SF名文句・迷文句第141集

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かつて、人類が、宇宙にはじめて宇宙にとび立とうとしていた時代に、実験用に、人工衛星にいれられて、うちあげられ、回収されずに死んでいった生物霊が、そのままとむらわれることなく、月と地球の間をさまよっているのでしょう。 ―彼等の霊を供養して、成仏させてやらなければ、幽霊はうかばれません。

 出典: 小松左京「回向」  『小松左京ショートショート全集』に収録

紹介 :いせやん 様
HP :

コメント:
 大分昔に読んだ本で、60年代には犬を乗せたまま衛星を打ち上げて回収されず燃え尽きさせるようなことがよくあったと書いてあったので、「アメリカやソビエトは動物をなんだと思っているんだ」と思ったことがあったのですが、同じことを考えていたひとは結構いたでしょうね。
 そのうちこんな事って本当に行なわれるんですかね。さらに未来になると観光客が来るような行事になるのかも……

駄弁者:
 地球−月航路の定期船に、いるはずのないネズミがいたと苦情を受けたサービス課長。社の信用を落としては一大事と乗り込んでみると、ネズミばかりか、犬やサルまでもが現れる。果たして彼らの正体は?って、ご投稿の名文句でバレてますな。
>動物をなんだと思っているんだ
 話のオチはさらにブラックですが…。



「人間は、余裕がなければ優しさを持てない。至上の価値を吹聴されている人道も倫理も、所詮は余裕の消費行動に過ぎないよ。貧窮すれば、無視される」

 出典: 高橋弥七郎「A/Bエクストリーム CASE−314[エンペラー]」

紹介 :検索の渡り鳥 様
HP :

コメント:
 前回A/Bエクストリームの投稿をした検索の渡り鳥です。続きましては人道と倫理について。ボギー君のご意見です。これはこの作品だけじゃなく、他でもイロイロ汎用性があると思うのですがいかがでしょう?

駄弁者:
「衣食足りて礼節を知る」、ですか?
けど、こう言ってる人物のうち、実際余裕ができたとき人道や倫理に則った行いをする人は、果たしてどれだけものだろうか…。



グレイス「本当のあなたってどんなひと?」
マーガレット「本当もなにも これがわたし これがマーガレット・ソードのスタイルですわ」

 出典: 冨士宏「午後の国物語 GREACE SIDE ノースメイフ編」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 で、先の台詞の会話の止めがこれ。
 すでに演技だのペルソナだのの域を超えています。北島マヤでもこうは行きますまい。

駄弁者:
>北島マヤでもこうは行きますまい
 雰囲気的にはどっちかというと姫川亜弓…。影で無茶苦茶努力してそうなところとか。



ウォーフ「ロミュランエールは違法にすべきだ…」
ジョーディ「もうなってるよ」

 出典: スチュアート・ベアード監督「スタートレック・ネメシス」

紹介 :出羽 様
HP :

コメント:
 映画の冒頭、副長ライカーとカウンセラー・トロイの結婚式でヤケ酒をかっくらったウォーフのつぶやきと、エンタープライズDのツッコミ担当ジョーディの一言。
 ロミュランエールは、中枢神経への作用が大きく、平たくいえば酔っ払いすぎるのが特徴のお酒。その昔、和平会議のためにクリンゴンの宰相ゴルコンを迎えに行ったエンタープライズAが道中の晩餐の席で出したことがありますが、そこで交渉そのものをぶち壊しかねないほど互いの本音を引き出したせいか、惑星連邦では一応違法になってます。
 しかしまあ、そんな決まりもどこ吹く風とばかりにシリーズ通じてあちこちでよく飲まれてます。24世紀になっても形骸化する規則はあるというか、たとえばジェインウェイにとっての基本原則と同じく、よく無視されるものの代表です。

駄弁者:
 一時はゴールインまで時間の問題かと思われた相手を見送る、傷心のクリンゴン人を思いやるところなのですが…長年のファンとしてはどうしても飲んでる酒の銘柄にニヤリとしてしまいます。
 ロミュラン・エールの登場はクリンゴンとの和平会議のエピソード「スタートレック6・未知の世界」よりももっと前で、「スタートレック2・カーンの逆襲」にまで遡るはずです。たしかカークの誕生祝いにドクター・マッコイが提げてきたもの。当時すでに禁制品でした。
 …歴代の<エンタープライズ>では常備されている!?



未来は自分で切り拓くものなんだよ!

 出典: ロバート・ゼメキス監督「BACK TO THE FUTURE part3」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
タイムトラベルで「良い目」を見た人というのはそうザラにはいないと思います。
 その中でもドク(エメット・L・ブラウン)は、「夏への扉」の例の男と双璧を成す「幸せもん」だと思います。ていうか、嫁を取るならタイムマシンに乗れ、という事でしょうか?
 セリフはなぜ未来が変わってしまったかを聞かれたドクの答。青野武氏の声に「妙な」説得力を感じたのは私だけでしょうか?

駄弁者:
 6歳の頃から彼一筋!という少女と出会う「例の男」とタメをはるドクは、いい年の爺さんなのに妙齢の(しかも頭のいい)女性に惚れてもらえるという…これまた非常に羨ましい境遇。
>未来は自分で切り拓くものなんだよ!
 蒸気機関でレールを走るタイムマシンで切り拓こうとするのは、あなたぐらいなもんです。



サラリーマンだって、平和を守れるんだ!

 出典: XEBEC製作「地球防衛企業ダイ・ガード」

紹介 :エルソドラン 様
HP :

コメント:
 怪物体ヘテロダインの出現によって、街一つを消滅させる被害を被った日本政府は、対ヘテロダイン用巨大ロボット「ダイガード」を造り、再度の出現に備えた。しかし一向にヘテロダインは現れず、ロボットは民間に払い下げられ警備会社の広告塔代わりに使われていた。そこに永くの沈黙を破りヘテロダインが出現。警備会社のサラリーマン達が戦う事に…… この文句は次回予告の決め台詞から。
 一回の出動の為に、上司のハンコを幾つももらい役員会議が召集され、とにかく面倒が沢山だ。平時の際にはトレーニング、などする暇も無いほどのデスクワークに追われる毎日。
 やっぱりサラリーマンには向いてない気がするなぁ

駄弁者:
 サラリーマン云々以前に組織体制に問題あるような気もしますが、それはおいといて。
>一回の出動の為に、上司のハンコを幾つももらい…
 似たようなところでこんなのもあります。民間も役所もあんまり変わらんなあ。



マーガレットの友人「わたしたちも最初はマーガレットって傲慢でいやな奴だと思ったわよ」
マーガレット「実際わたしは傲慢でいやな奴ですわ」

 出典: 冨士宏「午後の国物語 GREACE SIDE ノースメイフ編」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 作者のファンサイト「午後の国」に書き下ろしで掲載されている冨士宏の漫画より、
主人公グレイスは名子役だった母親に憧れてオーディションを受けるが、そこで出会ったマーガレット・ソードはローティーンながら女王然とした貫禄があった。
 自信を失ったグレイスは昼食時にマーガレットのグループに加わり話かけてみるが…
 いや実際すごいキャラクターだ「世間が自分に求めているのはコレだ」との判断のもと自分の性格を「傲慢で高飛車で嫌われる女王様」に仕立て上げていると言うのだから。

駄弁者:
 人間誰しも、子供の頃から多かれ少なかれ自分の「キャラクター」を演じてるもんだと思いますが…。演じている自分を完璧に制御できているのがすごい。



彼らは人間の手から再び神の手に取り戻された種族と言える
戦争の道具でしかないと思われていた彼らが
初めて子供を生んだとき世界は驚愕した
彼らは存続の権利を獲得した

 出典: 冨士宏「午後の国物語 クロコダイルマウスとゴンザレス」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
このほど三年ぶりに増刷された短編漫画連作集「午後の国REMIX」より、今より数千年後の作中世界に「尻尾無し」人間と供に生きている「尻尾付き」人、B.O.S(バイオニックオーガノイドソルジャー)は戦争ショーで使い捨てられる兵士として人工子宮で造られた爬虫人類だった。15年前、最後の戦争ショーの後、不要な兵器として廃棄処分にされようとした彼らに子供が生まれ、激しい政治的な戦いの後彼らB.O.Sは生存の権利を自ら勝ち取った。…が作中での扱いはまだまだ厳しいものがあります。

駄弁者:
 本編の方は読んでませんが、もう一つご投稿のあった「GREACE SIDE ノースメイフ編」(上のご投稿参照)で、有尾族のハイドラが「おふくろが居るなら大事にしてやりな 母親から生まれるってことはオイラたち一族がまっとうな生き物だって証なんだからな」と言っているあたり、彼らの戦いの厳しさが窺えます。
 …けどそうなると、人(尻尾なし)でもクローンなんかは「まっとうな生き物」じゃないということに?



ただ爆発して終わりなどという、そんな素直な爆弾を≪科学者≫どもが作ったりするものか。

 出典: 谷川流「ボクのセカイをまもるヒト」

紹介 :首くくり 様
HP :

コメント:
”突然やって来て居候する人外美少女”な、手垢が付きまくったパターンのライトノベルより。
セリフは、居候の一人である人型機械幼女の自爆後の、妖精少女のもの。
作中ではオチが付いて終わる言葉なのですが、これ自体は現実の世界にも適用可能な一言ですね。

駄弁者:
 素直に威力の強いのを作ったつもりでも、放射線とか思わぬオマケがついてたりしますし(いや、予想して作ったのかどうか知りませんが…)。
 出典は「涼宮ハルヒ〜」が大当たりしている著者の、電撃文庫作品。評価は、結構辛い?



機械の体をもつ私たちの子孫は、やがて人間が定義した知性の範囲を大きく越え、人間にはまったく理解できないゴールを目指して進んでいくのかもしれない。…(中略)…そのとき彼らは、彼ら自身が歌える歌を見つけているのかもしれない。人間のかなたに。

 出典: アーサー・C・クラーク「『ビヨンド 惑星探査機が見た太陽系』序文」

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 マイケル・ベンソンが贈る太陽系の星々の写真。カラー・白黒合わせて295点もの壮大な風景は圧巻です。
 本書の序文を書いたのが、言わずと知れたアーサー・C・クラーク。彼は『2001年宇宙の旅』よろしく、道具が人間をつくったという考えを持っており、遠い将来、我々人類がなしえなかった偉業を、機械が達成してくれるかもしれないと思っているのでした。ここに書かれているヴィジョンは、山本弘『アイの物語』にも通じるものがあります。
 クラークが見た未来――僕が生きているうちにはまず実現しないでしょうが、いつかはそうなってほしいと思う、壮大で温かな風景であります。そしてそのヴィジョンが、この文に凝縮されていると思います。

駄弁者:
 「道具が人間をつくった」ならば、道具が変われば人間も変わっていく(進化していく?)…ということでしょうか。
 私たちが理解できないだろう「彼ら」の歌が、私たちにとっても美しく感じられるものであればいいなと思います。



「人間になりたいと思わないの?」
「論理や倫理を逸脱した行動を取り、争いを好むことがヒトの基本的性質であるとしたら、私はヒトになりたくありません」

 出典: 山本弘「詩音が来た日(『アイの物語』第6話)」

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 人類は衰退し機械が繁栄している遙かなる未来。「語り部」と呼ばれる僕が、戦闘用美少女アンドロイド<アイビス>に捕らえられ、収容された病院の中で物語を聞かされる。アイビスはそれらの物語はフィクションであり、現実には起こらなかったと言う――はたして、彼女の意図は何なのか? そして、何故人類は衰退し、機械が繁栄した世の中になってしまったのか? 山本弘先生が放つ、ヒトと機械の千夜一夜がここにあります。
 第6話の「詩音が来た日」は、介護用アンドロイド<詩音>が介護老人保健施設で実際に仕事を体験するうちに、ヒトとは違う心を開いていく様子を描いた作品。中盤、詩音はパートナーに自分の心境を打ち明けますが、その時の会話の一部がこれです。常に論理的かつ倫理的に行動する詩音の目には、無意味な戦争や虐殺を繰り返すヒトの姿は奇妙に映るのでした。
 「あなたがロボットに囲まれて暮らしていたら、自分もロボットになりたいと考えますか?」とも問いかける詩音。機械は人間に近付きたいに違いないという考えは人間至上的なんだなぁ〜と認識させられた瞬間でした。

駄弁者:
>自分もロボットになりたいと考えますか?
「あらかじめ定められた規則から逸脱した行動ができず、仲間と競い合うこともできないのがロボットの基本的性質であるとしたら、私はロボットになりたくありません」…ということになるでしょうね。相手をどう捉えるか、どの側面を捉えるかが問題かと。
 とはいえ、人間になりたいロボットより、なりたくないロボットの方がありそう。



どうせ奴等は、太るか死ぬかの二者択一だ。

 出典: 京極夏彦「すべてがデブになる」 『どすこい(仮)』に収録

紹介 :海並童寿 様
HP :

コメント:
 タイトルで明らかなように「すべてがFになる」のパロディなわけですが、もはや全くの別物です(笑)
 福島県ウチャリ山中に秘密の地下研究所をこしらえて隠遁する遺伝子工学の権威目方重太郎博士。その彼からの連絡が途絶えて早半年……ひょんなことでその話を聞きつけた小説誌の編集者たち一行が研究所との連絡役を担う民家を訪れたその時、途絶えていた連絡が突然回復した──「あれの所為さ」という目方博士の言葉の真意とは。
 事件の真相に到達した主人公の椎塚有美子が同時に閉じこめられた面々を見ての一言なんですが……読後残された精神力をかき集めて強引にまじめに考察すれば結構シリアスな状況ではあるんですけどね。悲壮感がカケラもないジャミラ・ストーリー、と言ってしまうと石を投げられてしまいそうですが。
 そう言えば森博嗣氏の逆襲「太めの夏」は上梓されたのでしたっけ。どこかで見たような気もするんですがぐぐるさんではヒットしないなぁ……

駄弁者:
 タイトルもうまいですが、真賀田博士−>目方博士になってしまうあたりで、読んでなくても笑えてきてしまいます。
>「太めの夏」は上梓されたのでしたっけ
 つい京極さんのシリーズの本のボリュームのことを言っているのかと…。
 ぐぐる以外でも探してみましたが、見つかりませんでした。もし上梓されているんだとすれば、見つけられないのは司書としてちょっと恥ずかしい。



俺は、仮面ライダー。仮面ライダーレンゲルだ!

 出典: 石森プロ制作「仮面ライダー剣(ブレイド)」

紹介 :ゴンベッサ 様
HP :

コメント:
コメント(必須) :  仮面ライダーレンゲルに変身するためのベルトとカードを手にしてしまった上城睦月は、カードに封印されたスパイダーアンデッドの意思に操られ、苦悩します。
 彼に特訓を施す先輩ライダー、橘。睦月は厳しい特訓に耐え、どうにかレンゲルの力を制御できるようになりました。
 そんな睦月は、アンデッド(怪人)が落盤事故を起こしたデパートで、親子を助けます。「ありがとうございます。お名前は?」母親の言葉に何も答えることなく、睦月はアンデッドが潜む地下へと。
 地下でアンデッドと対峙した睦月は、ベルトとカードを使って仮面ライダーに変身。変身する最中、母親の声が脳裏に蘇ります。『ありがとうございます。お名前は?』
「俺は、仮面ライダー。仮面ライダーレンゲルだ!」

駄弁者:
 ご投稿の文句でふっきれたようにも見えますが、ストーリー紹介を見るかぎり、この後も彼の苦難と葛藤は続いたようですね。



可奈さん、生きて下さい。俺も生きます

 出典: 石森プロ制作「仮面ライダーアギト」

紹介 :ゴンベッサ 様
HP :

コメント:
 アギトとは、意図せずして覚醒してしまう異形の存在。
 岡村可奈はアギトになってしまった自分に怯え、自殺を図ります。彼女を助けたのは、仮面ライダーアギトこと津上翔一。翔一と可奈が別れた直後、翔一の前に怪人が現れます。
「変身!」
その声に可奈が振り向くと、そこにはアギトの姿に変身した翔一がいたのでした。
「可奈さん、生きて下さい。俺も生きます。俺のために、アギトのために、人間のために――!」

駄弁者:
 「アギトになる」ことは、病気…それも業病にかかってしまうことと重なってくるように思えます。たとえそれによって人間以上の能力が得られるとしても。



「この星は でっかい布のカバーに包まれてるんだ」
「布ぉ!?」 有害な光線や 気象から人間を護る……まあ 服みたいなものだね
それは 七つのトップブランドの塔が支えている
「じゃあ 私たちの見ている空は その内側? 作り物なの?」
「その布の破れ目を“スリット”っていうんだよ」

 出典: 倉田英之脚本・okama漫画「CLOTH ROAD 第1巻」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
それでは、格闘以外の使い方を>前回投稿
「スリットの周辺では いろんなことが起きる 放電や竜巻や怪音現象や……」
「晴れているのに大雨 とか?」
「都市部の破損は すぐ修復されるけど 人口の少ない場所は ほったらかしなのさ」とのこと。地域格差の図式は、いずこも同じか……(嘆息)。
ちなみに、この惑星を覆っている「服」に隠された驚くべき秘密は、コミックス3巻にて明らかに。
BGM:「アムリタ」牧野由依

駄弁者:
 前のご投稿からだいぶ時間をあけることになってしまいましたが、フォローありがとうございます。
 惑星ごと服を着せるなら…いっそ土星に対抗して、赤道ぞいにフリルをつけた服にしてみるとか。星全体を布で覆うことによる気温上昇も、フリルから放熱することで解消可能?



ここに書いてあることがほんとうだとすると……
この星は長くもたないよ。

 出典: あだち充「虹色とうがらし」

紹介 :海並童寿 様
HP :

コメント:
 氏の作品では異色のSF要素入り時代物より。
 我々の時代で言えば日本なら江戸時代中期くらいの地球そっくりの星。花のお江戸はからくり屋敷に暮らす7人は、皆母親は違えども、同じ父親(実は時の将軍・秋光)を持つ兄妹。彼らがそれぞれの故郷を訪ね母親の墓参りをしようと揃って諸国行脚の旅に出た丁度その頃、謎のオーバーテクノロジーを操る漂着「メリケン人」バン艦長と彼と手を組んだ将軍の弟・貴光の暗躍が始まる……
 で、これはふとしたことで、バン艦長が持ち込んだ彼の郷里の資料を(そうとは知らずながら)読んだ兄弟の五男坊・陳皮(10歳)の台詞。
 図版写真入りとはいえ、江戸時代の少年がよくこういう結論にたどり着いたなーと。
 いや、ぱっと見ただけでもその「星」の汚染のひどさは一目瞭然だったのかもしれませんが……
# 最初は迷文句として「時代考証に口出し無用」(作中、「あくまでこれは未来の話だから」ということで時折登場する看板)を投稿しようと思っていたのですが、思い直しました(笑)

駄弁者:
 あだち充の作品で時代劇とは珍しいなあ(けどあの絵柄にチョンマゲは違和感あるなあ)と思ってたものですが、SF要素があるとは、実はご投稿で初めて知りました。
>この星は長くもたないよ。
 資料を理解できる知識もさることながら、「この国」どころか「この星」を認識できる世界観をもっていることが驚異的なんじゃないでしょうか。



その本を見られたからにはサービス期間はおしまい!

 出典: 士郎正宗「ドミニオン コンフリクト編」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 「好かれる上司になる秘決 完全版」(原文のまま)という本だそうです。
 ちなみにこの「サービス」は部下を代表して朝礼に出る事でした。
 そんな事で部下を掌握出来るんでしょうか?
 どうも士郎正宗はこの手の誤植が目立ちます。よほど悪筆なのか担当のチェックが甘いのか、中にはオチの一言が誤植だった事があって、単行本が出るまで「なんの事だろう?」と不思議に思った事があります。

駄弁者:
>「好かれる上司になる秘訣 完全版」(訂正済み)
 サービス期間をおしまいにしたくなる気持ちは、わからんでもないですが。
 次は『「ものわかりのいい上司」をやめると、部下は育つ!』を読むことにしましょう。



「偉大な戦士か。戦いで人は偉くはならん。」

 出典: ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズ エピソード5・帝国の逆襲」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させていただきます。まずは、このセリフが語られるまでのいきさつを書かせていただきます。
 冒頭で極寒の惑星ホスの雪原の中で彷徨っていたルーク・スカイウォーカーは、ダゴバという惑星に行ってヨーダというジェダイ・マスターに修行を受けるように言うオビ=ワン・ケノービの霊の声を聞き、その言葉に従ってダゴバに向かうわけですが、着陸に失敗して、乗ってきた戦闘機が沼に沈んでしまいます。そしてルークは途方に暮れながらもとりあえず夕食を食べることにするのですが、いきなり緑色でチビのエイリアンの変な老人(実はその老人こそが正体を隠しているヨーダだったわけですが)に出会います。そして「偉大な戦士を探している。」と言うルークに対して、ヨーダが笑いながら言うのがこのセリフです。
 この時、ヨーダは正体を隠して変な老人のふりをしているわけですが、このセリフからは彼の本当の偉大さがにじみ出ているような気がします。

駄弁者:
 初登場時、ワガママで滑稽なチビ…に見えていたヨーダが実はジェダイ・マスターだと分かったときの演出(ご投稿のセリフの少し後だったかと思いますが)は、印象に残ってます。ヨーダの顔つきが前後で全然違って見えました。
 エピソード2は、このヨーダの戦闘シーンしか覚えてないなあ(笑)。



「ロボットたちがきみに近づき、レディ・ヴァジリアが烈しいよろこびを示したとき、わたしの陽電子回路のパターンは、異常な形に変化した。一瞬わたしはきみのことを――人間とみなして行動した」

 出典: アイザック・アシモフ「ロボットと帝国」(小尾芙佐訳)

紹介 :万太郎 様
HP :

コメント:
 先に投稿させていただいた台詞のシーンとよく似ていると言ったシーンの台詞がこれで、これでは同じ意味をもった台詞に見えるのですが、このシーンで感じた印象は戦慄ではなく、むしろ「ターミネーター2」の「人間がなぜ泣くかわかった……俺には涙を流せないが……」の台詞にから感じるものと同じです。というのも、このシーンで二人――二体のロボットは他のシーンでは見られない、およそロボットらしくない、つまり二人が人間であるかのような行動を取るからです。
 ロボット好きの方には共感してもらえると思うのですが“機械であるはずのロボットが人間的感情を抱く”という話にロマンを感じてしまうのは、どういった感情なんでしょうね。なんで人は、人に近い機械の存在に憧れるんでしょう。「なぜ人はロボットを想像・創造するのか」そんなテーマのSF作品があったら観てみたいです。

駄弁者:
 人間の心を読み、操る力をもつ唯一のロボット・ジスカルド。その能力に気付いたロボット学者ヴァジリアは、彼を自分のものにしようとする。それを防ごうとするロボット・ダニールは、個々の人間より「人類」を優先する<第零法則>をよりどころに、人間であるヴァジリアの直接命令に逆らうが、その努力もむなしく分解されようとしていた。だが最後の瞬間、ジスカルドが能力を使ってヴァジリアを意識を奪い、危機を脱する。第零法則を受け容れられないジスカルドが、なぜ人間であるヴァジリアに背くことができたのか──ご投稿の文句はその答えの一端。
 「人間」や「人類」の定義が問題になっているあたりも、下の「心にかけられたる者」と共通するところですね。
>なぜ人はロボットを想像・創造するのか
 欧米だったら「カミサマのまね」という答えも可能なんですが、日本人には当てはまらないでしょうし。



「きみは人間だよ、ジョージ-10。おまけに誰よりも優秀だ」

 出典: アイザック・アシモフ「心にかけられたる者」(池央耿訳)  『聖者の行進』に収録

紹介 :万太郎 様
HP :

コメント:
 「心にかけられたるもの」は例の<ロボット工学の三原則>に対して「そもそもロボットは何をもって人を人をみなすのか?」といったテーマで書かれた短編で、この題は詩篇の作者ダビデ王の神に対する問いかけの言葉「あなたがみ心における、人とはいったい何ものなのですか?」という台詞からのようです。
 そしてこの台詞は世界で一番優秀な頭脳を持ったロボット=ジョージ-10に対して、それに次いで優秀なジョージ‐9が放った言葉で、ロボットがロボットを人間とみなした<三原則>の意味を根底から覆させるものです。
 <ロボット工学の三原則>は「フランケン・コンプレックス」を持った(ロボットが登場する作品中の)人に対して、ロボットの安全性を保障するためにあるもので、“人が自らの創造物によって破滅に追いやられる”といったそれまでのロボットものに対するアンチテーゼとして生まれたのがアシモフのロボットシリーズなので、<ロボット工学の三原則>を扱った作品では――例えば「ターミネーター」や「マトリックス」のような――人が機械によって破滅する未来は描かれていないのですが、このロボット達が導き出した結論とその延長線上に想像される未来像は私にとって恐ろしいものに思えて、先の二つの映画で映像として見せられた暗黒の未来像よりよほど戦慄を感じました。
 ところでこのジョージ-10とジョージ-9、「夜明けのロボット」や「ロボットと帝国」を読んだ後だとダニールとジスカルドと被ってしかたがないのはわたしだけでしょうか? 「ロボットと帝国」にもこれと同じようなシーンがありますし……。

駄弁者:
 外見や組成ではなく、人格と能力でもって「人間」を判別する2体のジョージ。ならば彼らは、「ロボット」はどう定義するんでしょう?自分たちを人間でありロボットであるとした場合、<三原則>は彼らを行動不能にしてしまうんじゃないでしょうか。
 ところでこの話では、限定的な能力をもった鳥型ロボットで害虫を駆除することによって、自然に悪影響を与えず人間に都合のいい環境を作ることができる、ということになってますが…。話の本筋ではないとはいえ、ちょっと自然環境を甘く見過ぎてはいませんかね?



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