SF名文句・迷文句第202集

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邪悪な心を持ったロボットであれば、人間はそれと戦うことができる。
でも本当に美しい心を持ったロボットだったら、人間はロボットに従うしかなくなる。
その時、人間はいらなくなる……。
人間は、いらなくなるよ。

 出典: 業田良家「新・自虐の詩 ロボット小雪」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://sfr.air-nifty.com/

コメント:
 貧富の差は無くせないのか。「わかっちゃいるけどやめられない」ことなのか。
 ロボットの小雪はそうは思いませんでした。止めることができると考え、それを実行します。それはあと一歩で、世界規模で実現しかけるのですが…。
 名文句の主は主人公の母で、大企業の重役+小雪の開発者です。もう一度小雪を作ってほしいという主人公に「言えなかった」台詞から取りました。
 でも、やっぱり美しい心を持ったロボット、ほしいです。
 それで人間がいらなくなるなら、それはそれでいいじゃないですか。

駄弁者:
 美しい心をもったロボットは人間を排除しないかも知れませんが、人間の方がその美しさに耐えきれないんじゃないでしょうか。
 そして人間がいなくなった後、美しい心のロボットたちだけの世界が、何の変化もなく続いていく…というのは、なかなか寒々としたディストピアだと思います。



富を作り出すには3種類の方法があるべや。
ひとつは地球から搾り取る方法。
石油、資源、水、作物。すンべて地球から取り出したものだべ。
あとは人間。
俺たち下っ端の人間から時間と労力を搾り取るべさ。
最後に未来の子供たちから搾り取る。
国の借金、自治体の借金…。手にするのは現在のお金持ち、支払いは未来の子供たち…。

 出典: 業田良家「新・自虐の詩 ロボット小雪」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :
http://sfr.air-nifty.com/

コメント:
 この台詞の主も、かつては「搾り取る側」の人です。
 最底辺に堕とされながらも、冗談か本気か、返り咲く気満。「わかっちゃいるけどやめられまへん」だそうです。
 内容については、あまりにもそのまんまなので、説明のしようがありません。

駄弁者:
 富を作り出せない下っ端の人間でも、問題の先送りという点では同じようなことをやってます(やらざるを得ない、ということもあるでしょうが)。



「……ニュータイプは進化した人類ではないのですか」
「君はネアンデルタールになりたいかね、クロマニヨンに追われて消え去った存在に」

 出典: 皆川ゆか「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ジオンから亡命した博士が開発したMS用OS、EXAMをめぐる物語から。
 博士はニュータイプを研究するうちに、いずれ彼らが旧人類に牙を向くという考えに取り付かれ、ニュータイプを殲滅するためのシステムとしてEXAMを作ったそうです。
 故にMSの性能が足りないなら連邦に行き、パイロットの腕が足りなければジオンの手引きをして機体を渡すなど、常軌を逸した行動を取りその果てに死んでしまいます。  確かに「進化した人類」とやらが友好的であるという保障はありませんしね。

駄弁者:
 女性でガンダムを書く人がいるのかと思っていたら、男性だったんですね。
>いずれ彼らが旧人類に牙を向くという考えに…
 こういう考えをもった博士の前では、ニュータイプ=パイロット特性のある人ぐらいに言い逃れておいた方がいいのかも。



あの一族が嫌がることなら喜んで引き受けさせていただきます

 出典: 林譲治「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 オーストラリアを舞台にした外伝から。
 開戦前、ジオンの後方支援能力の低さを指摘し、左遷されたユライア中佐。彼はオーストラリア方面軍司令のウォルター大佐に主要な輸送部隊の統一指揮を任される。
 自分が好きに振舞えばザビ家はいい顔をしないだろうと訊いた上でこの台詞。
 いやはや、なんと言えばいいものやら。

駄弁者:
 ドリームキャストで出ていたゲームのノヴェライズより。
「進化の設計者」でガンダムネタが好きそうだなと思っていたら、やっぱりご自分でも書いていたんですね。
 著者ホームページによると、「ゲームシナリオの枠内ですが好き勝手させていただいた」とのこと。



「ぼくらの肉体は、つい最近まで表層土の一部だった原子からできている」ニルガルは続けた。「ぼくらは徹頭徹尾、火星人だ。ぼくらは火星の生きた断片だ。ぼくらは人類として、この惑星と永遠不滅の生物学的な関係を結んでいる。ここがぼくらの故郷だ。二度ともとへはもどれない」

 出典: キム・スタンリー・ロビンスン「グリーン・マーズ」(大島豊訳)

紹介 :汗(はん) 様
HP :

コメント:
 前編『レッド・マーズ』で、火星に降り立った第一世代「最初の百人」。2061年のカタストロフィの後、ある者は地球側につき、ある者は地下に潜った。
 崩壊後の再開発を進める地球の国連や超国籍企業体。 
 火星の独立を追求する過激派の活動に対する、地球側の迫害が激しくなるなか、とある集会で第三世代のニルガルが壇上から言ったのが引用の台詞。
 過去のSF作品で、みずから火星人を名乗る地球人が出てきても、「そうは言っても地球人だよなー」とこっそり思ってましたが、数週間火星にいて火星で採れた食べ物を食べていれば、ニルガルの言う通り、体を構成する物質は火星のものと入れ替わっているのですね。ましてや「最初の百人」到着から一世紀が過ぎた今、その子孫は火星人以外の何者でもないでしょう。
 遅々として進まない物語が眠気をさそい、延々と続く議論にもついていけませんでしたが、ニルガルのこの台詞にはぞくぞくします。
 テラフォーミングにともなう環境激変の描写が、本編の読みどころだと思います。NASAのサイトにある火星の高度地図を参照すると、水量増加の影響をさらに深刻に味わうことができるでしょう。

駄弁者:
 読みはじめたときは、ニルガルたちネクスト・ゼネレーションがもっと活躍すると思っていたのですが、結局前作に続き「最初の百人」が話の主導権を握っていたように思います。
 ご投稿のセリフは、いいんだけどなあ。
 「グリーン・マーズ」に続く3部作の最後「ブルー・マーズ」が訳されるという話が一向に聞こえてきませんが…。



The gene identified by this cDNA will be called klingon (klg) because of its adhesive properties.
(このcDNAで確認された遺伝子を、接着性にちなんでクリンゴンと呼ぶことにする。)

 出典: Samantha J. Butler他「klingon, a novel member of the Drosophila immunoglobulin superfamily, is required for the development of the R7 photoreceptor neuron.」  『Development』1997年2月号に収録

紹介 :人外魔境地底獣国 様
HP :

コメント:
 200集突入おめでとうございます。サイエンス『フィクション』ではなく科学論文なので反則かもしれませんが、スタートレックネタということで御容赦いただきたいと存じます。
 クリンゴンというのはショウジョウバエのニューロンに存在する細胞接着分子の中の一つをつかさどる遺伝子です。これを最初に論文で報告したButler氏が、研究段階でh214と呼ばれていたのを、接着→cling on(しがみつく)とこじつけてクリンゴンと命名したのでした。
 なぜcでなくkなのかは言わずもがな。著者が命名のいきさつについて回想した文章が下記のサイトに載っています。
http://www.nig.ac.jp/museum/livingthing/Klingon.html

駄弁者:
 まさか名文句集の出典を調べるのにPubMed(医学・生命科学のでっかいデータベース)をあたるとは想像してなかった…。
 ハエの遺伝子に名を冠せられてしまったクリンゴン人たちが、バトラー氏に血の復讐を誓わないかがちょっと心配。
>命名のいきさつ
 もうちょっとで、学術用語初(?)のクリンゴン語使用例になったところだったんですね。



生き延びたいんじゃない、生きたいんだ!

 出典: ディズニー・ピクサー制作「WALL・E」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 劇場公開したばっかりだからだいぶ後に回されるかもしれませんが。
 詳しくは言いませんが、良い決め台詞です。

紹介 :syobonolw2 様
HP :http://syobono.exblog.jp/

コメント:
 宇宙船の船長のセリフ、自分達は船内でロボットたちに生かされているだけの存在だと感じた時、オート(ロボット)に向かって叫ぶ一言。

駄弁者:
 できれば、もうちょっと詳しく言ってください。>陸ドムさん
 「WALL・E」はロボットのカップル(?)が主人公ですが、このセリフは人間の宇宙船船長のもの。コンピュータに従ってルーチンワークをこなすだけの毎日だと、こう言いたくもなるでしょう。
 syobonolw2さんご投稿のリンク先、Ultimate WALL-Eがすごいです。



一人が二人になる。最古にして最高の奇跡、そう思わないか?

 出典: アラスター・グレイ「ラナーク 4巻からなる伝記」(森慎一郎訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 太陽の失われた町に暮らす青年ラナークは、太陽を(ついでにまともな食料と職)求めて、道連れの女性と共にアンサンクを通ってプロヴァンへの危険な徒歩旅行にでる。二人がアンサンクにたどり着いたとき、ラナークは連れの女性が関わる奇跡を目撃する。
 察しの良い方なら判るかも知れませんが、出産のことです。確かに命が生まれることは奇跡といえるのですが、昨今の日本の出産事情を考えると、別の意味での奇跡に思えてきます。

駄弁者:
 著者のアラスター・グレイ、初めて名前を知りました。スコットランドの作家なんですね。
>昨今の日本の出産事情を考えると
 …奇跡で子どもは生まれるかも知れませんが、奇跡で子どもを養えるわけではない、というあたりがその事情の一因かと。



これは文化的でも科学的でも何でもない
こんな「MRI」捜査まで必要な――
こんなものがないと犯罪が抑止出来ないような社会は社会じゃない
これは お互い言葉も通じないまったく意思疎通が出来ない
まるでケモノ同士のような世界の中でのみ必要な手段なんです

 出典: 清水玲子「秘密 第5巻 トップシークレット 特別編」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 随分長い科白で、全部書くと割愛されるのは目に見えているので、ここまで削りました。
 死者の脳の記憶から、生前に視た映像を取り出し、犯罪捜査に用いるMRI。実際にそれを行っている法医第九研究室、通称「第九」の一人、岡部氏の言葉です。
 清水玲子作品の特徴のひとつに冷徹さがあります。彼女の作品はヒューマニズムやロマンティシズムを扱いつつもそれに流されず、冷酷な現実に正面から向き合います。捜査員の一人が仕事への誇りを語るのではなく、こうした科白を言い切ってしまうところに、彼女の作品の魅力があり怖さもあると思うのです。

駄弁者:
 生きている人間の証言を信用できない、という意味ですもんね。
 MRIでは最大5年分の映像を取り出せるという設定だそうですから、それを用いた「社会」はかなりヒドい監視社会になるんじゃないでしょうか。



Strangers in the sky We're not alone

 出典: Jigsaw「 We're not alone」  CD『Sky High』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 スカイ−ハイで一部の人間に鮮烈な印象を残したジグソー。彼らの日本語版CDのボーナストラックです。銀河系の地球のような他の星に、母なる自然は命を育んだ、という歌詞から始まる素朴な歌です。多くのSF小説と同じくこの歌も、空を見上げて彼らを待ち受けようと歌います。見つかるのがスラデックのBUGでないことを祈りつつ・・・。(発売はテイチクからでした。TECW-20730)

駄弁者:
小説でも同じようなセリフが登場していました。
この場合、孤独じゃないと知るのは感動とともに虚脱をも覚えることだったようです。



WS:…(註)
(註) 日本では、びっくりしたり、困ったりしたときの沈黙を“…”であらわすことがある。

 出典: ウェン・スペンサー「ティンカー」(赤尾秀子訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 黒丸“サイバーパンク”尚氏の訳文では「…」=「?」だったりしますが、まあそれはさておき。
 確かにその通りなんですが、あらためてそれを解説されると、一種新鮮な驚きというか、軽いセンス・オブ・ワンダー的なものを感じないこともない。
BGM:「THE SOUND OF SILENCE」サイモン&ガーファンクル

駄弁者:
 ウェン・スペンサー、日本のアニメやマンガのファンだというだけあって、よく見てらっしゃる。言われてみれば、翻訳もので「……」という表現は見たことがありませんね。



どんな つらい事が起きても……
それを すなおに受け入れなさい
だれかのせいにしたりせず……
自分自身を良しと受け入れなさい
あなたが失敗したり負けたと感じた時も…
意地をはったりせず すなおにそれを認めてあげなさい
あなたの価値は勝ち負けとは別にあるという事を
私が一番よく知っているわ…

 出典: 木城ゆきと「銃夢 5巻 復讐の季節」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と。」
 タモリ氏の、赤塚不二夫氏への弔辞の一部です。バカボンのパパの決めセリフにはこんなに深い意味があったのですね。
 「すべてを受け入れろ」。なかなか言えません。
しかし。
 「癒し」のセリフにも見えますが、全然癒されません。「あなたの価値は勝ち負けとは別にある」。カミさんあたりに言われた日にゃ心が折れます!挫滅骨折します!
 大体これが出来たら頭丸めて坊さんになってますよ。ていうか自分の存在理由がエゴ以外にある人っているんでしょうか? そんな事はさておき。
タモリ氏の弔辞に、思わず震えた名文句があります。
「私もあなたの数多くの作品の一つです。」

駄弁者:
 自分がやったことについて「これでいいのだ」は至極言いやすいのですが、ご投稿の文句は人が自分に対してやったことについても「これでいいのだ」と受け入れなさいということなので、悟りでも開いていない限り難しい。



『爆乳RZ』

 出典: 古橋秀之「ソリッドファイター(完全版)」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ほんのっちょっとだけ未来の日本では、アルティメット・ソリッドという格闘ゲームが流行していた。このゲームは、メモリーカードに自分のキャラクターの学習させた技や、外見を記録することができた。アルティメット・ソリッドのプレイヤーである主人公が自キャラ(女性格闘家)の外見を変更するために買ってきたアドオンソフトがその名も「爆乳RZ」。
 売る方も売る方ですが買う方も買う方なリビドー全開な名前はどうしたものやら(現実にもトゥームレイダースのアドオンにヌードレイダースという頭の痛いものがありました。)こんなことやってるから「この人もうちょっと売れるといいのにね」という言葉を欲しいままにしてしまうんじゃないかと思いますよ、古橋先生。

駄弁者:
 電撃文庫で出ていたものが、「完全版」となって去年復刊されたそうです。けど書籍扱いになっていないので一般書店では入手難。
>売る方も売る方ですが買う方も買う方
 AVや18禁ゲームをレジに持っていくことに比べたら、ずいぶん抵抗感は少ない…?



ここから神がみの領域が始まる。
…(中略)…
十年なんて待てない。

 出典: 野尻抱介「ベクフットの虜 (クレギオン 7)」

紹介 :power_of_math 様
HP :
http://plaza.rakuten.co.jp/PowerOfMath/

コメント:
 家出娘のメイは乗組員3人宇宙船1隻の小さな運送会社で働いています。故郷の両親が自分のことを心配していることもわかっているし、学校に行っている友達はにくらべ、自分の現状が、非常に過酷なものだということも知っています。でも未知へのあこがれはそれより強いのです。
 十年待てば両親も納得してくれる、でも今旅立ちたいのです…
 細かな所まで計算されているという意味ではハードSFですが、内容は真っ向勝負のジュブナイルのクレギオンシリーズ、そのトリを飾るにふさわい名台詞だと思いますし、未知のものにあこがれそれを見ようと突き進む若さを時に忘れる自分を奮い起こしてくれるセリフです。

駄弁者:
 十年も待ってしまったら、両親が納得するより先に自分の心が萎えてしまう…とは、本当に若い人は考えないんでしょうね。



でしたらお客様、フロアを間違えておられます
…(中略)…
ちょお、みんな!おもろいお客さん来はったで!

 出典: 有川浩「図書館革命」

紹介 :power_of_math 様
HP :
http://plaza.rakuten.co.jp/PowerOfMath/

コメント:
 シリーズ累計で125万部を超える、図書館をテーマにした作品としては空前のヒットとなった『図書館戦争』シリーズの最終巻のクライマックスです。
 諸事情あって郁は大阪に来ました。
 そして、物資の調達のためにデパートを訪れ店員に相談します。
 事情を見抜いたおばさん店員は、デパートの店員にふさわしい接客態度で別の階に誘導し…仲間と共に大阪のノリ丸出しのトンでもない形で郁の希望をかなえてくれます。
 ネタばれしたくないので、詳細は書きませんが、一般の人々が図書隊を陰日なたに応援するという意味での名場面であるはずなのに、爆笑必死という意味での名場面へと続きます。
 その、気取りからノリへの場面転換を表しているという意味でも、シリーズ屈指の名文句だと思います。
 第四巻まではアニメ化されませんでしたし、コミックはまだまだ先ですから、映像化されるのはまだまだ先でしょうけど…。

駄弁者:
 デパートの店員が、スーパーのおばちゃんにクラスチェンジしたのかと。
>一般の人々が図書隊を陰日なたに応援…
 一般の人々の応援って、図書隊に限らず今現在の図書館が一番必要としているものじゃないかと思います。



41歳の瑞々しい感性

 出典: 田中啓文「蹴りたい田中」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 この作品が発売されたときの帯に付いていた宣伝文句。
 40過ぎのオッサンの感性が瑞々しいなんて、この作者らしい迷文句。
 だがしかし、青春とは心の若さである、という言葉に従えば感性の瑞々しさは、何も実年齢の若さにとらわれることもない。頭を揺すぶってくれました。一筋縄ではいかない名文句です。

駄弁者:
 なんといっても第130回茶川賞受賞作ですから、実年齢関係なしのみずみずしさに溢れているに違いありません(笑)。
「心はいつも15歳」…は、別の先生でしたね。



お尋ねいただき有り難う御座います。―私、生まれも育ちも3rd由来、侍女式自動人形の能を頂いたこの識別名は13th、名はヴァイオレットと申します。渡る渡世に渡るG、流れ着いたは概念の果てこのLOW−G日本、至る場所は日本UCAT神田研究所。我従うは3rd―G継承者京様なれど、一宿一飯更には王の保護を得た恩義がここに御座います
 我は名有りの自動人形。名を得て一人前として頂きましたのは正に斯様なときのため。死して咲く花は持たず、ただ控えめに咲き飾り、されど恩義を返すが自動人形。与名一代、たとえ枯れたとしても、されど仕事を果たすが自動人形。―――ならば  ―――花名一機ヴァイオレット。その意気を、単なる人形で潰せるなら受けましょう!

 出典: 川上稔「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 4下」

紹介 :検索の渡り鳥 様
HP :

コメント:
 機竜の襲来によって立て込んでる神田UCAT研究所に、敵対組織“軍”の長田 竜美が詩乃と自動人形3体を率いて襲撃してきた。迎撃に出たUCAT自動人形ヴァイオレットは、3rd―G出身の高性能自動人形であるがゆえに、序盤の戦闘にて既にオーバーヒート状態に。一方の長田竜美側も情報の吸出しのために今しばらくの時間が必要になった。双方共に時間稼ぎが必要な状況で、ヴァイオレットが見事に見得を切った口上がコレ。3rd―G継承者 月読 京の影響もあるとは思いますが、終わりのクロニクルシリーズの自動人形は硬派なキャラが多いです。ちなみに彼女はこの後、薬莢を踏んづけて豪快に転んだフリをして、更に時間を稼ぐ挙に出ます。さすがプロフェッショナル! 正に硬派!! そんな彼女が大好きです。

駄弁者:
 途中で掛け声かおひねりでも飛びそうな口上。これも時間稼ぎの一端?



「わけがわからん。なんで、あんなことをやっているのだろう」
…(中略)…
「わけがわからん。なんで、こんなことをやらねばならぬのか」

 出典: 星新一「儀式」  『マイ国家』に収録

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 宇宙人の儀式について、それを見ている方も、やってる方も、考えてる事は同じだったと言う台詞です。
 いや、案外儀式の効果がありそうなのがなんとも。

駄弁者:
 二人の男が、UFOから降りてきた宇宙人が建造物らしきものをつくっているのを発見。すわ侵略かと思って大騒ぎしたが、建造物があるはずの場所には何もない。二人はすっかり周囲の信頼をすっかり失うのだが、もう一度その場所を訪れると、また宇宙人が建造物を建てている。宇宙人同士の会話では、最初の建造物は儀式だとのことだが、その真意は…。
 考えていることは見ている方もやってる方も同じかも知れませんが、その「儀式」の結果起こることは、さにあらず。



学者たちは生きていたうちに学んだことを全部天国に運んでくれる。
地上では残った弟子たちがその何分の一かをうけつぎ、研究をつづける、といった非能率な状態にあった。
だから天国のほうで先にロボットができたとしても不思議はなかった。

 出典: 星新一「天国からの道」  同名短編集に収録

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 あの世ではもうドラえもんが実用化されているのかもしれませんね。

駄弁者:
 天国の学界は、大先生が死なずに君臨し続けるから、発想の転換とかがやりにくくなったりしないかなあ…。



大人が笑うのはな 大人は楽しいぜって 子供に羨ましがられるため
人生は希望に満ちているって教えるためさ…おれの大人論 ひひひ

 出典: 水上悟志「惑星のさみだれ」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 犬の騎士・東雲半月が主人公と酒を飲んだ帰りに語ったこと。
 彼は主人公と姫の前に大人の見本として現れ、この闘いの先にあるものを指し示し、主人公を庇って死にます。
 第二巻「犬の騎士」を丸ごと彼の物語とした作者は、コミックスの最後に彼の読者への別れの言葉を乗せました。
「…お先 諸君らは後でゆっくり来るがいい 目上より遅く 子供より早くな」
 おそらくこの物語は彼の示した先へ、主人公が、姫が、ハナコが、中学生二人組が、そして茜太陽が進んで往く。そう云う物語になるはずです。主人公が同志を皆殺しにし、姫が地球を砕かぬ限りは。

駄弁者:
 だめだ〜。ここしばらく子供が羨ましがりそうな笑い方をしてません。顔の片側だけひんまげるような笑いばかりで…。
 ところで、今頃やっと「惑星のさみだれ」6巻までまとめ読みしました。シリアスな設定・展開と、それにも関わらずなんとなく暢気なキャラのギャップが面白かったです(正直SFという感じはしませんが…)。



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