SF名文句・迷文句第235集

名文句トップに戻る

第234集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第236集を見る


宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない

 出典: リドリー・スコット監督「エイリアン」

紹介 :神凪御子 様
HP :

コメント:
 SFホラーの大傑作、エイリアン第一作目のキャッチコピーからです。
 宇宙という脱出不可能なシチュエーション、その中で一人、また一人と犠牲になっていく恐怖、そして外部に助けを求めることすらできない絶望を見事にあらわしていると思います。
 子供のころ、航海士であるケインの腹から飛び出したチェスト・バスターを見て、見事にトラウマを植えつけられました……

駄弁者:
 In Space, No one can hear you scream.
 まさに名文句というべきキャッチでした。…これまで出なかったのが不思議なほど。
 ただ、はじめて「エイリアン」を見たのはテレビでだったんですが、あの影の多い映像がたたって、うちのボロTVでは、何が起こっているのかよく分からなったところが…。悲鳴しか聞こえない宇宙というのも、それはそれで恐怖ではありましたけど。



「種が殖えるとはこういうことだよ。
 元からあった環境を有無を言わさず圧迫し、元に戻れないほどのダメージを与える。」
「悪気はないんだけどね。」

 出典: ほるまりん「メダロット4」

紹介 :タカ 様
HP :

コメント:
 私にとっての青春であるメダロット。いくつか投稿されていますが、DS版発売記念に私も投稿してみました。
 メダロットというお友達ロボットが子供たちのあいだで大人気になっている近未来。
 ある事件のせいで主人公の相棒のメダロット、メタビーは海に流されてしまいます。そこでメタビーは古代の人間にメダルを打ち込まれ、不老不死になったクジラのイサナガミと出会います。
 イサナガミはメタビーに対してメダロットが宇宙から来た事、メダロットには降りたった星で殖えるという使命があったこと、そしてなぜか地球に来たメダロットは使命に従わず眠りについたことを話します。(現在のメダロットは人間がむりやり目覚めさせたものです)
 話を聞いたメタビーは「どうして使命に従わなかったんだ?種が殖えるのはいいことだろうに」と言いますが、イサナガミは「お前は種が殖えるということの意味をわかっていない」と話し、草木一本生えていない一面の荒野に、無数のネズミだけがいるというイメージをみせます。そして言ったのがこのセリフです。ちなみに「悪気は〜」というのはイメージの中のネズミのセリフです。
 以前投稿されていた帰化生物の話や、何より人類の存在がこのセリフを裏付けています。人類も悪気があって環境破壊しているわけではないですし。

駄弁者:
 そういえば、今掲示板の方で話題に挙がっているホーガン「造物主の掟」も、訪れた星で殖える自動機械が話の出発点でした。
 こちらは自然を破壊することを恐れて眠りにつくという殊勝なことをせず、殖えまくって機械だけの生態系(知的生命体含む)を確立してしまうのですが。
 どうせ破壊するならとことんやれ、ということですね。(違)



このつづきは7月12日の仮面ライダーディケイドでみられるよ!

 出典: 八手三郎原作・竹本昇監督・小林靖子脚本「侍戦隊シンケンジャー 第二十幕『海老折神変化』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 このテロップは汎用性は全くありませんがインパクトという点ならこのサイトに投稿する文句として申し分ないと言えるのではないかと思います。
 何せスーパー戦隊シリーズと仮面ライダーが現在進行形で放送中のドラマのストーリー上でリンクしているわけですから。

駄弁者:
 つづきの方が先に投稿で出てしまいましたね。
 テロップに汎用性はありませんが、視聴者の一挙両得を狙う意図は、結構一般的なのでは(言われなくても両方見てる人が多いのでしょうが)。



艦隊法規第533条を改訂した規定は、艦隊法規第1915739条です。

 出典: デイヴィッド・ウェーバー「反逆者の月 2」(中村仁美訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 銀河帝国に救援を求めに向かった宇宙戦艦ダハクとその乗組員達は、5万年近く前に帝国が滅亡していたことを知ります。しかし、帝国の支配をサポートしていたマザーコンピューターは生き残っており、その助けにより帝国の残存艦を再編成し、地球救援に向かうのですが、その際のマザーコンピューターと主人公との会話の一節です。
 7000年の間に官僚主義が進み、条文が複雑化するのはやむを得ないかもしれませんが、約400倍に条文が膨れ上がっているのには、苦笑せざるをえませんでした。帝国が滅亡しているのに、その帝国の法律を順守しようとするマザーコンピューターとのやり取りに主人公が大苦戦を強いられている状況を考えれば、更に何とも皮肉に満ちています。(それにしても、かつての帝国艦隊士官はおそろしい法律家ぞろいだったにちがいない。)

駄弁者:
 近代国家を作ってから150年にもならない日本が、どれだけ法律の条文を重ねてきたかを考えれば、7000年も続ければ数百万条の条文があっても不思議はない?
 しかしこの世界で、艦隊士官ならともかく弁護士とか裁判官になるのは、生身の人間には不可能かも知れなません。



セックス放送のモラルをめぐって議論が起こった。
…(中略)…
軍国主義者達もまた、この新発明に大反対した。それというのも、性的な抱擁感の幻覚を安く効率よく作り出すことに、避妊よりもずっと危険な匂いを嗅ぎつけていたからである。兵士の供給は落ち込んでいたのだ。

 出典: オラフ・ステープルドン「スターメイカー」(浜口稔訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 「わたし」が最初に訪れた惑星「別地球」では、娯楽の中心を占めていたのがラジオでした。このラジオは地球の物と異なり五感の全てを刺激することが可能なものです。
 ラジオを通じたポルノ放送が受信者に与える物は、実際の快感よりも数段上と言うことで、社会的な大問題となっていた。
 これに倫理的な見地から聖職者が反対するのは当然ながら、意外なところから現実的な見地による反対意見が巻き起こった。
 昔から、軍の遠征に娼婦がついて回ることはよくあったようなので軍としては歓迎しても良さそうだと思ったのですが、事態はそう単純ではなかったようです。
 日本の少子化の一因としてやはりポルノが揚げられていることを考えると、妙な衝撃を受けてしまいます。蛇足ながら、ポルノ市場の発達と人口の増減を結びつけるデータはまだ発見されていないようです。

駄弁者:
 五官のうち視覚と聴覚だけに訴えるだけで、少子化の一因になるポルノを作れるのだとしたら、その全てを刺激するポルノが登場した日には人類絶滅もの。
 …いや現実のパートナーがいたとしても、それはそれコレはコレで見たいので(笑)、視覚と聴覚だけだからハマれるということもあるかも?(それでも、触覚つきは魅力か)。



マークがマーサを見つけることができますように

 出典: ロバート・シェクリイ「静かなる水のほとり」(風見潤訳)  『人間の手がまだ触れない』に収録

紹介 :cc 様
HP :

コメント:
 宇宙の小さな岩板でひっそりと暮らす元炭鉱者のマークは、テープに入力した言葉を記録する雑用ロボットにチャールズと名付け、何気ない会話をしながら日々を過ごしていた。入力した言葉しか話さないチャールズだが、マークは自分が入力した言葉を忘れて、親友のようにチャールズと接した。2人は女性というものに会ったことがなく、共に空想の中でまだ見ぬマーサという少女を愛していた。
 それから長い年月が経ち、マークもチャールズも年老いた。ついに最期の日がやってくるのだが、そんなことはお構い無しに2人は会話を楽しんだ。そしてマークは静かに眠りにつく。友人の最期を確認したチャールズは、今まで一度も発したことの無い言葉をマークに告げた。
 シェクリイのわりと有名な短編集から。何の感情も無いはずのロボットが、主人のことを最後まで想う姿に胸を打たれます。

駄弁者:
 シェクリイの名前を見るのも久しぶりです。何年ぶり(10年以上ぶり?)かで棚の奥から引っぱり出して読んでみました。
 短い話ですが、詩情にあふれた作品です。オリジナルの会話ができないはずのチャールズですが、この言葉だけは彼の真情から出たものに思えてなりません。



「いかん。人類を殺してはいかん。この地球上では、陸上に棲む人類が海中に棲む生物を食糧にしている。しかし、我がジグラ星ではあべこべで、海中に棲む我々が陸上に棲む生物を食糧にしている。故に、陸上動物の人類をみだりに殺してはならぬ。生かしておけば、我々の食糧になる」

 出典: 高橋二三脚本・湯浅憲明監督「ガメラ対深海怪獣ジグラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『こんな侵略者はイヤだ!』第8回は、昭和のガメラ映画より。
 一度は宇宙船内に拉致した二人の子供、健一君とヘレンちゃん(坂上也寸志&グロリア・ゾーナ)を不覚にも逃してしまったジグラ星人が、洗脳し手先として利用する日本人女性(八並映子)に「あの二人は我々の秘密を知りすぎた。捜し出して殺せ」と命じる。これに対し、手先の女性は「捜すよりも日本人全てを皆殺しにしたほうが早いのでは」と進言するのだが、ジグラ星人はあくまで二人の子供の口封じだけにこだわる。その理由が上記の台詞である。
 近年、やれ「クジラを殺すな」とか「マグロを食べるな」とか騒ぎながら調査船や漁船にボートで体当たりしてくる某団体があるが、ジグラ星人の様な連中が海を占領したとしても、その団体はやはり「殺すな」と叫ぶのだろうか? ま、クジラやイルカは取り敢えずジグラ星人を歓迎しそうだが……。
 いずれにしろ、こんな有史以前の甲冑魚みたいな侵略者のせいでクジラベーコンやマグロの刺身が喰えなくなるばかりでなく、自分たちがいつ喰われるか判らない恐怖まで味わうのは、まっぴら御免だ。

駄弁者:
 ジグラ星人の側には、「頭が良くて可愛らしい人類を殺してはいけません!」と叫ぶ団体はいなさそうだなあ(まあ、可愛くないのだろうけど)。



仙台師団

 出典: デイヴィッド・ウェーバー「反逆者の月 1」(中村仁美訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 月は実は銀河帝国の宇宙戦艦ダハクで、人類はその宇宙戦艦の乗組員の末裔だったという設定のミリタリーSF3部作の第1部です。そのラストで異星人の侵攻を阻止し、地球を救うための援軍を銀河帝国に依頼するために赴くダハクに各国の軍隊から精鋭が選抜されて乗り組むことになります。その乗組員一覧の中で、不思議に思ったのが上記の文句でした。
 いざという場合の陸上兵力が必要なので、師団単位で世界各国から精鋭が乗り組むというのは分かります。米海兵師団、独装甲師団については、世界の精鋭かどうか疑いを抱くこと自体が罪になる気がします。露親衛空挺師団も旧ソ連時代からの伝説がありますから精鋭扱いされるのが分かるのですが。なぜ、仙台師団が世界でも指折りの精鋭扱いに?ネット検索をかける限り、それなりのバックがあるのは判明しましたが、私としては何とも不思議な気がします。(それに、これって野暮かもしれませんが海外派兵どころではないのでは?まあ、地球を救うためなので、自衛隊の行動として許されるのでしょうが。)

駄弁者:
 何だか参加国のバランス上、政治的に選ばれてしまったような気がしないでもないですが。
 旧日本軍の第二師団は仙台鎮台以来多くの戦争に参加した師団らしいですが、自衛隊の師団とは断絶してるんじゃ…。もし今の自衛隊と同じ編成がその世界でも続いているのだったら、どこが選抜されるんでしょう。第1空挺団?



「士、俺はお前が破壊者だとは思ってない」
「根拠は?」
「ない。強いて言えば、侍の勘だ。世界はどうか知らないが、俺達はお前を追い出す気はない」
「折角だが、この世界に居付くつもりはねぇな。何しろ俺は、通りすがりの仮面ライダーだ!」

 出典: 石森プロ制作「仮面ライダーディケイド 第25話『外道ライダー、参る!』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 「クウガ」〜「キバ」の9つの世界、怪人に支配されている「ネガの世界」、海東大樹(仮面ライダーディエンド)の故郷である「ディエンドの世界」を旅してきた門矢士(仮面ライダーディケイド)とその仲間。彼らが次にたどり着いた世界は「シンケンジャーの世界」だった。
 謎の男、鳴滝がシンケンジャーに「ディケイドは世界の破壊者」と吹き込んでいたこと、海東が梅盛源太(シンケンゴールド)から烏賊折神を盗んでいたことが合わさって対立しかけるディケイドとシンケンジャー。しかし、海東からディエンドライバーを盗んだことで仮面ライダーとなった外道衆、チノマナコが出現したことでシンケンジャーは戦いに向かう。
 最初は「この世界にライダーは必要ない」と行こうとしなかった士と小野寺ユウスケ(仮面ライダークウガ)だが、結局加勢に向かうことになった。台詞は戦いの中で志葉丈瑠(シンケンレッド)と士が交わした会話。

駄弁者:
 他の仮面ライダー世界を渡り歩く話だとは聞いていましたが、戦隊シリーズにもリンクしてたんですね。
>何しろ俺は、通りすがりの仮面ライダーだ!
 通りすがりじゃなくて居着いてしまったら、それこそ「世界観の破壊者」になりかねなかったんじゃ…。



二年前に、一人息子が自殺してな。以来、ずっとああじゃよ。一人息子が自殺した時から、あの二人はもう生きてはいないんじゃ。人生の傍観者になってしまった

 出典: 新井素子「ひとめあなたに…」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、同じ作品から。地球最期の一週間、画学生の圭子は恋人に会うために徒歩で鎌倉へ行く途中で、ある夫婦に出会う。その夫婦は一見、自分の身内の娘を殺そうとした人間さえ助けようとする「素晴らしい人格者」だと思えるような二人で、「地球が亡びることを運命として従容とうけいれ、安らかに死んでゆこうと」しているように見えた。だが……。
 投稿の文句は、圭子が別れ際に「お宅は素晴らしいですね。」と言ったときに、その夫婦の父親(舅)の老人が言った言葉。老人は「あの二人は最初から生きていなかったんだ」と言った後、投稿の言葉を続けます。この言葉を言ったとき、このおじいさんは、一体どんな気持ちだったでしょう。自殺した孫をおもう気持ちもさることながら、「人生の傍観者」になってしまった自分の息子(娘?)夫婦を、ずっと目の前に見続けていなければならないなんて……。そのことを思うと、私は、この夫婦、小坂夫妻に怒りすらおぼえます。「あんたたちにとって、自分の息子以外のものは、何の意味もないものなの?あなたたちには、まだ『あなたたちを大切に想ってくれている人たち』がいるじゃない!その人たちは、どうなるのよ!」と激昂するほどの憤りを覚える一方、「でも、自分にとって大切な人間を失うことは、本当に辛い。それで、人生観変わって当たり前。何が悪いの。」と、小坂夫妻を庇いたい気持ちも起こるのです。でも、やっぱり……。私にとって、この家族の中で、一番可哀想なのは、小坂のおじいさんです。誰が、何と言っても。(うわ、我が身に、跳ね返りそう。)
 おーい、天国の聖職者(宗派は問いません。)の皆さーん、皆さんだったら、何て仰いますかぁー?「己の十字架を負うすべを知り、ただ信ぜよ」か、それとも「あなた方の中で、罪のない者が最初に石を投げなさい」か。

駄弁者:
 とはいえ傍観者の彼らに(意図はどうあれ)助けられる人々もいるのだろうから、この夫婦の行動を全くの偽善、無意味としてしまうこともできないんじゃないかと。
>〜と激昂するほどの憤りを覚える一方
 そこまで感情移入して本を読めるのは、ちょっとうらやましいです。私は物語に対して傍観者的な立ち位置で読んでしまうことが多くなってきたので…。



父親は、何もできない。

 出典: 新井素子「ひとめあなたに…」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「SF・家族の情景」、しかもサブテーマ付きです。サブテーマは「理解できるが納得しにくい」。というわけで、私自身も以前に投稿した、新井素子の作品から。
 一週間後、隕石が地球に衝突し、人類は全員死ぬ。その事実を知り、狂乱する人々。だが、その中で平然と、もう意味がない受験勉強を続ける少女がいた。その少女の有様を見て、少女の家庭は崩壊した。
 投稿の文句は、少女の「正体」を知って「母親は、混乱する。妹は、泣き叫び続ける。」という「極限状況」の家族を前にした、母親の「夫」にして少女と妹の「父親」でもある男が、どういう行動をとったか、ということを書いたくだりです。いや、気持ちは分かりますよ。「人類絶滅」と「今まで信じてきた『もの』の崩壊(このお父さんの場合は「人も羨む『自慢の種』の娘のいる、上出来の家庭」といったところでしょうか)」という二重の「極限状況」の中、冷静に家族を宥めたりすることができる人間なんて、そうそういやしません。でも、でも、ですね。
 この人の目の前で、泣き叫んだり混乱したり、あるいは平然と「ありもしない受験のための勉強を続ける」という、狂気の行為を続けている人たちって、この人の家族なんですよ。なのに、「何もできない。」ってのは、ちょっと……。第216集の犬神明や第185集のマリノフが知ったら、何ていうか……。いや、第216集の「母性愛も、全く後天的なものでしかない。」という文句を投稿したのは私です。もちろん、父性愛だって、そうですとも。でも……、やっぱり、納得しがたいなあ。でも。  私は、何故納得できかねているんだろう。それが一番分からないや。
 皆さん、どう思われます?

駄弁者:
 逆に「父親こそが大黒柱として家族を救うのだ!」と家父長をきどってみても、それはそれで揶揄の対象にしかならないんだろうと思います(篠田節子「斎藤家の核弾頭」あたりのように)。



ゴッドの怪人といえど命は大切にするもんだ

 出典: 石ノ森章太郎原作「仮面ライダーX 第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 春休みにレンタルビデオで見直していてこのサイトの投稿受付が再開したら投稿しようと思っていたのにすっかり忘れていました(汗)。
 僕が仮面ライダーXの中でも気に入っていたアポロガイスト編の最終話、それまでゴッド秘密警察第一室長としてゴッドの作戦遂行に不的確と見なした構成員を処刑する役割を負っていたアポロガイストですが、一度ライダーに破れた後施した再生手術が不完全だった上に再手術に必要な専門家を既に処刑してしまっていたためにこの事を知った日の翌日(手術の一ヶ月後)までにXライダーの変身アイテムであるパーフェクターを奪って心臓に移植しなければ死亡してしまう事態に陥ってしまいました。
 焦った彼は自分の命を分け与える事で神話怪人達を再生させ、彼らにXライダーを襲撃させると同時にXをゴッドの基地であるアポロン第二宮殿まで呼び出すメッセージを送ります。普通に向かっても罠だらけだと判断した神敬介は再生怪人との闘いで捕らえた再生マッハアキレスを説得して一計を案じようとするのですがその時に立花藤兵衛がアキレスに言ったのがこのセリフです。
 ちなみにこのマッハアキレス、ゴッドの神話怪人の中で唯一Xライダーではなくアポロガイストにとどめを刺された怪人でそのアキレスを説得相手にするというのは偶然かも知れませんが面白いと思いました。
 ただ、この後の末路といい、そもそも俊足がウリの怪人のはずなのに心なしか再生怪人の中でも動きが鈍かった点といい、番組自体でのアキレスの扱いが「大切に」とまでは行かなくても「そんなにぞんざいに扱わなくても」と思ってしまうのですが。

駄弁者:
>再手術に必要な専門家を既に処刑してしまっていたために〜
 命を大切にするよう説得するには、人道うんぬん以前に上司(?)の陥っているこの状況を考えさせればいいんじゃないかと。敵の持ち物が必須な再生手術をするという「専門家」さんも、ちょっとどうかと思いますが…。



平気さ。こっちにはスターウルフがついてるんだからな。

 出典: エドモンド・ハミルトン原作・阿部桂一脚本・深沢清澄監督「スターウルフ 第11話『未知の星の地雷原』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 こちらは円谷プロが製作したテレビ版。「”スターウルフ”はヴァルナ一の勇者・ケンの称号である」「ケンは自分の出自を知らず、地球を襲撃した時に自分と同じ名前の子供を救ったことから出自を知り、仲間を殺してしまいヴァルナを追われた」など、ヒーローものっぽく改変されてます。
 キャプテン・ジョウ(宍戸錠)に救われ、地球の外人部隊・スペースコマンドに入隊したケン。他の隊員が彼を認めても、ジョウの片腕・リュウ(高橋長英)はケンを疑い、敵視していました(そりゃそうでしょ、フォークリフト素手で押し返す人間を怪しむなという方がムリ)。しかし、ササール星の超兵器破壊の任務を遂行するために協力する中、次第に彼との間に友情がいつか生まれますが、ササール星に潜入したリュウがロボット地雷のトラップに捕らえられてしまいます。スターウルフのずば抜けた体力で彼を救うケンだがそれは彼の正体を自ら明かすこと。ケンの正体を確信したリュウ、だが彼の向けた銃が撃ったのはロボット地雷。この爆発でさらにササール軍がやってくると危惧するヨローリンに、リュウが返したのがこの言葉でした。 まあこれはこれで結構好きなんですが。

駄弁者:
 原作では忌み嫌われているはずの「スターウルフ」が、こちらでは何だか名誉の称号風に…。
 こっちはこっちで浪花節ではあります。しかし先にご投稿をいただいた原作の方は、個人がある集団の長所を認めてその集団に属することを選択するのに対し、ドラマ版の方は、集団の方が個人の長所を認めて彼を受け入れるという、ちょうど逆の構図になっているように思います。
 これをもって組織に対する日米のスタンスの違い…というのは、まあ牽強付会なんでしょうけど。



俺たちゃ正直ものだが、バカじゃない。

 出典: エドモンド・ハミルトン「さすらいのスターウルフ」(野田昌宏訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ディルロ率いる地球の外人部隊に救われ、カラル人の依頼でヴォホル星が手に入れたという宇宙人の超兵器を破壊する任務に参加するスターウルフ・ケイン。だが、想像を絶する宇宙人・クリイ人の宇宙船には手も出せず、遭難した仲間を救いに来たクリイ人が宇宙船を破壊するままに任せる外人部隊だが、ディルロは宇宙船が破壊される様子を撮影させる。それをもとに、カラル人から報酬を引き出すつもりなのだ。
 転んでもただでは起きないディルロのしたたかさ、そしてそんな彼を見てバカにしていた地球人を見直すケイン。好きですねーこういうハミルトンのアメリカン浪花節。
 で、それが日本でテレビ化されると……。

駄弁者:
 故野田昌宏元帥の訳だと思うと、アメリカン浪花節でも、ひどく江戸っ子調の言葉に聞こえてしまいます。



「ゼットーン! ゼットーン!」

 出典: 金城哲夫脚本・円谷一監督「ウルトラマン 最終回『さらばウルトラマン』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『こんな侵略者はイヤだ!』第7回。
 円盤群より先に地球に潜伏していた宇宙人(後年に出版された資料では「ゼットン星人」ということになっているが、放送当時には特定のネーミングが無かったようだ)がイワモト博士に化け、科特隊本部作戦室のメインコンピューターを破壊した。本部ビルが火災を起こす中、逃亡する宇宙人をムラマツ隊長ら科特隊の面々が追い詰め、スーパーガンで射殺。その時の宇宙人の断末魔の叫びが上記の台詞である。
 この直後、宇宙人の円盤から巨大な風船が現れてプゥーッと膨れ、パァンとはじけて宇宙恐竜の登場となる。それで科特隊は宇宙人の叫び声がその宇宙恐竜の名だと認識した訳だが、似た様なパターンとして、次回作『ウルトラセブン』第11話に登場したワイルド星人の「ナース!ナース!」とか、同じく『セブン』第20話に登場したシャプレー星人の「ギラドラス!ギラドラス!」という例があった。いずれにしろ、自己の無念を巨大生物に晴らしてもらおうとするその根性が、実にしぶとい。こんな往生際の始末が悪い奴らに、愛する地球を征服されたくないものだ。もっとも、テレビ的には盛り上がって面白いけど。

駄弁者:
 そこまで追い詰められる前に呼び出せばいいものを、断末魔になってから叫び出すというのは、何か理由があるんでしょうか。ゼットン星人自身もゼットンは制御できないので、死なばもろとも的な使い方しかできないとか。



「しかし、人類は大きな夢を描きます……」彼は、低い声でゆっくりと言った。「人類が今日描いた夢は、明日きっと実現するのです」

 出典: ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」(池央耿訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 多分これからいくつかはご投稿があるでしょうが、管理者権限で一番にいれさせていただきます。先日逝去の報があった、ジェイムズ・P・ホーガン追悼の名文句。私が初めて読んだこの人の作品で、今でも人にSFを薦めるときには必ず名前を挙げることになる傑作「星を継ぐもの」より。
 月で見つかった、どの国にも所属していない人間の死体。死亡推定時刻は、5万年前…。次々現れる謎と、それが最後に奇想天外な、しかし説得力のあるやり方で解決する…SFの楽しさをストレートに感じさせてくれたものです。
 投稿したセリフは主人公の論敵で、後に最大の協力者となるダンチェッカー教授のもの。初めて訪れた月基地を目にしたときの述懐です。楽観的、前向きにすぎる姿勢に鼻白むものはありますが、それでもやはり初めて読んで以来記憶に残り続けた名文句です。



「うまい!!」

 出典: 小川一水原作・吉祥寺笑漫画「第六大陸 01」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 深度一千メートルを超える深海を進む、深海交通艇。飲料水タンクに圧力がかかり、給水機の蛇口から鉄砲水が! 浸水と勘違いした乗客たちのパニックを鎮めるための、主人公の一言。
 原作では「飲め!」と(英語で)命令していましたが、コミック版では自ら飲んでみせてます。客商売的には、こちらがベター?
BGM:「Breathing Underwater」マリエ・ディグビー

駄弁者:
 絵的にも飲んでみせる方がインパクトがありますし、コミック版としては上手いアレンジだったんじゃないでしょうか。
 実際的に見るとすれば、パニクって他人が目に入らない人もいたでしょうから、一声鋭く「Drink!」の方が効果があるかもしれませんけど。



俺を強くしたのは、憎しみなんかじゃない。

 出典: 石森プロ制作「仮面ライダーW・第36話『Rの彼方に/全てを振り切れ』」

紹介 :風都の守護者 様
HP :

コメント:
 風都署の刑事、照井竜には家族(父、母、妹)を「W」のメモリのドーパント(Wの世界の怪人)に殺されたという悲しい過去がありました。その頃の彼は「力が欲しい」「復讐」という負の感情を持っていて、その部分を見込んだシュラウドという謎の女性からガイアメモリとマシンをもらい仮面ライダーアクセルに変身できるようになりました。やがて彼は遂に仇の「W」のメモリのドーパント=ウェザー・ドーパント(井坂深紅郎)を見つけましたが。こいつの力は強く、W、アクセルでも歯が立たない相手でした。そこで彼はシュラウドに「もっと力が欲しい!」と頼み込みトライアルのメモリをもらい、それを使いこなすための特訓を受けました。そんな折、ウェザーは照井と親しくなった凪という女性を人質にとって照井に挑戦状を叩き付けましたが、アクセルはトライアルの力で遂にウェザーを倒すことができました。その後、「信じられん…。私への憎しみが…ここまでお前を強くしたのか?」という井坂の問いかけに対する照井の台詞です。
 「力が欲しい」「復讐」「怒りと憎しみ」という気持ちでは、いつか必ず綻びを生じて敗れ去ってしまいす。やはり「誰かを守りたい!」または「大切な人を守りたい!」という気持ちこそが一番大きな力となるんだということを表現した台詞だと思います。

駄弁者:
 とはいえ「強くなりたい」と思うに至ったきっかけは負の感情だったわけです。
 「誰かを守りたい!」という純粋な気持ちだけで、強い力を持つまで意志を保つことができるのでしょうか。最終的には純粋な思いが勝つのだとしても、その途中には憎しみとか、そうでなくても欲とか虚栄心が力を与えることがあるんじゃないか。
 …と、意志薄弱の割にええカッコしいな人間としては思うわけです(最後ちょっと逃げ腰)。



ペロットは、玉をならべて作った子ども用の単純な計算器にならって、数十本の針金を中に張ったわくを組み立てた。その針金に、さまざまの大きさと形と色とのガラス玉を並べることができた。針金は五線譜に、ガラス玉は音の長短に相応する、というぐあいだった。こうして彼は、音楽上の引用や、着想した主題をガラス玉で構成し、取り換え、移調し、発展させ、変化させ、他の主題を対立させた。

 出典: ヘルマン・ヘッセ「ガラス玉演戯」(高橋健二訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ヘッセ最後にして最大の長編小説。はるか未来のヨーロッパ、スイスをモデルにしたユートピア「カスターリエン」を中心に行われる「ガラス玉演戯」の名人の生涯を通じて、良き人であるということを追及した一作。
 「演戯」を行うのは「宗団」と呼ばれる宗教団体の構成員が中心で、数学的に構築された音楽を通じて世界の真の姿を追及し、表現することを目的としていた。そして楽譜の代わりに使われるのが針金とガラス玉を使った工芸品(特に名はない)。
 非常に骨の折れる作品なのですが、とっかかりとして題名の説明から入ります。またSF的な台詞はおいおいご案内。気長にお待ち下さい。

駄弁者:
 無理して読んだ『車輪の下』でもう充分と思っていた名前を、ここで見ることになるとは。
>数学的に構築された音楽を通じて世界の真の姿を追及し…
 スイスと言うより、ピタゴラス教団のイメージですね〜。



なにもかもが可能な場所。そして、何も必要ない場所。そこに愛はあるだろうか?肉体と時間の限界の向こうでは、すべてを愛することが可能だろうか?必要だろうか?

 出典: ダイアナ・ガバルドン「時の旅人クレア3」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 英国軍の牢を破り、修道院にジェイミーとたどり着いて避難したヒロインのクレアは神の前で祈るのですが、その際の祈りの一節です。肉体と時間の限界の向こう、ある意味では永遠の世界では、愛はあるのでしょうか。また、愛があるとして、全てを愛することが可能でしょうか、必要でしょうか。クレアは悩むのですが、私も悩んでしまいました。本当にどうなのでしょう。

駄弁者:
>すべてを愛することが可能だろうか?
 可能じゃないとしたら、そこは「なにもかもが可能な場所」ではないですよね。逆にすべてを愛さないことも可能でないといけません。じゃあ、すべてを愛さない人に、何かを愛するようにし向けることはできるか? できてもできなくても、「なにもかもが可能な場所」ではなくなります。
 「全能の神は自分が持ち上げられない石をつくることができるか?」古式ゆかしい逆説です。「全能」「や「永遠」を前提として悩むのは、哲学的ゲームとしては面白いけど…。



名文句トップに戻る

第234集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第236集を見る