SF名文句・迷文句第77集

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「そのように涙も流さず慟哭するすべを教えてくれませなんだ」

 出典: 森岡浩之「星界の紋章 3・異郷への帰還」

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 明るく・楽しく・面白くの話が大部分の中で思わず、ほろりとさせられた言葉でした。
 私は手に入れた順序の関係で先に「星界の戦旗」を読み、分かりにくい話だと思っていましたが、こちらを読んで設定背景がやっと理解できました。
 やはりシリーズ物は順番どうりに読んでいくのが王道だという事がよく分かりました。

駄弁者:
 幾多の危機を生き延び故郷に帰還したラフィールは、父から尊敬していた女性──実は母でもあった──の死と、彼女がラフィールを誇りに思うと言葉を遺していたことを知らされ、嗚咽する。それは冷徹、非情をもって鳴るアーヴの皇族・アブリアルが決して他人に見せてはならない姿。娘を胸にかき抱きながら穏やかに諭す父に対する、ラフィールの言葉が上のご投稿。
 「紋章」より先に「戦旗」を読んだのでは、分かりにくい上に全然面白くなかったんじゃないでしょうか。キャラの掛け合いが持ち味のシリーズであるうえに、「戦旗」が中途半端で止まっているとあってはなおさら。
 「SFが読みたい!2004年版」には4がまもなくか?とありますが、過度の期待は禁物。



佐山「いいかね? ――君は、私と敵の命の天秤を迷った。これは正しいことだよ」
新庄「そ、そんなことはないよ。何が大事か判断できずに動けなくなっただけじゃないか」
佐山「人の命を判断できるのは、間違っている人間だけだ」

 出典: 川上稔「終わりのクロニクル1(上)」

紹介 :∞ 様
HP :

コメント:
 かつて世界は、平行して存在する10個の異世界と戦闘を繰り広げていた。概念戦争と呼ばれるその戦争に勝利してから60年。全てが隠蔽され、一般の人々に知られることなく時が過ぎた現在…。高校生の佐山御言は祖父の死後、突然巨大企業IAIより呼び出しを受ける。そして、この世界がマイナス概念の加速により滅びの方向へ進みつつあること。それを防ぐには、各異世界の生き残り達と交渉し、彼らが持つ10個の概念を解放しなければならないことを伝えられる。かくして、佐山は多くの遺恨を残した概念戦争の戦後処理として、最後の闘いに巻き込まれていくが…。
 佐山を助けるには敵を撃たねばならなかった場面で、敵の表情を見て攻撃できなったことを謝る新庄に佐山が答える場面。
 別の仲間が狙撃してくれなければ死んでいたのに、こんな事を言える佐山に感心しました。

駄弁者:
 「どちらを助けるべきか」という判断は一見正当なようですが、それが「どちらなら殺してもいいか」という判断と同じ意味だとするならば、確かにそんなことを冷徹に判断できるのは、人間として決して望ましいあり方ではないでしょうね。
 たぶん、そういう事態が予想される立場の人間は、そういうとき頭が「判断」するより先に体が行動するよう訓練されるのではないかと思います。人間のあり方としては、さらに望ましくないことですが…。



 遂に私は、おのれの属する世界を見出したのだ。が、―本当にそうだったろうか。
 私は依然としてまがまがしいブラック・モンスターであり、悪霊でしかないのだ。

 出典: 平井和正「サイボーグ・ブルース」

紹介 :Andrei-R 様
HP :

コメント:
 『幻魔大戦』は途中で読むのをやめましたが、これは七十年代SFの傑作だと思います。
 引用した文句は、この未完の物語の最後を飾る主人公の黒人サイボーグ捜査官の独白です。
 犯罪シンジケートと通じた同僚に背後から熱線銃で焼かれ、公式的には「殉職」したはずのアーネスト・ライトは、超人的戦闘能力(と定期的メンテンスの必要性)を備えたサイボーグ捜査官として生まれ変わったものの、シンジケートやそれと裏では結びついている警察、超能力者の秘密組織「ダーク・パワー」との三つ巴の闘いの中で利用され、愛する女を失い…というハードボイルドSF。この最後の独白は、「ダーク・パワー」に言わば遠隔操作されることで犯罪シンジケートの罠を逃れることに成功し、彼らに受け入れられた主人公の複雑な心境を表しています。

駄弁者:
 なんとなく「エイトマン」の裏ルートという感じが。
>『幻魔大戦』は途中で読むのをやめましたが
 私も「幻魔大戦」は2巻ぐらいまでしか読んでないかなあ…そこから先は違う世界にいってしまうと聞いたもので。他の作品もそれきり手を触れずじまいなのは、もったいないことなのかも。
 



「あれも結局遺伝子をいろいろいじった挙句にこしらえられたもので、水にふやかしたりしてうまく育てると茶碗の中で虫みたいに動きだして外に出てきたりするんだそうだ」

 出典: 椎名誠「武装島田倉庫」

紹介 :みどり 様
HP :

コメント:
島田倉庫に搬入された「三足踊豆」なるものの説明、この作者のセンスは素晴らしい…
ちなみに味は鶏肉に似ているそうです、ちょっと食べてみたいかも。

駄弁者:
「フューチャー・イズ・ワイルド」の和名は、ミスター初見じゃなくて椎名さんでもいいなあ…。



おりなくてもいいということはおりないことだからおりない。

 出典: 椎名誠「アド・バード」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 物語の最後の方のセリフになりますが、これは「迷」の方ですね。
 これは、人造人間C4の言葉です。彼は考えている事を口に出さないと先に進めないようで、よくこう言う接続詞だらけの言葉を呟いたりしているのですが、超人キンジョーはともかく、主人公マサルがこいつの言う事をきちんと理解しているのかどうか気になります。

駄弁者:
 「できるだけ早く」ということはできなければ早くなくていいということだから後回し、というのは私もたまにやります。口には出しませんが。



2億年後よりも先の世界は、もっとワイルドになっていると断言できる。

 出典: ドゥーガル・ディクソン,ジョン・アダムス「フューチャー・イズ・ワイルド」(土屋晶子訳)

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 ご存知とは思いますが、人類が滅びた後の未来をくそ真面目に予想した本です。
 最後に書かれたこの一文で笑ってしまいました。
 あれだけ「ワイルド」な未来を提示された後にこんな事を言われても、既に想像が付きません。

駄弁者:
 出典作品で描かれている未来図で行くと、2億年よりちょっと先の世界は、ワイルドにならずに陸棲タコの文明が発展しているかも。



どうしておれはこんなことをしたんだ? どうしておれはこんなことをしたんだ? どうしておれはこんなことをしたんだ? どうしておれはこんなことをしたんだ? どうしておれはこんなことをしたんだ? どうしておれはこんなことをしたんだ?

 出典: マイクル・ムアコック「この人を見よ」(峯岸久訳)

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 ご投稿したのは作品冒頭、紀元二十九年ベツレヘム近くの荒野を目指してタイムマシンに乗った主人公、カール・グロガウアーが不毛の土地と岩にぶつかりながら不時着したときの科白です。タイムマシンは衝撃で壊れ、肋骨を何本か折るほどの怪我をし、キリストが居た筈の時代に主人公は放り出されます。しかし、それは悲劇の冒頭に過ぎませんでした。彼には「どうしておれはこんなことをしたんだ?」という展開が、連続して待ち受けていたのでした。
 こうした力ずくの問答無用表現、好きです。
 さて、まだSF小説をあまり読んでいなかった頃に、私はSFファンの先輩とこんな会話をしたことがあります。
「SF小説はまだ五冊くらいしか読んだことがないんですよね。ムアコックの『この人を見よ』と……」
「たった五冊のうちに『この人を見よ』が入っているのか。かわいそうな奴」

駄弁者:
 カールが見たキリストの実の姿とか、精神病的(的というかそのもの)なカール自身が果たすことになる役割など、おそらく向こうの人にとってはショッキング展開でしょう。…どういう展開なのかはだいたい予想がつくでしょうが、読後駄弁の方でもネタばれしてしまってます。読んだときはこれが新刊でもまだ手に入るものだとは思ってなかっもので。
>かわいそうな奴
 それはひねくれた驚きの表明だったのでは。



あなたってほんとにウソつきね ゴジラはちゃんと来たじゃないの 皇居の森を火の海にして

 出典: 夢野一子「ラストシーン」

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
怪獣マンガってのはこうじゃないといかん。
ちなにに、”あなた”は毒殺済みですからセリフは非常に落ち着いた調子で発せられています。

駄弁者:
いやウソついたんじゃなくて、そういう伝統だったはずなんですが…。



我々人類は人類は歴史から何も学ばないということを学んでいる

 出典: 沖田雅「先輩とぼく」

紹介 :Ne_A 様
HP :

コメント:
準知的生命体を監視しに地球にやってきた宇宙人に「我々は最終的には歴史から学んだ」と言われて返した返事がこれ。 やれやれ。

駄弁者:
 言えてますが、モロに墓穴掘っているような気がしなくもないです。
 出典は第10回電撃ゲーム小説大賞銀賞受賞作。あこがれていた先輩とぼくは、宇宙人に誘拐されて脳を入れ替えられてしまう…。



流星号、応答せよ! 流星号、応答せよ!

 出典: 久松文雄作画「スーパージェッター」

紹介 :nayuta 様
HP :

コメント:
 「ぼくはジェッター!1000年の未来から時の流れを越えてやってきた」時間捜査員です。時間犯罪者を追いかけて時間を遡っている時に、タイムマシンをぶつけて帰れなくなりました。きれいなお姉さん(と科学捜査局長官)に頼まれて20世紀で捜査員をすることになりました。(いいんでしょうか、こういう設定で…)
65年の人気テレビアニメです。サン出版SF冒険アニメコミック('81年版)から
 ジェッターくんの未来力もさることながら、この作品の魅力はひとえに「流星号」にありました。要は時間捜査局の公用車でぶっ壊れたタイムマシンなんですが、空を飛ばせばマッハ15,海に潜れば10000m,地中も進めるそうです。コンクリの壁さえ体当たりで貫きます。(何で時間航行機能が壊れたんだろう?)ちなみに左ハンドルです。 投稿の文句はジェッターくんが腕時計型通信機で流星号を呼ぶ時のせりふです。(呼べば無人で飛んでくる、壁でも何でも壊して)
 この間腕時計型携帯が発売されて疑問に思った人もいるでしょう。何で使いにくいのにわざわざ腕時計型にするのか。私たち世代は「通信機は腕時計」と意識の奥底に刷り込まれているのです。さあ、これで流星号がよべるぞ!

駄弁者:
 直接は見たことないんで(けどなぜか「マッハ15のスピードだ」の曲には覚えがあったりします)、公式サイトに行ってみました。脚本に眉村卓や半村良、豊田有恒、筒井康隆らが参加とは、今考えるとすごい豪華さですね。ジェッターの声優が「マクロス」で敵の親玉というのにも笑えましたが…。
>「通信機は腕時計」と意識の奥底に…
 同じ世代のアメリカ人だったら、二つ折りの携帯電話を片手で振り開けて「カークよりエンタープライズ」というところでしょう。



SFファンとそうでない人へ

 出典: 聖 悠紀「超人ロック vol.1『ニンバスと負の世界』」

紹介 :nayuta 様
HP :

コメント:
 これは作品中の文句ではありません。超人ロックの扉に書かれていた言葉です。
 1967年作の第1作と第2作「この宇宙に愛を」に載せられていた作者からの挨拶です。78年作画グループ復刻版より
 2000万光年を1時間で跳び、その力は星をも砕く、不老不死にして年齢性別すら自由に操る。できないことは何もないと言われる伝説のエスパー。その舞台は数千年の時の流れと、数億光年の銀河宇宙。
 同人グループの肉筆回覧誌が初出のこの作品は、すでに37年間も書きつづられてきたんですね。  SFにはいろいろな種類がありますが、もっともSFらしいのはやはり星の世界を駆けめぐるスペースオペラでしょう。「超人ロック」というスペースオペラを世に出すにあたって、作者である聖悠紀氏がどのような気持ちだったか、ストレートに伝わってきてとても好きな言葉です。
 超人ロックは単純な勧善懲悪ストーリーではありません。無限の力を持ちながら、いつもロックは苦しみます。自分と同じエスパー(超能力者)と普通の人間の狭間に立って、時にエスパーを守って権力側と戦い、時に人類全体のために同じエスパーと戦う。それもたった一人で。
 人類全体への無限の愛情と、同時に人類が自分を決して受け入れることがないことを承知している寂しさがロックにはあります。それでも、ロックは戦う。数千年の長きに渡り、37年間の長きに渡り、変わらないテーマです。

駄弁者:
>作者である聖悠紀氏がどのような気持ちだったか…
 おそらく最初に手に取るのはSFファンだろうけど、それにとどまらず多くの人に読んでもらいたい…というところであっているでしょうか?



篠原遊馬「疑いつつ信頼点を見つけるのが知恵ってもんだぜ」

 出典: ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー第16巻『グリフォン その2』」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 疑うということは、信じないということとは違います。否定するということとも違います。
 この言葉の”疑う”は、目の前にぶら下げられた”事実”にダボハゼのように食いつくのではなく、一歩ひいてよく観察してみるということなのではないかと個人的には解釈してます。
 「パトレイバー」は何かと含みのある台詞が多い作品でしたが、中でも一番腑に落ちたのがこの文句でした。
 まあ、発言者の遊馬はヒネた性格で理屈屋ですから、この文句もウラを読めば物事を素直に見られないことへの言い訳か、あるいは負け惜しみかなと思えなくもないのですが…と、いかん、この感じ方は素直じゃないですね。

駄弁者:
 疑うことと、信頼点を見つけることのどちらに最終的な重点をおくかが、猜疑心と健全な観察眼との分かれ目じゃないかと思います。



「だが 軌道エレベータなら私のような老いぼれでも 宇宙に行ける」 「軌道エレベータが実現するのなら それまで私は 10年でも20年でも生き続けてやる!」

 出典: 的場健・金子隆一協力「まっすぐ天(そら)へ」Erect.9『大いなる意志』

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 スリランカ在住の「英国ロイヤルアカデミー特別名誉会員 及び 国連宇宙開発委員会特別顧問にして 世界的に著名なSF作家でもある」アーサー・マインヘッド(当然、モデルは『楽園の泉』の作者でしょうね)の言葉。
彼の確固たる意志の力が、謹慎を命じられ意気消沈していた主人公・飛騨翔一の心に、再び火を灯します。
 …講談社の隔週誌「イブニング」連載の、軌道エレベータによる宇宙開発マンガ、その第9話より。
コミックス化が待ちきれなかったので、あえて雑誌連載中の作品から投稿させていただきます。
BGM:「羅針盤」アジアン・カンフー・ジェネレーション

駄弁者:
「軌道エレベータ−宇宙に架ける橋」の共著者が協力に入っているとは本格的(けど私、金子隆一って恐竜関係がメインだと思っていたんですが)。
 朝にデブリ回収(終ったけど)で夕に軌道エレベータとは、講談社もいい狙いつけてますね…。



総人口三九億をかぞえ、人類領域総生産の二七パーセントをつくりだす日系星系の人々にはそれが可能だった。

 出典: 佐藤大輔「地球連邦の興亡1 オリオンに自由の旗を」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
 日本人万歳(その2)。
 というか、官僚主導で「日常の拡大」をスローガンに宇宙植民に乗り出していくあたりが実に日本人らしいなあ、と(笑)

駄弁者:
 日本人らしいというのはスローガンの方ですか、それとも官僚主導の方?(まあ、どっちもか)
 ご投稿の文句よりも、コメントの方で挙げている「日常の拡大」のスローガンの方が、私には名文句に思えます。それも私が日本人だからなんでしょうか。



「ブラヴォー・シックス、こっちは符牒をおしえられていない」
「ストーカー・ワン、ならば敵機とみなす」
「畜生、かわりに君が代でもうたってやろうか」

 出典: 佐藤大輔「地球連邦の興亡1 オリオンに自由の旗を」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
 日本人万歳(その1)
 つーか、この時代に至ってなお日系社会のアイデンティティなんですね(笑)

駄弁者:
 至ってなお、と言いますが、今現在アイデンティティなのかどうかはかなり微妙な気がしますが…。
 この場合、下手くそだったら撃墜されるんでしょうか。



ニシキ先生「ピッケル君、スタンバイじゃ!」
ピグ   「スタンバイってナニするのかナ?」
ニシキ先生「何もしないことじゃ」

 出典: 円谷プロ・若槻文三脚本「ザ☆ウルトラマン 第44話『ウルトリアが二つに割れた?!』」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 『ザ☆ウルトラマン』で検索したら一つも見当たらなかったんで投稿させていただきます。
 『ザ☆ウルトラマン』に関してウルトラファンでも問答無用で拒否する方々もいるという、ちょっと微妙な存在ですが、作画に目をつぶりさえすればその出来は『ウルトラセブン』にも劣るとは思いません。偏見なく御覧いただければありがたいのですが。
 台詞は地球防衛軍アフリカゾーンの天才科学者にしてウルトラシリーズで一番変な科学者でもあるニシキ先生と万能ロボットピグの会話、ニシキ先生には他人のつけた名前を覚えない悪癖があり(登場4話でわずか4つしか覚えていない)、ピグのことをピッケル君と呼んでいます。

駄弁者:
 出典作品については、リアルタイムで見ていたと思うんですが、どんな話だったか全然覚えていなかったりします。「カラータイマーの代わりに星がついていたアニメのウルトラマン」ぐらいしか…。
>問答無用で拒否する方々も…
 設定が元祖のM78星雲がらみじゃないのがマズいんでしょうか。それともやはりおデコの星が…。



一、救世主様は夜伽に関してはきわめて奥手である!
  自ら言い出すことはまず無いと思え!
  かといって興味が無いわけでは決してない!
  敏感に察して応えるべし!

 出典: がぁさん「ハニハニハッ!」(1)

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://homepage1.nifty.com/mimune/

コメント:
 ノアの民では、代々、巨乳長髪の娘に眼鏡(!)をかけさせ、救世主の「生け贄」として教育。救世主をどう敬う(=あしらう?)かは、詳しい「取り扱いの書」(=マニュアル)が残っている。その一説から。
 上のようなふざけた内容がある一方で、「眠りから目覚めた救世主は、必ず深い悲しみにとらわれるだろう」など、主人公をよくわきまえた鋭い洞察もあったりします。マニュアルが作られた経緯も出てきますが、ちょっとほのぼのしちゃいました。

駄弁者:
 なんでまた救世主はそっち限定なのか(そもそも男限定なのか)、服装はエプロンドレスか巫女服にすべしとかいう言い伝えも残っているんじゃないか…などというツッコミを入れてみたんですが、御宗銀砂さんによると、「巨乳長髪」にもきっちり納得できる理由付けがされているそうです。



「地球」では水を汲みにいく必要はありません。
食べ物を狩りにいく必要もありません。
すべて「コンビニ」と呼ばれる聖地から湧き出てくるのです!
まさにパラダイスでした。

 出典: がぁさん「ハニハニハッ!」(1)

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://homepage1.nifty.com/mimune/

コメント:
 とある事情で漂流中の宇宙船。
 とある事情で「1000年の眠り」から目覚めた主人公を出迎えたのは、マンガの「未開人」そのまんまの裸族、「ノアの民」のみなさんだった。主人公、伝承によりノアの民を地球に連れ戻す救世主になるらしいが…。
 名文句は、ノアの民に伝わる地球の伝承から、いただきました。

駄弁者:
 作者のオフィシャルサイトには、「ヴァン・ヴォクト、ハインライン、ブリッシュ、ヴァーリイ、ベイリー等の名前にピクッとする方は、ぜひお読み下さい!」とあるのですが…。



「やあ」アンセットが言った。
「やあ」リクトルスが答えた。

 出典: オースン・スコット・カード「ソングマスター」(冬川亘訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 カードの「ソングマスター」から投稿させてもらいます。
 この作品は初めて読んだカードの長編ですが、淡々と進む物語ながら、いつの間にか惹きこまれている、そんな物語であります、投稿した台詞は、自らが発狂させた皇帝リクトルスと再び見えたときの台詞です。読んでみないと今ひとつわかりにくい台詞かもしれませんが、このくだりを読んだときに、情景が目の前に浮かび上がった台詞でありました。

駄弁者:
 ソングバード・アンセットが愛した皇帝ミカルを殺害し、帝位を奪ったリクトルス。それでもアンセットはそのリクトルスを信頼し、友情さえ抱いていたのだった。だが、その信頼さえもリクトルスが裏切っていたことを知ったアンセットは、溢れる怒りを込めた歌をリクトルスたちに向かって歌いかける。聞き手にあらゆる感情を惹起させる力をもったソングバードの歌声は、リクトルスを狂気へと追い込むのだった…。
 ご投稿のセリフはその後、二人が再会するシーンより。少年の信頼を最も手酷く裏切った男と、男の地位と矜持、正気さえも奪いかけた少年の対面。「やあ」のひと言に、どれだけの愛憎が込められているのかを窺うのは、読んだ人だけの特権です。
 …とはいえ、再刊されないことにはなあ。



赤い月は出撃ののろしだからだ

 出典: 「UFOロボ・グレンダイザー」第1話

紹介 :apj 様
HP :
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/

コメント:
 ベガ星連合軍に滅ぼされたフリード星の王子,デューク・フリードが地球に亡命というか避難というかしてきてるのだが,ベガ星は今度は地球侵略も企てつつある状況。問題のセリフは,デュークが養父の宇門博士の宇宙科学研究所で,赤く見える月を指して言ったものだが,迷セリフの方だろう。銀河を越え円盤で地球侵略を企てる宇宙人が地球人に宣戦布告する通信手段がのろしってのはどうかと思う。第一,侵略するならわざわざ月の色を変えたりせずに不意打ちすればいいのに。のろしを上げなきゃならんのは,それを合図にタイミングを合わせて攻撃する別動隊がいる場合だろうが,そもそもベガ星連合軍の地球侵略の拠点は月の裏側にあるわけで,地球から見える月の色を変えて合図する相手がどこにもいない。中途半端で一体誰に対して何をしたいのかがさっぱりわからない出撃の合図だなあ,と。

駄弁者:
 「のろし」というのは比喩的表現で、戦闘前に赤色を掲げるのはベガ星人の伝統的宣戦布告方法だったというところでどうでしょうか。自分のところの風習が宇宙共通で通じると考えるあたり、悪の征服者らしい設定になって…いないですね、すいません。



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