SF名文句・迷文句第272集

名文句トップに戻る

第271集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第273集を見る


 オハラ航空研究所で完成した航時機T一号の第三回非公式実験の時点が、一九○五年五月二十七日の対馬海峡に決められたのは、カトウ助手の強力な主張によるものだった。
「私たちは、第一回の実験で古生代に、第二回の実験で古代インカ帝国に行き、貴重な写真をとってきましたが、第三回としては、二十世紀初頭あたりへ行くのが適当ではないかと思われます。そこで思い出すのは、歴史に名高いツシマ海戦のことです。あの、トラファルガル海戦とならび称されるツシマ海戦に関しては、記録は沢山残っていますが、実況写真は一枚もありません。写真をとってくれば、博物館で喜びますよ」

 出典: 広瀬正「敵艦見ユ」  『タイムマシンのつくり方』に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』完結記念に。
 なお、カトウ助手は「ツシマ海戦における日本海軍の参謀長加藤友三郎少将の三十八代目の子孫」(と、ここまで書けば、カンの鋭い方なら話の展開も読めてしまうでしょうね)。
 このあと、まんまと聯合艦隊旗艦「三笠」にもぐりこんだオハラ所長とカトウ助手は、お約束のようにトラブルに巻きこまれ(と、いうか、みずからトラブルをまねいた)、はからずも歴史的瞬間に「参加」することに……。
 テーマは他の広瀬作品にも見られる「過去への干渉」と「歴史の自己補修作用」(筒井康隆氏による解説より)。あるいは、その「自己補修作用」の許容範囲にまつわる話、とでもいうべきでしょうか。
 その許容範囲を示すのに、実際の東郷長官の発言を引用してくるあたりも面白い所。初出はSFマガジン’64年6月号。
BGM:「時の河」フェンス・オブ・ディフェンス

駄弁者:
 ヒロセで日露戦争ものなら、旅順港閉鎖にいきそうなものですが(笑)。
 広瀬正の作品も、今は集英社文庫で小説全集が出ているので手に入れやすくなりましたね。もっとも立ち読みしようと近場の書店に行っても置いていないのですが…。



どうせやられるなら俺はお前に…お前にやられたかったぜキカイダー…

 出典: 東映製作「人造人間キカイダー 第42話『変身不能!?ハカイダー大反逆!』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ダーク破壊部隊アカジライガマによってバラバラにされてしまったキカイダー
 自分の標的を奪われたハカイダーはアカジライガマを破壊するも自分の存在理由が無くなってしまい苦悩する、そしてそんな自分を生み出したプロフェッサーギルや光明寺博士を憎み殺そうとすが、光明寺博士の身体と共に地下牢に捕らわれていたミツ子がキカイダーを修復しているのを見て決着をつける為に修理を待ち、最後の勝負をする
 しかしそこにダークの横やりが入り、ハカイダーはダーク最後のアンドロイド白骨ムササビにやられてしまう
 結局ハカイダーは無念のうちに機能停止し、その脳は光明寺のもとに戻るのだった。
 もしハカイダーが自分の手でキカイダーを倒していたらどうなっていたか…一時は満足しつつも結局は存在意義を失って暴走していたのではないでしょうか?これもまた一つの目的の為にのみ造られたロボットの哀しい宿命だと思います。

駄弁者:
 標的を失ったら自動的に停止するようプログラムしておいた方が、ダークにとってはよかったんじゃないでしょうか。…あるいはハカイダー自身にとっても。



こんな妙でヘンテコで行き先も決めない新婚旅行なんて…
最高よ♪

 出典: もとひら了脚本・本郷みつる演出「21エモン 27話『魔物伝説!マグネットパワーで正体をあばけ』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 自分のスペースシップのエンジンを求める21エモンが出会った老人ガトミック。
 彼は2010年代の宇宙開拓時代に大活躍した名パイロットであり、宇宙航行局の副局長を務めたほどの人物でした。
 TVニュースでかつて彼が航行禁止海域に指定した異常磁力帯サルガッソー(サルガッソー航行禁止条例は別名ガトミック条例とも呼ばれている)が宇宙探検家スカンレーのサルガッソー探検によって航行禁止を解かれる(星雲間の宙域の中間にあたるサルガッソーは星間ワープの発着点として最適だったのです)可能性が出てきた事を知ったガトミックは自分の時代が終わった事を痛感、サルガッソーで死んだ妻との新婚旅行を回想します。
 夫自ら操縦する彼私有のスペースシップ(21エモンのシップと同型)による新婚旅行の感想を求められた新妻の返答が投稿の台詞。
 まだ地球の宇宙航行技術が未熟だった頃に旅客航行宇宙船のスチュワーデスを志願、サルガッソーで殉職した彼女はある意味、夫同様の宇宙冒険者といえるでしょう。
 願わくは自分もめぐり合うならこのような女性と巡り会いたいものです。

駄弁者:
 宇宙気流の終点だったり磁力帯だったり賃貸住宅だったり、サルガッソーもいろいろです。
>このような女性と巡り会いたい
 私が巡り会ったら引き止めて側に回って愛想尽かされると思います。



「怪物は光や炎を嫌います。部屋の電灯を点け、カーテンや雨戸を開けて下さい。広場には、火を燃やして下さい。繰り返します。怪物は光や炎を嫌います……」

 出典: 馬淵薫脚本・本多猪四郎監督「フランケンシュタインの怪獣・サンダ対ガイラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第22回。本作品は『フランケンシュタイン対地底怪獣』とほぼ同じ世界観で出来上がっており、登場する巨人型の怪物も「クローン細胞から出来ている」という全く同じ設定だが、決して続編ではない。一般に「姉妹編」と呼ばれる作品である。
 それはさておき、上記投稿の台詞は、細胞分裂によって一頭から二頭になった巨人のうち、人間に育てられた恩を忘れて人肉を喰らう凶暴な怪物と化した方(後日、防衛庁より「ガイラ」と命名される)が出現した際の、緊急ラジオ放送。この放送を聴いた農村の住民たちは電灯を点け、家畜小屋の周囲に焚火を焚いたりして怪物の襲撃に備える。
 効果は絶大で、確かに怪物は光や炎のそばには近付かなかった。しかし、人間とほとんど同じ知能を持っている為、やがて「明るいところには餌がたくさんある」ということに気がつき、図々しくも農村から大都市へ移動。ストーリー後半では、むしろ都内全域に灯火管制が布かれる有様だった。ところが、怪物が賢くなっていることを認識出来ていない都民もあり、自衛官の「電気を消せ!消すんだ!」という指示に対して「え?消すんですか?」と反問する者もちらほら……。
 この作品、ファンの間では「自衛隊シミュレーション映画」とか「怪獣要撃戦映画」などと呼ばれているが、なるほど確かにリアリティあふれる台詞が多い。今回投稿した台詞も、その中の一つである。

駄弁者:
 灯火管制の逆というところを面白がった人も、当時はまだいたかも知れません。
>やがて「明るいところには餌がたくさんある」ということに気がつき〜
 急場しのぎの対策が、中長期的にはマイナスになってしまうという実例?



「なぜかジャイアンの部屋で大爆発が起きたんだって」

 出典: 藤子・F・不二雄「ドラえもん 『手作りミサイル大作戦』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前鋼将門さんが投稿した、藤子御大の国民的漫画からの名文句です。
 ドラえもんから渡された「ホームミサイル製造法」を使って作ったコショウミサイルをジャイアンめがけ発射するのび太でしたが、ミサイルは通行人に命中してしまった上落としてしまった「ホームミサイル製造法」がジャイアン達の手に渡り狙われる羽目になってしまいます。
 翌日ジャイアン達がミサイルを全弾発射すると、事の次第を聞いたドラえもんも1発のミサイルを発射。ドラえもん側の弾頭はのび太の頭部を模して作られていたため、ジャイアン側のミサイルは誤認してその後を追跡してしまいます。そしてドラえもんのミサイルがジャイアンの部屋に飛び込み……。
 黒焦げになったジャイアン・スネ夫の姿を見たのび太の同級生が今回の名文句を言ったのを聞いて、ドラえもん・のび太は大笑いするのでした。

駄弁者:
 この場合は幸いしたとはいえ、その程度のホーミング精度だと、未来ではクレーム続出だったんじゃ…。



一同:シリアスシリアスシリアス……。

 出典: 河嶋陶一朗・冒険企画局「シノビガミ リプレイ シノビガミ弐 刃魔激突」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回の文句はおまじないのようなものです。
 このシノビガミのというTRPGは『シリアス』なゲームなんですが、参加者が調子に乗っておちゃらけたことになるのもよくあります。
 ですので参加者一同でゲーム開始前にこの文句を言って気を引き締めるのです。
(まぁ、気のせいの可能性もありますが)
 出典はいくつかあるんですが自分が最初に見たのがこれですので出典はこれに。

駄弁者:
 SFなのかと(毎度、そして今さら)考えますが、科学技術で忍術を再現していたりするらしいので無理やり納得しときます。
 皆さまもご投稿の前に「エスエフエスエフエスエフ…」と唱えてみてください。
>開始前にこの文句を言って
 当然、両手で印を結んで唱えているわけですね?



ただし、むやみに過去の人間に関わるなよ。面倒なことになるからな。

 出典: 八手三郎・石ノ森章太郎原作・香村純子脚本「海賊戦隊ゴーカイジャー 第40話『未来は過去に』」

紹介 :West 様
HP :

コメント:
 31世紀の時間保護局員にして、元・未来戦隊タイムレンジャーのタイムイエローであるドモンが、201X年(詳しくは知らないけど、2011年よりちょっと未来って設定のはずです)のゴーカイジャーに「西暦2010年10月2日に行ってある場所を守ってこい」と伝えた時の台詞です。
 タイムパトロールものなら定番の注意事項ですが、ドモン自身がタイムイエローとして活躍していた西暦2000年に森山ホナミという女性と深く関わっていたことを知っていると全力で突っ込みたくなります。
 そして2010年に飛んだゴーカイジャーが出会った少年の母親こそ、そのホナミちゃんで……

駄弁者:
 下の「イタズラ以外は厳禁」といい、なんか注意が軽すぎるんじゃないかと…。
>ゴーカイジャーが出会った少年
 つまり、彼がその「面倒なこと」の実物大見本ですか(笑)。



犠牲者はいつもこうだ。文句ばかりは美しいけれど…

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマン 第23話『故郷は地球』」

紹介 :ズバットン 様
HP :

コメント:
 てっきり投稿済みかと思っていたのですが、どうやらまだのようですのでオイラが投稿させていただきます。
 長いウルトラシリーズの歴史の中でも、アンケートをとったらおそらくTop5に必ずランキングすると思われる名台詞。これをハヤタ隊員やムラマツ隊長ではなく、普段はコメディリリーフとしての役割が多いイデ隊員が言ったところがこの台詞の重味を増している様に感じます。昔のウルトラマンは、いわゆる勧善懲悪な話ばかりでない重くて難しいテーマを題材にした話も多かったですね。

駄弁者:
 「人間らしい心は、もう無くなっちまったのかよ!」と嘆いた人の言葉だということも、重みを加える一因になっていると思います。
 文句が美しいのは、犠牲者のためというより遺された人のため(あるいは都合)だったりするのですが…。



違うな…この男が戦うのは、誰も戦わなくっていいようにするためだ!
自分ひとりが闇に落ちたとしても、誰かを笑顔にしたい。そう信じてる!
コイツが人の笑顔を守るなら、俺は…コイツの笑顔を守る!
…知ってるか?コイツの笑顔…悪くない。

 出典: 東映制作「仮面ライダーディケイド 第3話『超絶』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 世界の崩壊を止めるため、仮面ライダーの世界をめぐる旅に出た門矢士(仮面ライダーディケイド)。彼が最初に訪れた世界は「クウガの世界」。
 仮面ライダークウガに変身する小野寺ユウスケは愛する女性、八代藍刑事の笑顔のために戦う男だった。しかし、古代の戦闘民族グロンギの長ン・ガミオ・ゼダの放つグロンギ化ガスを吸ってしまった八代は、「私の笑顔のために戦ってあんなに強くなれるのなら、世界中の人の笑顔のために戦えばあなたはもっと強くなる」という言葉を遺して死んでしまう。この言葉によってユウスケは五代雄介(オリジナルの仮面ライダークウガ)と同じ「誰かの笑顔のために戦う」男に変わった。
 一人でグロンギの大群と戦っていた士だが、追い詰められて死を覚悟する。そこに八代の死を看取ったユウスケが駆け付けた。「人間は強さを求め争いを繰り返す。(殺人民族である)グロンギになるのも宿命だ」と語るガミオに、士はこの言葉を返すのだった。

駄弁者:
>私の笑顔のために戦ってあんなに強くなれるのなら〜
 一人のために強くあった人が、多くの人のためにもっと強くなれるということは、実際なかなか無いんじゃないでしょうか。本当にそうなれた人がいたら、確かにその人の笑顔は守られるべきものです。



光使いの能力は空間曲率制御ですよと作中で何度となく書いてるのに未だに「ウィザブレにそろそろ重力使い出てこねーかな」とか言う人がいるのはなぜだろうと知り合いに聞いたら当たり前だろと答えが返ってきた。正直、わけがわからない。

 出典: 三枝零一「三枝零一公式twitter」

紹介 :10-0 様
HP :

コメント:
 「SFはセンス・オブ・ワンダーだ」というのは、駄弁者様が少々苦手とされておられるらしい(と私は思っています)投稿者、トオコ・モリエ女史の名言でしたか。SF系物理ラノベ「ウィザーズ・ブレイン」(作者本人は「SFじゃないです」と言っていますが、この際クラークの第三法則に当てはまることを根拠に駄弁者の第二法則に従ってスルーします)の作者、三枝零一氏の迷言。
 「ウィザーズ・ブレイン」の作中世界では、高性能生体コンピュータ「I-ブレイン」によって物理法則を改変する「魔法士」なる能力者が登場するんですが、詳しい話についてはまた後日。で、作中に「空間曲率制御」を行う魔法士「光使い」が登場するんですが、彼らは空間を局地的に「閉じ」て、その中で粒子を加速してそれを擬似的な荷電粒子砲として使えるという設定です。で、「空間曲率」なんですが、これが要はいわゆる「重力」のことで、でも一般ピープルはそんなもん知らんわけで…おそらくはヤック・デカルチャーな認識の差に出会ったであろう彼が漏らした呟きです。彼のような専門家や我々のようなオタク(この言い方に語弊があるならマニアとでも読み替えてください)と「一般人」の間の距離を表す言葉だと思います。
 なお、この後彼は「重力=空間の歪みだと理解してる人の方が少ないと思う」とのレスポンスに「そ、そんな! 一般相対性理論の解説書とか読んだら、どんな初歩的な本でも一番最初に書いてあるじゃないですか!!」と悲痛な声を上げています。…専門家でもなきゃそんなもん読みませんがな、普通。

駄弁者:
 主人公の使う空間曲率変換「デーモン」の名前が「アインシュタイン」というのは大ヒントのはずなのに。宙に浮いたり壁を歩いたりするまで気づかれないんじゃ…って、宙に浮くのはもうやっているのか。うーん。



死者は生き返り、生者は死ぬ。
わたしは生きるものを殺し、死んだものを救う。
もうひとつ教えよう…この世にはわたしよりまだ恐ろしいものもある。

 出典: フィリップ・K・ディック「父祖の信仰」(浅倉久志訳)  『アジャストメント』に収録 『時間飛行士へのささやかな贈物』にも収録

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 「絶対の恩人」と呼ばれる最高指導者を多くの人々が信仰する世界。
 党職員である董健(トン・チェン)はある日両足のない商人と出会い、怪しい嗅ぎたばこを購入するハメになる。董が煙草を吸うと、TVに映る「恩人」の姿が、人間のものから奇っ怪な機械のような姿へと変化してしまった。
 董は両足のない商人の仲間であるタニア・リーから嗅ぎたばこの正体が抗幻覚剤である事を知り、そしてタニアは「我々の飲む水には幻覚剤が混入されており、嗅ぎたばこの幻覚こそ真実だ」と董に語る。
 タニアは董に、党職員の地位を利用して「恩人」へと接近するように頼んだ。タニアの導きで党内での地位を上げた董は「恩人」が主催するパーティに招待され、そこで生身の姿をひたすら世間に隠してきた「恩人」と対面。嗅ぎたばこを嗅いで「恩人」と相対した彼はその正体を知ることになる…。
 自分の中では「ネジが飛んでる作家」という認識のディック(バカにしているわけではないです)。
 はっきり言ってこの「父祖の信仰」は理解できた気がしません。ディック作品にはいくつか手をつけており、個人的に評価が高い作品もいくつかあるのですが、どうにも私には後期の作品になればなるほど「読者を突き放した作品」に見えてしまいます。
…SF力が足りないのでしょうか?
 結局、恩人の正体は「神そのもの」という認識でよかったのでしょうか。それとも、あの一見クトゥルーの化物のような姿はフェノチアジンとアンフェタミンの相乗効果が見せた幻覚にすぎないのでしょうか。だったらあのアザは……と、こんな具合で今もこんがらがっています。
 投稿の文句は真の姿を表した「恩人」が語った「人々が苦しむ姿を見るために世界(?)を創造した」という真相を聞き、せめて抗おうと自殺を試みた董を救い出した「恩人」の一言。
 正直クスリとしてしまいました。「神」より強い存在がいるのか…ラ・グースとか?
 「アジャストメント」収録の短編では個人的には「くずれてしまえ」「おお!ブローベルとなりて」「ルーグ」が好みなのですが…「ルーグ」はSFでいいんだろうか。ぶっちゃけあれって「ワンちゃんが清掃員の方々に怯えてるだけの話」なんですよね。

駄弁者:
 私も読んでみましたが…やはり、100パーセント把握しきれたとはとても言えません。
 出だしはディック流『1984年』ですが、共産主義に加えてドラッグ排斥や宗教までも槍玉にあげている、挑戦的な作品という感じがします。現実よりも幻覚の方が整合性があるという皮肉が面白いです。
>「アジャストメント」収録の短編では〜
 私はオーソドックスながら「にせもの」が好きでして。はじめて読んだディック作品もこれじゃなかったかなあ。



こちらにおわすお方こそ おそれおおくもミト王子
紹介 :鳩野空次 様 → 第176集


過去を変えるのは厳禁だ。イタズラ以外は

 出典: ラッセル・T・デイビス脚本「ドクター・フー 第3シーズン第1話『スミスとジョーンズ』」(牧野琴子訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 研修医のマーサ・ジョーンズは出勤途中、奇妙な男と出会うが、出勤してみれば彼は入院しており外出した覚えはないという。だがその直後、病院が丸ごと月にテレポートしてしまった。その男・ドクターと謎を追うマーサだが……。
 事件解決後、ドクターはマーサを宇宙旅行に誘う。ターディスがタイムマシンでもあることを信じない彼女に、ドクターがある行動でそれを実証して見せた時のセリフです。
 ドクター・フー第3シーズン放送開始を記念して投稿させていただきます。むろん、冒頭でマーサが会ったドクターが(一応ネタバレのため書きませんが、ってバレバレか)なわけですが、いやイタズラでも過去変えちゃヤバいっしょドクター。

駄弁者:
>いやイタズラでも過去変えちゃヤバいっしょドクター。
 そのツッコミを欲しいがために過去を変えたとしか思えません。…けどそういうノリは大好きです。



 やや、なんとしたこと!
 めくってもめくっても ページが減らない

 出典: とり・みき「SF大将 2011年文庫篇『果しなき流れの果に』」  本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国2012」に収録

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 中生代の地層から、なぜか発見されたマンガの単行本は、いつまでもページをめくり終えることができないという、不思議な性質をもっていた……。
 ちなみにタイトルは『はじめのゴルゴのガラスの一歩』……ああ、これはいつまでたっても終わらなくても仕方ない(笑)。
 (ところでこれ『万物理論』同様、[完全版]が河出文庫の『NOVA』に収録されたりするんでしょうか、もしかして)
BGM:「Endless Story」田村ゆかり

駄弁者:
 それは天国か、地獄なのか…。
 どうせなら発見されるのはSF小説であってほしいところなんですが無理でしょうか(『豹頭のペリー・ローダン』…半分は果てが来てしまったし)
>[完全版]が河出文庫の『NOVA』に収録されたりするんでしょうか
 最新の『NOVA7』には無かったけど、収録されたらいいなあ。



勝て、とは言わない。だけど、戦ってくれ

 出典: 和智正喜「仮面ライダー 誕生1971」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 「仮面ライダー」が本郷猛ただひとりしかいない世界を描いた小説より
 次世代型改造人間〈S.M.R〉計画のもと〈ショッカー〉に改造された本郷猛は彼を改造し、〈ショッカー〉を裏切った緑川博士と〈アンチショッカー同盟〉に救出される
 この世界の〈ショッカー〉は改造人間を使い影から世界を牛耳っていると言っても過言では無く戦争回避のコントロールなども行い「命の守護者」を自負し人類の文化文明を守っている。しかしそれはあくまでも自分たちの理念の為であり、〈ショッカー〉に価値なしと判断された人々は理不尽に命を奪われていった
 そんな〈ショッカー〉と戦ってくれと〈アンチショッカー同盟〉に協力する日系ペルー人の「ハヤト」と名乗る男は本郷に頼む
 実はハヤトは本郷の前に改造された〈S.M.R〉で新聞記者として〈ショッカー〉を調べているうちに彼らに捕まってしまったのだった。緑川博士の助けで脱走し〈ショッカー〉と戦おうと決意するも実は手術は失敗で残された命は僅かだった、しかし完全な成功体の本郷猛に希望を見いだし計算通りならとっくに死んでいる筈の身で改造人間の身体の使い方を伝授し、さらに〈ショッカー〉の策略で暴走した本郷とも戦った
 しかし本郷は世界そものもとも言えるショッカーを相手にすること、そもそも〈ショッカー〉と戦う〈アンチショッカー同盟〉の目的は〈ショッカー〉に代わって世界をコントロールすることという事実に責任ある約束はできないと躊躇う  ハヤトはたった一人でも守れればいい、例え一人も守れなくてもただ死を待つしかない人の希望となって戦い続けて欲しいと言う
「おまえの仕事は、暗闇にとり残されたひとを救うことだ」
改造され、世界に一人取り残された気分になった自分が本郷の存在に救われたように
そしてハヤトは本郷に愛用のマフラーと「仮面ライダー」の名を贈り眠りについた。

駄弁者:
 ショッカーもアンチショッカーも目的が似たようなものなら、むしろどちらかが勝ったりせず、延々戦い続けて均衡を保つこと自体が救いだ、ということになってしまわないでしょうか。本郷さんとしてはかなり気が滅入ることでしょうが…。
 なお出典について、現在は『誕生1971』に続く『希望1972』『流星1973』を加えた完結版が刊行されているらしいです。



誰も憎まず、誰も愛さず、感情を動かされることもなく、友達も、恋人も、親もない何者か。それは、本当に人間と呼べるのだろうか?

 出典: 餅月望「ある朝、ヒーローの妹ができまして。」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 ハルヒが優しいお義兄ちゃんだったら、という小説からの紹介になります。いろんな事情からヒーローの両親が連れてきて、主人公と同居している義妹たちは、宇宙人だったり、超能力者だったり、異世界の龍人だったりしますが、主人公は一般人です。そこに未来人の義妹が来ることから話が始まるのですが、その義妹から未来の世界の説明を聞いた主人公の感想の一節です。未来の世界は、感情を極力抑制し、憎み合う理由を徹底的に取り除いた完全に平和な世界だというのです。
 未来が何故そうなったのか、の説明には疑問を覚えましたが、確かに感情を完全になくしてしまった人間というのは、人間ではなくなってしまう気がします。愛や憎しみ等々の感情を持ってこそ、人間ではないでしょうか。

駄弁者:
 そこまで捨て去るには人間の自意識をまるごと無くしてしまわねばならないのではないかと思いますが…伊藤計劃『ハーモニー』で描かれる世界が、ちょうどそんな感じか。



ふさわしい人を見つけて…
おしとやかで、思いやりがあって、おっとりとした…
…(中略)…
忘れないで、私の事でもし気が変わったら…
いつでも迷わず飛んできてちょうだい。

 出典: 「スーパーマン 『マイガール』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 レックス・ルーサーの新しい恋人、売れっ子ファッションデザイナー兼美人モデルのラナ・ラングはスモールビルで暮らしていた頃のクラーク・ケントの彼女で、彼がスーパーマンである事に気づいていた人物でした(再会したクラークにファッションデザイナーとしてスーパーマンのコスチュームの配色に難を示す場面があったりします)。
 かわらずクラークを愛し続けていたラナはクラークからルーサーが兵器密売等をはたらく大悪党である事を聞かされるとスーパーマンとしてのクラークの活動に強引に協力を申し出ます。
 ルーサーから入手した情報をクラークに提供し続けていたラナでしたが、ある一件で危うく命を落としかけた事から自分はヒーローではなくファッションデザイナーである事を痛感し、ルーサーと別れた後デイリープラネットのクラークを訪ねヨーロッパに旅立つ事を告げます。
 妹のように思っていると言おうとしたクラークにそんな事を言ったらルーサーとよりを戻してやると脅した後投稿の台詞をつげて去っていくラナ、彼女への一抹の慕情を噛みしめるクラークを呼びつける男勝りで、歯に衣着せぬ性格で、せっかちなロイス・レーン…。
 TVドラマ『ヤング・スーパーマン』ではヒロインを務めたラナ・ラング。
 クラークもなんだかんだで未練があった様で、後に『ジャスティス・リーグ・アンリミテッド』で故郷クリプトン星や両親が健在という幻想の虜にされた際の彼の妻はロイスではなくラナだったりします。
 さてみなさん、家族や親しい友人からどういう人と一緒になりなさいと勧められた事がありますか?
 僕は祖母から「丈夫で優〜しか人(祖母は九州人です)」と一緒になるよう言われました―当分そういう人は見つかりそうにもないですが―。

駄弁者:
 彼女とつきあっていれば、あのコスチュームも何とかなっていたのかなあ…。
>妹のように思っている
 それはクリプトナイト級の致命的セリフ(笑)。



「敵味方必死の攻防がもう始まってるんです。静かな戦争だ……大砲も鳴らないし、飛行機もタンクも現れません」

 出典: 丘美丈二郎原作・木村武脚本・本多猪四郎監督「地球防衛軍」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第21回。これまでに私が四回ほど名文句をチョイスしてきた、東宝SF映画の傑作より投稿。この映画、見れば見るほど名文句の宝庫です。
 富士山麓に巨大なドーム要塞を造営した侵略者ミステリアンに対し、日本の自衛隊は戦車、野砲、ミサイルなどの在来兵器で挑んだが、侵略者の強力な熱線に焼き尽くされてあえなく全滅。日本国政府は国連を通じて全世界に訴え、人類合同の軍隊創設に向けて世論を盛り上げる。その結果『地球防衛軍』の臨時司令部が東京に設置された。防衛軍は超巨大次世代航空兵器「空中戦艦」の投入を決定。空爆作戦を発令する。が、その詳細は、地上部隊の最前線にある監視兵にまでは正しく伝わっていなかった。前線を視察に来た主人公渥美譲治(演・佐原健二)とその護衛の巡査(演・佐田豊)は、あまりにも静かな現場の様子に「作戦命令は出たんでしょ?」「中止したんでしょうか?」などと不審を募らせる。そんな二人を科学技術戦闘研究班の関隊長(演・伊藤久哉)が落ち着いた口調で宥めるのだが、その時の隊長の台詞が上記投稿の文句である。「静かな戦争だ」という部分が、在来兵器による戦いとは全く違った超兵器による攻防戦の始まりを予感させる。この様に、初期から黄金期にかけての東宝SF・怪獣映画は、たった一言の台詞で観客をワクワクさせてしまう力を持っているのだった。
この直後、現場上空に二機の空中戦艦が現れる。見慣れない飛行物体に、主人公たちの表情が一瞬凍りつく。
「あっ!」「あれは……?」
しかし、機体に描かれた青い国連マークを認めると、たちまち明るく声を張る。
「地球軍だ!」
いやぁ、小松崎茂の空想絵物語を実写化した様な、実に胸躍るシチュエーションですなぁ……て、いつのまにか「名文句の紹介」が「名場面の解説」になってしまった。こりゃまた失礼。

駄弁者:
 映画のセリフだとワクワクしますが、実際の戦争も今は静かに進行するんだろうな、と無粋なことにまで思いを及ぼしてしまうと…ちょっと怖さも出てきます。



みんなよくお聞き。
どんなに追い詰められようが、どんなに苦しかろうが、
死んで楽になろうなんて甘ったれた考えを起こすんじゃないよ。
お前さん達にゃワクワクするほど残酷で明るい未来が待ってるんだからね。

 出典: もりたけし監督「ヴァンドレッド the second stage #11 楽園」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回はヴァンドレッドthe second stageの決戦前艦長マグノ・ビバンの激を飛ばすシーンの文句。
 さてここでいつもは長々と背景等書いてるんですが、これについては書くことは一つだけ。
 とにかく好きだから投稿したそれだけ、以上です。

駄弁者:
 昔あった名文句「いいか、よくおぼえとけ。人生の九十八パーセントはクズだよ。だけど〜」を彷彿とさせるんですが、
どっちを聞いてより希望が湧いてくるかは…意見が分かれるところだろうなあ。



(そうだわ、もういっぴきじゃなくていいんだもん。ソーニャも飼い主さんがほし〜いっ)
「こんにちは。ソーニャの飼い主さんにならない?」
「ねえねえ、ソーニャの飼い主さんになってえ〜」
 ソーニャはイキモノと無機物の区別が付きません。

 出典: カザマアヤミ「ちょこっとヒメ」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 CDドラマに登場したオリジナルキャラクター・ペットロボのソーニャ。
 単行本の描き下ろし漫画で作者に生身の猫にしてもらえましたが、名文句にある通り生物・無機物の区別が付かないため、電柱や石に飼い主になってもらおうと声をかけます。
 考えてみると、そもそも「生き物」の定義とは何なのでしょうか……?

駄弁者:
 せめて動いているモノに声をかけるようになってから、「生き物」の定義を考えましょうよ。



一つ、俺はいつも傍にいる仲間の心の闇を知らなかった
二つ、戦う決断が一瞬鈍った
三つ、そのせいで街を泣かせた
俺は自分の罪を数えたぜ、マツ
さあ、お前の罪を……数えろ

 出典: 東映制作「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE 仮面ライダースカル メッセージforダブル」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーW の主人公、左翔太郎の師匠である鳴海壮吉が仮面ライダースカルになった経緯を描いた作品。
 本編の数年前(劇中に少年時代の翔太郎が登場しているので十数年前の可能性もある)、風都に史上初のドーパント「スパイダー・ドーパント」が出現。ドーパントの目的は「風都の歌姫」と称される女性メリッサを自分のものにすること。彼女の護衛を依頼された壮吉は相棒のマツこと松井誠一郎と共に事件に臨むが、やがてマツこそがドーパントの正体だったことを知る。メリッサに惚れていたマツは、彼女が既婚者の壮吉に惚れていることに嫉妬心を抱きガイアメモリに手を出してしまったのだ。メモリの毒素に侵されて暴走したスパイダー・ドーパントは、スパイダーボムを風都にばらまく。この爆弾が体内に埋め込まれた人物は、最愛の人物に触れられると爆発してしまうのだ。壮吉も埋め込まれた結果、娘の亜樹子に触れることはできなくなってしまった。
 台詞はドーパントの前に現れた壮吉が言った台詞。一つ目はマツの嫉妬心に気付かなかったこと、二つ目は最初の戦いで迷いを抱いていたために敗北したこと、三つ目はスパイダーボムを止められなかったことを指している。最後の「さあ、お前の罪を数えろ」は後にWに受け継がれることになった。

駄弁者:
>最愛の人物に触れられると爆発してしまうのだ
 爆発しなかったため破局にいたったカップルも多数いたと思われるので、彼らに対する罪も数えた方がいいんじゃないでしょうか。



名文句トップに戻る

第271集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第273集を見る