SF名文句・迷文句第187集

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「マ゛」

 出典: 横山光輝原作・東映制作「ジャイアントロボ」

紹介 :h 様
HP :

コメント:
 大作少年の指令に答えるときのロボの台詞(?)
 つーか、ロボ細っ!某SLGで見たのより全然細いし、武装もかなり違うし…
 …にしても、衝撃波で東方不敗と渡り合っていたオッサンは一体何処へ…?
 しかも何だよあのへんてこなボスは…でかい目玉じゃないし…

駄弁者:
 「マッシ」と言っていたそうなんですが、ご投稿の表記の方が膾炙しているようです。
 比較の対象として最初に来るのが「地球が静止する日」ですらなく「某SLG」というあたり、時代というものでしょうか。
 ところで、ハンドルネームを変えてもコメントが相変わらずでは、頭隠して尻隠さずというものですね、「h」さん?



 しかし本当にそうなのだろうか。この世に完全なる良心回路というモノが存在するのだろうか。
 善悪の基準など時代や様々な条件によって変わっていくのではないだろうか
人間の社会では、善と悪は非常にあいまいではないのか。人間の営みの全てが必ずしも黒、白で分けられるモノではあるまい。
 弟、ジローに備え付けられた良心回路は善い事と悪い事を一体どの様な線引きで判断するのだろうか。
 例えば地球規模で見れば人間の存在が悪といえるのではないのだろうか。
聖人君子の心を持ったジローがこの世を断罪<ジャッジ>するというのか。
 01は自信に満ちたかの様な弟の瞳の輝きに大いなる不安を抱いていた

 出典: 石ノ森章太郎原作・早瀬マサト「KIKAIDER00 Chapter[蒼]」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ホビージャパン誌上にて連載されていたディオラマストーリーキカイダー00より
本作は一応テレビ版キカイダー01の後日談ですがマンガ版の設定も入っている作品です。
 光明寺ミツ子と結婚したロボット工学の科学者、海野博士は妻が若い頃ジローという人造人間に恋をしていたことを知ってしまいそれを若気のいたりと笑い飛ばすことができなかった。義父を…光明寺博士のロボットを超えるロボットを造ってやるそう決意しは彼は失踪、その後ハカイダーを首領とする新組織に加入、ハカイダーの戦闘欲求を満たす為の<ライバル>としてキカイダー00を造りだした。
 物語の終盤、敵基地内に侵入した01は激戦の末機能停止してしまったジローと共に海野博士と邂逅した。不死身だと、人間には手の届かない存在だと思っていたロボットの死…自分の勝手な思い込みとこだわりが消えた海野博士はジローの修理を申し出る。 そして工作室より現れたジローは全身青の完璧なボディーと良心回路を持ったパーフェクトキカイダーとなっており、部屋の奥では海野博士が満足そうな顔でこと切れていた
 セリフはそんなジローを見た01の独白です。義父を超えたことに満足して死んでいった海野博士ですが結局は人造人間達の呪縛からは逃れられなかったのかも知れませんね
 ミツ子を心から愛していたのには違いなのでしょうが行動の仕方に問題があったのでしょう、それにしても01のセリフはどの作品も妙に人間くさかったりします。

駄弁者:
 デザインから言えば、キカイダーは左右非対称なところが魅力なので、青一色になってしまってはダメだと思います(笑)。
 内面についても同様、「パーフェクト」になってしまわないほうが魅力的だし、より人間的なんですが…?



兵器ファッションデザイナー

 出典: フィリップ・K・ディック「ザップ・ガン」(大森望訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 世界が東西ブロックに分かれて冷戦を続けている未来。西側の兵器ファッションデザイナー、ラーズ・パウダードライは、トランス状態から兵器のアイディアを持ち帰る日々を送ってきた。彼のアイディアを元に兵器が作られるが、その兵器はデモンストレーションに使用されるだけで、実際にはその兵器からスピンオフした日用品に転用されて製造されていた。そんな偽りの日々を送る彼に、突如侵略してきた異星人を撃退するための本物の兵器、「ザップ・ガン」の作成が依頼される。
 兵器デザイナーというのは工業デザイナーの1種として存在すると思うんですが、兵器「ファッション」デザイナーと言うのはさすがにディック。
 ディックは「現実とはなにか?」や「アイデンティティのゆらぎ」と言う点で語られることが多いように思いますが、私にとっては馬鹿なアイディア(褒めてます)こそがディック。兵器「ファッション」てあなた…。
 この作品ではテレパシー機能の付いた迷路のおもちゃで異星人を撃退するというアイディアがナイス(その使用時の描写は笑えるものではありませんが)。他にも「最後から二番目の真実」に出てくる自動殺人機械(逃げ切れなくなるとテレビに変身)もおすすめです。

駄弁者:
 名文句とはちょっと違うと思いますが。
 一瞬、スタジオぬえとかが一大企業になってるんじゃないかとか思ってしまいました。
 まあそれはないとしても、アイディアとデザインが勝負なら、日本とかドイツとかが強そう。



週に五日、彼はスーツを着、ネクタイをしめ、下町に車を走らせ、秘書と仕事仲間におはようをいい、自分のオフィスに鍵を掛けて閉じ籠り、そして読書をした。ソフォクレス、シェークスピア、プルースト、フォークナー……これらの作品はみな、以前に熟読したいと思いながら、読む時間がなかったものである。

 出典: ケン・グリムウッド「リプレイ」(杉山高之訳)

紹介 :汗(はん) 様
HP :

コメント:
 人生をやり直せたら、なにをするか。これは非常に悩ましくも心躍る空想ですが、一番平凡でなおかつ魅力的なのは、案外、仕事してるふりして読書三昧ってことかもしれません。なんと彼は、儲かりすぎないように苦心してるんです。うらやましい!

駄弁者:
 これは確かにうらやましい!
 しかし、古典文学ならいいとして、好みが現代小説だった場合、読もうにもまだそれが書かれていないという可能性も…。



お前も私も、アルジュナよ、多くの人生を生きてきた。
私はその全てを覚えている。だが、お前は覚えていない。

 出典: ケン・グリムウッド「リプレイ」(杉山高之訳)

紹介 :汗(はん) 様
HP :

コメント:
 1988年10月、ジェフは突然心臓発作に襲われ、命を落とすが、大学時代の寮で目覚める。1963年。未来の知識を持って人生を生き直すジェフだが、1988年、ふたたび心臓発作が彼を襲い、1963年に。
 引用は、もうひとりのリプレイヤー、パメラがヒンズーの書物『バガヴァット・ギーター』から、彼らの人生を重ね合わせて暗誦した一文。
 彼らはまさに過去の人生(複数)を覚えており、それを利用したり、逆にそれゆえ苦悩したりします。パメラはこの一文から、自分たちが与えられた使命のようなものを感じ取ります。その結果は、さて、どうだったでしょう。  しかもその後の人生で、ジェフは、自分たちと他の人々ではなく、自分と彼女をこの一文に重ね合わせて苦悩することになるのです。非常に象徴的な文章です。
 グリムウッドはこの小説に、時代時代のさまざまな文化、風俗、政治経済、社会情勢をコラージュしています。このような一文を見つけたとき、作家はパズルの1ピースを見つけたときのようにうれしいんだろうな、と思います。

駄弁者:
 読者の側も、さまざまな小説から自分の人生に合った一文を見つけたときは、やはりパズルの1ピースを見つけた気分にひたれます。
 著者のグリムウッドは5年ほど前に亡くなっていますが、彼もリプレイしてさらなる傑作を書いている…といいな。



人類を救うことができるのは英雄でも「システム」でもない

 出典: 聖悠紀「超人ロック 黄金の牙」

紹介 :うーちゃん 様
HP :

コメント:
 退廃していく銀河帝国を倒すべくリュカーンがロックにともに戦わないかと誘ったときのロックの返事です。奥が深い回答です。「きみがやろうとしていることは第2の帝国を作ることだ」とも言っています。ロックとしては荒廃していても帝国がなくなると群雄割拠の戦国時代となり、巻き込まれる一般の人や無益に殺される人たちがでてくると心配していたようです。後日、SOEという銀河連邦の母体となる組織が出来て、やっと帝国の銀河コンピューターを破壊して帝国を打倒するべくロックが立ちあがっています。何事も時期が大事?

駄弁者:
 「超人ロック」から、2回めのご投稿ですね。
>英雄でも「システム」でもない
 英雄が人類を救うきっかけを作るかも知れないし、救った世界をシステムが維持するということもあるかもしれない。しかし、それだけでは歴史は動かしがたい。
 永遠の命と超常の力を持っているからこそ、そういったことをより実感できるのかも知れません。



血のない奴が血の罠を仕掛け、そしてその血に敗れたんだ。

 出典: 市川森一脚本「シルバー仮面 第4話『はてしなき旅』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 光子ロケットを発明したために、宇宙人に殺された春日博士。その息子・娘たち春日兄弟の体には光子ロケットの秘密が隠されているため、光子ロケットを手にした地球人による宇宙侵略を畏れた宇宙人、また地球を侵略しようとする宇宙人たちに命を狙われる。だが、春日博士は彼等を守るため、次男の光二をサイボーグ化し、”シルバーの力”ことシルバー仮面に変身できる能力を与えたのだった。
 父親の弟子だった科学者を訪ねた春日兄弟だが、ピューマ星人はそこに春日博士と同じ血液型に反応する転送装置を仕掛けていた。だが、兄弟の中で父親と同じ血液型なのは長女のひとみだけ。そこで科学者の娘が間違えて転送されてしまう。発振器を持ってわざと転送されるひとみ、そしてピューマ星人をシルバー仮面に変身した光二が倒し、人質を助け出す。だが、その科学者は彼等との関係を拒絶するのだった……。
 というストーリーの中で、死体から一滴後も流れないピューマ星人の死体を見た光二のセリフ。議論をする事が多い他の兄弟に比べて光二は無口で一歩ひいたところがあるのですが、口を開くとこういうセリフがすっと出てくるというのが面白いです。卑劣な宇宙人に、兄弟の団結が勝ったというところですが、さらに同じ人間から裏切られるというのが、このストーリーを重いものにしていました。

駄弁者:
 こちらは70年代の特撮もの。リメイクも出ていたもよう。
 ご投稿の文句に続けるとすると「その血をもって勝った者は、その血によって傷ついた」というところでしょうか。
 それにしても標的と同じ血液型という条件だけで反応するとは、アバウトな罠を仕掛けてしまったものですね…これも自身に血がなかったゆえのミス?



僕はこの星にへばりついてる愚かな猿どもを絶滅から救うのに忙しいんだ、わかるか?

 出典: ラッセル・T・デイビス脚本「ドクター・フー リメイク版第1シーズン第1話『マネキンウォーズ』」(平田勝茂訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 2005年より放送されたイギリス長寿SFテレビシリーズのリメイク版第1話(パイロットフィルム)。
 ロンドンの平凡なデパート店員ローズ・タイラーは、ある日マネキンに襲われた所を「ドクター」と名乗る謎の男に救われる。デパートが炎上して失職したローズは再びドクターに命を救われ、彼に興味を持った彼女は歴史上の様々な場所に時空を超えてドクターが姿を見せている事を知った。ドクターは「タイムロード(時の支配者)」と呼ばれる不死身のエイリアンだったのだ。知らず知らずのうちに、ローズはドクターをめぐる運命に巻き込まれていくのだった……。
 そんなローズにドクターがいったのがこのセリフ。しょっぱなからこういうセリフが出るのがシニカルなイギリスSFらしいです。別に地球が美しいとかそういうことじゃなく、椿三十郎じゃないですが「お前ら危なっかしくて見ていられねえ! 」というのが人間に対するドクターの基本スタンスなんですね。

駄弁者:
 このご投稿が初登場です。60年代から80年代の終わりまで続いたSTもびっくりの超長寿シリーズ。出典のリメイクで人気が一気に再燃したそうで。
>愚かな猿どもを絶滅から救うのに
 猿呼ばわりにはちょっと不平も言いたくなりますが。しかしイギリス風のシニカルさが別方向に発揮されると、同じお国の人気ドラマのように道路工事のついでに地球ごと絶滅させられてしまったりするので、この程度はガマンするとしましょう。



女の名前なのに…。なんだ男か。

 出典: 富野由悠季監督「機動戦士Zガンダム」

紹介 :ロートル 様
HP :

コメント:
 第1話「黒いガンダム」でジェリドがカミーユに向かって放った迷言、もとい暴言ですが、この一言がまさかグリプス戦役開戦やティターンズ壊滅、ネオジオン台頭のきっかけになるとは夢にも思わなかったことでしょう。
 口は災いの元と呼ぶには規模が大きすぎますが。

駄弁者:
 グリプス戦役うんぬんの大事件は別として、この先ジェリドの友人も恋人も、さらには彼自身も、この言葉の結果を引き受けなければならなくなってしまうのですが…。考えてみると結構悲惨です。
 だいたい私の場合、初めてこのシーンを見たとき「カミーユ=女性名」という認識すらなかったので、なんでこういう展開になるのかすら分からなかったです。



月の空洞化です

 出典: スタニスワフ・レム「大失敗」(久山宏一訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ファーストコンタクトを期待して、地球からハルピュイア星群ゼータ星第五惑星クウィンタへ赴いたエウリディケ号。彼らがクウィンタに到着したときには、惑星表面で全面戦争が行われていた。エウリディケ号はあらゆる手段を用いて、クウィンタ星人との接触を図るがいっこうに反応がない。エウリディケ号が最後の手段として選んだのが力の誇示、烽火代わりとしての月の破壊だった。
 いくら相手の反応がないとはいえ、思い切り良すぎた手段。こんなことをやって友好的な接触が出来るのかと思ったら、手違いにより破壊的な段階に突入してしまう。派手なことをやってるはずなのに、派手さが感じられない筆致がかえって空恐ろしい。
 この作品では筋道は通っているのだが、ちょっと待てよと言いたくなる事件の積み重ねにより思わぬ結果を生んでしまう。
 未知なるものとの接触、それ自体が大失敗なのでしょうか。判る気もしますが寂しく、また悲しいことです。

駄弁者:
 レム最後の長編ですね。そのうち読もうと思いつつ、まだ読んでいない作品の一つです。
 ソラリスやエデンよりコンタクト相手としてはまだ有望そうに思えるのですが…やっぱり大失敗してしまうんですねえ。



「これは…」(本を投げる)
「やるよ 今度はアンタがそいつを実践してみな」

 出典: コナミ原作・サンライズ制作「Z.O.E Dolores,i 第17話『家族ゲーム』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 なんだかんだでアイザックとショーンの仲も修復し、ジェイムズが警察に囲まれたと聞いて助けに来た子供達と一緒に逃げだす際のやりとり。
 ジェイムズが今まで事あるごとに頼っていた子育て本から卒業した名シーンです

駄弁者:
 修復できたんだ…順番間違えてても(笑)。
 書を捨てよ、父親になろう、ってところですか。



「ホラ『第25章 子供が罪を犯したときその時父は』!」
「おお……」
『まず抱きしめろ! 硬く抱きしめて話をとことん聞いてやれ!そして警察に自首させろ』」
「抱きしめて、話を聞いて、それから警察?おしい!順番を間違えたんだ…!」
「そういう事じゃねぇだろぉおお!」

 出典: コナミ原作・サンライズ制作「Z.O.E Dolores,i 第17話『家族ゲーム』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 苦難困難乗り越えて、とうとう火星についたリンクス一家。
 少しは家族の絆も修復できたのだろうかと悩むお父さんは、ひょんなことから『HOW TO BE A DADDY』の著者アイザック・バレットに出会います。
 家に押しかけ持っていた本にサインをねだるジェイムズですが、家の周りに警官がいるなど、どうにも不穏な空気。
なんと彼の息子ショーンが刑務所を脱獄したとか。
詳しく聞くと別の街に遊びに出かけていた息子から、人を刺してしまったと連絡があり、今から講演を控えていたし、私の息子なんだから当然自首するはずだし、ということで警察に通報してしまったのだと。
 面会にも今日行こう、明日行こうと思っているうちに結局…という有様。
そんな状況で脱獄とくれば、復讐にくると考えるのが自然。
 嘆くアイザックにそもそも子育ての本書いたのアンタだろうと本人に聞かせたのが投稿のやりとり。
ちなみのこの本、彼の著書の中で一番売れなかったそうです(笑)

駄弁者:
 先に投稿のあった「第一条」がモロに我が身に降りかかってますが。
 だいたい捕まった後じゃ塀の向こうで、抱きしめられないでしょうがって、そういう事でもないか。



戦艦「和紀」

 出典: 田中啓文「蹴りたい田中」  同名短編集に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 太平洋戦争末期、敗色の濃厚な日本海軍は戦局を逆転すべく、南洋諸島で秘密裏に巨大戦艦を建造していた。「大和」型の後継として建造された、その名も「和紀」。
 この作者にまともな作品を期待する方がおかしいのですが、この作品もまともなもんではなく、架空戦記でも有りません。
 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、日本海軍の戦艦は旧国名を艦名とします(日向、武蔵等)。ではこれは「大和」と「紀伊」の2隻分の働きを期待したのかというと、そうではなく。「大和」の次が「和紀」、まあ判る人には判るのです。

駄弁者:
 うん、私にとってこの人の作品は、エログロよりホラーより、こういうノリのイメージでして…。
 艦内ではいからさんが通ったり、あさきゆめをみたりするんでしょうか。



雨はかれの肌を濡らす。肌をしびれさせ感覚を奪う。
<肌は雨に食われてもいい。わたしは肌で生きているのではないのだから>
雨は肉を流し、骨を凍えさせる。
<骨は凍ってもいい。わたしは骨で考えるのではないのだから>
雨は骨を砕き、髄を刺す。
<髄は刺されてもいい。わたしは髄で想うのではないのだから>
雨はかれに降り注ぐ。雨は骸の声を聞くことなく、ただ降り続ける。

 出典: 神林長平「プリズム」

紹介 :runner 様
HP :

コメント:
 ちょっと長いですが『プリズム』からもうひとつ。自分を失った「骸」の想いが、地の文とかけあっているような一節です。
 肌、骨、髄、と生きる、考える、想う、がそれぞれセットなら、「生きること」の核が「想うこと」になるんでしょうか。だからというわけではないですが、色々なものが「かれ」からそぎ落とされて、想いだけが残る。そんな感じを受けたシーンです。

駄弁者:
 肌を食われ、骨が凍り、髄が刺されても想いが残る…ということは、人の本質は想いをかたちづくり「言葉」だということでしょうか(この人の作品の多くが言葉をテーマとしているので余計そう思えます)。



私は想う、だからわたしはいる

あなたを想う。だからあなたがいる

あなたに想われて、わたしがいる

 出典: 神林長平「プリズム」

紹介 :runner 様
HP :

コメント:
 何年ぶりかの投稿で、また神林…(笑)。
 『プリズム』最終話『ヘクサグラム』より、<信じる現実に帰るための二つのスペル>とその答えです。両方のスペルを自分の想いに重ねて考えれば「自分が信じるから世界がある」という意味になるけれど、ここでは後者を「相手」の思いに重ねて考えるのが本当の答え。
 あらゆる想いが干渉しあって世界の形をなしているという、『プリズム』世界の縮図のような呪文だと思います。それをヘクサグラムの形にたとえたのが美しかったなと。

駄弁者:
 前のご投稿は第68集。4,5年ぶりというところでしょうか。久しぶりのご投稿ありがとうございます。
>あなたに想われて…
 ああ、一見独我論に陥っているようなんですが、前と後では「想う」主体が違う人…なんですよね?



「私の読書は「すごい読書」なんだぞー!
 私は世界中のSFを愛してる
 ほんとうだ、神様に誓ってもいい
 私はSFを愛してる
 全てのSFを!」
「素面のときに言ってみろ」

 出典: COCO「今日の早川さん2 『世界の中心で愛を叫んだけもの』」

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 『今日の早川さん』2巻発売記念。新規投稿お断り中ですが、管理者権限で身勝手を。
 履歴書の趣味の欄に「読書」とだけ書くのは、ベストセラーしか読まないで同じこと書いている奴と同じみたいで悔しい、けど「読書(SF)」と書くことはできない。ジレンマに苦しむ早川さん、酔って叫んでます。
 ストレートな愛の表明なんですが、元ネタは大量殺人鬼の言葉だったりします。
 素面のときに言えたとしても…「ジャンルの周辺で愛を叫んだけどのけもの」になったりしないだろうか。



やられた……。奴ら、地球を背負いやがった。これは、本当に棺桶もんですよ。

 出典: 谷甲州「水星遊撃隊」  『火星鉄道一九』収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 航空宇宙軍水星哨戒部隊に所属するコックス大尉の哨戒艇は、外惑星連合軍の仮装巡洋艦バシリスクをたった一隻で阻止する任務を命じられる。光学・電波探査を攪乱するために太陽を背負う位置を占めたとき、バシリスクは地球を背負ったのだった。
 なぜ太陽を背負うかというと、太陽は発光体であり電波発信源であるため敵に目つぶしを浴びせられるわけです。また、地球は発光しないとはいえ光を反射しているうえ、電波垂れ流しと、太陽に劣らない妨害効果を発揮するのです。
 考えてみれば当然のことでも、言われるまではなかなか判らない。そんなことを気づかせてくれるのがいいSFだと思います。

駄弁者:
 地球での決闘だったら、太陽を背負った方が勝のは巌流島以来の伝統なのですが…宇宙だとそう簡単ではない?
 しかし太陽に負けないぐらい電波垂れ流しというのは、凄いんだか自制が利いてないだけなんだか分かりませんね。



『おいでよ ぞくぶつの森』と、書いてあった。
―――……え?
「略して『ぶつもり』だよ」里緒が説明を始めた。
「住人たちはみんな俗物なの。『キャビアを食べたことあるかな? 貧乏人のような顔をしているからないだろうな』って挨拶してくる中小企業の社長とか、『押し目買いだ! 押し目買いだ!』って電話に向かって叫んでいる汚い髭のオヤジとか、『ドンベリ一本だ、ねえちゃん! げへへへ!』って叫ぶ酔っ払いとか、いろいろなの。その俗物たちを上手く利用しつつ、借金を返して家を大きくしていくんだよ。村では魚が釣れたり虫が採れたりするから、カジキマグロを釣り上げてそれをホンマグロと騙して売ったり、国産のクワガタと外国産のクワガタを交配させて雑種を作り出し、新種と偽って売ったりするんだ。相手は俗物だからそういうのにころっと騙されちゃうの」
「……なんだその病的なゲームは……」世間で流行っているのだろうか?

 出典: 藤原祐「れじみる」

紹介 :検索の渡り鳥 様
HP :

コメント:
 藤原祐作品レジンキャストミルクシリーズの外伝本から発見した謎物件を投稿します。架空の村で住人たちと交流しながらスローライフを送るゲーム…だそうですが、その具体的内容がコレ。登場人物達だけでなく、クラスの一部でも盛り上がっていたそうです。主人公曰く、大丈夫か現代社会…とのこと。

駄弁者:
 このページとしては、謎物件そのものの面白さより、それを紹介する言葉が面白さをアピールしてほしいところですが…。
 ま、ゲームになって流行る程度なら、まだ現実としてはマシなものじゃないですか?



一つ!発明家は新しい発明に対し失敗を恐れてはならない!
一つ!発明家は世の(人々の)役に立つ事(物、物事)を考え(発明し)なくてはらなない!

 出典: ビー・ネット原作「発明BOYカニパン」

紹介 :o 様
HP :

コメント:
 ウン百年前、一人の発明家、タイシ博士により発明された人口惑星(!!!)シャラク星。
 この星の中では、発明家がいろんな物(大半がロボト(ロボット)の新機種)を発明(とゆーか、建造?設計?)
 そんな世界で、宇宙を目指し、相棒のインターフェースロボト、キッドと共に発明(してないけど)を繰り返す少年、カニパン(主人公)、今回の文句は、そんな彼の信条にして、彼の師である偉大な発明家、シュウ博士の口癖(…とゆう設定で、全然博士の口からは出ない、っつーか博士の出番自体少ない)。
 つーか発明家多すぎだろこの世界…

駄弁者:
 物語中の場合、前者はともかく後のはあまり守っている発明家がいないんじゃないか? まず自分が発明したいものがあって、それがたまたま世の役にたてばラッキー、ぐらいに思っているフシがあるような。



「というわけで、諸君、恒星宇宙はわれわれが祖先から受け継ぐべき遺産なのだ。
「ならば、行ってわれわれの正当な遺産を要求しようではないか。われわれの伝統には、敗北の概念はない。今日は恒星を、明日は銀河系星雲を。宇宙のいかなる力も、われわれを止めることはできないのだ」

 出典: ジェームズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」(池央耿訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 ふしぎの海のナディア最終回のタイトル「星を継ぐ者…」の元ネタ、ホーガンの「星を継ぐ者」の中に、「継ぐ者」に関して言及している所を探してみました(ナディアの方は前回の投稿部分だと思いますが)。おそらくここじゃないでしょうか?
 「家業を継ぐ」とか「跡目を継ぐ」だと「働き者」な印象なんですが、「遺産を継ぐ」というとなんとなく「道楽者」のような気が。
 欧米人にとって「継ぐ者」というのは「正当な遺産を要求」できる人だ、というコトだとするとあんまりロマンチックじゃないなぁ、、、。

駄弁者:
 その後遺産を受け継ぐライバルも登場したりしますが、やっぱり「正当な遺産」を戦って勝ち取る方針に変わりはないわけで。ホーガンの「ガニメアン」3部作は大好きなんですが、こういうところはあんまり前向きすぎて辟易してしまいます。



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