SF名文句・迷文句第117集

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So long. and thanks for all the fish.
(さようなら。魚をどうもありがとう)

 出典: ダグラス・アダムズ Douglas Adams「銀河ヒッチハイク・ガイド The Hitchhiker's Guide to the Galaxy」

紹介 :gueston 様
HP :

コメント:
「銀河ヒッチハイク・ガイド」地球で2番目に知性的な生物であるイルカのお別れの言葉です。ちなみに人間は3番目。
シリーズ4作目のタイトルでもありますが、まだ其処まで読み進んでいないので、コレは映画から。
映画でのこの文句の使い方は私にはツボにはマリました。
アニメの「フルメタル・パニック」の女性主人公もコレを読んでいたはず。なので知名度自体は高いんでしょうか、この作品。
お寿司をご馳走になった時にでもいかがか。

駄弁者:
 イルカは地球の危機を人間にも知らせようとしたんですが、人間の目からはそれが曲芸にしか見えなかったんだそうです。
 このメッセージも、「米国国歌を笛で吹きながら後方二回転宙返りをして輪をくぐる」曲芸にしか見えないんですよね…。

 ところで、guestonさんからは「銀河ヒッチハイク・ガイド」からもうひとつ連続してご投稿をいただいているんですが、これから読む(観る)人にはネタバレっぽいので、掲載を後回しにしようと思います。映画公開がおわったぐらいに載せようかと。



DON'T PANIC

 出典: ダグラス・アダムズ Douglas Adams「銀河ヒッチハイク・ガイド The Hitchhiker's Guide to the Galaxy」

紹介 :gueston 様
HP :

コメント:
 新しい映画が公開されることで知名度も上がるでしょうか。
 とてもヘンテコでオカシイ「銀河ヒッチハイク・ガイド」からです。映画の出来も好かったですよ。
 銀河をヒッチハイクしていく旅行者の正典、銀河ヒッチハイク・ガイドの表紙に書かれた言葉です。
 高速道路建設のために家を破壊され、直後、同じ理由で地球を破壊され、親友は宇宙人で、訳もわからず済んでのところで乗り込んだ宇宙船からは真空につまみ出され、
の主人公に突きつけられる「パニックするな」の太字の文字。
何が起きてもともかく使える文句です。

駄弁者:
 ちょうど劇場公開ともタイミングが合いました。とりあえず復刊された小説はついこないだ読了。笑うしかないほど壮大な謎とある意味衝撃的なその回答、だれひとりとしてマトモな奴が出てこない登場人物(+ロボ)…などなど噂にたがわぬバカSFの金字塔です。
>何が起きてもともかく使える
 たしかにどんなときにでも使えますが、使って役に立つかはまた別の話…。



滑稽をあく、覚えるかも知れぬが、然し僕は君の考えて居るほど「冷血」ではなく、多少の温かい血は流れているつもりだ。流れて居(お)ればこそ、君の結婚に対して無関心では居られなくなり、頭脳を搾って、縁起のよかるべき名をもった、この贈り物を考え出したのである。

 出典: 小酒井不木「恋愛曲線」  「怪奇探偵小説名作選−1」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もう一つ、恋愛と科学の話から投稿します。
 結婚式を前日に控えたA氏に宛てられた一通の手紙。それはかつての友人であり、婚約者の元恋人でもあった医学博士からのものでした。
 所々、皮肉を交えて綴られた手紙には、心臓の拍動を電気信号に変えることで感情の測定ができること、感情の測定に成功した彼はついに被験者を得た彼は恋愛感情の測定「恋愛曲線」の証明にかかるのでした。作品を最後まで読むと投稿した台詞が重要な意味を持っていることが分かります。
 しかし、恋愛と科学というものは思ったより、相性が悪いようです。科学と恋愛を絡めるなら、コンピュータの相性診断程度にとどめておくほうがいいのかもしれませんね。

駄弁者:
 変わったところから出してきましたね。イメージ的には嘘発見器みたいなものを想像したのですが、恋愛測定器と嘘発見器の類似は…なんかありそうな気がします。
>科学と恋愛を絡めるなら
 私が読んだ中で記憶に残っているのは、アシモフ「当世風の魔法使い」(「サリーはわが恋人」に収録)、パット・マーフィー「ロマンティック・ラブ撲滅記」(「この不思議な地球で」に収録)あたり。ドタバタ喜劇に終わったり、ウィルスの仕業として撲滅されたり、確かに相性はよくないようです。



私は諸君にかう申し上げたい。我々の神々も我々の希望も、もはや科学的にしか考へられなくなつてしまつた以上、どうして我々の恋愛もまた同じく科学的に考へてはならぬでせうか、と。

 出典: ヴィリエ・ド・リラダン「未來のイヴ」(齋藤磯雄訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ある日、「メンロパークの魔法使い」の異名をとるエジソンの下に、友人のエワルド卿が訪れる。彼は、美しい婚約者、アリシア嬢の外見に合わない俗な態度に絶望した彼はエジソンに自殺をほのめかす。そこでエジソンは彼に理想の女性を提供することを約束するのでした。  投稿した台詞は、アリシア嬢の外見を写した人造人間(アンドロイーデ)、ハダリーの構造と説明しながらエワルド卿がハダリーとアリシア嬢との区別がつかなかったことに対する説明として言ったものです。  しかしこのエワルド卿、なんとも俗な気がします。「外見の美しさに惑わされて妻にしている友人たちとは違うのです」といいながら、アリシア嬢の美しさには参っているですから。これじゃあ「イヴ」がどんなに未來に進歩しても、相手方の「アダム」が進歩しなければ何にもならないような気がします。

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 「SF・男と女」続き。19世紀末に発表された作品から。ほぼ同じ文句を第117集で冬寂堂様が投稿してらっしゃるので、作品内容はそちらをご覧下さい。に、しても。
 「科学的に考える恋愛」って何ですか。性分泌ホルモンで性衝動をコントロールすることですか。(第22集参照)それとも心臓の鼓動で感情を測定して「幸福な結婚」をすることですか。(第117集参照)「それで悪いか」と言われれば、反論はできないのですが、でも。
 人造人間という「テクノロジー」(この文句の中の「科学的」という言葉の意味は、これに近いように思われます。)によって一人の男の身勝手な欲望が満たされることで、誰が、何が、救われたのでしょうか。上手く言葉を続けられないので、代わりに次の言葉で締めくくらせていただきます。
 「情緒障害の治療とはそんなものではないんです。(中略)自我を拡大し、混乱や葛藤を余裕をもって包み込めるようにする方向で解決してゆくのが精神療法の基本です。」(岸田秀「嫉妬の時代」より。)
 己の中に混乱や葛藤を抱えるのは、何も精神障害者だけではありません。そう思われませんか。

駄弁者:
 科学的になったのは恋愛のあり方ではなくて、せいぜい欲求の満たし方だけなんじゃないでしょうか。
>相手方の「アダム」が進歩しなければ
 鋭い! 何をもって進歩とするのか、進歩することがいいことなのか、迷うところですねえ。



ヨーダ「新しい弟子を信頼しすぎるといつか裏切られるぞ。」

 出典: ジョージ・ルーカス監督「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 正体を現したシスの暗黒卿との一騎打ちに臨むヨーダ。ヨーダに今は自分の弟子となったアナキンのことを得意げに語る暗黒卿。それに答えてヨーダが言ったのがこのセリフ。負け惜しみとも予言とも取れる言葉ですが、新3部作は先の投稿も含めてメタなセリフが目に付きますね。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 「メタ」というのとは少し違うと思うのですが。
 ヨーダ自身も自分のパダワンだったドゥークーに背かれているので、予言というより「経験者は語る」でしょうか。



オビワン・ケノービ「いつかお前に殺されるよ」

 出典: ジョージ・ルーカス監督「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 共和国元老院議員となったパドメを狙う殺し屋を追って、夜の街を急ぐオビワンとアナキンのジェダイ師弟。何度しかっても無茶をやるアナキンに冗談混じりにぼやくオビワン。でも未来(初期3部作)を知る我々には冗談に聞こえません(笑)。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 殺されることは予想しても、その前に殺しかけることは想定外だったようです。
 エピソード2のオビ・ワンは、師匠としてのダメっぷりが前面に出すぎていたように思うのですが…。



デイジー…デイジー…答えておくれ 僕は夢中…

 出典: スタンリー・キューブリック監督「2001年宇宙の旅」(木原たけし訳)

紹介 :ながぴい 様
HP :
http://cobalt.chem.es.osaka-u.ac.jp/miyasaka/index-j.html

コメント:
 言わずも知れたベタな投稿でゴメンナサイ…
 第14集の好古真之様の投稿でも取り上げられてるのに、元祖が掲載されてないというのは…
 私は生まれて初めて、この映画でコンピュータが歌うのを聞きました。
 もともと感情を持たないHAL9000に愛の歌を教えるとゆうのも奇妙な話ですが、
 そんなHALが初めて感じたのは、おそらくボーマン船長に記憶中枢を抜き取られる時の「私は… 怖い」という感情だったのでしょうか…
 ちなみに映画中では、HAL9000は1992年1月12日に誕生したことになってます。
 当時、WIREDという雑誌が「Happy birthday HAL!」とゆう特集記事を組んだと記憶してます。
 ところが、現実は21世紀を迎えて、はや数年。いまだに愛しきHALもスカイネットも誕生してませんね…

駄弁者:
 HALがボーマンに停止させられる直前で歌われる「愛の歌」。映画でも原作でも、怖いような物悲しいような感覚を覚えました。
>現実は21世紀を迎えて、はや数年
 HALはともかく、スカイネットは誕生しなくて幸い。…って、Googleで検索してみたら、HALを作っているサイバーダイン社のサイトが引っかかりました(笑)。



「アイランド・ワンは崩壊したぞ。あのコロニーには500万からの人間が生活していたんだ。500万という数が判るか?」
「地球にとっては必要のない数だ。」

 出典: NHKドラマ「オアシスを求めて」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 現在マイブーム(笑)の「オアシスを求めて」から。
 「クローン人間」は本当に「優秀」で「合理的」で「冷たい性格」なのでしょうか?
 「環境」(教育)によって優秀で合理的な人物になるとは思いますが(量産した中から優秀な個体を選別し育成すればいい)、性格となるとそうコントロールできないんじゃないかな?と。
 子供を見ていると、「性格」を決定するのは「環境」ではなく「遺伝子」ではないかと思う今日この頃です。(冷たい性格の人のタネだったらそれまでですが。)
 ていうか「自分達の子供の頃そっくり」な甥っ子兄弟を見るに付け、将来も似たようなもんかなぁ、と悲観すること小一時間(苦笑)。

駄弁者:
 米コロニー「アイランド・ワン」を崩壊においやった人工頭脳・R7を秘密裏に操作していたクローンとの対決シーンより。
 性格を決定するのは遺伝子かも知れませんが、その性格が表に出るか潜在するのかは、やはり環境によるんじゃないでしょうか。このクローンたちは、冷たく合理的なことを良しとする環境で育ったから、それが表に出ているというわけで。
 …人を決定するのは「遺伝」より「環境」だと思っていたい、という希望も混じってますが。



魔王ゴッテス「ゾビーナ聞け!」
恐竜調教師ゾビーナ「何ですって、D戦隊の映画が作られているですって?」
…(中略)…
ゾビーナ「そうだわ、こうしてはいられない、地上へ出ていって、撮影の邪魔をしてやらなくては」
ゴッテス「その通りだ!」

 出典: 円谷プロ制作・平野靖司脚本・東條昭平監督「恐竜大戦争アイゼンボーグ 第37話『特撮映画戦え!D戦隊』」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 で、『恐竜大戦争アイゼンボーグ』からもう一本、元々『アイゼンボーグ』は、戦争がどうのとか愛がどうのとか、もの凄い見識の高い建前を主張したかと思うと、それこそ身も蓋もない大ボケなギャグ話もあり、よく言えばバラエティーに富んでおり、悪く言えば統一感皆無です(特に中庸位置のお話がないという説もある)。
 恐竜魔王ゴッテスは宇宙のザガリア星から地球侵略のために来襲した異星人で、その超能力で恐竜を支配、怪獣に改造して戦争を強要する悪魔のような侵略者です。恐竜調教師ゾビーナも残虐な魔女で、恐竜たちに恐れられています。…冒頭の台詞を聞いただけではそう思えないかも知れませんが。
 一応、これは「アイゼン号を持ってきていないD戦隊を全滅させる」作戦だということを書き添えておきます、…恐竜軍団の名誉のために。

駄弁者:
 いや、見てましたけどこういうボケが入っていたような記憶はないです…。
 ちなみにこのエピソードで「持ってきていない」アイゼン号、通常の戦車形態と、クライマックス時の飛行形態とではどこがどう変形したのか分からないような変わりよう。変わってないのは機首のドリル(男のロマン?)ぐらい。中間形態を想像できないあたり、「よく言えばバラエティーに富んでおり、悪く言えば統一感皆無」の物語にある意味似つかわしい…?



防衛隊高官「D戦隊の役目は恐竜を根絶やしにすることだろう!」
鳥居博士 「違います、私達の願いは全ての生命あるものがこの地球で平和に暮らすことです!!」

 出典: 円谷プロ制作・田口成光脚本・満田かずほ監督「恐竜大戦争アイゼンボーグ 第29話『輝け!恐竜一番星』」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 恐竜保護を主題とした前作『恐竜探検隊ボーンフリー』から一転恐竜との戦争(殺し合い)を描くこととなり、悪印象が先行することとなった『恐竜大戦争アイゼンボーグ』から、人類を護る特殊部隊“D戦隊”の指揮官・鳥居博士と政府高官らしき人物との会話です。
 D戦隊に撃破された恐竜軍団の改造海獣ブラックマリアは断末魔に卵を残す。防衛隊は恐竜の危険性を鑑み、孵化する前に破壊しようとする。一方D戦隊は危険性を感じながらも新たな生命に罪はないと主張、防衛隊の企図する問答無用の破壊には反対する。
 戦争というシビアな現実を誤魔化すことなく描きつつ、共存への道を模索する。
 確かにそれは『子供番組』らしい安っぽい“偽善”なのかも知れません。
 でも今、『子供番組』でさえ全てが曖昧に描かれ、“偽善”すら成立しなくなってきた昨今、臆面もなく建前を主張できる“場”は、更に貴重になって来たように思います。
 いいじゃないですか。
 臆面もなく、恥ずかしげもなく、世のため人のため、世界平和のため地球環境を守るため、どんどん主張していきましょうよ。

駄弁者:
 「ボーンフリー」も「アイゼンボーグ」も見てましたね〜。登場人物がアニメで描かれメカやアクションが特撮という変わった作品でした。



「もし地球がくしゃみをしようとしているのなら、ちょっとの間だけ鼻をつまんで我慢していてもらおう。いずれにしても、その間に我々人類は滅びる」

 出典: 藤崎慎吾「ハイドゥナン」

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 順番飛ばしついでに、自前投稿を割り込ませます。
 老碩学の南方ら「マッドサイエンティスツ」の科学者は南西諸島に大規模な地殻変動が起こることを予測。領海や資源の確保を第一義に考える国とは別に、自然環境や人命・文化を守るため独自の「ISEIC理論」を元にしたプロジェクトを開始する。
 投稿したセリフは、地球規模の大異変を自分たち人間が止めたりすることはできるのか、またそれに意味はあるのかという問いかけに対する、南方の答え。地殻変動を永久に抑制することはできないし、人類も永久に存続するわけではない。しかし存続している間ぐらいは、沖縄を残しておきたい。どのみち地質学的スケールで見れば大した時間じゃない、と。
 悲観的なようですが、「我慢していてもらう」期間は数千年から数万年です。



正義を行なえば世界の半分を怒らせる……

 出典: 押井守監督「紅い眼鏡」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 衆院選開催記念
 半分以上を怒らせると正義じゃ無くなるという、民主主義の秘孔を突いた名セリフです。
 自分の行動に「正義」の御旗を立てたい人にはピッタリな、まさに「インパクトと汎用性」な名セリフです。(郵政を民営化したい人や、イラクに民主国家を樹立したい人などに有効です。)
 あなたの回りにも「ハタ迷惑な行動を取る人」はいませんか?その人は「正義の人」かもしれませんよ。

駄弁者:
 記念ということですから、順番を変えて。…まあ、今回の選挙(今回に限らずか?)はあまり正義に関係なさそうですけどね。
 しかし自分たちの利益には関係しそうですので、選挙には行っときましょう。
 ご投稿の出典は押井守初の実写作品。解体・弾圧された特殊部隊ケルベロスの元隊員が、夢と現実がいりくんだ不条理な世界に迷いこんでしまう話…らしいです。なんか難解そうですが。



「武器とはな、人を傷つけるためでなく、人を守るためにあるべきなんじゃ…」

 出典: スクウェア(ドリームプロジェクト)製作「クロノトリガー」

紹介 :ジェラート 様
HP :

コメント:
 最初で最後(?)の投稿です。
 RPGの中でも至高の作品の一つである(と思う)クロノトリガー。
 RPGの金字塔、「FF」と「DQ」のスタッフの合作。実質これが最初のスクエニ作品かな? 
 ストーリーはふとしたことで過去へと消えてしまった少女を助けるために主人公は彼女を追いかける。やがて明らかになる未来(AD.1999 世界滅亡の日)を彼らの手で変える…そんな感じかな?
 セリフのほうはある事件によって古代から現代に飛ばされた賢者様から買い物をし終えるとさらっと言う台詞。別に大切なシーンでもなんでもないところで言う言葉なのに深い…
 考えてみればそうだな、と…答えが見つからないけど…
 武器の要らない世界は来ないのか…
 それにしてもこういうシンプルなRPGはもう出ないのか?寂しいな…

駄弁者:
 めい文句の方もシンプルなだけに容易に答えられない、というところでしょうか。
 人を守るために武器を使えば、結局人を傷つけることになるという、これまたシンプルながら解決し難い矛盾をはらんでいるのですが…。



人が人として扱われないのが許せませんか ふむ
いいと思いますよ あなたはそれを悲しんでも
世界中で他の誰も悲しまないとしてもね
…ねェ
遠い世界から優しい目で私たちを見つめているあなた どうか覚えていて
この血の味も この傷の痛みも 私たちは確かに感じているのだと
人が人として生きられる世界
弱くて脆くて優しい人が傷つかないで済む世界のために
あなたはこの悲しい世界に心を痛めていい
でも できるなら 悲しむだけで終わらないで

 出典: 渡空燕丸「君の見る世界」  コミックアンソロジー「電撃ガンパレード・マーチTHE COMIC」に収録

紹介 :DS−T 様
HP :

コメント:
 ……これは流石に駄目かなぁ。
 PSゲーム「高機動幻想ガンパレード・マーチ」のコミックアンソロジーに収録された短編からの引用です。一応、メディアワークスっていう大手から出ています。
 この作品は、「プレイヤーは世界の行く末を変える為に、ゲームを介して異世界に介入している」というゲーム版の設定を使ったもので、舞台は、人類の天敵である幻獣によって世界の大部分が壊滅し、その中で地理的要因から最近まで無傷で残っていた日本です。
 勝利のためには手段を選ばない決定により、十五を越えたばかりの学生すらも戦地に送られ、数合わせで製造された不完全なクローンも出回っている中、主人公達の通う戦車学校の教師を務めていたクローンの女性が、生徒を死地へ送る心労とそれを紛らわすためのアルコールに心身を蝕まれ、ついに他の教師たちによって廃棄を考えられてしまいます。
 彼女のメンテナンスを秘密裏に任されていたクラスメイトが彼女をモノ扱いしたことに主人公は憤るのですが、その直後にクラスメイトは自らの指をメスで切って出血させ、血を主人公の唇に当てて上の台詞を言うんです。
 クラス一の変人で、主人公の経歴を知る数少ない人物でもある彼ですが、これの直前に先生の精神的磨耗を悲しむ表情を見せた場面もあり、僅か8ページという短さながら、原作の深さをうまく切り取った作品でした。
 ちなみに、この台詞は本編にはありません。

駄弁者:
 同人作品出典は初めてと言うわけでもなし、たまにいいんじゃないですか?
 コメントで紹介されている状況からすると、主人公に対してもっと皮肉な言葉が返ってきそうなところ。しかしご投稿のセリフは優しく、それでいて甘すぎない良さがあると思います。



おれが彼女を愛しているのか、それともきれいな顔をか、とね。だがおれは彼女の全体を愛している。空っぽの殻じゃない。といって、手のほどこしようもなくベッドに横たわる病気の女でもない。おれが欲しいのは──

 出典: E・C・タブ「共生惑星ソリス (デュマレストサーガ4)」(佐治弓子訳)

紹介 :野分 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。
 今回は“地球”という名の生まれ故郷を求めさすらうアール・デュマレストのセリフから引用しました。
 惑星ロギスで殺されそうになっていた女性カリーンをデュマレストは救い出し、そのまま二人は共に旅をすることになります。そしていくつかの危機を共に過ごすうちに愛が芽生え……と、そのあたりは省略して。
 しかし、彼はカリーンから彼女の秘密を突きつけられます。マリーニの肉体という“殻”にキーランという病人の“心”が共生した存在、それがカリーンだったのです。彼はこの事実に困惑し、「おれが〜〜」と引用した呻きを漏らします。
 確かにSF……SFらしいのですが……私にはネットゲームのプレイヤーキャラクターに惚れたプレイヤーのセリフに聞えてしまいます。
 現実がSFに追い付いたということでしょうか(違

駄弁者:
 外見がどうであれ、その心を愛せる…と言ったらまず偽善になるでしょうねえ。そしてそのように愛せない以上、どう理由をつけたところで言い訳にしかならないでしょう。
>ネットゲーム
 まだこっちはキャラクターの外見と「中の人」の姿は違うという前提が失われてないぶんマシなのでは(…失われてないですよね?)。
 女性の側から描くとティプトリーの「接続された女」になるところ。



見ている事しか出来ないのなら、見ていてやれ。最後の時まで。

 出典: 「ウルトラマンネクサス」

紹介 :いせやん 様
HP :
http://blogs.yahoo.co.jp/ekizotikkudoradora/9172192.html

コメント:
 ウルトラマンネクサスで3代目デュナミスト(適応者)千樹憐は遺伝子操作で生まれた子なのですが、実験段階の問題からある年齢に達すると全身の細胞が一斉に死亡を始めるという問題を抱えています。この言葉はそんな憐を見ている事しか出来ないことを嘆く主人公に対してナイトレイダーの和倉隊長が言った言葉です。  「来ないのなら」の後の間の取り方がまたいい味を出してます。

駄弁者:
 厳しい言葉ですね。見ていることそのものが、最も辛そうな状況なのに。
 こういうセリフだけ見ているとなかなか面白そうだと思えるんですが、聞くところでは視聴率が伸び悩んだとか。



男って…!

 出典: サンライズ制作「THE BIG-O」

紹介 :メックデウス 様
HP :

コメント:
 サードシーズンに向け、長い長い助走に入っている要塞型巨大ロボット譚より。
 誰の記憶にも残らなかった40年前の「あの日」以来日の差すことの無いパラダイムシティ。
 事実上只一つの企業によって支配され、司法ですら権限を制限されるこの街で、義のために日々活躍する交渉人、ロジャー・スミス。彼、この街随一のネゴシエイターにはもう一つの顔がある。
 そう、この街を脅かす様々な脅威に敢然と立ち向かう黒いメガデウス”ザ・ビッグオー”の操縦者、それこそが彼の真の姿なのだ!
 今日も彼は呼ぶ。大地を割り現れるこの街の守護神を!…「The BIG-O, SHOW-TIME」!!
 そんな彼にも苦手なものはある。
 とある事件を介して彼と行動をともにすることとなったアンドロイドの少女、R・ドロシー・ウェインライト。
美しくもシニカルな彼女は、時にこんな乙女のリアリズムでロジャーの「男のロマン」をバッサリと切って捨てるのだ!!
 負けるなロジャー。がんばれロジャー!この街の未来は君の双肩にかかっているのだ!
あでも、出来るだけ、出来るだけ周辺建造物は壊さないようにしてくれッ。毎度毎度あとが大変なんだから……。あああっ、そ、そのアパートは私のおおお(泣)

駄弁者:
 こういうのこういうのが出てくると、あきれられてもしょうがないような。
 まあ、しかし「乙女心」とやらも、わからなさでは「男のロマン」と五十歩百歩か。



メロンライスにガムライス

 出典: 星新一「おのぞみの結末」  同名短編集に収録

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 以前営業の集金に付き合った時の事。「こいつをぶん殴って金を持ち逃げすれば5年は遊んで暮らせる、、、いや、現金化した時点で捕まるか。」なんて考えていた私はついこの台詞を口にしたのでした。
 当然相棒は「は?」という返事。危うく人の道を踏み外す所でした。

駄弁者:
 「あなたはどちらが好きですか? わたしはもちろんガムライスです」と返ってきたら、今ごろは連れだって逃避行ですか。
 ご投稿の文句は新興宗教「ジャックポット教」の合い言葉。チャンスが巡ってきたらこの言葉を唱えてみよう。思わぬところから思わぬ協力者が…?



「みんなどこにいるんだろうね」

 出典: スティーヴン・ウェッブ「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由−フェルミのパラドックス」(松浦俊輔訳)

紹介 :ながぴい 様
HP :

コメント:
 1950年夏、米国のロスアラモス国立研究所において、エンリコ・フェルミは研究仲間といっしょに昼食に歩いて出かけた。  その時の話題は空飛ぶ円盤の目撃談だった。空飛ぶ円盤が光速を超えられるか等の議論があった後、腰を下ろして昼食をとった。
 話題はもっと現世的なことに転じていたが、だしぬけにフェルミは上記の質問を発したそうだ。そこにいた者はすぐにフェルミが宇宙人のことを言ってることを理解した…。
 すみません、本書はSFではありません…
 もし、宇宙人がこの銀河にいるのなら、なぜ彼らは我々の前に姿を現さないのだろう? それどころか、SETI(地球外知的生命の探索)等の真面目な宇宙人探索が行われているのにもかかわらず、宇宙人の痕跡すらいまだ発見されていないのはなぜだろう? といったことを延々と真面目に議論している本です。
 宇宙人に興味があったり、SFファンである人間なら誰しも一度は、星空を見上げて、
「やつらはどこにいるのだろう?」
と思ったことがあるのではないでしょうか?
出典はSFではありませんが、とてもSF的な文句だと思うので、ここに投稿させていただきます。 どうか御一考を。

駄弁者:
 一考するまでもなく、載せますとも。
 「やつらはもう、ここに来ている」だったら、ちょっと考えてしまいますけど。
 なお、「フェルミのパラドックス」とは「恒星間飛行が可能な文明があったとしたら、その文明は指数的に植民星を増やして銀河系中に広まっているはずなのに、地球人類ははまだ異星人と出会っていない。これはなぜか?」というもの。…この文脈で言うと「どこにいるんだろうね」は、異星人の存在についてやや否定的な印象になってしまうのですが。  



「誤解しないでもらいたいのだが、わたしには前々から決めていらことがある──もし祖国か友人かどちらかを選ばねばならない時がきたら、敢えて友を取るってことだ」

 出典: J・M・ディラード「スタートレック6 未知の世界」(斎藤伯好訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 エクセルシオール艦長 スールー大佐の言葉。
 あんまり喋らないこの人の数少ない名せりふではないでしょうか。
 カーク船長のせいで、こんな艦長にあるまじきことを言い出す人になっちゃって…。

駄弁者:
 司令部への命令違反を(またぞろ)起こそうとしているカークらを支援するスールー艦長。動揺するエクセルシオールの面々に向かって言った言葉がこの名文句です。
 ヒカル・スールー(日本語版ではミスター・カトウ)は、考えてみれば元祖TVシリーズに比べて、映画での扱いが最もよくなっているキャラクターではないでしょうか。艦長になって死なずにいるのは彼だけだし…。
 役者のジョージ・タケイは、こないだ自伝の翻訳が出ていました(「星に向かって」)。スタートレック関係の内容が多ければ読んでみたいところなのですが、それ以外でも(むしろ俳優業以外で)活躍の多い方なので、その点はあまり期待できないかと思っています。



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