SF名文句・迷文句第149集

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そこは天国ではなかった。地獄でもなかった。
そこは故郷だった。

 出典: ロバート・J・ソウヤー「ターミナル・エクスペリメント」(内田昌之訳)

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 もしも「魂」と呼ばれるものの実在が科学的に証明されたら、世界にどのような影響が及ぶのか? ――この途方もない命題に徹底的なシミュレートで答えてくれたのが、ソウヤーの第6長編『ターミナル・エクスペリメント』です。
 魂の実在というSF的大ネタ。そこから派生するユーモアあふれる小ネタ。夫婦のいざこざと成長。そして“魂があるがゆえの不可能犯罪”の発生!(何が「不可能」なのかは、ぜひ読んで知っていただきたいです。ミステリ界ひろしと云えども、こんな不可能犯罪は初めてなのではないでしょうか?) SFとしては云うに及ばず、ミステリとしても、小説としても優れた作品。ひとつの究極の形がここにあると思います。
 この作品には名文句が多くて、どれを投稿するか迷ったのですが、最後の2行からにさせていただきました。すべての事件を解決し、時が過ぎ、死という名の終焉が訪れた主人公ピーター・ホブスン。彼が行きつく先は――。
 うう、泣きました。魂が行く場所を“故郷”とする見方も僕には新鮮でした。
 最後に、これをちょっと云い換えてみましょう。
 そこはマルガレーテのいるところではなかった。神の不在でもなかった。
 そこは地球だった!

駄弁者:
 あらすじを見たとき、小さい頃読んだオカルトもので霊魂の重さが何十グラム、とか言っていた話があったなあ…と思い出していたものです。
 こちらの物語の方は、魂ネタで終始通すのではなく、魂に関する実験のために用意した3つの仮想人格のうち、どれか一つが殺人を犯す…というミステリ仕立て。最初に予想していた話とは違っていたのですが、まあこれはこれで。
 小ネタの「ネットニュース・ダイジェスト」もなかなか面白かったですし。



俺のハートに燃える火は、悪人共には地獄の業火!
燃やし尽くすぜ、平和の為に!!
百鬼夜行をぶった切る! 地獄の番犬・デカマスター!!

 出典: 東映制作「特捜戦隊デカレンジャー」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
もう終了しましたが……
ボス、格好良すぎだ! 完全に主役の五人を喰ってるぞ!
ここまでシビれる決めセリフを吐ける脇役はボスだけだ!

駄弁者:
 今年戌年の締めにはちょっと早いですが。
 「ボス」というと七曲署の係長がまず頭に浮かんでしまう世代では、こういうセリフはいまいちイメージに合わない…って、前にご投稿があったときも似たようなこと言ってますね。



ある意味では、ブラッドベリこそカオス理論の真の父といえる。

 出典: ロバート・J・ソウヤー「さよならダイノサウルス」(内田昌之訳)

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 恐竜はなぜ滅びたのか? ――この大いなる謎に、あの手この手を駆使してアッと驚く真相を提示してくれたのが、ソウヤーの第5長編『さよならダイノサウスル』です。
 2人の古生物学者が、タイムマシンで中生代白亜紀末へ行き恐竜絶滅の謎を解明しようとするのですが、当時の地球の重力は今よりずっと小さいわ、英語を喋る恐竜が出てくるわと、物語はとんでもない方向へと突き進みます。SF的大ネタ、恐竜のリアルな描写、壮大な謎解き、そして男女のいざこざ(笑)と、ソウヤーの魅力が十二分に詰まった一作です。
 ところで、“タイムマシンで恐竜が栄える時代へ行く”というのはよくある設定です。特に有名なのはレイ・ブラッドベリの短編「雷のような音」(A Sound of Thunder/ほか邦題多数)。タイムマシンで恐竜狩りへ行くという話ですが、面白いことにカオス理論のバタフライ効果(乱暴に云えば、どんなに些細なことも巡り巡って重大な影響を及ぼす、ということ)を予見したかのような内容なのです。
 というわけで、このような名文句が登場するわけです。ソウヤーが先人に捧げる花束かと思います。

駄弁者:
 こちらは刊行当時、かなり話題になった作品でした(ひょっとしたソウヤーの翻訳で一番名前が売れたかも)。
>ブラッドベリこそカオス理論の真の父
 恐竜ネタとカオス理論と言えば「ジュラシック・パーク」ですが、イアン・マルカム博士だったらどう言ったかなあ…。



卵形。
そりゃそうだ! 万物の創造主として、これ以上にふさわしい姿があるものか。

 出典: ロバート・J・ソウヤー「占星師アフサンの遠見鏡」(内田昌之訳)

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 人間と同様の知性をもつ恐竜キンタグリオ一族――その見習い占星師(またの名を恐竜ガリレオ少年)アフサンの冒険と成長を華麗な筆致で描いたのが、ソウヤーの第2長編にして《キンタグリオ三部作》の第一弾『占星師アフサンの遠見鏡』です。
 このキンタグリオ一族が崇める天空に浮かぶ<神の顔>(この正体は後半に明らかとなります)。完全な円形かと思いきや、どうやら卵形をしていることにアフサンは気付きます。その発見にアフサンは大喜び。卵から生まれる恐竜にとっては、これこそ神の御姿なのでした(人間も神の姿を自分たちと同じように想像する人が多いですし、知的生命体はそう思っちゃうのが宿命なのかもしれませんね)。しかしその後、最新の発明品“遠見鏡”を使った観察によりアフサンは新しい世界を切り拓くのでした……。
 第一弾を堪能し、第二弾、第三弾も読みたいな〜と思ったら、未だ翻訳なし……。何をやっているんですか早川書房! これじゃフランス料理たのんだのに前菜しか出てこないようなものじゃないか! 今からでも遅くはないので、ぜひ翻訳をお願いしたいところです。

駄弁者:
 以前に増刷されたとき、売れ行きがよければ続刊の翻訳も…というウワサがあったんですが、結局音沙汰なし。恐竜版ガリレオことアフサンに続く、恐竜版ダーウィンの話は、ぜひ読んでみたいものですが。



出してくれ! 出してくれよぉっ!!
俺は帰らなくちゃいけないんだ俺の世界に!!
いやだ……! いやだぁっ!! 出してくれ! 出してぇー!!
何でこうなるんだよぅ…… うぅ……
俺は、俺はぁ…… 幸せになりたかっただけなのに……

 出典: 東映制作「仮面ライダー龍騎」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 お金持ちになって幸せになりたいという誰もが抱く単純且つ純粋な動機でミラーワールドの戦いに参加した佐野満。
 大企業の御曹司でありながら父親に勘当されて細々と暮らしていた彼にとって仮面ライダーインペラーの力は金儲けの為の道具でしかなかった訳ですが、ある意味この人間臭さが「仮面ライダー龍騎」に登場するライダーたちの特徴でもありましたね。
 その後、父親が亡くなり莫大な財産を相続するという思いもよらなかった形で願いが叶う事となり、それに伴いライダーである事を辞めようとしましたが戦いの管理者である神崎士郎と、契約しているモンスターのギガゼールは戦いの途中放棄を許しませんでした。
 結局、最後は仮面ライダータイガの攻撃により重症を負い、仮面ライダー王蛇の必殺技「べノクラッシュ」を受けてカードデッキを破壊されてミラーワールドから現実の世界へと戻れなくなり、上記のセリフ(と言うか断末魔)を吐きながら消滅していきました。
 お金の為に平気で裏切り行為をしていたので自業自得と言えばそれまでですが、その最期はあまりにも哀れというか悲惨というか……

駄弁者:
 なんとなく「龍騎」が続いてしまいました。
 昔のライダーの記憶しかないと、こういう「人間臭い」ライダーをみるのは複雑な気分のような気が。



未来は「いい事」ばかりじゃないか
「悪い事」と「もっと悪い事」だけが選択肢に存在する状態もあるわけだ
初めて理解したが未来が見えるってのも辛ぇ事が多いもんだな……

 出典: たかしげ宙原作・DOUBLE−S作画「死がふたりを分かつまで 3巻」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 さして巧い訳ではないのだけれどちょっと気になるマンガの「死がふたりを分かつまで」の3巻から。
 果たして未来に「選択肢」はあるのか?というのはさておいて、「なにをやっても結果(未来)は同じ」なんて事だと、予知能力者って悲観主義者になってしまうんじゃないでしょうか?
 それとも「未来」というものは実にあやふやなもので、「予知した」と思った未来も、些細な事で変わってしまうものなのでしょうか?(って予知能力者の程度次第?)

駄弁者:
 最高の予知能力者というのは、未来のあり得る可能性のすべてを見ることができる人なんじゃないかと思いますが…。
 そんなことができてしまったら、正気を保てなくなってしまうんじゃないでしょうか。



もう二度とホームズには会いたくない。そのためにできることは、ただひとつ
推測や専門家やコンピュータに頼るのをやめること。
そして、みずからの知性をとぎすまし、自分の頭で考えることだ。

 出典: クリスティン・キャスリン・ラッシュ「脇役」(日暮雅通訳)  『シャーロック・ホームズのSF大冒険』に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
『シャーロック・ホームズのSF大冒険』収録の一篇より。
ホームズの鮮やかな推理によって、嫉妬にかられる刑事さん。
前向きなセリフだが、この人の将来が心配な気がする、全米屈指の名刑事(本人の主張による)なのに。

駄弁者:
 …ほら、やっぱり一人でも苦労してる。
 出典は、連続殺人事件解決のために、タイムトラベル会社にホームズを連れてきてもらう話。それまで事件を担当していた刑事は、「脇役」ワトスン役を仰せつかることに…。



「同時に十ヵ所ほどに行かなければ事件が解決できないのならば、そうしてやろうじゃないか!」

 出典: ゲイリー・アラン・ルース「数の勝利」(日暮雅通訳)  『シャーロック・ホームズのSF大冒険』に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
『シャーロック・ホームズのSF大冒険』収録の一篇より。
ホームズのセリフですが、何をやったかは大体察しがつく方が多いのではないでしょうか。
これからどうすんだよ!と問い詰めたくなる問題が解決していた事にはお前 確信犯だろ と言いたくなります。

駄弁者:
原題が「The Holmes Team Advantage」とくれば、何となく分かるような気がしますが…チームは、やっかいそうだなあ。一人でもワトスン先生はけっこう苦労してそうだし。



運命は変えられる

 出典: 東映制作「仮面ライダー龍騎」

紹介 :春夏秋冬 様
HP :

コメント:
 平成ライダーの中で「仮面ライダー龍騎」だけが名文句の投稿が少なかったのでここで一つ追加させて頂きます。
 天才占い師、手塚海之の名文句(&口癖)であり、彼自身が身を呈して実証させた言葉でもあります。運命に身を任せるのではなく、積極的に「運命」それ自身を変えていこうとする彼の姿には、当時小学生ながらも観ててとても熱くなりました。
 言葉だけ聞くと、「矛盾してる」と思われる方もいらっしゃると思いますが、予知能力を持ち、尚且つ変えられた筈の「運命」によって挫折を味わった事がある彼が言うと、説得力は充分にあると思います。

駄弁者:
 ご投稿が少ないのは、作品にSF要素が少ないからじゃないかと思うのですが…。まあそれを言うなら、他の平成ライダーがSFを意識しているというわけでもないでしょうが。
 これが他人の運命についてどうこういう時のセリフなら、よくある占い屋さんの逃げ口上ですが、自分の運命について積極的に変えていこうというのなら、立派な宣言ですね。



わたしは、次世代フォルマント・シンギング音源──お父さんが開発した、最後の歌詞入力型シンセサイザーです

 出典: 木ノ歌詠「カラッポの僕に、君はうたう。」

紹介 :首くくり 様
HP :

コメント:
 作曲家を目指す17歳の春樹は、世界を席巻するテロメア異常により、次の誕生日に死ぬ事が決まってしまった。
 緩やかな絶望に浸る彼は、廃棄処分場で自らの処分を待つ、首元に入出力端子を備えた少女と出会う。その少女、自分が電子楽器だと言う伽音と生活を始めた春樹は、彼女の声を使いコンテスト応募曲の作曲を再開する。だがそれこそが、かつて闇に葬られた、禁断の人体改造楽器を巡る事件再開の引き金となってしまうのだった。
 何かに突出した分野では、論理よりも実利が優先されてしまうってのは、ありがちな話ではありますね。

駄弁者:
 MIDIインターフェイス付きの女の子…。彼女にとって音楽はどのように感じられるものなんでしょうか。「周波数と秒針」で語るようなもの?



「ドラえもんのドラえもん。」

 出典: 藤子・F・不二雄「ドラえもん『のび太ののび太』」

紹介 :井中かえる 様
HP :

コメント:
 予定を忘れないためにはどうしたらいいかのび太がドラえもんに相談しているところに、タイムマシンでやってきたドラえもんそっくりの人物。彼はドラえもんにドラやき特売という伝言を持ってきたのです。その彼に、のび太が「ちょっと! きみ、ドラえもんのなんなのさ。」と問いかけたのに対する答えがこの文句。
 実はその日の朝、特売を広告で知ったドラえもんがタイムマシンで直接自分本人に備忘のため伝えにきたのですが……。
 ちょっとない珍妙な回答ということでとりあげてみました。

駄弁者:
 タイムマシンでやってきたドラえもんが、直接伝えるんじゃなくて伝言を別の時間のドラえもんに託したとしたら、そのドラえもんは「ドラえもんのドラえもんのドラえもん」と答えることになるんでしょうか。
 「ドラえもんのなんなのさ」の聞き方は、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの例のフレーズが元ネタかなあ。どっちも1975年だし。



「なんでワシが産みの親じゃと悔しいんじゃ!」
「んなモン、スタート時点で既に人生に敗北しとるやないかー!!」

 出典: スタジオ ディーン制作・小寺勝之監督「ボンバーマンジェッターズ」

紹介 :やうこ 様
HP :
http://ww4.enjoy.ne.jp/~iwysp/index.html

コメント:
 もうひとつ「ボンバーマンジェッターズ」より。
 メインキャラクターの関西弁がキュートなロボットが、自分の産みの親は目の前のボケ博士だという衝撃の事実を知った時の会話。
 作られた存在の悲哀、ですねえ…

駄弁者:
 親を選べないのは私たちでも同じですが、それでも親のもう一方とか、突然変異とか隔世遺伝とかに望みをつなぐことができますからねえ…。その点、マッドサイエンティストに作られたロボットは、逃れようがない(笑)。



「それは、死んだ人にしか分からないことです。」

 出典: スタジオ ディーン制作・小寺勝之監督「ボンバーマンジェッターズ」

紹介 :やうこ 様
HP :
http://ww4.enjoy.ne.jp/~iwysp/index.html

コメント:
 いつも楽しく拝見しています。自分では知らなかった良い作品に出会わせていただいたりしています。ありがとうございます。
 さて、個人的には大好きなこの作品、巨大なアームで星をつかんで引き寄せちゃったりするのでためらっていたんですが、後半に出てくる、殺した相手の記憶を持ってしまったアンドロイドがギューン!と来たので思いきって投稿させていただきました。
 人の記憶を持つロボット、というのは様々な形で語られてきましたが、この作品のゼロは、時として自分を殺して尽くしてしまう程に心優しいマイティ(殺した相手)の記憶を持ってしまったが故に、マイティと彼を愛した人々を思って、そうしてほしいと望まれても、また彼自身がそうしたいと思っても、自分がマイティの代わりをしてはならない、すまいとするのです。
 そうは思っていてもやはり、自分の中心にある記憶と感情に揺らぎ、悩む姿が印象的でした。
 死ぬような事になってしまって、マイティは周りの人間を恨んでいなかったか、と訊ねられて答えたのがこの言葉です。この後に彼は「マイティを信じてください。あなたの知っているマイティを」と続けます。
 記憶を受け継いでいようと、それは死んでしまった人の復活ではない、違う存在だという事を、多くのものを引き継いでいる彼が言うという所に私は感じ入りました。

駄弁者:
 この作品やその元になったゲームのようにキャラクター化してからはとんとごぶさたですが、元祖になったゲーム(MSX版)は、実は小学生のとき熱中してました。
>「それは、死んだ人にしか分からないことです。」
 死者にしか分からないというのは、生者にとっては慰めになるんじゃないでしょうか。



広すぎて さみしくないか…?

 出典: 岩岡ヒサエ「土星マンション1 floor.6 緑の部屋」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
もうひとつ、同じ本から投稿します。
 ミツが仕事に慣れてきた頃。相棒の「仁さん」が上層の知り合いの所に行きます。彼女は亡くなった仁さんの友人の奥さんで、かつて仁さんはその友人と自分が危険な仕事に就くことを自分の奥さんのために危惧していたときに、友人も親の仕事を継がなければならないこと、そちらは大きくて広い世界で仕事ができることを話したせいで仲たがいをしていたのでしたが、仁さんが事故を起こしたとき、友人が通報してくれたおかげで助かったことで仲直りできたのでした。
 投稿した台詞は、友人が亡くなったとき、仁さんが遺灰を外界から撒いた場面のモノローグから。こういうことをしてくれる友人っていいですよね。…今からでも恩を売っとくかな。

駄弁者:
 遺灰を空中や海にまいたりするのに近い感覚なのかもしれませんが…葬られる場所の寂しさで言えば、比べものになりませんね。
>…今からでも恩を売っとくかな
 自然葬というのは最近復活の兆しがあるそうですが、墓を作っても維持・継承ができないという、それこそさみしすぎる事情が一因になっているとか…。



オレがやってきたこと

 出典: 岩岡ヒサエ「土星マンション1 floor.2 仕事」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 地球全体が保護区になった未来。人々は地上から35,000m上空にリング状の居住空間を建設し、そこで暮らしていた。その内部は高額所得者の住む「上層」、教育機関のある「中層」、それ以外の人たちの住む「下層」に分けられている。
 主人公のミツは中学卒業後、事故で亡くなった父の跡を継ぎリング外壁の窓を拭く仕事をはじめます。しかし外気の環境に合わせて装備を整えるため、費用は非常に高額で仕事の依頼はごくまれであってもほとんどが「上層」の人間ばかり、そこにミツの父親が死んでから初めての「下層」の客がやってきます。彼らは自分たちの結婚式のために自然光の当たる場所で結婚式をあげたかったのでした。
 その後ミツは依頼人の女性と再会し、なぜ彼らが大金を払ってまで窓拭きの依頼をしたか聞かされます。依頼人の結婚相手は中層部で働くために大学に行っていたのですが、このまま大学に残っても中層部で働くことができないことがわかり、下層部で技術者の仕事に就くことをきめたため、彼女が学費にしてもらうために貯めていたお金を使って窓を拭いてもらうことにしたのでした。
 投稿した台詞は、依頼人の結婚相手が就職先を決めてきた後、言った台詞で、この後彼は床一面に数式を書き、彼女に見せます。
 実はこの作品。雑誌に載っていたときから投稿したかったのですが、この度やっと単行本になったので投稿できたのでした。ぜひとも読んでほしい一冊です。

駄弁者:
 自分が成し遂げてきたことを形に表せるというのは、ちょっとうらやましい。
 それだけに、途中で諦めねばならないのは痛恨の一言なのでしょう。



ルームサービスが恋しい!

 出典: ウィリアム・ギブスン原作 ロバート・ロンゴ監督「JM ジョニー・ネモニック」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
やる気が無かったのかビートたけし!
そんな事はさておき
 いきなりブラウン管とスパゲッチィコードと溶接剥き出しフロアと小汚いおっさん達の世界にほうり込まれると、こういう「魂の叫び」になると。
 そうか、「小汚い」「たくさんのモニター」「頭にジャック・イン」をうんと豪華にすると「マトリックス」になるんですね!(違うか)
 はてさて「ディック×キアヌ・リーブス」の「スキャナー・ダークリー」はいったいどんな映画になるのか実に楽しみですね。

駄弁者:
 ルーム・サービスなんてぜいたくな。ギブスンの話だと、棺桶(コフィン=カプセルホテル)よりましな宿が出てくるのが想像できない…。



この戦いに正義はない。
あるのは、純粋な願いのみだ。

 出典: 東映制作「仮面ライダー龍騎」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 13人のライダーが自らの願いを叶えるべくバトルロワイアルを繰り広げたシリーズ最大の異色作から。
 恋人を救う為、永遠の命を得る為、英雄になる為、お金持ちになる為…… その願いは決して現実離れしているものではなく、人間なら誰もが一度は願うものばかりでした。
 TVスペシャルにのみ登場した仮面ライダーベルデこと高見沢逸郎が「人間なんて皆ライダーなんだよ!」というセリフが全てを物語っているのかもしれません……

駄弁者:
>「人間なんて皆ライダーなんだよ!」
 一つの作品で13人もライダーが登場してしまうのでは、そう言いたくもなるかなあ、なんて思ってしまいました。



たぶん、天にいるだれかさんはおれが気に入ってるんじゃないかな

 出典: カート・ヴォネガット・ジュニア「タイタンの妖女」(浅倉久志訳)

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 この科白の主はそれから大変な目に遭うわけです。
 それはともかく、確かにそんな風に天に気に入られた人っているよな、と思い、この科白が記憶に残りました。
 もっとも、そんなことは本人に聞いてみないとわからないものです。案外、最も現実的に運の良い人は最も理想的に運の良い人と我が身を引き比べて、運が悪いと不満を述べていたりするのかもしれません。
 お久しぶりです。出会ったり思い出したりしたネタがいくつか集まりましたので、投稿を再開いたします。

駄弁者:
 お久しぶりのご投稿、大歓迎です。掲載が遅くなってすみません。
 ご投稿は「タイタンの妖女」冒頭、以後1冊かけて右往左往させられるマラカイ・コンスタントの言葉より。「天にいるだれかさん」に気に入られるということは、単に良いことばかり起こるというわけではなかったりします。



空間間転移テレポーテイションだと……!?

 出典: 福井晴敏「ターンAガンダム」

紹介 :シュフィール 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させて頂きます。
 名文句は小説版∀ガンダムから、主人公の乗る機体の能力に驚愕する敵大将の台詞です。
 最近はとんと聞かなくなったテレポーテイションという言葉の響きが新鮮でした。

駄弁者:
 …「ジョウント」だったら古臭い感じはしない? 「テレポーテーション」ではなく「テイション」というあたり、使う側も不慣れな感じです。
 そういえば作者の福井晴敏、来年からガンダムの新作小説出すらしいですね。 



「わたしは君に最後の忠告をする。君は世界に神を導入しようとしている!」
「だが、それからあと」G・H・ボンディはいかめしく言った「神はそのためにわたしに個人的に義務を負うことになる。そしてわたしは、神がわたしに対して汚らわしい態度をとらないことを望んでいる」

 出典: カレル・チャペック「絶対子工場」(金森誠也訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 原点回帰の意味合いを込めまして改めてチャペックの作品を投稿します。
 時に1943年の元日、石炭の高騰による株の下落に悩むチェコの巨大企業MEAGの社長、G・H・ボンディ氏はある新聞広告に目を止めます。それはかつての工業大学の同級生、マレク技師の出した広告で、ある発明を売りたいというものだったのです。かつての友人の落ちぶれた姿を見るために彼の元を訪れたボンディ氏でしたが、そこにいたのは予想に反して立派な姿をしたマレク技師がおり、彼を待っていたという。なんと彼は原子エネルギーを完全に熱エネルギーに変換できる炉──炭素原子炉(カルブラトール)の開発に成功したというのです。しかしそれは物質に含まれている神、絶対子を解放してしまうことでもあったのです。
 ちなみにこの作品は1922年に執筆されており、この時点で原子炉と放射能被害を予見しているのはさすがです。  投稿した台詞は、絶対子の危険性をめぐるマレク技師とボンディ氏の会話なんですが、もうこの時点で絶対子がどういうものであるのかある程度予見ができているのに世界中に売りまくっているんですよね…。(ちなみに日本にも900基入っています)こういったところまで現在の原子力発電と同じとは…チャペック恐るべし。

駄弁者:
 このカルブラートルは人に宗教的な恍惚感までもたらしてしまうということですから、実際の放射能被害よりずっとタチが悪そうですね。少なくとも私たちは原子炉を礼拝するところまではいってませんから…(コバルト爆弾を礼拝していた映画はあったような気がしますが)。



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