SF名文句・迷文句第210集

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「人間が人間たらしめている物はただ一つ
 己の意志だ。
…(中略)…
 私は私の意志がある限り
 たとえガラス瓶の培養液の中に浮かぶ脳髄が私の全てだとしても
 きっと巨大な電算機の記憶回路が私の全てだったとしても
 私は人間だ。
 人間は魂の 心の 意志の生き物だ」

 出典: 平野耕太「HELLSING 10巻第7話『SORCERIAN 1』」

紹介 :N 様
HP :
http://www7b.biglobe.ne.jp/~n805/

コメント:
 ドラキュラを題材にした人気漫画「HELLSING」の最終巻より。
 攻撃を受けて半身に傷を受け、身体を機械にしていたことが明らかになった吸血鬼大隊の大隊指揮官「少佐」が、「化け物め!」と言われたことに反論し、彼による人間の定義を語ります。
 人体を機械に置き換える技術をサイボーグと言いますが、昨今の義肢技術、人工内臓技術の進展を見ていると、脳以外の全てを機械に置き換えることができる日は意外と早く来るのではないかと思えてきます。
 更に、人間の脳のニューロンの配列を電子回路で置き換えることができるならば、「人間」をどう定義するかが重要になってくるでしょう。
 私は実は彼の定義にはいささか難があると思っています。人間とは、「生物学的に人間として生まれたもの」ではないかと。
 その後いくらでも機械に諸器関を置き換えてもいいですが、最初はやはり人間でないと。AIに意志が生まれることだってあるんですし。

駄弁者:
 前にご投稿があったときに、SFじゃないだろうと言いつつ掲載したんですが(今でも全体としては同じ意見なんですが)このセリフに限ってはいいかな、と。
>人間は魂の 心の 意志の生き物だ
 少佐の肉体が人間かそうでないかは別としても、この御仁の魂のあり方が、普通の人間とは共存できないという意味で化け物なんだろうと思います。



「機族の戦いは人間の承認が不可欠です」
「どうすれば」
「「原則零項適用」と 心をこめて」
「心…!?」
「いいから早く!」
「げっ…原則零項適用!!」

 出典: 丸川トモヒロ「成恵の世界 第53話『時台屋の女房(後編)』」

紹介 :N 様
HP :
http://www7b.biglobe.ne.jp/~n805/

コメント:
 ヒロイン七瀬成恵の同級生、永岡四季のおばあさんが過去からタイムスリップしてきた話の終盤、機族の音無麗と飯塚和人の会話から。
 「蛇」と呼ばれる正体不明の存在が出現し、戦うことを迫られた麗と蘭は、その場にいた中で事情に通じている唯一の人間である和人に「原則零項適用」と言ってくれと頼みます。
 「原則零項適用」という台詞自体はこの作品に何回も出てきますが、それについてちゃんと説明しているのはこの部分だけです。私にはこれは、アシモフのロボット3原則を拡張した第零条、
 「ロボットは人類に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人類に危害を及ぼしてはならない」のことだと思うのですが、いかがでしょう?
 但し、この作品では、ロボット3原則中の「人間」は「生命」に置き換えられることから、この場合も人類ではなく、「生命全体」とでもなるのでしょうが。
 この第零法則があるとき、第1条には、「第零条に反する時はこの限りではない」という但し書きがつくこととなり、個々の人間(この作品世界では生命)に危害を加えてもよいことになります。戦闘によって生命を傷つけてしまう怖れがあるとき、こう人間に命じさせることによって陽電子頭脳が変調を来すのを回避しているのかもしれません。
 いちいち人間に宣言してもらわないと零項適用ができない、というところに機族としての自覚または良心のようなものを感じます。逆に言えば、それだけ人間の責任は重大ということでしょうか。
 しかしこの場面、和人は心は込めているようですが、あまり意味は分かっていないような……。

駄弁者:
 「人類」のために行動するのに当の人類からの同意が必要というのは、R・ダニール先生も感心しそうな案ではありますが…。心がこもっていれば意味は分かってなくても条件クリアというのでは、いささかザルな制限です(笑)。
 このマンガに出てくる機族はいい「ヒト」ばかりなんで、それでも十分機能してるみたいですが…。



「これでこの島も、南海の楽園に戻るだろう。しかし、自然はこの夕陽のようにいつも美しいとは限らないということを、忘れてはならない…」

 出典: 金城哲夫&上原正三脚本「ウルトラマン 第8話『怪獣無法地帯』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 科学特捜隊とウルトラマンの活躍で、多々良島のレッドキングをはじめとする怪獣たちは撃退された。そしてラストシーン。島でただ一人生き残った気象観測所員のマツイ所員が、死んだ仲間の墓を島の岬に作り、慰霊の言葉を投げかける。そのすぐあと、ムラマツ隊長が誰に言うでもなく呟いた言葉が上記の台詞である。
 昔から繰り返し言われ続けてきたことだが、「人類の科学は戦争によって進歩してきた」と言われる。しかし、決してそれだけではないと思う。人類の技術発展史は、「自然の猛威との戦いの歴史」でもある筈だ。気象観測技術とそれに伴う天気予報(本エピソードの事件の犠牲者は、まさにこの技術の専門家だった)、ビルの耐震・免震建築、橋やトンネルの構造力学の研究と工法、治水工事の能率向上……これらは全て、自然災害の犠牲者を減らす為に培われてきた力と技だ。そして、「怪獣出現も自然災害の一種だ」と捉えるならば、科学特捜隊の仕事はまさに「自然の猛威から人々を救う」ということになるだろう。そんなことをあらためて感じさせてくれるムラマツ隊長の呟きは、ステキな名文句だと思う。

駄弁者:
 怪獣対策のための科学は、地震や洪水のためのそれとはまた違った分野で発展しそうです。科学特捜隊の装備をから考えると容易に戦争のための科学にすり替わってしまいそうな気もしますが…。
>「怪獣出現も自然災害の一種だ」
 怪獣をハードSF的設定で登場させた山本弘「MM9」では、私たちの歴史で自然災害だったものが、怪獣災害になりかわっていたのを思い出します。



「ファイヤードラゴンは2、3時間で東京を焼き払うことも可能ですわ」

 出典: 本多猪四郎監督・馬淵薫脚本「怪獣総進撃」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 ゴジラをはじめとする地球怪獣連合軍の猛反撃によって、キラアク星人(何故か全員女性)の操る宇宙怪獣キングギドラは倒された。と、その直後、まるで手塚治虫の『火の鳥』を思わせるような全身から炎を噴き出す怪鳥が飛来、東京都心部を襲って人類を驚かせた。その時、キラアク星人が防衛軍司令部に動画通信で通告してきた言葉が上記の台詞である。
 「北の将軍様」とも呼ばれる某国の独裁者は日本のゴジラシリーズや寅さんシリーズが大好きで、ビデオやDVDを取り寄せて観賞しているという。その噂が本当で、この映画も見ているとしたら、きっと彼はこんなふうにツッコミ返したに違いない。 「バカめ。我が国のミサイルならほんの2、3秒だ」
 おぉ、怖い怖い……。

駄弁者:
>「バカめ。我が国のミサイルならほんの2、3秒だ」
 いや、比較がミサイルでは無粋なので「我が国の伝説の大怪獣プルガサリなら〜」とでも言ってほしいところです。



「決して、人間が自然の敵なんて事ではないんです。いくら科学文明を身につけて自然から独立したつもりになっていても、人間はやっぱり自然の一部なんですよ」

 出典: あさりよしとお「まんがサイエンス」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 1年通して地球環境をテーマにしてきた年度の3月号からの名台詞です。
 環境問題の複雑な因果関係に頭を抱えるレギュラー陣男子にあさりちゃんが、「全部原因は『人間』じゃない。人間が何かしなければ、自然には何も被害は出ないわ」と発言。
 大きなショックを受ける2人に追い討ちをかけるようにあやめちゃんも、「じゃあ人間がいなくなればいいのね!」とブライキング・ボスかブレインのしっぽのような言葉を。
 絶望する2人に専門家が自然のバランスのメカニズムについて話し、人間もその中で生きていると説明。さらに人類が環境問題に取り組み始めた事も指摘して、未来に希望が持つ事ができる事を告げます。
 「人間は自然の一部」というのはエコロジストがよく使う言葉ですが、ただ単に「だから自然を大切にしなければいけない」というのではなく、「自然のメカニズムと人間の科学技術が合わさる事で、未来に希望が持てる」という話しにもっていくのはなかなか斬新だと思います。

駄弁者:
 人間の手が入らなければ荒廃してしまう「自然」だってあるわけですから…。考え方としては、すごく新しいというものではないと思います。ただ、科学技術をどう自然ののメカニズムに合わせていけばいいかが分かるまで、当の自然が保ってくれるかなんですよね。
 …そう言えばGガンダムのこれも同趣旨?



「我々は、神は全能で、慈愛に満ちた存在だと小さい頃から教えられた。神は創造主であり、この世のすべてを司っていると…」
「それは、人間が畏れと願望から作り出した幻想です」
…(中略)…
「つまり、君の言う神と宗教とは関係がないということか?」
「宗教は神に対する畏れから生まれました。しかし、それを生んだのは、天才的な、あるいは妄想に満ちた人間なのです」

 出典: 今野敏「神々の遺品」

紹介 :バグ 様
HP :

コメント:
 神々の遺品からさらにもう一つ、
 「神は数字」と言った東堂少年に対してその場に立ち合ったアメリカ人のジョーンズ少将からの当然過ぎる質問に対する答えです。
 どんな偉大な宗教の開祖も彼に掛かればただの妄想狂に…(笑)
 世界中の宗教にケンカ売ってるように思える発言です

駄弁者:
 幻想だろうと妄想だろうと、その開祖に救われた人がいたのもまた確かなことなのですが…(そういう人は神は数字だと言ったら、救われなかったでしょうし)。
>世界中の宗教にケンカ売ってる
 「神は妄想である、宗教は有害無益である」と言い切っている進化論学者もいらっしゃいますので、どんな形であれ神の存在を認めているぶん、まだ和解の余地はあるのかも。



日本では、サイエンス・フィクションは、たぶん、テクノロジー・フィクションとイコールである部分が大きいのではないでしょうか。

 出典: ひかわ玲子「ファンタジーとSFの狭間で……(栗本薫「蜃気楼の少女(グイン・サーガ外伝16)」解説)」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 ま、よーするに、一般の日本国民にとって、ガーンズバックやヴェルヌの小説みたいなのだけが、sfってわけなのですね。だからこそ、以前投稿があったようなsfファンに対する罵詈讒謗が投げつけられるわけですが。確かに、「サイエンス・フィクション」というジャンルの小説が誕生した19世紀は、産業革命はなやかなりし頃で、次々に発明される新技術により、人々の生活が革新的なまでに変化した時代でした。そういう時代を背景に生まれたのが「空想科学小説」なので、小説の中に、テクノロジーが重要な小道具として出でこざるを得ないところも、確かにあります。が、もちろん、それだけではないのは、ヴェルヌやウェルズ以来、優れたsf作品に共通にみられるものであることを駄弁者さんは、ご存じですよね。

駄弁者:
 日本で「サイエンス」が「テクノロジー」と混同してイメージされている、という点には頷けます。しかし、「サイエンス・フィクション」が「テクノロジー・フィクション」とイコールになっている、というのはどうでしょうか。日本のSFはむしろアメリカのSFより思弁的な作品が先行していたと思うのですが(そのせいで敬遠されることが多かった?)。
>罵詈讒謗
 …とは、このご投稿あたりのことでしょうか。評した人たちは作品を本当に読んでの言葉だったのかな、と疑問に思います。



SFでは、よく、センス・オブ・ワンダー、という言葉が使われます。それを感じさせる作品が、優れたSFである、と。

 出典: ひかわ玲子「ファンタジーとSFの狭間で……(栗本薫「蜃気楼の少女(グイン・サーガ外伝16)」解説)」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 栗本薫の追悼もかねて。(四十九日も、一周忌もまだですので。)
 はじめまして、トオコ・モリエと申します。これからも、どうぞよろしく。
 このホームページを知って、はや半年。勇気を出して投稿しました。
 で、最初の投稿の文句は、絶対にこれ!と決めていました。理由は、SFファンの方々には、くどくど説明しなくても、お分かりのことと思います。
 だからこそ、以前投稿されたような罵詈讒謗をあびようと、私達は、SFを読むのですから。

駄弁者:
 その「センス・オブ・ワンダー」とはどんなものか、を分かってもらうのが難しかったりするのですが。
 ご投稿の出典について言えば、読者がセンス・オブ・ワンダーを感じるというよりも、登場人物が世界の秘密の一端に触れ「ワンダー」を感じる話だったように思います。「グイン・サーガ」の中でもストレートにSFらしさが表れていたエピソードでした。外伝ではなく本編で、この話につながってくる展開が欲しかったのですが…それもかなわぬこととなってしまいました。



あれからぼくたちは何かを保存してこれたかなあ。変化は無効だよ、運動量はもう決まっている――

 出典: イアン・スチュアート「2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴」(青木薫訳)

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 208集のパロディソングに対抗(?)してひとつ。量子場が「歌」の形で見れるという機械を使って電子の衝突を見るとどうなるか。
 投稿の文句はある電子が持つ量子場を歌に変換したもの。言うまでもないですが、SMAP「夜空ノムコウ」のパロディです。
 そしてもうひとつの電子の量子場が、「It’s electromagnetic! 側に来るだけで体中が熱くなってくる――」はい、宇多田ヒカル「Automatic」のパロディですね。
 この2つの電子が衝突するとどうなるか。
一方は「レプトンの未来は Wow Wow Wow Wow、クォークもうらやむ Yeah Yeah Yeah Yeah、相互作用しようじゃないか――」(モーニング娘。「LOVEマシーン」)に。
もう一方は「ハドロンは夜更けすぎに、原子核に変わるだろう。クォンタム・ナイト、フィールド・ナイト――」(山下達郎「クリスマス・イヴ」)に。
電子同士がフォトンを交換してエネルギーや運動量や電荷が変化したため、量子場が変化して歌が変わったんですね。 ……解説するのも馬鹿馬鹿しいですが。
 原典の歌詞はどうなってるんでしょうか。何にしても訳者の青木薫さんに乾杯ですね。ただでさえこの本、駄洒落とか言葉遊びが多いのに。

駄弁者:
 ワインなしで聞くなら、こっちのほうがいいです(笑)。
 それにしても、訳者は見事ですね。…ひょっとしてご本人もかなり楽しんで凝ったのではないでしょうか。



こんなに面白い話をしているのに、どうして眠ったりできるんだろう? そうだ、きっとワインのせいだ。

 出典: イアン・スチュアート「2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴」(青木薫訳)

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 ちょっと変り種からひとつ。エドウィン・アボット・アボット著の「フラットランド」を下敷きにした、幾何学と物理学の入門書です。
 2次元世界に生きるヴィッキー・ライン嬢はある日ひいひいお祖父さんのスクエア氏(「フラットランド」の登場人物)が残した日記を見つけます。曰く、世界には3次元やそれ以上の次元の世界が存在する……。
 その日記に書かれていた召還術を試してみると、あらゆる事象を内包した「マセバース」という世界の住人、スペースホッパーがやってきて、ヴィッキーをあらゆる世界に連れ回しながら幾何学や物理学を教えることになります。
 3次元、4次元、フラクタル次元、トポロジー、射影幾何学、有限幾何学、有限射影幾何学、変換群、対称性、非ユークリッド幾何学、
 量子力学、相対性理論、重力、時間的曲線、ビッグバン、大統一理論、超ひも理論などなど……
 一冊の本によくこれだけの内容を詰め込んだ、というところでしょうか。文章も分かりやすいし、解説される側のヴィッキーも途中で自棄になって投げ出しちゃったりと親近感がわきます。
 ちなみに投稿文句の「面白い話」とは、
「素数べき乗の次数を持つ有限射影平面は必ず存在することが証明されているが、他の次数ではどうだろうか。 例えば次数10の場合はラムスティールスヴィアーチュアンドマッケイが9年かけて存在しないことを証明したが、なんと次数12は未解決で、同じ方法だとその何万倍もの時間がかかるが……」
というような話。ワインを飲みながらこの話を聞いて(聞き流して)いたヴィッキーは、翌朝ひどい二日酔いに悩まされたそうな。
 このスペースホッパー、「エンディミオン」の宇宙船みたいなところがありますね(くだらない駄洒落や言葉遊びができるくらいには人間的ですが)

駄弁者:
 面白い面白くない以前に理解が……。なんだか別の意味で次元の違う話です。聞き流すにはさぞ大量のワインが要ったのでしょう。



余は余の感情が趣くままに戦闘ロボット軍団員に命を与えた。その一人、トップガンダーが己の意思を持ち、敵メタルダーとの心の交流を持った。絶対服従であるはずの戦闘ロボットが、何故、何故なのだ。

 出典: 折田至・小笠原猛監督・高久進脚本「超人機メタルダー 第6話『怒る!ヘビー級王者ガルドスをKOせよ』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 メタルダー暗殺に失敗した戦闘ロボット軍団・暴魂トップガンダーに対して帝王ゴッドネロスは反逆者として銃殺刑にするよう命じます。しかし、トップガンダーはメタルダーとの決着をつけるため、刑の執行直前に脱走します。追手の追撃を受けて傷ついたトップガンダーは、皮肉にもメタルダーに助けられます。トップガンダーを基地に運び、ロボット犬スプリンガーの反対を押し切って修理するメタルダー。トップガンダーは命を救われた礼に、ゴッドネロスの正体を知りたければ亡くなった古賀博士の足跡を追えとメタルダーに告げるのでした。回復したトップガンダーはメタルダーとの再戦を約束して、己を鍛えるために何処かへ去っていきます。そしてメタルダーはトップガンダーを追ってきた戦闘ロボット軍団のナンバー2、豪将ガルドスと対決し、ボクシング殺法と頭部から放つ電撃に苦戦しながらも、なんとか引き分けに持ち込むのでした。投稿したのはラストに流れる帝王ゴッドネロスの独白です。人間でありながら人間らしい感情を持たない彼は、自分が作ったロボットが心を持ったことが理解できないようです。

駄弁者:
 第6話、第20話からご投稿をいただいたのですが、ゴッドネロスのだいたい同趣旨のセリフだったので、こちらのみ掲載させていただきます。
>絶対服従であるはずの戦闘ロボットが、何故、何故なのだ
 ある企業に絶対服従するプログラムを与えられた主人公が「その企業の目的をもっともうまく実現できるのは自分の判断力である」という理屈でもって結局自由に動ける…というSFがありました。高度な判断力をもったロボットも同じような論理で「絶対服従」の仕方を選べるようになってしまうものなのでは。



「今や我々人類は、宇宙に向けて新しい歴史の1ページを紐解こうとしている。こうして近い将来、長年の夢であった宇宙旅行も可能となる日が来るだろう。しかし、我々は、普段なにげなく住んでいるこの地球上にも多くの謎が残されていることを忘れてはならない。この物語は、そうした『残された地球の謎』の一つから始まる」

 出典: 黒沼健原作・関沢新一脚本「大怪獣バラン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 映画のオープニングナレーションである。
 タイトルロールの直後、北○鮮のテ○ドンそっくりのダサいロケットが、人工衛星を載せて打ち上げられる……そんな場面にかぶせて語られる、妙にハキハキした口調のナレーションだ。「新しい歴史の1ページ」や「長年の夢であった宇宙旅行」など、ずいぶん古さを感じさせる。しかし、怪獣映画としてのテーマや基本設定はむしろゴジラやラドンよりも遥かに普遍性が高い。何故なら、ナレーションからも解るとおり、「この地球上には科学では解明出来ない多くの謎があり、怪獣というものもその一つだ」という、実に大ざっぱな設定で出来上がっているからだ。こうした(良い意味での)大ざっぱな作り方が、この作品を時代に左右されることなく楽しめるものにしているのではないかと思う。べつに「水爆実験の放射能で…」という設定が古くて見ていられないということもないが、ともかく、このオープニングナレーション、見る者を一気に大怪獣郷へと引きずり込む催眠効果を持つ、不思議な名文句ではある。

駄弁者:
 前に、怪獣が何類になるのかと聞かれて「怪獣類」と答えている名文句があって、いっそその方が納得できると思ったものですが、「残された地球の謎」とするこちらはその上をいってます。
 まあ、恐竜だけどムササビ型、というバランは分類するとしても「謎」としか答えられないかも知れませんが…。



とことん知り尽す──それが科学だ

 出典: 星野之宣「悪魔の星 (2001夜物語 第八夜)」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 太陽系外縁で発見された第十番惑星・魔王星。その惑星の開発に反発するローマ教皇庁と環境保護団体により拡大する反対運動の中で、魔王星が反物質の固まりであるという、とてつもないエネルギー源であることを掴んでいた開発推進派幹部の発言。
 その思惑はともかく、科学というものを、これ以上簡潔に説明した言葉を、私は知りません。

駄弁者:
 それが何の役に立つのかということより、知ること自体が目的であり、喜びであるとするのが科学の「知り尽くす」だと思うのですが。
 このセリフの場合、知り尽くした結果起こることを利用する気満々ですね。



「神は数字であり、星なんです」

 出典: 今野敏「神々の遺品」

紹介 :バグ 様
HP :

コメント:
 神々の遺品からもう一つ、失踪した少年、東堂由紀夫が見つかり先程の数字の羅列と神との関係について質問したところ返ってきた答えがこれです。この後全ての数字の説明をしてくれます。
 多分この世にいる全ての数学者が思っているであろうセリフだなぁと思いました。

駄弁者:
 全ての数学者が思っているかは分かりませんが、元祖数学者のピタゴラスはまさにそう思っていたんでしょうね。
 でもピタゴラスは無理数を認めなかったというから、「神々の正体」にルート2やルート3が出てくる下の名文句は、きっと気に入らないだろうとも思います。



3.1415
1.41421356
1.7320508
2.2360679
1.61803398
2.7182
19.5
72
36
108
4320
25920
195955200000000

 出典: 今野敏「神々の遺品」

紹介 :バグ 様
HP :

コメント:
 ある日探偵、石神のもとに失踪した友人を探してほしいと一人の少女が依頼に来ます。
 捜査を進めて行くとどうやら殺人事件に巻き込まれたらしいことが…
 上記の数字は彼がHPに掲載し何者かに書き換えられた一文で、彼曰わく「神々の正体を数字で解き明かした」と書いてありこれがその証明らしいのですが…
 数学嫌いのワタシは、つい考えるのを放棄してしまいました

駄弁者:
 最後は「42」で終わっているんじゃ……ないんですね。
 最初のπはおくとして、その次からは「ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ」「ヒトナミニオゴレヤ」「フジサンロクオームナク」…と、つい懐かしの語呂合わせに翻訳して読んでしまいます。



「バカ! 我々が負ける筈は無い! 地球に負ける筈は無い!」

 出典: 関沢新一脚本「怪獣大戦争」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 全てコンピューターの予測どおりに行動し、計算ずくで地球侵略を企むX星人。彼等はゴジラ、ラドン、キングギドラの三大怪獣を電波で操り、人類に降伏を迫る。が、主人公の妹の彼氏が発明した護身用警報機の音響がX星人の神経を狂わせることが判明し、人類は猛反撃に転じる。更に、X星人の怪獣コントロール電波を遮断する効果を持つ強力電波(劇中では「Aサイクル」と呼ばれる)まで放射され、X星人たちは神経だけでなく、侵略計画まで狂わされてしまった。
 地球に潜伏していたX星人の先遣隊(劇中では「地球基地挺身隊」)は大打撃を受け、その隊長が統制官へ「…地球基地は、も、もぉダメです」と無線連絡。それを受けた統制官が逆ギレ気味に返した言葉が上記の台詞である。この直後、地球基地挺身隊から「救助命令を出して下さい! 救助命令を!」と泣き付かれても、統制官は「許さん! いまに計算どおりになる!」と突っぱねるのだった。
 我々が負ける筈は無い。アメリカに負ける筈は無い。いまに神風が吹く……そんな馬鹿みたいなことを信じ続けて滅亡した日本帝国を思い起こさせるような、哀しくも恐ろしい名文句(迷文句?)である。

駄弁者:
 データと計算がすべてのコンピュータに頼るX星人と、精神論に走ってしまう旧軍とでは一見正反対のようでありながら、何かを盲信してしまうというころで相似になってしまう。意識した設定なのかどうかは知りませんが、そう考えると面白いですね。



それは小さな胸に宿る、大きな決意。
人の命が、もしも地球より重いなら。
私の小さな決意は、地球よりも重い。

 出典: 竜騎士07/07th expansion「ひぐらしのなく頃に解」

紹介 :海並童寿 様
HP :

コメント:
 正解率1%のミステリがなんでSFなんだ、と言われるとネタバレで非常に困るのですが(笑)
 これは一連の事件の深部に関わる(ある意味黒幕とも言える)人物の幼い日の述懐です(ちなみに、本編中にこのセリフが出てきた時点でその人物が黒幕だということはバレていますので、ご安心を)。
 一途な思い、強固な意志はしかし、いつしか行方を見失い、最大2000余名の人間を生贄にする惨劇を導くことに……。
 茶化すようですが、大抵のマッドサイエンティストって一途でまっすぐではあるんですよね、己の信じるところに対して。

駄弁者:
 SFにしてしまったことには賛否両論あるんでしょうが、ミステリを期待して謎解きを考えていた人にとっては、ちょっと納得できない展開だったんじゃないでしょうか。



川村繁「中に奇妙な動物が居るんです」
保安係「熊か猪ですかな?」

 出典: 黒沼健原作・村田武雄・木村武脚本「空の大怪獣ラドン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 ストーリー序盤。炭坑内で諍いを繰り返していた二人の炭坑夫のうち一人が惨殺体で発見され、残る一人も行方不明に。警察官と炭坑夫数名が坑内を捜索したが、その彼等も何者かに殺されてしまった。犯人は全長3メートルの巨大昆虫メガヌロン(凄いインパクトで登場するが、単にラドンの栄養源にすぎないキャラ)で、そのメガヌロンが主人公川村繁(演・佐原健二)と恋人キヨ(演・白川由美)の家に侵入。繁とキヨは冷静沈着に玄関から脱出し、炭坑の保安係と駐在巡査に助けを求める。そして家の前まで案内し、玄関を指差しながら保安係と交わした会話がこれである。
 東宝の初期の頃のSF怪獣映画に共通する特徴として、不用意に「怪獣」という言葉を使わないという点が挙げられる。それは作品の基本設定と世界観が、映画公開当時の現実世界そのままであるからだ。つまり「怪獣なんてものはこの世に存在しない」という大前提でドラマが作られているのである。そうした約束ごとの上にある以上、劇中人物の頭の中には怪獣というものの概念も、怪獣という語彙そのものも、全く無いのは当然といえば当然なことだ。しかも「奇妙な動物」と聞いて「熊か猪」程度しか想像出来ない保安係……なんとも異様なリアリティである。ただ、この台詞、同録(撮影時にカメラを回しながら同時にマイクで台詞を拾い、録音するというやり方)であるらしく、ちょっと聴き取りにくい。ひょっとしたら脚本には無い台詞で、本多猪四郎監督が現場で思いつき、俳優たちに口頭で付け足した台詞なのかも知れない。そうだとしたら、本多監督の判断は実に的確だ。以上、「隠れた名文句」としてこの台詞を紹介した。

駄弁者:
 「熊か猪」でリアリティが出るのも、時代だなあ、と。今だったらワニとかカミツキガメ程度なら平気でいそうです。「奇妙な動物」が身近という点では現代のほうが特撮に近い…?



「我々、七人は全員人類だ。人類の危機には間違いない」

 出典: 小林泰三「正直者の逆説」  『モザイク事件帳』に収録

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 ジャンルは「???ミステリ」となってますが、全多元世界の結果を利用して世界をシミュレートする「万能推理ソフトウェア」なんていうものが出てくるあたり、間違いなくSFです。
 人類は今とてつもない危機にさらされている…ということで呼び出された探偵Σですが、その人類の危機というのが、吹雪で孤立した館で起こったただの殺人事件だと聞いて呆気にとられます。そこで、依頼をした丸鋸博士が言った一言がこれ。らしいといえばらしいです。
 「超限探偵Σ」の続編にあたる話ですが、Σよりもオチと経過は馬鹿馬鹿しいですね(笑)
 この話の登場人物は「丸鋸遁吉」を初めとして、「金盥難美」「金盥怠司」「平平平平」など、変な名前ばっかりなのも気になります。

駄弁者:
 あてはまるのがごく一部でも人類は人類? そういや「世界平和」も「環境保全」も、人類の願いと言ってるわりにはそれに反している人が多いですしね。



2003年4月7日に 未来のロボが生まれなくても
紹介 :ていおんか 様 → 第129集


夢は信じるところから始めないといけないのよ。そうでないと叶うものも叶わなくなるからね。宝くじは買わないと当たらないわ。誰かが一億円の当たりクジをくれないかなあなんて思ってても、絶対そんなことないんだからね!

 出典: 谷川流「涼宮ハルヒの消失」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 どうもこの話がようやくアニメ化される気配のようなので。
 ネタバレにならないようにストーリーを解説すると3巻まででちと扱いが酷かったこの子やあの子が一矢報いる話……といった感じでいいのでしょうか。
 誰の発言なのかは……まあこのシリーズを知っている人なら言わずもがなでしょう。
 言っている本人はあの反則的な能力さえなければ僅かな儲けに気を良くして大金をつぎ込んで失敗するタイプのような気もしますが。

駄弁者:
>どうもこの話がようやくアニメ化される気配のようなので。
 こないだ、この話に向けた伏線の第一歩を踏み出したようですが。
 ご投稿の文句は…たしかに名文句なんですが、信じた夢をムリヤリ本当にしてしまう子の言葉だと、ちょっと素直に聞けないなあ(笑)



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第209集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第211集を見る