SF名文句・迷文句第130集

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さだめは偉大だ。おまえの顎がくらいついたときも、おれには歓びしかなかった。

 出典: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「愛はさだめ、さだめは死」(伊藤典夫訳) 同名短編集に収録

紹介 :宇宙船ペペペペラン 様
HP :

コメント:
 厳しい冬を生き延びるため母が我が子を貪り、弟子が師を喰らう世界。それが生きるためのさだめだと、本能では分かっていてもその理不尽さに苦悩する“おれ”が、はじめて巡り合った愛しい“あか”を、大切に大切に慈しむさまに心打たれました。エロスとタナトスが絡み合う描写もお見事です。ラスト、子供のときから大切に育て、長じては睦み合った“おまえ”に食べられながらのこのセリフは、ちょっと泣いてしまいました。

駄弁者:
 人とはかけ離れたライフサイクルをもつ異星生物の一人称で語られる物語。
 ラストは伏せた方がいいかと思ったのですが、もうだいぶ前の作品ですし、知っていてもなお鮮烈な印象を与える名作でもありますので、そのままで。
 「さだめ」の讃歌であると同時に、その「さだめ」にあらがおうとする物語でもあります。



「リタは…彼女はなぜ、機体を赤に塗っていたんだろう。好きな色じゃないはずなのに。理由を知らないかな」
「目立ちたかったって言ってました。戦場で目立っていいことがあるのかわかりませんけど。格好の的ですよね…」
「そうか。目立つってのは、悪くない案だ」
「じゃあ、あなたのジャケットにはツノでもつけておきもしょうか?」

 出典: 桜坂洋「All You Need Is Kill」

紹介 :ちはや 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。今回は迷文句でいかせて頂きます。主人公のキリヤ・ケイジがリタ専属の技術者シャスタ・レイルに、リタが自分の機動ジャケット(いわゆる強化服です)を赤く塗った理由について聞いたときの台詞です。目立つためには赤く塗ってツノをつけると良い、というのは日本人の遺伝子に染込んでしまっているようです。

駄弁者:
 ここで赤に対抗してトリコロールカラーにする、という人はついぞ見たことがありません。
 しかし、フィギュアマニアらしいシャスタはともかく、リタはスピード3倍を意識して赤く塗っていたんじゃないでしょうが…二人とも日本人じゃないし。



やって地の果て、やらずも地獄さ!嫌になるぜ、世の中こんな事ばっかりだ!

 出典: 出崎統原作・監督「白鯨伝説」

紹介 :人畜無益 様
HP :

コメント:
 連邦政府が内密に造った惑星破壊爆弾「白鯨」。
 爆弾の実験台として選ばれた惑星モアドを救う方法はただ一つ。白鯨の起爆装置にされた、アンドロイド・デュウの生命維持装置を白鯨の冷却路に投げ入れ、凍結させる事。
 共に旅をしてきたデュウの死と引き替えでなければ爆弾は止められない………白鯨に操られ襲いかかるデュウとエイハブの戦いに、駆けつけた仲間達の問い詰めへの答えがこちら。
 物語は冒険活劇系です。けど舞台は充分SF的だと思うんですが……何で未だに一個も無いんでしょ、この名台詞の宝庫が………マイナーですかね?

駄弁者:
 こんな事ばっかり、というだけあって汎用性の高そうなセリフ(使いたくないけど…)。
 作品は、NHK・BSで1997〜1999年にかけて放映されていたものだそうです。名前からも分かるとおりメルヴィル「白鯨」がモチーフ。エイハブがメインキャラで出ているということは、他にもイシュメールとかクィークェグとか…は、でてないのか。



機械とわれわれを隔てるものは、夢だけなのかもしれんぞ
紹介 :汗(はん) 様 → 第45集


これが設定上のわたしたちの姿
私はともかく妹はかわいいだろう
脳内で補完してくれ

 出典: あさりよしとお「荒野の蒸気娘 1巻」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :

コメント:
 近未来。枯渇したエネルギー資源は先進国の特権階級に集中。あらゆるインフラを失った地方は西部開拓時代のように無法化。そんな時代。
 ガソリン泥棒の主人公は、人間サイズのヒューマノイドタイプと、馬鹿でかい鉄人ウルトラZタイプ、二体のロボットに出会います。ロボットは「姉妹」だと名乗り、主人公に「自分たちの」写真を見せます。そのときの台詞です。
 この漫画は、ぶっきらぼうでしっかり者の姉と、優しいけれど気弱な妹、二人の姉妹の物語です。そう読むには、主人公だけでなく読者にも努力が必要ですが。史上初の要脳内補完コミック!

駄弁者:
 船だって「彼女」なんだから、ロボットを女性とみなすことぐらいは容易いこと…でもないか。
 ロボットどうしだったら互いに相手が可憐に見えるよう自分の認識を設定できるんじゃないかと思いますが。



私を生んだのは姉だった

 出典: 神林長平「言壺」

紹介 :鈴木 様
HP :

コメント:
 高度に進化したワープロ?、ワーカムが認めない文章。手書きでなら楽に書けるし、言葉で言うのも楽。然しワーカムを使わなければ本にできないので主人公は困ってます。
 正しくない文を認めないワープロなんて使いにくいと思うのですが…。時代が進めばワーカムのような物が誕生してしまうのでしょうか。できたとしたらかなり使う人を選びそうな物になりそうです。
 このコメントももワーカムにかかったら、大幅に改正されてしまいそうです。

駄弁者:
 ワーカム。それは文書の編集、校正はおろか自分の思ったとおりの文章を書く支援、はては持ち主の文体で著述の代行までやってのける。その驚異の機械に、作家解良翔は上の文を入力しようとして拒否される。読者の言語感覚を動揺させようとしたその文章が、世界中のネットワークに接続するワーカムに入力されたとき、何が起こるのか?
 ATOKに文法の間違いを指摘されたとき、この話が頭に浮かびます。
 読者に世界観の改変を迫るSFなんかは、ワーカムが認めない文章がしょっちゅう出てきそうな気がします。たとえばプリースト「逆転世界」の名書き出し、「ついに六百五十マイルの歳になった」などは、まず無理そう。



若いのはいいと思う。若者は馬鹿だが、だれもそれを馬鹿にはできない。だれもがかつて一度は馬鹿だったわけだからな

 出典: 神林長平「ライトジーンの遺産」

紹介 :鈴木 様
HP :

コメント:
 若者は馬鹿だからこそ頑張って立派に成長しようとする、そんな思いも込められている気がします。ただ馬鹿なのは一度で十分で何度も馬鹿ではいたくありませんが…。

駄弁者:
 若いときに馬鹿を十分にやっていないと、年食ってから致命的な馬鹿を何度もやってしまう、とか。
 とすると、あまり派手な馬鹿をやってこなかった私の場合、先が危ないか…。



「…重要なのは、人はパンと民主主義のみによって生きるにあらず、ということだ。
 米だって食うし酒だって飲むし、渡哲也以外のたいていの男は女がいないと生きていけない。流れ者だって生きるには洗面道具が要る。
 たまには戦争だってしたいんだ、ぼくたちは!」

 出典: 矢作俊作原作・大友克洋作画「気分はもう戦争」

紹介 :KAWA 様
HP :

コメント:
 だいぶ前の作品ですが、いまだに読み返していても飽きないので投稿します。
 中ソ国境紛争が勃発した架空の世界、義勇兵となるべくユーラシア大陸を横断する三人組を中心に、世界各地でその紛争に関わる人々を描いた作品です。
 上の文句はその途中に登場する、民主主義世界を思い切り茶化した名文句。
 続編が最近描かれましたが(『〜2.1』)、再開は…無理かなぁ…。

駄弁者:
 別に民主主義世界だって男は女がほしいし(しかしなんでまた渡哲也?)、戦争だってしっかりやってますけどねえ…。
 民主主義でさえあればモラルが高くて平和だ、という錯覚を衝いているんでしょうか。



陸上自衛隊ロメオ隊が指揮官、三等陸佐森彰彦
信長の首を頂く、かかってこい!

 出典: 半村良原案・福井晴敏原作「戦国自衛隊1549」

紹介 :いせやん 様
HP :
http://blogs.yahoo.co.jp/ekizotikkudoradora/

コメント:
 「戦国自衛隊関ヶ原の戦い」が何とテレビでしかも9時代に連続ドラマとして放送と聞いたのでその記念に投稿します。
 自分の部下を逃がす為に拳銃一丁に日本刀だけで敵のど真ん中に飛び込んだ陸上自衛隊森彰彦三等陸佐の名言です。
 最初この言葉を聞いた時はとても感動しました。その後で司令官がやたらと前線に出るなとか司令官を失ったら部隊はどうなるんだとかいろいろ考えてしまいましたがそれでもやはり感動しました。

駄弁者:
 元祖「戦国自衛隊」のネタバレになるかと思って、勝手ながらコメントを一部略させていただきました。すみません…けどどうせなら元祖のほうも楽しんでもらいたいわけで。
 元祖の方の映画では主人公が武田信玄の首を頂いてましたが、あれは感動するというより鬼気迫る様子に慄然とする感じだったなあ。



「…この国は酷(ひど)いですね みんな“戦災”っていう病気に犯され苦しんでる…」
「戦災が病気 民が患者 なら3課(われわれ)は さしずめ医者か…」
「ねえ 少尉…患者は医者に――――自分と同じ病気に罹(かか)って欲しいと思うでしょうか」

 出典: 岩永亮太郎「パンプキン・シザーズ 第2話『其は貴きものなりて(ノーブレス・オブリージ)』」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 「痛みや苦しみを わかって欲しいわけじゃない 仲よしこよしになりたいわけじゃない 望むことはひとつ――“救って欲しい”それだけです! ちょっと…寂しい考えですけど…」と続く、オーランド伍長とアリス少尉の会話。
 今回の第3課の任務は、終戦間際に崩落したトンネルの復旧。工事そのものは、現地住民に行わせるのだが、5年前も工事に駆り出され、しかし賃金が支払われなかった過去を持つ住民たちは、工事に協力しようとはしない。
 民が貧困にあえぐなか、毎朝パンにありつける己の立場に忸怩たる思いを抱いていたアリス少尉は、住民とともに働き、苦楽を共にすることを申し出るが、すげなく断られてしまう。ものも食べずにスコップをふるい、ついには倒れてしまった彼女に、オーランド伍長は前記の台詞を切り出すのでした。
 ……「相手の立場になって考える」ことは、もちろん大切なことですが、完全に「同じ立場」に立ってしまったのでは、見えなくなってしまうものもあるのだろうと思うのですよ。
 その後、彼女は採るべき道を見つけたのでした。
BGM:「I・N・M」シロップ16g

駄弁者:
>完全に「同じ立場」に立ってしまったのでは…
 まったく同感です。下手をすればただの自己満足に過ぎなくなってしまうことにもなりかねない。ただ、完全に上から見下ろす立場になってもいけないわけで、そのへんのバランス感覚が難しいところなんでしょうね。



――――戦争があった
永きに渡るフロスト共和国との戦乱は“帝国”内各地に深い傷跡を残した
『薄氷の条約』と呼ばれた停戦から3年――
飢餓…疫病…兵隊の野盗化…それは――
“戦災”という名の もう一つの戦争だった

 出典: 岩永亮太郎「パンプキン・シザーズ 第1話『戦災復興部隊』」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 帝国陸軍情報部第3課「パンプキン・シザーズ」は、帝都に設立された「戦災復興」の部隊。「軍部が国家予算を使いやすくするために設立した“言い訳”(プロパガンダ)」と陰口を叩かれながらも、書類整理と出張査察の日々を送っていた第3課ですが、巨漢の復員兵ランデル・オーランド伍長(拳銃ひとつで戦車に立ち向かい、零距離射撃で搭乗兵を排除する戦闘能力の持ち主ですが、ふだんは熱血小隊長のアリス・L・マルヴィン少尉のフォロー役、みたいな)が加わって以来、“平和でお気楽”だった3課が荒事ばかりに。それにつれ、かれらが糺すべき欺瞞と腐敗も、どんどんスケールが大きくなってゆきます。「不公平な世の中」「社会の矛盾」をほとんど独力で敵に回しながらも、痺れる台詞まわしと鮮烈なアクション、巧みな頭脳プレーで切り抜けてゆく第3課の活躍を描くコミックスより。
BGM:「なんて悪意に満ちた平和なんだろう」銀杏BOYZ

駄弁者:
 戦争そのものではなくその後を描くという目のつけどころが鋭いな、と。
>“戦災”という名の もう一つの戦争だった
 職場で郷土資料の担当をやっていると、戦争中より戦後まもなくの方が、記録を見つけにくいと感じることがちょくちょくあります。混乱の度合いでは戦中よりタチが悪かったのでは。



きっとこの世界では『ブルーシティ』も『ボルドー』もきちんと完結してるし、『デビルマン』はまともに映画化されているに違いない。

 出典: 山本弘「シュレディンガーのチョコパフェ」  「まだ見ぬ冬の悲しみも」に収録

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 僕が敬愛する山本弘先生の最新刊から投稿させていただきます。
 この作品はオタクカップル(バカップルではない)の不思議な会話から始まり、徐々にシリアスな展開になっていきます。ウィンクラーの夢事象理論という奇抜なアイデアや、後半のヴィジュアル・イメージは最高です。
 名(迷?)文句は物語のラスト近くに出てきます。まさに作品の凄さに圧倒されているときなのですが、これを見た瞬間声を出して笑ってしまいました。前2つは僕は寡聞にして知らないのですが、『デビルマン』はもう何と言うか……山本先生の本音を垣間見ることができる台詞です(笑)。
 ちなみに、「この世界」というのは説明するとネタバレになる(+簡潔に説明しにくい)ので、知りたい人は是非本作を読んでみてください。

駄弁者:
 ご投稿の文句のような実名がバンバン出てくるのは話をリアルに書くためだとのことですが…。リアルさに感心するより、趣味の発露に笑ってしまうほうが先になってしまいます。
(以下ネタバレにつき反転)
 ラストにはちょっと首をかしげました。『デビルマン』さえ(笑)まともに映画化される理想世界に安住するのは、楽しいようで、時間がたつと退屈になってしまうのでは。すべてが理想通りになるということは、すべてが予想の範囲内におさまるということなのだから。
 あと、いくら奥の本質が大事だからといって、恋人の名前や顔を些細なことと片づけられるものだろうか、とも。
 恋人の名前が、実は主人公が事態に気付く前からあいまいになっていたりするあたりの仕掛けは、わりと好きなんですけどね。



みんな科学者なんだな!

 出典: ジェイムズ・P・ホーガン「終局のエニグマ」(小隅黎訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 名セリフは「インパクト」と「汎用性」。(久しぶり!)
 専門家がゴチャゴチャ議論してもさっぱり結論が出ない時、門外漢がスパッと解決してしまう事があります。これをオッドマン仮説(理論)と言います。(…ホントか?)
 「面倒な仕事は怠け者にやらせろ、一番簡単な方法を見つけてくれる。」とも言います。問題解決の為には違った角度から見るのも大事な事です。
 岡目八目、給仕のヘンリーがこれに当たります。
 あーでもないこーでもないと話し合っている人達の背後から解決方法を伝授し、サラリと一言「みんな専門家なんだな!」いやーカッコいいですよ。

駄弁者:
 門外漢からの新鮮な視点は常に大切ですが、それは、専門家の面白みはなくとも確かな知見や検討に十分注意を払ったうえでのこと。「黒後家蜘蛛の会」メンバーの「あーでもないこーでもない」があるからこそ、ヘンリーの名推理が光るとも言えます(うーん、ちょっと私怨が混じってしまったか?)。
 けど、行き詰まったとき発想の転換を受け容れられることも、専門家の資質ではあるんですよね…。ホーガンの作品で科学者が主人公だったときは、そのへんが見事だと思うのですが。
 ちなみに「給仕のヘンリー」とは出典作品の登場人物ではなく、アイザック・アシモフのミステリ連作「黒後家蜘蛛の会」より。学者や弁護士や作家らが集う「黒後家蜘蛛の会」の晩餐に、毎回不可思議な事件の話題がもちこまれる。いつもその謎を解くのは、素人探偵をきどる会のメンバーではなく、後ろで聞いている老給仕のヘンリーだった…というもの。



動機ただしければ過つことなし

 出典: アイザック・アシモフ「正義の名のもとに」(稲葉明雄訳)  「サリーはわが恋人」に収録

紹介 :万太郎 様
HP :

コメント:
 某IT長者の逮捕報道をみて、ふとこの文句を思い出しました。「お金を儲けるため」というのは起業の動機としては不純だったために、彼は過ちを犯したのでしょうか?

駄弁者:
 「銀河系宇宙連邦の心臓部ともいうべき五十マイル四方の摩天楼地帯にかこまれて、そこだけは俗塵をまぬがれた広場の一郭があり、そのまた中央に一つの彫像が立っている……」彫像のモデル、リチャード・サヤマ・アルトメイヤーは、異星人ディアボリ人に対抗するため、地球人諸勢力の統一を訴え続けた「不屈の人」。だが地球人は互いに争いをやめず、アルトメイヤーは三度にわたって投獄される。一方彼の友ジェフリー・ストックは戦争で栄達し、地球の元首となっていた。ある日、軟禁中のアルトメイヤーのもとをジェフリーが訪れ、思いも寄らない真意を明かす──。
 ご投稿の文句は、アルトメイヤーの彫像に投獄の日付とともに刻まれた彼のモットー。読み終わってみるとちょっと皮肉が感じられる言葉です。
>某IT長者の逮捕報道をみて…
 金儲けは、それ自体は不純な動機とは限らないと思います。ただその手段が不純だと…。やっぱり上のモットーは当てはまらない場合もあるということでしょうか。
 アルトメイヤーの投獄の裏には、逮捕する側の深慮が隠されているのですが、こっちの逮捕は、そんな深みはないだろうなあ。



ばぁかな!ニュートン力学の通用しない空間だぞ!?

 出典: GAINAX制作・ 庵野秀明監督「トップをねらえ!」(OVA)

紹介 :翁鶴 様
HP :

コメント:
 宇宙怪獣撃退戦の帰途、ワープ空間内に突然現れた宇宙怪獣から攻撃を受けて艦長の一言。ニュートン力学が通用しない状態で艦隊が存在しているだけでも不思議なのは文系の私だから?この直後に発せられる「攻撃せよ→味方にも当たります→かぁまわん、うちまくれ!」の流れもとあわせると台詞の威力が倍増。ニュートン力学が通用しないのに味方に当たる?いや、それより撃っていいのか(笑
 前出の通り最初の1・2話のパロディ調についていけず放棄、しばらくして全部見たわけなのですが後半は名場面・名台詞の目白押しだったと思います。
 ちなみにオカエリナサイ12000年の疑問に関してはあの後ユングフロイトが初代宇宙大統領(うろ覚え)になる→しばらくしてコールドスリープに入る→ことあるごとにたたき起こされるという設定だったような。

駄弁者:
>ニュートン力学が通用しない状態で艦隊が存在しているだけでも不思議
 あるいは、不思議で済ませてしまえることが文系の証(私も文系ですが)?
 ニュートン力学が通用しないから、味方に当たっても大丈夫…なわけないか。



「地獄はやめておけ。ジャーナリストの腕を生かしてサタンのスクープ写真でもすっぱ抜けば、おまえでも裏口から天国へ行かせてもらえるだろう」
「バカにしているのか励ましているのか分からない口ぶりだな」
…(中略)…
「地獄は自分が行くところだ。あの世に行ってまで、おまえの顔を見たくない」

 出典: 桜坂洋「All You Need Is Kill」

紹介 :C 様
HP :

コメント:
 もう1つ投稿します。「All You Need Is Kill」から。毒舌なセリフの宝庫だと思うのですが、意外に投稿は少ないみたいですね。「戦場の牝犬(ビッチ)」などと呼ばれるヒロイン、リタ・ヴラタスキと、彼女のスタッフであるジャーナリスト、マードックの会話。このドライさが全編で貫かれてるのが良い感じです。

駄弁者:
 前にめい文句のご投稿をいただいて少したってから読んだのですが、なかなか当たりでした。主人公やリタが「ループ」する理由も予想してたよりきっちりフォローされていましたし…。
 全体的にドライな一方で、ときどきトボけた登場人物がでてくるのが、いいコントラストになっていたとも思います。



闇を想像せよ。

 出典: アーシュラ・K・ル・グイン「幻影の都市」(山田和子訳)

紹介 :C 様
HP :

コメント:
 偶然たどり着きました。いいサイトですね! 私は司書じゃないですが、学生時代は町の図書館でバイトしてました。
 さてめい文句……大御所ル・グインから。ハイニッシュ・ワールドシリーズ(私はこれと後1冊しか読んでないけど)の1つ、「幻影の都市」の最初の一文です。ゲドなんかに比べると大分マイナーですけど。「いのちをうばうのはわるいことだ」とか「書の最初のページを読んでください」とかのセリフもいいのですが、インパクトではコレだと思います。何せのっけから!ですし。

駄弁者:
 はじめまして。お褒めにあずかり恐縮です。
 ル・グィンの「ハイニッシュ・ユニバース」は、私は「闇の左手」をはじめとして何冊か読んでますが、これは未読。確かに惹かれる書き出しですね。ちなみに、この作品はサンリオSF文庫とハヤカワ文庫の両方で刊行されていますが、サンリオ版の表紙は竹宮恵子だったそうです。けっこう貴重かも。
>ゲドなんかに比べると大分マイナーですけど
 私の場合、それまで使ったたいがいの図書館の児童室に置いてある「ゲド」の作者がこの方だと意識したのは、「闇の左手」を読んだ後だったりします。



すごい力が詰まっているのよ、人のここには。そしてそれは未来へ向けることだって!

 出典: スタジオ4℃制作「アリーテ姫」

紹介 :きょん 様
HP :

コメント:
 大戦の後、文明が中世まで退行してしまった世界。科学者達(この世界では魔法使い)はほぼ死に絶え、彼らの遺物は“魔法の宝”として高値で取引されている。主人公アリーテは小国の王女。魔法の宝で国家の財政を潤そうという家臣達の策略で、城の塔に幽閉状態。彼女は古文書を読み解き、城下町に忍び出た。そこでは同じぐらいの年の少年たちが一人前の職人になるべく、親方の元手仕事に勤しんでいた。アリーテは脱走を試みたがあっけなく連れ戻されてしまう。周囲のいいなりになる“姫君”ではなく一人の人間として生きることを望むアリーテの姿は、家臣達には何かの呪いにしか思えない。そこへ魔法使いボックスが姫にかけられた呪いを解くと言って、彼女の心を封じてしまった。早速結婚式が挙げられたが、城に戻ったボックスはアリーテを地下牢に入れてしまう。ボックスは魔法使い(科学者)の一族に産まれながら、大戦のためほとんど何も学ぶことが出来なかった。魔法使いとしての体面を保てているのは幼いころのわずかな知識と魔法の源である水晶玉のお陰。彼の願いは出来るだけ長く生き延びて、この世界のどこかにいる仲間の魔法使いに見つけてもらうこと。  しかし水晶玉は彼から魔法の力を奪い去る者と、アリーテのことを予言した。そこでボックスはそんなことが出来ないように、自分の手でアリーテを閉じこめてしまったのだ。
 最終的にアリーテは、ボックスの食事の世話をさせられていた村の女アンヘルの助言と自らの賢さで自由を手に入れる。そしてボックスは水晶玉を失う。悄然とするボックスにアリーテは魔法より素晴らしい力の存在を教える。それは心の力。時間も空間も超越する想像力とものを作る手があれば、失った魔法の力を取り戻すことも出来る。それどころかもっと素晴らしいものを作り出すことも―。
 “姫君”であることを捨て“自分”で生きるため広い世界へ旅立っていくアリーテ。ボックスは一人自分の手をじっと見つめるのだった。
 アニメーション映画『アリーテ姫』。ホームページのあらすじだとわかりませんがれっきとしたSFです。なお原作とされているダイアナ・コールス『アリーテ姫の冒険』はまったくの別物です。

駄弁者:
 ストレートに前向きなセリフ。出典作品の方もケレン味のなさが好評を博していたようです。
 「人のここには」というのは、人の心を指しているのでしょうが、心や想像力のほかに「ものを作る手があれば」としているところが、けっこう示唆的なんじゃないかと勝手に考えています。



戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である

 出典: ジョージ・オーウェル「一九八四年」(新庄哲夫訳)

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 不朽の名作「一九八四年」のプロパガンダです。
 どう言う訳か、誰からも投稿が為されていない様なので投稿致します。

駄弁者:
 言われてみれば初登場なんですね(オーウェル自体も初めてか)。
 「無知は力である」の部分は、プロパガンダの意図とは違う意味では当たっていることもあるかなあ、と思ってしまいました。



人間はぜんぶがぜんぶ英雄になるようにはつくられていないんだよ、ツァヴィ。おれみたいな人間もたくさんいるんだ。だからこそ、きみみたいな人間がそれだけ賢明にみえるんだ。

 出典: ロバート・ハリス「ファーザーランド」(後藤安彦訳)

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 ナチスドイツが第二次大戦に判定勝ちとなった世界。1964年、親衛隊隷下の刑事警察に勤めるクサヴィアー(ツァヴィ)・マルヒ捜査官は、ある党高官の殺人事件を追っていた。いかなる理由かゲシュタポに強制引き継ぎが行われたその事件の捜査を独断で続行した結果、彼は全ドイツを敵に回すこととなる。
 丁度その頃、独米冷戦を選挙対策の含みで緩和するため、米ジョゼフ・ケネディ大統領の訪独が決定。マルヒは西側陣営すら頼りに出来なくなってしまった……。
 上掲の文句はツァヴィの同僚、イェーガー捜査官の言葉。本筋とは全く関係ありませんが、印象に残った台詞です。ストーリーは、読み終えた後に恐ろしくなる結末となっていますが。
 ちなみにこの世界では、ドイツが欧州で勝利したのは日本が太平洋でアメリカの足を引っ張っていたからだそうで、サイパンが獲られ広島と長崎に地獄が現出したのはこちらでも同じ。報復に、ドイツは大洋間弾道弾でニューヨークを平地に変えています。
 このまま講和となると日本は体制の変更もなく、ドイツの人種政策に抵触しない程度の友好関係にある訳で(大ベルリンに日本人観光客が来てるし)、属国化しない事を祈るばかりです。

駄弁者:
 ケネディの訪独の契機というのがヒトラー総統75歳の誕生日というのがなんとも…。
 この作品、テレビ映画で映像化もされているそうです。「ブレードランナー」にも出ていたルドガー・ハウアーが主演。



だがな、どんなに技術が進んでもこれだけは変わらねえ。
機械を作る奴、整備する奴、使う奴…人間の側が間違いを犯さなけりゃ、機械も決して悪さはしねぇもんだ。

 出典: 押井守・監督「機動警察パトレイバー The Movie」

紹介 :KAWA 様
HP :

コメント:
 今頃はこうなるかと思っていた、大型ロボットが動き回る近未来を描いた作品の中で、昔気質の榊整備班長が語った台詞です。
 確立した意思があるわけでもない機械が絡んだ事故・事件は「人災」であり、安易に機械そのもののせいにするのは御法度、ということを思い起こさせる名台詞です。

駄弁者:
 そんな機械さえなけりゃ、人間が間違いを犯す機会はなかった…と、新技術を否定する側は考えるのでしょう。
 無けりゃ無いで別の間違いを犯しているのかも知れませんけどね。



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