SF名文句・迷文句第208集

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「ねえ、今度のことで一番胸にこたえたことの一つは、あんなにも安全で確かなように見えた世界が、何とまあ簡単に消滅するものかってことをしったことよ」

 出典: ジョン・ウインダム「トリフィドの日」(峯岸久訳)  『世界SF全集19』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 イギリスの作家、ジョン・ウインダムの作品から投稿します。
 毒を持ち、歩き回るものの高純度の植物油が抽出できる植物。トリフィド──ある人物により、ソ連から持ち出されたそれはその人物が飛行機事故により、死亡した際にヨーロッパ中にばらまかれ、世界に知られることになりました。
 定期的に毒をもつ棘毛を切り取ることで無害にできる事が分かると人々は栽培場を造り、大規模な生産事業に乗り出しました。  しかしある夜、状況が一変する。緑色の流星雨の降り注ぐ様を見た人々が失明してしまったのだ。偶然目の治療中で失明からまぬがれた主人公は、トリフィドの攻撃やキリスト教原理主義者たちのコロニーを、同じく失明からまぬがれた女性と一緒に安住の地を求めてさまよいます。
 投稿したセリフは、主人公と一緒にさまよっていた女性、ジョセラが言った台詞ですが、確かにいつ、何が分かるかなんて誰にもわからないものね。冷戦の頃には、こういった危機感は今よりも接辞だったと思いますし。ちなみに私、てっきりトリフィドが人々を襲って軍隊と戦うパニック小説だと思っていました(笑)。だってSF辞典にのっているあらすじを読むとそんな感じなんだもん!

駄弁者:
 いや、最初に読んだときはそんな感じの話を予想していたと思います。小学生のとき読んだ少年少女SF文学全集のタイトルは「怪奇植物トリフィドの侵略」でしたし…。創元版『トリフィド時代』(井上勇訳)を読んだのはだいぶ後のこと。
 実際は、流星雨の結果のほうがはるかに脅威ですよね。トリフィドの恐怖はその派手な副産物程度で。



どうして、きみのような、ちゃんとした、尊敬されている社会人が、こんなひどいことをやったんだね?

 出典: ハリイ・ハリスン「大西洋横断トンネル、万歳!」(水嶋正路訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 イギリスとアメリカを結ぶ大西洋横断トンネル。トンネル建設会社の主任技師であり、工事現場の責任者であるオーガスチン・ワシントンは、工事現場で頻発する事故が、反対勢力の破壊工作で有ることを突き止める。探偵会社の調査員の協力を得て破壊工作の黒幕を捕らえた彼は、驚きのあまり立ちすくむ。その黒幕はトンネル会社の役員であり、アメリカ金融界の大立者であったのだ。
 紳士として知られている人物は、徹頭徹尾紳士であると考えることの出来るワシントンはある意味もの悲しく、滑稽に写ります。黒幕にも、「君は人間ではなくてトンネル掘りの機械だ」と揶揄される始末(この人物は株式取引の失敗という弱みを握られて破壊工作に関わります)。騎士道精神という物がまだ生きていたのであれば、それは幸せな時代といってもいいのかもしれませんが。
 探偵会社がピンカートンというところは、読者をにやり、とさせてくれます。

駄弁者:
 ワシントンさんは、アメリカ独立に失敗したジョージ・ワシントンの子孫とのことですから、紳士は桜の木を切ったら正直に告白するものだという家訓でもあるのかもしれません。



きれいごとや理想なんてね、生きてなくちゃ語れないんだよ

 出典: 有川浩「塩の街 wish on my precious」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 主人公の古い知り合い(決して旧友とは言わない)が塩害の調査のために人体実験をしていると知ってしまったヒロイン。
 酷いと言う彼女に、逃げ出した被験者を看取ったことがあるからだとあくまでも理知的に、合理的に、そして徹底的に追い詰めていく知り合い。
 この人の書く本には必ず一人はいるような冷静に怒るタイプの人だったのが運のつきですな。
 そういうキャラは好きなんですが。

駄弁者:
 前のご投稿もこの知り合い、入江のセリフからでした。
 読む分には私も好きなキャラクターなんですが、あまりお近づきにはなりたくないですねえ(笑)。



突入し、戦闘開始から二十分。一人も深刻な負傷者が出ていないなどあり得ない。あり得ない話は仕組まれてる

 出典: 有川浩「塩の街 wish on my precious」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 文庫が先に出てハードカバーが後というちょっと珍しい作品から。
 宇宙からやってきた塩の塊をぶっ壊すため、在日米軍の基地に行って爆弾積んだ戦闘機かっぱらって来いという無茶をする主人公。が、実働部隊に知らされていないだけで実は上の方で話が付いていたと。

駄弁者:
 前にご投稿があったときに電撃文庫版で読んだ身としては、一般文芸ふうのハードカバー版の装丁に、苦笑してしまうのですが。
 ラストのアクションよりも、そこに至るまでの主人公二人のやりとりが淡く印象に残る作品でした。



「ねえ、ジョーディ、一つの電球を取り替えるのに何人のロムラン人が必要だと思う?」
「さあ、分からないな。何人だい?」
「二人。電球を替えるのに一人と、そいつを殺して自分の手柄にするやつが、もう一人」

 出典: W.R.トンプスン「 新宇宙大作戦『奴隷惑星メガラ』」(斉藤伯好訳)

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 クリンゴン人士官ウォーフの息子アレキサンダーと、エンタープライズの機関長ラフォージの会話から。
 今でも各国人の特徴を皮肉とユーモアを込めて表現する「○○人ジョーク」というのはありますが、24世紀になっても似たような文化は残るんでしょうね。

駄弁者:
 やっぱり出羽さんからいただくなら、STのご投稿でないと。出典は小説オリジナルのTNG作品より。
 電球ネタはエスニック・ジョークの定番、異邦人が異星人に変わってもこの手のユーモアはなくならないでしょう。
 けど問題は、電球なるものがこの時代の人間に通じるかどうか。
「なあデータ、電球ってなんだ? エネルギー・ユニットの一種か?」



「納得できるけど、納得しなぁい!」

 出典: AIC制作「天地無用!魎皇鬼 第1話『魎呼復活』」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 700年の封印から目覚めた伝説の宇宙海賊・魎呼は、腹いせに自分を封じた男の子孫である一介の高校生、天地を襲撃する。宙を舞い、ビームを放つ人智を超えた力に、天地は思わず「化け物!」と叫ぶ。その言葉に乙女心を傷つけられたのか、魎呼は自分のどこが化け物かと反問するが、天地に即座に異論の余地のない事実を山ほど並べ立てられ、つい逆ギレ。その際の一言。
 論理を受け入れるには感情を抑えなければならないことを端的に表した名言という解釈も、その気になれば可能です。

駄弁者:
 161集以来のご投稿、お久しぶりです。
 「天地無用!」シリーズ、もうだいぶ前の作品になっていまいましたね(一度も見ずじまいでしたが、名前はよく聞きました)。
>論理を受け入れるには感情を抑えなければならない
 「納得できる」と一応認めてるぶん、まだしも人間が(人間じゃないけど)できている?



デジタル音楽機器としての機能は勿論、柄に特殊金具を装着させることにより部屋を掃除するコロコロとしても使える大業物!!虎鉄Z-U(セカンド)だ!!

 出典: 空知英秋「銀魂 第百五十八訓『最近のは色々機能つきすぎ』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 やっぱりSF世界の侍、それも特殊警察のトップともなると刀の性能も現実の刀とは全然違うんですねえ(棒読み)。

駄弁者:
 この刀を持って「今宵の虎徹(…じゃなくて虎鉄か)は血に飢えておるわ」なんて言ったら指さして笑われそうです。



社長、そういう考えこそがバグなのかもしれませんよ

 出典: 倉田嘘「リンケージ」  同名短編集に収録

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 シリコンバレーにあるとある企業の研究機関で愛情を有する知能システムを開発することになった研究員のリカ=フォン=ローゼンバーグ主任はそのための情報を他の開発者のようにただデータとして与えるだけでなく実際に「見て触れて感じさせる」必要があると考え、研究に使う筐体として与えられた少女型アンドロイドをエルダー(通称エル)と名づけて世話をしていました。
 リカの行動が功を奏し、次第に楽しそうに笑ったりするようになるエルですがある時彼女は「もっとリカを感じたい」という衝動によってリカを押し倒してしまいます。
 たまたまその場に居合わせたリカの会社の社長は女性型であるエルが女性であるリカに恋心のようなものを抱くのは明らかなバグだとして修正プログラムの作成を命じるのですが、エルが見せた感情を異常だと感じなかったリカはそのことにショックを受け――
 これ以上はネタバレになるのでどうしても続きが知りたいという方は実際に読んでみる事をおすすめします。
 それと一つだけ断っておきますがWikipediaなどによると現代の精神医学では同性愛そのものは性的嗜好ではなく性的指向であるためそれのみを理由に治療の対象とはならないとされているそうです。
 だからといって特定の性的嗜好(槍玉に挙げられやすい所で言うとロリコンなど)を持つ人間をそれだけで頭ごなしに否定したり無条件で人でなし扱いするのもどうかと思いますが。

駄弁者:
 読んでないので的外れかも知れませんが、エルの行動がバグかどうかを論じる前に、何をもって「愛情」とみなすかとちゃんと定義しておけばいいのに、と思いました。
 そもそも、愛情を持つべく開発されたロボットがそれっぽく行動することを「愛情」とみなすべきなのか、ということは問題にならない? 「機械は恋することはできません、でも…(中略)…女にはできるんです!」とは、この道の古典での言葉です(アイザック・アシモフ「お気に召すことうけあい」 『ロボットの時代』に収録)。



「君はよく『日本の科学はアメリカに比べたら月遅れの雑誌みたいだ』と言っていたね。ところが、人類の科学なんてミステリアンに比べたらまさに年遅れの雑誌以下だ。僕がこうしてテレビで君と話をしているのを見ても、ミステリアンの科学がどんなに優れているかが解るだろう? 負けるに決まった戦争はよすんだ。いいな」

 出典: 丘美丈二郎原作・木村武脚本「地球防衛軍」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 本作品は昭和三十二年(1957年)の日本のSF映画である。東京タワーも黒部第4ダムも、まだ工事中の時代だ。そんな時代に「異星人の侵略から地球を守る為に全世界が一致団結する」という映画が作られていたことに驚かされる。
 上記の名文句は、主人公渥美譲二(演・佐原健二)の親友で科学者の白石亮一(演・平田昭彦)が侵略者ミステリアンに利用されているとも知らず、テレビ電波をジャックし(それだけで何故か音声入力の双方向テレビになってしまうのだが)、圧倒的な科学力の差を示唆して防衛戦争の無意味を説く場面での台詞。「日本の科学はアメリカに比べたら…」という部分が実に正直で好感が持てる。確かに当時の日本は100%自前の技術で東洋最初のテレビ放送を実現させたり、真空管からトランジスタへ代わる過渡期の半導体として後藤式パラメトロンを完成させたりなど、エレクトロニクスの分野で大きな飛躍を見た時代だった。が、世界的レベルに照らして見ればまだまだ三流国で、極東の貧しい小国にすぎなかった。そうした実情を、この台詞からストレートに汲み取ることが出来る。技術立国日本の黎明期に咲いた徒花(あだばな)として、この映画を再観賞すべし。

駄弁者:
 日本の国際連合加盟がその前年だったことを思えば「全世界が一致団結」という点では今より新鮮味のある理想だったかも知れません。
>月遅れの雑誌
 技術こそ一流になりましたが、それを発表する雑誌という点では、まだ日本は米英に月遅れかも知れません。日本人の科学成果でも、発表が注目されるのは「nature」や「Science」でしょうし。



「当たり前のことを言うな」

 出典: カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」(伊藤典夫訳)

紹介 :マッキー 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです。お邪魔しております。
 どんな時でも、自分を正直に認めること、正々堂々としていること、へこたれない事は大切ですね。
 作中人物のアメリカ人捕虜ラザーロはイギリス人捕虜の一人へ罵倒の言葉を吐きます。
「この×××リかき!」
イギリス人捕虜はただ上の文句を返すのでした。

駄弁者:
 言ったのがアメリカ人で、堂々と返したのがイギリス人というのが、妙にしっくりきてしまいます(アメリカさんには悪いですが)。
 シャバでならこの甲斐性なしめ、という意味になったんでしょうが、お互い捕虜の身でこれを言ったら、天に唾することに…。



「人間の体に合わせて作られた『家』……『家具』……そして『道具』……
 それをそのまま使いこなすためのロボットというのは……
 つまり、人間と同じ姿、同じ大きさのロボットでなくてはならないのです」

 出典: あさりよしとお「まんがサイエンス」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 204集の「道具としては驚くほど非能率的な形態です」に対する反論っぽい感じで。
 レギュラーメンバーが「なぜロボットに足が必要か」と考えていたところで専門家が登場、日常生活の様々な点が足で歩く人間に合わせて作られている以上、ロボットも人間同様足で歩いた方が効率的(人間に可能な事はだいたい可能である・姿形が同じならロボットに見たまま模倣させればいい)という事を説明します。
 SF作品というだけで見れば人間型である理由は薄いかもしれませんが、現実的に(実際にロボットが社会に出たらどうなるかと)考えると、やっぱり人間型の方が何かと都合がいいのかもしれません。

駄弁者:
 非能率というのは、人間用の道具や設備をそのまま使いこなせるロボットを作るのにかかる技術や費用を計算に入れてのことかなあ、と考えました。…ハサミを使いこなせる手をもったロボットを作るより、最初から手にハサミの機能がついたロボットを作る方が楽なんじゃないかと。
 道具を使いこなせる人間型ロボットを簡単に作れるようになれば、確かに人間型のほうが効率的になるんでしょうが。



Born in a science lab late one night
Without a mother or a father,just a test tube and a womb with a view
(ある晩、科学研究所で生まれ落ちた だから母さんも父さんもいない 
 試験管が子宮管なのよ)

 出典: ウィアード・アル・ヤンコビック「I think I’m a clone now(クローンの世界)」(米持孝秋訳)  『Fat』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ある年代の人には判る、パロディソングの帝王アル・ヤンコビック。
 彼が何を思ったか、クローン人間を題材に曲を作っていました。
 ペトリ皿の上で作業しただの、染色体まで一緒などと雰囲気は十分。
 アイドルポップス的な曲に乗せて歌われると少々気味悪かったりします。

駄弁者:
 パロディの原曲を知っていたら、もっと面白かったんだろうなあ。
 歌詞にある「'Cause every chromosome is a hand-me-down」…染色体がお下がりだから、というのが哀しいです。
 題名で検索したらYou Tubeがヒットしたんですが、スターウォーズのクローン兵士(+フェット親子)の動画でバックにこの曲がかかっていたのには、哀しいと言いつつちょっと笑ってしまいました。



もうそんな悪い夢は忘れておしまい

 出典: 清水玲子「月の子」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 異能の者たちの働きによって、世界は破綻せずに現在を迎えられた、というSF小説は多々あります。しかし「月の子」は逆を行きました。私たちはもっと幸福な現在を得られたはずだった。しかし、異能の者たちが暗躍した挙句の現在は、チェルノブイリ原発事故や天安門事件を引き起こした、絶望的なものでした。  私たちは悪夢の中に生きているのです(3/30)。

駄弁者:
 チェルノブイリや天安門の後でもいろいろ続く天災、人災を考えると、悪夢はなかなか覚めてくれないようですね。
 人魚なり異能者なりのせいにできれば、まだしも気楽なのかも知れませんが…。



わたしの一生は幸福でした。
(幸福ですって?)
ごらんなさい。カムロミは永遠にわたしの法被を着続けてくれるんですよ。

 出典: 小林泰三「海を見る人」  同名短編集に収録

紹介 :ていおんか 様
HP :

コメント:
 小林泰三はホラー出身(といってもホラーSFですが)ということもあって、ハッピーエンドの作品が少ないような気がします。
 ということでこれは珍しくハッピーエンドな作品。
 いや、話自体はあんまり救われない話なんですが、本人が幸福だったというんだからきっとハッピーエンドなんでしょう(笑)

駄弁者:
 時間の流れる早さの違う「山の村」の少年と「浜の村」の少女の初恋と、その切ない行く末の物語。
 この作品のすごいところは(短編集の収録作すべてそうなのですが)、叙情的なファンタジーとして読めるものでありながら、設定が検算に耐えうるほどのハードSFだというところでしょう。わたしは数学まったくダメなので、設定を丸のみしてストーリーだけを楽しんだのですが、興味のある方はこちらのサイトをご覧になると良いかと(わたしは見てもよく解らなかったのですが)。
>本人が幸福だったというんだからきっとハッピーエンド
 カムロミの悲恋が引き延ばされて続いていると考えれば、あんまりハッピーともいえないですよね。



なんつ〜夢見ちまったんだ!!フロイト先生も爆笑だっぜえ〜!

 出典: 谷川流原作・志茂文彦脚本「涼宮ハルヒの憂鬱 最終話『涼宮ハルヒの憂鬱Y』」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 つづいては主役(仮)のキョン君の名言から。ある夜に不思議な夢を見た後の台詞ですが、原作の「ぐあ、今すぐ首つりてぇ!」よりこっちの方が良いですね。
 原作は1巻しか読んでないのですが、全ての元凶と言われるハルヒの能力はハルヒ自身にとっては何の役にも立ってないんですよね(本人は気づいてもいないし)。むしろツンデレ美少女の神様・クールビューティの宇宙人・ロリ巨乳の未来人・解説役(?)の超能力者に囲まれ、さらには光の巨人&秘密戦隊と男の子の夢を満喫(?)している受益者はキョン君なんですよね。皆が気づいてないだけで実は彼が能力者というのが最期のオチではと思う今日この頃です。<マテ
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 私も4巻「〜の消失」までしか読んでないのですが、そのオチに同感です。
>「ぐあ、今すぐ首つりてぇ!」
 原作でもこの直前に「フロイト先生が爆笑しそうな、そんな解りやすい夢を俺は見ていたのか。」というのが地の文にあるので、それをセリフに出すとこうなる、というところでしょう。



禁則事項です

 出典: 谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 アニメ新シリーズの開始を祝って、「涼宮ハルヒの憂鬱」から投稿いたします。未来からやってきた「時をかける萌えキャラ少女」朝比奈みくる(笑)。彼女に与えられた任務は時間と空間に多大なる影響を与え続ける特異点・涼宮ハルヒの監視であった。
 というわけで、ハルヒ長門さんの名文句が採用されてるからには、当然みくるちゃんのも入れなくては!!(<マテ)169集の迷言も良いですが、みくるちゃんといえばやはりこれでしょう(笑)。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 いろいろ言動に禁則が多いわりには、キョンに自分が未来人だと告白するあたりは全然問題がないのが不思議(笑)。



ハイアイアイ群島の発見者はスウェーデン人のエイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストである。彼は日本軍の捕虜収容所から脱走してハイダダイフィ島に漂着した。

 出典: ハラルト・シュテンプケ「鼻行類」(日高敏隆/羽田節子訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 1941年にその存在が世界に伝えられ、1957年に核実験の巻き添えで島ごと海中に没するまでに、南部太平洋のハイアイアイ群島で発見された驚くべきほ乳類「鼻行類」の生態を伝えた唯一の観察記録(の体裁を取ったSF)。
 作者はここで注意深い読者に対してさりげなく、この作品が眉唾物である事を伝えています(スウェーデンは2次大戦中は中立を維持。中立国人がなぜ、太平洋域で捕虜になるか?)。
 ここで展開される理論が、生物学的にはどれくらい正しいのかは判りませんが、これくらい真剣な無茶をやってくれる人が日本にもいて欲しいものです(筒井康隆や椎名誠ではまるっきり別世界の生物ですから)。

駄弁者:
 この部分で「鼻行類」がフィクションだと悟るという人は、なかなかいないんじゃないかと思いますが…。
>これくらい真剣な無茶をやってくれる人が…
 科学論文の体裁をとったSFということなら、石黒達昌の芥川賞候補作品「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士、並びに、」などは一脈通じるものがあると思いますが、ボリューム的には及びませんね。



何をもって自己実現と?
今この瞬間が長・短期的に最善の選択ならその積み重ねは最善の生では?

 出典: 士郎正宗「攻殻機動隊2」

紹介 :power_of_math 様
HP :

コメント:
 激しい電脳戦を終えたあとのエピローグで、主人公の荒巻素子が審霊官の環と交わす会話からです。
 今度現実逃避に陥りかけた自分に気づいたときには、自問して見ようかと思いました。

駄弁者:
 その通りではあるんですが、そういう「最善の選択」が簡単に積み重ねられるなら苦労はしない、というところです。いま現在の自分のことをよく考えもせず「自分さがし」とか「自己実現」とか言い出す人間には煎じて飲ませたい言葉ではありますが。
 それはそうと、この「攻殻機動隊2」、読んでていまいち意味がわからないところが多かった作品です。もう一回チャレンジするにも気合いが要りますし。



艇長「全員そのまま聞け。我が隼号の任務は只今を以て終了する。もはや妖星ゴラスから脱出する方法は無い。しかし、我々が送った貴重な観測データは、必ずや全世界の人々から感謝されるものと確信する。皆、最後までよく頑張ってくれた。ありがとう」
乗組員たち「バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!」

 出典: 丘美丈二郎原案・木村武脚本「妖星ゴラス」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 ストーリー序盤の見せ場。日本初の土星探険ロケット「JX‐1・隼号」が火星軌道を通過したあたりで、パロマ天文台から「太陽系に向けて接近中の新天体を発見。ゴラスと命名」との発表があった。たまたまゴラスに最も近い位置にあった隼号は急遽任務を変更し、ゴラス観測に向かう。が、その星は単なる流星や彗星などではなく、軌道の狂った赤色矮星で、質量が地球の6000倍もある超重力の天体だった!
 隼号は逆噴射しながらゴラスの重力影響に抵抗し、艇長以下全員が必死になって観測を続けたが、ついに燃料も尽き、逃げ切れなくなる。その時、覚悟を決めた艇長が乗組員たちに向けて述べた最後の言葉がこれである。
 日本国民の夢と希望を乗せて飛び立った筈の隼号が、乗組員たちの悲壮な万歳と共に真っ赤になって散っていく。まるで戦記もののようなシチュエーションだが、如何にも日本的でグッとくる台詞&場面である。しかも同じ頃、地球はクリスマス。隼号が木っ端微塵になった次の瞬間には人々が「メリークリスマス!」と叫んで浮かれる場面へと切り替わる。この両極端。悲壮な「バンザーイ!」から平和な「メリークリスマス!」へ。これが実に悲しい。そして、滅亡の危機がジワジワ迫っていることをまだ知らない世間一般の人々……これもまた、実に怖い。
 ともあれ、クリスマスの星空に散った名も無き英雄たちに、合掌……。

駄弁者:
 隕石と自己犠牲とくれば、どうしても「アルマゲドン」を想像してしまいますがこっちは序盤に持ってきてるんですね。
 そう言えば今SFマガジンで山本弘氏が「妖星ゴラス」のオマージュを書いていますが、どこかで隼号が出てきたりするんでしょうか。



リーク大隊突撃隊長ジェホル「バジもリスクもしけた町にございましたなあ?リーク公 住人千や二千の町では兵どもを満腹にはできません まあひさしぶりの生肉はおいしゅうございましたが」
冥王軍北部方面隊総指揮ヘルク・リーク「ファブニールまであと二日 明後日の晩餐にはお前の腹も満たされよう?」

 出典: 所十三「竜の国のユタ第二部 D-ZOIC 」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 週刊少年チャンピオンの漫画より。
 真人間(コモン)の国を追放された賢人(歴史の秘密を知り人々を導いてきた教団の幹部)達が、禁断のテクノロジーである生命工学を使って作り上げたヒトモドキの軍勢・冥王軍、その実態は「我らは単なるヒトの天敵の群れに過ぎません。」とはヒトモドキの一人リーク公が出陣の前に友であるゴッロに言い残した言葉。
 その彼が人間の国の一つ平原王国王都ファブニール目指して進軍しつつ、腹心のジェホルと交わした会話です。
 なにせ同朋の死体から作った干し肉を齧りながら荒野を進軍しているので、二本足で歩いて歩いて喋る生肉が本当に御馳走なのでしょう。
 それでいてリークもジェホルも部下思いのまっとうな人に見えるからたまらない。
 この異種族の表現は下手なハードSFもどき以上だと思うのですよ。

駄弁者:
 「知将は務めて敵に食む」と言う言葉はありますが、文字通り敵を食んでます(笑)。敵で間に合わなけれりゃ味方を食ってそうですし…。兵站の心配が少なくて、ある意味合理的ですが。



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