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君の抑鬱の苦しみが、いまはじめてわかったような気がする。これまでのおれはこう思ってた――きみの抑鬱は好きでそうしているんであって、そこから脱出したければ、いつでもそうできるんだ、と。たとえ、独力ではむりでも、情調オルガンを使えばそうできる、と。だが、抑鬱にはまりこんだ本人には、そんなことどうでもよくなるんだってことが、やっとわかったよ。自分の存在価値を見失ったことからくる感情麻痺だ。一時的に気分がよくなっても、それは変わらない。というのは、もし自分に価値がなければ――
出典: フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(浅倉久志訳)
紹介 :たまうら 様
HP :http://page.freett.com/tamaura/
コメント:
人間と見分けがつかない精巧なアンドロイドが逃げ出し、刑事のリックは指令を受けて彼らを捉え処分するために追跡するというもの。
豊かな感情をもつアンドロイド、非常で冷徹な人間に出会い、不安に刈られ自らテストを受け、心身ともにボロボロになりながら、アンドロイドを捜し、追跡していき、自分の仕事の意義を見失い、迷い、気が滅入ったリックが妻に言うセリフです。
暗く沈んだ状況にあるとき、なかなか浮上できないものです。誰になんと言われようと。でも自分でも持て余してしまうような感情を持ち合わせているのが人間なのだと、思いました。落ち込んだり、暗い気分になったりしたとき、このセリフを思い出すのです。
駄弁者:
なんか私にも見に覚えがありますね(…抑鬱ってほど大層なもんじゃなかったですが)。私にとっては本かゲームが情調オルガンの代わりのようなものですが、ドツボに入っているときは面白い本を読んでいても、どこか虚ろです。
「アンドロ羊」は名作ですが、この文句にあるような状態のときに読むには、あまり(いや、かなり)向いてないような…。