SF名文句・迷文句第196集

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「このミルク、腐りかけてるわ。平気だけど」

 出典: ジャスパー・フォード「文学刑事サーズデイ・ネクスト 2」(田村源二訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 出されたコーヒーのミルクを見てこんなことを言う奴も奴なら、出す方も出すほうです、別に誰かが飢えてるわけでも、何かの伏線になっているわけでもないんだよ。
 本の中に入って事件を解決するというサーズデイ・ネクスト シリーズの本筋とは全く関係ないこのセリフですが、ただの日常会話でこんなことを話す主人公達、普段はもっと尋常じゃない目にあっているせいなのかなあ。

駄弁者:
 作品が作品だから、何かの名作の本歌どりじゃないかと思ったのですが…。
 このごろは防腐剤として入っている成分のほうが危険なので、平常に腐りかけている方がむしろ安全だったりして。



いずれにせよ、真実とはそもなんぞや?真実とは、ひとが真実たらしめるもののことさ。

 出典: ロジャー・ゼラズニィ「光の王」(深町真理子訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 反乱を企てる仏陀が潜む僧院に、天からの刺客が潜り込むが、死に神<ヤマ>に見破られ、殺されてしまう。不殺生を戒律とする僧院で殺人が行われたことは許されない。病死した事にしようと<ヤマ>は提案する。そのような捏造が通用するのかと問われた<ヤマ>は問い返すのだった。
 何とも辛辣なお言葉。死に神として色々見てきたからかもしれませんが、手加減なさ過ぎです。まあ、何の台詞か忘れましたが、うそも真剣につけば真実になるとか、真実は一人に一つある(44集参照)とかいいますから、真実への少々の軽い扱いも当然かと。
 この作品では、主役であるサムよりその相棒のヤマのほうが名台詞満載で、少し前にある「すべての男が愛するものをそれぞれに殺してきたのだ」なども、迫るものがあります。

駄弁者:
 ヤマ=閻魔さまが真実についてこういう考えを持っていると、地獄の沙汰は何次第になるんでしょう(笑)。



山椒魚を見たことはありませんが、音楽を持たぬ生き物には精神もない、と確信しております。−トスカニーニ
山椒魚にはもちろん精神はない。その点、人間に似ている。−G・バーナード・ショー
山椒魚にはセックス・アピールがございません。だから精神もないのでございます。−メイ・ウエスト
彼らの水泳のテクニックとスタイルはおもしろい。われわれは彼らから多くのことを学ぶことができる。特に長距離水泳の場合には。−トニー・ワイズミューラー

 出典: カレル・チャペック「山椒魚戦争」(栗栖継訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 人間社会に山椒魚がとけ込み始めると、人間の受け取り方も単純な労働力とは変わってくる。上記は、ある新聞が行った「山椒魚に精神はあるか」についての回答からの抜粋です。
 いかにもそれらしい回答が並んでますが、ワイズミューラー、この人脳味噌筋肉あつかいだったのか。トスカニーニもプロ意識を通り越して単なる音楽バカだし。
 今では、こんなおふざけは難しいでしょうね(許諾とれないでしょうし、無しであればそのまま訴訟ですよ)。

駄弁者:
 バーナード・ショーの言葉が、なんかそれっぽくて笑えます。あとの先生方はよく知らないんですが。
 しかし、サンショウウオの泳ぎのテクニックは、人間にも応用できるんでしょうかねえ…。
>今では、こんなおふざけは…
 それっぽくなければ名誉毀損と言われ、いかにも他で書いていそうなことだったら、著作権侵害と言われたりしそうです。きゅうくつですね。



私には夢がある

 出典: 太田垣康男「MOONLIGHT MILE MISSION145;I have a dream…」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 言わずと知れたキング牧師の演説の一節です。作中では堂々全節掲載です。
 マンガではこの演説をバックに自爆テロが発生、インドーパキスタン間の核戦争を引き起こしてしまいます。敵を皆殺しにするのが「夢」なんて不毛だと思うのですが。
 テロリスト達の動機が「復讐」で、その連鎖がある限り殺し合いは無くならない、というのは悲しい現実なんでしょうか?だとすると、首都を無差別爆撃されても原爆を落とされてもテロリストが出ていない日本にこそ世界平和の糸口がありそうなんですが。
 ちなみに、「『目には目を』は全世界を盲目にしているのだ……」という、マハトマ・ガンジーの言葉も扉絵を飾っています。
 (限定)核戦争が起こっても順調に月開発しているこのマンガ、どこに行こうとしているのか目が離せません。

駄弁者:
 作中で起こっていることは、キング牧師よりもマルコムXが合っていそうです。
>首都を無差別爆撃されても原爆を落とされてもテロリストが出ていない日本
 戦禍もさることながら、その後に長く続く貧困のほうが原因としては大きいんじゃないでしょうか。日本だって、経済復興がなかったらどうなっていたか。



普通はだな、隕石といったらK−T境界(白亜紀と新生代第三紀の境目のことです)あたりに落ちて地球上の恐竜を小粋に絶滅させたりするものなのだ。

 出典: 田中ロミオ「人類は衰退しました 3」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 相変わらず緩い日常を送っているある日、村はずれの畑に隕石が発見されます。早速調査に行った「私」と祖父。
 隕石があまりにも軽いことがお気に入らなかったらしい祖父のぼやき。
 小粋に絶滅…なんというか豪気というか、ねじがはずれているのか。妖精さんより祖父の方がよっぽどやっかいな存在に思えてきます。

駄弁者:
 落ちてきたのが重さ5キロぐらいの小モノリス(変形可能)とあっては、文句のひとつも言いたくなるものかも知れません。 >小粋に絶滅
 小粋どころか無粋にもほどがある石ころですよ、恐竜ファンからしたら。



ここでデカルトはベタ過ぎる!

 出典: サンライズ制作「ゼーガペイン」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 自分達の世界の真実を知った主人公が、自分は本当に存在しているかと味方に聞いた時コギト・エルゴ・スムと返されての台詞です。
 我思う、故に我有りと訳されてますけど、この世の何もかもを疑うと残るのは疑っている自分だけ、という意味らしいですね。

駄弁者:
 今日び「我思う」と思っているだけでは、自分が存在しているとは確信できないんじゃないでしょうか。
 それに自分が存在しているのが確かだとしても、それ以外の全てが疑わしいとなると、自分の存在に意味があるのかということになりますし(「方法序説」だと「我有り」から演繹して神とか魂に拡げていくのですが)。



ミテイルセカイヲシンジルナ

 出典: サンライズ制作「ゼーガペイン」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ネタバレになるので詳しくは書きませんが、主人公がロボットの外に出て物に触ろうとするとすり抜けてしまい、振り返ると壁が崩れてこの文字が出現します。
 いや、こんな見せ方されると騙されるって。

駄弁者:
 ここで「ハズレ」とか「ダマサレテヤンノ」の文字が出現したら、さぞ腹が立つことでしょう(だれかパロディでやってそう)



「さらばじゃ」
「栄えなされ」

 出典: 今日泊亜蘭「我が月は緑」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 こちらも大分遅くなってしまったのですが、追悼の意味を込めて投稿します。
 「光の塔」事件より30年後、養父に反発し、国際刑事となった主人公中山弓ノ助はある日、月面に存在する「脳髄共和国(略して脳共)」という組織を探るため、月へと派遣されます。様々な障害を乗り越え、敵の本拠に乗り込んだ中山が見たものは…!?投稿した台詞は物語のラスト、月面のある存在が主人公に語りかけた台詞ですが、ここで非常に感銘を受けました。
 野田先生や栗本薫先生をモデルにしたキャラクターも出てくるユニークな作品で是非とも読んで欲しい作品です。それにしても、あとがきに出てくる「アステロイドベルトを舞台にした第三作」はもう永久に読めないと思うと悲しくてなりません。

駄弁者:
 訃報があったときに掲示板に書いたのですが、私はこの作品が復刊されたときに迷いつつもスルーしてしまって…。ちょっと惜しくなってきました。
 ご投稿のセリフは、ちょっと「Live long and prosper」を連想してしまいましたが。



デンジャーデンジャーデンジャー
 宇宙船アボガド3号アボガド3号
 こちらコントロールセンター
 軌道をはずれている
 コンピュータ故障コンピュータ故障
 軌道をはずれている
 …軌道を外れてんじゃん!

 出典: PEGMO作詞「SOSペンペンコンピュータ」(「ひらけ!ポンキッキ」劇中歌)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 大分時間が経ってしまいましたが、敬愛する野田大元帥の追悼を込めて投稿します。
 投稿した台詞は、野田先生がプロデューサーを務めておられた「ひらけ!ポンキッキ」の中で歌われていた曲の頭の方なんですが、この後、誰かがデータのインプットを間違えてコンピュータと乗組員が右往左往するところがユニークな歌です。(ミスタースポックそっくりなキャラがいい味出しています。ちなみに歌は以下のURLで聞けます。
http://jp.youtube.com/watch?v=8YrX7qDaoo4&feature=related
 それにしても、ポンキッキでは「空飛ぶ三輪車」とか、「宇宙船地球号のテーマ」とか、途中から宇宙の信号を受 ける内容になる「信号のうた」とかSFテイストにあふれた歌も結構多かったですね。こんな歌を聴いて育てばSFファンになるのは必然といえるでしょう…。それが狙いだったのかな?

駄弁者:
 ご投稿の歌は知らなかった(あるいは覚えてなかった)んですが、コメントの「空飛ぶ三輪車」や「信号のうた」は大好きでした。SFファン養成が狙いだったとしたら、私に関しては大成功です。
 「信号のうた」の宇宙の信号のくだりはたしかこんなでしたね(暗記ですが多分間違ってないと思います)。
「知ってるかいなぞの電波を / 星空のむこうから不思議なリズム / ぼくは思うよ あれは宇宙人の信号なのさ」
「信号」違いじゃないかとも思いますが、こちらも名フレーズでした。



……500年生きた…何でも知っていたし何でも出来た…でも…喜びも悲しみも強さも弱さも持っていた……普通の…人間だった…お前たちも…同じだ…どれだけの超能力を持とうと…人間だ…魔法使いにも伝えてくれ…多分…彼も同じだ…私達は人間だ…人間なのだよ

 出典: 水上悟志「惑星のさみだれ」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 カジキマグロの騎士・秋谷稲近(自称) 人呼んで師匠!!
 五百年生きた仙人とも天狗とも言われる師匠は、その生涯の終りに、二人の少女を弟子とし惑星を砕く物語に加わって死ぬことを四百年以上前から予知していた。
 だが全知など、体験し魂に刻む事に比ぶるべくも無い。
 月城・雪待二人の少女とともに、同じ獣の騎士として泥人形に立ち向かい、致命傷を負った師匠は、まだ「騎士契約の願い事」を使えば助かると進める従者ザン=アルマの言葉を退け、未来を若者に託せることに満足してその生涯を閉じたのでした。
 彼の遺言は、作者の哲学でもあるのでしょう、他の作品にも超常の力を振るう登場人物を良く書きますが、皆・唯の人間として描写することを忘れません。

駄弁者:
 超常の力をもってもなお、自分を普通の人間と同じだと言えるのは、力とは別のところでやはり常人ではないと思います。
 ただの人間は、むしろ力に振り回されて自分が超人だと驕ってしまうんじゃないかと。



自分を信じるな、俺を信じろ!お前を信じる俺を信じろ!!

 出典: 今石洋之監督・中島かずき脚本「天元突破グレンラガン」

紹介 :人外魔境地底獣国 様
HP :

コメント:
 劇場版公開記念ということで、第1話より。シリーズ序盤の主役(と言っていいでしょう)カミナの迷文句。
 自分に自信のもてないシモンを勇気付けるために(実はカミナも自信がないので弟分をそそのかしているみたいなんですが)上記のセリフを放ったわけですが当然のごとく横からツッコミを入れられてしまいます。
 で、これ単体では迷セリフですが、そのあとお話が展開していって実にいいセリフにつながるんですねえ。

駄弁者:
 封切りからはだいぶ時間が経ってしまいましたが、まだ上映中ということでご容赦を
>これ単体では迷セリフですが、そのあとお話が展開していって…
 迷セリフとは言いますが、他人の評価とは関係なしに自分を信じられるという人はあまりいないので、これ単体でも十分納得のいく名セリフじゃないかとも思えます。
 TVを見ていなかった方は(私もですが)、映画館(あるいはDVD)でのお楽しみというところでしょうか。なんとなく想像はできるのですが、それが当たっているかどうかもお楽しみということで。



自己紹介をします

 出典: スタニスワフ・レム「テスト」(深見弾訳)  『宇宙飛行士ピルクス物語』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 このほど復刊された「早すぎた名作」(文庫版解説)より。
 宇宙飛行士を目指して訓練に励むピルクスは、ある日、異星の宇宙船と接近したときの対処法を問われる。接近→停船命令→で、答えに詰まったピルクスが仲間にそそのかされて口にした答えがこれ。ピルクスは笑いものになり、教官室に呼び出されます。読者もつられて笑ってしまいますが、しかし、これは笑ってしまって良いものでしょうか。
 ファーストコンタクトでは自分(達)を相手に説明することですから、これは自己紹介と言って良いんではないでしょうか。開示される情報が限定的なのもよく似ていると思います。

駄弁者:
 ハードカバーが出てからずいぶん長くたってしまった作品なので、文庫化を喜んだ方も(逆に高値でハードカバーを買って悔しがった方も)多いんじゃないでしょうか。私は、同じタイミングで文庫が出た「ディファレンスエンジン」を先に買ってしまったので、しばし後回しです。
>自己紹介をします
 この先生の話だと、自己紹介が果たしてそれと認識されるのかがまず疑われるところですが…停船命令が通じるなら自己紹介しても大丈夫か。



おとうさん「おーーい アレとってアレアレ おっ すごいな!ぺんたくんの学習能力は」
おかあさん「ほんとぺんたくんが来てくれてよかったわぁ」(今まで「アレ」にどんだけイラつかせられてきたことか…)

 出典: とりのなん子「ぺんたくん」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 ぺんたくんは予価47万6千845円(税込み)のペンギン型お手伝いロボットです。現在試作品モニターとしてたかし君ちにやってきました。
 おとうさんの「アレ取って」にもすばやく対応できる性能を持っています。これって結構凄いと思いませんか?これが47万6千845円(予価)で買えるなんて。私なら即買いです。洗濯してくれるし。
 この「ぺんたくん」、お手伝いロボットが活躍?する「家電SF」です。いや、ぺんたくんにはあやしい腹ポケットは付いてませんが。

駄弁者:
 下のジャイアントロボと同等の電子頭脳を持っていそうなロボットが、自家用車より安い…!



ロボットはまだ責任を持って歩くことができない。

 出典: 小川一水「Live me Me.」  『フリーランチの時代』に収録

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 シンセット(ラジコン式の人型ロボット)の移動手段をどうするか、という問題に際して、二足歩行よりも車イスに軍配が上がった理由として。
 「責任を持って歩く」という表現はスゴイな、と思った次第。
 もっとも、「責任を持って走ることができない」自転車とか、バイクとか、自動車とか、普通に見かけるような気がしないでもないのですが(^_^;)

駄弁者:
 なにか事故があった場合、シンセットを操作している人間とシンセットのハードウェアのどちらに原因があるのか切り分けられない、という意味合いもあるんじゃないでしょうか。責任を持てないというより、責任の所在を確定できないという感じで。
 前にこの短編集からのご投稿があったときにも書きましたが、技術を運用するときの制度的な面に目を向けた作品だったと思います。



「ここは死んでも通さん!」
「死ねば、通れる」

 出典: サンライズ制作「ゼーガペイン 23話『沈まない月』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 最終決戦で主人公たちを先に進ませるため敵を引き付ける味方の艦長と敵の台詞です。
 敵はスペアの身体に今までの記憶のバックアップをダウンロードする事で死んでも蘇るという反則臭い奴。
 この後当然のように特攻して復活ということやってくれます

駄弁者:
 クローンと記憶のバックアップ技術による不死というのは、わりとあちこちのSFで見られます。洋ものだとジョン・ヴァーリイの「八世界」シリーズや、リチャード・モーガンの「オルタード・カーボン」など。
 ご投稿のように純粋に作戦の具とするならば…。別に死んでからのスペアとしてだけでなく、同じ技術でエリート兵士を量産した方が効率的なんじゃないかと も。



このまま放置していたら「触手は面白くて可愛いモノ」という間違った常識が蔓延してしまう……
ああ…でも できれば もう この人たちとは関わりたくない!

 出典: 安部真弘「侵略!イカ娘」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 えーと、週刊少年チャンピオン誌連載開始から1年たっても誰も投稿しないので、つい。
 何の変哲も無い海の家「れもん」にアルバイトに来た斎藤渚は、先輩として紹介された人知を超えた深海からの侵略者「イカ娘」に驚愕した!なにが恐ろしいって、イカ娘が地域社会に完全に溶け込んで誰一人疑問を抱いていない。というのが恐ろしいのだ!
 ラブクラフトも思わず昇天するような状況に放り出された彼女の脳裏を支配した思考が迷文句です。
 そして彼女は決意した、「バイト続けます!人類のために!!」それを聞いた経営者の妹も(人類!?そんな目的で入ったの?)と突っ込み感想を。
 渚ちゃん落ち着こうよ、まず、「触手は危険」という時点で一般常識から外れているよ。触手なんてただのヌルヌルした紐だよ。
 あ、イカ娘はコミックスの表紙を見ればどんなキャラか丸わかりです。

駄弁者:
 昔々のSFで「触手で歩くのはおもしろいとでもいうのかね? 自分でやってみればいい!」と怒っていた火星人がいましたが、ごく自然に面白がられちゃ立つ瀬ないですねえ…。
>イカ娘はコミックスの表紙を見れば…
 作者のサイト参照。いや、まあ、普通に可愛いですが。



ロボよ、たたかえ!
おまえのもってるすべての機能を発揮して、このさわぎをくいとめるんだ!
電子頭脳は判断を的確にし、自動的に行動をとれ!

 出典: 横山光輝「ジャイアントロボ 第二部『奪回作戦編』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ジャイアントロボ(GR1)を奪われた秘密組織ビッグファイアは、ロボに操縦者として記録された草間大作少年の暗殺を図る。重傷を負いながらも命をとりとめた大作だが、この機に乗じてロボの電子頭脳を奪回すべくビッグファイアは飛行型ロボットGR3を出動させた。GR3を倒せるのはジャイアントロボだけ。手術直前の大作はロボにGR3と戦う命令を下すのだった。 というわけで、その命令がこれです。こういうシーンから考えてジャイアントロボは、よく言われる「操縦」じゃなくて、実際には自律行動ができるロボットに「命令」をしていると考えたほうがいいということかも(そうするとあの「マ」てのは「はい、御主人様」……、怖い考えになってしまった)。
 でも、確かにテレビシリーズの命令よりは考えてるような気がしますが、やっぱりこれは無理筋のコマンドですよねえ……。どないせえっちゅうねん。

駄弁者:
>やっぱりこれは無理筋のコマンドですよねえ……
 ここでロボが今風に(?)フレーム問題とか起こしてたら、話になりませんし…。それはそれで面白そうではあるんですが。



ロボにはわかるのよ! 一番のお友達の、大作君が危ないって事が!

 出典: 横山光輝原作・伊上勝脚本「ジャイアントロボ 第21話『ミイラ怪人』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 人間ミイラ化事件の謎を追って消息を絶った大作少年を案じるユニコーンの隊員たち。U6・マリー花村はロボの探知機能を使って大作の腕時計の電波を探知することを提案するが、それには腕時計でロボに命令しなければならない。八方塞がりに見えたその時、マリーの呼びかけに応ずるごとくひとりでに起動、大作を探しはじめるロボ。驚く他の隊員に対してのマリーのセリフがこれです。
 こうしてみると、東映の平山亨プロデューサー作品のロボットは(キカイダーとかもそうですが)機械であるとかSFであるとか以前に子供のお友達でありキャラクターなんですね。ロボットについての知識がさほどではなかった幸福な時代だから成立した作劇だったといえるかも知れませんが…。

駄弁者:
 ロボットがキャラクターだというのは、今でも通用すると思いますが、しかしご投稿のような素直な話では…。
 作る側も見る側も無邪気でなくなってしまっているんでしょうね。好評価するとしても「開き直った展開」などと言う表現になりそうです。



「住めば都だ」

 出典: アレステア・レナルズ「カズムシティ」(中原尚哉訳)

紹介 :納戸婆 様
HP :

コメント:
 いつも楽しくこちらを拝見させてもらっていますが、投稿は今回が初めてとなります。よろしくお願いします。
 雇い主とその妻を殺した男を追って冷凍睡眠による光速航行の末、スカイズエッジ星からはるかイエローストーン星のカズムシティまでやってきた身辺警護の専門家タナー・ミラベル。
 かつては繁栄を極めたこの都市は、異星人由来の謎の疫病「融合疫」により異形の都市と化していた。
 かつてスカイズエッジ星に最初に入植した英雄スカイ・オスマンを崇める教団が開発した洗脳ウィルスによりオスマンの生涯をなぞる奇妙な夢を見ながらミラベルは己のやるべきことをやるために異形の都市を駆ける。
 このセリフは物語の果てにミラベル(?)がカズムシティが好きになれたかと聞かれた時の言葉です。こういうありきたりのセリフだけど使いどころによって名文句となるというのは、自分でも真似できそうでいいですね。
「東京ってすごく暮し辛い都市らしいけどだいじょうぶなの?」
「住めば都だ」
「啓示空間」などで知られる作家だけあり、未来世界の描写は素晴らしいのですが、行く先々で美女に惚れられるおっさんの格好よさを楽しむ物語だと自分は思っています。敢えて難点を挙げるのなら1100ページ以上のその分厚さでしょうか。

駄弁者:
 「啓示空間」は、洋モノSF界の京極夏彦、と言わんばかり厚さにもめげず即買いして読了したのですが、第2弾のこの作品はまだ手を出していません。
 このあいだ第3弾の「量子真空」も出ましたが、こちらはお読みになりましたか?
>「東京ってすごく暮し辛い都市らしいけどだいじょうぶなの?」
 いや、東京は住まなくても都ですが(笑)。



黒猫の騎士・風巻豹(しまきひょう)「この劇のぼくの役は神殺しの怪物… 悪神のハラワタ喰らう平和の使者 目指すのは正義の味方の大怪獣といこうじゃないか」

 出典: 水上悟志「惑星のさみだれ」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 風巻豹は大学(心理学専攻)出で旅行が趣味の高等遊民である。
 そんな彼は、騎士就任以来自分一人でも魔法使いと戦いぬくべく、戦術を練り、魔法使いの動機と目的を探ってきた。そして同士と巡り合った今も、頼れる参謀として、他の騎士のトレーナーとして働いている。
 惑星を砕く戦いを「幾つもある自己実現の中の一手段」と捉えているのは、彼一人だけなのです。

駄弁者:
>幾つもある自己実現の中の一手段
 惑星を砕く戦いとタメを張れるぐらいの自己実現って、他に何があったんでしょう…。こういう人は、危機に直面していないと彼自身が危機の元凶になりかねない気がしてコワいです。
 そういえば「高等遊民」って、最近聞かない言葉ですね。



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