SF名文句・迷文句第239集

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「僕は時々、思うんですよ。自然界での人間は進化の末の勝者なんかじゃない、スターリンのもとでその日その日を凌いでいるソヴィエト市民みたいなものじゃないかってね。いや人間に限らない。動物も植物も昆虫もです。スターリンの手から逃れるためにその場その場を取り繕って、媚びへつらって、生き延びる。ただそれだけのものなのかもしれないと」

 出典: 高野史緒「ひな菊」  『量子回廊』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 アンソロジー大豊作な今年の刊行の中で、気に入った作品の多かった創元の『年刊日本SF傑作選』より。
 スターリン時代のソ連。理科教師が本業のアマチュアチェリスト・ニーナは、ショスタコーヴィチが講師を務める「市民音楽家」育成事業の研修生として招かれる。投稿の文句は、戸外で演奏中のニーナが知り合った医師の述懐より。改変歴史…ではなく改変されていないような気もするのですが、生物学と音楽、進化と粛正政治をうまく重ね合わせた短編でした。
 栄えていた種が、自然環境の変化で一転して絶滅に追いやられることに対する、なかなかうまい例えだと思います。ちょっと違うのは人間その他の種自身が、ある時にはスターリン役(少なくともその一部)になってしまうことでしょうか…。



自国の民も守れない軍隊に、どんな存在意義があるというのですか!

 出典: 小河正岳「ウェスタディアの双星5」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 状況は、前回の投稿参照。シャムラバートの軍事クーデターにより抑留されていたウェスタディア王国の民間人733名。それを乗せた商船68隻は一旦、解放されるのですが、シャムラバート艦隊からの攻撃を受け、祖国に対し、救援要請を発します。ウェスタディア艦隊司令部は余りにもあからさまな罠に出撃をためらうのですが、結局、作戦会議の席において、マイラーノ将軍が上記のように主張し、全艦出撃を決断します。  確かに、大を守るために小を捨てるというのは、やむを得ない場合がありますが、だからといって、国民を守れるのに軍隊が国民を守らないのでは、どんな存在意義があるのか、と聞かれても返す言葉がないと思います。

駄弁者:
 「大を守るために小を捨てる」が間違っているのではなく、何が守るべき大で捨てるべき小なのか、ということなんでしょうね。



烏合の衆の手にかかって屍をさらすくらいなら、この俺と堂々とわたりあった敵の手によって葬られるほうを選ぶわ

 出典: 小河正岳「ウェスタディアの双星5」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 主人公達の国ウェスタディア王国は、隣国のシャムラバートの軍事クーデターから亡命してきたシャーラ公女を受け入れたことで、シャムラバートと戦うことになります。そして、クーデター派指導者アクバル率いるシャムラバード艦隊とウェスタディア艦隊は激戦の末、ウェスタディア艦隊が勝利を収めるのですが、その戦いで敗死したアクバルの最期の科白です。
 軍事クーデターで政権を握ったとはいえ、完全に国内の掌握ができていない以上、この一戦に敗北すれば、反クーデター派が蜂起し、反クーデター派により処刑されるのは必至。それならば、戦場で強敵の手にかかって死にたい。はっきり言って、アクバルはこの作品では悪役で好きになれない性格なのですが、最期のこの科白は、軍人としての誇りを示していて、見事な最期の科白だと思いました。

駄弁者:
 クーデターで追い出した公女は亡命先でラブコメをやっていたらしいので、シリアスなのがちょっと気の毒にも思えますね…。
 もっと気の毒なのは梟雄の美学に付き合わされるクーデター派の賛同者ですが。この人が堂々と敵の手によって葬られた後、留守居役が烏合の衆に血祭りにあげられるんじゃあ?



「仲間が力を合わせれば、それは足し算じゃなく掛け算になる!」

 出典: 八手三郎原作・横手美智子脚本「天空戦隊ゴセイジャー 第22話『オーバー・ザ・レインボー』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 極めて強力な幽魔獣が現れ、ゴセイジャーは手も足も出ない。
 助けに入ったゴセイナイトは、「敵を倒すより仲間を守ろうとするお前たちは甘い」と告げます。
 それでも仲間と一緒に力を合わせることが大事だと信じるゴセイレッドが叫んだセリフです。
 いやしかし、1を5回掛けても6回掛けても1なんだから、足し算の方が強いんじゃないの…?

駄弁者:
 TOMさんの最後のツッコミの方が名文句です。爆笑。



村雨あいつだってお前らだって、
 人間だろうが」

 出典: 石ノ森章太郎原作・村枝賢一漫画「仮面ライダーSPIRITS 第20話『嘘』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 街を大きく破壊したバダンの強力な怪人を倒したゼクロスと、仮面ライダーV3とライダーマン、スーパー1。
「君が10人目の仮面ライダーか。ヨロシク…」
と差し出されたスーパー1の手を振り払い、ゼクロスは言う。
「俺を…仮面ライダーと呼ぶな」
 その夜、仮面ライダーが10人そろったと喜ぶ滝和也に、風見志郎は、
「復讐に固執する奴を仲間にはできない」と拒否します。
 それに対して滝は、ゼクロスが新宿で幼い少女を助けたことを告げ、つべこべ屁理屈つけずに、まずは信じろと、投稿のセリフを言います。
 この時初めて滝と出会った風見と沖はキョトンとしてますが、以前滝と一緒に戦ったことのある結城は微笑んでいるのが面白い。
 いろいろツッコミどころの多いセリフですが、ここは素直に、滝和也の仮面ライダーに対する信頼が溢れたセリフととらえたいですね。
 その後村雨良は苦しみながらも、人類のために戦う道を選んでいきます。

駄弁者:
>「復讐に固執する奴を仲間にはできない」
 <父よ母よ妹よ>が主題歌の人は、もうちょっと理解があってもよさそうなものですが。自分の過去と重なるだけに余計いら立つんでしょうか。



「これ……、あたしの宝物……。大事なアルバムなのに……」
「それ……ね、爪研ぎに丁度良くって。まあまあまあ、そんなに怒んなくても……」
「リコの馬鹿!!」
「ば、馬鹿とは何よ、馬鹿とは」
「リコはいつもそうじゃない! あたしの物を勝手に使って、壊したり無くしちゃったりしちゃうんだから!」
「そ、そんな事言うんだ!?」
「だって本当の事だもん!」
「だったら言わせてもらうけど、リムだって私の鉛筆をガリガリかじった事あるじゃない!」

 出典: 祐木陽介監督「あにゃまる探偵キルミンずぅ 第7話『神浜峠でゾウを見た!?』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、SFチックな変身ヒロインアニメからの名文句です。
 散らかった部屋でシュシュを探すリムは一緒に探してもらうべくまだ寝ているリコを叩き起こしますが、布団の中にはボロボロになったリムのアルバムが……。
 リコが自分の大切なアルバムで爪を研いだ事に激怒するリムですが、リコに言わせれば彼女も彼女でリコの鉛筆をかじっていたとの事で、そのまま2人の喧嘩に発展してしまいます。
 ちなみに爪とぎ・鉛筆かじり場面の見所は、表情豊かな動物帽子の恍惚の表情。……気のせいか、2人が徐々に野生化しているような……。

駄弁者:
 なんちゅう変身の副作用。
 そういやエンピツを囓るクセって昔わたしもありましたが、変身するときはそっち系になるんでしょうか…って、何かおぞましいモノを想像してしまった…。



来年の今頃には花が咲くよ。
そしたら、一緒に見に来ようよ。

 出典: 井上敏樹脚本・長石多可男監督「仮面ライダー THE FIRST」

紹介 :タカ 様
HP :

コメント:
 以前「NEXT」から投稿したので、今回は前作のFIRSTから。
 この作品では本郷たちのストーリーと並行して、晴彦と美代子という男女のストーリーが描かれています。二人は病気で長く入院しており、特に美代子は余命わずかという状態でした。そのとき二人の前にショッカーが現れ、二人を改造人間にスカウトします。
 二人にとってショッカーは、改造人間になったとはいえ病気だった自分たちを治してくれた恩人に他なりません。最終的には二人ともライダーに倒されますが、ライダーだけではなくショッカーの怪人たちは元はみんな人間であり、彼らなりの人生があるのだということを示した言葉だと思います。
 映画で二人が手をつないで改造手術を受けに行くシーンはなんとも悲しくやるせないものがありました。

駄弁者:
>ショッカーの怪人たちは元はみんな人間であり…
 前に別の方からご投稿を頂いたときも、この辺りの話の作り方は面白いと思ったところです。  しかし治療にもれなく洗脳がついてくるのでは、なかなか「恩人」と感謝する気にはなれないでしょうが…。



「何度言ったら解るんだ!そりゃ確かに俺は夕べ酒を飲んでたさ!しかし、怪物がタンクローリを襲ったのを見たのも確かなんですよ!」

 出典: 金城哲夫脚本・円谷一監督「ウルトラマン 第13話『オイルSOS』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第7回。前回同様、目撃者は酔っぱらいである。しかし犠牲者とはならず、生還して警察に通報する。ところが、なまじ泥酔状態だった為に信じて貰えない。警察の要請で出動した科学特捜隊も東京湾一帯を調査したが、怪獣が現れた痕跡を見つけることは出来なかった。上記の台詞は、その時の目撃者の叫び。酒に酔っていると、何を話しても「ホラ」か「ヨタ」だと思われてしまうものだ。しかもそれが「怪獣を見た」などという話では、「幻視」と断定されても文句も言えない。しかし、この直後、タンクローリ車を襲った怪獣ペスターが港の沖合から姿を現し、石油タンカーを襲う。目撃者は怪獣を指差して叫ぶ。
「あれだよ!俺が夕べ見たのは!」
多分この目撃者のオッサンにとって本件は、この時点で完結してるんだろうなぁ……。

駄弁者:
 コメントの最後の一文が妙にツボにはまってしまいました。大混乱の渦中にいながら「やっぱりおれが見たのは間違ってなかったんだ」と満足して酒を飲んでいる様が浮かんできて…。



こんな面白いものばかり読んだ子供が成人してどうなるのかという、おかしな気持ちになった。

 出典: 筒井康隆「情操教育のヒントに・岩崎書店版「SF世界の名作」刊行の意義」  『筒井康隆全集 2巻』に収録

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、続けて、同じエッセイから。「どうなる」って言われましてもねぇ。
 ちなみに、この「SF世界の名作」シリーズは、私が小学生の頃、毎日学校の図書室に通って読んだ、「SFこども図書館」という、子供むけSF名作シリーズの前身にあたるものです。(「火星の王女」大好きだったなぁ。)つまり、私自身が「『こんな面白いものばかり読んだ子供』のなれの果て」のワケでして、えーと、だからですね、………ムダな抵抗は止めよう。ええ、こうなりました、というわけですよ、筒井先生。うっうっうっ、このエッセイの投稿の文句の行を読むたびに、何か面映ゆい、というか、こっぱずかしい、というか。何だか、鏡にうつる自分の姿を首根っこ捕まえられて無理矢理観させられているような気持ちになります。ま、同じ犬でも、ジャーマン・シェパードとゴールデンレトリーバーとチワワと柴犬を一緒くたにして論じることが不適切なように、同じ「SFこども図書館」を読んで育ったSFファンだからって、その「子供」がどういう「成人(おとな)」になるか、それは人さまざま、というわけでして、子供の頃読んだSF作品が、その人に、どういう影響を与えるかは千差万別、その人自身の問題、としか言えないでしょう。ある意味、それは、その人の「運命(さだめ)じゃ」と言ってもいいかもしれません。(この冗談、今のお若い方々に分かるかしら?)
 ちなみに、私は、子供の頃に「SF」と出会ったことを、少しも後悔していません。ま、いろいろと「副作用」は、あったかな、とは思いますが。

駄弁者:
 はい。こうなりましたサンプルその2です(笑)。SFばかり読んできたわけではないにしても、影響(副作用も含む)は否定できない、というか積極的に肯定している次第です。
>「SF世界の名作」
 「光る雪の恐怖」とか記憶に残ってますね。



空想科学小説というものは、それが子供にあたえられる場合は自然科学の教科書的役割を果たさなくてはならぬと、今だに思っている教育者やPTAママが多い。

 出典: 筒井康隆「情操教育のヒントに・岩崎書店版「SF世界の名作」刊行の意義」  『筒井康隆全集 2巻』に収録

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマも「SF名文句 NDC049」。副題は「釈然としない言葉」。
 投稿の文句は、SF御三家の一人、筒井康隆氏が昭和四十一年に書いた文章の冒頭の文句です。で、私にとって、この文章の、どこが「釈然としない」かというと。
 中一のとき(1981年。うっうっ、トシがぁ。)、私は友達にE・ハミルトンの「時のロストワールド」を貸しました。その際、私は友達に一言ことわっておきました。「この小説、(科学的考証が)古くさいよ。」(今思うと、「古くさい」のは、それだけだったろうか、とも思うのですが。)
 一週間後、友達は本を返す際に、私に言いました。「確かに(科学的考証が)古くさかったけど、面白かった。」と。今思い出しても、懐かしい、いい思い出です。
 さて、時は流れて、世の中は大きく変わりましたが、投稿の文句のような考え方をする人々は今も尚、いるのでしょうか……?
 ま、「子供をSF好きにさせるには、どうすればいいか」なんて書き込みを掲示板にして、皆様の大顰蹙をかった私がいうことじゃないですが。でも、とにかく。
 「非科学的」だろうが何だろうが、私はキャプテン・フューチャーシリーズが
大好きだああぁぁぁーーーーー!!!!!

駄弁者:
 科学をわかりやすく解説するためのSFもそれはそれでもちろん良いのですが、それでなくてはならぬ、と言われると筒井康隆ならずとも文句を言いたくなるところ。
 かと言って情操教育のために、というのも苦しいものがありますが…。



「州知事閣下、市庁舎が壊されました」
「うむ、来週までに直しておくのだぞ」

 出典: サンライズ制作「強力ロボ ガラット 10話『古代へのロマン?博士の異常な欲望』」

紹介 :s 様
HP :

コメント:
 サンライズ作ドタバタギャグスーパーロボット物語より、とある法律をめぐってマッドサイエンティストに庁舎ぶっ壊された時の市長と部下の会話。
 ・・誰かこのノリでガンダム作んないかな

駄弁者:
>誰かこのノリでガンダム作んないかな
 本当にやったら「こんなのガンダムじゃない」の声は今やってる劇場版の比じゃないと思います。…パロディとか二次創作なら割とありそうな気もしますが。



ドクター「調子に乗るなハリエット・ジョーンズ。僕は生まれ変わったばかりだ。君の政府など一言で倒せる。」
ハリエット首相「あなたほどすごい人物に会ったことはありません。でもいくらあなたでもそれは無理です。」
ドクター「そう一言では無理かも。二言だ」

 出典: ラッセル・T・デイビス脚本「ドクター・フー 第14話『クリスマスの侵略者』」(平田勝茂訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 9代目から10代目への変身を終了、地球を侵略したエイリアンのシコラックスを撃退したドクター。だが逃げ去るシコラックスをイギリス首相となったハリエット・ジョーンズは撃墜してしまいます(なぜ最初に撃墜できなかったかというと、−以下かっこ内ネタばれ反転願います−シコラックスは捕獲した地球の探査機に搭載されていた人間のサンプルの血液から、同じ血液型の人間を操り、地球人口の1/3を自殺させると人質に取って地球を脅迫したのです)。
 怒ったドクターは、彼女の内閣を二言で倒すと宣言。その二言とは……。
(「彼女、やつれたな」)
 確かに政治家には一番効くイヤガラセだわ。
 あ、タイムリーかと思いましたが選挙前の投稿だったらもっとタイムリーだったでしょうか? ちょっと遅かったですね。

駄弁者:
 すみません、時期的にはだいぶはずしてしまいました。
 イギリスで女性首相というと鉄製の有名な人ですが、さすがにこの二言では倒れはしなかったんじゃ…。
 二言言う前に、自分から失言とかで倒れてしまう政権もあったりしますが。



今さらジタバタしても遅いわい。我が軍団は食うて寝て果報を待つんじゃ。メシじゃメシじゃ食え食え!なんでもええ、勝てばええんじゃあ!

 出典: 中原朗脚本・伊藤寿浩監督「超人機メタルダー 第23話『トップは誰だ?!ピンからキリの大運動会』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 帝王ゴッドネロスは軍団員たちに全軍団対抗競技大会の開催を宣言します。その時、ヨロイ軍団のゲリラ戦士、爆闘士ロビンケンは「メタルダー1人も倒せず、競技会などと浮かれている場合ではないと存じます」と帝王に進言します。帝王はロビンケンに特別任務を命じます。
 大会に向けて訓練に励む他の3軍団を尻目に、何もせずに部下とともに得体の知れない食料を食いまくるモンスター軍団長・凱聖ゲルドリングが叫んだのが投稿の台詞です。
 競技会の最大の種目は4軍団対抗サバイバルレース(て言うか障害物競走)です。タッチによる選手交代が可能で、参加延べ人数に制限はありません。ゴールの山頂に最初に軍団旗を立てたチームが優勝となります。障害の一つの地雷原を、モンスター軍団の暴魂バンコーラは地面に潜って地中から通過。ヨロイ軍団の豪将タグスロンは地雷をものともせずに気合で強引に正面突破。機甲軍団の戦車ロボ、烈闘士ブルチェックはジェット機ロボの激闘士ストローブに運ばれて(反則じゃないの?)上空から通過。そして銃撃で地雷をすべて破壊する戦闘ロボット軍団の軽闘士ゴブリット。やがて4軍団ともゴールの山頂の下までたどり着きます。気合で崖を登るタグスロン。山頂まで一飛びしようとしたストローブは戦闘ロボット軍団の暴魂クロスランダーに撃墜されます。左手に装備したワイヤーを使って頂上まで登った戦闘ロボット軍団の軽闘士デデモスは、背中にしがみついて一緒に登ってきたモンスター軍団の豪将ブライディに蹴落とされ、モンスター軍団が1位に輝きます。勝利に喜ぶゲルドリングとブライディに、まだ最後の難関があると告げるゴッドネロス。そこに子供を抱えたロビンケンとそれを追うメタルダーが現れます。ブライディをメタルダーにけしかけるゲルドリング。しかし、あっさり子供を奪い返されて、そのまま逃走を許してしまいます。その時、ロビンケンが「競技大会の勝利など片腹痛い。私が欲しいのはただ一つ、メタルダーの命。ヨロイ軍団ロビンケンの闘い、とくと見られい!」と宣言し、得意のナイフとブービートラップでメタルダーに挑みますが、あえなく敗れ去ります。

駄弁者:
 正論を吐いてもサボリまくっていても、ヒーローと闘って敗れる末路に大差はないんですね…。
注記:コメントの最後の方は、文字化けしていたのを復元したのですが、一部間違っているかも知れません。ごめんなさい。



仮面ライダー本郷猛は改造人間である。
彼を改造したショッカーは、世界征服をたくらむ悪の秘密結社である。
仮面ライダーは、人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!

 出典: 石ノ森章太郎原作・東映製作「仮面ライダー」

紹介 :タカ 様
HP :

コメント:
 みなさん御存じ、仮面ライダーのOPの後に流れるナレーションの台詞。確かまだ投稿されてなかったと思うので投稿してみました。
 この台詞の特徴は仮面ライダーは決して「正義」のために戦うとは言っていないところだと思います。当時は現在よりもずっと正義と悪がはっきりしていた時代だったと思いますが、それでも正義という言葉を使わなかったところが石ノ森イズムみたいなものなのかなぁと思います。

紹介 :sengoku 様
HP :

コメント:
 234集、富永浩史「超空自衛隊4」の名台詞への返しです。まだ掲載されてなかったので、投稿します。 日本人なら、子供の頃にこの台詞を聞いて魂に刻み込まれている筈。
(三つ子の魂百までって奴ですか?)
自衛官たちが「ヒーローを気取って」いるならば、絶対にこの台詞を意識していたと思います。

駄弁者:
 本郷さんの場合、少なくとも最初の方は改造された復讐と自分自身の自由のために、という方が大きいように思います。これはこれで正義なんですが、世界のためとか平和のためというのとはニュアンスが違いますよね(歌詞ではそう言っていましたが)。
 まあ見ていた頃の私は、もっと単純に「正義のライダー」と「悪のショッカー」で捉えていたと思うのですが。



「それにしてもでっかいなぁ。あんなでかい奴、この島にいたかなぁ…?」

 出典: 山浦弘靖&野長瀬三摩地脚本・野長瀬三摩地監督「ウルトラQ 第20話『海底原人ラゴン』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第6回。
 岩根島近海で、漁師の網に奇妙な生物の卵が引っ掛かった。それは海底原人ラゴンの卵であり、やがて母親ラゴンがその卵を取り返しに現れるというのが本作のストーリーなのだが、上記の台詞はその母親ラゴンを初めて目撃した漁師の呟きである。
深夜、酒に酔って帰宅途中、ふと港の方を見ると、身長2メートル以上ありそうな大きな人影が海から上がってくるところだった。漁師は声を掛ける。
「おい!海で何してたんだよ!おい!」
 その真っ黒い人影は向きを変え、漁師に迫る。そして上記の台詞の後、水銀灯に照らされたラゴンのアップ(これ怖いっスよぉ)。ラゴンの両手が漁師の首を掴む。ほどなく、漁師は絶命。が、よく聴くと「バキッ」という効果音が入っているので、絞め殺されたのではなく、首の骨を折られて死んだものと思われる。『ウルトラQ』という番組は、大怪獣が都市を破壊する様な話よりも、こういう話の方がずっと恐ろしかったりする。『大怪獣との接近遭遇』というテーマから少し外れるが、実に印象深い台詞&場面なので、つい投稿してしまった。余談だが、ラゴンは次の『ウルトラマン』第4話に「水爆の放射能で突然変異し、巨大化した」という設定で再登場している。ただしこれはオスで、『ウルトラQ』の時の母親とは別の個体である。

駄弁者:
 2mというのは他の「大怪獣」と比べるべくもありませんが、こういう「想像できてしまう巨大さ」というのは、「想像を絶する巨大さ」とは別物の恐さがあると思います。



「何だかお手紙って、ネオ・ヴェネツィア『そのもの』みたいですよね。私……、そんなこの町が大好きです」

 出典: 天野こずえ「ARIA」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 ある秋の日、灯里の元に友人の郵便配達員がやってきます。彼の集配用ゴンドラに穴が開いてしまったため、代わりに明日1日灯里のゴンドラを使わせてほしいとの事でした。
 集配を終えて、灯里は改めてネオ・ヴェネツィアにポストが多い事に気付きます。
 今回の名文句は、手紙の魅力を語る郵便配達員に灯里が返した台詞です。
 もちろんメールでも心のこもったやり取りはできますが、やっぱり手書きの手紙は一味違うもの……という言葉です。

駄弁者:
 ポストに投函するハガキでも、ずっとワープロ・パソコンで書いているからなあ…。正直、自分の手書きは人に見せたくないんですよ、ひどい悪筆なので。そうやって手書きを嫌っているうち、ますます字が下手になるという、よくある悪循環。
 悪筆でもそれはそれで味がある…って言ってくれる人ばかりの町なら、私も大好きになれそうです(笑)。



復讐心は冷たい、鉄の味がする代物で、あまりたくさん摂りすぎると、ヒ素よりもおそろしい、死を招く毒になるのだ。

 出典: デイヴィッド・ウェーバー「反逆者の月 3」(中村仁美訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 皇太子の宇宙船事故をはじめとする数々の銀河帝国転覆の陰謀の首謀者を探り出した銀河帝国の皇帝は、首謀者を裁判の後で銃殺刑に処するのですが、処刑後の感慨の一節です。
 本当にその通りだと思うのです。被害に遭ったときに復讐心が起こるのはやむを得ないと思いますし、私自身も復讐心にかられることがあります。しかし、だからといって自らの復讐心を煽りたててしまうようなことは、更なる死を招くことにならないでしょうか。復讐心がヒ素よりもおそろしい死を招く毒になるというに全く同感します(ネタばれにつき反転 それにしても、銀河帝国の皇帝が専制君主でありながら、独裁の弊害を招かずに統治しており、陰謀の首謀者が元アメリカ上院議員というのは、アメリカ人の原作者の皮肉しか思えない。)。

駄弁者:
 どこぞの優生種と話が合いそうです。復讐する側とされる側、それぞれ味わう冷たさは異なるようですが…。



「あの曲の題名は、《自由なれ、マラガー》というのです、ショーン閣下」

 出典: デイヴィッド・ウェーバー「反逆者の月 3」(中村仁美訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 陰謀により起こされた宇宙船事故により、科学が失われた惑星バーダルに漂着した銀河帝国の皇太子ショーン達は、この星で「教会」が圧政を敷き、科学を独占していることを知って、反教会意識の強いマラガー地域の人々の協力を取り付け、「教会」を打倒する反乱軍を組織して、科学を人々の手に取り戻し、自分達も帝国に帰還しようします。そして、いよいよ教会軍との激突を前に、マラガー人達が奏で、歌いだした曲の名前をショーンは尋ねるのですが、その曲の題名は、「自由なれ、マラガー」でした。
 2世紀にわたり、この歌を奏で、歌うだけで死罪になった歌を伝えてきたというだけで素晴らしいと思いますし、反乱軍が教会の圧政を打倒するために決起したことを思えば、ふさわしい題名だと思うのですが(なお、伴奏はバグパイプとのことで、これってやはり元ネタはジャコバイトの乱なのでしょうか。)。裏を考えれば、何とも更に皮肉な題名のような気が。何しろ、ショーン達の祖国の銀河帝国は、史実のロシア皇帝がうらやみそうな皇帝専制国家で、結末で惑星バーダルは銀河帝国の領土になることが示されていますから。

駄弁者:
 私は何となくフランス革命を連想したのですが。反乱に成功したあかつきには国歌になりそうですが、「ラ・マルセイエーズ」みたいな血なまぐさい歌詞なんじゃないでしょうか。



船長「取り舵いっぱい!」
操舵手「取り舵いっぱーい!」
船長「戻せぇ!」
操舵手「うわあぁぁ!」

 出典: 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛原作・関沢新一脚本・本多猪四郎監督「モスラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第三弾。飛行機の次は船である。
 悪徳興行師クラーク・ネルソン(ジェリー伊藤)に捕獲され、東京の劇場で無理やりショーに出演させられたインファント島の小美人(ザ・ピーナッツ)。しかし、彼女たちがステージで唄う歌は、モスラを呼ぶ祈りの歌だった。歌はラジオで全世界に放送され(当時はテレビの衛星中継技術が無かった)、小美人のテレパシーは増幅されてしまう。何も知らない実況アナウンサーは語る。
「ラジオをお聴きのみなさん、まさに世紀の神秘です。この光景を耳にしかお届け出来ないのが、たいへん残念です」
 このラジオ放送を聴きながら、のんびりと舵を取る豪華客船オリオン丸の操舵手と船長。と、そこへ小美人のテレパシーに応えて卵から孵化し、ひたすら日本の東京を目指す幼虫モスラの巨体が迫る!
 上記の台詞は、その衝突直前の船長と操舵手のやりとりである。訳も判らず巨大な芋虫に沈められた悲惨さもさることながら、実はその巨大芋虫がつい今の今まで楽しく聴いていたラジオの歌に導かれて衝突してきたなどとは、誰も夢にも思っていなかったろう。取り敢えず、乗組員と乗客に合掌……。

駄弁者:
 前々回、間違えて掲載し損ねていたものです。改めて、すみません(けど、セリフ自体だけとればあまり「名文句」ではないですね…)
>ラジオの歌に導かれて衝突…
 巨大芋虫から等距離に、四方八方から歌を流したらどうなっていたんでしょう。



平和と幸福のオアシスなどSF小説のなかにしか存在しない。

 出典: ミシェル・ジュリ「不安定な時間」(鈴木晶訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 2060年、溶時界という別世界からの侵略に立ち向かうロベール・オルザックは原因を突き止めるために1966年のフランスに生きるダニエル・ディエルサンと、時間溶解剤を使った接触を試みる。一方、そんな事は知らないダニエルは閑職からの復帰を期待した人事異動で、フランスからアメリカへの異動を提示される。あまりのショックにダニエルは心の中でつぶやくのだった。
 荒廃(225集)でリクエストいただいたので、投稿します。
 ダニエルさん、かなり追い詰められているようで、これはもはや現実逃避。しかもその後にそれもどうだか、と続きます。 SFは現代のおとぎ話と言ったのは誰だったかな(ル・グイン?カイヨワ?)。
 この作品、巻頭にP・K・ディックの言葉があるのですが、もろに「ユービック」の影響を感じさせます。一応の決着がつくのですが、決着の付け方があまりにも救われないんですよね。悪夢の中でのたうち回る本家よりはまだマシなのだろうか(結末もそのうちに投稿します)。

駄弁者:
 リクエストにお応えいただきありがとうございます。
 実は私、「ユービック」よりこちらを読むのが先でした。なんか登場人物の混乱がそのまま読んでいる側に乗り移っているような感覚がありました(…ぶっちゃけ、分かりにくかった(笑))
>平和と幸福のオアシスなどSF小説のなかにしか…
 SF小説の中にも、と言い直すべきでしょうか。



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