の片隅に残っていたのは、その台詞の直截さ故であったかもしれませんね。ここまでわかりやすい主張は、現代の作品ではあまり見られないでしょうし。
 今回台詞の確認のために十数年ぶりにビデオで見たのですが、ああ、ちゃんと作画が演技してる。どうして当時の私、名指しされるまで正体に気づかなかったんだろう。

駄弁者:
 タイムボカンシリーズは元祖から、「逆転イッパツマン」あたりまでリアルタイムでみてたはずんですが、個々の作品についての記憶はかなりあいまいです。再放送で何回も見た「ヤッターマン」については少しマシですが。
 「オタスケマン」は三人組の乗っていた「アンドロメダま号」の名しか、記憶になかったりします。ラストにこんなまともな(…と言うのは失礼か)理由付けがあったんですねえ…。しかしトンマノマント氏、志は立派ですが、手下の人選誤ってます。



三年目の秋、男は元アルゼンチンの大平原を見おろす丘陵地にたって、空飛ぶ鳥の群れにむかって、手をふりまわしながらどなっていた。
「俺は南へ行くんだ!」男は丘陵をおりる草におおわれた鉄道線路の上で、足をふみならした。
「南には仲間がいるんだぞう!」

 出典: 小松左京「復活の日」

紹介 :のほほん大佐 様
HP :

コメント:
 二度目の投稿になります、よろしく。出典は小松左京による破局テーマの傑作です、ある程度年のいったSF者なら読んだことがあると思うのですが・・・。仲間を守るため人類の死に絶えた旧世界へ向かいその結果廃人となってしまった主人公、それでも彼はその身の内にある何かに突き動かされ南北アメリカ大陸を南へ南へと歩き続けます。
 中学生の時なにげなく読んだのですが、頁数の大半を費やした世界崩壊の描写に圧倒され恐怖したものです、この作品では事故が原因で人類は滅びましたが昨今の世界情勢をみるやなにやら身のすくむ思いです。

駄弁者:
 この話での人類滅亡は生物兵器のウィルスが事故で世界に拡がる、というものでしたね、確か。
 大事件による破局、というパターンはかなり現実感が薄れてきているんじゃないかと思います。もっとゆっくりとした、しかし確実な滅びの方が…。
 ところで、この作品は映画化もされているんですね。草刈正雄や渡瀬恒彦、緒方拳らが出演していたそうで。



「こんな、こんな甲斐のない生き方俺ぁ認めない、たとえそれがイデの力によるものだとしてもな!!。」

 出典: 「伝説巨神イデオン 発動篇」

紹介 :のほほん大佐 様
HP :

コメント:
 初めまして、めい文句=その作品内で一番ガツンと来た文句として投稿します。色々迷いましたが、今の自分の趣味嗜好を決定づけた作品の一つとして富野御大の大怪作から。
 イデなる超越存在の意思により滅亡への戦いを繰り広げる登場人物達、互いの母星も消滅したあとの最終決戦の最中、恋人(かなぁ)の死を告げられた主人公の台詞です。
 悲しみ、憎悪、イデへの抵抗、その他諸々全て詰った魂の慟哭、しかしそれさえも滅びへの原動力とされてしまうやるせなさ。気合いの入った作画とBGMで劇中最高のシーンだと思います。

駄弁者:
 掲示板の方ではすでにご挨拶していますが、改めて、はじめまして。
 「伝説巨神イデオン」はTVでも見ましたが、私の記憶の核となっているのはソノラマ文庫のノヴェライズの方です。
 「無限力」イデの発動→敵味方関係なしの滅亡→新たな生命のはじまり…というラストの展開は、読んだ当時は正直なところよく分からなかったんですが、考えてみるとすごい大風呂敷のラストだったと思います。
 けど、個々のキャラクターの怒りや嘆きにも感じるものがありますね。



カーク「もうダメだ…」

 出典: 「スタートレック7・ジェネレーションズ」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 その卓抜した行動力と判断力と決断力、周囲の何十人かからむしり取ったに違いない強運と、何より常に傍らに控えていた耳の尖った友人の助けによって伝説的な英雄となったジェームズ・T・カークの、いまわの際の台詞がよりにもよってこれでした。
 数十億の人間とエンタープライズDの乗員の命を救うために重傷を負い、虫の息の中で「私は役に立ったのか?」とピカードに問いかけた時の満足げな表情、それが死に落ちる直前に驚愕の情へ変化した様子から推測するに”死に際して、ピカードの胸を打ち、歴史に刻まれる印象的な言葉を何か遺してやろうとあれこれ考えているうちにタイムリミットの方が先に来てしまって思わずこぼれた一言”がこれだったのではないでしょうか。まあ、カークらしいといえば非常にカークらしい最期でした。
 小説ではこの後、生き返っちゃいましたけどね。

駄弁者:
 ワームホール内の楽園<ネクサス>に入るために一惑星の全住民を犠牲にしようとする狂気の科学者ソラン。<エンタープライズD>のピカード艦長はソランと対決するが、奮戦空しく<ネクサス>内にとらわれてしまう。だが、そこで出会ったのは80年前に死亡したと思われていた、伝説的艦長ジェイムズ・T・カークだった。二人の<エンタープライズ>艦長は<ネクサス>を出て、再びソランの行動を阻止しようとするが…。
 「ジェネレーションズ」でのカークの死に際の名文句といえば、「おれはもう充分に生きてきた。百人分の人生を生きてきた……楽しかったよ…」(斉藤伯好訳)の方を思い出すのですが、こっちの方を出羽さんの解釈で見ますと、どうも「迷」文句になってしまいますね。
 しかし、役者のシャトナー先生の方は百人分では全然充分じゃなかったようで。私はこの作品でカーク艦長を持ってきたことでさえ、あまり成功だとは思えなかったのに、シャトナーの小説と来たら…。いや、話はSTの勘どころをうまくつかんでいて、すごく面白いんですが。



「報告者(レポーター)だよ。それは混じりけのない事実だ」

 出典: デイヴィッド・ブリン「ガイア」(酒井昭伸訳)

紹介 :DAL 様
HP :
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/d-al/index.html

コメント:
 宇宙の彼方から地球に送り込まれたブラックホールは全世界に壊滅的な被害をもたらした。
 …で、そんな大波乱の中、頑固かつ不自然にマイペースを貫いた、とあるTV記者の告白。
 彼が“ピー”だと確信/妄想した若き天才科学者は興奮して問う。「君は何者だ?」 それに対するミスター世渡り上手こと、彼の微妙な回答。「レポーターだよ」
<さぁ、彼は一体誰に報告しているのでしょうか? 視聴者? TV局? それとも…母星!> 

駄弁者:
 「ガイア」は地球環境問題がメインのはずなのに、超科学兵器の戦闘シーンはあるわ、魔術的な(魔王的な?)力をもったばあさんはでてくるわ、異星人の影がさすわと、非常にいろいろな要素が詰め込まれた作品だったと思います。…詰め込みすぎで、読んでいて話の流れを追いにくかったような記憶もありますが。



フィアト・ルクス。
光あれ。
「おお、神よ」

 出典: デイヴィッド・ブリン「ガイア」(酒井昭伸訳)

紹介 :DAL 様
HP :
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/d-al/index.html

コメント:
 『ガイア』の後日談『不確定性(アンビギュイティ)』より。特異点を創り上げるという超科学的実験が成功した後の、ある一人の老科学者の感慨。
 遥か昔、我々の世界もまた、この様な科学実験の結果から生まれていた事が判明し、同時に、今回創り上げた特異点もまた、何処かで別宇宙の誕生をもたらす事になった…。
<ソースはリヴィングストンの論文です。計算上22世紀半ばには宇宙創造が可能だとか>

駄弁者:
 物理科学者アレックスは発電用のマイクロ・ブラックホールを事故で地球の中心に落下させてしまう。このままでは地球は内部から破壊されてしまう。調査と対策に取り組んだアレックスたちだが、さらに驚いたことには、地球内部にもうひとつのマイクロ・ブラックホールが発見されたのだった…。ラヴロックの「ガイア理論」を下敷きに、地球環境問題を真正面に取り上げたブリンの力作。
 けど、その「ガイア」に後日談なんてあっただろうか?と思ってネットをあちこち探したけどみつからず。その後本編を見たんですが……まさか、著者あとがきの後に載っていたとは。本編を読んだときは、著者あとがきまでたどりついた時点で本を閉じてしまったせいで気付きませんでした。
 ご投稿の文句は一つの宇宙をつくってしまった男の畏れに満ちたつぶやきですが、これほどのことでも慣れてしまえば、きっと何を感じることもなくなってしまうのでしょう。ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」やディック「世界をわが手に」に出てくる人々のように、宇宙を戯れに創ったり壊したりするようになるんではないでしょうか。



「こういう旧式なのは苦手だ」
「最新型だと苦手どころかまるで歯が立たんのだろ」

 出典: 神林長平「敵は海賊・猫たちの饗宴」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
わかる! わかるぞ、その気持ち!(笑)
……って、海賊課随一の腕利きの台詞なんでしょうか、よく考えたら(汗)

駄弁者:
 この作品、話はだいぶ忘れてしまっているのですが、自分が一番楽しんだのがキャラたちの掛け合いだったということは、覚えています。
 ところでAAMさん、気持ちがわかるのは「旧式が苦手」の方か、「最新型だと歯が立たない」のどちらなのか白状しましょう(笑)。



「拷問ひとつしないで、奴らを立ち去らせるつもりなのか?」その大きな一つ目には、涙さえ浮かんでいる。
「人間を拷問するチャンスがなかったら、われわれはどうやって、自分たちの悪魔的性質に忠実に生きていけるんだ? こんな馬鹿な話があるものか」

 出典: エドモンド・ハミルトン「ベムがいっぱい」(南山宏訳) 「20世紀SF1・星ねずみ」に収録

紹介 :ごろえもん 様
HP :

コメント:
 人間を拷問することを好む存在として生み出された火星人「紫人間」が、人間を目の前にして拷問を止められたときの台詞です。
 自分が悪魔的だというなら、自分に与えられた性質に忠実に生きる必要もないと思うんですけどね。紫人間の一途さには、何となくいじらしさを覚えます。拷問にかかってあげたいとは思いませんが。

駄弁者:
 この作品は私も「20世紀SF」中で気に入った作品のひとつです。自分で名文句を上げたぐらいです。
 自己の「本性」に従えなくて泣いている「紫人間」に可愛げさえ、感じられたりして…。
 いや、私も拷問はパスですが。



「俺は、昔交わした約束を果たしに来ただけだ。…俺が花を手向ける必要はなかった。それを知っただけでいい。」

 出典: 菊地秀行「バンパイアハンターD」劇場版

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 「バンパイアハンターD」劇場版は2作品ありますが(1985年と2001年)、これは新しい方です。  人間と貴族、相愛の二人の逃避行と、娘の奪還を依頼されたハンター。同じ獲物を追うDとマーカス兄弟のレイラは、ある約束を交わします。「どちらかが先に死んだときに、生きていた方が墓に花を添えよう、ハンターとして死んだ者に墓があれば」と。数十年後、レイラの葬儀をDは遠くから見ています。その棺には家族や縁者から、多数の花が添えられたのでした。
 原作(「D〜妖殺行」ソノラマ文庫)にはない、いささか粋なクロージングと申せましょう。
 原作を読んだのは相当に昔のことで、熱心なファンというわけでもありませんでしたので、内容は遥か忘却の彼方ですが、原作と比べると、ドラマチックな方向にアレンジが施されているようです。土壇場で人間と貴族との溝を露呈させてしまう原作も捨てがたいですが。

駄弁者:
 ソノラマ文庫の看板タイトルのひとつだった(…今も?)このシリーズ…私は全く未読ですが。
 これはアニメオリジナルのセリフらしいですが、哀愁の漂ういいラストシーンを想像できます。



「のび太18歳、大学入試落第なぐさめパーティー。
 のび太23歳、就職出来なくて、自分で会社を始める。
 のび太25歳、会社丸焼け記念。
 のび太30歳、会社潰れ、借金取り押し掛け記念。」

 出典: 藤子・F・不二雄(当時、藤子不二雄)「ドラえもん」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 これは、1980年1月2日に(日付はうろ覚えです)放送されたスペシャルから。
 のび太とドラえもんのファーストコンタクト篇で、のび太が見た自分の未来のアルバムです。ドラえもんが来なければ、こういう人生を歩むのですね。
 ところで、台詞の中でははっきりとは言っていませんが、一浪こそしたものの、のび太は留年もせず大学を卒業してるっぽいですね。最終学歴は大卒か…あののび太が。
 台詞の細かいところは当時発売されたカセットテープから。ビデオが出ているかどうかはわかりません。

駄弁者:
 就職できなくて…というあたりに、描かれた当時には思いもよらなかったリアリティが感じられたりして。
 しかし、悠長に「借金取りおしかけ記念」などという写真を撮っていたのは、一体誰?奥さん(ジャイ子)は確か写ってたしなあ…?
 ところで、マンガでは、この最初のエピソードあたりのドラえもんは、等身がそれ以後と違っていて違和感がありましたね。



「司令、もしも奴が…神や悪魔…人を超えた存在ならば我々はどれほど救われたことでしょう…」

 出典: かわぐちかいじ「ジパング 第6巻」

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 太平洋戦争中、米空母「ワスプ」がタイムスリップしてきた自衛隊のイージス艦「みらい」を攻撃するが、トマホークミサイルで反撃され沈没してしまう。その時、「ワスプ」の艦長がつぶやいた台詞。
 彼は気づいたのだろう。自分たちを攻撃した者が、自分たちと同じ存在「人間」、「軍人」であることに。そして、人間はかくも理不尽な力を行使できるのだということに…
「沈黙の艦隊」の最後は少々だれ気味でしたが、この巻の戦闘シーンと人物描写を見ると、かわぐち作品のクオリティーはまだまだ大丈夫だなと安心しました。

駄弁者:
 イラクやアフガンの軍人は、きっとこれと似たような慨嘆をしてるんじゃないですかねえ…。



「大昔、人間と神々は助け合っていたの。でも、聖書とコーランは神を一人ぼっちにしてしまったわ。だから彼は気が狂ってしまったの。たった一人で‘完全な存在’になろうとして。そして、最近では誰も彼の言う事を聞こうとはしなくなったわ。でもね、エリヤ。人は何かを信じるべきよ。‘なにも信じない’そう言ってしまうことも時には必要だけど。神様は、気が狂いながらも私達を愛しているんだから。」

 出典: 遠藤浩輝「EDEN」

紹介 :みりあ 様
HP :

コメント:
 講談社のアフタヌーンに連載されている作品。ウイルスによって滅びかけた人類が復興したものの、再び覇権を争うというストーリー。題名の通り「神」が重要なファクターになっています。

駄弁者:
 「一神教」が神をまつりあげて孤独に陥らせてしまった、というのは面白い見方ですね。
 すると、信者の一人息子を生け贄に捧げろなどと言ったのも、狂気からくる愛のなせるわざ?
 旧約聖書のこのくだりは一番納得いかないんですよ。



「あの怪獣、蟹に似ている。」
「まさか、蟹座から……」
「うむ!」

 出典: 「帰ってきたウルトラマン・暗黒怪獣星を吐け! 」

紹介 :みんめい書房 様
HP :

コメント:
 蟹型怪獣を目撃した、防衛組織MATの隊長と隊員の台詞。知る人ぞ知る、ウルトラシリーズ最大の迷台詞です。(なにぶんにも記憶があやふやなもので…少し違ってると思いますが許してください。)
しかしこれを見たら、mioさん、怒るだろうなぁ…。

駄弁者:
 これは柳川理科雄「空想科学読本3」に載っていたネタじゃないですか?「北斗七星を飲み込んだ」怪獣というのが、実際どのぐらいの大きさになるのか、という章の欄外コラムのところに。
 まあ、怒られないために「読本」にのっとって、蟹型怪獣が蟹座から来たという推理の理由付けをやってみるというのはどうでしょうか。
 なお、私は30秒という熟考の結果、あきらめました。



しょせん人間は目で見えるところしかわかろうとしない
自分の地面がなくても見えなければ気にしない
見えるところの自分の生活さえ理解し納得していれば他の事は夢と同じなのだよ
あってもなくても関係ない
何が起ころうとどうでも良い
自分が痛くなければ感じない
まわりは見えないのなら知らなくてもいいんだよ

 出典: やまざき貴子「ZERO」

紹介 :メロウ 様
HP :

コメント:
 むちゃくちゃSF初心者なんですがおもしろそうなんで投稿してみました。
 なんかセリフ読んでると本が読みたくなってきました。
 色々挑戦してみようと思います。
 なんか身につまされるセリフです。(わたしにとっては。)

駄弁者:
 初投稿を歓迎いたします。色々読んでみて、いいのがあったらまた投稿して下さい。
 出典作品の方は、妹が持ってるので、雰囲気だけでも見てみようと1冊貸してと頼んだら、5冊まとめて貸してくれやがりました。…なんでこう妙なところだけ行動パターンが似てるかな。
 西暦2000年、中国の核がのため太平洋岸で爆発、日本は壊滅した。生き残ったわずかな日本人は米軍施設「ZOO」に収容され、厳重な監視、管理の下に置かれることとなった。2017年、ZOOに暮らす少年ゲオこと景尾暁は、破局前の「前世」を夢に見ることができるドラッグ<ZERO>を密売し、また自らも常用していた。その<ZERO>の売人仲間がゲオの目の前で変死する。殺人の嫌疑をかけられたゲオは同じ容疑で監禁されていたバツとともに逃亡するが、それとともに「ZOO」に隠された秘密のカギをも握ることに──
 1巻目読んだところではこういう話。ご投稿のセリフにはまだ当たってないですが、なんとなく感じはつかめたと思います。結局「ZOO」というのは「社会」の、というかもっと限定してしまえば「学校」のアナロジーなんでしょうけど…。



キタベル「サルとはなんです、ミカエル?」
ミカエル「知らんな」
キタベル「タイプライターとはなんです、ミカエル?」
ミカエル「知らんな」
キタベル「シェイクスピアとはなんです、マイク?」
ミカエル「質問するだけなら、だれでもできるぞ、キタベル。入用な物を集めろ、さっそくその事業にとりかかろう」

 出典: R・A・ラファティ「寿限無、寿限無」(浅倉久志訳) 「どろぼう熊の惑星」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 久しぶりにラファティの作品から投稿します。
 源初の瞬間に時間そのものをどもらせたボシェル、彼にに負わせる罰として大天使ミカエルが考え出した罰が「6ぴきのサルが6台のタイプライターの前に座り、長い時間をかけて打ち続ければ、シェイクスピアの全著作を一字一句たがわずうつことができるだろう」というもので投稿したセリフはミカエルと下級天使との打ち合わせの際の会話ですが、いったいどれだけかかるんでしょう。

駄弁者:
 なんかギリシャ神話のシシュポスの罰みたいですが、こっちの方がストレス溜まりそうです。さて、どのぐらいかかるんだろう?
 とりあえず、「TO BE OR NOT TO BE」を入れるとすると、大文字とコンマ、ピリオド、スペースしかないキーボードだったとしても、入力される可能性がある打ち方は29の18乗=210,457,284,365,172,120,330,305,161とおり。6匹が1秒ごとにうち続けたとしても、この通りの綴りが登場する確率は…1,112,259,451,447,933,157.5年に1度? どこかで計算間違ったでしょうか。算数苦手なんですよね…。



「もう、お父ちゃまのそばに行くのよ。ね、もうすぐ、もうすぐ!お父ちゃまのところに行くのよ」

 出典: 本多猪四郎監督「ゴジラ」(1954年)

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 ゴジラに蹂躙される銀座の片隅で、子供たちを抱きかかえながら母親が言い聞かせた言葉です。
 逃げることを諦めたというより、むしろゴジラによって死をもたらされることを願うような様子からは、この映画が第二次大戦の終戦からわずか9年後の作品であり、人々の日常にその疵痕が生々しく残っていたことを痛感させられます。おそらく、ほぼ全ての出演者、スタッフにとっても戦争の記憶は新しく、ゴジラによって街を破壊される様子をみつめるシーンでは空襲の体験を重ねて演技をしたに相違なく、だからその表情からは自然にその時の気持ちが滲み出ており、故に水爆の”破壊力”の権化たるゴジラの存在が際だつ事が出来たのでしょう。
 どれほど特撮技術が進歩しようと、どれほど脚本がこなれてこようと、今の怪獣映画では絶対に真似の出来ない破壊者の存在感が、最初のゴジラにはあります。

駄弁者:
 私が初めてみた「ゴジラ」はドラえもん映画と同時上映でやっていた「ゴジラ対モスラ」で、この元祖ゴジラは多分一度も見たことがないんじゃないかと思いますが。
 ありそうなセリフではありますが、出羽さんのコメントを踏まえてみると、すごい重みが出てきますね。ある意味「ゴジラ」は戦争映画なのでしょうか。



「来るべき宇宙時代!!
 人類の宇宙進出にとって最初の障害になる物は何か!?」
「予算《おかね》ですか。」

 出典: あさりよしとお「HAL」第2巻

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
「コミックガム」に連載されていたインチキ(一部真実)科学解説マンガ。
「3コマで話が終わるところだった・・・」(劇中より)
ちなみに正解は「ス○○○・○ブリ」でした。

駄弁者:
 え、正解じゃないんですか?…というより正解すぎてお話にならないと(笑)。
>「ス○○○・○ブリ」
 他のマンガででは亡くなった奥さんの形見とか、宇宙葬にされた飛行士の死体などがこれに含まれているようです。



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