SF名文句・迷文句第211集

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「喧嘩のときには頭を使うのよ」

 出典: アン・マキャフリイ「竜と竪琴師」(小尾芙佐訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 常連脇役の竪琴師ノ長ロビントンが遂に主役になりました。
 それも文庫700ページの大長編。
 セリフは幼きロビントンが母親に頭突きを教えてもらっている図

駄弁者:
 「パーンの竜騎士」シリーズのレギュラーキャラ・竪琴師ノ長ロビントン。他の巻では渋いバイプレーヤーとしての印象が強いですが、出典作品は若きロビントンの成長物語。
>頭突きを教えてもらっている図
 中身じゃなくて頭蓋骨の使い方でしたか。



4・18事件でたくさんの人が家族をなくしたわ。その人たちがみんな復讐を誓ったらどうなるの?私達かあなた達、どちらかが全滅するまで殺し合うことになるのよ

 出典: 夏海公司「葉桜が来た夏」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 200X年4月18日、アポストリという異星人の移民船と日本政府は、不幸なファーストコンタクトの結果、戦争に突入、お互いに膨大な死者(日本側の死者、200万人、アポストリは移民10万人の内3万人が死亡)を出した末、休戦条約を締結した。アポストリには日本の領土の一部(具体的には彦根市周辺)が居留区として住むことが認められ、その見返りとして、アポストリからの技術提供を独占した日本は、エネルギー輸出大国になり、未曽有の発展を遂げた20年後が舞台の小説です。
 休戦条約後も、お互いの憎悪は消えておらず、お互いのテロが発生しており、その結果、主人公は母と妹をアポストリに殺されています。そうした中、自らも両親をテロにより日本人に惨殺されたアポストリのヒロインと主人公は、「共棲」することになるのですが、なぜ、主人公がアポストリを嫌うのか、その理由が主人公が肉親を殺されたためであることを知ったヒロインのセリフです。ちなみにこのとき、主人公はヒロインも両親を日本人に殺されたことを知らず、反発するのですが。
 人類同士で戦争による憎しみの連鎖が絶えないことを考えれば、ヒロインのセリフは綺麗ごとと言えば綺麗ごとですが(ネタバレにつき反転:アポストリは女吸血鬼といえる異星人で、異種族の血を吸うことにより繁殖します。つまり、ヒロインの父は日本人なのですが、アポストリに憎しみを持つ日本人にとって、アポストリとの関係をもっただけで、テロの立派な対象になるのです。なお、それによって生れてくるのは、アポストリだけです。)、平和を追い求める私としては、綺麗ごとすぎるといわれても、ヒロインに味方したいです。

駄弁者:
 憎悪が極限まで達していたら、相手の全滅こそ望むところ、自分たちが全滅することなど考えもしない…ということになるでしょう。全滅を恐れて殺し合いを止められるのは冷静さが残っている証拠ということだと思います。
 出典作品は第14回電撃小説大賞の選考委員奨励賞受賞作品で、現在既刊4冊。主人公たちのボーイ・ミーツ・ガールもさることながら、政治的な駆け引きが読みどころとのことで、ちょっと興味をひかれます。



し しまった
こ 浩二くんのための…医者をひとりさらってくるのをわすれた?!

 出典: 石ノ森章太郎「仮面ライダー」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 石ノ森章太郎は数々の特撮作品の原作者です。子供の頃によく読みましたが、「テレビと雰囲気が全然違う」と当時思ったものです。「変身忍者嵐」の漫画作品など、とても陰鬱な話だったように記憶しています。原作漫画の仮面ライダーも、改造人間になってしまった主人公の哀しみが、テレビ以上に色濃く表現されていました。
 この漫画で仮面ライダー、一文字隼人は恋人・順子の弟・浩二を白血病から救うために、ショッカーの基地に忍び込みます。ショッカーの医師を一人さらって、ショッカーの一歩進んだ医学で浩二を救うために。
 仮面ライダーの活躍でショッカーの基地は壊滅します。ところが、肝心の医者をさらう話はどうなったかというと……。
「忘れたはねえだろ! 忘れたは!」
 目的と手段を取り違えた迷セリフでした。

駄弁者:
 「力の2号」って、力だけが取り柄という意味じゃなかったと思うんですが(笑)。
 人さらいという目的を忘れて、うっかり正義を優先してしまう彼こそ、真の正義の味方だと言えなくもない?



825発電システムのムサイ、下がれ!影を落とすと出力が下がる!

 出典: 野由悠季監督「機動戦士ガンダム 第41話『光る宇宙』」

紹介 :電撃翼 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。
 初代ガンダム第41話「光る宇宙」といえば、一般にはララァの最期なんでしょうが、何故か思い出してしまうのがこの台詞です。スペースコロニーを1基丸々レーザー砲に改造し、これによって敵艦隊を焼き払うというソーラ・レイシステム。太陽電池でエネルギーを蓄積中、1隻のムサイがうっかりその上に影を落としてしまい、叱られるという迷シーンです。
 放たれる憎しみの光はあまりにも禍々しく、人間味など一片も感じられないのに、その影でこういうのをやられると、その人間臭さが妙に印象に残ってしまいます。

駄弁者:
 内容的にはひと山過ぎてクライマックスに向かうまでのつなぎ的なシーンですが、こういうところの本当らしさが長く続く人気の一因でしょう。



「ははは、見て解るだろう。月並みな台詞だがおそらく機械のキミには初めてだろうね。こういうときはこんな風に言うのだよ。――人質を取った。おとなしく投降したまえ」

 出典: 川上稔「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 3下」

紹介 :検索の渡り鳥 様
HP :

コメント:
 毎度おなじみ、川上 稔節の奇天烈名言集から投稿します。3rd−GとLow−Gの決着をつけるための戦闘で、家電売り場にて自動人形ヴァイオレットと佐山との会話シーンですが、実際彼がナイフを突きつけ人質にとっているのはIAI製扇風機“朗らか”だった。3rd−G出身の自動人形にとって、機械は“生きている”というのが前提なので、こういう状況が成り立つのですが、はっきりいってかなりマヌケ。ヴァイオレットの狼狽振りも面白いですが。それを更におちょくる佐山も笑えました。(扇風機を首振りさせたり)
 彼曰く“一方的な勘違いかもしれんが、優位とはいいものだね”とのこと。

駄弁者:
 自動人形にとって機械が「生きている」としても、扇風機などは自動人形から見ればそうとう原始的な「生命」なのでは? 人間がネズミか虫を人質にとっているようなもので、状況が成り立つとは思えないのですが。



宗教って発明なんだ……知らなかった、勉強になりました。

 出典: 田中ロミオ「人類は衰退しました 4」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 妖精さんの数が増えすぎて、うつ病になる妖精さんがでるようになった「クスノキの里」。わたしが配るお菓子が増加の要因である事を指摘されたわたしは、やむなく妖精さんを率いて新天地を目指し旅立ちますが、手違いをで湖の中の小島に漂着。生き延びるために(妖精さんは退屈すると消滅してしまう)、わたしを女王に据えて国家の建設が始まります。
 宗教って発明する物でしょ、と思った私はCivilization中毒。と思ったら、ゲーム中では発明ではなく獲得。それでも発見や発想よりも発明の方がしっくりきます。
 他の発明品(ベッド、マッサージいす、加湿器、輪ゴム等)と並べて発明されるネジのハズレ方は妖精さんならでは。

駄弁者:
 宗教って戦争の口実でしょ、という私はParadoxゲーム中毒でした(最近、やるヒマなくて)。
 自分で発明したのに、それに支配されてしまうのがこの発明品の困ったところ…。いや、ほかの発明品でも、役に立ちすぎるとそれにとらわれてしまうことは多かれ少なかれあるか。



「私の名はゼミ……私の名はゼミ……ルパーツ星人です。地球に危機が迫っています」

 出典: 円谷プロ制作・上原正三脚本「ウルトラQ 第21話『宇宙指令M774』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 深夜、豪華客船クイーン・パール号の船上でセルロイド製の着せ替え少女人形を拾ったヒロイン江戸川ゆり子(演・桜井浩子)。すると突然、人形が成人女性の声で喋り出す。その人形の第一声が上記の台詞である。実はルパーツ星人はキール星人に母星を侵略・征服されており、その侵略者キール星人の次なる目標が地球であることをわざわざ伝えようとしたのだった。声を聴いた限りではスラリと背の高い知性派美人を想像していたのだが、実際に現れた女性はサイケデリックなプリント模様のスリムパンツ(当時の言葉で表現すれば「マンボズボン」)にキラキラ光る悪趣味なサンダルを履いた、背の低いお姉さん……演じていた水木恵子さんには申し訳ないが、少年心にガッカリしたのをおぼえている。そういう意味で、私には印象深い台詞だ。

駄弁者:
 奇しくも続けて上原正三脚本より。
 サイケ模様のマンボズボン…まあ、時代としか言いようがないですね。時代を超えて「宇宙人らしい」服装というのも難しいんだろうと思います。



ソガ隊員、すまん。

 出典: 円谷プロ制作・上原正三脚本「ウルトラセブン 第9話『アンドロイド0指令』」

紹介 :鋼将門 様
HP :

コメント:
 209集にあるチブル星人(設定知能指数5万!)の立案した壮大な計画を阻止せんとするモロボシ・ダンとソガの両隊員、しかし戦闘機&戦車の玩具兵器及びアンドロイド少女ゼロワン(演:小林多岐子)の攻撃に防戦一方で逃走するうち、ついに追い詰められてしまいます。
 ダンはソガ隊員が隣にいるためセブンに変身するにできない…そこでなんと、死に物狂いとばかりに飛びかかったソガ隊員に当て身を食らわせて気絶させて変身という強行手段に出たのです!! そしてこの一言。
 こうなれば形勢逆転、ゼロワン及びチブル星人はエメリウム光線で前者は砕け散る、後者は融けるという呆気ない最期を遂げました。
 事件解決はいいとして、ソガ隊員とのこと、どう弁明したのでしょう?

駄弁者:
 とくに名文句という感じもしませんが、それはともかく。
>設定知能指数5万
 1300で誇っていた人もいましたが、上には上が。知能指数は精神年齢÷実際の年齢×100だから、チブル星人はよっぽど短命なのか、老成しているのか…。



フレミングの左手の法則と呼ばれるもの。確か電流が流れた時、力と磁界の方向について示す形。フレミングさん左手から磁界を発する特殊能力者だったという話です。

 出典: 田中ロミオ「人類は衰退しました3」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ある日、わたしの住む「くすのきの里」に発電用マイクロ波受信機が運ばれても来る。電力を利用して周辺の遺跡調査(ついでに夏の電気祭りも開催)実施するためであった。衛星からの電磁波が、妖精さん達には害になる事を聞いたわたしは、ふと、フレミングの左手の法則を思い浮かべる。
 法則を思い浮かべるところまではよかったんですが、中身がこれでは。「磁界人間フレミングの恐怖」というタイトルの怪奇映画でも観たことがあったのかも。

駄弁者:
 そう言えば4巻が出たのを読んでないなあ。
>磁界人間フレミング
 テストであの形を作った左手を、いろんな方向にひねくり回したのを思い出します(それで答えは間違ったのも…)。
 法則の説明が失われてイラストだけ残ったら、フレミングさんが何か発射しているように思われても仕方ないかも。



「ぼくたちはなにごとも一般化しない。」

 出典: ロバート・J・ソウヤー「スタープレックス」(内田昌之訳)

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 政治学にしろ社会学にしろ経済学にしろ、大体学問というのは一般化の上に成り立っているものですが、たびたびそれに嫌気がさすことがあります。俺は「日本」でも「国民」でも「家計」でも「合理的経済人」でもないぞ、と。
 そういうときに思い出すのがこの台詞。お前たちは人類に虐げられてきたんだろうと尋ねられたときのイルカの言葉です。
 自分は誰にも虐げられていないし、ここの人間は誰も虐げていない。だからそのことはもう関係ない、というのは明確な論理なんですが、こういう境地に立つのは難しいですね……。昨今の国際関係を見るに。
 イルカは地球で2番目に知性的な生物(人間は3番目)らしいですし。

駄弁者:
 一般化とはどんなにうまくやっても細部を切り落としてしまうものですが、切り落とされるその部分がときには重要だったりします。
 ただ「なにごとも一般化しない」と、そもそも自分たちが「イルカ」という種族だという認識もできないことになるので、それはそれで問題が…。



「モスラに善悪は解りません。私たちを島へ連れ戻す本能しかないのです」

 出典: 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛原作・関沢新一脚本「モスラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 インファント島から身長30センチの妖精「小美人」を連れ去り、東京でショーを上演して金を儲ける悪徳興行師ネルソン(演・ジェリー伊藤)。しかし、小美人を島へ帰さなければモスラが東京にやって来る…!
 日東新聞の福田記者(演・フランキー堺)と太平洋諸民族の言語に詳しい中條博士(演・小泉博)はネルソンを説得したが聞き入れてもらえず、やむを得ずネルソンの手下どもを殴り倒して小美人の楽屋に侵入。「あなたたちの力でどうにか出来ませんか」と直接訴える。その二人の訴えに対する小美人の答えが上記の台詞。これはモスラのキャラクター性を如実に表す名文句として印象深い。水爆実験で眠りを覚まされ、人類とその文明社会に対する怨念だけを以て破壊の限りを尽くすゴジラとは、根本的に異質の怪獣なのだ。確かにインファント島も「水爆実験で荒廃した島」という設定ではあったが、おそらくモスラは放射能汚染される以前から島に生息していた聖獣だったのだろう。そして小美人は、その聖獣と島民とを交感させるテレパシストだった……つまり、モスラ、島民、小美人の三者は常に島に揃って存在していなければならない。だからこそ、モスラは小美人を救出する為にひたすら突き進み、結果的に人類をパニックに陥れてしまうという訳だ。
 ストーリー後半、小美人のテレパシーを遮断する特殊な箱が登場するが、それによってナビゲーション機能を断たれたモスラは迷走し、更に酷いパニックとなる。人間とは実に罪深い怪物である。

駄弁者:
 前にご投稿いただいたときのコメントにもあった「怪獣出現も自然災害の一種だ」にも対応する言葉ですね。
 災害を小手先で抑えようとしてより被害を拡大させてしまうというのも、ある意味人間の業というか…。



みんなが自分の行ったこと正しく報告することはなく、誰かの行った正体不明の仕事の上に自分が命令されたことを実行しようとし、結局それとは違う何かを行った。誰もが計画の全体を理解していなかったし、自分の仕事の意味すらもわからなくなっていた。
だから、あれがいったいなんの実験だったのかは今もってわかっていない。わかっているのは、独裁者は核実験のつもりだったこと、そして国民は誰一人核実験だとは思っていなかったことだけだ。

 出典: 小林泰三「盗まれた昨日」  『天体の回転について』に収録

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 著者得意の前向性健忘症ネタ。これと同時期に発表された短編集「モザイク事件帳」にも前向性健忘症ネタの作品が2つ(「遺体の代弁者」「路上に放置されたパン屑の研究」)あるのでちょっと食傷気味なような…?^^;
 しかしこの作品では全世界の人が前向性健忘症に罹るのですが、その経緯がなかなか凄絶です。
 「北」の独裁者は国民に無理難題な命令を下します。「敵より優秀な武器を作れ」「食料の生産を三倍にしろ」などなど… そして、その成功を報告した者には「よし」と言い、失敗を報告したものには厳しい罰を与えます。
 そのうち国民は失敗を報告するのをやめ、虚偽の報告をするようになりましたが、独裁者はその報告をもとに新たな命令を下します。「完成した橋の上に鉄道を走らせろ」などなど…
 国民は何とか形だけでも命令に従おうとして、他人の行った正体不明の仕事の上に、自分も何らかの仕事を加える、ということを繰り返していました。
 そして核実験の命令が下されます。当然そんな中で普通の核実験ができるはずもなく、国民たちはわけのわからないものに自分でもわけのわからない処置を施して、爆発を起こします。
 そうして核爆発ではありえない振動が計測され、空間が光速で相転移し、全世界の人の脳が異常をきたしていくのでした……
 独裁国家の末路は案外こんなものなのかもしれませんね。
 やけになって配線をめちゃくちゃにしたらタイムマシンができた、未来予知機ができた、というのは割とスタンダードなネタですが、政治的なところに絡めてくるのは珍しい気がします。
 ちなみに「北」というのは、本文によると、「長たらしい」国名だが「正式な国名には『北』という単語は含まれていない」、「独裁者が率いる」国だそうな。なんて危なっかしい。

駄弁者:
 人間が長期記憶を失い、取り外しのきくメモリーチップを使うようになった世界で、記憶と人格のあり方を問う…というような感じの話です(ご投稿の文句は本筋に絡みませんが)。
 核よりもすごい兵器につながる実験っぽいのですが、人類の記憶をどうこうする以前に、すでに記憶障害に陥っている国ではどうしようもありません。



「あのとがった耳のろくでなしは何者だろう?」
マッコイは首を振る。「わたしも知らないが──気に入ったよ」

 出典: アラン・ディーン・フォスター「スター・トレック」(増田まもる+尾之上浩司+北原尚彦訳)

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 のほほんとしてたら、いつの間にか新作公開が間近でした。せっかくなので小説版より。
 コバヤシマル・テストを不正行為でクリアしたかどで公開裁判にかけられた若き士官候補生カークは、テストのプログラムを担当していたヴァルカン人中佐と正面切って議論を戦わせるも徐々に追い詰められていく。レッドアラートにより裁判が中断され、ひとまず助かったカークが、マッコイにもらした一言。
 コバヤシマル・テストのいきさつとか細かい設定の矛盾がありそうな気もしますが、とりあえず気にしません。これも、後の3人の関係を知ってるファンがにやりとするような仕掛けの一つですね。

駄弁者:
 元祖STだとスポックと口げんかするのはカーク艦長よりもドクター・マッコイの役割だったのですが、今度の映画はカークvsスポックの構図になっていたので、ドクターはなんというか中立的になってましたね。
 もう製作が決定しているという次の映画では、カークが上役の立場になるから、昔懐かしい副長vsドクターのやりとりがみられるでしょうか。



「…私は見たんです。 レミナと目が合ったんですよ。」

 出典: 伊藤潤二「地獄星レミナ」

紹介 :tiptreej 様
HP :

コメント:
 「富江」等映画化作品が異様に多いホラー漫画家・伊藤潤二の意欲作(怪作?)「地獄星 レミナ」。
 銀河系ウミヘビ座の一角に別次元の宇宙から”ワームホール”を介しやって来た一つの星が発見されました。
”ワームホール”の存在を予見していた大黒博士はノーベル賞を受賞。発見されたのが博士の一人娘”麗美奈(れみな)”の16歳の誕生日であった事からその星はレミナと命名されました。複雑な軌道をえがきながら移動するレミナはやがて…。
 氏は大友克洋に大きなオブセッションを持つ一人でSFホラーに挑戦したものと思われます。
 確かにSF読みにとっては大胆過ぎる”レミナ星”の行動は度肝を抜かれますが残念な事にホラーを超えてしまい爆笑しながら読ませて頂きました。
(氏の作品は怖さを超えて笑えるものが多いのが良い点でもあり難点でもあります。
 …が、絵が十分怖いのが救いです。)
 目が合うだけではなく(以降ネタバレなので自粛)地球をベロンと舐めて味見したりします。 星を人格化するSF作品はありますがこの手法に勝るものはないと思います。
 期待していた作家さんの待望の新作が大ハズレで泣きたくなった時などにこの一冊があれば気が晴れる事必至です。

駄弁者:
 星が生きていて子供がいたりする話や、星が卵で巨大な鳥が孵ったりする話は他でありましたが、文字通り目や口があってしかも…というのは、確かにスゴかったです(その結果起こることはギャグの領域でしたが)。



でもアンタたち、『あたしは悪くない』って言うのね
『あたしは正しい』じゃなくて

 出典: 有川浩「塩の街 briefing」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 暴れる同室の自衛官を引き渡し、集まってきた同僚が由美にかけた慰めは『当然のことをしたのだ。由美は悪くない』でした。
 それは結局、罪悪感を感じている何よりの証拠。
 私ならどうでしょうか。特に慰めもしないと思いますね。

駄弁者:
 「キミは悪くない」というのは、もちろん慰めの気持ちには違いないんでしょうが、同時に「同じ立場だったら同じことをしただろう自分も悪くない」という言い訳も多かれ少なかれ含まれているんでしょう。その後ろめたさがあるから「キミは正しい」とは言えない。
 …慰めもせず黙っているというのは、それはそれで辛いことだろうと思います。



あたしはあんたよりあたしがかわいい

 出典: 有川浩「塩の街 briefing」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ハードカバー版に収録されている短編から。本編にも登場した女性自衛官・野坂由美の結婚前の話です。
 まだ塩害の感染経路がわかっていない時期、同室の自衛官が発症。
 治療法など無く、隔離して放置するしかない事をお互いに知っている状態で、家族と問題を抱えていた彼女は、一人で死にたくない、一緒にいさせてくれと頼みますが、由美はそんな事情を知った上で、同情もした上でふざけんな、感染ったらどうしてくれるんだという汚い気持ちを自覚させられます。
 気の毒に、きっと治療法は見つかる、がんばれ。
 そんなきれい事で終わりにしたかったけどそうさせなかったのはアンタだと心の中で呟いて。

駄弁者:
 ハードカバー版、追加要素あったんですね(確かに元の文庫にしては厚かった)。
 塩害の危険にさらされることよりも、自分の身勝手さ(…それで当然なんですが)に直面させられることへの怒りが大きい、というのに共感してしまいます。



「未来(あした)だ!! …(中略)… ロジャー博士、あなたの想いは終わらない。その想いは次の世代に引き継がれ……、 そして700年後、『ロボ娘萌え』という一つの道を作り出すのだ!!」

 出典: 小野寺浩二「超時空眼鏡史メビウスジャンパー」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 3度の飯より「めがねっ娘」が好き、眼鏡とめがねっ娘の歴史を見る為だけにタイムマシンを作ってしまった、マッドサイエンティストの主人公・南雲一文字博士。
 助手・硝子と共に「眼鏡の発明者ではないか?」という説もある大博士・ロジャー=ベーコンの元に向かい、彼の発明品「しゃべる人頭」の秘密を隠そうとするベーコン博士との肉弾戦の末暴きます。
 女性の頭部型メカに空気圧と複雑な構造の人工声帯を持つ「しゃべる人頭」、それが発した言葉は……「オジサマ大好きー」。 呆然とする硝子にベーコン博士は、最初は純粋にしゃべる機械を造っていたがどこかでおかしくなった事を告白。自分がどこに向かっているかを尋ねられた南雲博士の答えがこれです。
 分野はともかくとして、私達が現在恩恵を受けている科学技術が全部ベーコン博士をはじめとする先人達の成果である事は確かなので、時にはそれに想いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。

駄弁者:
 ベーコンからエジソン(「未来のイブ」の)に至るまでのロボ娘萌えの系譜がどんなだったのか、気になるところです。



「ウルトラマンの体を支える太陽エネルギーは、地球上では急激に消耗する。カラータイマーが青から赤へ点滅を始めた時、ウルトラマンのエネルギーは残り少ない。そして、もしもカラータイマーが消えてしまったら、ウルトラマンは二度と再び立ち上がる力を失ってしまう。頑張れウルトラマン。残された時間は、あと僅かしかないのだ」

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 この名文句はまだ投稿されていないようだったので投稿してみた。いまさら説明するまでもないとは思うが、ウルトラマンと怪獣との闘いが長引いた場合によく聴かれるナレーションである。
 ウルトラマンのナレーターは『Q』から引き続いて石坂浩二が担当していたが、第21話から浦野光にバトンタッチした(そのまま『ウルトラセブン』も担当)。石坂調は落ち着いたトーンでウルトラマンの苦しさを視聴者に伝えるニュアンスだったが、浦野調はややテンション高めで、ウルトラマンの奮起を煽るような語り口だった。いずれにしろ、この名文句を聴きながら手に汗握ってテレビ画面に見入った子供たちは多いだろう。私もその一人だった。

駄弁者:
 そう言えばカラータイマーはウルトラマンの生まれもっての器官なのか、それとも後から付けられたものなんでしょうか。  カラータイマーが壊された死んでしまうようなシーンがあったので、重要な器官かとも思えるんですが、しかしそんな致命的な弱点をむき出しにして戦うかなあ?



「おれの役割か。オブザーバーの鏡だ。猫のゆりかごの中をよく見ておけ。必ず役に立つことがある筈だ。事態は自動ピアノのように進行しつつあるが最後のクライマックスにどんな副次的な主題があらわれるかはまだわかっていない。もしかするとチャンピオンたちの朝食にタイタンの妖女がまぎれこんだりするかもしれないからな。角笛の音の響く時に世界の中心で愛を叫んだけものが死ぬだろう。」

 出典: 筒井康隆「虚人たち」

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 長い&改行が無くてすみません。これでも1/5くらいに削ったんです。
 しかもこの本、ほとんど改行や段落分けが無いので、ずっとこんな調子です。おかげで物凄く読みづらいと。
 また、この本自体はSFじゃないような気がしますが、どうやら長編SF「脱走と追跡のサンバ」の続編に当たるようなのでお許しください。
 この長口上は登場人物から作者への、この作品を書くにあたっての忠告だそうな。
 この物語は設定の下で自動的に展開していくのでお前は俺を通してそれを観測していればいい。その途中でこの物語の主題を決めればいいんだ、というところでしょうか。
 カート・ヴォネガット・ジュニア一色かと思いきや、エドガー・パングボーンやハーラン・エリスンもいます。「オブザーバーの鏡」は話の筋的に分かるけど、「世界の中心で愛を叫んだけもの」を持ち出したのはなんでだろう。
 ちなみにタイトルの「虚人たち」もル・クレジオ「巨人たち」のもじりであります。パロディ全開。

駄弁者:
 この本自体はSFというより小説の「虚構」をとりあげた実験小説。ですが、お約束の前提を取り払った発想は、筒井康隆がSF作家出身だからこそ…というのは、我田引水に過ぎるでしょうか。
>この本、ほとんど改行や段落分けが無い
 それどころか読点すらひとつもない。試みはすごいけど、読みにくさもすごいです。



こうなることは分かっていました。
あなたは機械が憎いんです。
言ってはいけないことを言ってしまいます。あなたは自分が機械より劣るのでくやしいんです。

 出典: 清水義範「乱心ディスプレイ」  『深夜の弁明』に収録

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 最近では何を書いてもパスティーシュだと言われてしまう、と本人がぼやくくらいパスティーシュ小説で有名な清水義範ですが、元々はSF方面の方だったとか。
 この「乱心ディスプレイ」もパスティーシュというよりSFですね。なんてったってHALL-2000ですよ。
 このHALL-2000は、ディスプレイに「右」とか「左」とかいう指示を表示し、その実行能力を測定するという機械みたいです。反射神経測定機みたいなものでしょうか。
 でこの機械、出た実行速度についていろいろとディスプレイ上にコメントします。
 「もう少し速く実行するように努力しましょう」とか「少しむずかしくなっているので、そう簡単には上達できません」とか「気をおとさないように。もともと正気の沙汰ではなかったのです」とか。
 こんなコメントにイライラしたのか、ユーザーは機械を破壊していきますが、HALL-2000にできることはディスプレイに文字を表示させることだけ。
 「言ってはいけないことを言ってしまいます」というのがなんとも哀しいですね。この話には音がなく、全てディスプレイ上の文字で表されているのも何となく物悲しさを感じるというか。
 沈黙は金。雉も鳴かずば撃たれまい。お喋りな機械というのも考え物です。

駄弁者:
 「カマテンダーを入れて下さい。」…結局カマテンダーがなんなのか最後まで分かりませんでしたが(笑)結構好きでした、この短編。
 「深夜の弁明」確か私が2冊目か3冊目ぐらいに読んだ短編集です。書かれたのは80年代の後半ですから、きっとワープロの入門ガイドあたりのパスティーシュだったんだろうと思います。



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