SF名文句・迷文句第238集

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「何ですか、あの音は……?」
「奴だ」
「奴?」
「テレビ衛星を破壊した奴だ!」

 出典: 丘美丈二郎原案・関沢新一脚本・本多猪四郎監督「宇宙大怪獣ドゴラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第5回目は、異色の東宝SF怪獣映画より。
 世界各地でダイヤモンドの大量盗難事件が続発。そしてついに、日本の東京でも銀座の宝石店が被害に遭った。更に、マーク・ジャクソンという変な外人(ダン・ユマ)が現れ、宗方博士(中村伸郎)の自宅から実験用の人造ダイヤを盗んで逃走した。事件を追っていた警視庁の駒井警部補(夏木陽介)は、博士の助手・桐野昌代(藤山陽子)をボディーガードがてら家まで送る。と、その途中、国立電波実験所に勤務する昌代の兄(小泉博)と出くわした。彼は実験用テレビ衛星を破壊した怪物の正体を突き止めようと躍起になっていたのだが、その時、上空から「キュン、キュン」という不気味な音が……上記の台詞は、その場面での駒井警部補と昌代の兄の会話。「奴」という表現に技術者としての若さを感じる。この直後、雲の切れ目から不思議な光が明滅し、付近の火力発電所から石炭が吸い上げらる。以後、炭素をエネルギー源とする宇宙怪獣の存在が明らかになり、後半は怪獣退治と犯罪捜査の並行ストーリーが展開される。そのせいで、せっかく怪獣の第一発見者でありながら、昌代の兄はなんとなくストーリーの流れから外れてしまうのだった。

駄弁者:
 この映画も怪獣も全然知らなかったんで「ドゴラ」というのを見てごつい恐竜型を連想したんですが、意外やクラゲ型(笑)。



「見ろ!何か形になっていくぞ!」

 出典: 関沢新一脚本・本多猪四郎監督「三大怪獣・地球最大の決戦」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第4回目は宇宙超怪獣キングギドラのデビュー作、その初登場シーンより。第2回・第3回と、遭遇者がそのまま犠牲者になってしまうパターンが続いたが、今回はしっかりと生きて逃げ帰り、対策会議で報告するという、怪獣映画としては理想的な展開である。
 黒部渓谷に落下した巨大隕石を調査中だった帝都工大の研究チーム。或る日の深夜、隕石から強烈な磁力線が発生し、大爆発を起こして巨大な火の玉が飛び出した。研究チームのリーダー村井助教授(現在で言う准教授/演・小泉博)は研究助手や学生たちを叩き起こし、上空の火の玉を指さして叫ぶ。それが上記の台詞である。この直後、火の玉は形を整え、三つの頭を持った黄金の竜となる。
 なんともケレン味たっぷりな演出といい、「ティララ、ピリリリ…」という不思議な鳴き声といい、全てがカッコイイ。昭和の日本人が産み出した数多くの怪獣の中で、これほどまでに美しい怪獣が他にあるだろうか。

駄弁者:
 だいぶ前に参加したSF大会では、キングギドラの折り紙教室がなかなか盛況でした。折っていく途中でこのセリフを叫んだ人がいたり…はしなかったと思いますが。



「ええ、責任は芸術家たちにある。…(中略)…作家に歌手、物語の語り手たち。過去を自分たちの好きなように書き換えたのは彼らだもの。愚か者をヒーローにできるのは彼ら。飲んだくれを王さまにできるのは」

 出典: ダイアナ・ガバルドン「ジェイミーの墓標3」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 過去から帰還したクレアは、娘と知人に過去の体験を語ります。そして、娘が真実(実父が18世紀の人間のジェイミーだということ等)を知って飛び出していった後、残された知人と語り合うのですが、その際の一節です。
 実際のボニー・プリンス・チャーリーはアル中の愚か者と言われても仕方がないようですが、スコットランドでは今でも物語等で描かれた中の虚像が人気を博していると聞きます。ボニー・プリンス・チャーリーの無謀な挙兵によって、ジェイミーの一族やスコットランドの国民が塗炭の苦しみを味わったのを知るクレアにしてみれば、そのような虚像は許しがたいものなのでしょう。私も歴史好きですが、しばしば聞き心地の良い虚像を実際と混同してしまいます。

駄弁者:
 虚像が作られるまでの過程とか、それが世間に受け入れられた背景なども見ることができれば、それはそれで面白い「歴史」になると思います。
 もっとも「英雄」なんて実像がどうであろうと、後世の人間が憧れるだけで、同時代人からしたらはた迷惑な人間がほとんどかも。「英雄は遠きにありて思うモノ」なんて。



神を信じない男が、どうして悪魔の力を信じるのだ?

 出典: ダイアナ・ガバルドン「ジェイミーの墓標3」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 ヒロイン、クレアの義理の叔父コラムは、彼女を魔女裁判にかけたこと等を謝罪するのですが、その際に、クレアに魔法の存在を信じていないのか、と尋ねられます。それに対するコラムの答えです。
 コラムが神を信じない理由は長くなるので省略しますが、確かにそうだな、と思いました。キリスト教等の一神教の世界で、神を信じていない人間が、悪魔を信じるというのは矛盾していると思います。

駄弁者:
 一神教を厳格に信じている人が悪魔の存在を信じているというのも、ちょっと矛盾していると思うんですけどね。



To.ダル
Sub.ヤバい
牧瀬紅莉栖が男に刺されたみたいだ。男が誰かは知らないけどさ。ヤバいかも。大丈夫かな。

 出典: 5pb・ニトロプラス製作「Steins;Gate」

紹介 :めるかにあ 様
HP :

コメント:
 ラジオ会館で、主人公オカリンこと岡部 倫太郎は、天才少女牧瀬紅莉栖が血溜りの中に倒れているのを目撃します。慌ててその場から逃げた彼は、秋葉原の路上で友人のダルにこのメールを送信します。
 メールを送信した直後、秋葉原の路上から一瞬にして人々が消え失せ、ラジオ会館に人工衛星が墜落しているという謎の事態に陥ります。
 さらにその数時間後、牧瀬紅莉栖と再会することになるのですが…
 一部で話題のゲームから、初めて投稿させていただきます。しょうもないものばかり発明する発明サークルの厨二病の男が、偶然から人類の運命を電子レンジと携帯電話で握ってしまう。その発端となるのがこのメールです。
 確認する術はありませんが、私たちの普段の何気ない行動も、人類の未来に影響を与えたりしているのでしょうか?

駄弁者:
 こないだPC版が発売されてましたね。結構な人気ですが…。
 ニトロプラスと言えば、18禁ゲームでもSF色の強い「Hello,world」などを製作したブランド。クトゥルー+スーパーロボットものの「斬魔大聖デモンベイン」なんかも同じく18禁なので掲載していないのですが、実はときどきご投稿をいただくタイトルだったりします。
 ご投稿の作品は、過去にメールを送れる電話レンジを作ってしまった「想定科学ADV」とのこと。



I never met a Decepticon I didn’t dislike.

 出典: ハスブロ製作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー サイバトロン射撃手ストリーク テックスペック」

紹介 :電撃翼 様
HP :

コメント:
 トランスフォーマーは、長期化を極めた終わりの見えない民族紛争の物語です。
 アニメの軽妙なノリから忘れてしまいそうになる、そのような救いの無い背景を思い出させるのがストリークのテックスペックです。
 デストロンに故郷を滅ぼされた彼は、心の傷の痛みに耐え続け、仲間にそれを隠すためによく喋ります。そして、デストロンへの、戦争への憎悪は、本来争いを好まなかったはずの彼を恐るべき戦闘マシンに変化させたのです。
 座右の銘の訳は「俺が出会った中で、嫌いでなかったデストロンなどいない」。

駄弁者:
 なんか次は、「良いデストロンは死んだデストロンだけだ」とか「逃げる奴はサイバトロンだ 逃げない奴はよく訓練されたサイバトロンだ」とか出てきそうです。



物事が外観どおりであることはめったにない

 出典: ロバート・シルヴァーバーグ「ティプトリーとはだれ、はたまた何者?」(浅倉久志訳)  ジェイムズ・ティプトリー・Jr『愛はさだめ、さだめは死』に収録

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 シルヴァーバーグ氏はティプトリー作品群の紹介の中で、ティプトリーの書くものには、なにか逃れようもなく男性的なものがある、と記述します。そして後にティプトリーが女性であること、所謂ティプトリーショックが訪れます。その結果、シルヴァーバーグ氏は、同文の追記に、「よろしい――恥の上塗りはしないでおこう」と書きました。そしてさらにこう書きます。「物事が外観どおりであることはめったにない」
 まったく文章が男性的であるとか女性的であるとかは、どうしたことなのか。私も考えることはあるのですが。「男達の知らない女」などは女性的だと思うのですが、残念ながら現在の私はティプトリーが女性であることを知った上で彼女の作品を読んでしまっています。フィルターがかかっていることを否定できません。
 もっと早く生まれてシルヴァーバーグ氏と同じ衝撃を受けてみたかったものですね。

駄弁者:
 私もティプトリーを読んだのは、女性SF作家として有名になってだいぶ後でした。正直「接続された女」にしろ「たったひとつの冴えたやり方」にしろ、ことさら女性的とは感じなかったのですが…。
 そう言えばティプトリーとは逆に、女性を装った男性の覆面作家として成功した人というのはいるんでしょうか?



これはイリノイ州の小さい町で生まれ育って、ついには、かねがねそう望み、夢見ていたとおりに、宇宙時代が到来するのを目撃するにいたった男の子の手になる本である。

 出典: レイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」(大西尹明訳)

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、続けて、同じ「はしがき」の文章から、同じく私が「ああ、これがブラッドベリなのか」と思った文章です。なるほど、「詩人の魂」とは、こういう「もの」を指す言葉なのですね。「だからぁ、『こういう』とは、どういう意味なのか説明しろーーーっ!!」という「声」が聞こえてきそうですが、本当に「これがブラッドベリ、これが『詩人』というものかと感じ入った」としか表現しようがないのです、この文章を読んだときの私の気持ちは。そのくせ、いつ読んでも、何度読んでも、とてつもない鮮やかさで、「SF詩人レイ・ブラッドベリ」という「存在」を、私みたいな「SFの素人」の脳にさえ刻み込む「名文句」なのです。こんな「何でもない」文章なのに。
 ブラッドベリ氏って、「詩人」というより、「魔法使い(ウィザード)」とお呼び申し上げた方がいいんじゃないかしら、って思います。ホント。
 それにしても、「宇宙時代の到来を目撃」した感動が、鮮やかなまでに良く分かる文章だよなぁ……。

駄弁者:
 アポロではなくスペースシャトルを見上げ続けていた私たちの世代にとっては、「夢見たとおりの宇宙時代」とは言いにくいんじゃないでしょうか…。



ぼくは中西部で育ったが、子供のころ、夜になるとよく外に行っては星をながめ、それに驚嘆したものだ。
男の子ならだれにも、みんなそういうおぼえがあると思う。

 出典: レイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」(大西尹明訳)

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「SF作家」。で、まずは「SFファン」を自称しているくせに、この年齢になって初めて読んだ「SF詩人」レイ・ブラッドベリ。やったー、これで私も少しは「愚民」でなくなったぞーーーっ!(第30集参照)。
 投稿の文句は、ブラッドベリの代表作である短編集の、著者自身による「はしがき」の書き出しの文章です。つまり、掛け値なしに私が最初に出会った「ブラッドベリ」なわけですね。それにしても、なんつー「何でもない」文章でしょうか。しかし、こんな「何でもない文章」で、いきなり人を惹きつけるとは、それも「ブラッドベリに転んだ」とまで表現したい位に「SFの素人」を魅了するとは、さすがはブラッドベリ、と感じ入ったのも、本当です。(あー、また「いまさらぁ?」って、笑われそう。)それと同時に、この文章を読んだとき、「あ、これがブラッドベリなのか。」とも思いました。(「それって、どーゆー意味?」と聞かれると困るんですが、そうとしか言いようがない。)そして、ブラッドベリの作品を「終わらない夏休みの物語」と評した中島梓(栗本薫)の言葉を、少し(様々な意味で)切ない思いと共に、しみじみと思い返しました。今「人生の夏」真っ盛りの方々に、この気持ちを分かって頂けるかなぁ……?私も「昔」は理解できなかったに違いないしなぁ……。

駄弁者:
 私の場合、団地のベランダからでしたっけねえ。たぶんブラッドベリが見たより、ずっと星の少ない夜空だっただろうと思います。
>これで私も少しは「愚民」でなくなったぞーーーっ!
 ブラッドベリが基準となると、私は「愚民」すれすれのままかも。ご投稿の短編集については、「霧笛」「雷のとどろくような声」「霜と炎」など、記憶に残る作品もあるのですが。



「あっ!方向を変えました。突っ込んで来ました。途方も無く巨大な……畜生ぉ!」

 出典: 黒沼健原作・村田武雄&木村武脚本・本多猪四郎監督「空の大怪獣ラドン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第二弾は、1956年公開の東宝怪獣映画より。
 佐世保上空10000メートルの空域を定時警戒飛行中だった自衛隊機が、超音速の国籍不明機を捕捉。パイロットは無線で基地司令部に通報、追跡を始めた。が、当時の自衛隊の主力戦闘機は亜音速機(朝鮮戦争の頃に使われていたF86型)なので、なかなか追い付けない。やがて国籍不明機はクルリと旋回し、自衛隊機を叩き落とした。上記の台詞は、その時のパイロットの最期の無線連絡。後日、この謎の飛行物体が大怪獣ラドンだと判明する。
 おそらく「途方も無く巨大な」のあとには「鳥」か「生物」とでも言いたかったのだろうが、それも間に合わず、脱出すら出来なかった無念が、断末魔の「畜生ぉ!」という叫びに凝縮されている。ちなみに、ラドンの飛行速度は「マッハ1.5」という設定だった。こんなトロっちいスピードで「人類を脅やかす超生物」が成立してしまうのだから、のんびりした時代である。

駄弁者:
 いや、生物に巡航速度でこのスピードを出されたらやっぱり脅威でしょう…。とくに地上すれすれの低空飛行でやられた時を考えると。



そこに正義はなかった。代わりにあったのは、「願い」だった。
人々の平和も、笑顔も、それは結局、ヒーロー自身の強い「願い」なのだった。

 出典: 富永浩史「超空自衛隊 南海の大決戦」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 作品中では、日本軍と米軍の激戦の最中に生き埋めになった自衛隊員の戦友を救おうとしてそれ以上の米兵を殺戮している自衛隊員の戦闘等を見て、それを記録している女性自衛隊員が思い出した仮面ライダーシリーズの一節ということになっています。似た名文句は既に投稿済みですが、作品が違うので、目をつぶってください。ちなみに女性自衛隊員が当時見ていたのは好きな俳優が出ていたからだそうですが。
 戦争に正義はない、というのはよく言われることですが、この作中でタイムスリップした自衛隊員達はいろいろと何が正義なのかを悩んでしまう場面が多いです(ミャンマーの民族間対立に巻き込まれて、ミャンマー政府軍から反政府側の民族弾圧を依頼されたり等)。それもあって、彼女はこの一節を思い出したらしいのですが。私でも戦友の命は大事だが、だからといってそれに倍する米兵の命を奪うのが正義とは言えません。
 そして、正義が単純に決められるものならば、とつい思ってしまうのです。

駄弁者:
 その願いこそが正義だと言い切ってしまえれば楽なのかもしれませんけどね(じゃあ、あちこちにあるどの願いのために戦争をする?)。
 けど、前にご投稿をいただいたときにも思ったのですが、前線の兵士たちって、そんなに自分たちが「正義」であることにこだわるものなんでしょうか?



どこかの漫画の戦うヒロインは言った。悪の力をもって、正義を行います、と。
この力は、確かに、悪だ。スコップで人間の生首を吹っ飛ばして、いいわけがない。それでも、そうすることでしか、自由と平和が手に入らないというのなら……。

 出典: 富永浩史「超空自衛隊 南海の大決戦」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 2010年から1942年8月のガダルカナル戦直前にタイムスリップした自衛隊員達は、日本軍に味方することで歴史に介入しました。その結果、日米講和のきっかけを作るために1944年7月末にタラワ・マキンで日米の決戦が行われることになり、その際に地上戦に投入された自衛隊員の1人のつぶやきです。
 白兵戦に際して実際にスコップは結構役に立つ武器になるそうですが、だからといって、スコップで白兵戦を行う羽目になり、生首を吹っ飛ばす現実に直面させられたら、私でも心が壊れそうです。自由と平和を手に入れるというのが、いくら正義とはいえ、スコップで人間の生首を吹っ飛ばすことまで正義とはいえません。この自衛隊員が、自分が正気なのかを疑いつつあるのも分かる気がします。
 それにしても、前段の漫画の戦うヒロインの元ネタが分かりません。ネット検索でうまく引っかかりませんでした。

駄弁者:
 歩兵にとっては小銃よりもスコップの方が身近な道具になる、とは私もどこかで読んだ記憶がありますが、白兵戦にも有効というのは本当なんでしょうか。
>悪の力をもって、正義を行います、と  私もよく知らないのですが、検索した限りでは荒木飛呂彦の「ゴージャスアイリン」が出典ではないかと。



今のは全部テレビ用のコメントだ。
君に個人的な恨みはないよ。

 出典: 「ジャスティス・リーグ『蛇族の呪い part1』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 小銭欲しさと目立ちたがりの性格故にテレビCM(ちなみにエナジーバー)に出演したフラッシュ。
 それをネタに彼のみならずジャスティス・リーグ全員を青少年の育成に害を与える社会の敵と断言してアメリカから追放しようと煽るテレビ司会者ゴッドフレイの発言に腹を立てたフラッシュはグリーンランタンが止めるのも聞かず番組収録会場に乗り込むのですが、逆にゴッドフレイに乗せられさらに世間の顰蹙を買いそうな発言をしてしまいます。
 オンエア終了後にそのことに気づき慌てるフラッシュに形ばかりの感謝の言葉の後に言い放ったのが投稿の台詞。
 確かにグリーンランタンが劇中で言ったとおりゴッドフレイには自分の意見を言う権利があり、それは世界の守護者である超人達でも阻むことは許されない神聖なものには違いありません。ですが発言した本人ですら信じていない言葉でもその限りでしょうか?
 アンクル・サム(アメリカを擬人化した老人キャラ。)の帽子を被ってまで発せられる無責任かつ一方的なジャスティス・リーグ糾弾の言葉は、永き封印から目覚め人類皆殺しの手駒と手段を探していた邪悪な蛇族の魂にジャスティス・リーグという標的を与え、宇宙規模の災厄を引き起こしてしまう事になってしまうのですから。

駄弁者:
 こっちは日本のマスコミでもありそうです。
>宇宙規模の災厄を引き起こしてしまう事になってしまうのですから。
 いや災厄の大きさは、むしろこの人物のやったことの悪質さ、軽薄さをかえって覆い隠してしまうような…。大事件にならなければ罪はなかった、というものではないでしょうし。



私がジャスティス・リーグに厳しくあたったのはこの国を愛してるからです。
愛しすぎたのが罪だというのなら、この通り私は有罪です。

 出典: 「ジャスティス・リーグ『蛇族の呪い part2』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 フラッシュのテレビCM出演をダシに、ジャスティス・リーグ糾弾で一躍時の人となったテレビ司会者ゴッドフレイ。
 彼の無責任な発言により世間から白眼視されるハメになったジャスティス・リーグでしたが、AFD(アンチ・フュージョン・デバイス。本来、敵国からの核攻撃を無力化させるために開発された核融合停止装置。)を撃ちこまれ光を失いかけた太陽を救った功績(光速を超えないと発動しないワームホール発生装置を、グリーンランタンの手を借りたフラッシュが宇宙を超光速で走ることで作動させて太陽に投げつけ、ワームホールで太陽からAFDとそこから発生した反核融合物質を吸い出すという無茶な手段。)で再び人々からの人気と信頼を取り戻します。
 それと反比例する形で落ち目になったゴッドフレイがスポンサーや視聴者に対してのコメントが投稿の台詞。
 盗人猛々しい…じゃないけど単に図々しいですませられないこの面の皮の厚さ。
 ちなみに彼の新しい番組は朝4時15分「農村リポート」に始まるそうです。

駄弁者:
 日本ではまだこれが通用するところまではいってないと思うんですが。
 この言葉で説得されてしまう人が少しでもいるなら、愛国心なんてない方がマシだなあ。



馬鹿な、
何故避難していない!?

 出典: 士郎正宗原作・神山健治監督・Production I.G制作「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第2話『暴走の証明』」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 続いて、TV版「攻殻機動隊」から。日本の陸上自衛軍(隊ではない)の試作戦車が暴走。犯人は、戦車に無断で搭載された、死んだ男の脳。男の目的は、男の両親への復讐と思われたため、県警は男の実家の付近の住民に避難勧告を出した。無論、男の両親にも。だが、親達は避難せず、家で「息子」を待っていた。そして「息子」が家に「帰ってきた」とき、親たちは「我が子」に会おうとする。
 投稿の文句は、そうして戦車の前に姿を現した親達を見た、公安九課の現場リーダー、「少佐」こと草薙素子の台詞。あのー、少佐、お気持ちと理屈はわかりますよ。「犯罪を防ぐ」「犯罪が起こったら、その被害を可能な限り防ぐ」のが警察の立場なんですから。そのためには「親子の情なんてのに、かまっていられない」のは当然です。でも、いくら戦車に乗ってくるからって、「我が子」が会いに来るのに、すたこらさっさと逃げ出す親、ってのもなぁ。「あなたが以前『レダ』からの文句を投稿した際のコメントと矛盾する」と言われるかもしれません。でも、「良いときばっかりしか関係しないようで、親子といえるのか」とも思うのも、私の正直な気持ちです。だから、少佐の台詞を聞いたとき、思わず、ずっこけてしまいました。「少佐ぁ、それはないでしょう。」って。
 でも、こういう台詞で、ずっこける私って、あんまり「普通」じゃないんじゃなかろうか?
 と、自分で思ってりゃ、世話無いか。
 あんまり、しまらないけど、おあとがよろしいようで。

駄弁者:
 素子さん、有能だしいい女だけど、それだけに凡人が通常感じるような当たり前の感情に全く疎いんじゃないでしょうか。前にご投稿のあったようなバトーさんへのセリフもその辺と同根かも。



やまざきぃぃっ、そこをどけ〜〜っ、
みねうちじゃ〜〜〜っ!

 出典: ヘッドギア原作・伊藤和典構成・サンライズ制作「機動警察パトレイバー 第15話『歌を唄ったクジラ』」(TVシリーズ)

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「SF名文句 NDC049」。そのなかでも、「ずっこけた台詞」を集めました。で、まずは「機動警察パトレイバー」のTVシリーズ版から。
 投稿の文句は、前回投稿の「野次馬の交通整理」という任務中に、反体制的環境保護団体(?)のメンバーから罵声を浴びてキレた第二小隊の隊員が、自分の乗っている機体に装備された「リボルバーカノン」という「銃」を(自分に向かって罵声を浴びせた「人間」に向かって)撃とうとして同僚に制止され、怒鳴り返した台詞。とはいえ。
 え、み、みねうち?「みねうち」って、あの「みねうち」ですよね?でも、「峰打ち」って、日本刀で、やるものじゃなかったんじゃありませんか?銃という火器、しかも第二次世界大戦時の戦艦の主砲クラスの巨大サイズの銃で、どうやってやるつもりだったんでしょう?う〜〜、分かんないよ〜〜。
 駄弁者さん、皆さん、どう思われますか?

駄弁者:
>どうやってやるつもりだったんでしょう?
 まともに考えるなら、暴徒鎮圧用の催涙弾かゴム弾を使うとかでしょうが。しかし巨大ロボットの鉄砲で使う弾丸なら、ゴムだろうとウレタンだろうと致命的なことに大して違いはないような気がします。
 …それを言うなら日本刀の「峰打ち」だって、鋼の棒でぶん殴るんだから充分死ねるわな。



「敵と戦って沈まず、国敗れて敵国の残忍な武器の実験材料にされ沈められてしまった。もし、長門に武人の心あらば、どんなにか口惜しかったことだろう。そうだ、長門にこそ大日本帝国海軍の怨みがこもっているのだ!」

 出典: 辻真先脚本・芹川有吾監督「サイボーグ009(モノクロ版)『太平洋の亡霊』」

紹介 :ジョー・チップ 様
HP :

コメント:
 実体化した旧帝国海軍の兵器たちが現代のアメリカ軍を相手にガチンコの戦いを挑むという、有名な問題作です。恒久平和を願う心と、アメリカには復讐してやりたいという戦中派のアンビバレンツな心情が、異様な迫力を生んでいます。
 戦後、長門はビキミ環礁まで引き回され、水爆実験の的にされました。水爆投下後もなかなか沈まなかったそうです。
 セリフは誰のものかと言えば、なんとアイザック・ギルモア博士。日本人以上に長門に感情移入できるあんたは一体ナニ人なんだ…。

駄弁者:
 連合艦隊の旗艦と言えば「大和」などよりこの「長門」というイメージがあるのですが、最期は何か虚しさがありますね(華々しく撃沈が良いのかと言われると困りますが…)。
 2番艦の陸奥も港で謎の爆沈。怨みと言えばこちらにも怨みが残っているかも。



Why so serious?

 出典: クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」

紹介 :タカ 様
HP :

コメント:
 アメリカ映画史に残るであろう傑作「ダークナイト」から、バットマン最大の敵ジョーカーの象徴とも言えるセリフです。
 この作品のジョーカーは「悪」が具現化したような存在でしたが、ジョーカー相手にマフィアも警察もバットマンも誰もが笑えない中で彼だけが常に陽気に笑っていました。
 彼にとっては全てが楽しいゲームのように振舞っていましたが、ゲームの中で渋い顔をしているバットマンたちに対する皮肉なのかもしれません。(直接言ったのはマフィアに対してですが)

駄弁者:
 このセリフ、コミックや他の映画のジョーカーの言ったセリフならイライラが先に来ると思うんですが、『ダークナイト』の、やたら迫力と存在感のあるジョーカーが言うと、苛立ちよりより恐怖感が勝ってしまうように思います。



いや、ヴォラフカさん、こういう宇宙からの侵略に対しては、プラハは世界の大都市のうち最も準備がととのっているのです……

 出典: ヴァーツラフ・カイドシ「ヴォラフカのセロリ」(栗栖継訳)  『世界SF全集33』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もう一つ、同じ全集から投稿します。ある日、農夫のヴォラフカが畑を耕していると、不思議な球体が畑の上でぴかぴか光る粉を撒き散らして爆発した。一晩経つと、土の上にあった光る粉は消えてなくなり、変わりに畑に植えていた作物が巨大化していた。
 さらに観察を続けると、それらの作物は、食虫植物のように虫や鳥を取り込んで養分にしていたことが分かって、さぁ大変。対策を立てようとした矢先、腰痛のせいで療養を余儀なくされたヴォラフカが畑に戻ってきたときに見たものとは?  投稿した台詞は、粉を調べていたドクトルが、ヴォラフカからの疑問にこたえた時の台詞から。環境汚染問題に対する皮肉と、宇宙からの侵略を絡めたブラックユーモアあふれる作品です。そういえば、チェコスロバキア、ポーランド、旧東ドイツの国境は「黒い三角地帯」と呼ばれるほど、環境汚染が進んだ土地でした。  …案外、今の日本の方が「侵略」はしやすいかも?

駄弁者:
 こちらはチェコの作品。『宇宙戦争』の火星人たちの末路も、実はこれと同じ理由じゃなかろうか(笑)。
>今の日本の方が「侵略」はしやすいかも?
 外来生物の大繁殖が問題になっていますしねえ。
 話の本筋とは関係ないですが、ヴォラフカが腰痛で仕事を休むために、本当に病気かどうかを判定する「評定委員会」に出頭しなければならないというあたり、共産圏の作品だなあと思いました。



洗礼が必要なのは神の子だけである。しかし、この子は人間の子である

 出典: アナートリイ・ドニェプロフ「人間の公式」(飯田規和訳)  『世界SF全集33』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 父親とともにある研究所に勤めるアルバートがヨーロッパ旅行から父の別荘に戻ってくると、見知らぬ少女が父とともに住んでいた。父によると、その娘はミジェヤといい、死んだ友人の娘だという。共に暮らすうちに少しづつミジェヤに好意を寄せていったアルバートだが、ある日ホルシという人物が父を訪ねてきたことから状況が一変する。彼はアルバートを見て非常に興奮し、ミジェヤを引き取りたい、と言い出したのだ。
 その直後に、父は死亡し、ミジェヤは誘拐されてしまう。ホルシが犯人だと確信したアルバートは彼を探す為、かつてミジェヤの両親が暮らしていた家を訪ねたところ、近くの教会の神父から驚くべきことを知らされます。彼はミジェヤは孤児であり、その誕生には、ホルシがかかわっているらしいのです。そして、そのことは予期せぬ秘密へと彼を導くのでした。  投稿した台詞は、見知らぬ男が洗礼をミジェヤに施そうとした神父に洗礼を拒否した時の台詞から。このあと物語はさらなるどんでん返しとともに、悲劇に向かって進みます。
 詳しいことは結末につながるので、書けないのですが、やはり、偶然と確率から生まれた我々と違って、必然と統計によって生まれ出た人々とでは「生まれ出ずる悩み」も違うということなのでしょうか…

駄弁者:
 全集第33巻はソ連・東欧SF短編集。エフレーモフ、ストルガツキー、レム、チャペックといった今でも有名な名前は見つかりますが、他の多くは見慣れない作者の作品が続きます。
 出典の作品もそのひとつですが、しかしバイオテクノロジーに対する警戒感というのは、やっぱり西側・東側を問わずあったんですね。
 洗礼が必要ないとは、原罪を持たないと言うことなので、考えようによっては喜ばしいこと…とは、さすがに強弁ですか。
>必然と統計によって生まれ出た人々とでは…
 「必然と統計によって生まれ出た人」が「偶然と確率から生まれた」人と同様の人生観・倫理観をもってしまうと、こういう悩みになってしまうのでは。



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