SF名文句・迷文句第273集

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「……これは、『バルザイのテキオー刀』」
「は?」
「……『バルザイのテキオー刀』」
「……一応聞いとくけど、何に使うんだ」
「……これに斬られる事によって、平素と異なる苛酷な環境にも適応できるようになる。さあ少年、首を出して」

 出典: 逢空万太「這いよれ!ニャル子さん 5」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 何度も投稿された、ラブ(中略)コメディからの名文句です。
 ひょんな事からニャル子達と一緒にセラエノ図書館に行く事になった真尋。
 普通の地球人である自分がセラエノまでの宇宙旅行に耐えられるのかと心配する真尋と、巨大な偃月刀を取り出したクー子のやり取りが今回の名文句です。
 当然テキオー刀の使用は却下され、原点通り黄金の蜂蜜(ただしドリンク剤風)を使用する事になるのですが……。

駄弁者:
 それは適応できるようになるんじゃなくて、苛酷だろうがなんだろうが感じなくなるということなのでは…。



いつの時代でも、
最後は子供がヒーローさ。

 出典: コナミ製作「パワプロクンポケット14」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 あけましておめでとうございます。
 自分の2012年最初の投稿はやっぱり一番好きなパワポケからということで、発売して一カ月たった最新作のパワプロクンポケット14から。
 カタストロフを阻止するためヒーローや特殊部隊がジャッジメントに乗り込みます。そこで変身ヒーロー3人と太古の悪霊が戦い。
 いろいろあった末悪霊を追いこみますが追いかけてきた主人公(小学生)が人質に取られます。ですがヒーローの一人レッドの機転で主人公を助け悪霊を退治。奥で仲間が戦ってるため助けに行こうとしますが力を使いすぎたため動けません。
 それを聞いた主人公(小学生)自分一人で行くと言ったためレッド以外の二人は危険だと言いやめさせようとしますが、レッドは行かせてしまいます。
 この文句はその時何故行かせたか聞かれた際のレッドの返答です。
 この文句を読んで感動してしまった20代後半の自分はどうなんだろう。

駄弁者:
>20代後半の自分はどうなんだろう。
 年齢とは関係なしに、自分の子どもを持つようになったら、違う考えも出てくるかも知れませんね。



「八路軍何故日帝に勝ったかわかるか?」
「知らない なんで?」
「この北京鍋ね これでおいしいものを食べる 兵隊よく働くよ ヒェヒェヒェ」

 出典: 矢作俊彦・大友克洋「気分はもう戦争」

紹介 :10-0 様
HP :

コメント:
 ソ連と中華が戦争になっている世界で、転戦を続けるトリオの話。
 反毛山賊・宋玄将「大将軍」と左翼学生「過激派」めがねクンの会話より。
 ただのいかれポンチに見えて意外となかなか深いこと言ってます、宋将軍。
 やっぱり人間旨いものを食わないと、ねえ。人的資源は大事にしなきゃ(でも、その後人海戦術やってるんじゃ意味ないわな…て言うかそのためか)。

駄弁者:
 鍋の中に入れる「おいしいもの」の補給を欠かさないことが勝利の秘訣…というか前提条件?



「ぼくは…情けないことにミラの過去についてほとんど知らないんだ。
 大切なのは過去じゃなくて現在や未来だと思っていたからね。
 だが誰かを良く知るためには過去も大切なのだということにようやく気がついた」

 出典: 聖悠紀「超人ロック 風の抱擁」

紹介 :バイト店員 様
HP :

コメント:
 何千年も生きてきたロックの今更というか、だからこそな台詞。
 第三波動という重要な能力者であり恋人でもあるミラ、大事なのはこれからと彼女の過去に無頓着すぎたロック。それだけが原因ではありませんがロックの達観した態度と”超人の恋人”であることへの周囲からの疑念はミラを精神的に追い詰めてしまいました。行方不明になったミラを探す段になってロックは様々な彼女の過去を聞き、当然それが現在の彼女の考え方、行動と重なって「だからあんなことを」というように自分の無知さを恥じるような場面。
 ”大切なのは未来”という考え方の中、でもやっぱり過去も大事だったねという超人の反省とも取れる言葉でした

駄弁者:
 不死者は自分の過去が膨大すぎるので、顧みないことが基本になってしまっているのかも。他人の過去まで顧みないのは、善し悪しといったところですか。



男はいつ死ぬかわからないんだから、パンツくらいはいつも一張羅を穿いておけ

 出典: 東映制作「仮面ライダーオーズ」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 主人公、火野映司の祖父の遺言として作中で語られた言葉。映司は欲望を失ってしまってからもこの言葉に従ってパンツだけは毎日新調しており、何らかの事情で穿けなくなると落ち込んでしまう。このパンツを映司は『明日のパンツ』と呼んでいるが、これには「今日を無事過ごして、また明日を笑顔で迎えられるように」という思いが込められていることがMOVIE大戦MEGAMAXで語られた。

駄弁者:
 少し前のご投稿で気になった、「最終回なのにパンツ」はこれのことでしたか。
 でも、パンツはいてないほうが強くなれるかも知れませんよ? …それは女性兵士限定か。



最初期のSFが発展した各国には「大衆文学」を読者に提供するさまざまな形式(パルプ雑誌・分冊配本などで)があり、両者の結びつきは否定できないが、ジャン・ガッテニョの指摘、曰く「ロニー兄、ギュスターブ・ル=ルージュ、モーリス・ルナール、ウェルズ、コナン・ドイルといった作家の文体は、読書体験の浅い者にとっては難物である」にも注意を払わなければならない。多くのSF作品は、その読解に相当の教養を要する。

 出典: ジャック・ボドゥ「SF文学」(新島進訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 フランス人の立場から書かれたSFの入門書から。
 文中に出ているガッテニョは同じくクセジュから「SF小説」という解説書を出しています。
 年の始まりから迷文句をお届けします。
 SFの読解に要する教養とは?特にドイルのチャレンジャー物って、難物ですか?
 知識があった方がより楽しめるのは間違いないと思いますが、必要でしょうかねえ?

駄弁者:
 文体が難物ということですから、科学知識の有無以前に文章が難解だということでしょうか。原文を読んだことないので分かりませんが、そうだとしたら翻訳・翻案者に感謝しないと。



公衆衛生防疫、公序良俗の観点からも所属の定かならぬ、それゆえ秩序になじまぬものたちは徹底的に排除しなければならん。無秩序に徘徊し無制限に糞をたれる野良犬はもちろん、無政府主義者、共産主義者、社会主義者から立喰師にいたるまで、戦後の無秩序から出発したあらゆる危険思想は、これ(東京オリンピック)を機に一掃されなければならない!

 出典: 横山光輝原作・押井守脚本・演出「鉄人28号」

紹介 :人外魔境地底獣国 様
HP :

コメント:
 以前キャッチコピーを投稿しました押井鉄人から、東京オリンピックを目前に控え、対外的体裁のために野犬狩りに勤しむ警官たちを激励にやってきた大塚署長の台詞です。押井氏にとって昭和30年代とは、「戦後」に蓋をし、無かったもののように取り繕っていた時期であり、オリンピックとはその集大成的イベントだったということなのでしょう。
 まさにそういった負の部分を取り除きながら昭和30年代をノスタルジックに描いてきた三丁目映画の最新作が公開されるに当たってこのことは言っておかねばならないと思い、投稿させていただきました。

駄弁者:
 「立喰師にいたるまで」というところがちょっとファンサービス。
>そういった負の部分を取り除きながら〜
 少年犯罪なども、現在より昭和30年代のほうがずっと多いと聞きますしね。思い出が美しくあるのは基本的にはいいことなんでしょうが、それで全てを糊塗してしまってはダメですね。



「警戒本部指令第129号、警戒本部指令第129号。爾後、各隊は攻撃態勢を解き、極力消火に努めると共に、負傷者の救出に全力を傾倒せよ」

 出典: 香山滋原作・村田武雄&本多猪四郎脚本・本多猪四郎監督「ゴジラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 新年明けましておめでとうございます。さて『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第23回は、第一作目のゴジラより。
 東京の品川に上陸したゴジラは、品川駅周辺を破壊して海へ去った。対策本部はゴジラの再上陸に備え、東京の沿岸部一帯に50000Vの高圧電線と重火器部隊による防衛線を布いた。が、その防衛線はゴジラの吐く放射能火炎によって一瞬のうちに焼き尽くされ、自衛隊は「水際作戦」から「市街戦」へと移行せざるを得なくなる。やがて、ゴジラの圧倒的破壊力の前に戦車隊は全滅。都心部は炎の海、または瓦礫の山。ようやく復興したばかりの東京は一夜にして灰燼に帰した。上記投稿の台詞は、その壊滅状態となった都内の各地で活躍する自衛隊や警察へ向けて発せられた、対策本部からの無線による最後の命令。内容からも解るとおり、これは実質的な「東京放棄宣言」である。どうやら「海岸線で必ず撃滅出来る」と確信したばかりに、都心部の兵力配置が薄かった様だ。あわてて出撃した航空隊による空からの攻撃も、ほとんど効果は無かった。もっとも、当時の自衛隊は発足したばかり。沿岸部、都心部、上空と、すべてのエリアを完璧にカバーするだけの装備・人員は無かったものと思われる。いや、消防や警察と協力して消火・救出に努めるにしても、おそらく力不足だったろう。
 恐るべしゴジラ、そして許すまじ原水爆……。

駄弁者:
 自衛隊がその名前の組織として発足したのが1954年、初代『ゴジラ』の公開と同じ年なんですね。当時はもとより、現在でもゴジラ級の災害(や、原子力事故?)に対して自衛隊がどれだけカバーできるのかと思いますが。力不足を自覚できるぶん、昔の方が機敏に動けたかも知れません。



私も可愛くない女ってよく言われます、でも…シンデレラになれない女の子は
…みんな不幸せだなんて…誰が決めたんですか?

 出典: 會川昇脚本・中澤祥次郎監督「轟轟戦隊ボウケンジャー task26『ガラスの靴』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 都内各地で若い女性が突如昏睡状態に陥る事態が連続して発生。その原因と思われるプレシャス『ガラスの靴』を大神官ガジャとの争奪戦の末に回収、ガジャ曰く「シンデレ〜ラに呪われ〜る」というガラスの靴を本部で分析開始するボウケンジャー。  同夜、徹夜で書類を作成する西堀さくら(ボウケンピンク)の前に突如黒衣の女が出現し、さくらにガラスの靴を履かせます。次の瞬間、昏睡状態の女性達がパントマイムの如くパートナーのいないダンスを踊るきらびやかな舞踏会場にドレスアップした姿で立つさくら。
 王子とダンスを踊る幻想の虜になったさくらは時計が12時になる寸前に明石(ボウケンレッド)がガラスの靴を脱がせたおかげで辛くも正気を取り戻します。が、シンデレラの話を「何の努力もせずに幸せになった子供の教育に良くない話」と一蹴していたはずの自分にシンデレラ願望があった事、西堀財閥次期当主の地位を捨て、自衛隊特殊部隊からオリンピック射撃のメダリストになっても自分の夢といえる物を見つける事ができず、明石の言葉を受けてボウケンジャーに入った現在もその事にかわりない現実に気づかされて愕然となるさくら。
 他の女性達の救出のため、王子の言いつけ通りに深夜12時にガラスの靴を携えて待つさくらの前に現れる黒衣の女。「お前も王子様に幸せにして欲しいのかい」と皮肉を交えて問う女に彼女がクロリンダ―王子様に選ばれなかったシンデレラの意地悪な義姉―である事に気づいていたさくらの問いかけが投稿の台詞。さくらに『誰かの言いなりになって得られる幸せ』の意味を問われたクロリンダの選択は…。
 怪物の本性を現したガラスの靴―王子はその精とでもいうべき存在―は豪語します。
「いいかいシンデレラ、君達の望む夢や幸せなんて本当はどこにもありはしないんだ。だから、僕が幻を与えてあげるのさぁ!」
さくら「夢も!幸せも!宝も!幻なんかじゃありません!!」

駄弁者:
 シンデレラになれなくても不幸せとは限りませんが、シンデレラの姉は不幸せだったと思います。…いじめの罰とはいえ、ハトに目玉喰われるんですよ?



わが先祖の名誉にかけて

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 4」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この小説における宇宙の宗教というか、信仰というのが、今一つ分からないので、私の感想には宗教について推測が多分に入っています。もし、読み落とし等があって、誤っていたらすみません。
 この小説では、キリスト教等は滅んでおり、人類の主な宗教は祖霊信仰となっているようで、主人公もしばしば先祖に対して内心で語りかけており、先祖に対して語りかけるための瞑想室まで艦内にあります。上記の文句は、シンディックの星系指導者が、主人公の約束が信じられないと言った際に、主人公が約束を守ることを誓った際の科白の一部です。敵との約束が守られるか否か。約束を絶対に守るということを誓う際の科白としては、神かけて等、いろいろな科白がありますが、わが先祖の名誉にかけて、というのは、ある意味、昔に還ったというか、素朴なところもありますが、遥かな未来でも通じる誓いの科白だとあらためて思いました。

駄弁者:
 ちょっと東洋的…あるいは、キリスト教以前に戻っているのでしょうか。キリスト教の影響がなくなったら、西欧的な文明がどんな風になるのか、考えてみると面白そうですね。



「日本人は異星文明とのファーストコンタクトよりkawaiiが大事である」

 出典: 野尻抱介「星間文明とピアピア動画」  『南極点のピアピア動画』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 ファーストコンタクトした人物の趣味から、ボーカロイド「小隅レイ」の姿をとることになった異星文明のコンタクト端末「あーやさん」ことあーやきゅあ移動体。人類とマンツーマンで交流し、報告するため自分を大量に複製することがその目的だった。彼女(?)を紹介されたピアピア動画の運営者たちは、政府に隠れて複製を既成事実化してしまう計画を立てる。そのもくろみは見事に成功し、大量に出現した「あーやさん」の存在は世界中にも知れわたることに…。投稿したのはそのときの海外からの論評です。
 出典は文庫書き下ろしの第4話なのですが、これに先立つ3話とも、ニコニコ動画とボーカロイドとコンビニでそこまでやるか、と読んでいて楽しくてしょうがない話でした。投稿の論評に対しても「それで何が悪い!?」と言いたくなるほどに。まあ「ファーストコンタクトよりkawaiiが大事」なのではなく「ファーストコンタクトにもkawaiiが大事」ということなんですが。



「われわれは救われました。土候たちが…」彼は一瞬李ユアンの背後に目をやり、若き王子の姿にぞっとした。「フー・チァンと彼の仲間たちが…約束を守ってくれました、陛下。彼らがやってきたのです!」李ユアンはうなずいたが、吉報を聞いてもまったく気力が湧かないようだった。彼は重い溜息をつき、目差しはつらそうだった。「ではわが御前はまったく犬死にだったのだな」
…(中略)…
<七帝>は消滅した。

 出典: デイヴィッド・ウィングローヴ「金銅仙人の歌 (チョンクオ風雲録11)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 シティ・アフリカ政府の打倒に成功したものの、土候の反乱に手を焼いた李ユアンは、シティ・ヨーロッパの治安部隊を前線に投入するべく、急速に勢力を伸ばしたシティ・ヨーロッパの黒社会、鯉猛(リーモン)ことシュテファン・レーマンの勢力と治安維持の契約を行うが、この策も功を奏せず、アフリカからの撤退を余儀なくされる。
レーマンはこの機にシティ・ヨーロッパの各層にその手を伸ばし、ついに<白きタン>として反乱を起こす。
 防戦一方となった李ユアンは保安軍のカー大佐をアフリカの土候の頭目であるフー・チァンの下に派遣し協力を要請する。カー大佐とフーはかつて<だて男>と呼ばれたお互いの過去に共鳴し、手を結ぶことに成功する。
 しかし、李ユアンはヨーロッパから西アジアへ避難するほどに追い詰められていた。
 そしてアフリカからの援軍到着という吉報をもって宮殿を訪れたカー大佐を迎えたのは葬列であった。
 このときまでに存続していたシティはヨーロッパの他に東・西アジア。東アジアのタンはやはり反乱によって失われ、西アジアのタンは自死を選び、ついに<七帝>は李ユアンただ1人となり、ここに世界帝国<チョンクオ>は終焉の時を迎える。
 李ユアンはシティ・ヨーロッパそのものを破壊して防衛線を作り、やっとヨーロッパ北半分を確保するほどに追い詰められており、アフリカからの援軍も一時しのぎ。さて彼らの運命やいかに。まだこのあと5巻もあるんですよね。
 <だて男>というのはスラム街で殺し合いを披露する非合法の格闘家ですがカー大佐もフーもここから這い上がって来た過去が語られます。なんでこんな名前なのか判らなかったのですがどうやら好漢(梁山泊ですな)の事のようです(出典:中華満喫・南条竹則。ただしこちらは<おとこだて>)。

駄弁者:
>どうやら好漢(梁山泊ですな)の事のようです
 そうなると李ユアンは徽宗皇帝? 指導者として問題のある迷文句が目立つユアンとはいえ、それはちょっと可哀想なような…。
 この大河シリーズ、私はに最初の2冊でやめてしまったんですが、TWRさんのご投稿を見ていると、ちょっともったいなかったかなという気もしてきます。でも全16巻は、いまから読むのはちょっとキツい。



「テレイグジスタンスの技術は医療機関でも大活躍だ。今や世界的な外科医がロボを駆使し、その場にいながら世界中の患者の診察や手術まで行う事も可能となった……。……だが尊い技術も……、必ず悪用する奴らが出てくるもんだ……」

 出典: 島袋光年「トリコ」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 アニメにもなっているグルメアクション漫画からの名文句です。
 国際グルメ機関・IGOの研究所に潜入していた敵組織である美食會の刺客の攻撃で重傷を負った、研究所長のマンサム。しかし少しも動じる事無く、「不覚を取ったな」で済ませてしまいます。
 彼の口から出た刺客の正体は遠隔操作ロボット・GTロボ。月面・深海等過酷な環境用の無人探査機が食材確保用に進化したもので、これで得られたノウハウは医療用等にも流用されてきたとの事です。
 今回の名文句はマンサムが傷口に酒をかけて治しつつ語った台詞です。
 多数のSF作品の中で技術の産物を悪用する敵が登場してきた事、現実でもインターネットをはじめ様々な技術を悪用する犯罪が後を絶たないを考えると、非常に重い言葉だと思います。

駄弁者:
>尊い技術も……、必ず悪用する奴らが出てくるもんだ……
 これはもう名文句や警句というより、定説を述べているようなものですね、悲しいことに。
 ジョー・ホールドマン『終わりなき平和』のように、超高度な軍事用テレイグジスタンスが人類を平和に導くきっかけとなってしまう作品もあるのですが…。これにしたって平和になった人類が幸福なのかは、ちょっと考えたくなる話だしなあ。



蒙古でいう

 出典: 三輪清宗「義経変生譚 1 Replay:天下繚乱RPG」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
以前『蘭学でいう』を投稿したのですが、最近のリプレイで鋼屋さんが源九郎判官義経をやってます。
そこで、源平時代の人物は物を説明する時は蘭学ではなく蒙古を使うと言われました。
また便利な言葉が出てきてしまった。

駄弁者:
 ご本人も知っててふざけているんでしょうが、これはちょっと。
 源平時代の頃のモンゴルはそんなに強大でも先進的でもない、などと細かいことは言わないにしても「くらくて古い」ですよ?



彼はその虫を叩き潰し──そして強烈な内心の恐怖を感じた。おれはなにをしたんだ、と自問した。この世界についたとたん、もう小さな命をひとつ奪ってしまった。これが新しい出発か?
ふりかえって、船を見つめた。ひきかえしたほうがいいな、と思った。こんどこそ永久に冷凍してもらおう。おれは罪深い男だ。破壊の好きな男だ。涙が彼の目にあふれてきた。

 出典: フィリップ・K・ディック「凍った旅」(浅倉久志訳)  『アジャストメント』に収録 『悪夢機械』にも収録

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 十年間かかる宇宙旅行の間、乗客をコールドスリープさせて運ぶ宇宙船。その乗客の一人であるヴィクター・ケミングズは、不運にもスリープ装置の故障で、肉体は眠っているのに意識だけが目覚めた状態になってしまう。
 船には空気も食料もない。船の管理AIはケミングズの記憶を引き出し、記憶の情景を再現することで彼の退屈を紛らわそうとするが、彼は幼少期のある経験から、自分を責め続けるとんでもないネガティブな男だった。
 ケミングズは再現される記憶を無意識に「侵食」してしまい、良い思い出さえ悪夢に変えてしまう。困り果てたAIはケミングズの「早く目的地につきたい」という意見を聞き「宇宙船が目的地についた映像」を彼に見せた。
 しかし、ケミングズはそのAIの生み出した情景さえトラウマによって侵食してしまう。AIはケミングズの記憶をリセットし、情景を繰り返すことで対処するのだが…。
 「電気蟻」と並んで、シンプルで気に入っている短編です。オチが予想できる類の話なのですが、わかっていても心にしみますね。それにしても、あれしきのことでトラウマになっちゃうなんて、ガラスのハートすぎるだろうケミングズ。子供ならいかにもやりそうなことで、トラウマになり得るようなものではないと思うんですが。人それぞれってことなんですかね。
 ちなみに、後書きでは最近のディック作品原作の映画について何作か触れているのですが、改めて見ると原作のかけらもない映画化が多いこと多いこと。どうして原作にディックを選ぶんでしょう?「NEXT」なんて、言われなきゃ「ゴールデンマン」の映画化なんて信じられない。

駄弁者:
 もともとのトラウマでもあったんでしょうが、旅行中に追体験させられてしだいに悪化しているということもあると思います。まあコンピュータにしてみれば、どんな夢をみせてもトラウマの記憶につなげてしまうケミングズ自身が問題なのだというところでしょうが…。
>改めて見ると原作のかけらもない映画化が多いこと多いこと
 ハインライン原作の「スターシップ・トゥルーパーズ」やアシモフ原作の「アイ,ロボット」も結構アレでしたが(映画自体の面白さとはまた別で)。それでも「ディック原作」諸作品ほどではないか。



後藤「高度成長って日本人のさがなのかな?」
南雲「子供の頃にそういう物をすり込まれた人たちが社会を動かしてるのよ。当然なんじゃない?」
後藤「子供の夢ってさあ、泉なんか見てるとわかるけど、基本的には『運転手さん』になりたいんだよね。そういうのが資本家の夢とだんだんかみ合わなくなってくんだ」
南雲「資本家の夢ってなあに?」
後藤「給料のいらない従業員」

 出典: ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー 『レイバーの憂鬱〈その1〉』」

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 外国人技師への冷遇に端を発した労働争議を描いたエピソードより、外国人嫌いで知られる四菱グループの藤倉会長が、「“レイバー”が生み出す明るい未来」について誇らしげに語っているテレビ番組を見ていた特車二課の第二小隊隊長・後藤喜一と第一小隊隊長・南雲しのぶの会話。
 「パトレイバー」のシリーズは、「近未来SF」というより「仮現代SF」と呼んだ方がしっくりくるような印象を当時から抱いていましたが、20年以上を経た今では「仮現代」も「仮過去」に…。それでも色褪せない面白さを感じさせるところもあり、今でも時々思いついたように読み返したりします。
 このエピソードが連載されたのは1990年代初頭。まさかその後の21世紀に「蟹工船」ブームが来ようとは…。資本家の夢が叶った―とは言わないまでも、かなり夢に近づきつつある現実。賃金の遅配・欠配を一度ならず経験している身としては、世の中もうほんのちょっとだけ左に寄ったってバチは当たらないだろうに…と、思うこともあります。

駄弁者:
 その夢を端的に表しているのは、「レイバー」ならぬ「ロボット」なんですが、ロボットが結局その理想通りには動いてくれないということも、初登場の「R.U.R.」から共通しています。ロボットほど夢に近くはないけど、ロボットより扱い方がわかっている人間の労働者で、その夢に近づこう、なんて思う資本家は…いないといいのですが。



あなたに今さらこんなこと言う必要がないことはわかっているの。でも言わせて。この本はファンタスティックよ!私はもう三十回は読み返している。もしこの本がこれからも発刊され続けたなら、私の人生は大きく損なわれること間違いなしね。でも私はそれを切望しているの(二十八歳・女性)

 出典: 田中ロミオ「人類は衰退しました 6」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 私の学友Yが回収した印刷装置とそのデータ。それは楠の木の里周辺に一大センセーションを巻き起こす。その印刷物とはマンガ、しかもボーイズラブ同類誌。Yに寄せられた読者感想を見せられた私は頭を抱える。
 ジャンルはともかくとして、趣味にはまると時間を無駄にしてしまうのですが、それでもかまわないと言ってしまうのが趣味の罪作りなところ。この読者は趣味のなんたるかを端的に表したものと言えるでしょう。没頭するのが第一なのは良くわかります。
 この人に「趣味と実益を兼ねる」なんて言ったら腐純、じゃなくて不純といって切り捨てて下さるでしょう。趣味人ばんざーい!!

駄弁者:
 私にもよくわかります(ジャンルはともかくとして!)。
 損なうのが自分の人生だけであるうちはまだいいのですが、そのうち友人知人にも同じようになってほしいという欲望がふつふつと…。



映司、初めて会ったときにお前が言った言葉、覚えてるか?
『仮面ライダーは助け合いでしょ』だろ?

 出典: 東映制作「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 ガイアメモリやオーメダル、ゾディアーツスイッチなど様々な闇の技術に資金援助をしている組織、財団X。その幹部レム・カンナギは、銀河の王になるという自分の野望のために組織を裏切り、暗躍していた。
 カンナギはまず未来の仮面ライダー、仮面ライダーポセイドンが仮面ライダーオーズに敗れるのを待ち、その場でサメ、クジラ、オオカミウオの未来のコアメダル3枚を入手。さらに人間に擬態して如月弦太朗(フォーゼ)と出会っていた宇宙生命体SOLUを強制的にアストロスイッチに変換して入手する。必要なメダルとスイッチを手に入れたカンナギは、宇宙に行ってコズミックエナジーをチャージしようとしていた。これが成功してしまえば対抗する術は失われる。
 財団Xの暗躍を追っていたW、コアメダルが持ち去られるのを目撃したオーズ、仲良くなったSOLUを目の前で奪われたフォーゼは自分たちが共通の敵を追っていることを知り、共闘することを決める。Wはオーズとフォーゼにカンナギを追わせるため、足止めをしに来たカンナギの部下に立ち向かっていった。台詞はそのときの左翔太郎の台詞。

駄弁者:
 3度目ともなると(1度目 2度目)、さすがに大昔と比較しての違和感は言い出せなくなりますねえ…(笑)



「そう、レアでだ。俺が気になってるのはそこなんだ。もしウェルダンで食べていたならあの四人は死なずにすんだろうか?」

 出典: 田中芳樹「品種改良」  『流星航路』に収録

紹介 :10-0 様
HP :

コメント:
 ユニヴァーサル化学食糧会社(U.C.F)が改良に改良を重ねて作り出した食用生物「スウェル」。類稀な生命力と増殖力を持つこの生物には、一つの致命的な問題があった。完全に火を通さないで食べると、逆に再生したスウェルに内側から喰い殺されてしまうのだ。この問題はスウェル・ステーキをレアで試食させられた社員たちの死で判明したのだが、事件終了直後の主人公二人の会話より。四人が死なずにすむ→スウェル商品化→スウェル一般家庭に入り込む→人間から栄養を吸収して街中にあふれるスウェル、という「立体TV(ソリビジョン)の宇宙怪物ドラマ」のようなことになっていたかもしれないのである…。
 …この流れを見た瞬間、そこはかとない恐怖が背を走りました。さすがは後に「月蝕島の魔物」や「夏の魔術」シリーズを書くお人。

駄弁者:
 田中芳樹の作品によく出る「お偉方たち」だと、ウェルダンに加工済みのものなら市場に出して大丈夫…という判断をしそうなのが恐い。
 けどこういうのは、人間が試食する前に動物実験とかで判明しないものでしょうか?
>さすがは後に〜
 私は、「夏の魔術」を読んだときに、この人の文章の快活さはホラーに向いてないと思ったものです。「月蝕島の魔物」は読んでないのですが。



私の名前はディマーシェ。親がくれた名前なんて―― 人間の名前なんて、もういらない……

 出典: 山本弘「怪獣神様」  『トワイライト・テールズ』に収録

紹介 :ズバットン 様
HP :

コメント:
 山本さんの怪獣SF『MM9』の世界観を元にした外伝的ストーリー集の一編から投稿させていただきます。
 とある湖の畔で、タイ人の少女シリヤムの前に空から降ってきた怪獣ゼオー。遥か彼方の惑星ボラージュからやって来たというゼオーと、心に傷を持つシリヤムは、いつかお互いが癒される大切な時間を共有することに。しかし、そんな温かい心の交流は、大人たちにとっては許されざるものでした。
 『MM9』の世界では、一定以上の大きさ(MM5 約20m以上)の怪獣は、その大きさだけで脅威になるという理由で、問答無用で殺してしまうのです。推定の大きさがMM8クラス(約40〜50m)のゼオーは、シリヤムの殺さないでという願いも虚しくタイ軍の猛攻によって殺害されてしまいます。心の拠り所を失ったシリヤムは、親からもらった名前『シリヤム』を捨て、ゼオーから贈られた『ディマーシェ』を名乗り、この世界からの決別を宣言するのです…

駄弁者:
 「MM9」では怪獣の存在は、自然災害の一種なんですが、こういうケースだったり宇宙怪獣だったりすると、気象庁の管轄とも言えなくなってくるんじゃないでしょうか。



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