SF名文句・迷文句第203集

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ほどを知るのが成熟

 出典: シオドア・スタージョン「成熟」(霜島義明訳)  『海を失った男』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 多才を誇る青年ロビン・イングリッシュ。多くの特許や著作権を持つ彼は、後先考えずに知り合いや困窮した人に、権利を簡単に譲ってしまいタクシー代にも事欠く生活を送っていた。30にもなろうというのにティーンエイジャーなみの未熟な行動をとる彼は、成熟のなんたるかを追求する。
 いわゆる程度問題というものが判るようになるには、ある程度年を取らなければ判らないということかも知れません。二日酔いをしなくなったのも、酒量が判るようになったと言うことですから(それほど飲めなくなったという衰えではないと思いたいです)。

駄弁者:
 この物語を読んでいると、「成熟」しすぎるのも始末が悪いよなあ…と思えてきます(ラストのロビンの行動も、それを悟ったがため?)。
 話の終盤近くに出てくる成熟についての議論が面白かったです。ロビンの「三十代後半で<成熟>と<中年>を勘違いしているために、考えられなくなっている人もいる」という言葉は、なかなか痛烈に響きます。長生きしても成熟しない人はいるけど、死なない限り中年にならない人はいないし。
 収録の短編集『海を失った男』は、スタージョン復刊ラッシュの火付け役になった一冊。晶文社のハードカバーが初出ですが、現在は河出から文庫も出ているので未読の方はそちらでも。



私はけっこう飽きっぽい性格だけど、愚痴だけは飽きた事が無いから。継続は力よ。

 出典: 林譲治「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 近くにいたからという理由で面倒な仕事を押し付けられたコイズミ大尉。
 一昨日から愚痴りっぱなしで副官もいい加減うんざり。いい加減飽きないのと言われてこの台詞。
 まぁそうだろうけど、継続は力って愚痴が何の力になるんだろう?

駄弁者:
>愚痴が何の力になるんだろう?
 副官の忍耐力が培われるとか…。
 私の場合、一言愚痴ってから仕事にかかった方が、忍耐力が長保ちするようです(どっちにしろ、そう長時間ではないけど)。



技術的問題は、技術によって解決できる

 出典: 林譲治「進化の設計者」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ここで紹介されていたので読んでみました。
 この人の本は今までガンダムの小説しか読んでなかったけど、やっぱり読みやすいですね。スラスラ入ってきます。

駄弁者:
 Jコレクションには「進化の設計者」とは別に2冊の「AADDシリーズ」がありますが、多分とっつき易さではこの作品が一番だと思います。
 私はJコレで出た作品しか読んでませんが、ガンダムや作数では最も多い架空戦記ものも面白そうですね。



「電気を使えばいいってもんじゃないだろ」
「それにコレどーゆーけんび鏡なわけ?」
「謎」

 出典: あさりよしとお「まんがサイエンス」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 冒頭、顕微鏡でテントウムシを見ているレギュラー陣。
 あさりちゃんが10倍の顕微鏡(と言っても「科学」の付録で付いてたりする1ランク上の虫眼鏡っぽい物)で「カブトムシ」、まなぶ君が50倍の双眼顕微鏡で「怪獣」と評したのに対抗して、あやめちゃんが1000倍で見て……「……何だかわからない」。
 懲りずに今度は1万倍で見ようとするあやめちゃんですが、カタログに掲載されている顕微鏡は1500倍まで。
「電子顕微鏡じゃないと」というまなぶ君に普通の顕微鏡と電子顕微鏡の違いを尋ねて返ってきた、「電子顕微鏡ってくらいだから電気を使う」という答えに、なぜか顕微鏡に付いていたプラグ(下から照明を当てるのではなく、反射鏡の光を利用するタイプの顕微鏡なのに)をコンセントに差し込み……お約束のように感電。
 駄文はそれに対するツッコミです。
 ちなみに感電しているコマには「ぜったいにマネをしてはいけません」と注意書きがありますが、プラグの付いた顕微鏡なんて物が無い限り絶対にまねはできませんよ……。

駄弁者:
 いや、意味もなくプラグをつけた顕微鏡を作るというマネをするやつがいないとも限らないし。
 そういえば、電子顕微鏡って生でお目にかかったことがないなー。



航行中は照明を消したうえ、乗員はこの目隠しを着用しなくてはならんのだ

 出典: 山本弘「ギャラクシー・トリッパー美葉」

紹介 :二文字祭 様
HP :

コメント:
 一見理論的なものから明らかなギャグまで様々な超光速航法が登場する本作ですが、私が一番気に入っているのがドルベルナ人のステルス航法です。
 これは人間原理に基づき光速を越えた(相対性理論に反した)ことを知的存在に観測されないように、宇宙船を完全にステルス化させる方式です。ただし宇宙船の乗員も光速を越えたことを観測しないように、目隠しをしなければならないのです。
 ちなみに作中では光速以上に加速する具体的な原理は説明されていないので、光速突破というのは頑張ればできるものなのかもしれません。

駄弁者:
 乗員の「観測」を防ぐ方法が目隠しで済んでしまうあたりがなんとも愉快ですが。
 …しかし誰も観測しない状態で光速を越えてしまったとして、減速はどうするんでしょう。全部事前に計算して自動でタイミングをはかればOK?



「これはすごい。オムレツをつくれば一体何百人分のジャンボオムレツになるだろう」
「たいしてうまかないですよ」
「きみは、さては、くったことがあるな」
「まあときたまね。これだけありゃ、ひとつふたつ減ったところでわかりゃしません。それにどうせ毎日増えてるんだし」

 出典: 栗本薫「火星の大統領カーター」  同名短編集に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 大統領再選に敗れ、失意の日々を送るジミー・カーターの元に現れた関西弁を喋る怪しげな存在。それは自分をサイコ・トラベル・サイトシーイングK.Kのツアーコンダクターで、カーターの望みに応じて火星に連れてきたというのだが──。
 投稿した台詞は、火星の大元帥カーターの知己を得た元大統領のカーターが(ああ、ややこしい)タルス・タルカスの息子 マメカスに案内された孵化器にあった膨大な数の卵を見たときのセリフから。それにしても、同じ南部出身で同姓だからって、大統領のことをちょいとばかし優遇しすぎじゃないか?ジョン・カーター。

駄弁者:
 下の「赤嘴党」でも鳥類女性が卵を食料に捧げていましたが(そのまま食べるのではなく孵したヒナを生贄にするのですが)、そのつながりで?
 武部本一郎の絵で火星シリーズになじんだファンには、このパロディのデジャー・ソリスは見たくないだろうなあ…。
 私は火星シリーズに愛着がないので(というか、ちゃんと読んだことがないです)、この作品は未読ですが、栗本薫のパロディ作品と言えば、「エーリアン殺人事件」を読んだことがあります。主人公、アル中のルーク・ジョニーウォーカーって。



う……うまい!!

 出典: 手塚治虫「赤嘴党」  『鳥人大系』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 手塚治虫の連作短編集から投稿します。惑星評議会によって進化させられた人類は、その進化を「歪んだもの」とされ、鳥類にその地位を奪われた。進化した鳥類−−鳥人たちは人類を駆逐しながら独自の社会を築き、発展していった。しかし彼らもまた新たなる存在によって駆逐されていく運命にあったのだった。
 投稿した作品はその中の一つで、鳥人たちが社会を築いたのち、猛禽類たちが自分たちの本能を抑えきれず、同族を襲う秘密結社「赤嘴党」を追う刑事が禁忌を犯したときのセリフで、彼はその後、悲惨な最期を迎えることになります。
 そういえばアニメの「ジャングル大帝」でもジャングルにすむ同族を襲う衝動に悩む姿が描かれていて、かなり昔から考えていたのだと思います。

駄弁者:
 初出はSFマガジンの連載で、「赤嘴党」は1974年6〜10月にかけて掲載されていました。
 話の結末、同胞を喰う欲望を抑えきれない本能以上に、それを糊塗する偽善の方が忌まわしいものに感じられます。
 人類の進化が歪んだものだったのではなく、進化して文明を持ってしまえば、人類だろうと鳥類だろうと生物としては歪まざるを得ないということなんでしょうね。



万国の労働者よ、決起せよ。きみたちには、その足枷以外、失うものはなにもないのだから…

 出典: バリントン・J・ベイリー「時間衝突」(大森望訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 白人の軍事政権タイタンが支配する遠未来の地球。そこからかろうじて脱出した中国系の人々が作り上げたスペースコロニーは、知的階級と労働階級の間に高い壁が存在していた。タイタンからの襲撃をコロニー一体になって撃退したにもかかわらず、労働階級にはあてがい扶持しか与えられない。そのことを階級を問わず当然と考える中国系コロニーの人々に対し、タイタンからの逃亡者ソブリーは拳を振り上げる。
 こんな所で共産党宣言かい、さすがベイリー先生は無茶をするぜ、と思ったのですが、マルクスが共産党宣言をものにしたのは大英博物館付属図書館。これはこれで不自然なものでもないですね。(この投稿は昨今の日本の情勢を考えたものではありません。)

駄弁者:
>こんな所で共産党宣言かい
 SFで「一つの妖怪がヨーロッパにあらわれている…」なんて言ったら、それは共産主義じゃなくてベムの侵略です(笑)。



たとえお前たちが22%アップしていようとも
紹介 :s 様 → 第159集


私は生き残りたいんじゃない!生きたいんだ!!
紹介 :syobonolw2 様 → 第202集


「……五月四日に来ます?(メイ・フォース・ウィズ・ユー)」
英語に不慣れな冬真は、咄嗟に間違えました。
「古典的な誤訳をご存知とは」
リヒャルトおじいさんがバーナーの火を噴かせつつ感心しました。
「各地で五月四日云々と誤って報道され、多数のファンが混乱したのさ」
「異なる意味に取れる情報こそ人心操作の基本だよ」

 出典: 冲方丁「スプライトシュピーゲル4 テンペスト」

紹介 :一志 様
HP :

コメント:
 明けましておめでとうございます(これが載る頃には絶対年が明けていると思うので(^^ゞ)
 190集に投稿されていたスプライトシュピーゲルWのおまけの話より(登場キャラの冬真少年の見ている夢(スターウォーズ+桃太郎)
 ここ最近、失言が多いエライ人に聞かせてやりたいなぁ。と思った次第です
 それよりも僕はこの話に出てきた”世界統一ゲーム”が物凄くやってみたいです(笑)
(TTRPGなんですが、社会の授業なんかにやれば絶対受けると思うんだけどなぁ)
それでは今年もフォースと共にあらんことを……笑

駄弁者:
 …すみません。年明けどころか、ほとんど旧正月に近いぐらい遅れてしまいました。
 スター・ウォーズが初公開されたのは1977年の5月(ただし25日)だったそうで、偶然とはいえまぎらわしい(笑)。
>「異なる意味に取れる情報こそ人心操作の基本だよ」
 単なる間違いでも何が意味があるんじゃないかと思わせるぐらいの深みと信頼度を、エラい人たちには期待したいものです。



人間は肉体に対して罪を犯した−彼女と涙とが泣いたのは主としてこの罪についてだった。幾世紀にもわたって筋肉と神経に対して、人間が知覚できる道具である五つの門戸に対して罪を犯してきた−進化とか何とか屁理屈を言ったあげくの果て、肉体は白いパンがゆ、無色透明な思索の宿る場所、かつては星をも掴んだ精神の最後の水っぽいさざ波になってしまった。

 出典: E・M・フォースター「機械が止まる」(小池滋訳)  『E・M・フォースター著作集5』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 荒廃した地上を捨てて地下に潜った人類は、すべての労働を機械に任せて、思索に耽る生活を送っていた。ある日、機械が不調を来たし、文明は崩壊し始める。
 英国文学を代表する文豪フォースターの先駆的SF短編。はっきり言っておもしろくないです。よくあるフランケンシュタイン・コンプレックスもの。同時代のH・G・ウェルズの小説は未だに読めるんですが、なんでだか(ファンタジーや普通小説はおもしろいですし、この作品も言葉の使い方はうまいと思うんですけど)。
 先駆的な価値以上のものはないんですが、せっかく閉架から引っ張り出してもらったのをうっちゃっておくのも癪に障るので、投稿いたします。八つ当たり失礼しました。

駄弁者:
 読んでみました(私は自分で閉架から引っぱ出せますし…)。あらすじにある通りの話ですね。ご投稿の文句など、確かに表現は面白いと思います。
 あと話の序盤のほうで、文明が発展した結果地球上どこでも同じような場所になってしまって、旅行する人間がいなくなったというのは、ちょうど100年も前に書かれた作品としては卓見なんじゃないでしょうか。「シュルーズベリーとまったく同じペキンに行って何になる?ペキンとまったく同じシュルーズベリーに戻って来て何になる?」



「だからまた、私の責任を果たさなくては」

 出典: ロバート・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」(森下弓子訳)

紹介 :ひらがな 様
HP :

コメント:
 何この脱力感……。
 高校生のロデリック・L・ウォーカーは外宇宙資格のため、志願した同級生と「上級サバイバル試験」に挑戦する。
それは、恒星間ゲートで未知の惑星に送り込まれ、1週間ばかり生き延びること
……の、はずだった。
 いかなる事情か回収ゲートは開かず、ロッドは仲間たちと先の見えないサバイバルに突入。次々に持ち上がる問題に、時に愚かな固執を見せつつも、必死で采配をふるい共同体を指揮する。
その先に彼が得たものは――。
 宇宙版15少年漂流記、と言えば確かにそうなんですが。
 でも、彼の努力がなければこの話は『二年間の休暇』ではなく『蝿の王』になっていたでしょう。頑張ったんです、力の限り。
で?ヘイ、ロバート、その果てに用意したオチがコレかよ。
 ロッドの両親は難病治療のため、彼の親権を成人している彼の姉に預けていました。
 そして、ロッドがようやく家に帰ってきた時、夕餉の食卓で彼の父は厳かにこの文句を口にするのです。再びロッドの保護者になる、と。
 どんな思いでロッドが生き抜いてきたか、どう成長したか聞きもせずに、これで全てが元通りと言わんばかりに。
そもそも親権を手放した瞬間に、修復しがたいほど親子は断絶していたというのに。
見るべきものから目を反らした『瞑』文句と言えるでしょう。
 もっとも、独善的でエゴイスティックなディスコミュニケーションはロッド自身にも当てはまることで、物語全編を貫くテーマなのかも知れません。
 かくして少年は大人になる。
 一流のエンターテイメントにもれなく悪意ある虚脱感がついてくる、一粒で二度おいしい(?)お得な作品ですのでどうか皆様お誘い合わせの上、一読して失意体前屈をお楽しみください。
 けどさあ、もう少し穏健な親離れはできなかったんですかい(笑)

駄弁者:
 ラストの展開には賛否両論あるんでしょうが、このお父上の独善には否しかないんじゃないかと…。
 私はハインラインを読み出したのが遅くて、ジュヴナイルを読む年頃で読んだのは「宇宙に旅立つ時」ぐらいなのですが…この「ルナ・ゲートの彼方」を読まなかったのは幸なのか不幸なのか。



だってこのネコほっといてもどうせ死んだよ
親もいないし食べ物もない
こんなトコ君と僕以外に誰も来るはずもないし
飢えて苦しんで徐々に死ぬんだよ
だから今殺してやった方が良いんだよ

 出典: 貞本義行漫画・GAINAXカラー原作「新世紀エヴァンゲリオン STAGE.57『フィフスチルドレン』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 漫画版を見ていてとても印象深いシーンだったので思わず投稿しました。
 使徒バルディエルとの戦いで戦闘を拒否したために結果的に親友のトウジを死なせてしまったシンジはどんな顔をして学校に顔を出せばいいのか分からず、何ヶ月も引きこもっていました。ミサトさんに説得され渋々家を出た彼ですが学校に行くことも出来ずに戦闘で廃墟となった町を彷徨います。
 そこで彼は瓦礫の中で第九をピアノで演奏するアルビノの少年、渚カヲルと出会うのですが彼は小さなネコが親とはぐれてシンジにすり寄ってくるのを見てこのネコを絞め殺すのでした。
 新劇場版ではさらに初登場が早くなった彼ですがこれからどんな活躍をすることになるのか非常に気になります。

駄弁者:
 漫画版、よく続いてますね…。
>だってこのネコほっといてもどうせ死んだよ
 このセリフを敷衍したら、人間を絶滅させるのもむしろ慈悲だってことになります。



「要するに敵陣地は跡形もなく吹き飛ばしても構わないが、民間施設は窓ガラス一枚割ってはいかんということですか」
「そうだ、できたら庭の芝生を踏むのも遠慮してくれ」

 出典: 林譲治「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 連邦軍の遊撃部隊ホワイトディンゴの隊長とオーストラリア方面軍司令官との会話です。
 ジオンが占領している町を取り返すための作戦だが、市民の協力が得られなくなると困るので注意しろということなのですが、MSが街中を歩いただけで窓ガラスくらい割れそうな気がしますけどね

駄弁者:
 モビルスーツなんかが歩いたら、芝生どころかアスファルトの道路でさえガタガタでしょうね。戦車でさえ、一般道を通ったら道路がひどく傷むといいますし。



このオーバーマンのパイロット!
こうやってわたくしを捕らえることが、貴方の目的なのでありましょうか?
いいえ、そんなことでわざわざオーバーマンをここに寄越しはしないはずです。
キングゲイナーを倒し、ヤーパンの民のエクソダスを止めるつもりでここに来ているのでしょう?
それが卑怯にも、女二人を盗み取り、その身を盾にすることで、何が叶うとお思いですか! 
あなたもオーバーマンに乗るほどの「もののふ」なら、恥を知りなさい!!
こんな卑屈な行為で、ピープルの心が変えられるものではありません!!

 出典: 富野由悠季総監督「OVERMANキングゲイナー」

紹介 :御宗銀砂 様
HP :

コメント:
 オーバーパワー「窃盗」を持った敵ロボット(オーバーマン)に盗み取られたアナ姫(8歳)。
 文字通り「相手の手中」にありながら臆することも激昂することもなく、正論で真正面から相手を叱りつけます。
 こんな王女さまのいる国に住みたいです。

駄弁者:
 ガンダム以外の富野作品からのご投稿、久しぶりな気がします。
>こんな王女さまのいる国に住みたいです。
 8歳の王女がこんなセリフをいう国には住んでみたいけど、この子が成長しても同じようなセリフを言っていたら、けっこう肩の凝る国になりそう。



「任せて、私はこれでも博打には強いんだから」
「大尉が賭け事に強いとは知りませんでした。任せろとは勝負師の勘にですか?」
「勝負師?私は賭け事なんかやったことはないわよ」
「だったら博打に強いってのは?」
「ビギナーズ・ラックに決まってるじゃないの」

 出典: 林譲治「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ジオン軍の鉄道輸送部隊の指揮官コイズミ大尉と副官との会話です。
 連邦軍が動き出し、通過予定の拠点が陥落する前に輸送しなければならない緊迫した場面での台詞。
 頼もしいやら恐ろしいやら・・・

駄弁者:
 ビギナーズ・ラックというのは、ビギナー相手に不覚をとったベテランが言い訳に使う言葉だと思うんですけどね…。
 あてにしてるビギナーに、ラックが訪れるもんなんでしょうか。



彼は窓辺に歩みよった──そして、生まれてはじめて、絶望の苦さを知ったのである。

 出典: アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」(福島正実訳)  『世界SF全集15』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 クラークの代表作から投稿します。世界戦争が終了して30年、ようやく宇宙開発が行われようとしている時代、「彼ら」は突然やってきた。彼ら──オーバーロードは地球に対しさまざまな施策を施しながら、その姿を決して現そうとはしなかった。彼らと接触できる唯一の人間ストルムグレンにすら曇りガラス越しにしか会わないオーバーロードの目的とは?
 投稿したセリフは、オーバーロードがやってきた直前までソ連で宇宙船の開発を行っていた元ドイツの研究者コンラッド・シュナイダーのセリフから。
 確かに自分が生涯をかけて取り組んだ研究がある日突然無意味になってしまったらどれほどのショックが襲うかと考えると、足もとが崩れ落ちるような、というのはこんな時にいうのでしょうね。

駄弁者:
 一方では、前にご投稿のあったセリフのように絶望ではなく感動を覚える人もいたようですが、やっぱり普通はマイナスにとらえますよね。
 ところで米ソの宇宙開発競争をを背景にしていたこのシーン、1989年の改訂版に依拠する光文社文庫版では、冷戦後の状況に対応して変わっています。あれ、シュナイダー先生、登場していない…。



「第一発見者が名前付けていいんだろう?」
「ああ、そうだ。それで?」
「女房と同じ”ドティ”って名前にしてくれ。性悪で執念深い女だ。誰も逃げられない。」
「そうか。分かった。」

 出典: マイケル・ベイ監督「アルマゲドン」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 なにか私生活で思い当たるフシがあったんでしょうかNASAの人。
そんな事はさておき。
 一握りのプロと無数のアマチュア、というのが天文学だそうです。「プロ」は既に望遠鏡など覗かずにデータ処理に忙殺されているそうです(未確認)。一方「アマチュア」は個人で天文台(パロマ天文台みたいな半球形の可動屋根)を建造し、ガンガンに冷やしたCCDカメラで新星発見に血道を上げているそうです。
 当然星の名前は発見者の権利です(彗星であれば発見者の「名前」だそうです)が、この発見者、このチャンスを待ってたんでしょうか。

駄弁者:
 天文学的災厄でなく私生活の場合、ドティがまっすぐぶつかってきてそこでオシマイになるのと、衛星になって以後延々と添い遂げなければならないのと、どっちが悲劇でしょう?(笑)



人体が高速道路だとします
ウイルスは猛スピードで走る犯人の乗った車
とても危険ですよね?
でも”犯人”を”警官”に置き換えてしまえば──
安全になります

 出典: フランシス・ローレンス監督「アイ・アム・レジェンド」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 その警官たぶん前科持ちだったんですよ。
そんな事はさておき。
 世界で最後の一人、という予告があったので、サバイバル物かと思いましたが、まさかゾンビ物だとは思いませんでした。これじゃバイオハザー…いえなんでもありません。
 しかもオチが「世界が燃えつきる日」。いいのかこれで。

駄弁者:
>サバイバル物かと思いましたが…
 私も最初、そう思ったのですが。けど原作がリチャード・マシスンで、その最初の邦題は『吸血鬼』だったとなると…。
 原作は、その「吸血鬼」から見たら「最後の人間」の主人公がどう見えるのかという視点の転換がウリなのですが、その点、この映画は?



今の俺の魂は、1ワットの輝きもねえんだ。
爺さんと別れた俺は、小さなサラ金会社に就職した。
どうやら俺には商才があったみてぇで瞬く間に出世した。独立して今はサラ金会社の社長よ。
不動産や株にも手ぇ出してな、毎日とんでもねえ額の金が入ってきやがる。
だがよ、何だかむなしいのよ。金があって生活は満たされてるはずなのに、心にポッカリ穴が空いちまってる。
ついよ、つい、思い出しちまうのよ。爺さんと一緒に走ってたあの頃のことを。
金もねえし何も無かった。でも何だか生活にハリってもんがあったんだ。
全てが輝いてた。子供達のプレゼントをもらった時のあの笑顔を考えてただけで、何だか力がわいてきたんだ。
もう一度走れねえもんかな、爺さん?

 出典: 空知英秋原作・サンライズ製作「銀魂(アニメ)・第137話『サンタはいないって奴こそ 本当は信じたいのね この天邪鬼さん』」

紹介 :イブのトナカイ 様
HP :

コメント:
 一昨年、銀さんのせいで泥棒と間違われたサンタとベン(トナカイ)はあの後、別れて別の道を歩むことになりました。借金を重ねて衣装はボロボロになりキャバクラで客引きをしているサンタに比べてベンは羽振りが良くなっていました。久しぶりに再会した二人はおでんの屋台で酒を飲みながら(銀さんも加わって)、別れたその後を語りました。サンタのその後を語った後にベンが言った台詞です。
 金があって何でも手に入れることができる生活は本当の幸せなんだろうか? 神崎すみれ(サクラ大戦)のように心が満たされていなければ毎日がつらいだけの日々を過ごすことになるだけだということを実感しました。つい最近逮捕された小室哲哉も羽振りが良かった頃はそうだったかもしれません。

駄弁者:
>金があって何でも手に入れることができる生活は本当の幸せなんだろうか?
 お金持ちがこう言うのを聞くと贅沢ものめと思ってしまい、貧乏人が言うのを聞くと負け惜しみと思ってしまいます。このように心が貧しいと、金のあるなしに関わらず本当の幸せは得られないんですけどね…。



Because he’s the hero Gotham deserves, but not the one it needs right now.
So we’ll hunt him.
Because he can take it.
Because he’s not a hero.
He’s a silent guardian.
A watchful protector.
A DARK KNIGHT.

 出典: クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」

紹介 :神凪御子 様
HP :

コメント:
 2008年度希に見る高評価を得たバットマンシリーズ最新作より。
 バットマンの設定を下地にした暗く重厚な物語が展開され、“正義を行うということは一体何なのか?”と言う命題を叩きつけてきます。
 ネタバレは避けますがラスト、バットマンはゴッサムに灯った希望の灯を消さないため、理解者であるゴードン警部と共に“ある決断”をします。
警察に追われ一人闇に消えていくバットマンに向かい、
警部の息子が「悪くないのになぜ追われるの?」と問い、それに対する警部の答えが投稿の台詞。字幕ではこうでした。
彼はゴッサムにとって必要な人だ しかし今は時が違う
だから追う
だが彼は強い
彼はヒーローではない
沈黙の守護者
我々を見守る監視者
闇の騎士(ダークナイト)だ
 闇の中を歩みながらも高潔な心を持とうとするバットマンはヒーローにふさわしいと思います。

駄弁者:
 これまでのバットマンの映画化で、一番評価が高いものだったのではないでしょうか。
 ジョーカーの怪演が話題に上ることが多かったように記憶していますが、それも含めて重厚なテーマとストーリーが魅力ですね。



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